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明細書 :14族金属リチウム化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6452500号 (P6452500)
公開番号 特開2016-164127 (P2016-164127A)
登録日 平成30年12月21日(2018.12.21)
発行日 平成31年1月16日(2019.1.16)
公開日 平成28年9月8日(2016.9.8)
発明の名称または考案の名称 14族金属リチウム化合物の製造方法
国際特許分類 C07F  19/00        (2006.01)
C07F   7/22        (2006.01)
C07F   1/02        (2006.01)
C07F   7/30        (2006.01)
FI C07F 19/00
C07F 7/22 V
C07F 1/02
C07F 7/30 A
C07F 7/30 Z
C07F 7/22 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2015-044297 (P2015-044297)
出願日 平成27年3月6日(2015.3.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 1.発行者名:一般社団法人近畿化学協会有機金属部会、刊行物名:「第61回有機金属化学討論会予稿集」第173頁、発行年月日:平成26年9月8日 2.集会名:第61回 有機金属化学討論会、発表日:平成26年9月25日
審査請求日 平成30年1月5日(2018.1.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】内山 真伸
【氏名】王 超
【氏名】王 東宇
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100121153、【弁理士】、【氏名又は名称】守屋 嘉高
【識別番号】100194892、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 麻美
審査官 【審査官】岡谷 祐哉
参考文献・文献 特開2004-002249(JP,A)
Kunio Mochida,Reactions of Trialkylstannane Anions R3Sn- with Arylstannanes ArSnR3',Bulletin of the Chemical Society of Japan,日本,1987年,60,3299-3306
調査した分野 C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
R4-nMXn (1)
[一般式(1)中、Rは炭化水素基を示し、Mは、Si、Ge及びSnから選ばれる金属原子を示し、Xはハロゲン原子又はR3M-(R及びMは前述の通り)を示し、nは1又は2を示す。]
で表される化合物及び
リチウムを、
ナフタレン、アントラセン又は4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニルの存在下、反応させることを特徴とする、一般式(4)
R4-nMLin (4)
[一般式(4)中、R、M及びnは、前記と同じものを示す。]
で表される14族金属リチウム化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)において、MがSnであることを特徴とする請求項1記載の14族金属リチウム化合物の製造方法。
【請求項3】
一般式(4):
R4-nMLin (4)
[一般式(4)中、Rは炭化水素基を示し、Mは、Si、Ge及びSnから選ばれる金属原子を示し、nは1又は2を示す。]
で表される14族金属リチウム化合物と、
ナフタレン、アントラセン及び4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニルから選ばれる少なくとも一種の多環芳香族化合物
とを含む組成物。
【請求項4】
ナフタレン、アントラセン又は4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニル
を共存させることを特徴とする、
一般式(4):
R4-nMLin (4)
[一般式(4)中、Rは炭化水素基を示し、Mは、Si、Ge及びSnから選ばれる金属原子を示し、nは1又は2を示す。]
で表される14族金属リチウム化合物の保存方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高効率・迅速かつ簡便な14族金属リチウム化合物の製造方法とその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
14族金属リチウム化合物、特に、有機スズリチウム類は有機リチウム(炭素陰イオン)の類似物として、合成試薬(特に、Stilleカップリングが有名である)、有機金属触媒前駆体や重合開始剤などとして、学術研究と工業生産の様々な分野に運用されている。
【0003】
これまで、有機スズリチウムについて主な合成方法は以下の四つであった。
<1> Wittigら(1950年)(非特許文献1-2)、そしてGilmanら(1952年)(非特許文献3)が開発したアルキルリチウムRLiと二有機スズR2Sn(II)あるいは二塩化スズCl2Sn(II)からの合成法。
<2> Wittigら(1951年)(非特許文献3-4)が発見した液体アンモニウム中リチウム金属とハロゲン化三有機スズ R3SnX(X:ハロゲン)から酸化的リチウム挿入反応による合成法。その後(1962年)、Gilmanら(非特許文献4)、Tamboskiら(非特許文献5)は液体アンモニウムの代わりにもっと使いやすいTHFを溶媒として上記の合成を達成した。さらに、1997年に、(R3Sn)2Oを基質としてリチウム金属との反応により、スズリチウムの合成法(特許文献1)またはR2SnX2を基質としてリチウム金属との反応により、スズジリチウム(R2SnLi2)の合成法(特許文献2)も報告された。
<3> Stillら(1977年)が報告したR3SnX(X:ハロゲン)とRLiからハロゲン-リチウム交換反応によっての合成法(非特許文献6)。
<4> Stillら(1978年)が報告したR3SnHとジイソプロピルアミド(LDA)から脱プロトン化反応による合成法(非特許文献7)。
以上の方法は、現在広範囲で使用されているが、下記の如く幾つかの大きな問題が有り、この試薬の研究と応用は大きく限られていた(非特許文献8)。
<1> 低収率、低選択性:上記の方法では、通常低収率(90%以上は望めない)であり、大量の副生成物が伴うこと。
<2> 低原子効率:上記の方法では、一般的に大過剰なスズ源または他の原料が必要となる。
<3> 保存困難:上記の方法から生成したスズリチウムは低温下でも不安定であり、急速に分解するため、要時調製が必須だった(非特許文献9-10)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開第1997/047630号
【特許文献2】米国特許第6787661号明細書
【0005】

