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明細書 :近赤外線発光を示すポルフィリンガラス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年6月20日(2019.6.20)
発明の名称または考案の名称 近赤外線発光を示すポルフィリンガラス
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
C07F   3/06        (2006.01)
C07F  19/00        (2006.01)
C09B  67/46        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  19/02        (2006.01)
A61K  49/00        (2006.01)
A61K  41/00        (2006.01)
A61K  31/695       (2006.01)
A61K   9/10        (2006.01)
A61K  47/10        (2006.01)
C09B  47/00        (2006.01)
FI C09K 11/06
C07F 7/10 CSPV
C07F 3/06
C07F 19/00
C09B 67/46 A
A61P 35/00
A61P 29/00 101
A61P 19/02
A61K 49/00
A61K 41/00
A61K 31/695
A61K 9/10
A61K 47/10
C09B 47/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 29
出願番号 特願2018-535648 (P2018-535648)
国際出願番号 PCT/JP2017/029705
国際公開番号 WO2018/038025
国際出願日 平成29年8月21日(2017.8.21)
国際公開日 平成30年3月1日(2018.3.1)
優先権出願番号 2016161750
優先日 平成28年8月22日(2016.8.22)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】森末 光彦
【氏名】佐々木 園
【氏名】中西 貴之
【氏名】長谷川 靖哉
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4C084
4C085
4C086
4H048
4H049
4H050
Fターム 4C076AA16
4C076BB11
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC27
4C076CC50
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4C086ZC78
4H048AA01
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4H048AB92
4H048VA32
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4H049VP02
4H049VQ73
4H049VQ96
4H049VR24
4H049VU29
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB92
要約 非晶質であり下記一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物を含む近赤外発光性材料が提供される。
JP2018038025A1_000048t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
非晶質であり下記一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物を含む近赤外発光性材料。
【化1】
JP2018038025A1_000038t.gif
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
1,L3,L4は各々独立に炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
2は直接結合又は炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
Arは
【化2】
JP2018038025A1_000039t.gif
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
【請求項2】
前記L1,L2,L3,L4の炭素数2~20の共役鎖状連結基が下記のいずれかであり、kが1~4である請求項1に記載の近赤外発光性材料。
【化3】
JP2018038025A1_000040t.gif

【請求項3】
前記ポルフィリン系化合物が、式(II)で表わされるポルフィリン系化合物である請求項1に記載の近赤外発光性材料。
【化4】
JP2018038025A1_000041t.gif
(式中、Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
Arは
【化5】
JP2018038025A1_000042t.gif
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
nは1以上の整数である。)
【請求項4】
前記ポルフィリン系化合物が、式(III)で表わされるポルフィリン系化合物である請求項1に記載の近赤外発光性材料。
【化6】
JP2018038025A1_000043t.gif
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
5は炭素数2~20の共役鎖状連結基である。
Arは
【化7】
JP2018038025A1_000044t.gif
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
【請求項5】
700nm~1400nmの波長でエキシマー発光する請求項1~4のいずれか一項に記載の近赤外線材料。
【請求項6】
式(IV)で表わされるポルフィリン系化合物。
【化8】
JP2018038025A1_000045t.gif
式中、nは1又は2であり、Arは
【化9】
JP2018038025A1_000046t.gif
であり、Rは
【化10】
JP2018038025A1_000047t.gif
である。)
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の近赤外線材料又は請求項6に記載のポルフィリン系化合物を含む、蛍光プローブ又は光線力学療法用光増感剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の近赤外線材料又は請求項6に記載のポルフィリン系化合物と、界面活性剤とが水性溶媒中に分散された分散液。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質で近赤外線発光を示すポルフィリン系化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
波長700~1400nmの近赤外波長領域は生体組織の吸収・散乱が最小となる“生体の窓”と呼ばれ、先端医療における診断及び治療技術に特に有効な波長領域とされている。しかしながら、吸収・発光が長波長になるようにHOMO-LUMOギャップを狭くすると、無輻射失活の速度が速くなることが知られており(エネルギーギャップ則)、近赤外波長領域において発光する近赤外発光性材料の開発は挑戦的な課題である。
【0003】
しかも、HOMO-LUMOギャップを狭くするために化合物のπ共役体を拡張するとπスタッキングによる非発光性会合種を形成しやすくなることから、近赤外発光性材料の開発では会合状態の制御も重要になる。
【0004】
非特許文献1にはπ共役系が個別にスタックされたピリジルとポルフィリンの繰り返し配列から構成された二本鎖のポルフィリンアレイについて開示しているが、近赤外発光性材料への適用については記載されていない。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Chem. Sci., 2015, 6, 6199-6206
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、非晶質状態で発光特性を示すポルフィリン系化合物を含む近赤外発光性材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、複数のポルフィリン環を共役鎖状連結基で結合してπ共役系を拡張した特定のポルフィリン系化合物が、固体凝集してもアモルファス(非晶質)状態となり、発光特性を維持しながらエキシマー発光が近赤外領域に達することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明によれば、非晶質であり下記一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物を含む近赤外発光性材料が提供される。
【0009】
【化1】
JP2018038025A1_000003t.gif

