TOP > 国内特許検索 > 川崎病の検査方法および試験片 > 明細書

明細書 :川崎病の検査方法および試験片

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年6月13日(2019.6.13)
発明の名称または考案の名称 川崎病の検査方法および試験片
国際特許分類 G01N  33/543       (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
FI G01N 33/543 521
G01N 33/53 V
G01N 33/53 W
国際予備審査の請求
全頁数 20
出願番号 特願2018-532985 (P2018-532985)
国際出願番号 PCT/JP2017/028236
国際公開番号 WO2018/030270
国際出願日 平成29年8月3日(2017.8.3)
国際公開日 平成30年2月15日(2018.2.15)
優先権出願番号 2016156241
優先日 平成28年8月9日(2016.8.9)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】堀内 弥生
【氏名】森 雅亮
【氏名】平野 久
【氏名】齋藤 洋子
出願人 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098121、【弁理士】、【氏名又は名称】間山 世津子
【識別番号】100107870、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 健一
審査請求 未請求
要約 川崎病を迅速、簡便に検査する方法および試験片を提供する。
被験者由来の検体中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)及びロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)のレベルを測定することを特徴とする川崎病の検査方法。抗LBP抗体が固定化されている担体及び抗LRG1抗体が固定化されている担体を含む、イムノクロマト法により川崎病を検出するための試験片。
特許請求の範囲 【請求項1】
被験者由来の検体中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)及びロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)のレベルを測定することを特徴とする川崎病の検査方法。
【請求項2】
LBPのレベル及びLRG1のレベルが、それぞれ、所定の値より高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、また、所定の値より低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験者由来の検体が、血清、全血又は血漿である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記LBPのレベル及びLRG1のレベルの測定が、イムノクロマトグラフ法であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の川崎病の検査方法。
【請求項5】
抗LBP抗体が固定化されている担体及び抗LRG1抗体が固定化されている担体を含む、イムノクロマト法により川崎病を検出するための試験片。
【請求項6】
抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、同じ試験片に含まれる請求項5記載の試験片。
【請求項7】
抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、別々の試験片に含まれる請求項5記載の試験片。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、川崎病の検査方法および試験片に関する。
【背景技術】
【0002】
川崎病は主に4歳以下の乳幼児にみられる急性熱性発疹性疾患であり、病態の主体は全身血管炎である。川崎病の診断は複数の主要症状(1.5日以上続く発熱 、2.両側眼球結膜の充血 、3.口唇発赤、苺舌、4.不定形発疹 、5.急性期の手指の硬性・手掌および足底紅斑、解熱後の膜様落屑、6.頸部の非化膿性リンパ節腫脹)の出現により行われている(川崎病診断の手引き)。血液検査では、白血球数・C反応性タンパク質・肝細胞逸脱酵素の上昇、赤沈の亢進、白血球分画(好中球比率)等を調べ、断層心エコー法や心血管造影法による冠状動脈病変の確認なども行われている。
【0003】
川崎病は自然に軽快する疾患ではあるが、無治療で経過した場合に25~30%の患者に冠状動脈病変に代表される心合併症が生じる。そのため、川崎病では発症早期に治療を開始し、炎症を鎮静化することが重要であり、一日でも有熱期間を短縮するとともに、心合併症の発生を防ぐことが必要である。しかし、川崎病は病因や発症メカニズムについては未だ不明であり、特異的診断検査はなく、主要症状についても個人差があり、診断基準を満たさない例も多数存在する。そのため、川崎病の迅速な確定診断は難しい。
【0004】
また、川崎病の診断に関する特許としては、血中のVEGF(血管内皮増殖因子:vascular endothelial growth factor)濃度を測定する方法(特許文献1:特開平11-6832)、1又は複数のスーパー抗原に対するIgMを測定する方法(特許文献2:特開平3-139294)、その他、遺伝子多型の調査(特許文献3:特開2009-72193)などがあるが、臨床の現場で実際に活用されているものはまだない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平11-6832号公報
【特許文献2】特開平3-139294号公報
【特許文献3】特開2009-72193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、川崎病を迅速、簡便に検査する方法および試験片を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意努力した結果、リポ多糖結合タンパク質(Lipopolysaccharide binding protein (LBP))及びロイシンリッチα2-グリコプロテイン1(Leucine-rich alpha-2-glycoprotein 1(LRG1))について、急性期(発熱時)の患者と健常者又は小児疾患患者(自己免疫疾患)との血清中での発現量差が統計的に有意(p<0.0001)であり、かつ、適正なカットオフ値を設定することで、特異的かつ感度良く、川崎病の診断ができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。本発明の要旨は以下の通りである。
(1)被験者由来の検体中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)及びロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)のレベルを測定することを特徴とする川崎病の検査方法。
(2)LBPのレベル及びLRG1のレベルが、それぞれ、所定の値より高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、また、所定の値より低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定する(1)記載の方法。
(3)被験者由来の検体が、血清、全血又は血漿である(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記LBPのレベル及びLRG1のレベルの測定が、イムノクロマトグラフ法であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の川崎病の検査方法。
(5)抗LBP抗体が固定化されている担体及び抗LRG1抗体が固定化されている担体を含む、イムノクロマト法により川崎病を検出するための試験片。
(6)抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、同じ試験片に含まれる(5)記載の試験片。
(7)抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、別々の試験片に含まれる(5)記載の試験片。
【0009】
川崎病と診断される患者は年間1万人程度である。それ以外の原因不明の小児の熱性疾患患者数も非常に多く、これら患者に対して初期スクリーニング検査として、川崎病診断を行うようになれば市場規模は大きい。また、初期スクリーニング検査、さらには、重症度の判定にも応用できれば、治療薬として高価なガンマグロブリン製剤を無為に使用することも避けられ、医療費の節約にもつながる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、主要症状による診断に加えて、患者負担が少ない検査方法で、非常に高い確率で迅速に川崎病を診断できる。また、川崎病の治療効果の確認もできる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2016‐156241の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】急性期患者55名と小児健常者(アレルギー検査時)13名、小児疾患患者(自己免疫疾患)24名の血清を用いて、LBPとLRG1の血清中の量を調べたもの。
【図2】LBP、LRG1のROC(Receiver Operating Characteristic curve、受信者動作特性曲線)解析の結果。縦軸に感度% (真に川崎病である人を検査したときに陽性となる割合) 、横軸に100%-特異度% (川崎病以外の疾患を川崎病であると誤診する割合) をとった。
【図3】イムノクロマト用テストストリップ(試験片)の一実施形態の図。
【図4】イムノクロマト法により、ターゲット分子(抗原)を検出する原理の模式図。
【図5】イムノクロマト用テストストリップ(試験片)の別の一実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0013】
本発明は、被験者由来の検体中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)及びロイシンリッチα2-グリコプロテイン(LRG1)のレベルを測定することを特徴とする川崎病の検査方法を提供する。

