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明細書 :非接触給電用伝送コイルユニット、非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法、および非接触給電装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-178034 (P2020-178034A)
公開日 令和2年10月29日(2020.10.29)
発明の名称または考案の名称 非接触給電用伝送コイルユニット、非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法、および非接触給電装置
国際特許分類 H01F  38/14        (2006.01)
H02J  50/12        (2016.01)
FI H01F 38/14
H02J 50/12
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2019-079193 (P2019-079193)
出願日 平成31年4月18日(2019.4.18)
発明者または考案者 【氏名】卜 穎剛
【氏名】水野 勉
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
要約 【課題】コイルの表皮効果や近接効果による高周波損失を低減し、交流抵抗の増大を抑制して、低コストで製造可能な非接触給電用の伝送コイルユニット及び、伝送コイルユニットを用いた高伝送効率の非接触給電装置を提供する。
【解決手段】非接触給電用伝送コイルユニットは、渦巻状に巻回されたコイル2とコイル2のコイル面に対向するように配置された磁気シールド3とを備えた非接触給電用伝送コイルユニットであって、各巻のコイル導体の巻回方向のコイル断面形状が、コイル2に通電した際に発生する磁束線の流れに沿う形状部分を有する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
渦巻状に巻回されたコイルと所定の距離をおいて前記コイルのコイル面に対向するように配置された磁気シールドとを備えた非接触給電用伝送コイルユニットであって、
各巻のコイル導体の巻回方向のコイル断面形状が、前記コイルに電流が流れた際に発生する磁束線に沿う形状部分を有する非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項2】
前記コイル断面形状が矩形形状であって、
前記矩形形状の長手方向が、前記コイルの内周部と外周部において前記磁気シールドの磁気シールド面に略垂直であり、前記内周部と外周部の間の中央部において前記磁気シールド面に略平行であって、かつ、
前記磁気シールド面に対する前記矩形形状の長手方向の角度が、前記内周部と前記中央部の間および前記中央部と前記外周部の間で、段階的に変化していることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項3】
前記コイル断面形状がコの字形状であって、
前記コの字形状の凹部が前記磁気シールド面に対向していることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項4】
矩形状の平面形状をなし、辺部分が直線部、角部が円弧部となる渦巻き状の溝が形成された非磁性絶縁体を備え、前記コイルは前記溝中に連続して設けられたことを特徴とする請求項3に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項5】
前記非磁性絶縁体は1W/(mK)以上の熱伝導率を有する樹脂より成ることを特徴とする、請求項4に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項6】
前記コイル導体の少なくとも側面は、直接的または間接的に前記前記非磁性絶縁体と接していることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項7】
前記コの字形状の上面幅に対する側面長の比が、前記コイルの内周部と外周部において最大であり、前記内周部と外周部の間の中央部において最小であって、かつ、前記比が、前記内周部と前記中央部の間および前記中央部と前記外周部の間で、段階的に変化していることを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項8】
前記コイル断面形状の、少なくとも前記磁気シールド面に対向している面と反対側の表面および側面に磁性層が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の非接触給電用伝送コイルユニット。
【請求項9】
金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状に溝切り加工する工程と、溝切り加工された前記金属平板をプレス加工によって変形させる工程を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法。
【請求項10】
金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状に溝切り加工する工程と、溝切り加工された前記金属平板をプレス加工によって変形させる工程と、溝切り加工された前記金属平板の表面に磁性層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項8記載の非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項記載の非接触給電用伝送コイルユニットを送電コイルとして、または送電コイルおよび受電コイルとして用いることを特徴とする非接触給電装置。



