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Specification :(In Japanese)コルヌ螺旋歯形歯車

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4376938
Date of registration Sep 18, 2009
Date of issue Dec 2, 2009
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)コルヌ螺旋歯形歯車
IPC (International Patent Classification) F16H  55/08        (2006.01)
FI (File Index) F16H 55/08 Z
Number of claims or invention 3
Total pages 16
Application Number P2007-513030
Date of filing Apr 6, 2006
International application number PCT/JP2006/307786
International publication number WO2006/109838
Date of international publication Oct 19, 2006
Application number of the priority 2005139033
Priority date Apr 8, 2005
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jul 17, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】505172927
【氏名又は名称】宮奥 勉
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】宮奥 勉
【氏名】兼廣 二郎
【氏名】佐々木 秀和
Accelerated examination, or accelerated appeal examination (In Japanese)早期審査対象出願
Representative (In Japanese)【識別番号】100083253、【弁理士】、【氏名又は名称】苫米地 正敏
Examiner (In Japanese)【審査官】小林 忠志
Document or reference (In Japanese)特開2004-013797(JP,A)
特開昭53-052852(JP,A)
Field of search F16H 55/00-55/30
F16H 1/00- 1/26
F16H 1/28- 1/48
F16H 48/00-48/30
F16H 3/00- 3/78
F16H 57/00-57/12
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
相手方の歯形歯車と噛み合って動力を伝達する歯形歯車において、
歯形曲線の全軌跡または軌跡の一部をコルヌ螺旋で構成するとともに、ピッチ点を始点とする歯の1/4ピッチ領域内においては、前記歯形曲線の全軌跡または軌跡の一部を構成するコルヌ螺旋は、連続した単一のコルヌ螺旋であることを特徴とする歯形歯車。
【請求項2】
請求項1に於いて、使用するコルヌ螺旋をX軸及び/またはY軸方向に伸縮することによって出来る変成コルヌ螺旋としたことを特徴とする歯形歯車。
【請求項3】
請求項1または2に於いて、歯先を水平線として歯底を円弧とし、噛合う範囲をコルヌ螺旋としたことを特徴とする歯形歯車。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明はラックとピニオンを含む歯車(以下、総称して歯車と言う)の基本歯形に関するものである。歯車の振動、騒音及び歯面の摩耗を軽減し、歯の面圧強度及び曲げ強度を高める新規な歯形曲線を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
現在最も一般的な歯車用基本歯形としてインボリュート歯形があり、産業社会のあらゆる機械装置に使用されている。その主な長所としては次の4点が挙げられる。
