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明細書 :代謝測定システムおよび代謝測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-076163 (P2019-076163A)
公開日 令和元年5月23日(2019.5.23)
発明の名称または考案の名称 代謝測定システムおよび代謝測定方法
国際特許分類 A61B   5/083       (2006.01)
FI A61B 5/08 100
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2017-203211 (P2017-203211)
出願日 平成29年10月20日(2017.10.20)
発明者または考案者 【氏名】石橋 晃
【氏名】安武 正弘
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【識別番号】500557048
【氏名又は名称】学校法人日本医科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100120640、【弁理士】、【氏名又は名称】森 幸一
【識別番号】100078145、【弁理士】、【氏名又は名称】松村 修
審査請求 未請求
テーマコード 4C038
Fターム 4C038SU18
4C038SU19
4C038SX20
要約 【課題】運動選手、リハビリ中の入院患者、メタボリックシンドローム対策実践中の一般家庭の人々等の被験者、より一般的には動物も含めた生物体にストレスを与えることなく生物体の各種状況下での代謝を測定することができ、その解析結果から生物体の代謝能力、健康状態等を把握することができる代謝測定システムおよび代謝測定方法を提供する。
【解決手段】代謝測定システムは、外界と内部との間で流体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋または閉空間101と、その内部に設置された、被験体102に対して非接触かつ非侵襲でその被験体の、少なくとも部屋または閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定する測定装置103とを有する。被験体が部屋または閉空間101の内部に入った状態で測定装置103により環境および/または生体情報を測定することにより被験体の代謝を測定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
外界と内部との間で流体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋または閉空間と、
上記部屋または閉空間の内部に設置され、上記部屋または閉空間の内部に存在する生物体に対して非接触かつ非侵襲で上記生物体の、少なくとも上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定する測定装置とを有し、
上記生物体が上記部屋または閉空間の内部に入った状態で上記測定装置により上記環境および/または生体情報を測定することにより上記生物体の代謝を測定する代謝測定システム。
【請求項2】
上記部屋または閉空間と連通する第1部分空間および外界と連通する第2部分空間を内包し、上記第1部分空間および上記第2部分空間の体積は上記部屋または閉空間の内部空間の体積より一桁以上小さい包囲体をさらに有し、
上記第1部分空間と上記第2部分空間とは、上記第1部分空間内の流体の構成分子の濃度と、上記第2部分空間内の流体の構成分子の濃度との間に差が生じた場合には、濃度勾配によって、上記第1部分空間内の流体の構成分子の濃度と上記第2部分空間内の流体の構成分子の濃度とが同一になる方向に上記構成分子を交換することのできる膜により隔てられており、
上記部屋または閉空間の内部環境を制御するに際し、直接、上記部屋または閉空間の内部環境を制御するのではなく、まず上記第2部分空間の内部環境を変え、しかる後、上記第1部分空間の内部環境を変えることにより、上記部屋または閉空間の内部環境を上記部屋または閉空間と上記第1部分空間との連通性によって制御する請求項1記載の代謝測定システム。
【請求項3】
上記部屋または閉空間の内部には、上記部屋または閉空間の内部の流体を吸引する開口と、当該吸引流体を清浄化処理後、その全量を、再び、上記部屋または閉空間の内部に戻す吹き出し口とが、対となって設けられている請求項1記載の代謝測定システム。
【請求項4】
上記膜は、ダスト微粒子を通さず、分子は通す膜であり、上記部屋または閉空間の体積をV、上記膜の面積をA、上記膜の厚みをL、上記膜中の酸素の拡散定数をD、上記部屋または閉空間の内部での上記生物体の酸素消費レートをB、外部と平衡状態にある時の上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度をηo 、上記生物体の上記流体内の許容最低酸素濃度をη、時間をtとした時、ηが、
【数1】
JP2019076163A_000020t.gif
により与えられる請求項2記載の代謝測定システム。
【請求項5】
上記部屋または閉空間の内部に上記生物体が入った状態で、上記生物体の体動の有無を非接触かつ非侵襲で定量評価しつつ、上記測定装置により上記環境および/または生体情報を測定することにより上記生物体の動的代謝および静的代謝を弁別して測定する請求項1記載の代謝測定システム。
【請求項6】
上記包囲体の上記第2部分空間の酸素濃度を低下させることで、孤立性を保持しつつ、上記包囲体の上記第1部分空間の酸素濃度を定量的な制御の下で低下させ、これを通じて上記部屋または閉空間内の酸素濃度を低下させ、上記部屋または閉空間の内部に滞在しトレーニングを行うことにより得られる心肺機能の向上の効率化を図るとともに、上記生物体の生体状況を調べる請求項1記載の代謝測定システム。
【請求項7】
上記包囲体の上記第2部分空間内の流体に、上記部屋または閉空間内の上記生物体に有用な分子を供給し、上記部屋または閉空間の閉鎖性を損なうことなく、上記包囲体の上記第1部分空間の当該分子の濃度を定量的な制御の下で上昇させ、これを通じて上記部屋または閉空間内の上記生物体への有用性を増加させることで、上記部屋または閉空間の内部に存在する上記生物体の生体力の回復、維持または向上を行う請求項1記載の代謝測定システム。
【請求項8】
上記膜を注目する分子に対する拡散定数が小さくなるよう設定した素材により構成し、上記生物体から発する特定のガス分子の濃度を高めることで、検出精度を高めて上記生物体の生体状況を調べる請求項1~7のいずれか一項記載の代謝測定システム。
【請求項9】
外界と内部との間で流体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋または閉空間の内部に生物体が入った状態で、上記生物体に対して非接触かつ非侵襲で上記生物体の、少なくとも上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定することにより上記生物体の代謝を測定する代謝測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、代謝測定システムおよび代謝測定方法に関し、例えば、スポーツジム、病院、高齢者養護施設、一般家庭等における人間(ヒト)、動物病院等における犬等、養殖システムにおける被養殖魚類等の各種生物体の代謝を測定し、代謝活性や代謝特性等の情報を得るとともに、これらを通じて当該生物体の健康を維持するのに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大学、病院等において運動選手、患者等の、あるいは一般家庭において各人の運動時特性や代謝能力を測定・検知し、運動機能状態、心肺機能、健康状態等を把握する方法としては、運動負荷を与えた時の被験者の様子、特に関節点の動きをデジタル記録したり、体温計、脈拍計、パルスオキシメーター、ガス分析用マスク等を取り付け、体温、脈拍、酸素飽和度、呼気中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を測定する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、マクロベースで部屋へのガスの給気・排気を管理した中で酸素濃度や二酸化炭素濃度を測定することで代謝を測定するニューマンカロリメトリ装置が開発されている(非特許文献2参照。)。同じく、マクロベースで室内の酸素濃度を人為的に低下させることで、高地トレーニングと同様の効果を発揮させるシステムも提供されている(非特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第5329720号明細書
【0004】

