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Specification :(In Japanese)行動解析方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6495731
Publication number P2016-211984A
Date of registration Mar 15, 2019
Date of issue Apr 3, 2019
Date of publication of application Dec 15, 2016
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)行動解析方法
IPC (International Patent Classification) G01N  29/46        (2006.01)
A01K  67/00        (2006.01)
FI (File Index) G01N 29/46
A01K 67/00 D
Number of claims or invention 4
Total pages 12
Application Number P2015-096458
Date of filing May 11, 2015
Date of request for substantive examination Apr 25, 2018
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】吉田 崇将
Representative (In Japanese)【識別番号】100120868、【弁理士】、【氏名又は名称】安彦 元
Examiner (In Japanese)【審査官】小澤 瞬
Document or reference (In Japanese)特開2003-199457(JP,A)
特開昭62-59210(JP,A)
特許第4537639(JP,B2)
特開2014-212915(JP,A)
米国特許第6715444(US,B1)
国際公開第2008/129939(WO,A1)
Field of search A01K 11/00-29/00
33/00-37/00
41/00-59/06
67/00
67/033-67/04
A61B 5/06-5/22
9/00-10/06
G01H 1/00-17/00
G01N 29/00-29/52
33/00-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)

Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
被験動物の動作に伴い発生する振動から前記被験動物の行動を解析する行動解析方法であって、
振動データを収集するサンプリング工程と、
前記サンプリング工程で得られた前記振動データを高速フーリエ変換する高速フーリエ変換工程と、
前記高速フーリエ変換工程で高速フーリエ変換された前記振動データから周波数スペクトルを求める周波数スペクトル演算工程と、
前記周波数スペクトル演算工程で得られた前記周波数スペクトルを対数変換する対数変換工程と、
前記対数変換工程で変換された前記周波数スペクトルの線形近似値を得る線形近似工程と、
前記対数変換工程で対数変換された前記周波数スペクトルから、前記線形近似工程において得られた前記線形近似値を減算して減算値を得る減算工程と、
前記減算工程で得られた前記減算値から線形スペクトルを生成する線形スペクトル生成工程と、
前記線形スペクトル生成工程で得られた前記線形スペクトルに基づき動物の行動解析を行う行動解析工程と、
を備えることを特徴とする行動解析方法。
【請求項2】
前記行動解析工程は、前記線形スペクトルから最も高いパワーを示す第一ピークを検出し、前記第一ピークを含む任意の周波数帯における上位から所定範囲内にあるパワーに対応する各周波数の平均値を求め、前記平均値をピーク周波数として決定し、当該ピーク周波数に基づき動物の行動解析を行うことを特徴とする請求項1記載の行動解析方法。
【請求項3】
前記行動解析工程は、第1周波数帯の範囲における平均パワーPpeakと、第1周波数帯より高周波側に位置する任意の周波数を中心とした第1周波数帯と同じ幅の第2周波数帯における平均パワーPrefとを算出し、(Ppeak-Pref)/(Ppeak+Pref)を演算することで得られる値に基づき動物の行動解析を行うことを特徴とする請求項2記載の行動解析方法。
【請求項4】
前記高速フーリエ変換工程で高速フーリエ変換された前記振動データを時間周波数グラフ化する時間周波数グラフ化工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の行動解析方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、動作実験装置を用いて行われる動物の行動解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新しい医療技術や新薬等の研究開発において、様々な動物を用いて行う動物実験は重要な実験手法である(特許文献1参照)。こうした動物実験には、被験動物の行動を観察し解析する行動実験や、被験動物の脳波や血液等の変化を観察し解析する生理実験等、様々な種類のものが存在する。
【0003】
このうち行動実験は様々な目的で行われていて、例えば、特定の疾患を研究する目的で疾患と同様の症状を被験動物に引き起こし、その行動データを収集、解析することが行われている。こうした動物実験においては、被験動物に疾患と同様の症状(以下、「疾患様症状」という。)を引き起こす効果を持つ薬剤が投与されることがある。
