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ローダミン系色素化合物及びその製造方法
> 明細書
明細書 :ローダミン系色素化合物及びその製造方法
発行国
日本国特許庁(JP)
公報種別
特許公報(B2)
特許番号
特許第6815651号 (P6815651)
登録日
令和2年12月25日(2020.12.25)
発行日
令和3年1月20日(2021.1.20)
発明の名称または考案の名称
ローダミン系色素化合物及びその製造方法
国際特許分類
C09B 11/28 (2006.01)
C07D 491/22 (2006.01)
C07D 493/20 (2006.01)
G01N 31/00 (2006.01)
G01N 31/22 (2006.01)
FI
C09B 11/28 CSPK
C07D 491/22
C07D 493/20
G01N 31/00 V
G01N 31/22 122
請求項の数または発明の数
4
全頁数
27
出願番号
特願2017-538136 (P2017-538136)
出願日
平成28年9月2日(2016.9.2)
国際出願番号
PCT/JP2016/075850
国際公開番号
WO2017/038987
国際公開日
平成29年3月9日(2017.3.9)
優先権出願番号
2015173779
優先日
平成27年9月3日(2015.9.3)
優先権主張国
日本国(JP)
審査請求日
令和元年8月23日(2019.8.23)
特許権者または実用新案権者
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
発明者または考案者
【氏名】村中 厚哉
【氏名】白崎 良尚
【氏名】内山 真伸
【氏名】神野 伸一郎
個別代理人の代理人
【識別番号】110003063、【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
審査官
【審査官】横山 敏志
参考文献・文献
特公昭47-019799(JP,B1)
特開2003-031273(JP,A)
中国特許出願公開第104479670(CN,A)
特表2009-513753(JP,A)
特表2009-527591(JP,A)
特開平10-007632(JP,A)
特開2014-005422(JP,A)
特開平01-190484(JP,A)
特表2013-523964(JP,A)
調査した分野
C09B11/00-11/28
C07D491/22
C07D493/20
G01N31/00
G01N31/22
C09K11/06
特許請求の範囲
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(一般式(1)中、Qは、C(R)又はNを示し、Q
1
は、C(R
1
)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。R
1
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
1
が結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。mは0~3の数を示す。)
で表されるジュロリジン構造を有する化合物。
【請求項2】
一般式(1)中、Q及びQ
1
が、C(R)及びC(R
1
)である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(1)中、Q及びQ
1
が、Nである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
8-ヒドロキシジュロリジンと一般式(4)で表される化合物とを反応させ一般式(5)で表される化合物を得、
さらに、前記一般式(5)で表される化合物とヒドロキノンを縮合剤の存在下反応することを特徴とする、一般式(6)で表される化合物の製造方法。
【化5】
(一般式(4)~(6)中、Qは、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローダミン系色素化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光を発する色素化合物として、ローダミンは各種誘導体が研究されてきた。ローダミン2分子が縮合した化合物として、アミノベンゾピラノキサンテン系色素化合物が知られている(特許文献1)。このアミノベンゾピラノキサンテン系化合物は、溶液の水素イオン濃度に応じて中性型、モノカチオン型、ジカチオン型の3つの分子構造をとり、各分子構造で吸収・発光特性が異なることが知られていた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8134017号明細書
【0004】
【非特許文献1】Shinichiro Kamino et al.、“A red-emissive aminobenzopyrano-xanthene dye: elucidation of fluorescence emission mechanisms in solution and in the aggregate state”、Physical Chemistry Chemical Physics、2013年、15、p. 2131-2140
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モノカチオン型・ジカチオン型における吸収・発光特性の差が小さいため、色相の変化までははっきり分かりにくいという問題があった。
従って、本発明は、一分子で異なる色相変化をもたらす化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記の化合物が上述した課題を解決できることを見出し、本発明に想到するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
【0008】
<1>
一般式(1)
【0009】
【化1】
【0010】
(一般式(1)中、Qは、C(R)又はNを示し、Q
1
は、C(R
1
)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。R
1
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
1
が結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。mは0~3の数を示す。)
で表されるジュロリジン構造を有する化合物。
【0011】
<2>
一般式(1)中、Q及びQ
1
が、C(R)及びC(R
1
)である<1>記載の化合物。
【0012】
<3>
一般式(1)中、Q及びQ
1
が、Nである<1>記載の化合物。
【0013】
<4>
一般式(2)
【0014】
【化2】
【0015】
(一般式(2)中、Q
2
