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明細書 :キャパシタ及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-102666 (P2019-102666A)
公開日 令和元年6月24日(2019.6.24)
発明の名称または考案の名称 キャパシタ及びその製造方法
国際特許分類 H01G  11/86        (2013.01)
H01G  11/06        (2013.01)
H01G  11/50        (2013.01)
H01G  11/22        (2013.01)
FI H01G 11/86
H01G 11/06
H01G 11/50
H01G 11/22
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-232758 (P2017-232758)
出願日 平成29年12月4日(2017.12.4)
発明者または考案者 【氏名】白石 壮志
【氏名】畠山 義清
【氏名】片桐 規晟
【氏名】島袋 出
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100085372、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 正義
【識別番号】100129229、【弁理士】、【氏名又は名称】村澤 彰
審査請求 未請求
テーマコード 5E078
Fターム 5E078AA01
5E078AA15
5E078AB02
5E078AB06
5E078BA17
5E078BA26
5E078BA30
5E078BB30
5E078CA06
5E078CA08
5E078DA02
5E078DA06
5E078LA03
5E078LA08
要約 【課題】エネルギー密度を更に改善することにより高容量化したキャパシタをより低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極1と、リチウムを主成分として形成された一次電池負極2と、一次電池電解液3と、を備えたリチウム一次電池7を放電させることにより、一次電池正極1を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して得られたキャパシタ正極11と、一次電池負極2から一次電池電解液3中にリチウムイオンを放出させて得られたキャパシタ負極12と、一次電池負極2から放出されたリチウムイオンを溶解させたキャパシタ電解液13とを備えたキャパシタ17である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極とリチウムを主成分として形成された一次電池負極と一次電池電解液とを備えたリチウム一次電池を放電させることにより、
前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して得られたキャパシタ正極と、
前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させて得られたキャパシタ負極と、
前記一次電池電解液に前記一次電池負極から放出されたリチウムイオンを溶解させたキャパシタ電解液と、
を備えたことを特徴とするキャパシタ。
【請求項2】
前記炭素酸化物が、酸化黒鉛である請求項1記載のキャパシタ。
【請求項3】
炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極とリチウムを主成分として形成された一次電池負極と一次電池電解液とを備えたリチウム一次電池を形成する工程と、
前記リチウム一次電池を放電させることにより、前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して放電後の前記一次電池正極をキャパシタ正極とし、前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させて放電後の前記一次電池負極をキャパシタ負極とし、かつ前記一次電池電解液に前記一次電池負極から放出されたリチウムイオンを溶解させてキャパシタ電解液とする工程と、
を含むキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記炭素酸化物が、酸化黒鉛である請求項3記載のキャパシタの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素材料を主成分とする電極と、前記電極との界面に電気二重層を形成するリチウムイオンを含有してなる電解液を有するキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学キャパシタの1つである電気二重層キャパシタ(EDLC)は、活性炭などの多孔質炭素電極内の細孔に形成されるイオンの吸着層、即ち電気二重層に電荷を蓄えるコンデンサであり、長寿命で高出力であるため、コンピュータのメモリのバックアップ用電源として普及している。そして、最近では鉄道車両に搭載した電力貯蔵システムやハイブリッド車の補助電源として急激に注目されている。しかし、この電気二重層キャパシタは、エネルギー密度、つまり重量あるいは体積当たりどれだけの電気が蓄電できるかという点で二次電池に遠く及ばない。
【0003】
この電気二重層キャパシタのエネルギー密度を改善すべく、新たな電力供給源として現在は、正極に電気二重層キャパシタ用の活性炭電極、負極にリチウムイオン電池用の黒鉛電極を用いることで構成される、二次電池と同等のエネルギー密度を持たせたキャパシタ、即ちハイブリッドキャパシタ(リチウムイオンキャパシタ(LIC))が注目されている。
【0004】
一方、フッ化黒鉛を正極に用いたフッ化黒鉛リチウム電池は、高くかつ安定した放電電圧、高いエネルギー密度、貯蔵性の良さなど、優れた特性を示す一次電池である。この電池の放電生成物は、LiFとCである。
(CF)n + nLi → nC + nLiF
この電池は、従来から一次電池として使用され、放電後(使用後)は、そのまま廃棄されている。
【0005】
この使用後に廃棄されるという課題を解決するために、本出願人は、特許文献1記載のキャパシタの製造方法を提案した。
【0006】
特許文献1に記載されたリチウム一次電池では、フッ化炭素を主成分として形成される一次電池正極と、リチウムを主成分として形成される一次電池負極と一次電池電解液とを備え、一次電池正極及び一次電池負極において下記反応が進行する。
【0007】
一次電池正極:(CF)n + nLi+ +ne- → nC + nLiF
一次電池負極: nLi → nLi+ + ne-
【0008】
前記リチウム一次電池は、放電により、前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換するとともに、前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させることができる。そのことにより、前記リチウム一次電池の全体構成を変えることなく、単に放電後に充電するだけで、キャパシタとして機能させることができた。