【0004】
疾患様症状の一つに振戦がある。振戦とはふるえの一種で、筋肉の収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる不随意運動のふるえである。振戦を被験動物に再現する際に薬剤を使用するが、薬剤投与によりあらわれる疾患様症状は、実際の疾患により現れるふるえの症状と比べて激しくなり、実際の疾患のモデルとは言えない。また、低用量の薬剤投与によってふるえを弱めた場合、その振動は微細であり、ふるえの動作について観察または検出することが困難となる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2013-005746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、振戦を被験動物で再現するために、薬剤投与によらず特定の遺伝子がノックアウトされた遺伝子改変動物を用いて試みたところ、遺伝子改変動物が呈するふるえは微弱であり、また、ふるえの周期が薬剤投与の場合とは異なる周期となり得る可能性があった。このことより、客観的かつ周波数を固定せずにふるえを検出するという課題を見出した。
【0007】
そこで、本発明は上記の状況から、遺伝子改変動物または低用量の薬剤投与のいずれの場合でも、ふるえの強弱に関係なく、被験動物に遺伝子改変または薬剤投与によって生じた特有のふるえを検出できる行動解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る行動解析方法は、被験動物の動作に伴い発生する振動から前記被験動物の行動を解析する行動解析方法であって、振動データを収集するサンプリング工程と、前記サンプリング工程で得られた前記振動データを高速フーリエ変換する高速フーリエ変換工程と、前記高速フーリエ変換工程で高速フーリエ変換された前記振動データから周波数スペクトルを求める周波数スペクトル演算工程と、前記周波数スペクトル演算工程で得られた前記周波数スペクトルを対数変換する対数変換工程と、前記対数変換工程で変換された前記周波数スペクトルの線形近似値を得る線形近似工程と、前記対数変換工程で対数変換された前記周波数スペクトルから、前記線形近似工程において得られた前記線形近似値を減算して減算値を得る減算工程と、前記減算工程で得られた前記減算値から線形スペクトルを生成する線形スペクトル生成工程と、前記線形スペクトル生成工程で得られた前記線形スペクトルに基づき動物の行動解析を行う行動解析工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る行動解析方法は、第1発明において、前記行動解析工程は、前記線形スペクトルから最も高いパワーを示す第一ピークを検出し、前記第一ピークを含む任意の周波数帯における上位から所定範囲内にあるパワーに対応する各周波数の平均値を求め、前記平均値をピーク周波数として決定し、当該ピーク周波数に基づき動物の行動解析を行うことを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る行動解析方法は、第2発明において、前記行動解析工程は、第1周波数帯の範囲における平均パワーPpeakと、第1周波数帯より高周波側に位置する任意の周波数を中心とした第1周波数帯と同じ幅の第2周波数帯における平均パワーPrefとを算出し、(Ppeak-Pref)/(Ppeak+Pref)を演算することで得られる値に基づき動物の行動解析を行うことを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る行動解析方法は、第1乃至第3発明の何れか1つの発明において、前記高速フーリエ変換工程で高速フーリエ変換された前記振動データを時間周波数グラフ化する時間周波数グラフ化工程を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述した構成からなる本発明によれば、遺伝子改変または被験動物への薬剤投与によって引き起こされるふるえの周波数が未知であっても特定し、かつ、ふるえが微弱であっても検出することができる。
【0013】
また、薬剤の副作用を評価する場合にも、本発明の解析方法によって微弱なふるえを呈する副作用を検出することができ、これまで人へ投与した時に初めて判明するような副作用も未然に把握することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る行動解析方法が適用される動物実験装置を示す模式図である。
【図2】図1の動物実験装置の制御部の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の動物実験装置により行動解析を実行する際の情報処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る行動解析方法において得られる各種データをグラフ化した図であり、(A)は周波数スペクトルを示すグラフ、(B)は時間周波数を示すグラフ、(C)は対数変換後の周波数スペクトル、周波数スペクトルの線形近似値、及び対数変換された周波数スペクトルから線形近似値を減算した減算値を示すグラフ、(D)は周波数スペクトルについて線形近似を行ったグラフ、(E)はピーク周波数から±2.5Hzの周波数帯におけるパワーを示すグラフ、(F)は最大ノイズピークの周波数から±2.5Hzの周波数帯におけるパワーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る行動解析方法について、図を用いて説明する。

