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明細書 :加速器用荷電粒子測定ユニット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6308514号 (P6308514)
公開番号 特開2014-219215 (P2014-219215A)
登録日 平成30年3月23日(2018.3.23)
発行日 平成30年4月11日(2018.4.11)
公開日 平成26年11月20日(2014.11.20)
発明の名称または考案の名称 加速器用荷電粒子測定ユニット
国際特許分類 G01T   1/29        (2006.01)
H05H  13/04        (2006.01)
G01T   1/205       (2006.01)
FI G01T 1/29 B
H05H 13/04 R
G01T 1/205
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2013-096511 (P2013-096511)
出願日 平成25年5月1日(2013.5.1)
審査請求日 平成28年4月25日(2016.4.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】加治 大哉
【氏名】森本 幸司
【氏名】門叶 冬樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100132045、【弁理士】、【氏名又は名称】坪内 伸
審査官 【審査官】藤原 伸二
参考文献・文献 特開平09-080160(JP,A)
特開平04-064083(JP,A)
特表2000-507698(JP,A)
米国特許第2759107(US,A)
米国特許出願公開第2011/0231147(US,A1)
調査した分野 G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
H05H 3/00-15/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)

特許請求の範囲 【請求項1】
気体状のシンチレータを内部に含み、加速器から供給される荷電粒子が通過するガスチャンバと、
前記ガスチャンバ内における前記荷電粒子の通過経路における光量を検出する光検出器と、
前記ガスチャンバの窓部と前記光検出器との間に設けられる光ファイバと、を備え
前記ガスチャンバには、前記荷電粒子を通過させるための入口孔および出口孔を有す
ことを特徴とする加速器用荷電粒子測定ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の加速器用荷電粒子測定ユニットであって、
前記光検出器が検出した光量に基づいて、前記荷電粒子の強度を算出する算出部を、さらに備える
ことを特徴とする加速器用荷電粒子測定ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の加速器用荷電粒子測定ユニットであって、
前記ガスチャンバおよび前記光検出器の間に設けられ、前記シンチレータの種類に応じて定められる帯域の光を透過するフィルタを、さらに備える
ことを特徴とする加速器用荷電粒子測定ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の加速器用荷電粒子測定ユニットであって、
前記フィルタを透過する光の帯域は、不可視光の帯域である
ことを特徴とする加速器用荷電粒子測定ユニット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、加速器から供給される荷電粒子の強度を測定する加速器用荷電粒子測定ユニットおよび加速器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー物理学の実験および医療などに、加速器が用いられている。加速器においては、加速させた荷電粒子の強度を測定することが求められる。従来、荷電粒子の強度の測定方法として、ファラデーカップによる電流計測方法(非特許文献1参照)、および薄膜への入射粒子のラザフォード散乱を用いた電流計測方法(非特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】‐Cup Monitors for High‐Energy Electron Beams文 K. L. Bro’wn and G. W. Tautfest, Rev. Sci. Instrum. 27, 696 (1956)
【非特許文献2】" The Scattering of α and β Particles by Matter and the Structure of the Atom” E. Rutherford, Philos. Mag., vol 6, pp.21, (1911)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファラデーカップによる電流計側方法およびラザフォード散乱を用いた電流計側方法の何れも接触法による荷電粒子の測定方法である。接触法では、加速する荷電粒子の高エネルギー化および大強度化に伴い、接触部分における仕事量が増加するため、荷電粒子の強度の測定精度が低下し得る。
【0005】
本発明は、かかる観点に鑑みてなされたもので、荷電粒子の強度の測定精度の低下を抑制させた加速器用荷電粒子測定ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による加速器用荷電粒子測定ユニットは、
気体状のシンチレータを内部に含み、加速器から供給される荷電粒子が通過するガスチャンバと、
前記ガスチャンバ内における前記荷電粒子の通過経路における光量を検出する光検出器と、
前記ガスチャンバの窓部と前記光検出器との間に設けられる光ファイバと、を備え
前記ガスチャンバには、前記荷電粒子を通過させるための入口孔および出口孔を有す
ことを特徴とするものである。
【0007】
また、第2の観点による加速器用荷電粒子測定ユニットにおいて、
前記光検出器が検出した光量に基づいて、前記荷電粒子の強度を算出する算出部を、さらに備える
ことが好ましい。
【0008】
また、第3の観点による加速器用荷電粒子測定ユニットにおいて、
前記ガスチャンバおよび前記光検出器の間に設けられ、前記シンチレータの種類に応じて定められる帯域の光を透過するフィルタを、さらに備える
ことが好ましい。
【0009】
また、第4の観点による加速器用荷電粒子測定ユニットにおいて、
前記フィルタを透過する光の帯域は、不可視光の帯域である
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加速器用荷電粒子測定ユニットにおいて、荷電粒子の強度の測定精度の低下を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る加速器用荷電粒子測定ユニットを有する超重元素合成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1におけるガス充填反跳イオン分離器の構成を示す断面図である。
【図3】加速器用荷電粒子測定ユニットの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】シンチレータが発光した光の受光量と荷電粒子の強度の関係を示す両対数グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。

