TOP > 国内特許検索 > 動体反応確認システム > 明細書

明細書 :動体反応確認システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-083996 (P2019-083996A)
公開日 令和元年6月6日(2019.6.6)
発明の名称または考案の名称 動体反応確認システム
国際特許分類 A63B  71/06        (2006.01)
A63B  69/00        (2006.01)
FI A63B 71/06 T
A63B 69/00 A
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2017-213784 (P2017-213784)
出願日 平成29年11月6日(2017.11.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成29年5月9日 一般社団法人 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会2017 講演論文集
発明者または考案者 【氏名】岩田 浩康
【氏名】▲高▼田 竜太
【氏名】大西 哲平
【氏名】相原 伸平
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
要約 【課題】使用者の目と身体部位等との協応動作能力の向上に有用となるシステムを提供すること。
【解決手段】動体反応確認システム10は、使用者Uが視認可能に画像表示する表示手段12と、身体部位等の動作情報を検出する検出手段15,16と、検出手段15,16での検出結果に基づいて、主動画Mに重畳する重畳画像Sを設定する重畳画像設定手段20と、主動画Mに重畳画像Sが重畳された合成画像を生成して表示手段12に送る画像提示手段21とを備えている。重畳画像設定手段20では、使用者Uが実際に行った反応動作に対応する実動作画像S2,S3を生成し、動体に対する身体部位等の理想の反応動作に対応する理想動作画像S1とともに実動作画像S2,S3が表れる重畳画像Sを生成する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の動体が経時的に視界内で移動する3次元の動画を使用者に視覚提示し、前記動体が前記動画内の所定位置に到達するタイミングで、前記使用者が反応して所定の身体部位や器具を動作させたときに、これらの反応動作の正確性を確認するための動体反応確認システムであって、
前記使用者が実際に行った前記反応動作である実動作に対応する動作情報を検出する検出手段と、当該検出手段での検出結果に基づいて、前記動体に対する理想の前記反応動作である理想動作と前記実動作の差異を前記使用者にフィードバックするフィードバック手段とを備えたことを特徴とする動体反応確認システム。
【請求項2】
所定の動体が経時的に視界内で移動する3次元の主動画を使用者に視覚提示し、前記動体が前記主動画内の所定位置に到達するタイミングで、前記使用者が反応して所定の身体部位や器具を動作させたときに、これらの反応動作の正確性を確認するための動体反応確認システムであって、
前記使用者が視認可能に画像表示する表示手段と、前記使用者が実際に行った前記反応動作である実動作に対応する動作情報を検出する検出手段と、当該検出手段での検出結果に基づいて、前記主動画に重畳する重畳画像を設定する重畳画像設定手段と、前記主動画に前記重畳画像が重畳された合成画像を生成して前記表示手段に送る画像提示手段とを備え、
前記重畳画像設定手段では、前記実動作に対応する実動作画像を生成し、前記動体に対する理想の前記反応動作である理想動作に対応する理想動作画像とともに前記実動作画像が表れる前記重畳画像を生成することを特徴とする動体反応確認システム。
【請求項3】
前記画像提示手段では、前記実動作と前記理想動作にそれぞれ対応する各動作情報の差異が求められ、当該差異が所定の閾値以上のときに、当該差異が前記閾値未満になるまで、前記使用者が前記反応動作を繰り返し行うことができる理想動作習得モードに移行することを特徴とする請求項2記載の動体反応確認システム。
【請求項4】
前記実動作画像は、前記タイミングにおける前記実動作に対応する第1の実動作画像と、前記主動画が提示されている間に前記使用者がリアルタイムで行った前記実動作に対応する第2の実動作画像とからなることを特徴とする請求項3記載の動体反応確認システム。
【請求項5】
前記画像提示手段では、前記主動画を最初に提示するときに、前記第2の実動作画像のみが重畳された第1の合成画像が生成され、前記差異が求められた後で、前記理想動作画像と前記第1及び第2の実動作画像とが重畳された第2の合成画像が生成されることを特徴とする請求項4記載の動体反応確認システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツトレーニング等に用いる動体反応確認システムに係り、更に詳しくは、動体の移動による視覚刺激に対する反射能力を確認するための動体反応確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツや日常生活においては、視覚刺激に対する人間の反射能力が必要になる。特に、各種スポーツにおいては、スポーツビジョンと呼ばれる動体視力等の視覚能力の向上の重要性が指摘されている。