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明細書 :圧電型発電装置及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-125630 (P2019-125630A)
公開日 令和元年7月25日(2019.7.25)
発明の名称または考案の名称 圧電型発電装置及びその製造方法
国際特許分類 H01L  41/113       (2006.01)
H01L  41/053       (2006.01)
H01L  41/193       (2006.01)
H01L  41/312       (2013.01)
H02N   2/18        (2006.01)
FI H01L 41/113
H01L 41/053
H01L 41/193
H01L 41/312
H02N 2/18
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2018-003881 (P2018-003881)
出願日 平成30年1月13日(2018.1.13)
発明者または考案者 【氏名】関口 哲志
【氏名】佐々木 敏夫
【氏名】笹川 健太
【氏名】中嶋 宇史
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
テーマコード 5H681
Fターム 5H681AA19
5H681BB14
5H681DD15
5H681DD39
5H681DD53
5H681DD82
5H681DD95
5H681EE10
5H681FF01
5H681FF17
5H681GG01
5H681GG11
要約 【課題】少ない工程で簡単に製造可能で、且つ、装置全体の小型化や高性能化を促進できる圧電型発電装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る圧電型発電装置10は、可撓性を有するとともに、圧電材料からなる圧電体17,20に電極24,27を接触させてなる本体部11と、本体部11の外面全体を外側から被覆するラミネート部12とを備えており、本体部11に作用する応力により起電力を発生させる。本体部11は、圧電体17,20及び電極24,27を含む複数の部材を積層した積層体として構成されるとともに、層間接合部位の部分的な浮きを規制し、当該層間接合部位の密着性を向上させる空隙部29を備えている。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
可撓性を有するとともに、圧電材料からなる圧電体の上下両側に電極を接触させてなる本体部と、当該本体部の外面全体を外側から被覆するラミネート部とを備え、前記本体部に作用する応力により起電力を発生させる圧電型発電装置において、
前記本体部は、前記圧電体及び前記電極を含む複数の部材を積層した積層体として構成されるとともに、層間接合部位の密着性を向上させる密着促進構造を備えたことを特徴とする圧電型発電装置。
【請求項2】
前記密着促進構造は、前記本体部の内側に前記ラミネート部が入り込むように、前記本体部の厚み方向に部分的に陥没する空隙部を前記本体部の一部に設けた構造であることを特徴とする請求項1記載の圧電型発電装置。
【請求項3】
前記本体部は、外力の作用により曲げ方向に振動可能となるように、所定部位を固定支持部位として固定支持されるとともに、曲げ変形時における前記固定支持部位の周辺の応力集中を緩和する応力分散構造を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電型発電装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記密着促進構造及び前記応力分散構造として機能するように、前記固定支持部位から離れるに従って幅狭となる平面形状をなすことを特徴とする請求項3記載の圧電型発電装置。
【請求項5】
上下両側の前記電極の間に絶縁体からなる支柱部材が設けられ、
前記圧電体は、前記支柱部材を除く前記各電極の間の空間に介装され、
前記支柱部材は、前記圧電体よりも弾性変形し難い材料によって形成され、前記本体部に曲げ変形が生じたときに、当該圧電体の厚みが減少する方向への弾性変形による前記各電極の短絡を防止可能に前記各電極間の支柱として機能することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の圧電型発電装置。
【請求項6】
可撓性を有するとともに、圧電材料からなる圧電体の上下両側に電極を接触させてなる本体部と、当該本体部の外面全体を外側から被覆するラミネート部とを備え、前記本体部に作用する応力により起電力を発生させる圧電型発電装置において、
前記本体部は、少なくとも一方に前記圧電体を有する上層部及び下層部が上下に積層された積層体として構成され、
前記上層部は、前記圧電体の上側に接触する上側の前記電極を含む上部電極層を備え、
前記下層部は、前記圧電体の下側に接触する下側の前記電極を含む下部電極層を備え、
前記上層部及び前記下層部は、上側及び下側の前記各電極間に前記圧電体が配置される向きで重ね合され、
前記上層部及び/又は前記下層部には、前記本体部の内側に前記ラミネート部が入り込むように厚み方向に部分的に陥没する空隙部が設けられることを特徴とする圧電型発電装置。
【請求項7】
シート状の樹脂からなる一対の基材の表面に電極をそれぞれ印刷し、当該各電極の少なくとも一方の表面に、圧電体となる圧電ポリマーを塗布して固着させることで、上層部と下層部を形成した後、前記各電極の間に圧電ポリマーが配置される向きで、前記上層部と前記下層部を重ね合わせて本体部とし、当該本体部の上下両側からラミネートフィルムで挟み込んで、熱ラミネート加工することにより、前記上層部と前記下層部を一体化させることを特徴とする圧電型発電装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電型発電装置及びその製造方法に係り、更に詳しくは、より簡単に製造可能で、且つ、発電性能をより高めることのできる圧電型発電装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマーを圧電材料として用い、当該圧電材料の圧電効果によって起電力を発生させる発電装置が知られている。この発電装置として、特許文献1には、上部電極及び下部電極の間に圧電ポリマーからなる圧電性膜が介装され、これらに一体化された振動板が外力により振動することで発電可能となる構造のものが開示されている。当該発電装置は、平面視ほぼ方形の平板状に形成されており、振動板の一端側が固定端側として固定台上に固定され、その他端側が自由端側となるカンチレバー(片持ち梁)構造となっている。ここで、上部電極及び下部電極は、同文献に例示されているように、圧電性膜に密着させるように、スパッタ装置を用いたスパッタ法等により作製される。しかしながら、スパッタ法による作製では、工程が煩雑になるばかりか、スパッタ装置自体が高価であることから、発電装置の低コスト化を促進することが難しい。