(a)定速比で伝動回転を行う。
(b)ホブカッタによる創成加工が容易である。
(c)歯形の加工精度または歯車系の組立て精度に多少の誤差があっても回転の伝達には実用上差し支えない。
(d)基本歯形の形状がモジュールで管理されている。
【0003】
その一方で未解決の問題点としては次の6点が挙げられる。
(1)使用時、歯面に於けるすべり率が大きく、歯面が摩耗しやすい。
(2)凸面と凸面の噛合いであるので、歯面の接触面圧が大きく摩耗やピッチングが発生しやすい。
(3)歯元形状に基づく歯元応力が大きく、高負荷や衝撃による歯元の折損を生じやすい。
(4)ホブ加工に於いて或る歯数以下で歯元に切下げ(アンダカット)を生じる。
(5)実用的にはバックラッシュがなければ円滑な噛合い回転運動が困難である。
(6)歯の振動及びバックラッシュなどによる運転時の騒音が大きい。
【0004】
これ等の問題点を解消すべく、これまでに多くの提案がなされてきている。その歴史的流れとして、一方にインボリュート歯形の修正がある。また他方にサイクロイド歯形や円弧歯形を主とした新しい歯形の探求があり、各々の方面でさらなる改良が加えられている。
新しい歯形の探求の一つとして日本特公昭55-38541号に於いて、対称円弧歯形歯車の修正方法が提案されている。これは円弧と円弧の接続点(ピッチ線上にある)の近傍がインボリュート曲線の噛合いになることを避ける為の工夫である。しかし、わざわざ修正の為の創成加工を再度加えなくてはならない。さらにその修正加工によって削除する範囲や分量も明確でない。しかも実歯車に於いては、組立誤差に起因する歯車対の芯間距離の誤差が避けられないので、この修正加工はほとんど効果がない。
【0005】
さらにWN歯車(Wildhaver-Novikov歯車)の改良として日本特公昭55-14934号が提案されている。この改良提案はWN歯車の最大の欠点である噛合いに於ける点接触を改良して2線噛合いとするものである。WN歯車に於いて歯面の強度が最も大きくなるような凹凸両円弧歯形の平均半径を、歯末のたけと最小圧力角の関係式から求め、噛合いが2線噛合いとなる圧力角とはすば角との関係式を提案している。しかしながらWN歯車は、はすば歯車としなければ回転を伝えることが出来ない。必然的に歯幅に制限があると同時に高度の歯切加工精度や組立精度が要求される。しかも、振動、騒音が大きく、中速、高速域ではあまり実用されていない。
【0006】
近年商品名ロジックス(Logix)歯車と呼ばれる曲率波状変動歯車とその改良が日本特許第1606158号、日本特公平2-15743号及び日本特開平11-94052号に於いて提案されている。これ等の提案の主要な点は、歯面の噛合い始めと噛合い終わりの近傍を円弧歯形とし、その間を歯たけ方向に曲率が周期的に増減する連続かつ微分可能な曲線で接続するものである。しかしながら現実の基本歯形曲線を作成させるのに必須の具体的な微分方程式や曲率変化の周期的増減率は開示されていない。特に歯形に於いて最も重要である曲線と円弧との接続の方法が明らかでない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の数々の試みによっても未だ実用レベルの解決に至っていない前記(1)~(4)の問題点を、歯形の改良によって根本的に解決することが本発明の課題である。併せて、新しい歯形はインボリュート歯形の長所である前記(a)~(d)の特性を同等程度に具備するものであることを目標とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者等は、これまで歯形として使用されていない曲線を種々探索して歯形への適用を試みた。その結果、コルヌ螺旋を歯形とする歯車が従来の歯形にない優れた特性を有することを見出し、この発明を完成するに至った。コルヌ螺旋(CORNU’S SPIRAL)とは、第1図で示されるように、曲線の曲率が曲線に沿って測った長さに比例して一定の割合で絶えず増加又は減少し、或る点に収束することを特徴とする曲線として知られている。コルヌ螺旋を産業に応用している例としては土木構造物に於けるクロソイド(CLOTHOID)曲線がある。クロソイド曲線とは緩和曲線とも呼ばれ、小曲率の高速走行路から大曲率の低速誘導路へ移る際に、滑らかに安全なステアリング操作を実現するものである。クロソイド曲線の数理は、例えば文献「金井彌太郎著、クロソイド曲線の設計と設置」に詳細に述べられており、発明者等はこの文献に開示されている基本図形の解法を使って歯車を試作した。