【0014】
LBPのレベル及びLRG1のレベルが、それぞれ、所定の値より高い場合に、川崎病に罹患している可能性が高いと判定し、また、所定の値より低い場合に、川崎病に罹患している可能性が低いと判定することができる。

【0015】
川崎病への罹患の有無、特に、他の疾患と区別して診断する際の判断には、所定の値(カットオフ値)を用いることができる。例えば、川崎病急性期において、LBPが25 ng/mL以上かつLRG1が300 ng/mL以上の場合に、高い確度で川崎病と診断できる。よって、本発明の方法は、川崎病の診断(川崎病への罹患の有無の判定)に利用できる。

【0016】
上記説明ではLBP、LRG1の閾値は各々1つずつ設定したので、LBPで2値(以上/未満)、LRG1で2値(以上/未満)化することができる。例えば各々の2値に1または0を割り当てることによって、ソフトウエアによるデジタル判定に供することができる。

【0017】
なお閾値の設定にあたっては、測定値をROC(Receiver Operating Characteristic curve、受信者動作特性曲線)により解析し、その特異度に応じて閾値を設定してもよい(後述の表1参照)。

【0018】
被験者由来の検体は、血清、血液(全血)、血漿などの液状臨床検体であるとよい。

【0019】
検体中のLBP及びLRG1レベルの測定には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、イムノブロット法、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、イムノクロマト法(ICA)、ウェスタンブロット法(WB)などいかなる方法を用いてもよいが、特別な装置や検査技師などのテクニシャンを備えていない、小規模な医療施設でも、その場で診断できるには、イムノクロマト法で測定することが好ましい。

【0020】
また、本発明は、抗LBP抗体が固定化されている担体及び抗LRG1抗体が固定化されている担体を含む、イムノクロマト法により川崎病を検出するための試験片を提供する。