【0016】
図1は、本実施形態に係る行動解析方法が適用される動物実験装置1を示す模式図である。動物実験装置1は、矩形の外ケージ2と、外ケージ2の内部において被験動物Aを収容する矩形の内ケージ3と、内ケージ3の底部を支持する支持片4と、支持片4に接続された変換部5と、変換部5を介して支持片4に接続された制御部6及び記憶部8と、各種情報を表示するディスプレイ7と、を備えて構成されている。支持片4の配置の例は、図1のように外ケージ2の4つの周壁を貫通して設けて固定しても良い。また、中央部に支持片4を配置するとともに、内ケージ3の支持を補助するスプリングを支持片4の周囲に配置しても良い。

【0017】
本実施形態において、被験動物Aは野生型動物または遺伝子改変動物である。野生型動物の場合、自然状態で発するふるえの基準(コントロール)に利用することができる他、ふるえの症状を誘発する薬剤を投与して薬剤投与によるふるえの状態を評価することに利用できる。ふるえの症状を誘発する薬剤としては、ハルマリン等が挙げられる。遺伝子改変動物は、遺伝子改変によるふるえの症状の発生の有無を評価することに利用できる。自然状態のふるえ、薬剤投与によるふるえ、遺伝子改変によるふるえは、いずれも被験動物の動作として表れる。

【0018】
外ケージ2及び内ケージ3は、被験動物の行動を観察する範囲を規定するために設ける。各ケージの材質は、例えば金属、硝材、プラスチック等の樹脂材、木材が挙げられるが、内ケージ3の底部は被験動物Aの体重に耐えてかつ振動を支持片4に効率良く伝える役割を持つことから、軽くて剛性のある材質が好ましい。内ケージ3の底部の材質としては、例えばプラスチック等の樹脂材、木材が挙げられる。各ケージの形状は、例えば板状、格子状、曲面状などが挙げられる。内ケージの被験動物Aを囲う周囲の材質または形状と、内ケージの底部の材質または形状はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。例えば、内ケージの被験動物Aを囲う周囲の材質は、内部にいる被験動物Aの視認が可能であるよう透明な樹脂製であり、内ケージの底部は薄いプラスチック板により構成されている。

【0019】
支持片4は、ピエゾ素子よりなり、内ケージ2の内部に収容されている被験動物Aの動作に伴い発生する振動を電気信号に変換して制御部6及び記憶部8に送信する。支持片4の面積は、内ケージの底部を支持し、かつ振動を検出できれば任意の広さでよい。例えば、内ケージの底部の一辺が15cmの正方形に対し、支持片4は1.5cmである。

【0020】
ピエゾ素子より発生した信号は、支持片4から変換部5を通じて制御部6に送信される。

【0021】
変換部5は、増幅回路51とアナログ・デジタル(AD)変換回路52を有する。制御部6は、動物実験装置1全体の制御を行う構成であり、制御部6全体を制御するCPU(Central Processing Unit)61と、CPU61上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read Only Memory)62と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)63と、を備えて構成されている。

【0022】
記憶部8は、各支持片4から送信される信号や、制御部6による各種演算結果等の情報を記憶する。

【0023】
ディスプレイ7は、制御部6から送信される各種情報を表示する。

【0024】
次に、動物実験装置1による被験動物Aの行動解析について説明する。図2は、図1の動物実験装置1の制御部6の機能的構成を示す機能ブロック図である

【0025】
制御部6は、CPU61がROM62に格納されている制御プログラムをRAM63に展開して実行することにより、サンプリング部611、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)部612、周波数スペクトル演算部613、対数変換部614、線形近似部615、減算部616、線形スペクトル生成部617、行動解析部618及び時間周波数グラフ化部619として機能する。

【0026】
サンプリング部611は、各支持片4から送信される、被験動物Aの行動に伴い発生する振動を示すアナログ信号である電気信号を収集して変換部5のアナログ・デジタル変換回路52で変換された信号を受け取り、振動データへと変換する。サンプリング部611により生成された振動データは、記憶部8に送信され記憶される。

【0027】
FFT部612は、サンプリング部611により収集され記憶部8に記憶されている振動データを読み出すとともに、これを高速フーリエ変換することにより、振動データが実数領域から周波数領域へと変換される。高速フーリエ変換された振動データは、周波数スペクトル演算部613及び時間周波数グラフ化部619へと送信されるとともに、記憶部8に送信され記憶される。