【0003】
ところで、特許文献2には、平面視方形の平板状をなす可撓性の素子本体と、素子本体の外面全体を覆うカバー部材とを備えた発電装置が開示されている。前記素子本体は、第1の電極、前記圧電ポリマー及び第2の電極の順で積層された積層体からなる。また、カバー部材は、素子本体を挟む上下2枚の樹脂フィルムからなり、ラミネート加工により素子に一体化される。つまり、このラミネート加工では、薄板状の第1及び第2の電極の間に圧電ポリマーを介装した状態の素子本体に対し、それよりも平面積の大きい2枚の樹脂フィルムで挟み込んで熱ラミネートされる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2015-141978号公報
【特許文献2】特開2017-99105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の発電装置では、ラミネート加工により、第1及び第2の電極と圧電ポリマーの密着性が確保されるものの、素子本体の外側にはみ出た樹脂フィルムの端部同士のみが貼合されるため、素子本体の中央領域における前記密着性がその周縁領域よりも低くなり、当該中央領域において各電極と圧電ポリマーとの間に隙間(浮き)が発生し易くなる。これにより、圧電効果による素子本体の出力電圧が低くなり、発電装置の高性能化に対する阻害要因となる。
【0006】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、少ない工程で簡単に製造可能で、且つ、装置全体の小型化や高性能化を促進できる圧電型発電装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、可撓性を有するとともに、圧電材料からなる圧電体の上下両側に電極を接触させてなる本体部と、当該本体部の外面全体を外側から被覆するラミネート部とを備え、前記本体部に作用する応力により起電力を発生させる圧電型発電装置において、前記本体部は、前記圧電体及び前記電極を含む複数の部材を積層した積層体として構成されるとともに、層間接合部位の密着性を向上させる密着促進構造を備える、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、シート状の樹脂からなる一対の基材の表面に電極をそれぞれ印刷し、当該各電極の少なくとも一方の表面に、圧電体となる圧電ポリマーを塗布して固着させることで、上層部と下層部を形成した後、前記各電極の圧電ポリマー同士が接触する向きで、前記上層部と前記下層部を重ね合わせて本体部とし、当該本体部の上下両側からラミネートフィルムで挟み込んで、熱ラミネート加工することにより、前記上層部と前記下層部を一体化させる、という手法を採っている。
【0009】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「上」、「下」は、特に明示しない限り、図2(B)等の発電装置の縦断面における「上」、「下」を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各電極と圧電体における層間接合部位の密着性を向上させる密着促進構造を本体部に有するため、熱ラミネート加工により各電極と圧電体の積層状態を確保する場合でも、層間接合部位の浮きに起因する発電特性の低下を抑制することができる。また、従来のスパッタ法を用いることなく製造可能であるため、プリンタ等で簡単に電極を所望の任意形状にすることができ、システム設計の自由度を高めることができる。以上により、少ない工程で装置製造を簡単且つ自由に行えることから、薄膜化等の小型化を実現しつつも、製造コストを抑制することができる。また、熱ラミネート加工における積層体の層間密着性の部分的欠如という問題を改善でき、当該層間密着性を高めることで発電性能の向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態における発電装置の概略斜視図である。
【図2】(A)は、前記発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図3】(A)は、第1変形例に係る発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図4】(A)は、第2変形例に係る発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図5】(A)は、比較例に係る発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図6】(A)は、実施形態に係る発電装置の発電性能を示すグラフであり、(B)は、第1変形例に係る発電装置の発電性能を示すグラフであり、(C)は、第2変形例に係る発電装置の発電性能を示すグラフであり、(D)は、比較例に係る発電装置の発電性能を示すグラフである。
【図7】(A)は、第3変形例に係る発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図8】(A)は、第4変形例に係る発電装置の概略平面図であり、(B)は、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図である。
【図9】応用例に係る発電装置の概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0013】
図1には、本実施形態における圧電型発電装置(以下、単に「発電装置」と称する)の概略斜視図が示されており、図2(A)には、前記発電装置の概略平面図が示され、同図(B)には、同図(A)のA-A線に沿う概略拡大端面図が示されている。