【非特許文献1】[平成29年3月14日検索]、インターネット〈URL:http://www.soiken.info/clinical/area02/content03.html 〉
【非特許文献2】[平成29年10月9日検索]、インターネット〈URL:https://www.fujiika.com/〉
【非特許文献3】[平成29年10月9日検索]、インターネット〈URL:http://www.snowdolphins.com/hypoxia/hypoxia _top.html〉
【非特許文献4】[平成29年10月17日検索]、インターネット〈URL:https://www.nttdocomo.co.jp/info/news _release/2016/07/20_00.html 〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被験者の運動時の様子を調べるために、体温計、脈拍計、パルスオキシメーター、呼気分析用マスク等を取り付け、体温、脈拍、酸素飽和度、酸素濃度、二酸化炭素濃度等を測定する方法は、接触測定であり、特に呼気分析用マスクを装着する場合には被験者の顔面に無用のストレスを与えるおそれがあるという意味で、非侵襲測定とは言えない側面もある。また、不特定多数の利用者を対象とするスポーツジムでの運用を考えると、マスク等の使い回しが効かない、消毒・洗浄の手間がかかる、一回で廃棄処理したのでは費用がかさむなどの問題がある。また、酸素濃度を制御した環境下での代謝測定システムは、特に非接触式では、存在しない。同様に、気体構成分子濃度を制御した環境下の被養殖陸生生物体の、或いは、水中溶存気体濃度を制御した環境下での被養殖水生生物体の代謝測定システムも存在しない。
【0006】
更に、ヒトでの応用を考えた場合、当該測定時の被験者の吸気は、測定室の空気を吸引するものであるから、必ずしも浮遊塵埃数が小さくなくクリーンな空気ではない中で有酸素運動を行う際には、特に運動量が激しい場合は、その測定において、呼吸器系に本来なら吸い込む必要のない余分な塵埃の取り込みを強制しているという意味では、一種の侵襲測定とならざるを得ない。
【0007】
更にまた、従来の呼気分析を行うためのマスク装着による活動時代謝分析は、一般的なスポーツジムや一般家庭では容易に行うことができない点で難点がある。
【0008】
また、上記ヒューマンカロリメトリシステムは、必ずしも空気中を漂う塵埃・菌(マイクローブ)数密度に関して十分に低下させているという定量的評価並びにコントロールはなされていなかった。また同ヒューマンカロリメトリシステムでは、ガス濃度の変化のみから評価しているので、人の代謝において、体動を伴うものであるのかそうでない代謝であるかの弁別ができなかった。筋電図などを測定することでそれを行うことはできるが、接触測定となり、多少のバイアスがかかりうる問題があった。非接触・非侵襲で体動情報を測ることはできていなかった。
【0009】
また、上記の酸素濃度を制御した中での、トレーニングシステムは、通常、外界から隔離した部屋に、窒素ガスを供給することで、通常大気における酸素濃度より、上記トレーニングルーム内の酸素濃度を下げるものであった。従って、今その部屋の体積をV0 とし、目標酸素濃度をη%とすると、通常大気の酸素濃度をη0 (=20.9%) とすると、部屋中の酸素体積V(O2 )=η0 Vとなる。この状況で、部屋内の酸素濃度をηに低下させるためには、外部より部屋内に窒素をV導入し、簡単のため、一旦圧力が上がることを許容するとすると、酸素濃度は、
η=η0 0 /(V0 +V)
となる。この場合には、例えば仮に酸素濃度を半分にするには、導入する窒素体積は、部屋の体積と同量が必要であることが分かる。
【0010】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、運動選手、リハビリ中の入院患者、メタボリックシンドローム対策実践中の一般家庭の人々等の被験者、あるいはより一般的には動物も含めた生物体にストレスを与えることなく生物体の各種状況下での代謝を測定することができ、その解析結果から生物体の代謝能力、健康状態等を把握することができる代謝測定システムおよび代謝測定方法を提供することである。
【0011】
この発明が解決しようとする他の課題は、代謝を測定しつつ、より少ない窒素量にて、制御された低酸素酸素濃度の下で、運動選手、リハビリ中の入院患者の治療効果を高め、あるいはまた、通常空気環境に、効率的に添加ガス種、分子種を加えることで、治療効果、アロマ効果、脱臭効果、空気中の雑菌などの殺菌効果を高め、それにより看取り期特有の兆候の検出を可能にし、また、ガス交換膜に対応分子種に応じた分子拡散定数を設定することで、微量ガス濃度を増幅しながらモニターすることも可能となる(疾患に特有の分子種との対応をとることで、例えばガンやその他の疾患の有無を非接触・非侵襲にて判別する道を拓く)代謝測定システムおよび代謝測定方法を提供することである。
【0012】
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、気体構成分子濃度を制御した環境下の被養殖陸生生物体の、或いは、水中溶存気体濃度を制御した環境下での被養殖水生生物体の代謝を測定し、被養殖生物体の代謝活性や代謝特性等の情報を得るとともに、これらを通じて当該生物体の健康を維持し、高い生産性に寄与する代謝測定システムおよび代謝測定方法を提供することである。
【0013】
上記課題およびその他の課題は、添付図面を参照した以下の記述によって明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、この発明は、
外界と内部との間で流体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋または閉空間と、
上記部屋または閉空間の内部に設置され、上記部屋または閉空間の内部に存在する生物体に対して非接触かつ非侵襲で上記生物体の、少なくとも上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定する測定装置とを有し、
上記生物体が上記部屋または閉空間の内部に入った状態で上記測定装置により上記環境および/または生体情報を測定することにより上記生物体の代謝を測定する代謝測定システムである。
【0015】
ここで、環境情報は、部屋または閉空間の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度のほか、例えば、部屋または閉空間の内部のダスト微粒子密度、温度、湿度、風速(空気の流れの速さおよび向き)、気圧、臭い(臭いの元となる発汗成分や化学物質の種類および濃度)等であり、生体情報は、陸生動物の場合は、例えば、体動、心拍、脈拍、呼吸、体温およびその分布等である。環境および/または生体情報は、典型的には、少なくとも分オーダーの時間分解能にて測定するが、これに限定されるものではない。
【0016】
流体は、気体または液体である。生物体には、人間だけでなく、人間以外の動物、例えば、犬、牛、馬、豚、猿等の陸生動物の他、サケ等の養殖の対象となる魚類等の水生動物も含まれる。
【0017】
被験体の代謝を測定する状況は、各種の運動(例えば、エアロバイク(登録商標)漕ぎ、ルームランナー上の走行、筋力トレーニング等)を行っている時のほか、睡眠時、飲食時等であってもよい。
【0018】
この代謝測定システムは、好適には、包囲体をさらに有する。この包囲体は、部屋または閉空間と連通する第1部分空間および外界と連通する第2部分空間を内包し、第1部分空間および第2部分空間の体積が部屋または閉空間の内部空間の体積より一桁以上小さい。そして、第1部分空間と第2部分空間とは、第1部分空間内の流体の構成分子の濃度と、第2部分空間内の流体の構成分子の濃度との間に差が生じた場合には、濃度勾配によって、第1部分空間内の流体の構成分子の濃度と第2部分空間内の流体の構成分子の濃度とが同一になる方向に上記の構成分子を交換することのできる膜により隔てられている。この場合、部屋または閉空間の内部環境を制御するに際し、直接、部屋または閉空間の内部環境を制御するのではなく、まず第2部分空間の内部環境を変え、しかる後、第1部分空間の内部環境を変えることにより、部屋または閉空間の内部環境を部屋または閉空間と第1部分空間との連通性によって制御する。ここで言う外界とは、必ずしも戸外という意味ではなく、上記部屋または閉空間の外の空間という意味であり、その形態は、上記部屋または閉空間に隣接する部屋や廊下であっても良い。こうすることで、部屋または閉空間の内部の酸素濃度を生物体の活動に支障のない十分に高い濃度に維持することができるとともに、部屋または閉空間の内部の二酸化炭素濃度を生物体の活動に支障のない十分に低い濃度に維持することができる。この膜は、好適には、ダスト微粒子を通さず、分子は通す膜(流体が気体の場合にはガス交換膜)である。このダスト微粒子を通さず、分子は通す膜は、この膜によって隔てる空間の間においてダスト微粒子を通さず分子を通すことができるものであれば基本的には限定されないが、例えば、ダスト微粒子を通さず分子は通す膜の隔てる空間の圧力差が0であっても、膜の両側の流体を構成する流体成分の分圧に差があるときには、この膜を介して分子が交換され得るものであることが好ましい。このことから、ダスト微粒子を通さず分子は通す膜は、例えば、ダスト微粒子を通さず分子は通す隔壁とすることもできる。ここで、「ダスト微粒子は通さず」とは、ダスト微粒子を完全に(100%)通さない場合のほか、ダスト微粒子を厳密に100%は通さない場合も含む(以下同様)。より詳細には、ダスト微粒子の阻止率(透過率)は100%(0%)ならずとも、粒径10μm以上の粒子に対しては、少なくとも90%以上(10%以下)、望ましくは99%(1%)以下である。ダスト微粒子を通さず、分子は通す膜としては、例えば、流体が気体の場合は、防塵フィルター素材、障子紙、不織布、障子紙様のガス交換機能を有する膜であることが好ましく、流体が液体の場合は、各種の液体用フィルター素材等の液体交換機能を有する膜であることが好ましい。この膜を構成する素材としては、流体が気体の場合は、具体的には、例えば、ポリエステル又はアクリル系等の合成繊維や、パルプ、レーヨン等のセルロース系繊維が用いられ、流体が液体の場合は、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン66、セルロース等が用いられる。この膜は上記の作用を以って、流体のマスフローとしての交換が無くとも、部屋または閉空間内の流体の構成分子濃度を、当該膜を介して外界の流体のそれとほぼ同一の値に収束させることができる。
【0019】
この代謝測定システムにおいては、好適には、部屋または閉空間と部屋または閉空間が設置される空間とが、上記のように構成分子を交換することのできる膜、取り分け、ダスト微粒子を通さず、分子は通す膜により隔てられることに加えて、部屋または閉空間の内部に、部屋または閉空間の流体を吸引する開口と、当該吸引流体を清浄化処理後、その全量を、再び、部屋または閉空間の内部に戻す吹き出し口とが、対となって設けられる。こうすることで、部屋または閉空間の内部のダスト微粒子数密度を十分に低いレベルに維持することができ、生物体の呼吸器系に余分な負荷を与えないで済む。この目的のために、例えば、部屋または閉空間の内部あるいは外部(例えば、天井裏等)にファンフィルターユニットが設置される。このファンフィルターユニットの設置によって、部屋または閉空間が孤立閉鎖系を構成することと相まって、ファンフィルターユニットを経由して清浄化処理後の流体の全量(100%)が部屋または閉空間の内部を循環する100%循環フィードバック系が構成される。
【0020】
この代謝測定システムにおいては、例えば、生物体が通常運動を行うときに部屋または閉空間の内部に放出されるダスト微粒子数密度よりも、生物体の安静時の部屋または閉空間の到達清浄度に対応するダスト微粒子数密度が小さくなるように部屋または閉空間の内部の清浄度が設定される。好適には、部屋または閉空間の内部をUS209Dクラス100以上の清浄度に維持する。必要に応じて、この清浄度の測定のために、部屋または閉空間に、生物体に対して非接触かつ非侵襲のダストカウンター(パーティクルカウンター)が設置される。このダストカウンターにより、部屋または閉空間の内部のダスト微粒子数の時間変化を測定することができる。特に、部屋または閉空間の内部で生物体が運動すると、ダスト微粒子が発生するため、ダストカウンターにより部屋または閉空間の内部のダスト微粒子数の時間変化を測定することにより、生物体の運動状況を検知することができる。また、好適には、部屋または閉空間の内部の酸素濃度、二酸化炭素濃度およびダスト微粒子数というパラメーターに対し、このパラメーターの時間変化特性解析を行うことにより生物体の活動等の状況を検知する。時間変化特性解析としては、例えば、濃度変化の微分方程式に基づく解析等が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、機械学習、ビッグデータ(Big Data)時代のデータマイニング・ソフトウェア等との結合により、生物体の日々の代謝特性の変化、運動能力の向上、病的な変化の有無の検出・予防が挙げられる。
【0021】
この代謝測定システムにおいては、典型的には、上記部屋または閉空間と上記部屋または閉空間が設置される空間とを隔てる、構成分子を交換することのできる膜が、ダスト微粒子を通さず、分子は通す膜である場合、上記部屋または閉空間の体積をV、上記膜の面積をA、上記膜の厚みをL、上記膜中の酸素の拡散定数をD、上記部屋または閉空間の内部での生物体の酸素消費レートをB、外部と平衡状態にある時の上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度をηo 、上記生物体の上記流体内の許容最低酸素濃度をη、時間をtとした時、ηが、
【数1】
JP2019076163A_000003t.gif
により与えられる。流体が気体の場合、ηは上記部屋または閉空間の内部の目標酸素濃度であり、η>0.18程度である。
【0022】
また、この代謝測定システムでは、例えば、部屋または閉空間の内部に生物体が入った状態で、生物体の体動の有無を非接触かつ非侵襲で定量評価しつつ、上記の測定装置により環境および/または生体情報を測定することにより生物体の動的代謝および静的代謝を弁別して測定することができる。あるいは、例えば、包囲体の第2部分空間の酸素濃度を低下させることで、孤立性を保持しつつ、包囲体の第1部分空間の酸素濃度を定量的な制御の下で低下させ、これを通じて部屋または閉空間内の酸素濃度を低下させ、部屋または閉空間の内部に滞在しトレーニングを行うことにより得られる心肺機能の向上の効率化を図るとともに、上記生物体の生体状況を調べることができる。更に、例えば、包囲体の第2部分空間内の流体に、部屋または閉空間内の主たる生物体に有用な分子を供給し、部屋または閉空間の閉鎖性を損なうことなく、包囲体の第1部分空間の当該分子の濃度を定量的な制御の下で上昇させ、これを通じて部屋または閉空間内の上記の主たる生物体への有用性を増加させることで、部屋または閉空間の内部に存在する生物体の生体力の回復、維持または向上を行うことができる。また、上記の膜を注目する分子に対する拡散定数が小さくなるよう設定した素材により構成し、生物体から発する特定のガス分子の濃度を高めることで、検出精度を高めて生物体の生体状況を調べることもできる。
【0023】
また、この発明は、
外界と内部との間で流体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋または閉空間の内部に生物体が入った状態で、上記生物体に対して非接触かつ非侵襲で上記生物体の、少なくとも上記部屋または閉空間の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定することにより上記生物体の代謝を測定する代謝測定方法である。
【0024】
この代謝測定方法の発明においては、その性質に反しない限り、上記の代謝測定システムの発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、生物体が運動等の活動を行っている状況等の様々な状況下で生物体に対して非接触かつ非侵襲で生物体の、少なくとも酸素濃度計および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定するので、生物体にストレスを与えることなく、代謝を測定することができ、それによって生物体の代謝能力の経時変化、無酸素運動対応筋肉量、有酸素運動対応筋肉量等を把握することができ、さらには、測定データの蓄積によりその経時変化、ひいては生物体の健康状態を把握することができる。特に、部屋または閉空間の内部を十分に高い清浄度に維持した状態で、生物体が運動する間に、生物体に対して非接触かつ非侵襲のダストカウンターにより部屋または閉空間の内部のダスト微粒子数の時間変化を測定することにより生物体の運動状況を検知する場合には、生物体にストレスを与えることなく、運動時代謝状況を検知することができ、かつ、生物体の呼吸器系に塵埃吸入等の負荷を与えることなく、上記の情報ならびに生物体の健康状態を把握することができる。また、上記の流体の例として液体(水系)を取ることにより、サケやサバ等魚類の養殖などにおいても、その生産性向上において効力を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施の形態による代謝測定システムを示す略線図である。
【図2】第1の実施の形態による代謝測定システムに使用されるガス交換ユニットのガス交換部の一例を示す上面図である。
【図3】第1の実施の形態による代謝測定システムに使用されるガス交換ユニットのガス交換部の一例を示す正面図である。
【図4】第1の実施の形態による代謝測定システムに使用されるガス交換ユニットのガス交換部の一例を示す側面図である。
【図5】図2の5-5線に沿っての断面図である。
【図6】第1の実施の形態による代謝測定システムに使用されるガス交換ユニットの一例を示す正面図、左側面図および右側面図である。
【図7】実施例による代謝測定システムを示す図面代用写真である。
【図8】実施例による代謝測定システムに使用されるガス交換ユニットを示す図面代用写真である。
【図9】実施例による代謝測定システムの部屋内においてろうそくの燃焼実験を行っている様子を示す図面代用写真である。
【図10】実施例による代謝測定システムの部屋内においてろうそくの燃焼実験を行った時の酸素濃度および二酸化炭素濃度の時間変化を示す略線図である。
【図11】図10に示す実験結果に基づいて部屋内の酸素濃度および二酸化炭素濃度と外界の酸素濃度および二酸化炭素濃度との差を対数表示した結果を示す略線図である。
【図12】実施例による代謝測定システムにおいて部屋の内部にエアロバイク(登録商標)が設置されている様子を示す図面代用写真である。
【図13】実施例による代謝測定システムにおいて被験者1のエアロバイク(登録商標)漕ぎの運動開始後の時間に対する酸素濃度および二酸化炭素濃度の変化および差分を示す略線図である。
【図14】実施例による代謝測定システムにおいて被験者2のエアロバイク(登録商標)漕ぎの運動開始後の時間に対する酸素濃度および二酸化炭素濃度の変化および差分を示す略線図である。
【図15】実施例による代謝測定システムにおいて被験者1、2のエアロバイク(登録商標)漕ぎの速度から換算したウォーキング速度に対する消費カロリー量の変化を示す略線図である。
【図16】実施例による代謝測定システムにおいて被験者2が日常生活類似の行動を行った時の二酸化炭素濃度および粒径0.5μm以上のダスト微粒子のカウント数の時間変化を示す略線図である。
【図17】図16に示すデータから求めた、粒径0.5μm以上のダスト微粒子のカウント数に対する二酸化炭素濃度の変化を示す略線図である。
【図18】図17に示すデータから求めた、粒径0.5μm以上のダスト微粒子のカウント数に対する65秒分の二酸化炭素濃度の総和の変化を両対数表示で示した略線図である。
【図19】テント式CUSPを示す略線図である。
【図20】図19に示すテント式CUSP内での体動実験結果を示す略線図である。
【図21】外界の酸素濃度を変えて、ガス交換ユニットの内気と連通する空間の酸素濃度を変えることで、閉空間自体の酸素濃度を変えることができることを示した測定システムを示す図面代用写真である。
【図22】外界の酸素濃度を変えて、ガス交換ユニットの内気と連通する空間の酸素濃度を変えることで、閉空間自体の酸素濃度を変えることができることを示す実験結果を示す略線図である。
【図23】改良されたTPCを説明するための略線図である。
【図24】改良されたTPCを説明するための略線図である。
【図25】図23に示す改良されたTPCを用いた実験で得られた結果を示す略線図である。
【図26】PSGとKSGとの対応実験の結果を示す略線図である。
【図27】PSGとKSGとの別の対応実験の結果を示す略線図である。
【図28】第2の実施の形態による代謝測定システムを示す略線図である。
【図29】第3の実施の形態による代謝測定システムを示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。