【非特許文献1】G. Wittig, Angew. Chem. 1950, 62, 231-236
【非特許文献2】G. Wittig, F. J. Meyer, G. Lange, Jus. Liebigs Ann. Chem. 1951, 571, 167
【非特許文献3】H. Gilman, S. D. Rosenberg, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 531
【非特許文献4】H. Gilman, O. L. Marrs, S.-Y. Sim, J. Org. Chem. 1962, 27, 4232
【非特許文献5】C. Tamborski, F. E. Ford, W. L. Lehn, G. J. Moore, E. J. Soloski, J. Org. Chem. 1962, 27, 619
【非特許文献6】W. C. Still, J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 4836
【非特許文献7】W. C. Still, J. Am. Chem. Soc. 1978, 100, 1481
【非特許文献8】S. Sharma, A. C. Oehlschlager, J. Org. Chem. 1989, 54, 5064
【非特許文献9】K. Mochida, Bull. Chem. Soc. Jpn. 1987, 60, 3299
【非特許文献10】H. Gilman, F. K. Cartledge, S.-Y. Sim, J. Organometal. Chem. 1965, 4, 332.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、このような問題の無い14族金属リチウム化合物の合成法を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、14族金属リチウム化合物の合成に特定の多環芳香族化合物を用いることで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明に想到するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
【0009】
〈1〉
一般式(1):
R4-nMXn (1)
[一般式(1)中、Rは炭化水素基を示し、Mは、Si、Ge及びSnから選ばれる金属原子を示し、Xはハロゲン原子又はRM-(R及びMは前述の通り)を示し、nは1又は2を示す。]
で表される化合物及び
リチウムを、
一般式(2):
【0010】
【化1】
JP0006452500B2_000002t.gif

【0011】
[一般式(2)中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mは0~5の整数を示す。]
又は一般式(3):
【0012】
【化2】
JP0006452500B2_000003t.gif

【0013】
[一般式(3)中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
で表される多環芳香族化合物の存在下、反応させることを特徴とする、一般式(4)
R4-nMLin (4)
[一般式(4)中、R、M及びnは、前記と同じものを示す。]
で表される14族金属リチウム化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高効率・迅速かつ簡便に14族金属リチウム化合物を得ることができる。また、本発明により得られた14族金属リチウム化合物は、室温でも安定であるため、用事調製することなくクロスカップリング反応試薬等として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。以下、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、Phはフェニル基、Tolylはトリル基を示す。

【0016】
本発明で原料として用いられる化合物は下記一般式(1)で表されるものである。
R4-nMXn (1)
[一般式(1)中、Rは炭化水素基を示し、Mは、Si、Ge及びSnから選ばれる金属原子を示し、Xはハロゲン原子又はRM-(R及びMは前述の通り)を示し、nは1又は2を示す。]

【0017】
一般式(1)中、Rで示される炭化水素基としては、炭素原子数1~16のものが好ましく、炭素原子数1~8のものがより好ましい。具体的には、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。

【0018】
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基も含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基の水素原子はハロゲン原子等で置換されていてもよい。

【0019】
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。

【0020】
アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2-メチル-1-プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル基等が挙げられる。