及びQ
3
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2
が結合して環を形成してもよい。R
3
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
3
が結合して環を形成してもよい。pは1~3の数を示す。qは1~3の数を示す。R
4
及びR
5
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。)
で表される化合物。
【0016】
<5>
一般式(2)中、R
2
及びR
3
がカルボキシル基である<4>記載の化合物。
【0017】
<6>
一般式(2)中、2つのR
2
及び2つのR
3
が結合してベンゼン環を形成した<4>記載の化合物。
【0018】
<7>
一般式(2’)
【0019】
【化3】
【0020】
(一般式(2’)中、Q
2’
及びQ
3’
は、C(R’)又はNを示し、R’は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2’
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2’
が結合して環を形成してもよい。R
3’
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
3
が結合して環を形成してもよい。p’は0~3の数を示す。q’は0~3の数を示す。R
4’
及びR
5’
は、水素原子又は炭素数6~12のアルキル基を示す。)
で表される化合物。
【0021】
<8>
一般式(3)
【0022】
【化4】
【0023】
(一般式(3)中、Q
4
及びQ
5
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
6
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
6
が結合して環を形成してもよい。R
7
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
7
が結合して環を形成してもよい。rは0~3の数を示す。sは0~3の数を示す。R
8
及びR
9
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示すか、又はR
8
もしくはR
9
が結合している窒素原子及びこの窒素原子と隣接するベンゼン環と共にジュロリジン構造となっていてもよい。)
で表される化合物を含有するフェノール類検出試薬。
【0024】
<9>
8-ヒドロキシジュロリジンと一般式(4)で表される化合物とを反応させ一般式(5)で表される化合物を得、
さらに、前記一般式(5)で表される化合物とヒドロキノンを縮合剤の存在下反応することを特徴とする、一般式(6)で表される化合物の製造方法。
【0025】
【化5】
【0026】
(一般式(4)~(6)中、Qは、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。)
【0027】
<10>
一般式(7)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物とを反応させ一般式(9)で表される化合物を得、
さらに、前記一般式(9)で表される化合物とヒドロキノンを縮合剤の存在下反応することを特徴とする、一般式(10)で表される化合物の製造方法。
【0028】
【化6】
【0029】
(一般式(7)~(10)中、Q
2
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2
が結合して環を形成してもよい。pは1~3の数を示す。R
4
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。)
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、一分子で異なる色相変化をもたらす化合物が提供される。また、本発明の化合物は、検出試薬としても有用な新規化合物として期待される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1で得られた化合物の吸収スペクトルを表す図である。
【図2】実施例1で得られた化合物(ジカチオン型)の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを表す図である。
【図3】実施例2で得られた化合物の吸収スペクトルを表す図である。
【図4】実施例2で得られた化合物(ジカチオン型)の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを表す図である。
【図5】実施例1で得られた化合物とフェノール類との反応後の吸収スペクトルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0034】
【化7】
【0035】
一般式(1)中、Qは、C(R)又はNを示し、Q
1
は、C(R
1
)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。R
1
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
1
が結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。mは0~3の数を示す。
【0036】
一般式(1)のR及びR
1
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、炭素数1~6のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基も含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R又はR
1
が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0037】
一般式(1)で表される化合物は、水素イオンの授受により、以下に示される、中性型、モノカチオン型、ジカチオン型の3つの構造をとり得る。
【化8】
【0038】
本発明において、一般式(1)で表される化合物には、これら3つの構造が含まれるものとする。
【0039】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、以下の方法により製造することができる。
すなわち、8-ヒドロキシジュロリジンと一般式(4)で表される化合物とを反応させ一般式(5)で表される化合物を得る。次に、前記一般式(5)で表される化合物とヒドロキノンを縮合剤の存在下反応する方法により製造することができる。
【0040】
【化9】
【0041】