発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で高効率に電力を伝送できる、非接触給電用伝送コイルユニット、非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法、および非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド型自動車などの車両のバッテリーの充電に対して、電磁誘導方式のワイヤレス給電装置の使用が検討されている。ワイヤレス給電装置では、送電コイルに高周波の強電流(概ね数10kHz~200kHz、数十アンペア)を通電し、送電コイルから発生する高周波磁界を受電コイルが受け取ることで、非接触で電力送電する。
【0003】
このような非接触給電装置では、装置の薄型化に対応すべく渦巻状(スパイラル状)の断面矩形の平面コイルが用いられる。また高周波磁界によって周囲の金属製部品に渦電流が発生し異常発熱が起きることを回避するため、フェライト等からなる磁気シールドをコイル近傍に配置している(例えば、特許文献1)。伝送コイルユニットは、平面コイルと磁気シールドの組合せで構成される。
【0004】
伝送コイルユニットにおいて、コイルに通電した際、コイル断面を囲むように磁束線が発生する。磁束線は、磁気シールドの透磁率が高いため、磁気シールドの表面から略垂直に流れるよう分布する。また前記コイルは、1本の導線が巻回されて形成されているが、等価的に複数の導体(コイル導体)が互いに近接して配置されていると考えてよい。このため、コイルには、自身を流れる電流による表皮効果と近接するコイル導体に生じる渦電流による近接効果の両方が存在する。したがって、各コイル導体を流れる電流は、導体内部で偏ったものとなっており、特にコイルの内周部でコイル導体内の内周側に、外周部でコイル導体内の外周側に偏ったものとなって、それらの部分で電流が集中し磁束線も集中している。
【0005】
しかながら、従来のコイルは断面矩形の平面コイルであるため高周波表皮厚さが薄く、上記の電流が集中して流れる部分のコイル導体の断面積が小さい。このため交流抵抗が増大して、電力伝送効率の低下が問題となっている。
【0006】
これに対して、コイルの巻線として多数の絶縁素線をより合わせたリッツ線を使用することが知られている(例えば、特許文献2)。リッツ線は、細い素線(例えば線径0.1mm以下のエナメル線)を数多く(例えば500本以上)より合わせた線である。表皮効果や近接効果による高周波損失を抑制することができる。しかしながら、素線が細く本数の多いリッツ線は、製造コストが高いという問題があった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2013-201296号公報
【特許文献2】特開2016-219252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、コイルの表皮効果や近接効果による高周波損失を低減し、交流抵抗の増大を抑制して、低コストで製造可能な非接触給電用の伝送コイルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触給電用伝送コイルユニットは、渦巻状に巻回されたコイルと所定の距離をおいて前記コイルのコイル面に対向するように配置された磁気シールドとを備えた非接触給電用伝送コイルユニットであって、各巻のコイル導体の巻回方向のコイル断面形状が、前記コイルに電流が流れた際に発生する磁束線に沿う形状部分を有する。
【0010】
前記コイル断面形状が矩形形状であって、前記矩形形状の長手方向が、前記コイルの内周部と外周部において前記磁気シールドの磁気シールド面に略垂直であり、前記内周部と外周部の間の中央部において前記磁気シールド面に略平行であって、かつ、前記磁気シールド面に対する前記矩形形状の長手方向の角度が、前記内周部と前記中央部の間および前記中央部と前記外周部の間で、段階的に変化していてもよい。
【0011】
前記コイル断面形状がコの字形状であって、前記コの字形状の凹部が前記磁気シールド面に対向していてもよい。
【0012】
矩形状の平面形状をなし、辺部分が直線部、角部が円弧部となる渦巻き状の溝が形成された非磁性絶縁体を備え、前記コイルは前記溝中に連続して設けられてもよい。
【0013】
前記非磁性絶縁体は1W/(mK)以上の熱伝導率を有する樹脂であってもよい。
【0014】
前記コイル導体の少なくとも側面は、直接的または間接的に前記前記非磁性絶縁体を接していてもよい。
【0015】
前記コの字形状の上面幅に対する側面長の比が、前記コイルの内周部と外周部において最大であり、前記内周部と外周部の間の中央部において最小であって、かつ、前記比が、前記内周部と前記中央部の間および前記中央部と前記外周部の間で、段階的に変化していてもよい。
【0016】
前記コイル断面形状の、少なくとも前記磁気シールド面に対向している面と反対側の表面および側面に磁性層が形成されていてもよい。
【0017】
前記非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法は、金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状に溝切り加工する工程と、溝切り加工された前記金属平板をプレス加工によって変形させる工程を含んでもよい。
【0018】
前記非接触給電用伝送コイルユニットの製造方法は、金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状に溝切り加工する工程と、溝切り加工された前記金属平板をプレス加工によって変形させる工程と、溝切り加工された前記金属平板の表面に磁性層を形成する工程を含んでもよい。
【0019】
本発明の非接触給電装置は前記非接触給電用伝送コイルユニットを、送電コイルとしてまたは送電コイルおよび受電コイルとして用いてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上の構成により、各巻のコイル導体の内部において、磁束線が集中する部分に電流が集中する。さらに、各巻のコイル導体の巻回方向のコイル断面形状が、コイルに通電した際に発生する磁束線の流れに沿う形状部分を有する。よって、磁束線が沿って集中するこの形状部分に電流が集中する。しかしこの形状部分は、磁束線の流れに沿っているので、コイル導体の断面の中で占める面積が大きい。したがって、結果的にコイルの交流抵抗を低減できる。
【0021】
また、前記コイルが前記非磁性絶縁体に埋め込まれるように固定することにより、給電時における前記コイルの振動を抑えることができる。さらに、コイルの熱を前記非磁性絶縁体に逃がすことができ、その結果、コイル自身の発熱による直流抵抗の増加を抑えることができる。
【0022】
また、コイル導体の断面形状の、少なくとも磁気シールド面に対向している面と反対側の表面および側面に磁性層を形成することにより、コイル導体の表面および側面に集中していた磁束線を磁性層に誘導してコイル導体を貫通する磁束線の数を減少できる。これにより、コイル導体内の渦電流を抑えコイルの交流抵抗をさらに低減できる。
【0023】
また、金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状のコイル形状に加工し製造するこることにより、低コストで伝送コイルユニットを製造できる。さらにコイル表面に磁性層を設けることにより、コイル導体内の渦電流をさらに抑えることができ、伝送コイルユニットを簡便に低コストで製造できる。
【0024】
また、表皮効果や近接効果による高周波損失を低減しつつ低コストで製造できる伝送コイルユニットを使用することにより、伝送効率が高くかつ低コストの非接触給電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1~第4の実施の形態に係る伝送コイルユニットの平面概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。
【図3】第2の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。
【図4】第3の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。
【図5】第4の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。
【図6】第5の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。
【図7】第5の実施の形態に係る伝送コイルユニットの平面図である。
【図8】第6の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルのコイル導体の断面概略図である。
【図9】第7の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造工程を説明するブロック図である。
【図10】第8の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造工程を説明するブロック図である。
【図11】第9の実施の形態に係る非接触給電装置を説明する回路ブロック図である。
【図12】コイルの計算モデルを説明する図(平面図)である。
【図13】実施例1の伝送コイルユニットのコイルの断面寸法図である。
【図14】実施例2の伝送コイルユニットのコイルおよび磁気シールドの断面寸法図である。
【図15】実施例3の伝送コイルユニットのコイルおよび磁気シールドの断面寸法図である。
【図16】比較例1の伝送コイルユニットのコイルおよび磁気シールドの断面寸法図である。
【図17】実施例12の伝送コイルユニットのコイルの断面寸法図である。
【図18】実施例12の伝送コイルユニットのコイルの実測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る伝送コイルユニットおよびその製造方法ならびに伝送コイルユニットを用いた非接触給電装置について、図面に基づいて説明する。