【0021】
アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。また、ベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基も含まれる。具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基等が挙げられる。アリール基の水素原子はハロゲン原子等で置換されていてもよい。

【0022】
前記アリール基のうち、アルキルフェニル基としては、フェニル基の水素原子が上述したアルキル基で置換されたものが挙げられる。具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基等が挙げられる。

【0023】
一般式(1)中、Mで示される金属原子としては、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)及びSn(スズ)の中でも、Ge及びSnがより好ましく、Snが特に好ましい。

【0024】
一般式(1)中、Xで示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。

【0025】
一般式(1)で示される化合物としては、具体的には、MeSnCl(塩化トリメチルスズ)、BuSnCl(塩化トリ-n-ブチルスズ)、PhSnCl(塩化トリフェニルスズ)、BuSnSnBu(ビス(トリブチルスズ))、BuSnCl(二塩化ジ-n-ブチルスズ)、PhGeCl(塩化トリフェニルゲルマニウム)、PhSiCl(塩化トリフェニルシリコン)、PhMeSiCl(塩化フェニルジメチルシリコン)等が挙げられる。

【0026】
本発明で用いられる多環芳香族化合物は、次の一般式(2):

【0027】
【化3】
JP0006452500B2_000004t.gif

【0028】
[一般式(2)中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mは0~5の整数を示す。]
又は一般式(3):

【0029】
【化4】
JP0006452500B2_000005t.gif

【0030】
[一般式(3)中、Rは水素原子又は炭化水素基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
で表されるものである。

【0031】
一般式(2)及び(3)において、Rで示される炭化水素基としては、一般式(1)におけるRと同様のものが挙げられる。また、mは0~3の整数であることが好ましく、0~1の整数であることがより好ましい。

【0032】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば下記の構造式で表される化合物及びこれらの水素原子の一部又は全部がRで示される炭化水素基で置換されたものが例示される。

【0033】
【化5】
JP0006452500B2_000006t.gif

【0034】
一般式(3)で表される化合物としては、4,4'-ジ-tert-ブチルビフェニル、3,3'-ジ-tert-ブチルビフェニル、2,2'-ジ-tert-ブチルビフェニル、3,4'-ジ-tert-ブチルビフェニル等が挙げられる。

【0035】
上述した中でも、本発明の多環芳香族化合物としては、ナフタレン、アントラセン、4,4'-ジ-tert-ブチルビフェニルが特に好ましい。

【0036】
[反応条件]
本発明における溶媒としては特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物及び多環芳香族化合物を溶解することができ、これらの化合物と反応しないものから適宜選択することができる。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒が好ましい。

【0037】
本発明における反応温度は特に限定されず、通常室温程度で反応が進行する。また、本発明における反応時間は、通常3時間程度である。本発明における反応は、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。

【0038】
本発明において、Liは、一般式(1)で表される化合物に対してnの2.0~20.0倍、特にnの2.0~3.0倍当量用いることが好ましい。
また、多環芳香族化合物は、一般式(1)で表される化合物に対して0.1~300mol%、さらに0.5~100mol%用いるのが好ましく、さらに1.0~50mol%用いるのがより好ましい。

【0039】
[14族金属リチウム化合物の製造方法]
本発明の14族金属リチウム化合物の製造方法の一例は下記の通りである。
(i) アルゴン等の不活性ガス雰囲気で室温下、ナフタレン等の多環芳香族化合物をTHF等の溶媒に溶解し、Liを加え室温で1時間程撹拌する。
(ii) (i)で得られた溶液に、一般式(1)で表される化合物を加え、室温で3時間程撹拌する。