一般式(4)~(6)中、Qは、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのRが結合して環を形成してもよい。nは0~3の数を示す。
Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、炭素数1~6のアルキル基としては、上記一般式(1)のものと同様のものが挙げられ、Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0042】
一般式(4)で表される化合物としては、具体的には以下のものが挙げられる。
【0043】
【化10】
【0044】
8-ヒドロキシジュロリジンと一般式(4)で表される化合物とをほぼ等モル量混合し、両化合物を溶解することができ、これらの化合物と反応しない溶媒下で還流することで、一般式(5)で表される化合物を得ることができる。
該溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。
また、この反応は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
この反応時間は3~15時間、より好ましくは5~12時間程であり、反応終了後、反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィー等で精製してもよい。
【0045】
次に、ヒドロキノンと、ヒドロキノンに対して2~3倍当量、好ましくは約2倍当量の一般式(5)で表される化合物を混合し、縮合剤の存在下反応する。ここで、縮合剤としては、特に限定されないが、硫酸、塩酸、リン酸、ポリリン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化ホスホリル等が挙げられる。
この反応温度は室温~200℃程であり、室温~150℃が好ましい。反応時間は反応温度にもよるが、通常10分~3日間程であり、加熱する場合は特に3時間~12時間が好ましい。反応終了後、反応液を中和し、精製し、一般式(6)で表される化合物を得ることができる。
ここで、一般式(6)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物を含むものである。すなわち、上記反応において、一般式(5)で表される化合物として、同種のものを用いてもよいが、異種のものを用いてもよく、同種のものを用いた場合一般式(6)のように表され、異種のものを用いた場合、一般式(1)のように表される化合物を得ることができる。
【0046】
また、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物をも提供する。
【0047】
【化11】
【0048】
一般式(2)中、Q
2
及びQ
3
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2
が結合して環を形成してもよい。R
3
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
3
が結合して環を形成してもよい。pは1~3の数を示す。qは1~3の数を示す。R
4
及びR
5
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。
【0049】
一般式(2)のR、R
2
及びR
3
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、一般式(2)のR、R
2
、R
3
、R
4
及びR
5
の炭素数1~6のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基も含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
また、R、R
2
又はR
3
が複数ある場合、それらは互いに異なっていてもよく、2つのR
4
及び2つのR
5
も互いに同一でも異なっていてもよい。
【0050】
一般式(2)で表される化合物は、水素イオンの授受により、以下に示される、中性型、モノカチオン型、ジカチオン型の3つの構造をとり得る。
【0051】
【化12】
【0052】
本発明において、一般式(2)で表される化合物には、これら3つの構造が含まれるものとする。
【0053】
本発明の一般式(2)で表される化合物は、以下の方法により製造することができる。
すなわち、一般式(7)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物とを反応させ一般式(9)で表される化合物を得る。次に、前記一般式(9)で表される化合物とヒドロキノンを縮合剤の存在下反応する方法により製造することができる。
【0054】
【化13】
【0055】
一般式(7)~(10)中、Q
2
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2
が結合して環を形成してもよい。pは1~3の数を示す。R
4
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。
R及びR
2
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R、R
2
及びR
4
の炭素数1~6のアルキル基としては、上記一般式(2)のものと同様のものが挙げられ、R又はR
2
が複数ある場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(7)における2つのR
4
も互いに同一でも異なっていてもよいが、一般式(7)で表される化合物としては、2つのR
4
が、エチル基又はブチル基のものが特に好ましい。
一般式(8)で表される化合物としては、一般式(4)で表される化合物として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0056】
一般式(7)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物とをほぼ等モル量混合し、両化合物を溶解することができ、これらの化合物と反応しない溶媒下で還流することで、一般式(9)で表される化合物を得ることができる。
該溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。
また、この反応は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
この反応時間は5~48時間、より好ましくは5~12時間程であり、反応終了後、反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィー等で精製してもよい。
【0057】
