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Specification :(In Japanese)熱化学電池

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6732227
Date of registration Jul 10, 2020
Date of issue Jul 29, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)熱化学電池
IPC (International Patent Classification) H01M  14/00        (2006.01)
H01M   4/66        (2006.01)
H02N  11/00        (2006.01)
FI (File Index) H01M 14/00 Z
H01M 4/66 A
H02N 11/00 A
Number of claims or invention 3
Total pages 9
Application Number P2018-547573
Date of filing Oct 16, 2017
International application number PCT/JP2017/037406
International publication number WO2018/079325
Date of international publication May 3, 2018
Application number of the priority 2016210985
Priority date Oct 27, 2016
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jan 31, 2019
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】向田 雅一
【氏名】衛 慶碩
【氏名】石田 敬雄
Examiner (In Japanese)【審査官】小森 重樹
Document or reference (In Japanese)国際公開第2015/164907(WO,A1)
国際公開第2014/034258(WO,A1)
特開2005-327656(JP,A)
特開平08-185900(JP,A)
Field of search H01M 14/00
H01M 4/66
H02N 11/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
一対の電極をその両端に接合された電解質からなり、前記一対の電極に温度勾配差があるときに発電し得る熱化学電池であって、
前記一対の電極の少なくとも一つはPEDOT/PSSからなる薄膜の電極であって、前記一対の電極に温度勾配差があるときに前記電解質とその接合表面近傍における酸化・還元反応によって発電し得ることを特徴とする熱化学電池。
【請求項2】
さらに上蓋と底蓋とそれらを絶縁するOリングを備え、
前記上蓋は前記一対の電極の一方の電極を介して前記電解質と導通し、
前記底蓋は前記一対の電極の他方の電極を介して前記電解質と導通するコイン型電池であることを特徴とする請求項1に記載の熱化学電池。
【請求項3】
分離材で分離された一対の電解質の他端に接合された一対の電極からなり、前記一対の電解質が所定の温度条件であるときに前記一対の電解質により充電しおよび放電し得る熱化学電池であって、
前記一対の電極の少なくとも一つはPEDOT/PSSからなる薄膜の電極であって、前記一対の電解質とその接合表面近傍における酸化・還元反応によって充電しおよび放電し得ることを特徴とする熱化学電池。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は白金を電極に用いないで発電または充電・放電するための熱化学電池に関する。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換するのが熱電であり、熱源があれば連続的に電気を得ることができる。
一方、化学反応を利用して電気エネルギーを生み出すのが電池であり、充電する場合には電気を用いる。
【0003】
熱化学電池(Thermo-electrochemical cell)は、熱源のあるところにおいて熱エネルギーによる化学反応を利用して発電する(非特許文献1)。
あるいは、熱エネルギーによる化学反応を利用して発電(充電)した後に、熱源がない場所でも電池として使用できる(非特許文献2)。
前者は半永久的に連続発電でき、後者も熱源(高温)と熱源のない場所(低温)とに繰り返して配置・保持することで繰り返し使用可能である。
熱化学電池は、基本的に正極と負極の、あるいは陽極と陰極の両電極とその間に存在する電解質とからなり、2つの動作形態がある。
【0004】
ひとつは、両電極間に温度差がある場合に、化学反応の速度差により電解質中にキャリア濃度差が生じ電位差を発生させる(1セルタイプと呼ぶ)。
もうひとつは、電解質を分離材でしきり、両電極を含めた全体を熱により暖めた場合に、分離材の左右の化学反応の違いにより発電(充電)し、低温の場所では逆反応を起こし電位差を発生させる(これを2セルタイプと呼ぶことにする)。
いずれに場合も、電解質に接する電極方面でイオンと電子との表面反応が必要であり、電極の選択が必要となる。
【0005】
今までの熱化学電池の両電極としては、金属、特に触媒活性の大きい白金等貴金属が多い(非特許文献3)。
上記耐久性向上のため脱溶媒処理されたフィルム状ポリカルボジイミドを、加熱して不融化しさらに炭化して作製した炭素化フィルムと集電体を対電極の高温側に用いた熱電池が知られている(特許文献1)。
しかし他方の低温側は白金と集電体からなる電極であり製造工程は複雑で原価は高い。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平8—171918号公報
【特許文献2】特表2014—500599号公報
【特許文献3】特許5967676号公報
【0007】

【非特許文献1】“Seebeck coefficients in ionic liquids prospects for themo-electrochemical cells”, T.J.Abraham, D.R.MacFarlane and J.M.Pringle, Chem. Commun., 47, (2011) pp.6260-6262.