【0009】
このコルヌ螺旋を用いて歯形を構成するとき、(1)歯形曲線の歯底から歯先に至る全軌跡をコルヌ螺旋のみで構成したものを特に基本コルヌ螺旋歯形と呼ぶ。(2)全歯形曲線の内、面圧の高い範囲にコルヌ螺旋を使用し、他をこれに接続するコルヌ螺旋以外の曲線又は直線としてもよい。(3)コルヌ螺旋を所要のアスペクト比で伸縮させて得られる変成コルヌ螺旋を用いて、上記(1)及び(2)と同様に歯形を構成することが出来る。これら上記(1)~(3)の方法で構成された歯形を総称して以下、コルヌ螺旋歯形と記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
コルヌ螺旋を描き、それから歯形曲線を得る方法を第1図から第4図を用いて説明する。先ず、コルヌ螺旋は前記のクロソイド曲線に関する文献で開示されている金井の式を用いた。第1図に於いてコルヌ螺旋上の任意の一点PのX座標、Y座標の値は次の数式(1)及び(2)で与えられる。
【数1】
JP0004376938B2_000002t.gif

【0011】
ここで、
A:LR=A2で定義されるコルヌ螺旋のパラメータ(長さのディメンジョンを持つ)(mm)
L:原点0からP点までの曲線の弧の長さ(mm)
R:P点に於ける曲率半径(mm)
τ:P点に於ける接線がX軸となす角(ラジアン)
コルヌ螺旋に於ける式(1)及び式(2)からX、Yの座標値を算出することによって、数値制御による機械加工が可能である。すなわち、歯車創成加工用のホブカッタの製造はもとより、マシニングセンタ、ワイヤカット放電加工機等、現在実用されている歯車加工設備によって何ら支障なく、安価で汎用的に歯車を製作することが可能である。
【0012】
次に第2図、第3図及び第4図を用いて、コルヌ螺旋から歯形曲線を得る手順を詳細に説明する。以下座標値を含めて長さの単位は全てmmである。また、数式中の角度の単位は全てラジアンである。
手順1;第2図に示されるコルヌ螺旋上の一点Pnの座標をXn、Ynとし、点Pnに於いて曲線に内接する円の半径をR0、中心点をCとする。このときの座標軸X0、Y0をコルヌ螺旋基軸と呼ぶ。
手順2;コルヌ螺旋にPn点で内接する円の中心点Cの座標をXc、Ycとすれば、Xc、Ycの値は次式で与えられる。
【数2】
JP0004376938B2_000003t.gif

【0013】
手順3;求める基本歯形のモジュールを決め、完成させる歯形の歯末のたけを予測してR0とYcの仮値を与える。ここで、仮値を決めるには後述する第5図を採用する。
手順4;前記の式(1)と(2)を利用し、第2図に於けるコルヌ螺旋のAとτの値を求める。
手順5;原点0から点Pnまでの曲線の弧の長さをLnとし、LnをN個(Nは整数値)に分割した単位長さをsとすれば、Ln及びsは式(5)、(6)から求められる。
【数3】
JP0004376938B2_000004t.gif

【0014】
手順6;次に、原点0から点Pnまでのコルヌ螺旋上のN個の各点に於けるτjを次式から求める。
【数4】
JP0004376938B2_000005t.gif
手順7;こうして得られたA、τjの値を、前述の式(1)、(2)に代入して、コルヌ螺旋上の各点のX0座標値、Y0座標値を得る。各点を滑らかな曲線で結んでコルヌ螺旋を完成させる。
手順8;さらにj=NのときのX0座標値Xnとτnを用いて、Xcの値を次式から求める。
【数5】
JP0004376938B2_000006t.gif

【0015】
手順9;このようにして得られた図形及びコルヌ螺旋基軸の全体を、原点0を回転中心として反時計回り方向にα度だけ回転させる。そして改めて原点0を通り水平、垂直な座標軸X、Yを設け、第3図を得る。ここで、軸Y0と軸Yのなす角度αが歯形に於ける圧力角となる。この新しい座標に於ける点Cの座標値Xcc、Yccは次式の座標変換式によって得られる。
【数6】
JP0004376938B2_000007t.gif
手順10;次に第3図に於いて、コルヌ螺旋のX座標値が最大値となるときのY座標値Yccがπm/4に極めて近い値となるまで、手順3から手順10までの計算を繰り返し行う。このときR0を固定値とし、Yccを変数とし次式(11)を満足することが望ましい。