【0040】
本発明の方法により得られる14族金属リチウム化合物は、クロスカップリング用試薬として様々な有機化合物の合成に用いることができる。さらに、ポリマー合成の際のアニオン重合開始剤としても有用である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び参考例を示し、本願発明を更に詳細に説明するが、本願発明は下記の例に制限されるものではない。
【実施例】
【0042】
[NMR]
NMRはJEOL AL-300, AL-400 NMR, BRUKER AVANCE III HDを用いて測定した。化学シフトはδ (ppm)値で示した。1H NMRは内部標準としてテトラメチルシラン又はクロロホルムを用いた。
【実施例】
【0043】
[試薬]
特に記載のない限り、化合物は和光純薬、東京化成工業、シグマ-アルドリッチ、他の試薬会社より購入した。無水THFは関東化学工業より購入し、嫌気操作はアルゴン雰囲気下でシュレンク管で行った。クロマトグラフィーはメルク社製のシリカゲル60を用い、薄層クロマトグラフィーは0.25 mmメルクシリカゲルプレートを用いた。
【実施例】
【0044】
[14族金属リチウム化合物の合成]
実施例1(BuSnLiの合成)
ナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)のTHF溶液(16 mL)に金属リチウム(168 mg, 24 mmol)を加えた。その結果、溶液は暗緑色に変わりはじめ、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌した。ついで塩化トリ-n-ブチルスズ(2.604 g, 2.16 mL, 8 mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌し、トリブチルスズリチウム;BuSnLiを得た。
得られたトリブチルスズリチウムの収率及び濃度は既報(非特許文献1-5)に従って算出した。すなわち、上記のトリブチルスズリチウム溶液(16 mL)から2 mLを取ってアルゴン雰囲気下のシュレンク管に入れ、この2 mLの溶液に過剰量のヨウ化メチルを加えた。30分間反応させた後にヘキサンで抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、反応生成物であるトリブチルメチルスズを得た。トリブチルメチルスズにメシチレン(120.1 mg, 0.139 mL, 1.0 mmol)と重溶媒(DCCl3)を加え、NMRを測定し、NMR収率はメシチレンが内部標準として算出された(>99%, 1.0 mol)。トリブチルスズリチウムの収率はトリブチルメチルスズと同じであり(>99%)、濃度はトリブチルメチルスズのNMR収率より算出された(0.5 mol/L)。
実施例1において、ナフタレンを用いず反応を行った場合、同様の方法で算出したトリブチルスズリチウムの収率は48%と報告されており(非特許文献8)、本発明の方法が優れていることがわかった。
【実施例】
【0045】
実施例2
実施例1でナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)と金属リチウム(168 mg, 24 mmol)の代わりにナフタレン(5.1 mg, 0.04 mmol)と金属リチウム(336 mg, 48 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0046】
実施例3
実施例1でナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)の代わりにナフタレン(1.025 g, 8 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0047】
実施例4
実施例1でナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)の代わりにアントラセン(106.5 mg, 0.4 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0048】
実施例5
実施例1でナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)の代わりに4,4'-ジ-tert-ブチルビフェニル(71.3 mg, 0.4 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0049】
実施例6
実施例1でTHF溶媒(16 mL)の代わりにジエチルエーテル(16 mL)を溶媒として用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0050】
実施例7
実施例1で塩化トリ-n-ブチルスズ(2.16 mL, 8 mmol)の代わりにビス(トリブチルスズ)(2.02 mL, 4 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリブチルスズリチウムを得た。実施例1と同様の方法で、トリブチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
【実施例】
【0051】
実施例8(MeSnLiの合成)
ナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)のTHF溶液(16 mL)と金属リチウム(168 mg, 24 mmol)を用い、実施例1で塩化トリ-n-ブチルスズ(2.16 mL, 8 mmol)の代わりに塩化トリメチルスズ(1.594 g, 8 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリメチルスズリチウム;MeSnLiを得た。
過剰量のヨウ化メチルの代わり臭化ベンジル(180 mg, 1.05 mmol)を用いて終夜反応させた以外は実施例1と同様の方法で、トリメチルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