【0021】
LBPに特異的に結合する抗体、LRG1に特異的に結合する抗体は、市販されており、利用可能である。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよい。イムノクロマト法により検査する場合には、ターゲット分子(本発明では、LBP、LRG1)に特異的に結合する抗体(標識抗体)の反応後、ターゲット分子に特異的に結合する抗体(未標識抗体)を反応させ、ターゲット分子の検出を行うとよい。抗体を標識する物質としては、コロイド粒子(例えば、金、銀、白金等の金属コロイド粒子)や、赤色、青色などの顔料または染料で着色されたポリスチレン粒子等の着色不溶性粒子などを例示することができる。

【0022】
担体としては、検出対象物質(ターゲット分子)をクロマト展開可能で、かつ検出対象物質に特異的に結合する抗体を固定可能なものであればよく、毛細管現象により移動しうるよう吸水性に富む材料、例えば多孔性の材料からなる。具体的にはナイロン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、アセチルセルロース、ガラスファイバーやこれらの混合材料などを例示することができる。特にニトロセルロースを好適に用いることができる。

【0023】
抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、同じ試験片に含まれてもよいし、抗LBP抗体が固定化されている担体と抗LRG1抗体が固定化されている担体とが、別々の試験片に含まれてもよい。

【0024】
試験片は、例えば、以下の部材から構成されるとよい。
・検体を滴下するためのサンプルパッド(図3の4)
・ターゲット分子(本発明では、LBP、LRG1)に特異的に結合する標識抗体が固定化されているコンジュゲートパッド(図3の5)
・テストライン(図3の6)にターゲット分子に特異的に結合する未標識抗体が固定化され、コントロールライン(図3の7)に前記標識抗体に特異的に結合する未標識抗体が固定化されているメンブレン
・吸収パッド(図3の8)
・ベースシート(図3の2)
サンプルパッド(図3の4)は、
検体試料液を滴下する部位であり、吸水性の高い材料、例えばスポンジ、ガラスファイバー、ナイロン、セルロース、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース等やその不織布などを用いることができる。なお検査に不要な固形粒子を除去するため、検体液を濾過する機能を有するよう、不織布のメッシュサイズを選択してもよい。サンプルパッド4の厚さに制限はないが、0.1~3mmが好適に用いられる。

【0025】
コンジュゲートパッド(図3の5)には、ターゲット分子(本発明では、LBP、LRG1)に特異的に結合する標識抗体が含まれている。

【0026】
コンジュゲートパッド(標識部位)5は、標識抗体を固定するため吸水性の材料、例えばスポンジ、ガラスファイバー等の不織布などが用いられる。その厚さに制限はないが、0.1~3mmが好適に用いられる。コンジュゲートパッド(標識部位)5は、サンプルパッド4の下流側、テストライン6の上流側、コントロールライン7の上流側に設けることが必要である。

【0027】
コンジュゲートパッドを作製するには、標識物質をターゲット分子(本発明では、LBP、LRG1)の検出に最適な濃度に調整し、ターゲット分子に特異的に結合する抗体に添加して、抗体を標識化した後、グラスファイバー不織布などのパッドに染み込ませ、その後、十分に乾燥するとよい。

【0028】
メンブレン3は、先述したように多孔性の材料からなり、具体的にはナイロン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、アセチルセルロース、ガラスファイバーやこれらの混合材料などを例示することができる。特にニトロセルロースを好適に用いることができる。その厚さに制限はないが、0.1~3mmが好適に用いられる。

【0029】
メンブレン3のテストライン(図3の6)の位置には、ターゲット分子に特異的に結合する抗体(未標識)が固定化されている。その形状は線状であるが、線に限らず、複数のドットが線状に形成されたものでもよい。また線は直線に限らず、円弧や曲線であってもよい。

【0030】
メンブレン3のコントロールライン(図3の7)には、前記標識抗体に特異的に結合する抗体(未標識)が固定化されている。コントロールラインに固定化される抗体としては、抗マウス(mouse) IgG 抗体、抗ヤギ(Goat) IgG 抗体、抗ウサギ(rabbit) IgG 抗体、抗ラット(rat) IgG抗体などを例示することができるが、それらに限定されるわけではない。その形状は線状であるが、線に限らず、複数のドットが線状に形成されたものでもよい。また線は直線に限らず、円弧や曲線であってもよい。吸収パッド8は、毛細管現象で流れてきた検体液と標識抗体を吸収し、液体の流れの方向を制御することができる。