【0028】
〈第1の実施の形態〉
[代謝測定システム]
図1は第1の実施の形態による代謝測定システムを示す。図1に示すように、この代謝測定システムは、外界と内部との間で気体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋又は閉空間101を有する。この部屋又は閉空間101の側壁には、この部屋又は閉空間101の内部に対して被験体102が出入りするための出入り口(図示せず)、例えば、スライド式の引き戸が設けられている。被験体102は生物体、具体的には人間または動物であるが、ここでは一例として人間が図示されている。部屋又は閉空間101の内部の大きさ(幅、奥行、高さ)は、被験体102が入り、必要な状況下で代謝を測定するのに十分に大きく選ばれ、部屋又は閉空間101の内部に設置する付帯設備の大きさ等を考慮して必要に応じて選ばれる。部屋又は閉空間101の形状も必要に応じて選ばれる。この部屋又は閉空間101の内部に、少なくとも部屋又は閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む、被験体102の環境および/または生体情報を測定するための測定装置103が設けられている。測定装置103は測定する環境および/または生体情報に応じて複数設置してもよい。測定装置103を設置する位置は、必要に応じて選ばれる。部屋又は閉空間101の内部には、この部屋又は閉空間101の内気を取り込む開口(図示せず)と、当該吸引空気を清浄化処理後、その全量を部屋又は閉空間101の内部に戻す吹き出し口(図示せず)とが、対となって設けられている。この例では、部屋又は閉空間101の床に設置したファンフィルターユニット104によりこれを実現しているが、清浄化処理部位自体は、部屋又は閉空間101の外部に設けることも可能である。部屋又は閉空間101の床に設置したファンフィルターユニット104により100%循環フィードバック系が構成されている。部屋又は閉空間101の内部のバックグラウンドの清浄度は、好適には、US 209D クラス100以上に維持する。このように部屋又は閉空間101の内部の清浄度を高く維持することにより、測定中に被験体102が吸引するダスト微粒子数を大幅に減少させることができ、被験体102に与える負荷を大幅に軽減することができる。また、ダスト微粒子数の測定により被験体102の運動状況を検知する場合には、残留するダスト微粒子によるバックグラウンドノイズを大幅に抑えることができ、被験体102の運動により発生するダスト微粒子数密度の変化を明確に抽出することができる。また、部屋又は閉空間101の内部と外界との間でガス交換能力を与えるために、例えば、部屋又は閉空間101の壁の少なくとも1つの少なくとも一部が、ダスト微粒子を通さず、気体分子は通す膜、すなわちガス交換膜により構成され、あるいは、ガス交換膜を用いたガス交換ユニットが設置される。ガス交換ユニットについては、例えば、特許文献1に記載されている(特許文献1ではガス交換装置と記載されている)。図1においては、部屋又は閉空間101の床にガス交換ユニット105が設置される例が示されている。ここでは、式(1)が成立する。部屋又は閉空間101の内部には、必要に応じて、ダストカウンター(図示せず)が設置される。部屋又は閉空間101の内部には、被験体102の代謝をどのような状況で測定するかに応じて必要な付帯設備が設置される。例えば、被験体102の運動時の代謝を測定する場合は、例えば、エアロバイク(登録商標)(フィットネスバイク)やルームランナー(ランニングマシン)等が部屋又は閉空間101の床に設置される。あるいは、被験体102の飲食時の代謝を測定する場合は、被験体102に応じて、テーブル、椅子等が設置される。あるいは、被験体102の睡眠時の代謝を測定する場合は、被験体102に応じて、ベッド、蒲団、マット等が設置される。測定装置103により測定された、時間tの関数としての環境および/または生体情報、特に酸素濃度および二酸化炭素濃度は、有線又は無線で部屋又は閉空間101の外部に設置されたコンピュータ106に送ることができるようになっている。例えば、測定装置103とコンピュータ106とがLANにより接続される。そして、コンピュータ106の演算装置により、測定された環境および/または生体情報、取り分け部屋又は閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度の測定結果から被験体102の消費カロリー量等を求めたり、時間変化特性解析、例えば自己相関関数分析や高速フーリエ変換に基づく解析を行ったりすることができるようになっている。酸素濃度、二酸化炭素濃度、消費カロリー量等や時間変化特性解析の結果は、コンピュータ106に接続されたディスプレイに表示することができ、必要に応じてコンピュータ106に接続されたプリンタ(図示せず)でプリントすることができ、コンピュータ106の記憶装置あるいはコンピュータ106に接続された外部記憶装置に保存することができるようになっている。この場合、例えば、携帯電話を利用して、無線通信により解析および対応サービス拠点に設置されたコンピュータで情報を集約して解析およびデータ管理をしてもよい。