【0028】
周波数スペクトル演算部613は、高速フーリエ変換後の振動データに基づき周波数スペクトルを算出する。算出された周波数スペクトルのデータは、対数変換部614へと送信される。また、周波数スペクトルのデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0029】
時間周波数グラフ化部619は、高速フーリエ変換後の振動データに基づき時間周波数グラフを生成する。生成された時間周波数グラフのデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0030】
対数変換部614は、周波数スペクトル演算部613により算出された周波数スペクトルを対数変換する。対数変換された周波数スペクトルのデータは、線形近似部615及び減算部616に送信される。また、対数変換された周波数スペクトルのデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0031】
線形近似部615は、対数変換部614により変換された周波数スペクトルの線形近似値を算出する。算出された線形近似値のデータは、減算部616へと送信される。また、線形近似値のデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0032】
減算部616は、対数変換部614から送信された対数変換された周波数スペクトルから、線形近似部615から送信された線形近似値を減算して減算値を算出する。算出された減算値のデータは、線形スペクトル生成部617に送信される。また、減算値のデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0033】
線形スペクトル生成部617は、減算部616から送信された減算値から線形スペクトルを生成する。この線形スペクトルのデータは行動解析部618へと送信される。また、線形スペクトルのデータは、記憶部8に送信され記憶されるとともに、ディスプレイ7に送信され表示される。

【0034】
行動解析部618は、線形スペクトル生成部617から送信された線形スペクトルのデータに基づき動物の行動解析を行う。

【0035】
次に、上述した動物実験装置1により行動解析が実行される様子について説明する。図3は、図1の動物実験装置1により行動解析を実行する際の情報処理を示すフローチャートである。

【0036】
まず、内ケージ3内に収容されている被験動物Aの動作に伴い発生する振動が支持片4へと伝わると、支持片4により電気信号に変換される。上述したように被験動物Aのふるえは動作として表れているため、この動作に伴い発生する振動も、自然状態、投与された薬剤による効果または遺伝子改変による効果によって特有の振動となっている。

【0037】
支持片4により振動がアナログデータである電気信号に変換されると、この電気信号は、変換部5のアナログ・デジタル変換回路52で変換され、制御部6のサンプリング部611へと送信される。サンプリング部611は、この電気信号を振動データへと変換するとともに、これを記憶部8へと送信し、記憶部8に記憶させる(ステップS1)。

【0038】
次に、FFT部612が、記憶部8に記憶されている振動データを読み出すとともに、これを高速フーリエ変換することにより、振動データを実数領域から周波数領域へと変換する(ステップS2)。そして、FFT部612は、高速フーリエ変換された振動データを、周波数スペクトル演算部613及び時間周波数グラフ化部619へと送信するとともに、記憶部8に送信して記憶させる。

【0039】
次に、FFT部612から高速フーリエ変換された振動データを受信した周波数スペクトル演算部613は、高速フーリエ変換後の振動データに基づき周波数スペクトルを算出する(ステップS3)。そして、周波数スペクトル演算部613は、算出した周波数スペクトルのデータを、対数変換部614へと送信する。

【0040】
また、周波数スペクトル演算部613は、得られた周波数スペクトルのデータをディスプレイ7に送信し、動物実験装置1を用いて研究を行う研究者にグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。図4(A)は、周波数スペクトルを示すグラフである。周波数スペクトルは、図4(A)の折れ線aとしてディスプレイ7に表される。

【0041】
次に、周波数スペクトル演算部613からデータを受信した対数変換部614は、受信した周波数スペクトルのデータを対数変換する(ステップS4)。そして、対数変換部614は、対数変換された周波数スペクトルのデータを、線形近似部615及び減算部616に送信する。

【0042】
また、対数変換部614は、得られた対数変換後の周波数スペクトルのデータをディスプレイ7に送信し、研究者にグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。

【0043】
図4(C)は、対数変換後の周波数スペクトル、周波数スペクトルの線形近似値、及び対数変換された周波数スペクトルから線形近似値を減算した減算値を示すグラフである。対数変換後の周波数スペクトルは、図4(C)の折れ線bとしてディスプレイ7に表示される。

【0044】
次に、対数変換部614からデータを受信した線形近似部615は、周波数スペクトルの線形近似値を算出する(ステップS5)。そして、線形近似部615は、算出した線形近似値のデータを、減算部616へと送信する。