【0010】
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
1,L3,L4は各々独立に炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
2は直接結合又は炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
Arは
【0011】
【化2】
JP2018038025A1_000004t.gif

【0012】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
一実施形態において、上記L1,L2,L3,L4の炭素数2~20の共役鎖状連結基が下記のいずれかであり、kが1~4である。
【0013】
【化3】
JP2018038025A1_000005t.gif

【0014】
一実施形態において、上記ポルフィリン系化合物は、式(II)で表わされるポルフィリン系化合物である。
【0015】
【化4】
JP2018038025A1_000006t.gif

【0016】
(式中、Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
Arは
【0017】
【化5】
JP2018038025A1_000007t.gif

【0018】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
nは1以上の整数である。)
一実施形態において、上記ポルフィリン系化合物は、式(III)で表わされるポルフィリン系化合物である。
【0019】
【化6】
JP2018038025A1_000008t.gif

【0020】
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
5は炭素数2~20の共役鎖状連結基である。
【0021】
Arは
【0022】
【化7】
JP2018038025A1_000009t.gif

【0023】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
一実施形態において、上記のいずれかの近赤外線材料は、700nm~1400nmの波長でエキシマー発光する。
【0024】
一実施形態において、本発明は式(IV)で表わされるポルフィリン系化合物である。
【0025】
【化8】
JP2018038025A1_000010t.gif

【0026】
式中、nは1又は2であり、Arは
【0027】
【化9】
JP2018038025A1_000011t.gif

【0028】
であり、Rは
【0029】
【化10】
JP2018038025A1_000012t.gif

【0030】
である。)
一実施形態において、本発明は、上記いずれかの近赤外線材料又は上記ポルフィリン系化合物を含む、蛍光プローブ又は光線力学療法用光増感剤である。
【0031】
一実施形態において、本発明は、上記のいずれの近赤外線材料又は上記ポルフィリン系化合物と、界面活性剤とが水性溶媒中に分散された分散液である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、非晶質状態で近赤外発光を示す高性能な近赤外発光性材料を提供することができる。本発明の近赤外発光性材料はポルフィリン骨格を含むため生体適合性が高く、バイオイメージングや光線力学療法の薬剤としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】示差走査熱量測定の結果を示すグラフ。
【図2】X線散乱測定の結果を示すグラフ。
【図3】近赤外発光測定の結果を示すグラフ。上の図は500nmで励起した発光スペクトルであり、左図は970nmでモニタした励起(線(1))及び吸収スペクトル(線(2))を示す。
【図4】X線散乱測定の結果を示すグラフ。
【図5】水に分散させたポルフィリンの近赤外発光測定の結果を示すグラフ。左側のグラフは発光スペクトル、右のグラフは420nmで励起した発光スペクトルであり、左のグラフは吸収スペクトルを示す。
【図6】670nmで励起して1000nm以上の発光で検出した、ポルフィリンの近赤外発光像。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において近赤外波長領域とは700nm~1400nmの波長領域を指す。

【0035】
本発明の近赤外発光性材料は、非晶質であり下記一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物を含む。

