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明細書 :イオン液体のゲル化剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-081836 (P2019-081836A)
公開日 令和元年5月30日(2019.5.30)
発明の名称または考案の名称 イオン液体のゲル化剤
国際特許分類 C09K   3/00        (2006.01)
C07C  43/225       (2006.01)
C07C  41/18        (2006.01)
FI C09K 3/00 103M
C07C 43/225 D
C07C 41/18
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2017-209503 (P2017-209503)
出願日 平成29年10月30日(2017.10.30)
発明者または考案者 【氏名】岡本 浩明
【氏名】森田 由紀
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100188352、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 一弘
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
【識別番号】100150902、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 正子
【識別番号】100141391、【弁理士】、【氏名又は名称】園元 修一
【識別番号】100198074、【弁理士】、【氏名又は名称】山村 昭裕
【識別番号】100145920、【弁理士】、【氏名又は名称】森川 聡
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
Fターム 4H006AA01
4H006AB99
4H006GP03
要約 【課題】少量の添加量で多数の有機液体、特に磁性イオン液体をゲル化できるゲル化剤の提供。
【解決手段】イオン液体のゲル化剤が化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物からなる。
2m+1-(CH-CHX-C2n-O-Ar-O-R (1)
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Xが水素原子のときyは0であり、Xがハロゲン原子のときyは0又は1である。Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物からなるイオン液体のゲル化剤。
2m+1-(CH-CHX-C2n-O-Ar-O-R (1)
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Xが水素原子のときyは0であり、Xがハロゲン原子のときyは0又は1である。Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)
【請求項2】
化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物が、式(2)で表される化合物であり、イオン液体が磁性イオン液体である、請求項1に記載されたゲル化剤。
2m+1-CH-CHI-C2n-O-Ar-O-R (2)
(式中、Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)
【請求項3】
Arが、フェニレン基、ビフェニレン基又はナフチレン基である、請求項1又は2に記載されたゲル化剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載されたゲル化剤で磁性イオン液体がゲル化されているゲル。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物からなるイオン液体のゲル化剤、及び、このゲル化剤でイオン液体がゲル化されているゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料、インク、潤滑油、農業、水産、化粧品、医薬品、繊維、樹脂、ゴム、金属等の各種産業分野において、有機液体類(動植物油脂、エステル、ポリオール、エーテル、アルコール、炭化水素等)を固化するゲル化剤が用いられてきた。本発明の発明者らは、少量の添加量で多数の有機液体をゲル化できる有機低分子ゲル化剤としてパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物を検討した(例えば、特許文献1参照)。また、高誘電率を有する非水溶媒、リチウム塩とパーフルオロアルキル基を有する別の芳香族化合物を含むゲル化された電解液を備えるリチウムイオン二次電池が検討された(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
近年、市販の永久磁石に応答し、イオンのみから構成されて高いイオン伝導性を有し、常温で液体である磁性イオン液体が開発されてきている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、磁性イオン液体は液体であるから、扱いと加工に制約があった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-191661号公報
【特許文献2】特開2010-282728号公報
【特許文献3】特開2010-219032号公報
【0005】
<nplcit num="1"> <text>S. Hayashi, H. Hamaguchi, Chem. Lett.2004, 33, 1590</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少量の添加量で多数の有機液体、特に磁性イオン液体をゲル化できるゲル化剤が希求されていたが、そのようなゲル化剤は実現されていなかった。本発明が解決しようとする課題は、少量の添加量で多数の有機液体、特に磁性イオン液体をゲル化できるゲル化剤の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、パーフルオロアルキル基を有する特定の芳香族化合物が、少量の添加量で多数の有機液体、特に磁性イオン液体をゲル化できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物からなるイオン液体のゲル化剤、
2m+1-(CH-CHX-C2n-O-Ar-O-R (1)
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Xが水素原子のときyは0であり、Xがハロゲン原子のときyは0又は1である。Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)
[2]化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物が、式(2)で表される化合物であり、イオン液体が磁性イオン液体である、[1]に記載されたゲル化剤。
2m+1-CH-CHI-C2n-O-Ar-O-R (2)
(式中、Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)
[3]Arが、フェニレン基、ビフェニレン基又はナフチレン基である、[1]又は[2]に記載されたゲル化剤、
[4][1]~[3]のいずれかに記載されたゲル化剤で磁性イオン液体がゲル化されているゲルに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゲル化剤は、少量の添加量で多数の有機液体、特に磁性イオン液体をゲル化できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のイオン液体のゲル化剤は、下記化学式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有する芳香族化合物からなる。
2m+1-(CH-CHX-C2n-O-Ar-O-R (1)
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Xが水素原子のときyは0であり、Xがハロゲン原子のときyは0又は1である。Arは置換又は無置換の炭素数5~30の2価の芳香族基、Rは飽和又は不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基、mは6~12の自然数、nは1~4の自然数である。)