【0014】
前記発電装置10は、外力により弾性変形可能な可撓性を有するとともに、当該弾性変形による応力が作用したときの圧電効果により発電可能な構造となっている。この発電装置10は、特に限定されるものではないが、一端側の部位を固定支持部位として固定部材Fで固定支持される。従って、本実施形態に係る発電装置10は、固定支持部位となる図1中左上側が固定端側となる一方、同図中右下側が自由端側となるカンチレバー(片持ち梁)状で使用される。そして、当該自由端側の部分に曲げ方向の外力(押圧力)が付加されると、その弾性により図中上下方向に振動しながら起電力を発生する振動型発電素子として機能する。

【0015】
この発電装置10は、図2に示されるように、平面視でほぼ台形状若しくは三角形状をなす外形となっており、同図(A)中上端側が前記固定端側とされ、同図中左右方向の幅となる横幅が固定端側から自由端側に向って次第に減少することになる。

【0016】
具体的に、前記発電装置10は、可撓性を有し、圧電効果により起電力を発生する多層構造の本体部11と、本体部11の外面全体を外側から被覆するラミネート部12とからなる。

【0017】
前記本体部11は、相互に異なる平面形状をなす上層部14及び下層部15が上下に積層された積層体として構成されている。

【0018】
前記上層部14は、図2(B)に示されるように、圧電材料により層状に形成された圧電体17と、圧電体17の上面側に接触するように配置された上部電極層18により構成される。また、下層部15は、上層部14と同様の層構成となっており、圧電材料により層状に形成された圧電体20と、圧電体20の下面側に接触するように配置されるとともに、上部電極層18に対して電気的に非接触状態にされる下部電極層21により構成されている。

【0019】
本実施形態における前記圧電体17,20は、弾性を有するポリフッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体(VDF/TrFE)により形成されるが、本発明はこれに限らず、同様の圧電効果を付与できる限りにおいて、他の圧電ポリマー(PVDF等)を含むその他の圧電材料により形成することもできる。

【0020】
前記上部電極層18は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料からなる基材23と、銀ナノ粒子等からなる導電性物質からなり、基材23の表面にプリントされる電極24とにより構成される。また、前記下部電極層21は、上部電極層18と同様、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料からなる基材26と、銀ナノ粒子等からなる導電性物質からなり、基材26にプリントされる電極27とにより構成される。なお、各電極24,27には、図示省略したリード線がそれぞれ取り付けられる。