実施例8において、ナフタレンを用いず反応を行った場合、同様の方法で算出したトリメチルスズリチウムの収率は80-85%と報告されており(非特許文献9)、本発明の方法が優れていることがわかった。
【実施例】
【0052】
実施例9(PhSnLiの合成)
ナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)のTHF溶液(16 mL)と金属リチウム(168 mg, 24 mmol)を用い、実施例1で塩化トリ-n-ブチルスズ(2.16 mL, 8 mmol)の代わりに塩化トリフェニルスズ(3.084 g, 8 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリフェニルスズリチウム;PhSnLiを得た。実施例1と同様の方法で、トリフェニルスズリチウムの収率を算出した(>99%)。
実施例9において、ナフタレンを用いず反応を行った場合、同様の方法で算出したトリフェニルスズリチウムの収率は70-80%と報告されており(非特許文献1-5)、本発明の方法が優れていることがわかった。
【実施例】
【0053】
実施例10(BuSnLiの合成)
ナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)のTHF溶液(16 mL)と金属リチウム(168 mg, 24 mmol)を用い、実施例1で塩化トリ-n-ブチルスズ(2.16 mL, 8 mmol)の代わりに二塩化ジ-n-ブチルスズ(1.215 g, 4 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ジブチルスズジリチウム;BuSnLiを得た。
過剰量のヨウ化メチルの代わり4-ヨウ化トルエン(228.9 mg, 1.05 mmol)を用いて0 oC から室温まで徐々に昇温し、終夜反応させた以外は実施例1と同様の方法で、ジブチルスズジリチウムの収率を算出した(81%)。
実施例10において、ナフタレンを用いず反応を行った場合、同様の方法で算出したジブチルスズジリチウムの収率は<5%であった。また、特許文献2によれば、金属リチウムの代わりに特定の活性化リチウムを用い、ナトリウムを触媒として反応を行った場合でも「活性化リチウム濃度」(BuSnLiBuSnClLiの比率の記載はない)は74%と報告されており(特許文献2)、本発明の方法が従来法に比べて収率及び選択性(BuSnLi以外共生成物がない)について優れていることがわかった。
【実施例】
【0054】
実施例11(PhGeLiの合成)
ナフタレン(51.3 mg, 0.4 mmol)のTHF溶液(16 mL)とリチウム(168 mg, 24 mmol)を用い、実施例1で塩化トリ-n-ブチルスズ(2.16 mL, 8 mmol)の代わりに塩化トリフェニルゲルマニウム(2.715 g, 8 mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、トリフェニルゲルマニウムリチウム;PhGeLiを得た。実施例1と同様の方法で、トリフェニルゲルマニウムリチウムの収率を算出した(99%)。
実施例11において、ナフタレンを用いないで反応を行った場合、同様の方法で算出したトリフェニルゲルマニウムリチウムの収率は85%と報告されており(非特許文献5)、本発明の方法が優れていることがわかった。
【実施例】
【0055】
[14族金属リチウム化合物の保存安定性評価]
実施例1のトリブチルスズリチウムを一定期間保存後、ヨウ化メチルと反応させて本発明の方法で得た14族金属リチウム化合物の保存安定性評価を行った。実施例1で得られた反応液(0.5 mol/L, 16 mL)をガスタイトシリンジまたはカヌラでアルゴン置換したシュレンク反応管に移し、室温で保存した。1, 3, 7, 15, 30, 60日後にこの反応液からそれぞれ2 mL(トリブチルスズリチウム:1.0 mmol)を過剰量のヨウ化メチルのTHF溶液に加え30分間反応させた後にヘキサンで抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、反応生成物であるトリブチルメチルスズを得た。上記のトリブチルメチルスズにメシチレン(120.1 mg, 0.139 mL, 1.0 mmol)と重溶媒(DCCl3)を加え、NMRを測定し、NMR収率はメシチレンが内部標準として算出された。トリブチルスズリチウム溶液の濃度または保存後のトリブチルスズリチウム量はトリブチルメチルスズのNMR収率より算出された。一定期間保存後のトリブチルメチルスズの収率及びトリブチルスズリチウムの量を表1に示す。
【実施例】
【0056】
【表1】
JP0006452500B2_000007t.gif
【実施例】
【0057】
本発明の方法により得られた14族金属リチウム化合物は、室温で60日間経過しても、大きな変化や分解がなく高収率で反応生成物を与えることから、極めて安定性が高いことがわかった。これは、多環芳香族化合物の存在のためと思われる。
一方、実施例1において、ナフタレンを用いず得られたトリブチルスズリチウムは、初期量251 mmolのトリブチルスズリチウムが一週間保存後には100 mmolになってしまい、60 %以上が分解してしまうことが報告されている(非特許文献10)。
【実施例】
【0058】
[14族金属リチウム化合物を用いた参考例]
本発明の方法により得られた14族金属リチウム化合物を用いて、下記参考例A~Dの各種反応を行った。
【実施例】
【0059】
{参考例A 求電子剤に対する求核置換反応}
実施例1~6で得られた14族金属リチウム化合物を用いて各種求電子剤に対する求核置換反応を行った。反応の概要と結果を表2にまとめ、反応の詳細を下記に記す。
【実施例】
【0060】
【表2】
JP0006452500B2_000008t.gif
【実施例】
【0061】