【0027】
<1.伝送コイルユニット>
(第1の実施の形態)
図1は、第1~第4の実施の形態に係る伝送コイルユニットの平面概略図である。伝送コイルユニット1は、アルミニウムまたは銅の金属からなるコイル導体21が渦巻状に巻回された平面のコイル2とこのコイル2のコイル面に対抗するように配置された磁気シールド3とを備えている。この例では、コイル2は、巻数6回巻でアルファ巻の平面コイルである。また磁気シールド3は、Ni系フェライト焼結体、Mn系フェライト焼結体等の各種のフェライト材料を用いることができるが、抵抗率の高いNiMn系フェライト焼結体がより好ましい。さらに、アルミニウムまたは銅の金属からなる電気シールド4が、コイル2と反対側の磁気シールド3の面に対向して配置されている。

【0028】
図2は、第1の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図であり、図1のA-A′断面の図である。コイル2に電流を通電して発生する磁束線5を点線で図示している。各巻のコイル導体21の巻回方向のコイル断面形状が、コイル2に通電した際に発生する磁束線5の流れに沿う形状部分を有している。

【0029】
すなわち、この例では、各巻のコイル導体21の断面形状は矩形形状であり、矩形形状の長手方向が、コイルの内周部22と外周部24において磁気シールド3の表面(磁気シールド面)に略垂直であり、内周部22と外周部24の間の中央部23において磁気シールド面に略平行である。さらに、磁気シールド面に対する矩形形状の長手方向の角度が、内周部22から中央部23にかけて、中央部23から外周部24にかけて、段階的に変化している。

【0030】
コイル2は渦巻状の平面コイルであり、コイル導体21は巻回内周部から外周部にかけて連続して巻回されている。よって、コイル導体21の巻回の方法としては、磁気シールド面に対する矩形形状の長手方向の角度が巻回の一周の間で同じで、一周回る毎に少しずつ段階的に変化しているか、または当該角度がコイルの一周の間で緩やかに連続的に変化し、渦巻状コイル中心を通る断面で見るとコイルの内周部22から外周部24にかけて角度が段階的に変化しているようになっているかの、いずれの場合であってもよい。

【0031】
コイル2を囲む磁束線5は、コイルの内周部22で磁気シールド3の磁気シールド面からほぼ垂直に発生し、中央部23でコイル導体にほぼ平行に流れ、外周部24で磁気シールド3にほぼ垂直に流入する。

【0032】
第1の実施の形態においては、コイル導体21がその矩形断面の長手方向が磁束線5に沿うように配置されており、矩形形状が磁束線5の流れに沿う形状部分に相当する。

【0033】
図2には、各巻のコイル導体21の内部において磁束線が集中し電流が概ね集中している部分をグレーで図示している。コイル導体21内の磁束線5と電流の集中は、コイルの内周部22ではコイル導体21の内周側で、そしてコイルの外周部24ではコイル導体21の外周側で、さらに内周部22と外周部24の間の中央部23ではコイル導体21の磁気シールド3と対向する面と反対側の面で、それぞれ生じている。

【0034】
このように第1の実施の形態においては、コイル導体21の巻回方向のコイル断面形状が、磁束線5の流れに沿う形状部分の矩形形状を有している。これにより、電流集中部分の断面積を大きくでき、交流抵抗の増加を抑制することができる。

【0035】
なおこの実施の形態では、コイル断面形状が矩形形状であり矩形形状の長手方向が磁束線5の方向と一致しているが、コイル断面形状は矩形形状に限られない。コイル断面形状の長手方向が磁束線5の流れと概ね方向が揃っているか、または揃っている成分を有していれば、コイル断面形状は他の形状であってもよい。

【0036】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。第2の実施の形態に係る伝送コイルユニットの平面概略図は、図1と同じでもよい。図3は、前記平面概略図の図1のA-A′断面の図である。

【0037】
伝送コイルユニット1は、アルミニウムまたは銅の金属からなるコイル導体21が渦巻状に巻回された平面のコイル2とこのコイル2のコイル面に対向するように配置された磁気シールド3とを備えている。磁気シールド3は、Ni系フェライト焼結体、Mn系フェライト焼結体等の各種のフェライト材料を用いることができるが、抵抗率の高いNiMn系フェライト焼結体がより好ましい。なお電気シールドは省略し図示していない。

【0038】
コイル導体21の巻回方向のコイル断面形状は、コの字形状であり、コの字形状の凹部が磁気シールド面に対向している。コイル2に通電して発生する磁束線は、各巻のコイル導体21の内部において、グレーで示した部分に集中し、電流もこの部分に集中する。この部分が磁束線5の流れに沿う形状部分に相当する。