【数7】
JP0004376938B2_000008t.gif

【0016】
手順11;上記の手順によって得られたコルヌ螺旋を、原点0を通り、X軸と45°をなす傾斜軸を回転軸として反転する。こうして得られたコルヌ螺旋が第4図に示される基本コルヌ螺旋歯形曲線である。すなわち原点0から歯先Pまでの間が基本コルヌ螺旋歯形の1/4ピッチを形成する。
第4図に於いて、得られた曲線を歯形曲線として利用する為には次の2つの関係を同時に満足する幾何学的条件が必要である。(A)歯先Pに内接する半径R0の円の中心CのY座標値がEである。(B)CのX座標値がπm/4である。ここでmは歯形のモジュールであり、任意に選択出来る。内接する円の中心点Cのコルヌ螺旋基軸からの距離をXc、Ycとすれば、Eは上記の幾何学的条件から(12)式によって与えられる。
【数8】
JP0004376938B2_000009t.gif

【0017】
本発明者等は、上述の手順によって歯形曲線の1/4ピッチ分を求め、コルヌ螺旋のパラメータAをそのまま歯形のモジュールmに置換した。さらに圧力角αを与えて、点Pを歯先、点Qを歯底とする基本コルヌ螺旋(コルヌ螺旋のみで構成された第4図に示す曲線)からなる基本歯形図形を得た。さらにモジュールmと圧力角αを与えることによって基本コルヌ螺旋から成る歯形は、ただ1個の曲線に特定されることを見出した。これは、言い換えると、圧力角αの基本コルヌ螺旋歯形は各モジュールmに対し各々1つずつしか与えられないことを示すものであり、従来のインボリュート歯形歯車と全く同様にモジュールmによって歯形を規格化し、管理することが出来る。
【0018】
コルヌ螺旋は先に述べた如く、直線と円弧を結ぶ緩和曲線であることから、直線が或る角度をもっていても、或る位置の円弧と滑らかに接続することが可能である。従って圧力角は、歯車の使用目的に合せて最適の角度を任意に選択することが出来る。このことは、今後の用途開発の可能性が極めて大きいことを示唆する。発明者らは圧力角を広い範囲にわたって変化させて、得られた歯形図形を評価した結果、次のことが分かった。即ち、圧力角が小さくなると歯先、歯底の形状が先鋭となり、10°未満であればそのままでは歯形として利用しにくい。また圧力角が大きくなると、逆に歯先及び歯底がなだらかに過ぎて歯形の機能を減じる。大きい側では25°を超えるとコルヌ螺旋のみでは実用性を失う。
【0019】
上記の歯形図形に関する評価の成果として第5図に示す歯形特性線図が得られた。第5図は特定の圧力角に於けるYcの値と、歯先・歯元で歯形曲線に内接する円弧の半径R0の値との関係を、双方ともモジュールmで表したものである。本図を用いて或るモジュールの歯形諸元を決定する方法を説明する。例えばモジュール3、圧力角α=20゜のとき、R0=1.8mmとすれば、縦軸に於いてR0=0.6モジュールの点から発する水平線と圧力角20°の特性曲線との交点を求める。次にこの交点から垂直線を下ろして横軸上の目盛を読むと0.663モジュール即ちYc=1.989mmを得る。
【0020】
本発明者等はコルヌ螺旋歯形の設計に於ける自由度を高める方策を探求して、コルヌ螺旋の変形を試みた。その結果、コルヌ螺旋のX座標値及びY座標値に各々定数を乗じることによって出来る変成コルヌ螺旋も歯形曲線として用いることが出来ることを見出した。すなわち、選択した或るモジュール、圧力角、Ro及びYcの条件のもとで、変成の比率を選ぶことによって歯先と歯底との頂隙や歯末のたけを最適化することができる。変成の比率は、歯車の大きさと用途及び求められる性能と特性に応じて自由に選択出来る。該変成コルヌ螺旋の実施例を第6図に示す。
さらに、モジュールと圧力角を任意に選んで得られる基本コルヌ螺旋又は他のコルヌ螺旋(変成コルヌ螺旋を含む)の歯先のX座標値がπm/4とならない場合は、X座標値がπm/4であるY軸と平行な垂直線上の任意の点をその中心として、該曲線に内接する円と該曲線とをその接点で接続して歯形曲線を構成することが出来る。これがコルヌ螺旋と他の曲線からなる歯形曲線である。
【0021】