【0045】
また、線形近似部615は、得られた線形近似値のデータをディスプレイ7に送信し、研究者にグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。線形近似値は、図4(C)の直線cとしてディスプレイ7に表示される。

【0046】
次に、対数変換部614からデータを受信した減算部616は、対数変換部614から送信された対数変換された周波数スペクトルから、線形近似部615から送信された線形近似値を減算して減算値を算出する(ステップS6)。そして、減算部616は、算出した減算値のデータを、線形スペクトル生成部617へと送信する。

【0047】
また、減算部616は、減算値のデータをディスプレイ7に送信し、研究者にグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。減算値は、図4(C)の折れ線dとしてディスプレイ7に表示される。

【0048】
次に、減算部616からデータを受信した線形スペクトル生成部617は、減算部616から送信された減算値から線形スペクトルを生成する(ステップS7)。本実施形態においては、1Hz以上の周波数帯における周波数スペクトルについて線形近似が行われるが、本発明においてはこれに限らず、被験動物Aの種類やふるえの種類に応じて適宜範囲を変更することができる。そして、線形スペクトル生成部617は、算出した線形スペクトルのデータを行動解析部618へと送信する。

【0049】
また、線形スペクトル生成部617は、得られた線形スペクトルのデータをディスプレイ7に送信しグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。この線形スペクトルは、図4(D)の折れ線eとしてディスプレイ7に表示される。

【0050】
次に、線形スペクトル生成部617からデータを受信した行動解析部618は、このデータに基づいて被験動物Aの行動解析を行い、動物実験装置1の一連の動作が終了する。この行動解析の詳細については後述する。行動解析の結果を示すデータは、ディスプレイ7に表示され、被験動物Aを用いて実験を行う者に提示されるとともに、データとして記憶部8に保存される。

【0051】
また、上記ステップS2においてFFT部612により算出された高速フーリエ変換後の振動データを受信した時間周波数グラフ化部619は、このデータを用いて時間周波数グラフを生成する(ステップS9)。

【0052】
そして、時間周波数グラフ化部619は、生成された時間周波数グラフのデータをディスプレイ7に送信し、研究者にグラフとして提示するとともに、実験データとして記憶部8に保存する。この時間周波数グラフは、図4(B)のようにディスプレイ7に表示される。

【0053】
本発明の実施形態における行動解析部618による被験動物Aの行動解析について詳述する。被験動物AとしてNetrin-G2の遺伝子がノックアウト(KO)され、ふるえの症状として本態性振戦の病状を呈する遺伝子改変動物を用いた行動実験を行う場合を例に説明する。

【0054】
行動解析部618は、上述したように線形スペクトル生成部617から受信した、図4(D)に示される線形スペクトルのデータに基づき行動解析を行う。

【0055】
図4(D)の線形スペクトルと図4(A)の周波数スペクトルのグラフを比較すると、図4(A)では0Hz付近及び12Hz付近に大きなピークが表れているとともに、24Hz付近に小さなピークが表れている。

【0056】
一方、図4(D)では12Hz付近に大きなピークが表れるとともに、24Hz付近にも小さなピークが表れている。そのため、この12Hz付近が被験動物Aに特徴的な動作を示す周波数であるという推定を行うことができる。

【0057】
実際、本実施形態においては本態性振戦の疾患モデルとしてNetrin-G2KOマウスが用いられているが、Netrin-G2KOマウスの振戦は12Hz付近がピークとなる震えであり、0Hz付近は1/fの揺らぎにおける低周波振動であり、24Hz付近は主成分である第一ピークの倍波成分である。

【0058】
このように、振動データから周波数スペクトルを求め、これを対数変換し更に線形近似した後、周波数スペクトルから線形近似値を減算し、減算値から線形スペクトルを生成する。行動解析部618はこの線形スペクトルから最も高いパワーを示す第一ピークを検出し、当該第一ピークを含む任意の周波数帯(第1周波数帯)に含まれる振動のピーク周波数を検出し、これに基づき行動解析を行う。