【0039】
すなわち、コイル2の内周部22ではコの字形状の内周側のLの字部分が概ね磁束線5の流れに沿う形状部分に相当し、外周部24ではコの字形状の外周側のLの字部分が概ね磁束線5の流れに沿う形状部分に相当し、そして中央部23ではコの字形状の磁気シールド面に対向する側と反対側の平な部分が概ね磁束線5の流れに沿う形状部分に相当する。よって、第2の実施の形態に係る伝送コイルユニット1のコイル2は、磁束線5の流れに沿う形状部分を有しているといえる。これにより、交流抵抗の増加を抑制している。

【0040】
この例では、同一のコの字形状のコイル導体21が繰り返して配置されているが、各巻のコイル導体21のコイル断面形状は、必ずしも同一である必要はない。

【0041】
第2の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイル2は、後述するレーザ加工またはプレス加工によって、簡便にかつ低コストで製造することができる。

【0042】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。第3の実施の形態に係る伝送コイルユニットの平面概略図は、図1と同じであってもよく、図4は、前記平面概略図の図1のA-A′断面の図である。

【0043】
伝送コイルユニット1は、アルミニウムまたは銅の金属からなるコイル導体21が渦巻状に巻回された平面のコイル2とこのコイル2のコイル面に対向するように配置された磁気シールド3とを備えている。磁気シールド3は、Ni系フェライト焼結体、Mn系フェライト焼結体等の各種のフェライト材料を用いることができるが、抵抗率の高いNiMn系フェライト焼結体がより好ましい。なお電気シールドは省略し図示していない。

【0044】
第3の実施の形態に係る伝送コイルユニット1のコイル2は、第2の実施の形態に係る伝送コイルユニット1のコイル2と同様に、コイル断面形状がコの字形状であって、コの字形状の凹部が磁気シールド面に対向している。そして、コの字形状の上面幅25に対する側面長26の比が、コイルの内周部22と外周部24において最大であり、内周部22と外周部24の間の中央部23において最小である。さらに上面幅25に対する側面長26の比が、内周部22と中央部23の間および中央部23と外周部24の間で段階的に変化している。

【0045】
コイル2は渦巻状の平面コイルであり、コイル導体21は内周部22から外周部24にかけて連続して巻回されている。よって、コイル導体21の巻回の方法としては、コの字形状の上面幅に対する側面長の比が巻回の一周の間で同じで、一周回る毎に少しずつ段階的に変化しているか、または当該比がコイルの一周の間で緩やかに連続的に変化し、渦巻状コイル中心を通る断面で見るとコイルの内周部22から外周部24にかけて段階的に変化しているようになっているかの、いずれの場合であってもよい。

【0046】
第3の実施の形態のコイル2は、第1の実施の形態および第2の実施の形態の2つの特長を兼ね備えた構造となっている。すなわち、第3の実施の形態のコイル2の各巻のコイル導体21のコイル断面形状は、第2の実施の形態のコイル2と同様にコの字形状であり、コイル2の内周部22と外周部24で、第1の実施の形態のコイル2のコイル導体21の断面に近い略矩形形状をなし、その長手方向が磁気シールド3の磁気シールド面に略垂直となって、磁束線5の流れに沿う形状部分を有している。また、コイル2の中央部23においても、第1の実施の形態のコイル2のコイル導体21の断面に近い略矩形形状をなし、その長手方向が磁気シールド面に略平行となって、磁束線5の流れに沿う形状部分を有している。そして、内周部22と中央部23の間および中央部23と外周部24の間で、第1の実施の形態と同様にコの字形状のLの字部分が磁束線5の流れに沿う形状部分に相当するよう、コイル断面形状が段階的に変化している。これにより、コイル2の交流抵抗の増加を抑制している。

【0047】
第3の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイル2は、後述するレーザ加工またはプレス加工によって、簡便にかつ低コストで製造することができる。

【0048】
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る伝送コイルユニットの断面概略図である。第4の実施の形態に係る伝送コイルユニットは、第1の実施の形態に係る伝送コイルユニットと基本的に構造が同じであるが、コイル導体21の表面全面に磁性層6が形成されている点で異なる。

【0049】
ここで、コイル導体21の内周側や外周側に集中する磁束線は、透磁率が高い磁性層6に吸い寄せられるように誘導され、コイル導体21の内部において磁束線の集中が解消される。これによりコイル導体21の内部の電流集中も解消され、結果としてコイル2の交流抵抗の増大がさらに抑制できる。なお、磁束線の集中を解消するという意味では、コイル表面の全部でなくとも、コイル導体21のコイル断面形状の少なくとも磁気シールド面に対向している面と反対側の表面(上面)およびエッジを含む側面に磁性層6が形成されていてもよい。

【0050】
(第5の実施の形態)
図6に本発明の第5の実施の形態の断面概略図を示す。図6において、コイル2は渦巻状の平面コイルであり、内周部から外周部にかけて連続して巻回されている。また、各巻のコイル導体21のコイル断面形状は、第2の実施の形態のコイル2と同様にコの字形状である。

【0051】
伝送コイルユニット1は、アルミニウムまたは銅の金属からなるコイル導体21が渦巻状に巻回された平面のコイル2とこのコイル2のコイル面に対向するように配置された磁気シールド3とを備えている。磁気シールド3は、Ni系フェライト焼結体、Mn系フェライト焼結体等の各種のフェライト材料を用いることができるが、抵抗率の高いNiMn系フェライト焼結体がより好ましい。なお電気シールドは省略し図示していない。