【0029】
部屋又は閉空間101は、独立して設けられたものであってもよいし、例えば一般的な戸建住宅の部屋、マンション等の集合住宅の部屋、病院の部屋、高齢者養護施設の部屋等であってもよい。

【0030】
ガス交換ユニット105は、具体的には例えば次のように構成される。図2~図5はガス交換ユニット105の内部のガス交換部50の構成の一例を示す。ここで、図2、図3、図4および図5はそれぞれガス交換部50の上面図、正面図、側面図および図2の5-5線断面図である。

【0031】
図2~図5に示すように、ガス交換部50は次のように構成されている。すなわち、例えば長方形状の平板51の一方の面に互いに対向する二辺に沿って設けられた長方形断面の高さh1 の二本のスペーサS1 上にガス交換膜52が張られ、その上に、スペーサS1 と直交する互いに対向する二辺に対応する部分に設けられた長方形断面の高さh2 のスペーサS2 上にガス交換膜52が張られたものが積層され、その上に、高さh1 のスペーサS1 上にガス交換膜52が張られたものが積層され、同様にして、スペーサS2 上にガス交換膜52が張られたものとスペーサS1 上にガス交換膜52が張られたものとが交互に繰り返し積層され、最後のスペーサS1 上にガス交換膜52が張られたものの上に、平板51と同じ形状の平板53の一方の面に互いに対向する二辺に沿って設けられた長方形断面の高さh2 の二本のスペーサS2 がスペーサS2 を下にして設けられている。この例では、合計19枚のガス交換膜52が設けられているが、これに限定されないことは言うまでもない。ガス交換膜52は通常極めて薄いので、その厚さを無視すると、スペーサS2 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の間隔はほぼh2 、スペーサS1 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の間隔はほぼh1 である。スペーサS2 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の空間は内気が通される空間であり、スペーサS1 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の空間は外気が通される空間である。この外気と内気の流れる向きは必要に応じて選ばれ、互いに直交しても直交しなくてよい。h1 、h2 は必要に応じて選ばれるが、ガス交換膜52を介して内気の二酸化炭素と外気の酸素との交換を効率的に行うためには、内気の導入量に対し外気の導入量を相対的に大きくするのが望ましいために一般的にはh1 ≧h2 とされ、好適にはh1 >h2 とされる。図2~図5に示すガス交換部50ではh1 >h2 の場合が示されている。具体的には、例えばh1 ≒(1~7)×h2 に選ばれる。一例を挙げると、h1 =25mm、h2 =5mmである。またh1 とh2 とが等しくない場合は、形を図4のガス交換部50の形状を正方形からh1 とh2 との比に従って、外気と内気の通風コンダクタンスをそろえる方向にアスペクト比を設定した長方形とすることが好ましい。

【0032】
ガス交換ユニット105は、例えば、図6A、BおよびCに示すように構成される。ここで、図6A、BおよびCはそれぞれガス交換ユニット105の正面図、左側面図および右側面図である。図6A、BおよびCに示すように、ガス交換ユニット105は、直方体状の包囲体60を有する。この包囲体60の内部に図2~図5に示すガス交換部50が包囲体60に対して所定角度、例えば10°以上30°以下回転した状態で収納されている。ここで、ガス交換部50は、その四つの稜線が包囲体60の各内面に内接した状態で包囲体60に収納されている。包囲体60の一つの側面およびこの側面側の上面にはそれぞれ円筒状の外気導入口71および排出口72が設けられ、この側面に対向するもう一つの側面には円筒状の排出口73が設けられ、この側面側の下面には円筒状の内気回収口74が設けられている。この場合、外気導入口71から導入される外気は、ガス交換部50のスペーサS1 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の空間を通った後、排出口73から排出され外界と連通する。また、内気回収口74から導入される内気は、ガス交換部50のスペーサS2 で隔てられた二枚のガス交換膜52の間の空間を通った後、排出口72から還流され部屋(または閉空間)と連通する。

【0033】
[代謝測定システムの使用方法]
この代謝測定システムの使用方法を説明する。

【0034】
まず、ファンフィルターユニット104の運転により部屋又は閉空間101の内部を所定の清浄度に維持する。この状態で部屋又は閉空間101の出入り口から内部に被験体102を入れる。部屋又は閉空間101の内部に被験体102が入る時に部屋又は閉空間101の内部の清浄度は一旦低下するので、所定の清浄度に回復するのを待つ。部屋又は閉空間101の内部の清浄度が所定の清浄度に回復したら測定装置103の電源を入れる。必要に応じて、常時、測定装置103の電源を入れておいてもよい。部屋又は閉空間101の内部には、どのような状況で被験体102の代謝を測定するかに応じて必要な付帯設備を設置しておく。例えば、被験体102が人間であり、その人間の運動時の代謝を測定する場合であれば、エアロバイク(登録商標)やルームランナー等を設置しておく。こうして、目的とする状況で被験体102の環境および/または生体情報、取り分け部屋又は閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を測定装置103により測定する。そして、こうして取得した環境および/または生体情報、取り分け部屋又は閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度をコンピュータ103に送り、消費カロリー量を求めることにより被験体の代謝を測定したり、時間変化特性解析等を行ったりすることにより被験体の代謝を測定する。

【0035】
図7に、代謝測定実験に用いられた孤立閉鎖系を構成する部屋を示す。この部屋はアルミニウム合金製の枠に取り付けられた透明アクリル板により構成された縦約1.8m、横約0.9m、高さ約1.6mの直方体の形状を有する。この部屋の床に直方体形状のガス交換ユニット105が設置され、その上に測定装置103として酸素測定器および二酸化炭素測定器が設置されている。この部屋の床にはファンフィルターユニットが設置されている。ファンフィルターユニットとしては、パナソニック株式会社の空気清浄機(F-PDH35)を用いた。酸素測定器としては理研計器株式会社のGX-2009およびOX-01を用い、二酸化炭素測定器としては株式会社マザーツールのGC-2028を用いた。使用したガス交換ユニット105を図8に示す。ただし、図8はガス交換ユニット105の側面の写真である。ガス交換ユニット105としては、図2~図6に示すものを用いた。ただし、ガス交換ユニット105の包囲体のサイズは縦約35cm、横約90cm、奥行き約20cm、ガス交換部のサイズは縦約20cm、横約80cm、奥行き約20cm、ガス交換膜の総数は17枚、ガス交換膜の総面積Aは約3m2 である。図2に示すh1 は15mm、h2 は5mmである。ガス交換膜としては厚さLが約100μm程度の市販の障子紙を用いた。