【0009】
その結果、特許文献1に記載された発明によれば、使用後に廃棄されていたリチウム一次電池をキャパシタとして使用できることになる。したがって、簡便な製造形態で再利用することができ、省資源にも寄与することができた。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2013-38103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたキャパシタではエネルギー密度を更に改善することは限界に近づきつつあり、使用するフッ化黒鉛が工業材料として高価であり製造コストを低減する必要があった。
【0012】
本発明の目的は、エネルギー密度を更に改善することにより高容量化したキャパシタをより低コストで製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、酸化黒鉛が、特許文献1のキャパシタ(以後、フッ化黒鉛リチウムキャパシタと呼ぶ)の正極に用いたフッ化黒鉛と同じ共有結合性の黒鉛層間化合物であること、ならびに酸化黒鉛もフッ化黒鉛と同様に、還元処理すると元の炭素(黒鉛)に戻ることに着目した。すなわち本発明者らは、従来のフッ化黒鉛の正極の代わりに酸化黒鉛の正極を用いたリチウム電池についてフッ化黒鉛リチウム電池の場合と同様に放電後に充電したところ、キャパシタとして機能し、さらにはその容量はフッ化黒鉛リチウムキャパシタと比べて高いことを見出し、本発明に到達した。
【0014】
本発明の第1の観点によるキャパシタは、炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極とリチウムを主成分として形成された一次電池負極と一次電池電解液とを備えたリチウム一次電池を放電させることにより、前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して得られたキャパシタ正極と、前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させて得られたキャパシタ負極と、前記一次電池電解液に前記一次電池負極から放出されたリチウムイオンを溶解させたキャパシタ電解液とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の観点によるキャパシタは、第1の観点によるキャパシタであって、前記炭素酸化物が、酸化黒鉛であることを特徴とする(以後、このキャパシタを酸化黒鉛リチウムキャパシタと呼ぶ)。
【0016】
本発明の第3の観点によるキャパシタの製造方法は、炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極とリチウムを主成分として形成された一次電池負極と一次電池電解液とを備えたリチウム一次電池を形成する工程と、前記リチウム一次電池を放電させることにより、前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して放電後の前記一次電池正極をキャパシタ正極とし、前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させて放電後の前記一次電池負極をキャパシタ負極とし、かつ前記一次電池電解液に前記一次電池負極から放出されたリチウムイオンを溶解させてキャパシタ電解液とする工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の観点によるキャパシタの製造方法は、第3の観点によるキャパシタの製造方法であって、前記炭素酸化物が、酸化黒鉛であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の観点によるキャパシタでは、リチウム一次電池を放電させることより、前記一次電池正極を電解質イオン吸蔵可能な炭素材料に変換して得られたキャパシタ正極と、前記一次電池負極から前記一次電池電解液中にリチウムイオンを放出させて得られたキャパシタ負極と、前記一次電池電解液に前記一次電池負極から放出されたリチウムイオンを溶解させたキャパシタ電解液と、を備えるから、前記リチウム一次電池の全体構成を変えることなく、単に放電後に充電するだけで、キャパシタとして機能させることができる。その結果、使用後に廃棄されていたリチウム一次電池をキャパシタとして使用できることになる。したがって、簡便な製造形態で再利用することができ、省資源にも寄与することができる。即ち、リチウム一次電池が放電後に高容量な新規なキャパシタとして機能する。また、正極に使用する炭素酸化物は安価であるため低コストでキャパシタを実現することができる。
【0019】
なお、酸化黒鉛リチウムキャパシタがフッ化黒鉛リチウムキャパシタと比較して高容量である技術的理由の一つは次の通りであると推定される。フッ化黒鉛リチウムキャパシタの場合、正極で機能しているのはフッ化リチウムと炭素の複合体であり、この複合体にリチウムイオンが吸脱着することで充放電が進行する。一方、酸化黒鉛リチウムキャパシタの場合には、正極が酸化リチウム(LiO)を主とするリチウム酸化物と炭素からなる複合体であるが、この複合体にリチウムイオンが吸脱着することで充放電が進行すると思われる。LiFに比べてLiOはLiイオンあたりのモル体積が小さいため、酸化黒鉛リチウムキャパシタの正極でのリチウムイオン吸脱着のための炭素網面間内の空隙率は高く、リチウムイオンの吸脱着がよりスムーズとなり、結果として高容量になると考えられる。
【0020】
本発明の第2の観点によるキャパシタでは、前記炭素酸化物が、酸化黒鉛であるから、キャパシタの性能としては、充電容量、充放電特性、耐久性において、特に実用に耐える高い性能を発揮しうる。
【0021】
本発明の第3の観点によるキャパシタの製造方法では、前記リチウム一次電池を放電することにより、放電後の前記一次電池正極をキャパシタ正極とし、放電後の前記一次電池負極をキャパシタ負極とし、放電後の前記一次電池電解液をキャパシタ電解液とすることができるから、前記リチウム一次電池の全体構成を変えることなく、単に放電後に充電するだけで、キャパシタとして機能させることができる。その結果、正極に使用する炭素酸化物は安価であるため低コストでハイブリッドキャパシタを製造することができる。
【0022】
本発明の第4の観点によるキャパシタの製造方法では、本発明の第2の観点によるキャパシタと同様に、前記炭素酸化物が、酸化黒鉛であるから、キャパシタの性能としては、充電容量、充放電特性、耐久性において、特に実用に耐える高い性能を発揮しうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の酸化黒鉛リチウム電池の分解斜視図である。
【図2】酸化リチウム電池の放電ならびにその後のキャパシタとしての充放電に関するモデル図である。
【図3】本発明の実施形態の酸化黒鉛リチウムキャパシタの充放電曲線を示す図である。
【図4】特許文献1に示されるフッ化黒鉛リチウムキャパシタの充放電曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。