【0011】
上記芳香族化合物は、特定の製造方法に限定されない。上記芳香族化合物の製造方法の1つの具体例は次のとおりである。下記化学式(2)の水酸基と炭化水素オキシ基を有する芳香族化合物を、上記化学式(1)におけるXが水素の時は下記化学式(3a)のハロゲン化アルケンと、上記化学式(1)におけるXがハロゲン原子の時は下記化学式(3b)のハロゲン化アルケンと反応させ、その生成物に下記化学式(4)のハロゲン化パーフルオロアルキルを反応させて生成される。

【0012】
HO-Ar-O-R (2)
CH=CH-Cn-12(n-1)-X’ (3a)
CH=CH-C2n-X’ (3b)
2m+1-X (4)
(式中の記号の意味は、化学式(1)の場合と同じ。基X’はチオール基に反応性のハロゲン原子である。)

【0013】
上記式(1)及び(2)における芳香族基Arは、いわゆる「芳香族性」を示す環式化合物の2価の基である。この環式化合物は、炭素環式化合物でも、複素環式化合物でもよい。これらの環式化合物は、置換基により置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。芳香族基Arの置換基の具体例は、メチル基、エチル基等のアルキル基;ハロゲン原子などである。

【0014】
芳香族基Arが芳香族炭素環式化合物基である場合、核原子数は6~30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。芳香族炭素環式化合物基の具体例は、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基等の核を有する化合物である。好ましい芳香族炭素環式化合物基は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基である。

【0015】
芳香族基Arが芳香族複素環式化合物基である場合、核原子数は5~30である。芳香族複素環式化合物基の具体例は、ピローレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基、ピリミジレン基等の核を有する化合物である。

【0016】
上記式(1)及び(4)におけるパーフルオロアルキル基C2m+1は、炭素数mが6~12のパーフルオロアルキル基である。炭素数mが5以下では、化学式(1)の化合物はゲル化能が小さい。炭素数mが13以上では、化学式(1)の化合物は、有機溶媒の種類によっては、加熱しても溶解しなくなる。

【0017】
上記式(1)及び(3b)におけるC2n、上記式(3a)におけるCH-Cn-12(n-1)+1で示されるオリゴメチレン基の炭素数は1~4である。当該オリゴメチレン基の炭素数が5以上になると、化学式(1)の化合物は、ゲル化能が小さくなる。

【0018】
上記式(1)及び(2)における炭化水素基Rは、飽和もしくは不飽和の炭素数1~20の1価の炭化水素基である。炭化水素基Rが脂肪族炭化水素の場合、分岐していてもよく、分岐していなくてもよい。また、炭化水素基Rが芳香族炭化水素を含む場合、芳香族核に置換基が存在していてもよい。炭化水素基Rは、もちろんベンジル基などのアリールアルキル基等であってもよい。

【0019】
上記式(1)及び(4)におけるハロゲン原子X、上記式(3a)及び(3b)におけるハロゲン原子X’ は、それぞれ、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素である。

【0020】
本発明のイオン液体のゲル化剤によりゲル化されるイオン液体は、溶融した塩を指すが、近年では室温付近で液体状になるイオン塩を指す(例えば、化学工業 2004 VOL.55 NO.11)。イオン液体は、イオンだけから構成される液体であり、溶媒を全く含まないから、蒸気圧がほとんど無く、不燃性である等の特徴を持つ。さらに、イオン液体は、イオン性化合物の特徴である、高イオン電導性、高耐熱性、不揮発性、不燃性、腐食性がない等の性質を有するから、有機合成反応の溶媒、二次電池の電解質としての利用など様々な分野への応用が進められている。イオン液体は、それを構成するカチオンとアニオンの組み合わせの変更により、様々な特性を有し、現在も多くの研究が進められている化合物である。

【0021】
イオン液体を構成するカチオンは、特定のカチオンに限定されない。当該カチオンとして、窒素をイオン中心とするもの、リンをイオン中心とするもの、硫黄をイオン中心とするもの、窒素と硫黄をイオン中心とするものなどが挙げられる。