参考例A1
実施例1と同様の方法で、塩化トリ-n-ブチルスズよりトリブチルスズリチウム(1.0 mmol)を調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いて過剰量のヨウ化メチルのTHF溶液に加えた。室温で30分間反応させた後、ヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、トリブチルスズメチルをさらなる精製無しに無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.53- 1.42 (m, 5H), 1.30 (dq, J = 14.3, 7.1 Hz, 7H), 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 9H), 0.86- 0.75 (m, 6H), 0.03(t, J = 24 Hz, 3H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 29.24, 27.33, 13.77, 9.51, -12.77
【実施例】
【0062】
参考例A2
実施例7で得られたトリブチルスズリチウムを用いた以外は参考例A1と同様にして反応を行った。
【実施例】
【0063】
参考例A3
実施例8と同様の方法で、塩化トリメチルスズよりトリメチルスズリチウム(4.0 mmol)を調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いて臭化ベンジル(718.2 mg, 4.2 mmol)のTHF溶液に加えた。室温で終夜反応させた後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、ベンジルトリメチルスズをさらなる精製無しに無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.20-7.12 (m, 2H), 7.02- 6.89 (m, 3H), 2.28 (s, 2H), 0.02 (s, 9H);13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 143.38, 128.51, 126.97, 123.26, 20.21, -10.09
【実施例】
【0064】
参考例A4
実施例9と同様の方法で、塩化トリフェニルスズよりトリフェニルスズリチウム(1.0 mmol)を調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いて過剰量のヨウ化メチルのTHF溶液に加えた。室温で30分間反応させた後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、メチルトリフェニルスズをさらなる精製なしに淡いクリーム色の結晶(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71- 7.53 (m, 6H), 7.49- 7.35 (m, 9H), 0.87- 0.69 (m, 3H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 139.23, 136.83, 128.94, 128.53, -10.67
【実施例】
【0065】
参考例A5
参考例A1と同様な方法で過剰量のヨウ化メチルの代わりに過剰量の塩化アリルを用いた以外は参考例A1と同様の操作を行い、アリルトリブチルスズを無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.95 (dt, J = 18.5, 8.6 Hz, 1H), 4.73 (dd, J = 55.6, 13.3 Hz, 2H), 1.89- 1.68 (m, 2H), 1.59- 1.43 (m, 6H), 1.32 (dq, J = 14.5, 7.2 Hz, 6H), 0.96- 0.84 (m, 15H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ138.20, 109.20, 29.05, 27.25, 16.07, 13.58, 9.01
【実施例】
【0066】
参考例A6
参考例A1と同様な方法で過剰量のヨウ化メチルの代わりに蒸留水を用いた以外は参考例A1と同様の操作を行い、トリブチルスズを無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.32- 5.26 (m, 1H), 1.69- 1.59 (m, 6H), 1.37- 1.26 (m, 12H), 0.92 (t, J = 7.3 Hz, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ27.95, 26.95, 17.62, 13.68
【実施例】
【0067】
参考例A7
参考例A1と同様な方法で過剰量のヨウ化メチルの代わりに塩化トリメチルシリル(114.5 mg, 1.05 mmol)を用い、0 oC から室温まで徐々に昇温し、終夜反応した以外は参考例A1と同様の操作を行い、トリブチルトリメチルシリルスズを無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.56- 1.24 (m, 12H), 0.96- 0.81 (m, 15H), 0.25 (s, 9H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 30.44, 27.71, 13.80, 7.91, 1.53
【実施例】
【0068】
参考例A8