【0025】
本実施形態のリチウム一次電池7は、図1に示すように、炭素酸化物を主成分として形成された一次電池正極1と、リチウムを主成分として形成された一次電池負極2と、一次電池電解液3とを備える。このリチウム一次電池7を放電させ、前記一次電池正極1をリチウムイオン吸蔵可能な炭素材料に変換して得られたキャパシタ正極11と、前記一次電池負極2から前記一次電池電解液3中にリチウムイオンを放出させて得られた前記キャパシタ負極12と、前記一次電池電解液3に前記一次電池負極2から放出されたリチウムイオンを溶解させたキャパシタ電解液13と、にすることによりキャパシタ17は製造される。

【0026】
[正極体]
本発明の正極体には炭素酸化物を用いる。炭素酸化物としては、黒鉛粉末を酸化して作られた酸化黒鉛や、酸化黒鉛を剥離して作られた酸化グラフェンが用いられる。

【0027】
酸化黒鉛は、層状化合物であり、黒鉛を酸化することによって製造することができる。酸化黒鉛の製造方法としては、ブロディー(Brodie)法、スタウデンマイヤー(Staudenmaier)法、ハマーズ(Hummers)法などの化学法、電気化学的方法などがあるが、一般的に化学法を用いることができる。

【0028】
ブロディー法では、原料黒鉛を発煙硝酸中で塩素酸カリウムによって酸化することによって酸化黒鉛とする。スタウデンマイヤー法では、濃硫酸、濃硝酸中で塩素酸カリウムによって酸化することによって酸化黒鉛とする。ハマーズ法では、硝酸ナトリウムを含む濃硫酸中で過マンガン酸カリウムによって原料黒鉛を酸化することによって酸化黒鉛とする。電気化学的方法では、5%以下の希硝酸中で原料黒鉛を陽極酸化することによって酸化黒鉛とする。

【0029】
酸化黒鉛は前記のどの方法で製造したものでもよい。しかし、いずれの方法も強力な酸化方法であるため、炭素構造は相当に破壊される。したがって、原料黒鉛としては結晶性の高いものが適している。なお、低結晶性炭素材からは酸化黒鉛は通常得にくい。

【0030】
酸化黒鉛の層間距離は、通常0.6~1.1nmの範囲で変化する。官能基としては、カルボニル基、水酸基等が存在し、酸化黒鉛中の酸素と炭素との原子比(C/O)は約1.5~2.5である。