例えば、スポーツ選手の目前に高速で近づいてくるボール等の動体に対して手や脚等の身体部位やラケットやバット等の器具を素早く動かして反応する能力が重要であり、このような目と身体部位等との協応動作のトレーニングシステムの出現が要請されている。この協応動作のトレーニングツールとしては、例えば、複数のライトの点滅箇所が経時的にランダムに変化し、当該ライトの点滅箇所を訓練者が瞬時にタッチするものがある。しかしながら、球技等のスポーツにおいては、ボールや他の人間等の動体の動きに応じて身体を動かし、これら動体に触れたり、掴んだり、避けたり等の反応動作が必要になる。そこで、その反応速度のみならず各種で異なる反応動作の正確性を評価するには、前述のトレーニングツールでは必ずしも十分ではない。また、このような反応動作の評価は、通常、実際の現場で或いは録画等により指導者が行うものであり、トレーニング中に指導者が必要になるばかりか、指導内容に個人差が生じ得る。このため、動体に反応する身体部位の動きが動体の動作状況に応じて正確か否かについて、使用者自ら確認できる装置システムの出現が望まれるところである。
【0003】
ところで、特許文献1には、規範技能者の動きを適切に真似ることができているか否かについて、実施者が自ら容易に判断できる動作評価支援装置が開示されている。この動作評価支援装置では、表示画面に手本となる規範技能者の規範画像を提示し、カメラで撮影された実施者画像を規範画像に重畳して、規範技能者と実施者の動きの違いを表示して評価するようになっている。なお、実施者は、表示画面に表示されている規範技能者の規範画像とカメラで撮影された自身の画像とが重なるように、カメラの前に立つ必要がある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-57800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の動作評価支援装置では、スポーツ選手の目前に高速で近づいてくるボール等の動体に対して手や脚等の身体部位やラケットやバット等の器具を素早く動かして反応する能力の評価ができない。すなわち、前記動作評価支援装置では、模範となる技能者の動きをどの程度正確に真似できたか否かが評価される。そのため、例えば、バレーボールのレシーブ動作では、相手のスパイクによるボールの質に対応した腕等の異なる動作が必要になるが、前記動作評価支援装置では、正しいフォームの習得には有用であるものの、ボールの動きや質に関連づけた使用者の反応動作能力を評価することができない。
【0006】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、使用者の目と身体部位等との協応動作能力の向上に有用となる動体反応確認システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、所定の動体が経時的に視界内で移動する3次元の動画を使用者に視覚提示し、前記動体が前記動画内の所定位置に到達するタイミングで、前記使用者が反応して所定の身体部位や器具を動作させたときに、これらの反応動作の正確性を確認するための動体反応確認システムであって、前記使用者が実際に行った前記反応動作である実動作に対応する動作情報を検出する検出手段と、当該検出手段での検出結果に基づいて、前記動体に対する理想の前記反応動作である理想動作と前記実動作の差異を前記使用者にフィードバックするフィードバック手段とを備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者が、動画内で経時的に移動する動体を見ながら、動画内の所定位置に動体が達した瞬間に反応して身体部位や器具を動作させたときに、自身の実際の反応動作と理想とする反応動作との差異が、画像等により使用者にフィードバックされる。例えば、画像によるフィードバックの場合には、動体が移動する主動画と、理想動作画像とともに実動作画像が表れる重畳画像とを合成した合成画像が、使用者に提示される。このため、使用者は、当該合成画像により自身の反応動作の正確性を視認でき、自己の反応動作と理想とする反応動作との差異が分かり易くなり、理想とする反応動作に近づける修正動作を容易に習得可能になる。総じて、使用者の目と身体部位等との協応動作能力の向上に有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る動体反応確認システムの概略構成図である。
【図2】(A)は、主動画の一例を示す図であり、(B)は、主動画に重畳画像が重畳された合成画像の一例を示す図である。
【図3】使用者への画像提示に関する処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0011】
図1には、本実施形態に係る動体反応確認システムの概略構成図が示されている。この図において、前記動体反応確認システム10は、例えば、スポーツ選手の目前に高速で近づいてくるボール等の動体に対し、手や脚等の可動の身体部位や器具を素早く動かして反応する能力の評価に利用される。そこで、本実施形態では、本発明に係る動体反応確認システム10の適用例として、バレーボールのスパイクに対するレシーブのトレーニングに利用されるスパイクレシーブ技能訓練システムについて、以下に具体的に説明する。