【0031】
吸収パッド8は、試験片1のサンプルパッド4とは異なる一端に設けられ、試験片1上を移動する試料液体を積極的に吸収することにより、検体液に一様な流れを生じさせ、結果的に上流、下流が形成される(サンプルパッド4が上流側、吸収パッド8が下流側となる)。吸収パッド8は、多量の液を吸収できるよう、吸水性の材質でできており、例えば、セルロース、セルロースアセテート、ガラスファイバーなどからなる不織布などが用いられる。その厚さに制限はないが、0.1~3mmが好適に用いられる。

【0032】
ベースシート2は、メンブレン3、サンプルパッド(試料滴下部位)4 、コンジュゲートパッド(標識部位)5、吸収パッド8を裏打ちするもので、液体を透過しない部材、例えば合成樹脂からなるシートである。メンブレン3等の部材が一体となって一定の強度を保つように保持し、検体液が試験片1から外へ流れ出してしまうのを防止する機能もある。合成樹脂は具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。その厚さに制限はないが、0.1~3mmが好適に用いられる。なおベースシート2とメンブレン3、サンプルパッド(試料滴下部位)4 、コンジュゲートパッド(標識部位)5、吸収パッド8は密着して試験片1を構成しているが、輸送時の剥離を防ぐために、接着剤からなる密着層をベースシート2と他の部材の界面に設けてもよい(例えばベースシート2と吸収パッド4の界面、ベースシート2とコンジュゲートパッド5の界面、ベースシート2とメンブレン3の界面、ベースシート2と吸収パッド8の界面)。

【0033】
なお試験片1の大きさに制限はないが、例えば幅0.5~20mm、長さ10~100mmで構成すると診断の際、扱いやすく、目視等で判定しやすく、しかも検体液の使用量も少なくてよい。各構成部材の大きさは試験片1と同じかそれ以下の大きさでカットされ、アセンブリされる。

【0034】
試験片1は、そのまま、ディップスティック式のストリップとして用いてもよいし、検体試料液滴下部と判定部が開口されたプラスチック製ケース内に収容したテストスティックとして用いてもよい。

【0035】
図3を参照して、本発明のイムノクロマト法により川崎病を検出するための試験片1の作製方法の一例を説明する。コンジュゲートパッド(標識部位)5には、検出しようとする抗原と特異的に結合する標識物質が結合した抗体(標識抗体)を塗布する。ベースシート2で裏打ちされたメンブレン3のテストライン(第1検出領域)6には、被検出物質である抗原(本発明では、LBP、LRG1)と特異的に結合し得る抗体を固相化し、コントロールライン(第2検出領域)7には、標識抗体に特異的に結合する物質(標識抗体特異的抗体)を固相化する。コンジュゲートパッド(標識部位)5とメンブレン3を他の部材(サンプルパッド4、吸収パッド8)と貼り合せて、適当な幅に切断して、イムノクロマト法用試験片1とする。

【0036】
図4を参照して、上記試験片1の使用方法(イムノクロマト法の原理)を説明する。試験片1の試料滴下部位4 に検体試料液を滴下した場合、標識抗体と結合した抗原を含む検体試料液が毛管現象を利用して、メンブレン3上を下流に流れ、吸収パッド8 に吸収される。この結果、試験片1上の第1検出領域6に、固相化抗体-被検出物質(抗原)-標識抗体の複合体が形成され、可視化される。第1検出領域6よりも下流に位置する第2検出領域7では、第1検出領域6で捕捉されなかった標識抗体が第2検出領域7に達し、第2検出領域7において、標識抗体に結合する物質-標識抗体の複合体が形成され、可視化される。これにより、正常に抗原抗体反応が進行したことがわかる。よって陽性検体では、テストラインとコントロールラインの2本のラインが観察され(図4(a)陽性反応)、陰性検体では、コントロールライン1本のみが観察される(図4(b)陰性反応)。

【0037】
標識抗体から発せられるシグナルは、目視で観察、または標識物質に応じた検出装置を用いて測定することができる。検出装置は、例えば、標識物質がコロイド粒子やポリスチレン粒子等の着色不溶性担体粒子の場合、デンシトメーターを用いることができ、標識物質が蛍光色素の場合、蛍光検出装置を用いることができる。また、いわゆるイムノクロマトリーダーを用いてもよい。