【0031】
本発明の炭素酸化物に適量の導電剤を加え、必要に応じて粉砕し、集電体上で成形することによって、正極材料として用いる。導電剤としては、例えば、カーボンブラックなどを用いる。導電剤に要求される特性として高い電気伝導度に加えて少ない添加量での効果が要求される。導電剤の使用量は、例えば、実際に実験を行なうことによって適切な範囲を設定する。導電剤の使用量が少ないと、活物質全体の導電性が欠如し、充分な性能が引き出せない傾向があり、多いと導電剤分は電極の容量減少になるのでエネルギー密度が不十分となる傾向がある。

【0032】
電極(正極)は、例えば、実験室レベルでは、炭素酸化物と導電剤を乳鉢に入れて混練して集電体上に接着あるいは圧着することによって製造する。他に、炭素酸化物、導電剤などを有機溶媒に溶解したものを混練してペースト状合剤として電極(正極)を製造することもできる。集電体としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅、白金などの箔あるいはメッシュなどを用いる。

【0033】
[負極体]
負極体としては、例えば、金属リチウム、リチウム-アルミニウム合金などのリチウム合金などを用いる。

【0034】
[リチウム一次電池の作製]
図1に示すように、アルミニウム合金製正極側セルケースC1と、SUS製負極側セルケースC2の間に、一次電池正極1として上記正極体、セパレータ4、ガイドリング5、一次電池負極2としてのリチウムホイル張り合わせ銅箔、SUS製電極押さえ6を順に介装しリチウム一次電池7を構成する。

【0035】
なお、前記リチウム一次電池7の構造としては、円筒形電池であっても角形電池であってもよい。角形電池の場合、正極体、負極体、及びセパレータを渦巻き状に巻き楕円体状にした後に中央部を圧縮した扁平型の電極群としても良く、セパレータを介して複数の正極板と負極板を積層した平板状の電極群としても良い。これにより、それぞれ対応する形状のキャパシタ17を得ることができる。

【0036】
前記リチウム一次電池7は、例えば、セパレータ4を介して一次電池正極1と一次電池負極2とを渦巻き状に巻くか又は積層してなる電極群を、一次電池電解液3の非水電解質とともにアルミニウム合金製正極側セルケースC1と、SUS製負極側セルケースC2の間に封入することによって製造できる。このようにしてリチウム一次電池7を構成する場合に用いられる各種部材としては、以下のような材料を用いることができる。

【0037】
セパレータ4は、正極と負極との間に介在するように設けられる。セパレータ4としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、合成樹脂材料からなる多孔性シート状物が挙げられる。合成樹脂材料としては特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。多孔性シート状物とは、具体的には、例えば、多孔質膜、織布、不織布などである。セパレータ4の厚さは特に制限されず、10~300μm程度の範囲から、非水電解質二次電池の種類、形態、用途などに応じて適宜選択すればよい。

【0038】
一次電池電解液3の非水電解質としては、例えば、液状非水電解質、ゲル状非水電解質、固体状電解質(例えば高分子固体電解質)などが挙げられる。

【0039】
液状非水電解質は、通常非水溶媒中に溶解する溶質(支持塩)と非水溶媒とを含み、更に必要に応じて各種添加剤を含む。液状非水電解質は、例えば、セパレータ4に含浸される。

【0040】
溶質としては、この分野で常用されるものの中から、非水電解質電池の種類、形態、用途などに応じて適宜選択すればよい。例えば、非水電解質電池がリチウム電池である場合は、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiCl、LiBr、LiI、イミド塩類などを使用できる。

【0041】
イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸アミドリチウム((CF3SO22NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸アミドリチウム((CF3SO2)(C49SO2)NLi)、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C25SO22NLi)などが挙げられる。溶質は1種を単独で用いてもよくまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5~2モル/Lの範囲内とすることが望ましい。

【0042】
非水溶媒としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。環状炭酸エステルとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネートなどが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、例えば、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。また、4V級の耐酸化還元電位を有する非水溶媒を用いることもできる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよくまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。

【0043】
添加剤としては、例えば、充放電効率を向上させる材料、電池を不活性化させる材料などが挙げられる。充放電効率を向上させる材料は、例えば、負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、充放電効率を向上させる。このような材料の具体例としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、4-メチルビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、4-エチルビニレンカーボネート、4,5-ジエチルビニレンカーボネート、4-プロピルビニレンカーボネート、4,5-ジプロピルビニレンカーボネート、4-フェニルビニレンカーボネート、4,5-ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びジビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。