【0012】
このシステム10は、使用者Uの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ12(以下、「HMD12」と称する)と、使用者Uの左右両前腕部に装着されるレシーブボード13と、これらHMD12及びレシーブボード13に取り付けられるモーションセンサ15と、HMD12及びレシーブボード13を撮影可能に使用者Uの周囲の空間に固定配置されたカメラ16と、使用者Uに視認させる画像を生成してHMD12に送る画像生成装置18とを備えている。

【0013】
このシステム10では、3次元のバーチャルリアリティー動画(以下、「3D-VR動画」と称する)を主動画Mとして、HMD12を通じて使用者Uに視覚提示される。本実施形態での3D-VR動画(主動画M)は、図2(A)に例示されるように、前方のスパイカーから、予め条件設定されたスパイク軌道でスパイクが打たれ、ボールが使用者Uの遠方から近傍に経時的に接近するように経時的に視界内で移動する3次元の視覚刺激画像として、HMD12に表示される。この主動画Mでは、同図(B)に例示されるように、使用者U自身の腕の面が実際に見えるような画像内の領域A1に、腕に取り付けられたレシーブボード13に相当する平面形状の重畳画像Sが重畳された状態で現れる。そして、使用者Uは、これら主動画M及び重畳画像Sの合成画像を見ながら、自身が存在する部屋等の空間内を移動しながらレシーブ動作をすることで、自身が合成画像内であたかもレシーブしているかのような仮想的な練習を行えるようになっている。また、後述するように、使用者Uは、合成画像内で、先に提示された主動画M内のスパイク軌道に対する腕の理想の反応動作(理想動作)を表す理想面と、実際に行った自身の腕の反応動作(実動作)を表す実動作面とを対比して表した重畳画像Sを見られるようになっている。

【0014】
前記HMD12は、使用者Uに対して3D-VR動画を立体的に表示可能な公知の構造のものが採用され、使用者Uが視認可能に所定の画像を表示する表示手段として機能する。また、このHMD12では、モーションセンサ15及びカメラ16によるHMD12の3次元での位置及び姿勢の検出結果から、公知の処理により、使用者Uの視点情報を特定し、HMD12が装着された頭部の位置や姿勢に対応して、実環境下での視界の変化と同様に3D-VR動画に対する視界を変化させるように作用する。

【0015】
なお、本発明の表示手段としては、HMD12に限定されるものではなく、使用者Uに後述する画像提示ができる限りにおいて、固定型の3Dディスプレイ等、種々の構造や構成のものを採用することができる。

【0016】
前記モーションセンサ15は、加速度、角速度、地磁気等を計測可能な公知のセンサ類がHMD12とレシーブボード13に設けられており、HMD12とレシーブボード13の3次元の位置及び姿勢を検出可能となっている。

【0017】
前記画像生成装置18は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータによって構成され、当該コンピュータを以下各手段として機能させるためのプログラムがインストールされている。

【0018】
この画像生成装置18は、図1に示されるように、所定の入力条件から主動画Mを設定する主動画設定手段19と、主動画Mに重畳する重畳画像Sを生成する重畳画像設定手段20と、主動画Mに重畳画像Sが重畳された合成画像をHMD12に送る画像提示手段21とを備えている。

【0019】
前記主動画設定手段19は、前記スパイク軌道を設定するスパイク軌道設定部24と、スパイク軌道設定部24で設定されたスパイク軌道を有する3D-VR動画である主動画Mを生成する主動画生成部25と、設定されたスパイク軌道を所定の位置でレシーブしたときに、味方セッターが存在する主動画Mの目標位置P1(図2(A)参照)に正確に返球するための主動画M内の腕の面位置P2(図2(A)参照)での理想動作に対応する動作情報となる理想面の位置及び姿勢を算出する理想動作算出部26とを備えている。

【0020】
前記スパイク軌道設定部24では、使用者Uや指導者等により、スパイクの打点位置(高さ)、直交3軸方向のスパイク角度、初速度、回転数等の各種条件値が入力され、当該条件値から、予め記憶された物理式により幾何学的にスパイク軌道が算出される。