【0036】
【化11】
JP2018038025A1_000013t.gif

【0037】
式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
1,L3,L4は各々独立に炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
2は直接結合又は炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
Arは

【0038】
【化12】
JP2018038025A1_000014t.gif

【0039】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。

【0040】
なお、L2が直接結合であるとは、L2が存在せず、ポルフィリン環とL3が直接結合していることを指す。

【0041】
前記一般式(I)において、R1~R16のハロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のものが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基等の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭化水素系アリール基、又は、チエニル基、フリル基、ピリジル基等の複素環系アリール基が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭化水素系アリールオキシ基、又は、チエニルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基等の複素環系アリールオキシ基等が挙げられる。アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基で1置換又は2置換されたアミノ基挙げられる。アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、ペンタデシルチオ基等の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが挙げられる。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基が挙げられる。

【0042】
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基及びアリールチオ基の置換基としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等の炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;又は、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。

【0043】
好ましくは、R1~R16は各々独立に、水素、アルキル基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、R1~R16は水素である。

【0044】
Mの2個の水素原子又は2価以上の金属原子は、その価電子数に応じてポルフィリン環の窒素原子と結合する。2価以上の金属原子は、金属イオンの状態であるものを含む。

【0045】
2価以上の金属原子は、ポルフィリン環内部に配位し得るものであればよく、例えばAl,Si,Mg,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Sn,Pt,Au等が挙げられ、蛍光発光の点で2価のMg,Zn,Sn、3価のAl,Ga又は4価のSiが好ましく、リン光発光性の点でPd,Ptが好ましい。

【0046】
好ましくは、L1,L3,L4が下記のいずれかの共役鎖状連結基であり、L2が直接結合又は下記のいずれかの共役鎖状連結基であり、kが1~4である。

【0047】
【化13】
JP2018038025A1_000015t.gif

【0048】
1,L2,L3,L4が炭素-炭素の共役不飽和結合を有することが、π共役系を拡張するために好ましい。

【0049】
好ましくは、L1,L2,L3,L4はエチレニン基又はオリゴエチニレン基であり、より好ましくは、L1,L2,L3,L4はエチレニン基である。

【0050】
一つの実施形態では、nが1以上の整数であり、L1,L2,L3,L4はエチレニン基である。

【0051】
別の実施形態では、nが1であり、L2は直接結合であり、L1,L3,L4はエチレニン基である。

【0052】
Rは、置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基である。理論に束縛されるわけではないが、本発明のポルフィリン系化合物が、光励起状態で分子間相互作用し、固体凝集しても非晶質状態となり近赤外波長領域で発光するために、Rは分岐鎖を有することが有利であると考えられる。

【0053】
Rの分岐鎖の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基等の炭素数3~20の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ペプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基等の炭素数2~20の分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ペプチニル基、オクチニル基、ノニリル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、ペンタデシニル基等の炭素数3~20の分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。

【0054】
Rの分岐鎖の炭化水素基の炭素数は3~20個であることが好ましく、5~12個であることがより好ましい。

【0055】
Rが2つのイソプレン単位からなるテルペン由来の飽和又は不飽和の分岐炭化水素の構造を有すると、生体適合性に優れている。

【0056】
Rの置換基としては、ハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルキル基;炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;又は、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。

【0057】
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基である。

【0058】
17~R22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ペプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基等の炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ペプチニル基、オクチニル基、ノニリル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、ペンタデシニル基等の炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。

【0059】
17~R22の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基等の炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。

【0060】
17~R22の炭化水素基又はアルコキシ基の置換基としては、各々独立に、ハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルキル基;炭素数1~10、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基;又は、弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。

【0061】
nの上限は特に限定されないが、例えばnは20以下の整数である。

【0062】
好ましい一実施形態では、本発明のポルフィリン系化合物は、式(II)で表わされるポルフィリン系化合物である。

【0063】
【化14】
JP2018038025A1_000016t.gif

【0064】
式中、Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
Arは

【0065】
【化15】
JP2018038025A1_000017t.gif

【0066】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
nは1以上の整数である。

【0067】
M、Ar,Rは一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物に関して説明したのと同一である。