【非特許文献2】“Charging-free electrochemical system for harvesting low-grade thermal energy”, Y. ang, S.W.Lee, H.Ghasemi, J.Loomis, X.Li, D.Kraemer, G.Zheng, Y.Cui and G.Chen, PNAS, 111 (48), (2014), pp.17011-17016.
【非特許文献3】“Review of Thermally Regenerative Electrochemical Systems”, H.L.Chum and R.A.Osteryoung, Synopsis and Executive Summary, vol.1, Solar Energy Research Institute, (1980) pp.1-53.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
白金等の貴金属を使用しない、比較的安価で安全かつ軽量な、熱エネルギーによる発電・充放電が可能な電池を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
熱電池の電極対に用いるPEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸塩))薄膜を新規に開発した。
【0010】
PEDOT/PSSは、市販の水溶液(Heraeus社製Clevious (登録商標)PH1000)に、市販のエチレングリコールを添加し(3~6%、今回は3%)、型枠(プラスチック容器)に注ぎ、乾燥のため40℃で3時間加熱処理の後さらに150℃で30分間加熱した。
【0011】
エチレングリコールを必要量添加するのは、水より沸点の高い(約197℃)溶剤を加え水単独より乾燥速度を遅らせ得られる薄膜の結晶構造をそろえて電気伝導度を大きくするためである。
電気伝導度は、エチレングリコール無添加の場合1S/cm程度であるものを、エチレングリコール3%添加で1000S/cm程度に向上し、その値は飽和する。
なお、エチレングリコールを20%程度まで添加すると逆に電気伝導度は低下する(特許文献3)。
【0012】
2段階過熱を行ったのは、PEDOT/PSS薄膜を得るうえで、表面の平滑性を維持するためまずは比較的低温(40℃)で処理し、その後溶剤(水とエチレングリコール)を飛ばすために150℃で処理するためである。
【0013】
熱電池電極用PEDOT/PSS薄膜に必要な形態としては、十分な膜厚(数μm以上、できれば10μm以上)を有することであるため、必要な膜面積によって原料の量は決定する。
今回、外径20mm(内径19.6mm)のボタン電池用PEDOT/PSS薄膜においては、3μm厚を作製するためには15μL、10μm厚を作製するためには500μLの原料溶液を必要とした。
【0014】
電池の基本構成は、電極(PEDOT/PSS薄膜)に特別の集電体を有さないため、陽極または陰極(PEDOT/PSS薄膜)、電解質(・セパレータ・電解質)、陰極または陽極(PEDOT/PSS薄膜)とシンプルになる。
【0015】
電極対に用いるPEDOT/PSS薄膜は、水溶液に添加物を加え薄膜エチレングルコール等の溶剤処理及び熱処理を施すことで構造制御して電気伝導度を高めて作製し、所望の大きさに加工する。
このPEDOT/PSS薄膜を熱電池の電極対として電解質と接する表面においてイオンと電子とを交換させて起電力を生成し、または充電放電する。
以下本発明は次の手段を提供できる。
【0016】
(1)一対の電極をその両端に接合された電解質からなり、前記一対の電極に温度勾配差があるときに発電し得る熱化学電池であって、
前記一対の電極の少なくとも一つは導電性高分子材料からなる薄膜の電極であって、前記一対の電極に温度勾配差があるときに前記電解質とその接合表面でイオンと電子を交換して発電し得ることを特徴とする熱化学電池。
(2)前記導電性高分子材料はPEDOT/PSSであることを特徴とする(1)に記載する熱化学電池。
(3)前記PEDOT/PSSからなる薄膜は、溶剤処理及び熱処理により構造制御して電気伝導度を高めて作製されたことを特徴とする(2)に記載する熱化学電池。
【0017】
(4)さらに上蓋と底蓋とそれらを絶縁するOリングを備え、
前記上蓋は前記一対の電極の一方の電極を介して前記電解質と導通し、
前記底蓋は前記一対の電極の他方の電極を介して前記電解質と導通するコイン型電池であることを特徴とする(3)に記載の熱化学電池。