【0052】
本実施の形態が第2の実施の形態と異なるのは磁気シールド3とコイル2との間に非磁性絶縁体41が設けられていることである。非磁性絶縁体41およびコイル2の平面図を図7に示す。図7において、非磁性絶縁体41には、辺部が直線かつ角部が円弧上の、全体として矩形状の平面形状を有した溝が渦巻状に形成されている。さらにコイル2は非磁性絶縁体41の溝中に連続して設けられている。非磁性絶縁体はセラミック等、熱伝導率の比較的高い素材であることが好ましい。また、ガラス繊維や無機フィラーを含有した樹脂を用いてもよい。非磁性絶縁体41熱伝導特性は1W/(mK)以上であることが好ましい。

【0053】
コイル2における各巻のコイル導体21の少なくとも側面は、直接的または間接的に非磁性絶縁体41の溝と接している。例えば、コイル2が非磁性絶縁体41の溝に篏合したものであってもよいし、間に接着層(図示せず)を設けてもよい。各巻のコイル導体21の少なくとも側面が非磁性絶縁体41の溝と接することにより、コイル2の下側が非磁性絶縁体41に埋め込まれて固定された構成となる。この構成による効果は二点ある。

【0054】
一つはコイル2の振動を抑える効果がある。つまり、本実施の形態において、コイル2は金属の平板で形成されているので、リッツ線と異なり、高い弾性を有する。言い換えればコイル2の弾性と形状と質量で決定される固有振動数が存在する。コイル2に交流が流れたとき、仮にコイル2が変形自由な状態で放置されていると、磁気シールド3や給電先のコイル(図示せず)との相互作用によりコイル2の固有振動が励起されることがある。しかし、コイル2が剛性または粘性の高い非磁性絶縁体41に埋め込まれて固定されていれば、このような振動は抑えられる。

【0055】
さらに、コイル2が非磁性絶縁体41に埋め込まれていることにより、コイル2の放熱の効果も期待できる。一般に絶縁体は熱伝導率が低いが、絶縁性フィラーを適度に混合したナイロン樹脂や高熱伝導性PPS(H718LB(TORAY)、等)のように、熱伝導性を高めた絶縁性樹脂が最近実用化されつつある。

【0056】
なお、本実施の形態において、コイル導体21のコの字型断面形状を第3の実施の形態(図4)のように、内周部、中央部、外周部で変えてもよい。非磁性絶縁体41の溝も、コイル導体21の断面形状変化に応じて、幅と深さを変えてもよい。

【0057】
(第6の実施の形態)
図8は、第6の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルのコイル導体の断面概略図である。本実施の形態に係る伝送コイルユニットは、第2の実施の形態および第5の実施の形態に係る伝送コイルユニットと基本的に構造が同じであり、コイル導体21のコイル断面形状の少なくとも磁気シールド面に対向している面と反対側の表面および側面に磁性層6が形成されている点が異なる。図8では、(A)がコの字の上面および左右の両側面の表面に、(B)がさらに磁気シールド面に対向する面の表面にも、(C)がそしてさらに凹部の内部の表面にも(すなわちコの字のコイル断面形状の全面に)、磁性層6が形成されている場合である。

【0058】
図8(D)は第5の実施の形態(図4)のコイル2に磁性体を設ける場合の一例を示した部分断面図である。第5の実施の形態のコイル2に磁性体を設ける場合、コイル2に予め図8(A)~(C)のように磁性体を塗布しておいてから非磁性絶縁体41に嵌め込んでもよいが、同図(D)のようにコイル2を非磁性絶縁体41に篏合(あるいは接着)後に、各コイル導体21の上面とエッジ、すなわち非磁性絶縁体41から露出している部分にのみ磁性体6を設けたものであってもよい。

【0059】
本実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、コイル導体21の内周側や外周側に集中する磁束線が、磁性層6に吸い寄せられるように誘導され、コイル導体21の内部において磁束線の集中が解消される。これによりコイル導体21の内部の電流集中も解消され、結果としてコイル2の交流抵抗の増大がさらに抑制できる。

【0060】
<2.伝送コイルユニットの製造方法>
(第7、第8の実施の形態)
図9は、第7の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造工程を説明するブロック図である。伝送コイルユニットのコイルの製造方法は、薄肉の金属平板をレーザ加工またはプレス加工によって渦巻状に溝切り加工し渦巻状の平面コイルを作製する溝切り加工工程S1とこの溝切り加工された金属平板からなる平面コイル板をプレス加工によって変形させる変形工程S2を含み、これらの工程を経て前述した第1から第3および第6の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルを製造する。

【0061】
例えば、第1の実施の形態の伝送コイルユニットについては、溝切り加工工程S1の後、変形工程S2において、渦巻状の金属平板を上下挟んでプレス加工により変形し、断面の角度が段階的に変化している矩形断面のコイルを形成する。このとき、断面の角度が巻回の一周の間で同じで、一周回る毎に少しずつ段階的に変化するようにしてもよいし、または当該角度がコイルの一周の間で緩やかに連続的に変化し、一周回る毎にコイルの内周から外周にかけて角度が段階的に変化するように変形してもよい。

【0062】
また、例えば、第2および第3の実施の形態の伝送コイルユニットについては、渦巻状の溝切り加工工程S1の後変形工程S2において、雄型と雌型とによるプレス加工により、断面形状がコの字形状のコイルを形成する。このとき、第3の実施の形態の伝送コイルユニットについては、雄型と雌型の溝の深さを巻回の一周の間で同じで、一周回る毎に少しずつ段階的に変化するようにしてプレス加工してもよいし、また当該溝の深さをコイルの一周の間で緩やかに連続的に変化し、渦巻状コイル中心を通る断面で見るとコイルの内周から外周にかけて当該溝の深さ角度が段階的に変化しているようにしてプレス加工してもよい。