【0022】
窒素をイオン中心とするカチオンの具体例は、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、グアニジウムカチオン、4-アザ-1-アゾニア-ビシクロ-[2,2,2]オクタニウムなどである。これらのカチオンは、任意の位置にアルキル基に代表される置換基を有していてもよく、置換基の数は複数でもよい。

【0023】
イミダゾリウムカチオンの具体例は、1-メチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム[BMIM]、1-エチル-3メチルイミダゾリウム[EMIM]、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムなどの1,2,3-トリアルキルイミダゾリウム、1-シアノプロピル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ビスシアノメチルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-メトキシエチル-3-メチルイミダゾリウム、1-[2-(2-メトキシエトキシ)-エチル]-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1,3-ジメトキシイミダゾリウム、1,3-ジヒドロキシイミダゾリウム、1-メチル-3-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルイミダゾリウム、1-メチル-3-[(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリウムなどである。

【0024】
アンモニウムカチオンの具体例は、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラへキシルアンモニウム、トリヘキシルテトラデシルアンモニウム、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルアンモニウム[DEME]、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム[TMPA]、トリメチル(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)アンモニウム、トリメチル-(4-ビニルベンジル)アンモニウム、トリブチル-(4-ビニルベンジル)アンモニウム、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、ベンジルジメチル(オクチル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-フェノキシエチル)-1-ドデシルアンモニウムなどである。

【0025】
ピリジニウムカチオンの具体例は、1-エチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムなどである。

【0026】
ピロリジニウムカチオンの具体例は、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム[P13]、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピロリジニウム、1-エチル-1-メチルピロリジニウムなどである。

【0027】
ピペリジニウムカチオンの具体例は、1-メチル-1プロピルピペリジニウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピペリジニウム、1-エチル-1-メチルピペリジニウムなどである。

【0028】
リンをイオン中心とするカチオンは、一般的にホスホニウムカチオンと呼ばれる。リンをイオン中心とするカチオンの具体例は、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、(2-シアノエチル)トリエチルホスホニウム、(3-クロロプロピル)トリオクチルホスホニウム、トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸などである。

【0029】
硫黄をイオン中心とするカチオンは、一般的にスルホニウムカチオンと呼ばれる。硫黄をイオン中心とするカチオンの具体例は、トリエチルスルホニウム、トリブチルスルホニウム、1-エチルテトラヒドロチオフェニウム、1-ブチルテトラヒドロチオフェニウムなどである。

【0030】
アニオンの具体例は、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、ジシアナミド、ビス(フルオロスルホニル)アミド[FSA]、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、ビス(トリフルオロエチルスルホニル)アミド[TFSA]、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、テトラフルオロボレート[BF]、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、メタンスルホネート、ブチルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネート、スチレンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、3-スルホプロピルメタクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、オクチルスルフェート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ヘキサフルオロホスフェート[PF]、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジハイドロジェンホスフェート、ジブチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジメチルホスフェート、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィネート、メチルホスホネート、メチルメチルホスホネート、フォルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、トリフルオロアセテート、ヒドロキシアセテート、パーフルオロノナノエート、デカノエート、マンデレート、チオサリチレート、ベンゾエート、サリチレート、フルオロハイドロジェネート、ラクテート、グリシネート、アラニネート、ロイシネート、バリネート、トリフルオロメタンスルホニルロイシネート、トリフルオロメタンスルホニルバリネート、ナイトレート、パークロレート、フェノキシド、チオシアネート、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、アセスルファメート、サッカリネート、ピラゾレート、イミダゾレート、チアゾレート、トリアゾレート、テトラゾレート、インダゾレート、ベンゾチアゾレート、ヘキサフルオロアスタチネート、ヘキサフルオロアンチモネート、チオシアネート、テトラクロロアルミネート、テトラクロロフェレート[FeCl]、カルボネート、メチルカルボネート、カルバメートなどである。

【0031】
これらのカチオン及びアニオンが組み合わせられたイオン液体の中で、アニオンとして[FeCl]が組み合わされたイオン液体は磁性を示す磁性イオン液体である。

【0032】
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらに限定されない。合成された化合物の分析方法は以下のとおりである。

【0033】
(1)融点
各化合物の融点を、ヤナコテクニカルサイエンス(株)製Yanaco Micro Melting Point Apparatus MP-J3を用いて測定した。

【0034】
(2)赤外吸収スペクトル
各化合物の赤外吸収スペクトルを、(株)堀場製作所製フーリエ変換赤外分光高度計(Horiba FT-2000)で行った。KBr錠剤法で固体試料を、KRS-5によるフィルム法で液体試料を調製した。