【0059】
まず、行動解析部618は、図4(D)に示す線形スペクトルに基づき、所定の周波数帯内にあるピーク周波数を特定する。本実施形態においては、行動解析部618は、5~25Hzの周波数帯におけるピークを検出する。なお、本発明においてはこれに限らず、被験動物Aの種類やふるえの種類に応じて第一ピークを含む周波数帯の適宜範囲を変更することができる。

【0060】
このピーク周波数の特定は、次のようにして行われる。行動解析部618は、5~25Hzの周波数帯における上位10%のパワーについて周波数を検出し、これらの周波数の平均値を算出し、算出された平均値をピーク周波数と設定する。

【0061】
なお、本実施形態においては上位10%のパワーについてピーク周波数が検出されたが、本発明においてはこれに限らず、被験動物Aの種類やふるえの種類に応じて適宜、上位のパワーの範囲を変更することができる。

【0062】
そして、行動解析部618は、このピーク周波数から±2.5Hzの周波数帯を第1周波数帯として平均パワーPpeakを算出する。図4(E)は、ピーク周波数から±2.5Hzの周波数帯におけるパワーを示すグラフである。図4(E)中の直線は、平均パワーPpeakを表している。

【0063】
なお、本実施形態においては、平均パワーPpeakはピーク周波数から±2.5Hzの周波数帯について求められたが、本発明においてはこれに限らず、被験動物Aの種類やふるえの種類に応じて適宜平均パワーPpeakの算出範囲を変更することができる。

【0064】
次に、行動解析部618は、ピーク周波数から±2.5Hzの周波数帯以外の範囲のスペクトルはすべてノイズを含むものと判定し(ただし倍波成分も含む部分は除く)、高周波側の任意の帯域を参照周波数帯(第2周波数帯)とする。本実施形態においては、ピーク周波数は約12Hzとなるため、これを含めた±2.5Hzの範囲、すなわち9.5Hz~14.5Hzの周波数帯以外の範囲はノイズと判定される。また、24Hzは倍波成分であるため、それを避ける25~30Hzをノイズとして平均パワーPrefを求めた。

【0065】
次に、行動解析部618は、(Ppeak-Pref)/(Ppeak+Pref)を演算する。この演算により得られた値は、例えば本実施形態においては本態的振戦(Tremor)に関する動物実験を行っていることからTremor Indexと定義される。

【0066】
そして、行動解析部618は、算出された(Ppeak-Pref)/(Ppeak+Pref)の値に基づき被験動物Aの行動解析を行う。本態的振戦の動物実験の場合には、野生型の動物と被験動物Aとの間、又は複数の種類の被験動物Aの間でTremor Indexを比較することで、振戦の症状の強弱が分かる。

【0067】
上述した実施形態に係る行動解析方法によると、弱いふるえを呈する遺伝子改変動物、または薬剤投与をする場合において用量が少ない等の理由により呈するふるえが弱い被験動物のときでも、行動解析を行うことができる。

【0068】
また、被験動物が呈するふるえについて、その特徴的な動作が未知である場合においても、これを推測し、行動解析を行うことができる。

【0069】
なお、上述した実施形態において用いられている動物実験装置1は、ピエゾ素子よりなる4つの支持片4により内ケージ3が支持されていたが、本発明においてはこれに限らず、支持片4の数を任意の個数に設定して上記行動解析を行うことができる。また、支持片4による内ケージ3の支持位置についても任意に設定することができる。

【0070】
例えば、内ケージ3の底部中央において、1つの支持片4により支持する態様であってもよい。また、4つの支持片4について、1つのみをピエゾ素子とし、他の支持片4については弾性変形可能な樹脂や金属等の薄板により構成してもよい。

【0071】
また、支持片4から変換部5に入力される電気信号にノイズが多く混入する場合には、支持片4と変換部5との間にボルテージフォロワによるインピーダンス変換や、差動増幅によるコモンモードノイズ除去を行う構成を設ける他、接続にシールディングを施した同軸ケーブルを使用する等の対策を取ることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 動物実験装置
2 外ケージ
3 内ケージ
4 支持片
5 変換部
6 制御部
7 ディスプレイ
8 記憶部
61 CPU
62 ROM
63 RAM
611 サンプリング部
612 FFT部
613 周波数スペクトル演算部
614 対数変換部
615 線形近似部
616 減算部
617 線形スペクトル生成部
618 行動解析部
619 時間周波数グラフ化部
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3