(5)前記一対の電極と前記電解質は可とう性を有するシート状絶縁基板上に作製されたことを特徴とする(3)に記載の熱化学電池。
【0018】
(6)分離材で分離された一対の電解質の他端に接合された一対の電極からなり、前記一対の電解質が所定の温度条件であるときに前記一対の電解質により充電しおよび放電し得る熱化学電池であって、
前記一対の電極の少なくとも一つは導電性高分子材料からなる薄膜の電極であって、前記一対の電解質とその接合表面でイオンと電子を交換して充電しおよび放電し得ることを特徴とする熱化学電池。
(7)前記導電性高分子材料はPEDOT/PSSであることを特徴とする(6)に記載する熱化学電池。
(8)前記PEDOT/PSSからなる薄膜は、溶剤処理及び熱処理により構造制御して電気伝導度を高めて作製されたことを特徴とする(7)に記載する熱化学電池。
(9)前記一対の電極と前記分離材で分離された一対の電解質は可とう性を有するシート状絶縁基板上に作製されたことを特徴とする(8)に記載の熱化学電池。
【発明の効果】
【0019】
本特許により、貴金属を用いない安価、安全、軽量な熱化学電池が作製できると、応用範囲が格段に広がることが期待される。
本発明の電極は金属でなく軽量であるため、小型ボタン電池の形態とすることができる。
また本発明の電極は有機導電材料を主とするため、フレキシブルシート上等に印刷等の手段で連続的に生産することも可能であり、原料の安価性とあいまって製造コストは低い事が期待できる。
さらに、無毒でありかつ爆発等の危険性がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1セルタイプ電池構成及び発電原理図を表す図である。
【図2】本発明の2セルタイプ電池構成及び発電原理図を表す図である。
【図3】本発明を利用したコイン型セル図の模式図と実際に作製したコインの画像である。
【図4】本発明と白金電極と比較したCV(cyclic voltammetry)特性図である。
【図5】本発明と白金電極を電極に用いたときの起電力を比較した起電力‐温度勾配差特性図である。
【図6】作製したコイン型セル熱電池の出力特性図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に1セルタイプの発電地、2セルタイプの充電池、および1セルタイプのコイン型電池の実施例を示す。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明による1セルタイプの発電原理を表す概略図である。
有機電極1は抵抗(負荷)を介して導通し電解質の両端において電解質3とそれを挟むように接している。
【実施例1】
【0023】
図1(1) に示す様に両端の有機電極1に温度差がない状態では、電解質内部のイオン濃度が均一なため電位差は生じない。
A、A3-、A4-、e-は、それぞれ一般的原子記号、その原子の3価のマイナスイオン、その原子の4価のマイナスイオン、電子を表す。
ここでは、3価と4価のイオンを例示したが、価数については限定するものではない。また、A3- 、A4- としては、CN- 、CN2-、Fe(CN)6 3- 、Fe(CN)6 4- 等がある。イオンとしては、移動によるエネルギー運搬量が大きい式量の大きい方がよりよいと考えられる。ただし、電解質として溶液を用いる場合、イオンが大きすぎると溶けないので兼ね合いとなる。
【実施例1】
【0024】
図1(2) に示す様に両端の有機電極1間に温度差があると(図では左が高温で右が低温)、左右の有機電極1表面で、高温側では電解質中のイオンが反応し価数が変化したイオンと電子になるため電子が発生し、低温側では電子の流入により電子と価数の変化したイオンが反応し元の価数のイオンとなる。
電解質中では、両電極表面での化学反応の差のために、イオンの濃度差が生じ、それによりイオンの相互拡散が生じる。
【実施例1】
【0025】
一方、発生した電子は(この図においては)外部導電線2を高温側電極から低温側に移動するため電力を生じ、高温側が陰極、低温側が陽極となる。
【実施例2】
【0026】
図2は本発明による2セルタイプの発電原理を表す概略図である。
両端の有機電極1は抵抗(負荷)を介して導通し分離材4に分離された電解質‐1と電解質‐2がそれぞれ分離材4との反対の1端に接している。
A、B、Cはそれぞれ原子記号を一般的に示したものである。
e-は電子を、A+、B-、B2-、C-、C2-は、イオンおよび価数の変化したイオンを示す。
陽イオンとしてはFe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Ag+、Pb2+、Pb4+ 等が考えられ、陰イオンとしてはCN-、CN2-、Fe(CN)63-、Fe(CN)64- 等が考えられる。