【0021】
本実施形態における上層部14及び下層部15は、特に限定されるものではないが、それぞれ平面視でほぼ三角形状若しくは台形状をなし、平面視において、それらの中心が一致するように配置される。ここで、上層部14は、下層部15よりも一回り小さい全体サイズに設けられるとともに、上下方向に貫通する平面視ほぼ三角形の穴状の空隙部29が中央部分に形成された中空形状となっている。空隙部29の平面形状は、上層部14の平面形状に対して相似形となっているが、後述する作用効果を奏する限りにおいて、円形、楕円形、多角形等種々の形状を採用することができる。

【0022】
以上の構成の本体部11は、各圧電体17,20同士が接触する向きで、上層部14及び下層部15が重ね合されることで形成される。

【0023】
前記ラミネート部12は、特に限定されるものではないが、公知の樹脂製ラミネートフィルムにより、本体部11の全体を覆うようになっている。すなわち、本体部11の平面積よりも大きいサイズのラミネートフィルムが2枚用意され、各ラミネートフィルムの間に本体部11を挟んだ状態で熱ラミネート加工することで、上層部14及び下層部15が一体化され、それらの相対移動が規制される。この際、上側に被せられたラミネートフィルムが、本体部11の厚み方向に部分的に陥没した空隙部29から本体部11の内側に入り込むことで、上層部14及び下層部15の密着性(層間密着性)が向上する。

【0024】
次に、前記発電装置10の製造方法について説明する。

【0025】
先ず、上部電極層18及び下部電極層21が形成される。ここでの工程は、プリンタ等を使用し、シート状の各基材23,26の表面に、銀ナノ粒子等を含む導電性金属ナノインクを使って電極24,27を印刷することで、各電極層18,21が形成される。

【0026】
その後、各電極24,27の表面に圧電材料となるVDF/TrFEを塗布して薄膜化し、上層部14及び下層部15が形成される。ここでの工程は、各電極24,27の表面にVDF/TrFEの溶液が滴下され、スピンコーターによりVDF/TrFEを薄膜化した上で熱硬化させることで、所望の厚みの各圧電体17,20が各電極24,27に固着することになる。

【0027】
そして、各電極24,27に固着した各圧電体17,20が相対する向きで、上層部14及び下層部15を重ね合わせることで、上部電極層18、上下2層の圧電体17,20、下部電極層21の順で積層された本体部11が形成される。

【0028】
その後、熱ラミネートによる加工工程が行われる。すなわち、積層状態の本体部11の全面を上下2枚のラミネートフィルムで覆った上で、ラミネータにより、2枚のラミネートフィルムの周縁を貼合するラミネート加工が行われる。そして、圧電体17,20に対してポーリング処理が行われ、発電装置10が完成する。

【0029】
前記発電装置10の変形例として、平面形状や構造等の異なる以下の各種態様を例示できる。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。

【0030】
(第1変形例)
第1変形例の発電装置30にあっては、図3に示されるように、前記実施形態の発電装置10に対し、上層部14に前記空隙部29を備えていない他は、前記実施形態と同一の構成となっている。なお、この発電装置30にあっても、図3(A)中上端側を固定支持部位とするカンチレバー状で使用される。

【0031】
(第2変形例)
第2変形例の発電装置40にあっては、図4に示されるように、外形を平面視方形状とし、上層部14の平面形状を櫛歯状にする一方、下層部15を平面視方形状としている。上層部14における櫛歯を構成する短冊状部位の間に存在する隙間が、前記空隙部29として機能することになる。この発電装置40にあっても、図4(A)中上端側を固定支持部位とするカンチレバー状で使用される。なお、上層部14の平面形状を格子状等にし、部分的に形成される隙間や穴を空隙部29として利用しても良い。