【0044】
固体状電解質は、溶質(支持塩)と高分子材料とを含む。溶質は前記で例示したものと同様のものを使用できる。高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体などが挙げられる。

【0045】
上記構成によると、 炭素酸化物を主成分として形成される一次電池正極1と、リチウムを主成分として形成される一次電池負極2と一次電池電解液3とを備えてなるリチウム一次電池7では、炭素酸化物の化学組成を(C(OH)とすれば一次電池正極1、一次電池負極2において下記反応が進行する。即ち、一次電池正極1のGOは、黒鉛(グラフェン)とリチウム酸化物の複合体に変化する。

【0046】
一次電池正極:(C(OH))n + 6nLi + 6ne- → nLi(OH) (8nC + 2nLiO + 2nLiOH)
一次電池負極:Li → Li+ + e-

【0047】
図2は、酸化リチウム電池の放電ならびにその後のキャパシタとしての充放電に関するモデルである。このモデルでは、酸化黒鉛は電池正極としての放電反応によって黒鉛とリチウム酸化物の複合体に変化する。この複合体は電気化学的にイオンを吸脱着できる性質を有し、そのためキャパシタとしての正極として機能する。一方、負極はリチウム金属の電気化学的な析出・溶解が充放電反応である。
【実施例】
【0048】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【実施例】
【0049】
<実施例1>
[正極体の作製]
Brodie法に従って、酸化黒鉛(GO)を調製した。まず、ビーカーに鱗片状粒子の人造黒鉛粉末(ティムカル社製、TIMREX(商標)KS44)2gと発煙硝酸80mlとを入れ、混合した。次に、混合物に塩素酸カリウム32gを少しずつ加え、湯浴を用いて60℃で3時間攪拌することで酸化させた。酸化後に生成物を大量の水で洗浄することによって褐色の酸化黒鉛を得た。更に、得られた酸化黒鉛の酸化度を高めるために、再度Brodie法による酸化処理を行った。先に得られた酸化黒鉛1gと発煙硝酸120mlとをビーカーに入れ、混合した。この混合物に塩素酸カリウム48gを少しずつ加え、湯浴を用いて60℃で3時間攪拌した。生成物を大量の水で洗浄することによって淡茶色の酸化黒鉛を調製した。酸化黒鉛に含まれる炭素と酸素の原子比について、蛍光X線分析によると、炭素66%、酸素34%であった。
【実施例】
【0050】
次に、酸化黒鉛、導電補助剤のカーボンブラック(アセチレンブラック, 電気化学工業株式会社製)、バインダー(ポリフッ化ビニリデン, 株式会社クレハ製)を重量比8:1:1で混ぜ合わせ、そこにN-メチル-2-ピロリドン(和光純薬工業株式会社製)を適量加え20時間撹拌することによりスラリーを調製した。調製したスラリーをスピンコーターにて15.5mm直径に打ち抜いたエッチドアルミ箔集電体(日本蓄電池工業、規格:20C054)に塗布した。塗工後に80 ℃で12時間乾燥し、その後に20 MPaでプレスを行った。最後に150℃で2時間真空乾燥を行うことで酸化黒鉛の試験極とした。
【実施例】
【0051】
[リチウム一次電池の作製]
図1に示すように、アルミニウム合金製正極側セルケースC1と、SUS製負極側セルケースC2の間に、一次電池正極1として上記正極体、セパレータ4、ガイドリング5、一次電池負極2としてのリチウムホイル張り合わせ銅箔、SUS製電極押さえ6を順に介装しリチウム一次電池7を構成した。
【実施例】
【0052】
なお、前記一次電池電解液3としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート3:7混合溶媒に溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1mol/Lの割合で溶解したものを用い、セパレータ4としてポリプロピレン多孔質膜を用い、ガイドリング5はポリプロピレン製とした。
【実施例】
【0053】
[キャパシタの作製]
作製したリチウム一次電池7を、40℃の環境温度下において、40mA/gの定電流で放電させ、一次電池正極1をキャパシタ正極11、一次電池負極2をキャパシタ負極12、一次電池電解液3をキャパシタ電解液13とする酸化黒鉛リチウムキャパシタ17を作製した。電池としての放電の下限電圧は1.5Vとした。
【実施例】
【0054】
<比較例1>