【0063】
図10は、第8の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造工程を説明するブロック図である。この実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造方法は、図9に示す実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルの製造工程に、さらに磁性層をコイル導体表面に形成する磁性層形成工程S3加えたものである。これにより、前述の第4~第6の実施の形態に係る伝送コイルユニットのコイルを製造する。

【0064】
磁性層をコイル導体表面に形成する方法としては、磁性層を湿式や乾式のめっきにより成膜する方法の他、粉末状にした磁性体をエポキシ樹脂などの溶剤に混ぜて、スプレーまたはハケにより塗布する方法がある。磁性体には、鉄やニッケルなど強磁性体材料やSiなど添加した珪素鋼の他に、アモルファス、センダストや金属の酸化物(フェライト)などを使用できる。材料の形態は薄膜やナノ粉末などいずれも使用可能である。

【0065】
<3.非接触給電装置>
(第9の実施の形態)
図11は、第9の実施の形態に係る非接触給電装置を説明する回路ブロック図である。この例では、電気自動車に適用したものである。この非接触給電装置は、充電器として機能する送電装置7と自動車本体9の電源となるバッテリー84を含む受電装置8とを備えている。送電装置7と受電装置8は、電磁的に結合することにより、非接触で電力送電を行う非接触給電装置を形成する。

【0066】
送電装置7は、図11に示すように、電源71と整流回路72と送電回路73と送電コイル74とを備えている。電源71は、例えば200Vまたは400V等の三相交流電圧あるいは100Vの単相交流電圧を供給する系統電源である。整流回路72は、入力端が電源71に接続されるとともに出力端が送電回路73に接続されており、電源71から供給される交流電圧を整流して直流電圧に変換し、変換した直流電圧を送電回路73に出力する。送電回路73は、入力端が整流回路72に接続されるとともに出力端が送電コイル74の両端に接続されており、整流回路72からの直流電圧を使用して所定の周波数の交流を生成する回路であり、その生成した交流電圧を送電コイル74に供給するものである。

【0067】
受電装置8は、図11に示すように、受電コイル81と受電回路82と充放電制御回路83とバッテリー84とを備えている。

【0068】
受電コイル81は、送電装置7の送電コイル74と接近させて対向させ使用する場合に、両コイル81、74が電磁結合して両者の間で変圧器を形成するようになっている。この電磁誘導により受電コイル81に誘起される交流電圧は、受電回路82に供給され、受電回路82において整流されて直流電圧に変換される。そして、受電回路82から出力される直流電圧は、充放電制御回路83を介してバッテリー84に供給され、バッテリー84を充電するようになっている。充放電制御回路83は、受電回路82からの出力によりバッテリー84を充電する場合にはその充電の制御を行い、バッテリー84で負荷である自動車本体9を動作させる場合には放電の制御を行う回路である。バッテリー84は、放電後に充電により繰り返して使用できる再充電が可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等)である。

【0069】
なお、本実施の形態に係る非接触給電装置においては、送電コイル74に、前述した本発明に係る伝送コイルユニットを用いることができる。これにより、表皮効果や近接効果による高周波損失を低減し低コストで製造できる伝送コイルユニットを使用しているので、伝送効率が高くかつ低コストの非接触給電装置を提供できる。