【0021】
前記主動画生成部25では、公知の手法により、予め設定された主動画M中のスパイカーの位置から、スパイク軌道設定部24で設定されたスパイク軌道でボールが経時的に移動するような3D-VR動画として主動画Mが生成される。

【0022】
前記理想動作算出部26では、主動画M内の目標位置P1に正確に返球するための理想面が、スパイク軌道設定部24で設定されたスパイク軌道に基づいて、予め記憶された数式により算出され、主動画M内の理想面の位置及び姿勢が求められる。

【0023】
なお、例えば、複数のパターンのスパイクを予め設定し、当該各種のスパイクが表示される主動画Mを予め生成して前記理想面とともに記憶させておき、使用者Uや指導者等により、スパイクの種別を使用前に選択することにより、選択されたスパイクに対応する主動画Mを前記理想面とともに抽出する構成にしてもよい。この構成の場合は、主動画設定手段19を省略することができる。

【0024】
また、前記理想面の位置及び姿勢は、前述のスパイク軌道に基づく演算により特定せずに、手本となる上級競技者等のデータを予め取得し、当該データから主動画M内の理想面の位置及び姿勢を特定して記憶しておいても良い。

【0025】
前記重畳画像設定手段20は、モーションセンサ15での取得情報とカメラ16からの画像情報とに基づき、使用者U自身が行ったレシーブ動作に対応する腕の実動作に係る実動作面の主動画M内の位置及び姿勢を算出する実動作算出部28と、理想動作算出部26及び実動作算出部28での演算結果から、主動画M内での所定位置に、前記理想面及び前記実動作面に対応する重畳画像Sを生成して重畳する重畳画像生成部29とを備えている。

【0026】
前記実動作算出部28では、次のようにして、使用者Uが行ったレシーブ動作に対応する腕の実動作面の主動画M内の位置及び姿勢が求められる。すなわち、主動画Mでのスパイクに応じて使用者Uが実際に行ったレシーブ時の腕の動作によるレシーブボード13のHMD12に対する位置及び姿勢がモーションセンサ15で取得される。また、固定配置されたカメラ16からの画像情報により、使用者Uが存在する空間内におけるHMD12とレシーブボード13の位置及び姿勢が特定される。これらの位置及び姿勢に関する情報から、使用者Uの実際の腕の位置(実動作面)に相当するレシーブボード13の主動画M内での位置及び姿勢が特定される。

【0027】
以上において、モーションセンサ15及びカメラ16は、使用者Uの実動作に対応する動作情報である位置及び姿勢を検出する検出手段として機能する。

【0028】
前記重畳画像生成部29では、前述した理想面と実動作面の算出結果から、特に限定されるものではないが、例えば、図2(B)に示されるように、主動画M内での2箇所において、それぞれ次の3種類の重畳画像Sが生成される。

【0029】
主動画M内において、使用者Uの視界に前腕が存在する位置となる図2(B)中下部中央の第1領域A1には、主動画M内で自身の前腕方向に延びる平面状の画像が重畳画像Sとして3種表示される。この画像は、理想面の位置及び姿勢に対応する静止画となる同図中実線の理想動作画像S1と、実動作面の位置及び姿勢に対応する同図中破線及び一点鎖線の第1及び第2の実動作画像S2,S3からなる。このうち、同図中破線の第1の実動作画像S2は、主動画M内で使用者Uがレシーブした瞬間のタイミングにおける実動作面に対応する静止画となり、同一点鎖線の第2の実動作画像S3は、使用者Uの動作に合せて主動画M内でリアルタイムに動く動画として構成される。

【0030】
また、主動画M内で第1領域A1よりも図2(B)中右上の第2領域A2には、理想動作画像S1と第1及び第2の実動作画像S2,S3の側面視画像が表示される。

【0031】
前記画像提示手段21では、後述する手順で、重畳画像Sの表示態様を条件により変えながら、主動画Mと重畳画像Sとを合成した合成画像がHMD12に送信される。

【0032】
なお、以上の重畳画像設定手段20及び画像提示手段21は、前記検出手段での検出結果に基づいて、理想動作と実動作の差異を使用者Uにフィードバックするフィードバック手段を構成する。

【0033】
次に、動体反応確認システム10における画像提示に関する処理手順について、図3のフローチャートを主として用いながら以下に説明する。

【0034】
先ず、主動画Mに表示されるスパイク軌道がスパイク軌道設定部24で設定される(ステップS101)。そして、当該スパイク軌道を反映した主動画Mが、主動画生成部25で生成されるとともに、主動画M内の理想面の位置及び姿勢が理想動作算出部26で求められる(ステップS102)。