【0035】
(3)1H NMRスペクトル
各化合物の1H NMRスペクトルを、日本電子(株)製JEOLJNM-270EXを用いて測定した。室温で、CDCl溶媒で行い、内部基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。溶媒がDMSO-d6の場合は、DMSO-Hの2.49ppmを内部基準とした。

【0036】
(4)13C NMRスペクトル
各化合物の13C NMRスペクトルを、日本電子(株)製JMN-LA500を用いて測定した。室温で、CDCl溶媒で行い、内部基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。

【0037】
(5)19F NMRスペクトル
各化合物の19F NMRスペクトルを、日本電子(株)製JMN-ECA500を用いて室温で測定した。

【0038】
(6)磁化率
磁化率を、理研電子(株)製振動試料型磁力計(VSM)(BHV-50)を用いて、室温で最大印加磁場強度15kOeの条件で測定した。

【0039】
合成例
10mmol(1.86g)の4,4’-ビフェニルジオールを10mLの3-ペンタノンに溶解し、15mmol(2.07g)の炭酸カリウムを加え、次いで10mmolの1-ブロモアルカンを滴下した。反応混合物を80℃で一日撹拌したあと、濾過して分離した。濾液を減圧濃縮し、ダイソー(株)製IR-60-15173を担体としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、純粋な化合物類Aを無色結晶固体として得た。

【0040】
10mmolの化合物類Aを10mLの3-ペンタノンに溶解し、15mmol(2.07g)の炭酸カリウムを加え、次いで10mmolの1-ブロモアルケンを反応混合物に滴下した。反応混合物を80℃で1日間撹拌し、濾過により分離した。ろ液を減圧濃縮し、ダイソー(株)製IR-60-15173を担体としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、純粋な化合物類Bを無色結晶固体として得た。

【0041】
3mmolの化合物類B、3mmolの1-ハロゲンペルフルオロヘキサン及び3mmol(0.50g)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を10mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、70℃で窒素下で1日撹拌した。反応物に炭酸ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで希釈し、水ですすいだあと、塩水ですすいだ。有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒をエバポレーターで減圧濃縮した。他の精製をしていない残渣をTHFに溶解した。残渣をダイソー(株)製IR-60-15173を担体としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メタノールから再結晶して、純粋な化合物類Cを無色の固体として得た。

【0042】
1mmolの化合物類Cを大気に触れないように蒸留した2mlのTHFに溶解し,溶液に1mmol(0.045g)の水素化アルミニウムリチウム(LAH)を加え、一晩攪拌した。反応終了後、塩化アンモニウム水溶液を加え、抽出物を水で2回、食塩水で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧除去した。残渣をイソー(株)製IR-60-15173を担体としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、純粋な化合物類Dを無色結晶固体として得た。上記合成例の概要を下記に示す。

【0043】
【化1】
JP2019081836A_000002t.gif

【0044】
化合物類Aにおいてa=6のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:45%、融点:155-156℃
IR (KBr disc) ν = 3346.5, 2955.0, 2933.7, 2870.1, 1608.6, 1502.6, 1230.0, 816.0 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.45-7.41 (m, 4H), 6.94 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.87 (d, J= 8.6 Hz, 2H), 5.02 (s, 1H), 3.98 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 1.82-1.78 (m, 2H), 1.48-1.45 (m, 2H), 1.38-1.32 (m, 4H), 0.91 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm.

【0045】
化合物類Aにおいてa=8のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:40%、融点:152-153℃
IR (KBr disc) n = 3352.3, 2955.0, 2920.2, 1608.6, 1500.6, 1261.5, 814.0 cm-1.
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 9.44 (s, 1H), 7.47 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.94 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.81 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 3.96 (t, J= 6.5 Hz, 2H), 1.79-1.60 (m, 2H), 1.40 (dd, J = 14.4, 6.8 Hz, 2H), 1.36-1.16 (m, 8H), 0.86 (t, J = 6.6 Hz, 3H) ppm.