1価、2価等、イオンの価数は、原理を説明するために例として用いたものであり、実際には限定されるもではない。
【実施例2】
【0027】
図2(1) に示すように装置全体に熱エネルギーを与えていない状態では左側も右側も電解質内イオン濃度が一定で起電力は生じない。
【実施例2】
【0028】
図2(2) に示すように全体を温めると、左と右のそれぞれで、電解質内での反応と電極表面での反応が起きる。
この例図では、左電解質‐1中では A2B → AB、右電解質‐2で AC → A2C、電極表面では、左で B- + e- → B2- 、右で C2- → C- + e- とした。
また、分離材(イオン交換材)中は、左から右に A+ イオンが透過する。
この時、右電極表面で生じた電子( e- が)導電線を流れるため電流が生じる。
イオンの飽和により電流は止まる。
【実施例2】
【0029】
図2(3) に示すように熱源から全体が離れると、図2(2) の逆反応が起こるため、図2(2) の逆向きに電流が流れる。
これも、イオンの飽和により電流は流れなくなる。
【実施例2】
【0030】
図2(2)と図2(3)の工程を交互に行う(熱源につけたり離したりする)ことで、繰り返し充放電する二次電池として使用できる。
【実施例3】
【0031】
図3(1) に本発明により作製した1セルタイプのコイン型セルの模式図を示す。
【実施例3】
【0032】
電気的に、上蓋1、有機電極2、電解質3 は導通し、および、電解質3、有機電極5、下蓋6 は導通している。
【実施例3】
【0033】
電気絶縁用Oリング4 により陽極側と陰極側は絶縁されている。
【実施例3】
【0034】
上下(陽極側と陰極側)は電気的には電解質3 の電解質を介してのみ接続している。
なお、電解質は個体でも液体でもよい。
ただし、液体の場合は封止が必要となる。
【実施例3】
【0035】
図3(2)に実際に作製したコイン型セルの画像を示した。
実際には、模式図3の絶縁用 O リング4は上蓋の内側にあるため写真の側面には見えない。
図6にコイン型セルでの出力特性図(放物線)を示す。
電解質には等量のK3[Fe(CN)6]とK4[Fe(CN)6] ・3H2Oの混合水溶液を用いた(水溶液中Fe(CN)6 3- イオンとFe(CN)6 4- イオンの濃度差を利用した熱化学電池)。
温度差25度(K)で、5μW、温度差40度(K)で、最大11μW 程度の出力を記録した。
また、 電流電圧測定値(直線)より、内部抵抗はおおよそ10オームであることがわかった。
【実施例4】
【0036】
図4に、CV(cyclic voltammetry)法を用いてその電極表面で電解質が酸化・還元される本発明に係るPEDOT/PSS薄膜電極のCV特性図を示す。
銀塩化銀(Ag/AgCl)を参照電極とし、作用電極として、本発明に係るPEDOT/PSS薄膜と比較例に白金(Pt) とを用いて、参照電極電位に対する作用電極電位を直線的に掃引して応答電流を測定した。
電解質には等量のK3[Fe(CN)6]とK4[Fe(CN)6]・3H2Oの混合水溶液を用いた。
【実施例4】
【0037】
本発明係るPEDOT/PSS薄膜電極および白金電極のCV特性図はともに点対称的であり、ピーク電流Ipa(アノードピーク電流)およびIpc(カソードピーク電流)がほぼ等しいことから可逆性があり繰り返し充放電使用可能であることがわかる。
この様に、PEDOT/PSS薄膜は、白金(Pt)電極の代替材料として使用できることがわかった。
【実施例4】
【0038】
図5に、図3に示した1セルタイプコイン型セル電池を用い、電解質に K3[Fe(CN)6] と K4[Fe(CH)6]・3H2O を混合した水溶液を用いた場合の起電力‐温度差図を示す。
【実施例4】
【0039】
図5(1)が Pt 電極使用時のもので、図5(2)が PEDOT/PSS (+3% EG 添加) 電極使用時の起電力である。
【実施例4】
【0040】
PEDOT/PSS電極が Pt電極と同様の高出力を得ること、並びにその値は1℃あたりの起電力が1.5mVで同じであるがわかる。
この様に、熱化学電池が熱から電気を得ることができること、並びに高価な Pt 電極にかわり、PEDOT/PSS 電極を使用できることが明らかになった。
【符号の説明】
【0041】
1 有機電極(導電性高分子)
2 導電線
3 電解質、電解質‐1
4 分離材(イオン交換材)
5 電解質‐2

Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5