【0036】
図9に示すように、図7に示す部屋中で、デジタルクッキングスケール上に置いたろうそくの燃焼実験を行った。デジタルクッキングスケールにより、燃焼したろうそくの重量を測定することができる。

【0037】
すなわち、この孤立閉空間を構成する部屋において、ろうそくの燃焼により単位時間当たりB[m3 /s]にて酸素を消費せしめるとすると、アボガドロ数をN0 、系の置かれた圧力(~1気圧)における1モル当たりの気体体積をC、上記ガス交換膜の面積をA、上記ガス交換膜を通して部屋の内部に入ってくる酸素のフラックスをjとすると、時刻t+δtにおける酸素の体積Vη(t+δt)は、時刻tにおける酸素体積Vη(t)を使って
【数2】
JP2019076163A_000004t.gif
が成り立つ。ここでも(既に述べたように100%循環フィードバック系が部屋内に構築されているので、ファンフィルターユニットにより発生する空気流により、部屋の内部空間の空気は十分早くかき回されるため、空気を構成するガス分子は部屋内部で十分早く均一化するので)部屋の内部空間では空間座標依存性を良い近似で無視することができることを用いた。式(2)の右辺第3項は、上記ガス交換膜の両側(すなわち部屋内部と外界との間)での酸素濃度差(濃度勾配)ために流入してくる酸素分子の数である(空気流としてではなく、分子の拡散として酸素が部屋内部に入ってくるのであり、上述の式(2)で記述される現象とは全く性質を異にする)。式(2)において、jは
【数3】
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で与えられる。ただし、φは部屋の内部の単位体積当たりの酸素分子数、Dはガス交換膜中の酸素の拡散定数で、ガス交換膜に垂直な方向をx軸としたとき、∇はこのx軸方向の微分演算子である。Lは、部屋の内部空間の厚みに比べ3桁以上程度小さく、極めて薄いと見なせるので、式(2)は、
【数4】
JP2019076163A_000006t.gif
と良い精度で近似することができる。η0 は、式(1)、式(2)におけるのと同様に、外界の酸素濃度であり、通常20.9%程度である。式(4)より、微分方程式
【数5】
JP2019076163A_000007t.gif
が導かれる。式(5)の厳密解は、
【数6】
JP2019076163A_000008t.gif
と求まる。ここでは十分時間がたった後の定常状態に対応する解に興味があるので、右辺のexp(-[AD/L]t/V)=0とおくと、時刻tにおける酸素濃度は
【数7】
JP2019076163A_000009t.gif
と求まる(式(6)でt→∞とした場合に一致する)。

【0038】
時刻t=0で、内部の酸素濃度が式(7)より大きな或る値C0 である場合は、式(5)の解は
【数8】
JP2019076163A_000010t.gif
となる。

【0039】
続いて、部屋の内部で燃焼が生じる場合の酸素消費と二酸化炭素発生を考える。単純に炭素が燃える場合は、
【数9】
JP2019076163A_000011t.gif
で、酸素消費と二酸化炭素発生とは1:1であるが、ろうそく(パラフィン)Cn 2n+2(n>20)が燃える場合は
【数10】
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となり、酸素消費と二酸化炭素発生とはほぼ1:2n/(3n+1)~1:0.66であるということができる。この炭素系化合物の燃焼に伴う二酸化炭素の濃度ξ(t) の変化は、燃焼に伴い濃度が上昇する方向であり、内部の濃度が高まると外界に放出されるので、二酸化炭素発生レートをB’(m3 /s)、外界の二酸化炭素濃度をξo 、ガス交換膜面積をA’、上記ガス交換膜中の二酸化炭素の拡散定数をD’として
【数11】
JP2019076163A_000013t.gif
が成立する。これより
【数12】
JP2019076163A_000014t.gif
が得られる。この方程式の解は、時刻t=0で、内部と外界とで二酸化炭素濃度が平衡状態にある場合は、ξ(0)=ξo より
【数13】
JP2019076163A_000015t.gif
となる。十分時間がたった時は、二酸化炭素濃度は、
【数14】
JP2019076163A_000016t.gif
に収束する。

【0040】
時刻t=0で、内部の二酸化炭素濃度が式(14)より大きな或る値C0 である場合は、式(12)の解は
【数15】
JP2019076163A_000017t.gif
となる。

【0041】
図7に示す代謝測定システムを用いて、ろうそくを燃焼した際の酸素濃度および二酸化炭素濃度を測定した。図10にこの時の酸素濃度(O2 濃度)および二酸化炭素濃度(CO2 濃度)の時間変化を示す。図10は酸素濃度および二酸化炭素濃度の絶対値を示す。図11は図10に示す酸素濃度および二酸化炭素濃度と外界の酸素濃度および二酸化炭素濃度との差(定常状態からのずれ)を対数表示したものである。図10および図11に示すように、ろうそく点火後、約15分で、ろうそくは燃え尽きた。機器の特性として二酸化炭素測定器は酸素測定器に対し約5分の応答遅延がみられた。この実験結果と上述の解析式、すなわち、式(6)および式(13)と燃焼開始後の酸素濃度減少および二酸化炭素濃度増加との比較、ならびに、式(8)および式(15)とろうそく燃焼終了後の酸素濃度の回復および二酸化炭素濃度の減少の様子との比較から、クロスチェックしながら、今回用いたガス交換ユニットのガス交換膜中の酸素分子および二酸化炭素分子の拡散定数DおよびD’を求めることができる。図11より、ろうそくの燃焼終了後の酸素濃度の回復を示す直線の傾きをa(O2 )とすると、a(O2 )=(-2-(-5.4))/(2280-5520)=3.4/3240=1.049×10-3、ろうそくの燃焼終了後の二酸化炭素濃度の減少を示す直線の傾きをa(CO2 )とすると、a(CO2 )=(-3-(-4.8))/(3720-6000)=1.8/2280=0.7895×10-3であり、両者の比はa(CO2 )/a(O2 )=0.7895×10-3/1.049×10-3=0.753である。このことから、酸素と二酸化炭素はほぼ同様の時定数で外界との平衡値に落ち着いていくが、詳細にみると二酸化炭素の回復の方が酸素のそれよりやや遅いことが分かる。これは、酸素の分子量は32であるのに対し、二酸化炭素の分子量は44であり、酸素分子より二酸化炭素分子の方が重いので、室温の熱エネルギーkT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度)下で分子が運動する速度が、二酸化炭素分子の方が遅いことから理解することができる。すなわち、(酸素の分子量/二酸化炭素の分子量)1/2 =(32/44)1/2 =0.853である。この値はa(CO2 )/a(O2 )の値0.753とほぼ一致している。

【0042】
更に、熱エネルギーの等分配の下、拡散定数が分子量のルートに逆比例することを利用して、重い分子種を相対的に閉空間内にため込めることを利用できる。例えば、足裏から放出される皮膚ガス計測が報告されているが(非特許文献4参照。)、一般に、アセトンは体脂肪の分解・燃焼に伴って放出される代謝産物であるため、体重減量が体脂肪の減少によるものなのかどうかを、より正確に特定することができるが、アセトンの分子量は、58で上記のCO2 よりさらに重いので、閉空間の中に溜まる傾向がある。このように、ターゲットとする分子種に対してガス交換膜の拡散定数を低くなるように設定することで、廉価な有機物(VOC)検出器でもターゲット分子種の計測率を高めることで、より高度な体の状況分析・健康診断に結びつけることができる。拡散定数を制御するには、ターゲット分子種が極性を持つ分子の場合には、ガス交換膜の素材に分極を持つものを含めることで、ターゲット分子の拡散を抑え、閉空間内での濃度を高めることで、より精度を高めて(廉価な測定器でも)検出することもできる。この代謝測定システムは、非接触非侵襲の呼気分析装置として活用し、体動情報を弁別した代謝分析のみならず、体情報分析器としても実用化できる。更に、いわゆる「癌検知犬」の嗅覚の高さを、相対濃度凝縮能を以って代替することで、最終的に同等の機能・検出能力を実現する道が拓けてくる。睡眠時の呼気情報から、体情報管理・病気診断等が非接触・非侵襲で行えると期待される。呼気バイオマーカーの開発実現に向けても大きく貢献できる。

【0043】
以上の実験をもとに酸素分子および二酸化炭素分子の拡散定数を求めた結果、酸素分子の拡散定数は7.2×10-7[m2 /s]、二酸化炭素分子の拡散定数は5.1×10-7[m2 /s]であった。これに基づき、上記の部屋の中に、運動器具を格納したものが図12である。ここでは、運動器具としてエアロバイク(登録商標)を格納しているが、これに限られるものではない。好適には、運動負荷をいろいろと設定できる運動器具であることが望ましい。ルームランナーもその一つの例である。