正負極に活性炭電極を用いた電気二重層キャパシタ(EDLC)を、エッチドアルミ箔集電体に接着したヤシ殻系活性炭(クラレケミカル製YP50F)ディスク状電極(15.5mm直径)、電解液としての1mol/Lのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを含むプロピレンカーボネート溶液、セパレータとしてのセルロース系不織布をアルミニウム合金製セルケースに組み込むことで作製した。
【実施例】
【0055】
<比較例2>
正極に活性炭電極、負極にリチウムイオンプレドープ済み黒鉛電極を用いたリチウムイオンキャパシタ(LIC)を、アルミニウム合金製正極側セルケース、SUS製負極側セルケース、エッチドアルミ箔集電体に接着したヤシ殻系活性炭(クラレケミカル製YP50F)ディスク状正極(15.5mm直径)、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質膜、銅箔集電体に塗布したリチウムイオンプレドープ済み黒鉛ディスク状負極(15.5mm直径)、電解液としての1mol/LのLiPF6を含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート混合溶液(3:7)を用いて作製した。
【実施例】
【0056】
<比較例3>
正極体として特許文献1に示されるフッ化黒鉛(セントラル硝子(株)製セフボン型番CMC)を用いる以外は、実施例1と同様にフッ化黒鉛リチウムキャパシタを作製した。
【実施例】
【0057】
<比較試験1と評価>
実施例1の酸化黒鉛リチウムキャパシタを40℃の環境温度下において、40mA/gの定電流で充電(充電上限電圧4.0V)放電(放電下限電圧2.0V)を5サイクル繰り返した。この時の電気化学特性は、図3に示すように、実施例1の酸化黒鉛リチウムキャパシタの場合では、電池としての放電が放電開始から約13時間まで続いた後、キャパシタとしての充放電に切り替わった。1サイクル目のキャパシタとしての充電は充電上限電圧4.0Vまでゆるやかに上昇した後、放電下限電圧2.0Vまで急速に放電した。2サイクル目以降は時間に対してほぼ直線的な充放電曲線の形状を有するというキャパシタ的な挙動の特徴を示した。また、比較例3のフッ化黒鉛リチウムキャパシタは、図4に示すように、電池としての放電が放電開始から約21時間まで続いた後、キャパシタとしての充放電に切り替わった。1サイクル目のキャパシタとしての充電は充電上限電圧4.0Vまで急速に上昇した後、放電下限電圧2.0Vまで急速に放電した。2サイクル目以降は時間に対してほぼ直線的な充放電曲線の形状を有するというキャパシタ的な挙動の特徴を示した。
【実施例】
【0058】
その結果、実施例1の酸化黒鉛リチウムキャパシタ17は、サイクルと共に容量が劣化することはなく、キャパシタとして充放電が可能であった。
【実施例】
【0059】
充放電挙動が安定してからの酸化黒鉛リチウムキャパシタ17の容量を放電曲線から算出した。正極重量で規格化した容量は72Fg-1であり、この値はフッ化黒鉛リチウムキャパシタの容量40Fg-1よりも大きかった。
【実施例】
【0060】
<比較試験2と評価>
充放電サイクル試験により容量を安定化させた後、定電力試験(4-2V間)を行った。定電力放電によってセルから放電できたエネルギーを計測することで、実施例1、比較例1~3のエネルギー密度を測定した。この結果、最大エネルギー密度は、実施例1の酸化黒鉛リチウムキャパシタ17(GOLi)では78WhL-1であった。これに対して、比較例1の電気二重層キャパシタ(EDLC)の13WhL-1、比較例2のリチウムイオンキャパシタ(LIC)の53WhL-1、比較例3のフッ化黒鉛リチウムキャパシタの52WhL-1であり、実施例1の酸化黒鉛リチウムキャパシタ17に比べ最大エネルギー密度は低かった。このため、酸化黒鉛リチウムキャパシタは優れた蓄電デバイスとなる可能性があることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のキャパシタは、再生可能エネルギーの電力貯蔵システム、電気自動車のパワーアシスト電源等として用いられる。
【符号の説明】
【0062】
C1:正極側セルケース
C2:負極側セルケース
1:一次電池正極
2:一次電池負極
3:一次電池電解液
4:セパレータ
5:ガイドリング
6:電極押さえ
7:リチウム一次電池
11:キャパシタ正極
12:キャパシタ負極
13:キャパシタ電解液
17:キャパシタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3