次に、ヒドロキノンと、ヒドロキノンに対して2~3倍当量、好ましくは約2倍当量の一般式(9)で表される化合物を混合し、縮合剤の存在下反応する。ここで、縮合剤としては、特に限定されないが、硫酸、塩酸、リン酸、ポリリン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化ホスホリル等が挙げられる。
この反応温度は室温~200℃程であり、室温~150℃が好ましい。反応時間は反応温度にもよるが、通常10分~3日間程であり、加熱する場合は特に2~20時間、より好ましくは3時間~12時間である。反応終了後、反応液を中和し、精製し、一般式(10)で表される化合物を得ることができる。
ここで、一般式(10)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物を含むものである。すなわち、上記反応において、一般式(9)で表される化合物として、同種のものを用いてもよいが、異種のものを用いてもよく、同種のものを用いた場合一般式(10)のように表され、異種のものを用いた場合、一般式(2)のように表される化合物を得ることができる。
【0058】
また、本発明は、下記一般式(2’)で表される化合物をも提供する。
【0059】
【化14】
【0060】
一般式(2’)中、Q
2’
及びQ
3’
は、C(R’)又はNを示し、R’は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
2’
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
2’
が結合して環を形成してもよい。R
3’
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
3
が結合して環を形成してもよい。p’は0~3の数を示す。q’は0~3の数を示す。R
4’
及びR
5’
は、水素原子又は炭素数6~12のアルキル基を示す。
【0061】
R
4’
及びR
5’
のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基も含まれる。具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
R’、R
2’
及びR
3’
の具体例は、一般式(2)におけるR、R
2
及びR
3
として例示したものと同様である。
【0062】
一般式(2’)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物と同様に、中性型、モノカチオン型、ジカチオン型の3つの構造をとり得るものであり、本発明において、一般式(2’)で表される化合物は、これら3つの構造が含まれるものとする。
【0063】
また、一般式(2’)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物の製造方法に準じて製造することができる。
【0064】
さらに、本発明は一般式(3)で表される化合物を含有するフェノール類検出試薬を提供する。
【0065】
【化15】
【0066】
一般式(3)中、Q
4
及びQ
5
は、C(R)又はNを示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示す。R
6
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
6
が結合して環を形成してもよい。R
7
は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はカルボキシル基を示すが、2つのR
7
が結合して環を形成してもよい。rは0~3の数を示す。sは0~3の数を示す。R
8
及びR
9
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示すか、又はR
8
もしくはR
9
が結合している窒素原子及びこの窒素原子と隣接するベンゼン環と共にジュロリジン構造となっていてもよい。
【0067】
フェノール類とは、芳香族置換基上にヒドロキシ基を有する化合物をいい、具体的には例えば以下の化合物が挙げられる。
1価フェノール:フェノール、クレゾール、ナフトール
2価フェノール:カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン
3価フェノール:ピロガロール、フロログルシノール
【0068】
一般式(3)で表される化合物とフェノール類が接触すると、一般式(3)で表される化合物のラクトン環が開環し、異なる吸収波長を有する構造へ変化する。フェノール類の濃度に応じて本発明の一般式(3)で表される化合物は二段階で構造が変化するため、多段階のフェノール類の検出試薬として有用である。
【実施例】
【0069】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本願発明をさらに詳細に説明するが、本願発明は下記の例に制限されるものではない。
【実施例】
【0070】
1
H-NMRは、JNM-AL400(日本電子社製)またはJNM-AL300(日本電子社製)用いて測定した。
吸収スペクトルは、JASCO V-670(日本分光社製)を用いて測定した。
蛍光スペクトルは、JASCO FP-6600(日本分光社製)を用いて測定した。
MSスペクトルは、micrOTOF-QIII(Bruker Daltonics社製)またはUltraflex(Bruker Daltonics社製)を用いて測定した。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
9-(2-カルボキシベンゾイル)-8-ヒドロキシジュロリジン(化合物(5-1), 3.00 mmol, 文献: Kamino et al., Org. Lett., 2014, 16, 258. 記載の手法により合成)及びヒドロキノン(1.50 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物を硫酸(3 mL)に加え、二日間室温で撹拌後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(6-1-1)及び(6-1-2)を薄桃色固体として得た。この際に化合物(6-1-1)が先に流出し、その後化合物(6-1-2)が流出した。収率は(6-1-1)と(6-1-2)合わせて8%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0072】
【化16】
【実施例】
【0073】
化合物(6-1-1)のデータ:
400 MHz
1
H-NMR (CDCl
3
/TMS) δ (ppm): 8.06 (2H, d), 7.69 (4H, m), 7.24 (2H, d), 6.64 (2H, s), 6.12 (2H, s), 3.13 (8H, m), 2.80 (4H, m), 2.52 (4H, m), 1.97 (4H, m), 1.86 (4H, m).