【0038】
試験片1を使用手引書と一緒にパッケージに梱包し、川崎病検査キットとするとよい。

【0039】
使用手引書には、検査の手順、判定方法、使用上及び取扱い上の注意事項、試験片1の保存条件と有効期限などを記載しておくとよい。
川崎病に罹患している可能性が高いと判定された場合には、治療を開始するとよい。本発明は、リポ多糖結合タンパク質、ロイシンリッチα2-グリコプロテイン、アンジオテンシノーゲンおよびレチノール結合蛋白 4からなる群より選択される少なくとも1つの成分について、被験者由来の検体中のレベルを測定することにより、川崎病の検査を行うこと、及びその被験者に治療を施すことを含む、川崎病の治療方法も包含する。
川崎病の治療戦略は、急性期にみられる多彩な臨床症状の対応に終始することなく、冠動脈瘤(CALs)の発生前にいかに血管炎を抑制するかである。すなわち[1]第7~10病日までにいかに炎症抑制を行うか、[2]第7病日までにCALsが進展してしまう重症例にいかに対応するか、[3]第10病日以降まで炎症が持続している例にどう対処するか、等が実際上問題となる。治療の原則は早期炎症抑制にあり、一般症例に対しては(1) ガンマグロブリン大量療法(intravenous immunoglobulin, 以下IVIG)、(2)アスピリンによる抗凝固療法、(3)動脈瘤形成に対して血栓溶解療法、心筋梗塞や末梢動脈障害の対策、(4)心血管系以外の合併症(髄膜炎、脳症、DICなど)の対策を施す必要がある。
I. 標準的治療法
後遺症として問題となるCALsの発症は当初25~30%であったが、1980年後半からIVIGが導入され10~15%にまで軽減し、長年蓄積されたデータからCALsの発症阻止にIVIG療法が有効であることは証明されている。近年、小児循環器学会が川崎病急性期の治療ガイドライン1)を提唱したが、その中枢を担うのは本治療法である。投与量と効果との間に容量依存性が認められ、治療効果の早期診断が重要であることから、2003年7月からIVIGの超大量療法 2g/kg単回投与が厚生労働省で認可され、使用後調査の結果、有効性と安全性について実証された。米国においても、この治療法が有効であると報告されている(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14584002#)。
II. IVIG療法不応例に対する治療法1)
通常ほとんどの症例で発症後3~8日にIVIG治療が行われるため、不応症例に対してはIVIG治療が終了してから次の治療法を考慮しなければならず、CALs形成の面では後手を踏むことも少なくない。IVIG無効例を早期に見出し、以下に示す様な積極的な治療法を導入することによって、CALs発症頻度は更に減少させることが可能であると思われる。
1) IVIG追加投与
当初の治療にも拘わらず改善が見られない場合、臨床の場ではしばしば追加投与される。前述したように、過剰に大分子蛋白が注入されるため血液粘稠度が上昇し血栓形成が助長されることが問題である。
2) メチルプレドニゾロン(mPSL)・パルス療法
米国ボストングループでは不応例に対しmPSLパルス療法が有効であると報告し、本邦でも本法の有効性を示す報告がみられるようになった。しかし、ステロイド薬により修復機転の遅延化および血栓形成性の増加を惹起する可能性が示唆されているため、病初期(第10病日以前)に限っての投与が原則である。
3) インフリキシマブ
2015年12月、組織壊死因子(TNF)-αに対するモノクローナル抗体であるインフリキシマブが臨床治験の良好な成績を受け、IVIG不応例に本国で適応追加となった。ただし、投与基準や不応例に対する対処法など今後への課題は多い。
4)血漿交換療法
川崎病の血管炎には高サイトカイン血症が基盤にあることから、血漿交換療法(PE)によりサイトカインを除去することは炎症の鎮静化に有用である。施設や設備の問題があるが、IVIG不応の重症例での検討でも良好な成績を得ている。目覚しい技術的進歩により、体外循環量は60~90mlにまで減量可能となり、体重5kgの乳児にも本法が施行できるようになった。2012年4月から、川崎病に対するPEは保険適用を取得しており、従来の治療が無効な場合に、一連につき6回を限度として算定することが可能となっている。
以上の治療法の詳細については、(「川崎病急性期治療のガイドライン」(平成24 年改訂版)http://jspccs.jp/wp-content/uploads/kawasakiguideline2012.pdf
を参照されたい。
なお、ワルファリンの投与については、維持量は0.05 ~ 0.12 mg/kg/ 日分1 より開始し,4~ 5 日で至適域に到達させる。プロトロンビン時間(PT)は第II,V,VII,X 凝固因子のスクリーニング検査であり,ワルファリンの抗凝固作用をモニタリングするうえで有用である.現在は国際標準比(PT/INR)が用いられている.KD ではPT-INR を1.6 ~ 2.5(トロンボテスト:10 ~ 25%)になるように投与量を調整する.なお,AHA ガイドラインでは0.05 ~ 0.34mg/kg,PT/INR を2.0 ~ 2.5 を目標に調整することが勧められている(Circulation 2004;110(17): 2747-2771).
心血管系以外の合併症(髄膜炎)については、無菌性髄膜炎のガイドラインに即した治療法を行う((http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013qef-att/2r98520000013r5u.pdf)。
心血管系以外の合併症(脳症)については、小児急性脳症診療ガイドラインに即した治療法を行う(http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/child-acute-encephalopathy/child-acute-encephalopathy.pdf)。
心血管系以外の合併症(DIC)については、日本版敗血症診療ガイドライン2016 CQ16に即した治療法を行う(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/24/Supplement2/24_24S0019/_pdf)。