【0070】
また、受電コイル81にも、前述した本発明に係る伝送コイルユニットも用いてもよい。さらに伝送効率が高い低コストの非接触給電装置を提供できる。

【0071】
本発明に係る非接触給電装置は、自動車用に限定されるものではない。携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの電子機器の電力給電に用いられてもよい。また、本発明に係る伝送コイルユニットは、誘導式加熱装置などにも適用されてもよい。さらに、本発明に係る伝送コイルユニットは、電磁誘導方式の非接触給電装置における使用に限定されない。磁界共鳴方式の非接触給電装置にも適用されてもよい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明に係る伝送コイルユニットを実施・適用した場合のシミュレーションおよび実験ならびにこれらの結果について述べる。ただし、本発明はここで述べられる適用例に限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
<1.シミュレーション解析モデル>
本発明に係る伝送コイルユニットのシミュレーションによる適用例を説明する前に、まず、コイル部品の特性(交流抵抗、インダクタンス、Q値、結合係数k、伝送効率η)について解析するためのシミュレーションモデルについて説明する。
【実施例】
【0074】
シミュレーション用の解析ソフトには、電磁場解析ソフトウェアのANSYS Maxwell(ANSYS社製)を用いた。表1に、解析の諸条件をまとめる。
【実施例】
【0075】
【表1】
JP2020178034A_000003t.gif
【実施例】
【0076】
図12は、コイルの計算モデルを説明する図(平面図)である。コイルは、抵抗率2.78×10-8Ωmのアルミニウム材を想定している。巻数が6回巻の平面コイルである。コイルの内径および外径はそれぞれφ205mm、φ350mmである。コイルに通電する交流電流の周波数は85kHzである。
【実施例】
【0077】
<2.送電コイルの計算による実施例>
本発明の伝送コイルユニットを送電コイルに使用した場合のコイル特性(交流抵抗、インダクタンス、Q値)を計算する。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
図13は、実施例1の伝送コイルユニットのコイル2および磁気シールド3の断面寸法図である。図12のA-A′断面図に相当する。
【実施例】
【0079】
各巻のコイル導体21の断面形状は、図13に示すように、9.2×2mmの矩形形状で、コイル導体21は6巻である。コイル導体21の隣同士の間隔ピッチ(隣同士のコイル導体の中心の間隔)は12.5mm、コイル導体21と磁気シールドの最近接距離は5mm、最内周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離が107.5mm、最外周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離が170mmである。矩形形状の長手方向の磁気シールド3に対する角度が、発生する磁束線の流れに沿って、コイル2の内周から外周にかけて、90°、45°、0°、0°、-45°、-90°と段階的に変化している。すなわち、コイル導体21のコイル断面形状が磁束線の流れに沿う形状部分を有している。
【実施例】
【0080】
計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0081】
(実施例2)
図14は、実施例2の伝送コイルユニットのコイル2および磁気シールド3の断面寸法図である。図12のA-A′断面図に相当する。
【実施例】
【0082】
各巻のコイル導体21の断面形状は、図14に示すように、コイルの内周部22から外周部24にかけて同一のコの字形状である。コの字形状の各寸法は同図に示すとおりである。コの字形状は左右対称で、コイル導体21は6巻である。コイル導体21の隣同士の間隔ピッチ(隣同士のコイル導体の中心の間隔)およびコイル導体21と磁気シールドの最近接距離、最内周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離、最外周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離は、図13と同様に、それぞれ12.5mm、5mm、107.5mm、170mmである。
【実施例】
【0083】
コイル2の内周部22ではコの字形状の内周側のLの字部分が、外周部24ではコの字形状の外周側のLの字部分が、そして中央部23ではコの字形状の平な部分が、磁束線の流れに沿う形状部分に相当する。
【実施例】
【0084】
計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0085】
(実施例3)
図15は、実施例3の伝送コイルユニットのコイル2および磁気シールド3の断面寸法図である。図12のA-A′断面図に相当する。
【実施例】
【0086】
各巻のコイル導体21の断面形状は、コの字形状であるが、図15に示すように、内周部22から外周部24にかけてその形状の縦横比(コの字形状の上面幅に対する側面長の比)が段階的に変化している。コの字形状の各寸法は同図に示すとおりである。コの字形状は左右対称であって、かつ6巻のコイル導体21は、中央部23を中心に左右対称に並んでいる。コイル導体21の隣同士の間隔ピッチ(隣同士のコイル導体の中心の間隔)およびコイル導体21と磁気シールドの最近接距離、最内周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離、最外周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離は、図13と同様に、それぞれ12.5mm、5mm、107.5mm、170mmである。
【実施例】
【0087】
実施例3において、コイル2の内周部22と外周部24で、略矩形形状をなし、その長手方向が磁気シールド面に垂直となって磁束線の流れに沿う形状部分を有している。また、コイル2の中央部23においても、その長手方向が磁気シールド面に略平行となって、磁束線5の流れに沿う形状部分を有している。そして、内周部22と中央部23の間および中央部23と外周部24の間で、コの字形状の左右のLの字部分が磁束線の流れに沿う形状部分に相当するよう、コイル断面形状が段階的に変化している。
【実施例】
【0088】
計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0089】
(比較例1)
図16は、比較例1の伝送コイルユニットのコイル2および磁気シールド3の断面寸法図である。図12のA-A′断面図に相当する。
【実施例】
【0090】
各巻のコイル導体21の断面形状は、図16に示すように、9.2×2mmの矩形形状で、何れも磁気シールド3の磁気シールド面に平行に配置されている。コイル導体21は6巻である。コイル導体21の隣同士の間隔ピッチ(隣同士のコイル導体の中心の間隔)およびコイル導体21と磁気シールドの最近接距離、最内周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離、最外周のコイル導体21の中心と渦巻状コイルの中心との距離は、図13と同様に、それぞれ12.5mm、5mm、107.5mm、170mmである。
【実施例】
【0091】
計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0092】
(実施例4)
実施例4の伝送コイルユニットのコイルは、図13に示す実施例1のコイルについて、図5に示すように各巻のコイル導体の表面の全面に磁性層を形成したものである。磁性層の膜厚は0.2mmである。
【実施例】
【0093】
計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0094】
(実施例5~7)
実施例5の伝送コイルユニットは、図14に示す実施例2のコイルについて、図6(A)に示すように、コの字形状のコイル導体の上面および左右の両側面の表面に磁性層を形成したものである。磁性層の膜厚は0.2mmである。
【実施例】
【0095】
実施例6の伝送コイルユニットは、図14に示す実施例2のコイルについて、図8(B)に示すように、コイル導体のコの字形状の上面および左右の両側面、そして磁気シールド面に対向する面の表面に磁性層を形成したものである。磁性層の膜厚は0.2mmである。
【実施例】
【0096】
実施例7の伝送コイルユニットは、図14に示す実施例2のコイルについて、図8(C)に示すように、コイル導体のコの字形状の上面および左右の両側面、磁気シールド面に対向する面の表面に磁性層に加え、さらに凹部の内部の表面にも磁性層を形成したものである。磁性層の膜厚は0.2mmである。
【実施例】
【0097】
実施例5~7について、計算して求めたコイル特性(交流抵抗R、インダクタンスL、Q値)を表2にまとめる。
【実施例】
【0098】
<3.送電コイルと受電コイルの計算による実施例>
本発明に係る伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用し、両コイルを150mmの距離(伝送距離)を離して互いに向い合せ、対向させた場合のコイル特性(結合係数kと伝送効率η)を計算する。結合係数kは、トランスを構成する送電コイルと受電コイルとの結合の度合いを表す数である。また伝送効率ηは、結合係数kとQ値の積により求めることができる。
【実施例】
【0099】
(実施例8~11)
実施例8は、図13に示す実施例1の伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用する場合である。
【実施例】
【0100】
実施例9は、図14に示す実施例2の伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用する場合である。
【実施例】
【0101】
実施例10は、実施例4の磁性層付き伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用する場合である。
【実施例】
【0102】
実施例11は、実施例5の磁性層付き伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用する場合である。
【実施例】
【0103】
実施例8~11について、計算して求めたコイル特性(結合係数kと伝送効率η)を表2にまとめる。
【実施例】
【0104】
(比較例2)
比較例2は、図16に示す比較例1の伝送コイルユニットを送電コイルと受電コイルとして使用する場合である。
【実施例】
【0105】
計算して求めたコイル特性(結合係数kと伝送効率η)を表2にまとめる。
【実施例】
【0106】