このようにして得られた本発明に係るコルヌ螺旋歯形の第1の特質は、噛合い時の接触面が相互に凹面と凸面による面接触となることである。これはコルヌ螺旋が曲率の変化率が一定である連続した曲線であることに起因する。つまり接触点に於ては凸面の曲率半径と凹面の曲率半径はほぼ等しい。これによって、面接触が生まれて、接触点に於ける面圧応力が低下し、摩耗が少なく低騒音の歯車が得られた。これと対照的に、インボリュート歯形歯車では凸面と凸面の点接触であって、接触点の面圧応力が高い。
【0022】
第2の特質としては、第1図から明らかな様に、コルヌ螺旋は直線と円弧とを極めて滑らかに結ぶ緩和曲線である。従って第4図の0点近傍では極めて直線に近い形状であり、P点近傍では極めて円弧に近い形状となる。このことは歯形曲線に於いては、ピッチ点近傍が直線に近い形状をなし、歯先及び歯底が円弧に近い形状となることを意味する。即ち歯車の噛合いに於いて現実に生ずる加工、組立誤差等による歯車の芯間距離の多少のズレに対してもインボリュート歯形歯車と同等に円滑な噛合いをする。また歯元に於いては、インボリュート歯形歯車に比べて歯元のR寸法が大きく、かつ歯数の少ない歯車でも創成加工によるアンダカットを生じない歯底形状を呈している。これによって、伝動荷重による応力集中が少なく、従って歯元の曲げ強度の高い歯車となる。第7図、第8図及び第9図は、同一サイズのコルヌ螺旋歯形歯車とインボリュート歯形歯車について、歯元形状を比較したものである。これら三実施例について、同一解析条件のもとで有限要素法により歯元強度を比較した。その結果、第8図のコルヌ螺旋歯形歯車の歯元強度は、第9図のインボリュート歯形歯車の歯元強度に対して120%であった。
【0023】
第3の特質は、コルヌ螺旋が放物線や楕円と異なり、すべて相似であることである。即ち異なる条件でコルヌ螺旋を描いても、図形の大きさが異なるのみで完全な相似形となる。この状況を第10図に示す。この特質ゆえにコルヌ螺旋歯形歯車に於いても、インボリュート歯形歯車と同一の概念でモジュールを用いて歯の形状寸法を特定し、規格化することが出来る。従って現在ひろく行なわれている歯切り加工に於いても、ホブカッタをモジュールで管理することが出来る。このことはコルヌ螺旋歯形歯車の普及の点で非常に重要で有意義な特質である。第11図は基本コルヌ螺旋歯形のホブカッタによる創成加工状態を示す包絡線図である。
【0024】
歯形を動力伝達用歯車として用いるときには頂隙を必要とする場合が多い、これは基本コルヌ螺旋歯形に於いても、コルヌ螺旋と円弧や直線からなる歯形に於いても共通する。頂隙を設けるには、歯先又は歯底のどちらか一方について、これに内接する円弧の半径R0を僅かに大きく又は小さくしてコルヌ螺旋に滑かに接続させる。あるいは噛合いに関与しない歯先頂部を水平線で切り取ることによって任意の頂隙を設けてもよい。
またインボリュート歯形歯車に於いては、歯車の噛合率を大きくする為に平歯車よりもはすば歯車が選択される。これは本発明に係るコルヌ螺旋歯形歯車に於いても同様に、何等支障なく平歯車とはすば歯車を製作できる。はすば歯車とすることによって、より曲げ強度の大きい低騒音の歯車が得られる。
【実施例1】
【0025】
発明者等はモジュールm=3、圧力角α=20゜、歯数Z=18の平歯車を2個製作した。第5図よりR0=1.80mm、Yc=1.989mmの諸元を得て、基本コルヌ螺旋歯形を決め、数値制御式のワイヤカット放電加工機を使用して高炭素鋼材から切り出して歯車を製作した。この際に、発明者等は基本歯形の図形データを用いて創成歯車の形状を作製するコンピュータプログラムを完成した。こうして製作した歯車の一方を駆動軸に嵌着し、他を従動軸に嵌着して両者を噛合せて回転させた。第12図に噛合い状態を部分拡大して示す。同一モジュールのインボリュート歯形歯車の一対を上記と同様の材質、加工方法によって製作して同様に試験した。その結果、本発明に係るコルヌ螺旋歯形歯車はインボリュート歯形歯車に対して遜色ない円滑な回転伝達が確認された。さらに第12図に示す隙間のない噛合い状態から明らかなように、基本コルヌ螺旋歯形歯車は歯車ポンプに好適であることが分かった。
【実施例2】
【0026】