【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕
(方法)
血清は、横浜市立大学付属病院、神奈川県立こども医療センター、公立昭和病院、横浜市立大学付属市民総合医療センターから提供されたものである。検体はすべて提供者からの包括同意が得られている。
・川崎病患者急性期血清 (acute):55名の患者の発熱時の血清
・自己免疫疾患患者血清 (G3):24名
(特発性血小板減少性紫斑病3名、小児リウマチ2名、GVHD (移植片対宿主病) 1名、VAHS (ウイルス関連血球貪食症候群) 1名、若年性特発性関節炎 17名)
・健常者血清 (アレルギー検査時の採血による) (Healthy):13名
【実施例】
【0041】
ELISA法による川崎病関連タンパク質LBPおよびLRG1の血清中の濃度の測定
川崎病関連タンパク質LBPおよびLRG1について、川崎病患者急性期(55検体)、対照群として、自己免疫疾患患者 (24検体)、小児健常者 (13検体)の血清中の濃度をELISA法により測定した。血清はそれぞれ、LBPは4000倍希釈、LRG1は5000倍希釈したものを使用した。希釈溶液、洗浄溶液、検出試薬などの試薬と反応時間等の方法は、各タンパク質のELISAキットのプロトコルに従った。
【実施例】
【0042】
(結果)
LBPおよびLRG1の川崎病診断バイオマーカーとしての有効性の検証
LBPおよびLRG1について、川崎病診断におけるバイオマーカー有効性を明らかにするため、川崎病患者急性期、自己免疫疾患患者、小児健常者の血清中のLRG1の濃度(μg/ml) を縦軸に、LBPの濃度(μg/ml) を横軸にプロットした(図1)。その結果、川崎病患者55検体中、LRG1の濃度が300 μg/ml以上およびLBPの濃度が25 μg/ml以上を示す群(自己免疫疾患患者および小児健常者が含まれない群)に、川崎病患者の大部分である83.6%(46検体)が含まれおり、この2つのタンパク質が川崎病を診断するバイオマーカーとして有効であることがわかった。
【実施例】
【0043】
ROC解析によるバイオマーカー特異性・感度の検証
川崎病関連タンパク質LBP、LRG1について、川崎病診断における疾患特異性および有用性を明らかにするため、統計解析ソフトGraph Pad Prismを用いて、川崎病急性期と健常及び自己免疫疾患との間でROC曲線を作成した (図2) 。診断性能は、AUC値の大きさにより判断した。その結果、LRG1のAUC値が0.9980であり、また、LBPのAUC値が0.9774であり、これらのタンパク質がバイオマーカーとして診断に有用であることが示された。
【実施例】
【0044】
さらに、図2のデータを基にカットオフ値、感度及び特異度を算出した(表1下)。
カットオフ値(best);特異度が95%以上になるときの濃度。
カットオフ値(better);特異度が90%以上になるときの濃度。
カットオフ値(good);特異度が80%以上になるときの濃度。
感度;真に川崎病である患者を陽性であると診断する割合。
100%-特異度;川崎病以外の患者を川崎病であると誤診する割合。
[表1]
JP2018030270A1_000003t.gif
【実施例】
【0045】
(考察)
患者急性期血清中においてはCRPなどの炎症性タンパク質が過剰に存在しており、参考項目としてこれらタンパク質の血清中濃度が調べられる。しかし、そのような炎症性タンパク質の多くは非特異的な全身性の炎症を反映したものであり、川崎病を特異的に鑑別するものではない。本研究では、同じく炎症性の疾患である自己免疫疾患患者、小児の通常状態である健常児を比較対象とすることで、LBPおよびLRG1、両方の患者血清中濃度を調べることにより、川崎病をより特異的に診断できることを明らかにした。この2種類のタンパク質はいずれも血液中に高濃度で存在することから、これらタンパク質に対する抗体を用いて、血清中での存在量を測定することで、簡便かつ精度の高い川崎病診断法の開発が可能であると考える。
【実施例】
【0046】
〔実施例2〕
本発明をイムノクロマト法によって実施する方法を具体的に以下実施例として説明する。2種類の試験片をあらかじめ用意しておき、検体試料液を各々の試験片の所定位置に滴下して使用する。
イムノクロマト法用試験片1aの調製
1 . 抗LBP ポリクローナル抗体の作製
抗原となるタンパク質(LBP)をマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから採血を行い、ポリクローナル抗体を得た。