【0068】
別の好ましい実施形態では、本発明のポルフィリン系化合物は、式(III)で表わされるポルフィリン系化合物である。

【0069】
【化16】
JP2018038025A1_000018t.gif

【0070】
1~R16、M、L1,L4,Ar,R,R17~R22は一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物に関して説明したのと同一である。

【0071】
5は炭素数2~20の共役鎖状連結基である。

【0072】
さらに好ましい実施形態では、本発明のポルフィリン系化合物は、式(IV)で表わされるポルフィリン系化合物である。

【0073】
【化17】
JP2018038025A1_000019t.gif

【0074】
式中、nは1又は2であり、Arは

【0075】
【化18】
JP2018038025A1_000020t.gif

【0076】
であり、Rは

【0077】
【化19】
JP2018038025A1_000021t.gif

【0078】
である。)
本発明の一般式(I)~(IV)で表されるポルフィリン系化合物は、異性体を有する場合があるが、すべての異性体(R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、そのラセミ混合物、及びその他の混合物)は本発明に包含される。

【0079】
本発明のポルフィリン系化合物は、2つ以上のポルフィリン環を共役鎖状連結基で結合することによりπ共役系が拡張されているが、予想外なことに、固体凝集してもアモルファス(非晶質)状態となることで、発光性が失われず、近赤外波長領域で発光することが判明した。

【0080】
好ましくは、本発明のポルフィリン系化合物は、常温すなわち20℃で非晶質固体となる。

【0081】
本発明のポルフィリン系化合物は、水性溶媒または有機溶媒に分散させて適当な濃度で使用することもできる。水性溶媒は基本的には水であり、水の他に、アルコール等の水に溶解可能な化合物を含んでもよい。本発明のポルフィリン系化合物を含む分散液は、界面活性剤、無機塩を初めとするイオン性化合物等の追加成分を含んでもよい。

【0082】
また、本発明のポルフィリン系化合物は二光性吸収特性を有するため、空間選択的な光吸収を実現したり、レーザ照射の際に高い空間分解能を与えたりすることができる。

【0083】
好ましくは、本発明のポルフィリン系化合物は、700nm~1400nmの波長でエキシマー発光する。このため、本発明のポルフィリン系化合物を含む近赤外線材料は、近赤外波長領域における発光体として優れている。

【0084】
本発明のポルフィリン系化合物は、アルキルシラン又はアルコキシシランが共役鎖状連結基によりポルフィリンに連結されたポルフィリンの単量体である化合物と、アルキルシラン又はアルコキシシランが共役鎖状連結基によりポルフィリンに連結されたもう一つのポルフィリンの単量体である化合物(n=1の場合)又はアルキルシラン又はアルコキシシランが連結されていないがポルフィリンの10位と20位の位置に共役鎖状連結基を有するポルフィリンの単量体である化合物(n=2以上の場合)とを、トリエチルアミン等の有機溶媒中でPd(PPh3)2Cl2、CuIを触媒として加えて反応させ、それぞれのポルフィリンの10位と20位の位置で共役鎖状連結基を介して連結することにより製造することができる。

【0085】
本発明のポルフィリン系化合物は、ポルフィリン環を有し、微生物又は細胞などへの生体親和性が高いため、生化学分野における蛍光色素や医療分野における光線力学療法用の光増感剤として好ましく利用することができる。

【0086】
光線力学療法(PDT)は、ポルフィリンなどの光増感剤を患者に投与した後、治療部位のみに光を照射して治療部位で選択的に光増感剤を活性化することによって悪性腫瘍(肺がん、胃がん、食道がん、子宮頚がん等)や慢性関節リウマチ等の疾患を治療する療法である。本発明のポルフィリン系化合物をPDT用の光増感剤として用いる場合には、薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、通常は注射剤の形態で用いればよい。PDT治療を行う場合には、治療部位にポルフィリン系化合物を含む注射剤を投与し、その後、治療部位に光を照射し、ポルフィリンを活性化することによって一重項酸素(12)を発生させ、この12により治療部位を酸化して病巣を破壊することができる。照射される光は、ポルフィリン系化合物を活性化するのに適当な波長及び強度のものから選択することができる。