【0032】
前記実施形態及び各変形例における発電装置10,30,40の効果について、比較例と対比した実験結果に基づき、以下に説明する。

【0033】
(比較例)
比較例として、図5に示される発電装置100を用意した。この発電装置100は、前記第2の変形例の発電装置40に対し、上層部14を平面視方形状にした点が異なり、その他の構成は前記発電装置40と同一になっている。この発電装置100においても、図5(A)中上端側を固定支持部位とするカンチレバー状で使用した。

【0034】
ここでの対比実験は、各発電装置10,30,40,100の発電効果を実証するものであり、それらの自由端側に同一の大きさの押圧力を付加したときに、当該付加時点からの経過時間に対する出力電圧の関係となる発電特性をそれぞれ測定した。

【0035】
前記実施形態に係る発電装置10の発電特性は、図6(A)のグラフに示される通りとなった。ここでの発電装置10の平面サイズは、図2(A)中上端縁となる左右方向の横幅の最大値を45mmとし、同図中上下方向の長さを50mmとした。また、平面視における上層部14の横幅の最大値を30mmとし、平面視における空隙部29の横幅の最大値を10mmとした。

【0036】
また、前記第1変形例に係る発電装置30の発電特性は、図6(B)のグラフに示される通りとなった。この発電装置30の平面サイズは、図3(A)中左右方向の横幅の最大値を20mmとし、同図中上下方向の長さを46mmとした。

【0037】
更に、前記第2変形例に係る発電装置40の発電特性は、図6(C)のグラフに示される通りとなった。この発電装置40の平面サイズは、図4(A)中左右方向の横幅の最大値を33mmとし、同図中上下方向の長さを46mmとした。また、上層部14の各櫛歯部分の横幅を比較例の上層部14の約1/3程度とした。

【0038】
前記比較例に係る発電装置100の発電特性は、図6(D)のグラフに示される通りとなった。この発電装置100の平面サイズは、図4の前記発電装置40と同程度とした。

【0039】
なお、各発電装置10,30,40,100を構成する各層の厚みは、それぞれ同一とした。

【0040】
図6の各グラフに示されるように、本実施形態及び変形例に係る発電装置10,30,40の発電特性は、比較例に係る発電装置100に比べて高いことが実証された。この発電特性の差は、各発電装置10等における本体部11の固定が熱ラミネートにより行われることから、その際に相互に重ね合された状態の層間接合部位となる上層部14と下層部15の密着性を向上する密着促進構造の有無が影響している。更に、自由端側に曲げ方向の外力が付加されたときの固定端側の応力集中を緩和し、発電装置10等の全面に亘って応力を均一化させる応力分散構造の有無についても、発電特性に関する前述の差を生じる要因となる。

【0041】
すなわち、前記実施形態の発電装置10では、図2(B)に示されるように、空隙部29を通じて上層部14の内部方向にラミネートフィルムが入り込んで、下層部15側の圧電体20にまで達する。この空隙部29の穴構造により、上層部14の内側に入り込んだラミネートフィルムが上層部14を下層部25に押し付ける楔効果を発揮し、層間接合部位の部分的な隙間(浮き)の発生を抑制する前記密着促進構造として機能することになる。加えて、この発電装置10は、固定端となる固定支持部位から離れるに従って、その方向に本体部11を幅狭にする外形形状となっていることから、当該外形形状そのものが前記応力分散構造として機能することになる。また、この外形形状により、固定端側から自由端側に向って横幅が一定となる比較例の発電装置100に比べ、固定端側から自由端側に向かって上層部14と下層部15の密着性が次第に高くなり、上層部14と下層部15の間での浮き部分を減少させることができる。従って、ここでの発電装置10の外形形状は、前記密着促進構造としても機能することになる。

【0042】
また、前記第1変形例の発電装置30では、実施形態に係る発電装置10に対し、空隙部29の存在を除き、平面視でほぼ同一の外形形状を有することから、前述した通り、外形形状が前記応力分散構造及び前記密着促進構造として機能し、空隙部29の存在の有無による発電特性の差はあるものの、前記比較例の発電装置100と比較して優位な発電特性を有することになる。