【0044】
この部屋の中で、被験者1、2が運動した時の酸素濃度および二酸化炭素濃度の時間変化をプロットしたものをそれぞれ図13Aおよび図14Aに示す。被験者1、2とも成人男性である。図13Aより、運動中の二酸化炭素濃度の変化量と酸素濃度の変化量との比は(9200-1600)ppm/(20.9-19.8)%=7800×1×10-6/1.1×10-2=0.7である。図14Aより、運動中の二酸化炭素濃度の変化量と酸素濃度の変化量との比は(10800-1600)ppm/{(20.9-20.1)×8/5%}=9200×1×10-6/1.3×10-2=0.7である。すなわち、運動中の二酸化炭素濃度の変化量と酸素濃度の変化量との比は被験者1、2とも同じである。図13Bおよび図14Bはそれぞれ、図13Aおよび図14Aの差分データであるが、図13Aおよび図14Aにおける変曲点(プロット曲線と縦の点線との交点)を求めることができる。これは糖質ベースの代謝から脂質ベースの代謝への移行が起こっている点が検出できていると判断される。ガス交換ユニットのガス交換能力は、図10および図11に示す実験結果から分かっているので、観測される二酸化炭素濃度から、反応式
糖質系の燃焼:
【化1】
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脂質系の燃焼:
【化2】
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より、後述の図15に示すように観測された二酸化炭素濃度に対応する消費カロリー量を、ウォーキング速度(運動速度)の関数として、非接触、非侵襲のしかも、有酸素運動時に置ける呼吸器の浮遊塵埃吸い込みの増加を抑えつつ、被験者毎に算出できることが実証された。

【0045】
図15から分かるように、消費カロリー量は、ウォーキング速度に対し、スーパーリニアに変化している。図15中、破線は成人男性の基礎代謝量に対応するので、この量を引いた上で、ウォーキング速度に対する消費カロリー量を計算すると、運動速度の2乗に従って増大していることが分かる。このように、非接触、非侵襲で観測された二酸化炭素濃度から、被験者の活動代謝量が測定できることが分かった。被験者毎に、その代謝量が異なるので、個人個人の体重や相対筋肉量に応じた活動代謝量を計測することができることも示された。また、同じ被験者に対し、時系列を追って測定することにより、定期的な運動による代謝量の増加・筋肉量の増加や、加齢や病気による代謝量の低下等も測定することができ、ビッグデータの一つとして個人の健康管理はもとより、家族や人種の特性としての統計的分析にも有効活用することができると期待される。

【0046】
次に、図7に示す代謝測定システムを用いて人間が一般的な生活(部屋に対する入退出、飲食時、睡眠時等)を送る際の二酸化炭素濃度を測定し、代謝を測定した結果について説明する。部屋は、ファンフィルターユニットにより、バックグラウンドの清浄度がUS209Dクラス100以上になるようにした。図16に、部屋に入室した時から7時間に亘る二酸化炭素濃度および粒径0.5μm以上のダスト微粒子のカウント数の測定結果を示す。被験者は被験者2である。図16において、昼食、くしゃみ、移動、仮眠入り、目覚め、寝袋入り、飲酒等のタイミングを縦方向の矢印で示す。図16に示すように、被験者2に体動が生じるイベントに対応して二酸化炭素濃度に変化が生じていることが分かる。

【0047】
図17は、図16に示す粒径0.5μm以上のダスト微粒子数のカウント数(Σd>0.5と略記)と二酸化炭素濃度との関係を示す。

【0048】
図18は、図17に示す粒径0.5μm以上のダスト微粒子数のカウント数および65秒分の二酸化炭素濃度の総和を両対数表示したものである。図17および図18の横軸は、体動量を定量的に示すものである。これは、図19に示すような、図12と同等の清浄環境であるところの孤立閉鎖系において、意図的に体幹或いは手・足を動かしたときに、ダスト粒子数が発生することが、図24に示すように定量的に得られているので、高清浄孤立閉鎖系においては、塵埃粒子数に比例するものとして、内部滞在者の体動を定量化できることに基づいている。図19に示す孤立閉鎖系、すなわちガス交換膜により形成したテント内にファンフィルターユニットを設置して100%循環フィードバック系を構成したもの(CUSP(Clean Unit System Platform) テント)の詳細を説明する。図19に示すように、このテント300内の一方の片側(被験者が就寝する時に頭が向く側)にファンフィルターユニット104を設置し、このファンフィルターユニット104の直ぐ隣にダストカウンター310を設置し、テント300内の他方の片側(被験者が就寝する時に足が向く側)にダストカウンター320を設置する。被験者330はファンフィルターユニット104とダストカウンター320との間に頭をファンフィルターユニット104に向けて仰向けに寝る。ファンフィルターユニット104の運転によりテント300内には矢印で示すように空気が流れて循環し、100%循環フィードバック系が構成される。就寝中の被験者330の体動により、ダスト微粒子が散乱あるいは発生する。ダスト微粒子密度の時間変化の測定結果を図20に示す。被験者330は成人男性である。最初はファンフィルターユニット104の運転を停止した状態でダストカウンター310、320によりダスト微粒子密度を測定し、測定開始から20分後(図20の横軸の時間の原点(0分)とする)にファンフィルターユニット104の運転を開始し(FFUオン)、ダストカウンター310、320によりダスト微粒子密度を測定した。ダストカウンター310により被験者330の頭側のダスト微粒子密度を測定することができ、ダストカウンター320により被験者330の足側のダスト微粒子密度を測定することができる。図20に示すように、ファンフィルターユニット104の運転前はダスト微粒子密度が10000~200000(1/cf)と高かったが、ファンフィルターユニット104の運転開始後、ダスト微粒子密度は急激に減少し、運転開始から5分後には3000~6000(1/cf)まで減少した。ファンフィルターユニット104の運転開始から5分後から50分後までの間に被験者330に5分毎に体を回転(rolling)してもらった。より詳細には、被験者330が仰向けに寝た状態(姿勢S)から、被験者330の頭から足を向く方向で見た時に右側に回転し(姿勢R)、続いて逆方向に回転して仰向けに寝た状態(姿勢S)に戻り、続いて左側に回転した(姿勢L)。この回転動作を5分毎に繰り返し行った。運転開始から60分後から被験者330に両腕の上げ下げを5分毎に3回繰り返し行ってもらい、続いて運転開始から75分後に両足の上げ下げを5分毎に3回繰り返し行ってもらった。図20より、被験者330の体の回転、両腕および両足の上げ下げに対応してダスト微粒子密度が大きく変化していることが分かる。このことから、このダスト微粒子密度の時間変化のパターンから被験者330の体動情報を得ることができることが明らかである。図18から分かるように、体動量と代謝量の相関プロットをすることで、運動代謝と非運動代謝(例えば消化代謝、アルコール代謝など)を弁別して解析することができる。

【0049】
さらに、ガス交換ユニット105の包囲体60の外気側に、例えば図21に示すようなN2 ボンベから、N2 チューブを通じてガス交換ユニット105の外気と連通する側に、エキストラな窒素を導入することで、この包囲体60の外気に連通する側の酸素濃度を相対的に下げることができる。

【0050】
図21のガス交換ユニット105の外気導入口71(図21では外気側インレットと表示)への供給フローF1 を例えば、F1 =4.3リットル(l)/sに設定し、その7%に相当する量F2 =0.3リットル(l)/分を上記N2 ボンベから供給すると、図22に示すように、酸素濃度を0.21/(1+F2 /F1 )=0.21/(1+0.07)=19.5%まで低下させることができる。このようにガス交換ユニット105を介して、濃度勾配を制御することで、結果として内部空間へ正味のマスフローとしての流体(今の場合、気体)の流入がゼロで、分子の濃度勾配による拡散を許すことで、内部空間の系としての孤立・閉鎖性を崩すことなく、系のガス濃度をコントロールすることができることが示された。このように、制御された酸素濃度、すなわち、例えば低酸素濃度雰囲気下で、上記の高清浄環境下の代謝分析を非接触・非侵襲の状況の下、行うことが可能となる。高地トレーニングに相当することを、清浄環境下、体動弁別代謝分析を行いながら、実行できる初めてのシステムである。

【0051】
また、到達酸素濃度は、上記のとおり、F2 /F1 に支配されるので、ガス交換ユニット105の外気と連通する局所空間の体積を十分小さくすることで、このガス交換ユニット105の局所空間の窒素濃度を(F1 をF2 に連動させ、F2 自体は低い値に設定しつつも、比F2 /F1 を一定にすることで)酸素濃度を低下させることが可能であり、直接室内に窒素を送り込んで酸素濃度を制御する場合に比べ、より少ない量の窒素で、内部環境の酸素濃度を制御することが可能となる。

【0052】
一方、ドラム缶様の容器中に充填されたガスという最小限のセットアップにおいて、経過時間の空間座標への連続的投影を利用し、フルに3次元的に空間アドレスを認知するシステムとして図23に示すタイムプロジェクションチェンバー(Time Projection Chamber,TPC)があり、本発明者らによりその開発および優れた性能が報告されている(P.Nemethy, P.Oddone, N.Toge, and A.Ishibashi, Nuclear Instruments and Methods 212 (1983)273-280)。このTPCについて少し詳しく説明する。図23に示すように、ガスの入った円筒形状のTPC221の両端から入射した電子ビーム222と陽電子ビーム223とが衝突して新たな素粒子224がジェット状に生成する。この素粒子224の飛跡に沿って生成した電子225は、軸方向に一定のドリフト速度で、TPC221の両端にあるセクター226と呼ばれる2次元検出器へ到達するので、上記の衝突時刻を起点としたときのセクター226への到達までの経過時間で軸方向、すなわちz方向の位置が分かる。図20はセクター226の部分の拡大図であり、符号226aはセンスワイヤー、226bはグリッド、226cはパッド、226dは電気力線を示す。図20に示すように、セクター226のセンスワイヤー226aの部分で電子がアバランシェを引き起こし、それによって電気信号をセンスワイヤー226aとその下部に存在するパッド226cとに与えることでx、y方向の位置が求まる。こうして3次元位置が求まるが、z方向の位置は、電子のドリフト速度が一定であることに起因して上述のように時間情報が空間に投影されている。この特徴からそのシステムはタイムプロジェクション(時間投影)チェンバーと呼ばれ、TPCという測定器一つで、検出された粒子の運動量とエネルギーロスを弁別して同時に測ることで粒子の同定を行うことができる。