【0035】
その後、使用者UがHMD12とレシーブボード13を装着した後、次の重畳画像Sが主動画Mに合成された第1の合成画像が、HMD12を通じて使用者Uに提示される(ステップS103)。

【0036】
この第1の合成画像は、画像提示手段21により、使用者Uの動作に合せて主動画M内でリアルタイムに動く前記第2の実動作画像S3のみが主画像Mに重畳された状態となっている。なお、主動画M内の実動作面の位置及び姿勢は、実動作算出部28でリアルタイムに求められており、使用者Uの腕の動きに合せて、第2の実動作画像S3が主動画M内で動作することになる。

【0037】
なお、第1の合成画像には、使用者Uのレシーブ動作前のため、レシーブ動作の結果を表す第1の実動作画像S2は重畳されていない。また、この際の理想動作画像S1も、主動画Mに重畳されていないが、この段階で使用者Uに見える状態にしても良く、これら表示態様を予め選択することもできる。

【0038】
そして、使用者Uは、主動画M内でスパイクされたボールが自身に近づいてきたときに、レシーブボード13が装着された腕を実際に動かし、当該実動作に対応する主動画M内の第2の実動作画像S3を見ながら、レシーブ動作によってボールにコンタクトさせる。なお、レシーブした瞬間の実動作面の位置及び姿勢に応じて、レシーブされたボールの軌跡を演算し、主動画M内に更に表示することもできる。

【0039】
レシーブ動作後、画像提示手段21では、理想面と実動作面との位置及び姿勢の差異が求められ、これらの差異が所定の閾値未満か否かが判定される(ステップS104)。そして、これら差異が所定の閾値未満の場合、使用者Uのレシーブ動作が正確(適正)であるとして、画面内にその旨の文字が表示されるとともに、先に設定したスパイク軌道パターンでの主動画Mの提示が終了する。この場合、使用者Uは、主動画M内で、レシーブしたときの第1の実動作画像S2が理想動作画像S1にほぼ重なった状態で、又は、近接した状態で見えることになる。

【0040】
一方、理想面と実動作面との位置及び姿勢の差異が前記閾値以上の場合には、使用者Uのレシーブ動作が不正確(不適正)であるとして、画面にその旨の文字(例えば「ミス!」)が表示され、その際の主動画Mのフレームを固定し、当該フレームに前記3種の重畳画像S1~S3が重畳された第2の合成画像が生成され、HMD12を通じて使用者Uに提示される(ステップS105)。すなわち、この第2の合成画像では、理想動作画像S1と第1及び第2の実動作画像S2,S3の3種類が、最後のシーンで停止した主動画Mに重畳される。そして、使用者Uは、当該停止した主動画M内に表示されている理想動作画像S1に、リアルタイムの第2の実動作画像S3が近づくように、レシーブボード13が装着された腕を再度動かす。また、特に限定されるものではないが、このとき、図2(B)に示されるように、主動画M内に、理想面に腕を合せる旨の文字表示がなされる。

【0041】
なお、ここでの第2の合成画像は、重畳される主画像Mを最後のシーンの静止画としているが、同じスパイク軌道パターンでの主動画Mを最初から提示することもできる。この場合、使用者Uは、再びボールが自身に近づいてきたタイミングで、理想動作画像S1に第2の実動作画像S3が近付くように腕を動作させることができる。

【0042】
以上の第2の合成画像の提示により、使用者Uは、自身が最初に行ったスパイク動作に対応する第1の実動作画像S2と理想動作画像S1との位置及び姿勢の差を主動画M内で視認することができ、スパイク軌道の種類に応じたレシーブ動作における理想動作と自身の実動作とのズレを実感することができる。

【0043】
次に、前述のステップS104により、理想面と実動作面との位置及び姿勢の差異が前記閾値未満か否かが再度判定され、当該閾値未満になるまで、すなわち、使用者Uのレシーブ動作による実動作面が理想面に近づくまで、前述と同様の処理が繰り返し行われる。

【0044】
ここでの第2の合成画像の提示は、理想面と実動作面との位置及び姿勢の差異が前記閾値未満になるまで、使用者Uが自身の反応動作を繰り返し行えるように、第1の合成画像の提示から移行した理想動作習得モードとして行われる。