【0087】
また、本発明のポルフィリン系化合物は、生体イメージング用の蛍光プローブとして、癌組織のイメージングにも好ましく利用することができる。本発明のポルフィリン系化合物を用いれば、近赤外波長領域で体内深部を高感度に観察しながら治療することが可能となる。

【0088】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。

【0089】
例えば、上述の実施形態及び下記の実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。

【0090】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本発明は以下の構成を採用することもできる。
[1]非晶質であり下記一般式(I)で表わされるポルフィリン系化合物を含む近赤外発光性材料。

【0091】
【化20】
JP2018038025A1_000022t.gif

【0092】
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
1,L3,L4は各々独立に炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
2は直接結合又は炭素数2~20の共役鎖状連結基であり、
Arは

【0093】
【化21】
JP2018038025A1_000023t.gif

【0094】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
[2]前記L1,L3,L4が下記のいずれかの共役鎖状連結基であり、L2が直接結合又は下記のいずれかの共役鎖状連結基であり、kが1~4である[1]に記載の近赤外発光性材料。

【0095】
【化22】
JP2018038025A1_000024t.gif

【0096】
[3]nが1以上の整数であり、L1,L2,L3,L4はエチレニン基又はオリゴエチニレン基である[1]に記載の近赤外発光性材料。
[4]nが1であり、L2は直接結合であり、L1,,L3,L4はエチレニン基又はオリゴエチニレン基である[1]に記載の近赤外発光性材料。
[5]Rが炭素数3~20の分岐鎖状のアルキル基、炭素数2~20の分岐鎖状のアルケニル基、又は炭素数3~20の分岐鎖状のアルキニル基である[1]~[4]のいずれか一項に記載の近赤外発光性材料。
[6]R17~R22は各々独立に炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、若しくは炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基である[1]~[5]のいずれか一項に記載の近赤外発光性材料。
[7]前記ポルフィリン系化合物が、式(II)で表わされるポルフィリン系化合物である[1]に記載の近赤外発光性材料。

【0097】
【化23】
JP2018038025A1_000025t.gif

【0098】
(式中、Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
Arは

【0099】
【化24】
JP2018038025A1_000026t.gif

【0100】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
nは1以上の整数である。)
[8]前記ポルフィリン系化合物が、式(III)で表わされるポルフィリン系化合物である[1]に記載の近赤外発光性材料。

【0101】
【化25】
JP2018038025A1_000027t.gif

【0102】
(式中、R1~R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いジアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、又は置換基を有していても良いアリールチオ基を表し、
Mは2個の水素原子又は2価以上の金属原子を表し、
5は炭素数2~20の共役鎖状連結基である。

【0103】
Arは

【0104】
【化26】
JP2018038025A1_000028t.gif

【0105】
であり、Rは置換基を有していても良い分岐鎖の炭化水素基であり、
17~R22は各々独立に置換基を有していても良い直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基又は置換基を有していても良いアルコキシ基であり、
nは1以上の整数である。)
[9]L1,L4,L5はエチレニン基又はジエチニレン基である[8]に記載の近赤外発光性材料。
[10]L1,L4はエチレニン基であり、L5はエチレニン基又はジエチニレン基である[8]に記載の近赤外発光性材料。
[11]Rが炭素数3~20の分岐鎖状のアルキル基、炭素数2~20の分岐鎖状のアルケニル基、又は炭素数3~20の分岐鎖状のアルキニル基である[8]~[10]のいずれか一項に記載の近赤外発光性材料。
[12]R17~R22は各々独立に炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、若しくは炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基である[8]~[11]のいずれか一項に記載の近赤外発光性材料。
[13]700nm~1400nmの波長でエキシマー発光する[1]~[12]のいずれか一項に記載の近赤外線材料。
[14]前記ポルフィリン系化合物が、式(IV)で表わされるポルフィリン系化合物である[1]に記載の近赤外発光性材料。