参考例A1と同様な方法で過剰量のヨウ化メチルの代わりに臭化ベンジル(180 mg, 1.05 mmol)を用い、0 oC から室温まで徐々に昇温し、終夜反応した以外は参考例A1と同様の操作を行い、ベンジルトリブチルスズを無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.17 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.05- 6.92 (m, 3H), 2.44- 2.16 (m, 2H), 1.47- 1.21 (m, 12H), 0.92- 0.77 (m, 15H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 143.92, 128.43, 127.16, 123.01, 29.12, 27.42, 18.27, 13.76, 9.39
【実施例】
【0069】
参考例A9
参考例A1と同様な方法で過剰量のヨウ化メチルの代わりにヨードベンゼン(214 mg, 1.05 mmol)を用い、0 oC から室温まで徐々に昇温し、終夜反応した以外は参考例A1と同様の操作を行い、トリブチルフェニルスズを無色のオイル(NMR収率: 99%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.50- 7.45 (m, 2H), 7.35- 7.29 (m, 3H), 1.58- 1.52 (m, 5H), 1.35 (dq, J = 14.3, 7.2 Hz, 7H), 1.06 (dd, J = 8.8, 7.5 Hz, 6H), 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.25, 136.71, 128.14, 29.20, 27.49, 13.76, 9.62
【実施例】
【0070】
参考例A10
実施例10と同様の方法で、4.0 mmol の二塩化ジ-n-ブチルスズよりトリメチルスズリチウムを調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いて臭化アリル(1.02 g, 8.4 mmol)のTHF溶液に加えた。室温で終夜反応した後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、69%のNMR収率でジブチルジアリルスズを得た。減圧下クーゲルロール蒸留による精製でジブチルジアリルスズを無色のオイル(694 mg, 55%)として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.97- 5.89 (m, 2H), 4.83- 4.76 (m, 2H), 4.70- 4.63 (m, 2H), 1.89- 1.75 (m, 4H), 1.50- 1.46 (m, 4H), 1.33- 1.26 (m, 4H), 0.93 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 0.90 (t, J = 7.8 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ137.62, 109.81, 28.95, 27.24, 16.23, 13.69, 9.41.
【実施例】
【0071】
参考例A11
参考例A10と同様な方法で臭化アリル(1.02 g, 8.4 mmol)の代わりに4-ヨードトルエン(1.83 g, 8.4 mmol)を用いて、生成物がシリカゲルカラム精製された以外は参考例A10と同様の操作を行い、ジブチルジ-p-メチルフェニルスズを無色のオイル(NMR収率: 81%; 単離収率:75%)として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.46-7.34 (m, 4H), 7.18 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 2.36 (s, 6H), 1.68-1.55 (m, 4H), 1.41-1.31 (m, 4H), 1.31-1.20 (m, 4H), 0.89 (t, J = 7.3 Hz, 6H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 138.03, 136.74, 136.54, 129.04, 28.93, 27.35, 21.43, 13.62, 10.23.
【実施例】
【0072】
参考例A12
実施例11と同様の方法で、1.0 mmol の塩化トリフェニルゲルマニウムよりトリフェニルゲルマニウムリチウムを調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いてヨウ化メチル(過剰量)のTHF溶液に加えた。室温で1時間反応させた後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、99%のNMR収率でトリフェニルメチルゲルマニウムを得た。シリカゲルカラム精製でトリフェニルメチルゲルマニウムを白い結晶(290 mg, 91%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.51-7.48 (m, 6H), 7.38-7.33 (m, 9H), 0.91 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.21, 134.75, 129.08, 128.38, -4.16.
【実施例】
【0073】
参考例A13
参考例A12と同様な方法でヨウ化メチル(過剰量)の代わりに塩化ベンジル(133 mg, 1.05 mmol)を用い、0 oC から室温まで徐々に昇温し、終夜反応した以外は参考例A12と同様の操作を行い、トリフェニルベンジルゲルマニウムを白い結晶(NMR収率:99%;単離収率:95%,375 mg)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.72-7.70 (m, 1H), 7.51-7.40 (m, 16H), 7.16-7.12 (m, 2H), 7.02-6.99 (m, 1H), 3.10 (s, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 139.14, 136.47, 135.34, 134.32, 130.27, 129.18, 128.93, 128.68, 128.30, 128.26, 124.68, 23.58.