【0045】
なお、前記閾値は、レシーブしたボールを返球する目標位置P1の範囲によって定まるが、当該範囲の広さに応じて、レシーブ動作の難易度を変えることができる。

【0046】
以上の実施形態によれば、様々なスパイク軌道を仮想的に設定し、各スパイク軌道に応じて適正となるレシーブ動作と自身のレシーブ動作とを目視によりリアルタイムで対比できる。このため、スパイクの種類や質に応じた腕の理想の動的対応を習得するトレーニングツールとして有用となり、様々なスパイクに対して、腕を理想の位置に理想の角度で合わせるトレーニングが可能となる。加えて、仮想空間でのトレーニングが可能になり、実際の練習に比べ、場所、時間、メンバー等の制約が無く、いつでもどこでも有用な自主トレーニングを行えるという効果を得る。

【0047】
なお、前述した主画像Mや重畳画像Sの表示態様は、一例であり、本発明の本質を逸脱しない限りにおいて、種々の態様を採ることができる。

【0048】
また、理想面と実動作面との位置及び姿勢の差異を数値化し、或いは、段階化して使用者Mに提示しても良い。

【0049】
更に、前記実施形態では、理想動作と実動作の差異を使用者Uにフィードバックするフィードバック手段として、理想動作画像S1と第1及び第2の実動作画像S2,S3による視覚的なフィードバックを行う態様を採っているが、本発明はこれに限らず、音による聴覚や振動等の触覚を通じて、使用者Uに前記差異を提示する態様を採ることもできる。例えば、実動作が理想動作から離れている場合に、何等かの音を発したり、レシーブボード13を振動させたりする一方、実動作が理想動作に近づいたときに、前記音や振動を小さくする等のフィードバック構成を採用することもできる。

【0050】
また、前記実施形態では、バレーボールのスパイクレシーブ技能訓練システムについて図示説明したが、本発明はこれに限らず、テニス、バドミントン、卓球、野球、サッカー、フェンシング、ボクシング等、他のスポーツ用の訓練システムにも適用可能である。更に、その他としては、介護福祉用のトレーニングシステム等、日常生活における人間の視覚刺激に対する反射能力の確認用のシステム等や種々のアミューズメントにも適用可能である。

【0051】
ここで、特に限定されるものではないが、他のスポーツへの本発明の適用例について、以下に数例説明する。

【0052】
先ず、主画像M内の所定位置で、正確に手や足等の身体部位を動かしてボールを弾くためのサッカー等のゴールキーパーのトレーニング用として適用可能となる。この場合、前記検出手段では、前記動作情報として手や足の複数箇所の身体部位の位置を検出可能にすれば良い。

【0053】
また、主画像M内の所定位置にボール等の動体が達したときに、手や足等の身体部位とラケットやバット等の器具(道具)とを理想の位置と角度(姿勢)で合せながら、理想の動作を行うためのテニスのショットや野球のバッティング等のトレーニング用として適用可能となる。この場合、前記検出手段では、前記動作情報として、手や足等の身体部位及び器具等の複数箇所の位置と姿勢、及び当該複数箇所の動作方向及び力の大きさからなる動作ベクトルを検出可能にすれば良い。また、理想動作における動作情報、すなわち、理想動作における身体部位と器具の位置、姿勢、及び動作ベクトルは、物理モデルで算出されたものやシミュレートしたものが使用され、或いは、上級競技者のデータが使用される。

【0054】
更に、使用者Uが反応する動体としては、前述の各例におけるボールに限らず、フェンシングの剣、ボクシングの腕、ドリブルしている相手選手等、他の器具や人間をも対象にすることができる。

【0055】
また、前記検出手段としては、システム上必要となる使用者Uの各種動作情報を検出可能な限りにおいて、他のモーショントラッキングセンサ、レーザレーダー、深度カメラ等の他のセンサ類や、種々の装置、システムを用いることができる。

【0056】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 動体反応確認システム
11 ヘッドマウントディスプレイ(表示手段)
13 レシーブボード
15 モーションセンサ(検出手段)
16 カメラ(検出手段)
20 重畳画像設定手段(フィードバック手段)
21 画像提示手段(フィードバック手段)
M 主画像
S 重畳画像
S1 理想動作画像
S2 第1の実動作画像
S3 第2の実動作画像
U 使用者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2