【0106】
【化27】
JP2018038025A1_000029t.gif

【0107】
式中、nは1又は2であり、Arは

【0108】
【化28】
JP2018038025A1_000030t.gif

【0109】
であり、Rは

【0110】
【化29】
JP2018038025A1_000031t.gif

【0111】
である。)
[15]式(IV)で表わされるポルフィリン系化合物。

【0112】
【化30】
JP2018038025A1_000032t.gif

【0113】
式中、nは1又は2であり、Arは

【0114】
【化31】
JP2018038025A1_000033t.gif

【0115】
であり、Rは

【0116】
【化32】
JP2018038025A1_000034t.gif

【0117】
である。)
[16][1]~[14]のいずれか一項に記載の近赤外線材料又は[15]に記載のポルフィリン系化合物を含む、蛍光プローブ又は光線力学療法用光増感剤。

【0118】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0119】
試験例1 本発明のポルフィリン系化合物の合成例
(1)比較例1,2及び実施例1,2のポルフィリン系化合物
下記に示すように、本実施例では、比較例1として化合物1、比較例2として化合物2、実施例1として化合物3、実施例2として化合物4のポルフィリン系化合物を使用した。
【実施例】
【0120】
比較例1及び比較例2の化合物はChemical Science 2015, 6, 6199-6206)の追補(Supplementary Information)に記載の合成法に従って製造した。
【実施例】
【0121】
【化33】
JP2018038025A1_000035t.gif
【実施例】
【0122】
(2)実施例1のポルフィリンダイマーの合成
【実施例】
【0123】
【化34】
JP2018038025A1_000036t.gif
【実施例】
【0124】
化合物5及び化合物6をChemical Science 2015, 6, 6199-6206)のSupplementary Informationに記載の合成法に従って製造し、20 mLシュレンクフラスコ中で化合物5 (14 mg, 8.2 μmol), 化合物6 (85 mg, 50 μmol)のトリエチルアミン (6 mL)溶液を凍結脱気し, そこへPd(PPh3)4 (1.3 mg, 1.1 μmol), CuI (0.7 mg, 3.7 μmol)を加えて再び凍結脱気した後, 50℃で18時間加熱攪拌した. この溶液をトルエンで希釈し, 水で洗浄して得た有機層をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製した後, 排除体積クロマトグラフィー(トルエン/ピリジン= 20/1, v/v)で精製し, 実施例1のポルフィリン系化合物である化合物3 を暗緑色固体として得た。
収量: 24 mg (7.4 μmol)
収率: 90%
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 10.38 (d, J = 4.2 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.78 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.23 (d, J = 4.2 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.07 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 7.47 (s, 8H; meso-Ar), 4.4-4.1 (m, 24H; ArOCH2-), 2.2-0.8 (m, 270H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ152.8, 152.7, 151.2, 150.4, 150.3, 137.1, 131.3, 123.3, 114.0, 72.0, 67.7, 39.5, 39.2, 37.7, 37.4, 36.5, 29.9, 29.7, 28.1, 27.9, 24.9, 24.7, 22.8, 22.71, 22.66, 22.55, 19.8, 19.7, 19.1. MALDI-TOF MS (dithranol): m/z calc for C208H318N8O12Si2Zn2: 3304.26; found 3304.76 [M]+
【実施例】
【0125】
(3)実施例2のポルフィリンダイマーの合成
【化35】
JP2018038025A1_000037t.gif
【実施例】
【0126】
50 mLナスフラスコ中で化合物5 (19 mg, 12 μmol)のトリエチルアミン(5 mL)溶液を攪拌しながら, Pd(PPh3)2Cl2(1.3 mg, 1.9μmol), CuI (1.1 mg, 5.8 μmol), I2 (45 mg, 0.18 mmol)を加え, 室温・大気雰囲気下で13時間攪拌した. この溶液をトルエンで希釈し, 飽和Na2S2O3水溶液と飽和食塩水で洗浄して得た有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製した後, 排除体積クロマトグラフィー(トルエン/ピリジン= 5/1, v/v)で精製し, 実施例2のポルフィリン系化合物である化合物4 を暗緑色固体として得た。