2 . 抗LBPポリクローナル抗体および標識抗体特異的抗体のメンブレン3(ニトロセルロースメンブレン)への固定化
精製した抗LBPポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈した液(liquid 6)、抗マウスIgGsポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈した液(liquid 7)をベースシート2(PETシート)で裏打ちされたメンブレン3(ニトロセルロースメンブレン)の所定の位置にそれぞれ線状に塗布し、45℃ 、30分間乾燥させ、抗LBPポリクローナル抗体/ 抗マウスIgGsポリクローナル抗体固定化メンブレンを得る(以下抗体固定化メンブレンとする)。なお本工程は、図3ではliquid 6をテストライン(第1検出領域)6に、liquid 7をコントロールライン(第2検出領域)7に塗布したことに相当する。
3 . 抗LBPポリクローナル抗体の着色ポリスチレン粒子への固定化
抗LBPポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈し、これに着色ポリスチレン粒子を0.1% になるように加え、攪拌後、カルボジイミドを1% になるように加え、さらに攪拌する。遠心操作により上清を除き、50mM Tris(pH9.0) 、3% BSAに再浮遊し、着色ポリスチレン粒子が結合した抗LBP抗体(着色ポリスチレン粒子結合標識抗体)を得る。
4 . 抗LBPポリクローナル抗体結合着色ポリスチレン粒子の塗布・乾燥
3.で得た着色ポリスチレン粒子結合標識抗体をグラスファイバー不織布に所定量1.0μgを塗布し、45℃、30分間乾燥させ、乾燥パッドを得る(コンジュゲートパッド5に相当する)。
5 . 固定化メンブレン、乾燥パッド、他部材との貼り合わせ
2.および4.で調製した抗体固定化メンブレン(テストライン6及びコントロールライン7を有したメンブレン3)とコンジュゲートパッド5を他部材、すなわちサンプルパッド4、吸収パッド8と貼り合せて5mm幅に切断し、LBP試験片(試験片1a)を得る。
【実施例】
【0047】
イムノクロマト法用試験片1bの調製
1 . 抗LRG1 ポリクローナル抗体の作製
抗原となるタンパク質(LRG1)をマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから採血を行い、ポリクローナル抗体を得た。
2 . 抗LRG1ポリクローナル抗体および標識抗体特異的抗体のメンブレン3(ニトロセルロースメンブレン)への固定化
精製した抗LRG1ポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈した液(liquid 6)、抗マウスIgGsポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈した液(liquid 7)をベースシート2(PETシート)で裏打ちされたメンブレン3(ニトロセルロースメンブレン)の所定の位置にそれぞれ線状に塗布し、45℃ 、30分間乾燥させ、抗LRG1ポリクローナル抗体/ 抗マウスIgGsポリクローナル抗体固定化メンブレンを得る(以下抗体固定化メンブレンとする) 。なお本工程は、図3ではliquid 6をテストライン(第1検出領域)6に、liquid 7をコントロールライン(第2検出領域)7に塗布したことに相当する。
3 . 抗LRG1ポリクローナル抗体の着色ポリスチレン粒子への固定化
抗LRG1ポリクローナル抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈し、これに着色ポリスチレン粒子を0.1% になるように加え、攪拌後、カルボジイミドを1% になるように加え、さらに攪拌する。遠心操作により上清を除き、50mM Tris(pH9.0)、3% BSAに再浮遊し、着色ポリスチレン粒子が結合した抗LRG1抗体(着色ポリスチレン粒子結合標識抗体)を得る。
4 . 抗LRG1ポリクローナル抗体結合着色ポリスチレン粒子の塗布・乾燥
3.で得た着色ポリスチレン粒子結合標識抗体をグラスファイバー不織布に所定量1.0μgを塗布し、45℃、30分間乾燥させ、乾燥パッドを得る(コンジュゲートパッド5に相当する)。
5 . 固定化メンブレン、乾燥パッド、他部材との貼り合わせ