【0053】
図25はこのTPCを用いて得られたマルチハドロンイベントの運動量-エネルギー損失特性(Ecm=29GeV)を示す。図25に示すように、電子[e]、K中間子[K]、陽子[e]、重陽子[d]など)が区別して検出できる。

【0054】
図18を図25と比較すると、この代謝測定システムでは、体動量と代謝量を独立に同時に測ることで、運動代謝であるか、非運動代謝であるかを弁別して検出・解析することができる点で、運動量とエネルギーロスから粒子を同定できるTPCとは、一つの装置ながら2パラメーターを同時測定するというメリットを活かして、測定対象を弁別して検出・解析できるという良く似た優れた特徴を有することを示していることが分かる。

【0055】
上述の活動時代謝測定は、“人間に関する”、“意識時の”情報であり、この属性を(↑↑)と記すと、キネトソムノグラム(KSG)のデータは、“人間に関する”、“無意識(睡眠)時の”情報であり、( ↑↓) と記すことができる。これに、ルームランナーやエアロバイク(登録商標)自体のカロリー等算出値は、非人間情報で、当然無意識状態にカテゴライズされるので(↓↓)と期されるが、今回のシステムとKSGとIoTデータ(の一つ)の結合である、(↑↑)( ↑↓) (↓↓)という新しい属性を持つデータによる、健康管理をビッグデータ空間のエンリッチメントを通じて可能とすると期待される。同じく、清浄空気内での生物体の代謝状態解析を通じて、陸生動物の養殖、特に、無菌養鶏や無菌養豚へとつなげることもできる。更に、流体として、液体を取り、上記の気体系と同様の清浄空間を用いても、同様にして、清浄(液体)空間内の生物体の代謝分析、動き分析行うことができる。これにより、特に養殖等において、流体の高清浄性も相俟って、生体の効率的な健康管理・品質管理の実現につながり、その結果、生産性の維持・向上をもたらすことができるようになる。

【0056】
図26および図27は、ポリソムノグラフィー(PSG)[ 上の2つのライン、各々別のPSG分析装置で測定] と高清浄空間内での睡眠時の塵埃粒子数の時間変化解析(KSG)[ 一番下のライン] の対応実験の結果を示す。図26および図27中、上部のPSG分析では、覚醒、REM、浅い睡眠、深い睡眠の4レベルで分析し、中段のPSG分析では、Interrupted(覚醒) 、Light, Deep の3レベルに分類している。図26および図27は同一被験者の別の日における実験結果である。図26および図27から分かるように、PSGにおける浅睡眠遷移、或いは覚醒遷移とKSGのピークが一致するものが多いことが分かる。また、浅睡眠とREM睡眠の間の遷移に対するピーク値はKSGでは、1000くらいと大きく、浅睡眠と深睡眠の間の遷移はKSGでは100程度と小さいことも見て取れる。また、PSGで深い睡眠あるいはDeepと分類される時間帯では、KSGでも発生粒子数が非常に小さいという良い一致が見られる。本発明では、このような分析を行いつつ、更に上記の代謝分析を掛け算することで、非常に高度な睡眠分析、睡眠品質分析、代謝分析を行うことができ、これを通じて適切な健康管理や体調維持につなげることが可能となる。

【0057】
以上のように、この第1の実施の形態による代謝測定システムによれば、代謝の測定を行う被験体102を部屋又は閉空間101の内部に入れ、被験体102が運動等をしている状況等の所望の状況下で測定装置103により少なくとも、部屋又は閉空間101の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む被験体102の環境および/または生体情報を測定することにより、非接触かつ非侵襲で被験体102にストレスを与えることなく、被験体102の代謝を測定することができる。そして、それによって被験体102の代謝能力の経時変化、無酸素運動対応筋肉量、有酸素運動対応筋肉量等を把握することができ、さらには、測定データの蓄積によりその経時変化、ひいては被験体102の健康状態を把握することができる。特に、被験体102が運動する間に、ダストカウンターにより部屋または閉空間101の内部のダスト微粒子数の時間変化を測定することにより被験体102の運動状況を検知する場合には、被験体102にストレスを与えることなく、運動時代謝状況を検知することができ、かつ、被験体102の呼吸器系に塵埃吸入等の負荷を与えることなく、上記の情報ならびに被験体102の健康状態を把握することができる。この代謝測定システムは、被験体102の健康状態を把握することができるという意味では、健康管理システムとして用いることができる。また、この代謝測定システムは、高清浄環境性能と被験体102の代謝分析能とを有するため、被験体102が飼育・繁殖の対象となる陸生動物である場合には、この陸生動物の健康状況や品質の管理を効率的に行うことができる。

【0058】
〈第2の実施の形態〉
[代謝測定システム]
図28は第2の実施の形態による代謝測定システムを示す。図28に示すように、この代謝測定システムは、外界と内部との間で流体(気体または液体)のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する部屋又は閉空間401を有する。この部屋又は閉空間401の内部は流体(図示せず)で満たされている。この部屋又は閉空間401の壁には、部屋または閉空間401と連通する第1部分空間402aおよび外界と連通する第2部分空間402bを内包し、第1部分空間402aおよび第2部分空間402bの体積は部屋または閉空間401の内部空間の体積より一桁以上小さい包囲体(分子交換器)402が設置されている。包囲体402の第1部分空間402aと第2部分空間402bとは、第1部分空間402a内の流体の構成分子の濃度と、第2部分空間402b内の流体の構成分子の濃度との間に差が生じた場合には、濃度勾配によって、第1部分空間402a内の流体の構成分子の濃度と第2部分空間402b内の流体の構成分子の濃度とが同一になる方向に上記の構成分子を交換することのできる分子透過膜(分子交換膜)403により隔てられている。図28においては、包囲体402内に一枚の分子透過膜403が図示されているが、これは包囲体402が分子透過膜403を含むことを模式的に示したものであり、典型的には、第1の実施の形態のガス交換部50と同様に複数の分子透過膜403を含むガス交換部が包囲体402内に設けられる。図示は省略するが、包囲体402の第1部分空間402aに対応する部分には内部流体回収口および排出口が設けられ、包囲体402の第2部分空間402bに対応する部分には外部流体導入口および排出口が設けられている。この場合、部屋または閉空間401の内部環境を制御するに際し、直接、部屋または閉空間401の内部環境を制御するのではなく、まず第2部分空間402bの内部環境を変え、しかる後、第1部分空間402aの内部環境を変えることにより、部屋または閉空間401の内部環境を制御する。また、部屋または閉空間401の内部には、粒子、菌等を濾過するフィルター404aを内蔵する送出動力付きフィルターユニット404(流体が気体の場合にはファンフィルターユニット)が設置されている。送出動力付きフィルターユニット404は、部屋または閉空間401の流体を吸引する開口(図示せず)と、当該吸引流体を清浄化処理後、その全量を、再び、部屋または閉空間401の内部に戻す吹き出し口(図示せず)とが、対となって設けられている。この送出動力付きフィルターユニット404によって、部屋または閉空間401が孤立閉鎖系を構成することと相まって、送出動力付きフィルターユニット404を経由して清浄化処理後の流体の全量(100%)が部屋または閉空間401の内部を循環する100%循環フィードバック系が構成される。部屋または閉空間401の内部を流体が循環する様子を白矢印で示す。包囲体402の第2部分空間402bには外部流体導入口から流体(液体または気体)が導入され、排出口から排出される。第2部分空間402bを流れる流体の様子を白矢印で示す。必要に応じて、第2部分空間402bに、流体の構成成分のモジュレーション用の外部流体(黒矢印で示す)を導入する。図示は省略するが、第1の実施の形態の測定装置103と同様な測定装置が設置されている。

【0059】
この代謝測定システムにおいては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態による代謝測定システムに関連して説明したことが成立する。

【0060】
第1の実施の形態でも論じたが、この代謝測定システムでは、包囲体402を用いることにより、直接、部屋または閉空間401内に窒素を送り込んで酸素濃度を制御する場合に比べ、より少ない量の窒素で、内部環境の酸素濃度を制御することが可能である。これについて詳細に説明する。すなわち、図28に示す代謝測定システムで、包囲体402の外界と連通する第2部分空間402bの体積をVとし、部屋または閉空間401の体積をV0 として、部屋または閉空間401の酸素濃度を半分にすることを考える。包囲体402の外界と連通する体積Vの第2部分空間402bに、ピストン状の機構を取り入れて、まず1回、同じ体積vの窒素を、初期状態の空気を押し出してかつ置換する(リプレイスする)ように送りこむ場合を考えよう。この時、包囲体402の外界と連通する第2部分空間402bの酸素分圧はゼロとなるので、最も効率的に、室内の酸素が濃度勾配で、外気側へ拡散し、室内の酸素濃度は、初期値η0 (=2 0.9 %)から
η1 ={V0 η0 +(V-v)η0 }/(V0 +v)
となる。今、簡単のため、送りこむ窒素体積vを包囲体402の外界と連通する第2部分空間402bの体積と等しくとると、v=Vであるので、
η1 =ηo ・V0 /(V0 +v)
と簡略化できる。