収量 10 mg (3.1 μmol)
収率 54%
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.97 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.77 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.15 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.06 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 7.44 (s, 8H; meso-Ar), 4.4-4.1 (m, 24H; ArOCH2-), 2.2-0.8 (m, 270H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ153.2, 152.5, 151.0, 150.5, 150.1, 137.7, 137.0, 133.4, 133.0, 131.4, 131.0, 123.3, 114.1, 102.6, 100.1, 99.0, 87.7, 82.6, 71.9, 67.6, 39.5, 39.2, 37.7, 37.5, 37.4, 36.4, 29.9, 28.1, 27.9, 24.9, 24.7, 22.8, 22.72, 22.69, 22.6, 19.8, 19.6, 19.1, 11.9. MALDI-TOF MS (dithranol): m/zcalc for C210H318N8O12Si2Zn2: 3328.26; found 3328.67 [M]+
【実施例】
【0127】
試験例2 示差走査熱量(DSC)測定
サンプル2-7 mgをアルミ製パンに精秤し, 毎分10 ℃で昇温しながら, 電気冷却機付きDSC-60Plus(株式会社島津製作所製)を使用して、比較例1,2及び実施例1,2の化合物について熱量分析を行った。結果を図1に示す。
比較例1,2の化合物のガラス転移温度はそれぞれ-6℃及び19℃であり、室温(25℃)では粘稠性の液体であったが、実施例1,2のガラス転移温度はそれぞれ31℃及び59℃であり、室温では非晶質ガラスの状態であった。
【実施例】
【0128】
試験例3 微小角入射X線散乱測定
シリコンウエハー(Si(100), 三菱マテリアルトレーディング株式会社)に、スピンコーター(MS-A100, ミカサ株式会社製)で0.5 mM の実施例2のポルフィリン化合物の溶液をスピンコートし、薄膜を作製した(500 rpmで30秒, 1000 rpmで60秒)。この基板試料にSPring-8のビームラインBL45XUを使用して入射角0.11度、波長0.1 nmのX線照射を行い, X線散乱測定を行った。得た二次元散乱パターンから, 散乱ベクトル(q)14 nm-1付近に非晶質由来のブロードなピークを観察した。結果を図2に示す。
図2のグラフ中に矢印で示すように、実施例2のポルフィリン化合物の溶液では、非晶質に由来するブロードな散乱ピークが観察された。
【実施例】
【0129】
試験例4 近赤外発光測定
石英基板(15 × 35 mm, 厚さ1 mm, 仙台石英製) にスピンコーターで(MS-A100, ミカサ製)0.5 mM のポルフィリン溶液をスピンコートした(500 rpmで30秒, 1000 rpmで60秒)。 近赤外の発光はモジュール型蛍光分光光度計 Fluorolog-3(堀場製作所製)に, 液体窒素冷却式の浜松フォトニクス近赤外光電子倍増管を付けたものを使用した。励起及び発光のバンド幅は10 nmで測定を行った。 結果を図3に示す。
近赤外波長領域における発光スペクトルの励起波長依存性から, 実施例2のポルフィリンガラスを励起すると近赤外発光を得ることができることがわかった。 またガラスマトリクスとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)中にポルフィリンを低濃度分散(少なくとも10重量%以下)すると近赤外発光が観察されなくなったことから, 近赤外発光がポルフィリンガラスのエキシマー形成に由来する現象であることが明らかとなった。
【実施例】
【0130】
試験例5 水中での微粒子化とその近赤外発光特性
実施例2の化合物4のポルフィリンを、バチルアルコール(CH3(CH2)17OCH2CH(OH)CH2OH)を界面活性剤として含む水に粒径33 nm程度の粒子として分散した。
この微粒子の粒径を動的光散乱により決定した。結果を図4に示す。
【実施例】
【0131】
試験例6 近赤外発光測定
試験例5で作成した薄膜に、試験例4に記載した分光光度計を使用して、水中での実施例2の化合物4のポルフィリンの近赤外発光特性を確認した。結果を図5に示す。
図5の吸収及び発光スペクトルから、水中で分散した微粒子でも石英基板上の分光特性をほぼ維持していることが分かった。また、バイアル管中のポルフィリン微粒子の試料を670 nmで励起し、1000-1600 nmで観察すると、近赤外発光像として画像化可能であった(図6)。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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