【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る加速器用荷電粒子測定ユニットを有する超重元素合成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。

【0014】
超重元素合成装置10は、イオン源11、加速器12、標的13、ガス充填反跳イオン分離器14、および検出器15を含んで構成される。

【0015】
イオン源11は、中性原子から電子をはぎ取り、陽イオンである荷電粒子を生成する。加速器12は、イオン源11から引き出された荷電粒子を加速させ、イオンビームとして膜状の標的13の原子に衝突させる。イオンビームを標的13の原子に衝突させると、ごく一部が融合反応を起こして超重核を形成する。ガス充填反跳イオン分離器14は、標的13から飛出すごく一部の超重核およびイオンビームを形成する多数の荷電粒子を分離する。検出器15は、検出器15内で起きる超重核のアルファ崩壊および自発核分裂による安定核への壊変による壊変連鎖のエネルギーなどを解析して、形成された超重核の核種、寿命、崩壊エネルギーなどを決定する。

【0016】
次に、加速器用荷電粒子測定ユニットが組込まれる、ガス充填反跳イオン分離器14の構成について詳細に説明する。図2に示すように、ガス充填反跳イオン分離器14は、ガスチャンバ16、第1の双極電磁石17、第2の双極電磁石18、第1の4重極電磁石19、および第2の4重極電磁石20を含んで構成される。

【0017】
ガスチャンバ16は、一部が屈曲した管腔であり、入口孔21、出口孔22、窓部23を有する。入口孔21からは、超重核イオンおよび超重核の形成に用いられなかったイオンビームが入射する。出口孔22からは、ガスチャンバ16により分離された超重核イオンが出射し、検出器15に入射する。窓部23は、例えばアクリルであって、光を透過する。ガスチャンバ16内には、入射するイオンと電子の交換を行う希薄なガスが注入される。ガスチャンバ16に注入されるガスは、気体状のシンチレータとしても機能するガスが選択される。例えば、本実施形態では、ヘリウムが用いられる。超重核イオンの電荷は、標的13との衝突時において、平均値の周りに分散して分布する。ガスチャンバ16は、超重核イオンの電荷の分布の拡がりを、ガスの原子との電子の繰返しの交換により狭小化させる。電荷を狭小化させることにより、超重核イオンの分離効率を向上させる。

【0018】
第1の双極電磁石17、第1の4重極電磁石19、第2の4重極電磁石20、および第2の双極電磁石18が順番に、ガスチャンバ16の入口孔21から出口孔22までの経路に沿って、設けられる。第1の双極電磁石17は、超重核イオンと荷電粒子とを分離させ、荷電粒子をガスチャンバ16の内壁に衝突させ(符号IB参照)、超重核イオンのみを第1の4重極電磁石19が設けられる領域に入射させる。第1の4重極電磁石19および第2の4重極電磁石20は超重核イオンを検出器15の焦点面に結像させる。第2の双極電磁石18は、荷電粒子のガスチャンバ16内壁への衝突時に発生するバックグラウンド粒子を掃討する。

【0019】
次に、ガス充填反跳イオン分離器14に組込まれる加速器用荷電粒子測定ユニットの構成について詳細に説明する。図3に示すように、加速器用荷電粒子測定ユニット24は、ガスチャンバ16、光ファイバ25、フィルタ26、光検出器27、電圧源28、電流計29、および算出部30を含んで構成される。