2.および4.で調製した抗体固定化メンブレン(テストライン6及びコントロールライン7を有したメンブレン3)とコンジュゲートパッド5を他部材と貼り合せて5mm幅に切断し、LRG1試験片(試験片1b)を得る。
【実施例】
【0048】
判定方法
ステップ1
検体試料液を試験片1aのサンプルパッド4に滴下する。第1検出領域6(テストライン)で着色、第2検出領域7(コントロールライン)で着色した場合、陽性を判定する。
ステップ2
検体試料液を試験片1bのサンプルパッド4に滴下する。第1検出領域6(テストライン)で着色、第2検出領域7(コントロールライン)で着色した場合、陽性を判定する。
ステップ3
ステップ1に対して陽性、ステップ2に対して陽性の場合、「川崎病」の可能性ありと判定する。
【実施例】
【0049】
上記実施例は一例にすぎず、その趣旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。例えば、上記実施例において2種類のポリクローナル抗体で説明した部分は、公知の方法を用いて、それぞれ2種類のモノクローナル抗体を用いる方法に置き換えることも可能である。
【実施例】
【0050】
また2種類の試験片(1a,1b)を用いたが、1つの試験片に2つの機能を持たせることも原理的に可能である。一例として図5のような構成が考えられる。試験片10は大きく2つのパートに分けており、例えば上流側に上述した試験片1aの機能を設け、下流側に上述した試験片1bの機能を設けている。ただし、検体液はサンプルパッド4のみに滴下し、最終的に吸収パッド8で吸収されるよう、サンプルパッド4と吸収パッド8は試験片10の片端と他端に1つずつ設けられているのみである。すなわちサンプルパッド4は試験片10の上流側に設けられ、吸収パッド8は試験片10の下流側に設けられている。また試験片1aにおける抗原抗体反応に関わる部位は、5A、6A、7Aに設けられ、試験片1bにおける抗原抗体反応に関わる部位は、5B、6B、7Bとして設けられている。なお、上記説明では上流側に試験片1aの機能、下流側に試験片1bの機能を設けたが、上流側を試験片1bの機能、下流側を試験片1aの機能としてもよい。
捕捉部9Aは、5Aに固定化した標識粒子を捕捉する機能を有し、具体的には5Aに固定化した標識粒子のみを結合する抗体が高い濃度で固定化されている。すなわち、検体液が上流から下流へ流れ、5A由来の標識粒子が5Bにおいて混合してしまうと、6Bや7Bにおけるマーカー機能が影響を受ける可能性があるので、それを防止するために5A由来の標識粒子を捕捉する必要がある。従って、捕捉部9Aには標識粒子のみを結合する抗体を高い濃度で固定化するか、あるいは9Aの長手方向(上流-下流方向)の長さを長く設定し、固定化する。具体的には前者の場合には、7Aに用いたものと同じ抗体を9Aでは7Aよりも高い濃度で固定化する(例えば9Aは7Aの2~10倍の濃度)。また後者の場合には、7Aに用いたものと同じ抗体を同じ濃度で用いるが、7Aの長さよりも長い長さとし、固定化する(例えば9Aは7Aの2~10倍の長さ)。抗体の固定化方法としては、抗体溶液をメンブレン3に塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥して吸着する。
なおコントロールライン7Aは、本来、検体液がテストライン6Aを通過したかどうかを確認するためのラインであるが、その機能はテストライン7Bにもあることから、コントロールライン7Aを省略することもできる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、川崎病の診断に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1(1a, 1b) . テストストリップ
2 . ベースシート
3 . メンブレン
4 . サンプルパッド(試料滴下部位)
5 . コンジュゲートパッド(標識部位)
6 . テストライン(第1検出領域)
7 . コントロールライン(第2検出領域)
8 . 吸収パッド
10. テストストリップ
5A . コンジュゲートパッドA (A用の第1標識部位)
6A . テストラインA (A用の第1検出領域)
7A . コントロールラインA (A用の第2検出領域)
9A. 捕捉部
5B . コンジュゲートパッドB (B用の第1標識部位)
6B . テストラインB (B用の第1検出領域)
7B . コントロールラインB(B用の第2検出領域)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4