【0061】
この状態で、再度、体積vの窒素を、包囲体402の外界と連通する体積Vの第2部分空間402bに存在する気体を押し出してかつ置換するように送り込むと、室内の酸素濃度は、
η2 =η1 ・V0 /(V0 +v)=η0 ・{V0 /(V0 +V)}2
となる。この過程をk回繰り返した後の室内の酸素濃度は、
ηk =ηk-1 ・V0 /(V0 +V)=η0 ・{V0 /(V0 +V)}k
となる。このk回後の過程の後、酸素濃度が最初の半分になったとすると、ηk =1/2・η0 より、
1/2={V0 /(V0 +V}k
となる。包囲体402の体積は、部屋または閉空間401の体積より一桁以上小さく設定するので、今、V=1/10V0 とすると、
k=log(1/2)/log(10/11)=log2 /log(11/10)=7.2
と求まる。包囲体402の外界と連通する第2部分空間402bに送りこんだ窒素体積は、7.2×V0 /10=0.72V0 ということで、マスフローとして外界より部屋または閉空間401内に窒素を送り込んで、酸素濃度を半分にする場合、窒素量としてV0 が必要であったことに比べると、より少ない窒素量で同等の酸素濃度低下を引き出すことができることが分かる(酸素濃度を1/2でなく、もっと低減する場合には、さらにこの効率が高まる。例えば、10分の1にする場合は、直接送りこむと部屋または閉空間401の体積の9倍、すなわち9V0 の窒素が必要となるが、局所的な包囲体402を介して窒素を送り込む場合には、その約27%、高々2.4V0 の窒素量で済む)。しかも、外界と部屋または閉空間401の内部との間では、マスフローとしての流体(今の場合、気体)のやり取りが無い。従って、部屋または閉空間401内の塵埃数密度も、悪化することなく良好なままに保たれる。

【0062】
上記の例では、部屋または閉空間401内の酸素濃度の制御のために、包囲体402の第2部分空間402bに窒素を導入したが、窒素の代わりに、あるいは窒素とともに、例えば次亜塩素酸やその他の薬剤を含む気体を導入することも可能である。これにより、外界と部屋または閉空間401の内部との間では、マスフローとしての流体(今の場合、気体)のやり取りが無く、室内の塵埃数密度も、悪化することなく良好なまま、部屋または閉空間401の空気の殺菌や消臭を行うことができる。同様に、包囲体402の第2部分空間402bに必要な薬剤を含む気体を導入することで、部屋または閉空間401内に滞在する患者の呼吸器系の治療を肺経由で行うような治療も可能となる。

【0063】
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができるとともに、特に部屋または閉空間401を満たす流体が液体、取り分け水(淡水、塩水、海水を含む)であり、被験体102が養殖の対象となる魚類等の水生動物である場合には、この水生動物の代謝分析によって健康状況や品質の管理を効率的に行うことができるという利点を得ることができる。

【0064】
〈第3の実施の形態〉
[代謝測定システム]
図29は第3の実施の形態による代謝測定システムを示す。この代謝測定システムは養殖システムを兼用する。図29に示すように、この代謝測定システムは、建屋1000の上部に部屋または閉空間401が設けられ、建屋1000の下部に養殖の対象となる養魚等の水生動物を入れる水槽501が設けられている。水槽501は部屋または閉空間401の床401aより低い位置に設けられ、水(淡水、塩水、海水)が入れられている。養殖に従事するオペレーター405は部屋または閉空間401に滞在する。

【0065】
部屋または閉空間401は、内部に満たされている流体が空気であることを除いて、第2の実施の形態と同様に構成されているので、説明を省略する。ただし、被験体の代謝測定を行わない場合には、酸素濃度および二酸化炭素濃度を測定する測定装置は必ずしも設置する必要はない。

【0066】
水槽501は、外界と内部との間で液体のマスフローとしての交換のない孤立閉鎖系を構成する。この水槽501の内部は水で満たされている。この水槽501の壁には、水槽501と連通する第1部分空間502aおよび外界と連通する第2部分空間502bを内包し、第1部分空間502aおよび第2部分空間502bの体積は水槽501の内部空間の体積より一桁以上小さい包囲体(分子交換器)502が設置されている。包囲体502の第1部分空間502aと第2部分空間502bとは、第1部分空間502a内の液体の構成分子の濃度と、第2部分空間502b内の液体の構成分子の濃度との間に差が生じた場合には、濃度勾配によって、第1部分空間502a内の流体の構成分子の濃度と第2部分空間502b内の流体の構成分子の濃度とが同一になる方向に上記の構成分子を交換することのできる分子透過膜(分子交換膜)503により隔てられている。図29においては、包囲体502内に一枚の分子透過膜503が図示されているが、これは包囲体502が分子透過膜503を含むことを模式的に示したものであり、典型的には、第1の実施の形態のガス交換部50と同様に複数の分子透過膜503を含む分子交換部が包囲体502内に設けられる。図示は省略するが、包囲体502の第1部分空間502aに対応する部分には内部流体回収口および排出口が設けられ、包囲体502の第2部分空間502bに対応する部分には外部流体導入口および排出口が設けられている。この場合、水槽501の内部環境を制御するに際し、直接、水槽501の内部環境を制御するのではなく、まず第2部分空間502bの内部環境を変え、しかる後、第1部分空間502aの内部環境を変えることにより、水槽501の内部環境を制御する。また、水槽501の内部には、粒子、菌等を濾過するフィルター504aを内蔵する送出動力付きフィルターユニット504が設置されている。送出動力付きフィルターユニット504は、水槽501の液体を吸引する開口(図示せず)と、当該吸引液体を清浄化処理後、その全量を、再び、水槽501の内部に戻す吹き出し口(図示せず)とが、対となって設けられている。この送出動力付きフィルターユニット504によって、水槽501が孤立閉鎖系を構成することと相まって、送出動力付きフィルターユニット504を経由して清浄化処理後の流体の全量(100%)が水槽501の内部を循環する100%循環フィードバック系が構成される。水槽501の内部を液体が循環する様子を矢印で示す。包囲体502の第2部分空間502bは隣室または外部の水槽505に入っている。そして、この第2部分空間502bには、水槽505中で外部流体導入口から液体が導入され、排出口から排出される。第2部分空間502bを流れる液体の様子を矢印で示す。水槽501には、送出動力付きフィルターユニット504の吹き出し口の上方に、少なくとも水槽501の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度を含む環境および/または生体情報を測定する測定装置506が設置されている。水槽501の底部には水槽501の底面より少し高い位置にメッシュ床507が設けられている。水槽501の液体中の粒子等はメッシュ床507を通って水槽501の底面に堆積し、堆積物が形成される。この堆積物は、水槽501の側壁の下部に設けられた開口(図示せず)を通して堆積物処理槽508に取り出される。堆積物処理槽508に取り出された堆積物は外部に取り出される。こうして外部に取り出された堆積物は廃棄してもよいが、肥料に使える場合には肥料に転用される。

【0067】
この第3の実施の形態によれば、部屋または閉空間401は100%循環フィードバック系により高清浄気環境に維持することができ、水槽501も同じく100%循環フィードバック系により高清浄気環境に維持することができる。すなわち、この代謝測定システムでは、建屋1000内に、部屋または閉空間401内の高清浄気相と水槽501内の高清浄液相とが共存している。このため、部屋または閉空間401の中で養殖に従事するオペレーター405の呼吸器系に塵埃吸入等の負荷を与えることがない。また、非接触かつ非侵襲で、養殖の対象となる魚類等の水生動物にストレスを与えることなく、水生動物の代謝を測定することができる。そして、それによって水生動物の代謝能力の経時変化、無酸素運動対応筋肉量、有酸素運動対応筋肉量等を把握することができ、さらには、測定データの蓄積によりその経時変化、ひいては水生動物の健康状態を把握することができる。特に、水生動物が運動する間に、ダストカウンターにより水槽501の内部のダスト微粒子数の時間変化を測定することにより水生動物の運動状況を検知する場合には、水生動物にストレスを与えることなく、運動時代謝状況を検知することができ、かつ、水生動物の呼吸器系に塵埃吸入等の負荷を与えることなく、上記の情報ならびに水生動物の健康状態を把握することができる。この系は、流体として、気体と液体両方を取り、空気を流体とする閉空間の中に、液体を流体とする空間を内包することにより、高清浄気相と高清浄液相とが共存する高清浄システムとなっている。この系は、高清浄環境性能と対象生物体の代謝分析能と相まって、水生生物体の養殖環境としても好適なシステムとなる。

【0068】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、配置等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、配置等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
101…部屋又は閉空間、102…被験体、103…測定装置、104…ファンフィルターユニット、105…ガス交換ユニット、106……コンピュータ、50…ガス交換ユニット、52…ガス交換膜
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
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【図23】
22
【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
28