【0043】
また、前記第2変形例の発電装置40では、上層部14を櫛歯状にしたことから、横方向に並ぶ短冊状部位の間に形成された各空隙部29が、実施形態の発電装置10と同様に、前記密着促進構造として機能することになる。

【0044】
一方、比較例に係る発電装置100は、その中央領域において、上層部14と下層部15との間で非接触となる浮き部分が広範囲で存在するため、当該発電装置100の構造では、前記実施形態及び各変形例に係る発電装置10等の構造に比べ、発電特性が著しく劣ることになる。

【0045】
なお、本発明に係る発電装置の形状及び構成は、前記密着促進構造を備えている限りにおいて、前述の他に種々の態様を採ることもができる。

【0046】
(第3変形例)
例えば、図7に示されるように、前記空隙部29を複数箇所に形成することもできる。当該図示例に係る第3変形例の発電装置50では、複数の空隙部29が左右対称となるように最大数均等に配置された態様となっている。なお、この第3変形例では、空隙部29を六角形状としているが、円形、楕円形、多角形等、種々の形状とし、また、配置箇所や配置数を調整することも可能である。

【0047】
(第4変形例)
図8に示されるように、第4変形例に係る発電装置60は、第3変形例の発電装置50に対し、空隙部29と同様の作用を奏する空隙部62を下層部15にも設けた構成となっている。この空隙部62は、下層部15を上下に貫通する穴状をなし、上層部14の空隙部29に対向する位置に形成されている。これにより、空隙部29,62により、本体部11が上下方向に貫通し、当該貫通部分を通じて、上層部14側に被覆されたラミネートフィルムと下層部15側に被覆されたラミネートフィルムとを直接貼合することができる。その結果、上層部14と下層部15との間の密着性が一層高まり、振動時の発電性能をより向上させることができる。なお、ここでの空隙部29,62についても、平面形状、配置箇所、配置数等の態様は問わず、穴径を含めた各空隙部29,62の態様を相互に変えることも可能である。

【0048】
また、前記各実施形態及び各変形例において、図9に示されるように、上下の各電極24,27の間に、絶縁体からなる支柱部材71を設け、支柱部材71を除く各電極24,27の間の空間に圧電体17,20を介装した構成を採用することができる。ここでの支柱部材71は、周囲の圧電体17,20よりも弾性変形し難い材料によって形成されている。このため、本体部11に曲げ変形が生じたときに、圧電体17,20の厚みが減少する方向の弾性変形によって各電極24,27が短絡しないように、各電極24,27間の支柱として機能する。なお、支柱部材71の平面形状、配置箇所及び配置数は、特に限定されるものではなく、例えば、平面視で井桁状に配置し、或いは、丸棒状にして平面視で一定間隔に配置することができる。ここで、井桁状に支柱部材71を配置する等、各電極24,27の間の多くの部分に支柱部材71を設けると、本体部11の曲げ変形時に、支柱部材71で囲まれる圧電体17,20に作用する応力が増強され、発電性能をより一層向上させることが可能となる。

【0049】
なお、前記実施形態及び各変形例にあっては、上部電極層18及び下部電極層21の各電極24,27にそれぞれ圧電体17,20を固着させているが、本発明はこれに限らず、電極24,27の何れか一方に対する圧電体の固着工程を省略することもできる。

【0050】
また、前記発電装置10等は、カンチレバー状での使用に限定されるものではなく、複数部位を固定支持部位とし、当該固定支持部位以外の部位を振動させることで、発電可能に使用することもできる。この場合でも、固定支持部位から離れるに従って、その方向に本体部11を幅狭にする外形形状を採ると良い。

【0051】
更に、本発明において、上層部14の空隙部29と下層部15の空隙部62については、少なくとも何れか一方が設けられていれば良く、これら空隙部29,62は、前述した密着性向上効果を奏する限りにおいて、種々の形状、配置、構成数を採ることができる。

【0052】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
10,30,40,50,60,100 発電装置
11 本体部
12 ラミネート部
14 上層部
15 下層部
17,20 圧電体
23,26 基材
24,27 電極
29,62 空隙部
71 支柱部材
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
7
【図9】
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