【0020】
前述のように、ガスチャンバ16には、気体状のシンチレータg-sciが注入される。それゆえ、シンチレータg-sciは、ガスチャンバ16内を通過する荷電粒子によって、発光する。ガスチャンバ16の窓部23は、強度測定を所望する荷電粒子の通過経路付近に設けられる。例えば、イオンビームの強度測定を望む場合には、窓部23は入口孔21近傍に設けられる。

【0021】
光ファイバ25は、窓部23に、取付けられる。光ファイバ25は、ガスチャンバ16内の荷電粒子の通過経路におけるシンチレータg-sciが発光する光をフィルタ26に伝達する。

【0022】
フィルタ26は、光ファイバ25および光検出器27の間に設けられ、光ファイバ25が伝達した光の中で特定の帯域の光を透過する。フィルタ26の透過帯域はシンチレータg-sciの種類に応じて定められる。例えば、シンチレータg-sciが発光する光スペクトルにおいて、ピークを有する帯域を透過帯域として有するフィルタ26が選択される。また、例えば、光検出器27の検出感度の良好な帯域を透過帯域として有するフィルタ26が選択されることが好ましい。本実施形態では、例えばシンチレータg-sciとして用いられるヘリウムによる発光スペクトルがピークを有しかつ不可視光の帯域であって、さらに後述する光検出器27の検出感度が良好である紫外光の帯域を透過するフィルタ26が用いられる。

【0023】
光検出器27は、例えば光電子増倍管であって、フィルタ26を透過した特定の帯域の光の受光量を検出し、受光量に応じた電流を出力する。電圧源28は、光検出器27による受光量検出のために、高圧の電圧を印加する。電流計29は、光検出器27が出力する電流、すなわち受光量に応じた電気信号を生成する。

【0024】
算出部30は、例えば、荷電粒子の算出プログラムをインストールしたコンピュータであり、電流計29から取得する電気信号に基づいて、シンチレータg-sciを発光させた荷電粒子の強度を算出する。本実施形態において、荷電粒子の強度とは、単位時間当たりの荷電粒子の個数である。シンチレータg-sciが発光した光の受光量および荷電粒子の強度には、図4のような相関関係があり、当該相関関係は算出部30が有するメモリに予め記憶される。算出部30は、取得する電気信号に相当する受光量に対応する荷電粒子の強度をメモリから読出し、算出する。

【0025】
以上のような構成の本実施形態の加速器用荷電粒子測定ユニットによれば、測定対象の荷電粒子に非接触で強度を算出可能である。荷電粒子の強度を非接触で測定するので、接触部分における仕事量が発生せず、荷電粒子の強度の測定精度の低下を抑制可能である。

【0026】
また、本実施形態の加速器用荷電粒子測定ユニットによれば、フィルタ26の透過帯域が紫外光の帯域なので、窓部23からフィルタ26までの間の光の経路に侵入する外光もフィルタ26により遮光することが可能である。したがって、本実施形態の加速器用荷電粒子測定ユニットには、外光を遮光するシステムなどが不要である。

【0027】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。

【0028】
例えば、本実施形態において、ガス充填反跳イオン分離器14に加速器用荷電粒子測定ユニット24を組込んだが、加速器12により加速させた荷電粒子を用いる他の装置に加速器用荷電粒子測定ユニット24を組込んでもよい。または、加速器12により加速させ供給される荷電粒子を測定するために、単体で加速器用荷電粒子測定ユニット24を用いてもよい。

【0029】
また、本実施形態において、特定の帯域の光を透過するフィルタ26を用いたが、例えば分光器などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 超重元素合成装置
11 イオン源
12 加速器
13 標的
14 ガス充填反跳イオン分離器
15 検出器
16 ガスチャンバ
17 第1の双極電磁石
18 第2の双極電磁石
19 第1の4重極電磁石
20 第2の4重極電磁石
21 入口孔
22 出口孔
23 窓部
24 ガス充填反跳イオン分離器
25 光ファイバ
26 フィルタ
27 光検出器
28 電圧源
29 電流計
30 算出部
g-sci シンチレータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3