【0046】
化合物類Aにおいてa=10のときの各種物性
性状:白色粉末、収率:49.5%、融点:147.4-149.1℃
IR (KBr disc) ν =3409.2, 2952.9, 1612.5, 1510.0, 1252.8, 1065.1, 815.8 cm-1
1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ=0.85(3H, t, J=6.7Hz), 1.25-1.42(14H, m), 1.70(2H, m), 3.96(2H, t, J=6.4Hz), 6.80(2H, d, J=7.9Hz), 6.94(2H, d, J=8.5Hz), 7.40(2H, d, J=8.5Hz), 7.46(2H, d, J=8.5Hz), 9.44(1H, s)ppm

【0047】
化合物類Bにおいてa=6、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:35%、融点:117-118℃
IR (KBr disc) ν = 2955.0, 2933.7, 1606.7, 1500.6, 1273.0, 1248.0, 825.5 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.45-7.33 (m, 4H), 6.94-6.84 (m, 4H), 5.85 (ddt, J = 17.0, 10.3, 6.7 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 10,3 Hz, 1H), 3.98 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.91 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.52-2.47 (m, 2H), 1.81-1.62 (m, 2H), 1.47-1.36 (m, 2H), 1.30-1.28 (m, 4H), 0.88 (t, J = 7.2 Hz,3H) ppm.

【0048】
化合物類Bにおいてa=8、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶 収率:46% 融点:108-110℃
IR (KBr disc) n = 3456.4, 2933.7, 2922.2, 2864.3, 1608.6, 1500.6, 1176.6, 1043.5, 825.5 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.52-7.34 (m, 4H), 7.04-6.87 (m, 4H), 5.93 (ddt, J= 17.0, 10.2, 6.7 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 5.12 (d, J= 10.2 Hz, 1H), 4.05 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.98 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.57 (q, J = 6.7 Hz, 2H), 1.87-1.74 (m, 2H), 1.52-1.41 (m, 2H), 1.41-1.17 (m, 8H), 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3H) ppm.

【0049】
化合物類Bにおいてa=10、n=1のときの各種物性
性状:白色粉末、収率:57.0%、融点:121.4-123.6℃
IR (KBr disc) ν =2903.8, 1608.6, 1505.7, 1273.0, 995.3, 825.5 cm-1
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.27-1.49(14H, m), 1.79(2H, m), 3.97(2H, t, J=6.7Hz), 4.56-4.57(2H, m), 5.29-5.31(1H, m), 5.41-5.45(1H, m), 6.04-6.11(1H, m), 6.93(2H, d, J=8.5Hz), 6.96(2H, d, J=8.5Hz), 7.44(2H, d, J=8.5Hz), 7.46(2H, d, J=8.5Hz)ppm

【0050】
化合物類Bにおいてa=10、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:45%、融点:107-108℃
IR (KBr disc) n = 3437.2, 2955.0, 2931.8, 2850.8, 1820.8, 1510.3, 1275.0, 1246.0, 827.5 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.56-7.33 (m, 4H), 7.02-6.85 (m, 4H), 5.92 (ddt, J= 17.0, 10.3, 6.7 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 5.12 (d, J= 10.3 Hz, 1H), 4.05 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.98 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.59-2.54 (m, 2H), 1.89-1.67 (m, 2H), 1.47 (dt, J = 15.2, 7.0 Hz, 3H), 1.41-1.13 (m, 13H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H) ppm.

【0051】
化合物類Cにおいてa=10、n=1のときの各種物性
性状:白色粉末、収率:6.16%、融点:67.0-68.4℃
IR (KBr disc) ν =2922.2, 1606.7, 1500.62, 1207.4, 823.6 cm-1
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=0.88(3H, t, J=7.3Hz), 1.27-1.49(13H, m), 1.76-1.82(2H, m), 2.77-2.87(1H, m), 3.20(1H, m), 3.98(2H, t, J=6.7Hz), 4.20(1H, m), 4.32(1H, m), 4.51-4.56(1H, m), 4.75(1H, d, J=5.5Hz), 6.95(2H, d, J=8.5Hz), 6.96(2H, d, J=8.5Hz) 7.46(2H, d, J=8.5Hz) , 7.48(2H, d, J=8.5Hz)ppm

【0052】
化合物類Dにおいてa=6、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:40%、融点:93-95℃
IR (KBr disc) ν = 2931.8, 2875.9, 1606.7, 1500.6, 1273.0, 1247.9, 1190.1, 1143.8, 1041.6, 825.5, 700.2 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCL3) δ 7.48-4.73 (m, 4H), 7.02- 6.88 (m, 4H), 4.04 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 3.99 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.22-2.11 (m, 7.8 Hz, 2H), 1.91-1.70 (m, 6H), 1.54-1.43 (m, 2H), 1.42-1.29 (m, 4H), 1.04-0.81 (m, 3H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 158.37, 157.92, 133.76, 133.23, 127.76, 127.71, 114.78, 114.71, 68.08, 67.23, 31.55, 30.64 (t, J = 22.1 Hz), 29.23, 28.68, 25.69, 22.56, 17.27, 13.96 ppm.