歯車の噛合い運転時に発生する騒音の主原因の一つは、駆動側歯車の歯元部と従動側歯車の歯先部との噛合い開始点での双方の形状の組み合わせにあるとされている。発明者等はこの点に留意して、実施例1の基本コルヌ螺旋歯形歯車と同一のモジュール及び歯数で、かつ同一の材質、加工方法によって、歯形(圧力角、歯末のたけ、歯元のたけ、歯先形状等)を種々に変えたコルヌ螺旋歯形歯車及びインボリュート歯形歯車を製作した。これら歯形の異なる歯車の噛合い運転試験を、試験条件を同一にして実施した。その結果、第1表(本発明の実施例に係る各種コルヌ螺旋歯形歯車とインボリュート歯形歯車の騒音試験の結果を示す。)に示す如くコルヌ螺旋歯形歯車の中にインボリュート歯形歯車より低騒音のものがあることを確認した。
以上の実施例はすべて金井の式(1)、(2)を用いてコルヌ螺旋歯形を製作した。しかしながら、コルヌ螺旋は他の解法によっても作図が可能である。例えば村上が提供する式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)によっても同様にコルヌ螺旋の座標データを得ることが可能である。
【0027】
【数9】
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【0028】
【表1】
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【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明になるコルヌ螺旋歯形歯車は、現在主流のインボリュート歯形歯車が持っている実用的な利点をほとんど損なうことなく、インボリュート歯形歯車にはない有用性を数多く具えているので、様々な用途が開けている。この歯形の利用効果が顕著であると考えられる用途を2、3挙げると、その第1は、噛合い接触面に於ける面圧応力の低下及び、アンダカットのない形状がもたらす歯元応力の低下によって許容荷重が増大したことである。これにより歯車の厚さすなわち重量を軽減できるので、軽量化が命題となっているところの機器、例えば、飛翔体、高速走行体、遠隔操縦ロボット、人体装着機械などには非常に魅力的な歯形である。
【0030】
有用性の第2は、モジュール管理が出来るのみならず特定のモジュールに於いても、圧力角、コルヌ螺旋の形状、歯たけを自由に設定して用途に最適の歯形を持つ歯車を製作できることである。すなわち、現用の機械装置に於いても、インボリュート歯形歯車では不満足である場合に、モジュールと歯数が同一のコルヌ螺旋歯形歯車を、芯間距離を替えることなく換装することによって不満を解消することが可能となった。
有用性の第3はバックラッシュを完全になくしても円滑な噛合い回転が行なわれることである。従来歯形の歯車系をバックラッシュなしで運転する為には、数多の工夫が成されており、その為の機構や装置を必要としている。本発明の歯車では、歯形と歯たけを適切にすればバックラッシュを完全になくして滑かに回転させることが出来る。この特長は正確な位置合わせを要求されるハイテク機械装置、例えば印刷機、医療機器、マニピュレータなどに於いて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明で採用したコルヌ螺旋の説明図
【図2】コルヌ螺旋から歯形曲線を作成する過程を示す説明図
【図3】コルヌ螺旋から歯形曲線を作成する過程を示す説明図
【図4】本発明の一実施例に係る歯形曲線の全軌跡をコルヌ螺旋のみで構成した基本コルヌ螺旋歯形を示す説明図
【図5】本発明に係るコルヌ螺旋歯形の各種圧力角に於けるYcとR0の値を与えるコルヌ螺旋歯形特性線図の一例
【図6】変成コルヌ螺旋の実施例を示す説明図
【図7】基本コルヌ螺旋歯形歯車の一実施例に於ける歯元形状を示す図面
【図8】コルヌ螺旋歯形歯車の他の実施例に於ける歯元形状を示す図面
【図9】従来のインボリュート歯形歯車の一例に於ける歯元形状を示す図面(以上の第7図~第9図は比較の為に歯形のサイズを揃えてある。)
【図10】コルヌ螺旋の相似性を示す説明図
【図11】本発明の一実施例に係る基本コルヌ螺旋歯形形状のホブカッタを用いて創成加工する状況を示す包絡線図
【図12】本発明の一実施例に係る基本コルヌ螺旋歯形によって成る歯車対の噛合い状況を示す図面
【図13】本発明の一実施例に係るコルヌ螺旋歯形歯車対の噛合い状態を示す図面
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
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