【表2】
JP2020178034A_000004t.gif

【実施例】
【0107】
表2から明らかなように、実施例1~3について、比較例1に比べ交流抵抗が減少し、Q値が高なって高周波損失が少なくなっている。さらにコイル導体の表面に磁性層を形成した実施例4~5については、交流抵抗がより減少し、Q値が高なって高周波損失が非常に少なくなっている。
【実施例】
【0108】
また表2から、実施例8、9および実施例10、11について、比較例2に比べ高い伝送効率ηが得られることが分かる。
【実施例】
【0109】
したがって、本発明に係る伝送コイルユニットを送電コイルとして、また送電コイルおよび受電コイルとして使用することにより、交流抵抗の増大を抑制し、高い伝送効率の非接触給電を実現することができる。
【実施例】
【0110】
(実施例12)
本実施例では、第5の実施の形態の伝送コイルユニットの試作品を用いた実験および実験結果について説明する。まず、試作したコイル2は図7(第5の実施の形態)の形状を有するものであり、外形寸法は250×250mmである。素材はアルミニウムを使用している。図8(D)のようにエッジを含む上面に磁性層を設けたコイルと磁性層を設けないコイルとを試作した。コイル導体21部分の詳細な寸法については図17に示す。また、非磁性絶縁体41であるが、寸法は280×280mm、コイルを埋め込む溝深さは1mmであり(図示せず)、素材はポリカボネートを使用している。また、磁気シールド3(図示せず)の寸法は260mm×260mmで、非磁性絶縁体41を挟んでコイル導体21から5mm離れた位置に設けられている。素材はフェライトである。
【実施例】
【0111】
以上のように構成された本実施例の伝送コイルユニットのコイル特性(交流抵抗、Q値、インダクタンス)を、インピーダンスアナライザを用いて測定した結果を図18(a)、(b)、(c)にそれぞれ示す。図中、「AP」は上記磁性層を設けないアルミコイルを、「MCP」は上記磁性層を設けたアルミコイルを表す。さらに85kHzにおける特性値を表3に示す。

【表3】
JP2020178034A_000005t.gif

表2のシミュレーション結果と比較すると、交流抵抗、インダクタンスとも大きめである。例えば、コの字断面のアルミ導体(磁性層なし)を比較すると、表2(実施例2)では交流抵抗74.17mΩ、インダクタンス22.75μHであるのに対し、本実施例では交流抵抗287mΩ、インダクタンス34.9μHとなっている。伝送効率を比較しても、表2(実施例9)では94.0%であったのに対し、本実施例では91.4%とやや低くなっている。
【実施例】
【0112】
本実施例(実測値)と表2(計算値)の差の原因は、一つはコイルの形状であると考えられる。すなわち、表2では直径350mmで6巻の円形状のモデルを用いて計算したものであるのに対し、本実施例で使用したコイル1辺250mmで10巻の矩形状であるため、コイル導体周辺の磁束密度はより高く、交流抵抗が大きくなる傾向にある。一方、磁性層を設けたことによる交流抵抗低減効果は、計算(表2)では1.2%(94.0%から95.2%)であったのに対し、本実施例では1.6%(91.4%から93.0%)、となり、改善効果はより顕著化する。
【実施例】
【0113】
比較例として、銅リッツ線(2100本撚線)を用いた同一形状(250mm×250mm矩形)の実測結果を、併せて表3に示す。交流抵抗は41.2mΩと非常に低い。アルミニウムの体積抵抗率は銅に比べて約60%高いが、それを勘案したとしても、本実施例の交流抵抗はリッツ線の3倍強もある。しかし、もしこの差が表皮効果に対する抑圧能力の差に起因するものであるとすれば、コの字断面形状のコイル導体21を数層の磁気薄板(例えば0.2mm厚)を貼りあわせて形成するなど、若干の対策で、この差を縮めることが可能であると推量される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る伝送コイルユニットおよび非接触給電装置は、自動車や携帯電話等の電子機器、誘導式加熱装置の分野で利用が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 伝送コイルユニット
2 コイル
21 コイル導体
22 内周部
23 中央部
24 外周部
25 上面幅
26 側面長
3 磁気シールド
4 電気シールド
41 非磁性絶縁体
5 磁束線
6 磁性層
7 送電装置
71 電源
72 整流回路
73 送電回路
74 送電コイル
8 受電装置
81 受電コイル
82 受電回路
83 充放電制御回路
84 バッテリー
9 自動車本体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17