【0053】
化合物類Dにおいてa=8、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:35%、融点:103-104℃
IR (KBr disc) n = 3456.4, 2958.8, 2875.9, 1606.7, 1500.6, 1275.0, 1190.1, 1178.5, 1041.6, 825.5 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.49-7.31 (m, 4H), 6.95-6.71 (m, 4H), 3.95 (t, J= 5.8 Hz, 2H), 3.91 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.15-2.05 (m, 2H), 1.91-1.62 (m, 6H), 1.45-1.33 (m, 2H), 1.33-1.14 (m, 8H), 0.82 (t, J = 6.8 Hz, 3H) ppm.
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 158.37, 157.92, 133.76, 133.22, 127.76, 127.71, 114.77, 114.71, 68.08, 67.23, 31.78, 30.63 (t, J = 22.3 Hz), 29.33, 29.26, 29.21, 28.68, 26.02, 22.61, 17.25, 14.03 ppm.

【0054】
化合物類Dにおいてa=10、n=1のときの各種物性
性状:白色粉末、収率:7.6%、融点:110.2-111.5℃
IR (KBr disc) ν =2927.94, 1602.7, 1500.5, 1240.0, 825.5 cm-1
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=0.88(3H, t, J=6.7Hz), 1.28-1.35(12H, m), 1.43-1.49(2H, m), 1.76-1.82(2H, m), 2.10-2.14(2H, m), 2.28-2.38(2H, m), 3.98(2H, t, J=6.7Hz), 4.07(2H, t, J=5.4HZ), 6.93(2H, d, J=6.7Hz), 6.54(2H, d, J=6.7Hz), 7.45(2H, d, J=7.3Hz), 7.47(2H, d, J=7.9Hz)

【0055】
化合物類Dにおいてa=10、n=2のときの各種物性
性状:無色針状結晶、収率:38%、融点:105-106℃
IR (KBr disc) n =3446.8, 2922.2, 2852.7, 1608.6, 1500.6, 1275.0, 1190.1, 1179.5, 1143.8, 825.5 cm-1.
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.55-7.36 (m, 4H), 7.03-6.83 (m, 4H), 4.03 (t, J= 5.8 Hz, 2H), 3.98 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.23-2.13 (m, 2H), 1.98-1.71 (m, 6H), 1.51-1.41 (m, 2H), 1.41-1.20 (m, 12H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H) ppm.
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 158.37, 157.91, 133.76, 133.22, 127.76, 127.71, 114.77, 114.71, 68.08, 67.23, 31.86, 30.63 (t, J = 22.5 Hz), 29.54, 29.52, 29.37, 29.28, 28.68, 26.01, 22.63, 17.25, 14.05 ppm.
19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -80.68, -114.34, -121.82, -122.78, -123.44, -126.04 ppm
【実施例1】
【0056】
Xがヨウ素である化合物類Cのイオン液体[DEME][TFSA]、磁性イオン液体[BMIM][FeCl]最低ゲル化濃度を測定した。結果を表1に示す。
【実施例1】
【0057】
【表1】
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【実施例2】
【0058】
化合物4の各種イオン液体の最低ゲル化濃度を測定した。結果を表2に示す。
【実施例2】
【0059】
【表2】
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【実施例3】
【0060】
化合物類Cの各種イオン液体の最低ゲル化濃度を測定した。結果を表3に示す。
【実施例3】
【0061】
【表3】
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【実施例4】
【0062】
化合物類Dの各種イオン液体の最低ゲル化濃度を測定した。結果を表4に示す。化合物10は液晶性を示した。
【実施例4】
【0063】
【表4】
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【実施例5】
【0064】
磁性イオン液体[BMIM][FeCl]の磁化率は39.86×10-6emu/g、5質量%の化合物6を含む当該磁性イオン液体のゲル化物の磁化率は44.91×10-6emu/g、5質量%の化合物7を含む当該磁性イオン液体のゲル化物の磁化率は34.21×10-6emu/gであった。なお、磁性イオン液体[BMIM][FeCl]の磁化率の文献値は40.60×10-6emu/gである(非特許文献1)。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のゲル化剤は、磁性イオン液体を、医療機器、ロボット等の機械等の磁性アクチュエーター、磁性センサー等の磁性を必要とする部品に加工することを可能にする。