【実施例】
【0074】
{参考例B カルボニル基に対する1,2-又は1,4-付加反応}
実施例1で得られたトリブチルスズリチウムを用いて各種カルボニル化合物に対する下記の反応を行った。
【実施例】
【0075】
参考例B1
【実施例】
【0076】
【化6】
JP0006452500B2_000009t.gif
【実施例】
【0077】
実施例1と同様な方法でトリブチルスズリチウム(1.0 mmol)を調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いて2-シクロヘキセン-1-オン(101 mg, 1.05 mmol)のTHF溶液に-78 oC で加え、30 分間反応させた。その後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、95%のNMR収率で3-(トリブチルスタニル)シクロヘキサノンを得た。カラム(シリカゲル、ヘキサン、酢酸エチル)精製で3-(トリブチルスタニル)シクロヘキサノンを無色のオイル(340.7 mg, 88%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.46- 2.29 (m, 4H), 2.20- 2.04 (m, 1H), 2.01- 1.82 (m, 1H), 1.78- 1.59 (m, 3H), 1.49- 1.22 (m, 12H), 0.91- 0.78 (m, 15H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 212.97, 46.56, 42.35, 31.32, 30.14, 29.25, 27.53, 25.20, 13.67, 8.04.
【実施例】
【0078】
参考例B2
【実施例】
【0079】
【化7】
JP0006452500B2_000010t.gif
【実施例】
【0080】
実施例1と同様な方法でトリブチルスズリチウム(1.0 mmol)を調製し、次いで、ガスタイトシリンジを用いてヘキサナール(111 mg, 1.1 mmol)のTHF溶液に加えた。0 oC で15分間反応させた後、シアン化トリメチルシリル(119 mg, 1.2 mmol)のTHF溶液を加えた。0 oC で1時間反応させた後、水で希釈してヘキサンを用いて抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、1-(トリブチルスタニル)ヘキシルトリメチルシリルエーテルを参考例B1と同様な方法で94%のNMR収率、85%の単離収率で無色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.11 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 1.87- 1.66 (m, 2H), 1.55-1.43 (m, 6H), 1.35- 1.26 (m, 12H), 0.93- 0.83 (m, 18H), 0.08 (s, 9H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 69.08, 38.49, 31.87, 29.21, 27.49, 26.99, 22.63, 13.96, 13.59, 8.85, 0.00.
【実施例】
【0081】
{参考例C トランスメタル化を経る銅触媒の存在下アルキンに対する錫-亜鉛付加反応}
実施例1で得られたトリブチルスズリチウムを用いて下記のトランスメタル化を経る銅触媒の存在下アルキンに対する錫-亜鉛付加反応を行った。
【実施例】
【0082】
【化8】
JP0006452500B2_000011t.gif
【実施例】
【0083】
以上参考例A~Cの全ての反応はスムーズに進行し、高収率にて生成物を与えたことから、本発明の14族金属リチウム化合物は、A 種々の求電子剤に対する求核置換反応、B カルボニル基に対する1,2-または1,4-付加反応及びC トランスメタル化を経る銅触媒の存在下アルキンに対する錫-亜鉛付加反応等、様々な反応に有用であることがわかった。
【実施例】
【0084】
{参考例D アリールハライドの直接カップリング反応}
実施例1で得られたトリブチルスズリチウムを用いて下記のスキームでアリールハライドの直接カップリング反応を行った。結果を表3及び4に示す。
【実施例】
【0085】
【化9】
JP0006452500B2_000012t.gif

【実施例】
【0086】
【表3】
JP0006452500B2_000013t.gif

【実施例】
【0087】
【表4】
JP0006452500B2_000014t.gif

【実施例】
【0088】
本発明の14族金属リチウム化合物を用いることにより、1当量のスズ源から調製したスズリチウムとアリールハライドを1:1の比率で室温下撹拌すると、カップリング反応が定量的に進行し、各種置換基を有するアリールスズ化合物が得られた。さらに、本反応で得られるアリールスズ化合物は、単離する必要なくスティルカップリング反応に付することが可能で、高収率にてカップリング生成物を与えることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
容易に入手可能なスズ等の原料を用い、温和な条件下定量的に14族金属リチウム化合物を製造する方法を確立した。本方法は、高効率・高原子経済性を有し、(有毒な)副生成物を回避する方法であり、高い安定性が有り、室温で長時間の保存が可能になった。様々な反応にも応用が可能であり、適応範囲が広いと考えられる。