IR (ATR, cm
-1
): 1748, 1620, 1423, 1309, 1192, 1096, 862.
UV/Vis: λ
max
= 676 nm (ジカチオン型、10体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
46
H
37
N
2
O
6
([M+H]
+
): 713.2646, found: 713.2691.
【実施例】
【0074】
化合物(6-1-2)のデータ:
400 MHz
1
H-NMR (CDCl
3
/TMS) δ (ppm): 8.05 (2H, d), 7.64 (4H, m), 7.16 (2H, d), 6.70 (2H, s), 6.15 (2H, s), 3.11 (8H, m), 2.80 (4H, m), 2.51 (4H, m), 1.95 (4H, m), 1.85 (4H, m).
IR (ATR, cm
-1
): 1749, 1621, 1425, 1310, 1192, 1097, 861.
UV/Vis: λ
max
= 676 nm (ジカチオン型、10体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
46
H
37
N
2
O
6
([M+H]
+
): 713.2646, found: 713.2690.
【実施例】
【0075】
実施例1で得られた化合物をクロロホルムに溶解し、吸収スペクトルを測定した(中性型)。次いで、この中性型の溶液に、0.01体積%となるようにトリフルオロ酢酸を加え、同様に吸収スペクトルを測定した(モノカチオン型)。さらに、このモノカチオン型の溶液に、0.2体積%となるようにトリフルオロ酢酸を加え、同様に吸収スペクトルを測定した(ジカチオン型)。
各構造の吸収スペクトルを図1に示す。
【実施例】
【0076】
中性型では無色の溶液であったのに対し、モノカチオン型では桃色、ジカチオン型では青緑色に呈色し、モノカチオン型及びジカチオン型の溶液で色相が異なった。
【実施例】
【0077】
次に、実施例1で得られた化合物の10体積%トリフルオロ酢酸/クロロホルム溶液(ジカチオン型)を用いて蛍光スペクトルを測定した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0078】
実施例1で得られた化合物の0.2体積%のトリフルオロ酢酸/クロロホルム溶液を濃度が0.04 mmol/Lとなるように調製して、その吸収スペクトルを測定した。
[比較例1]
実施例1で得られた化合物の代わりに、既報(米国特許第3663571号明細書)に従い合成した下記化合物を用いた以外は同様の条件で吸収スペクトルを測定した。
【実施例】
【0079】
【化17】
【実施例】
【0080】
実施例1及び比較例1それぞれの極大吸収波長における吸光度の測定結果を表1にまとめる。表1より、同濃度の酸に対して、実施例1の化合物は、比較例1の化合物に比べ約160倍感度が高いことがわかった。
【実施例】
【0081】
【表1】
【実施例】
【0082】
[実施例2]
窒素雰囲気下で、8-ヒドロキシジュロリジン(3.00 mmol, 和光純薬株式会社より購入)と3,4,5,6-テトラフルオロフタル酸無水物(化合物(4-2), 3.00 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をトルエン(10 mL)に加え、5時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、ヘキサンを加えて不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(5-2)を淡緑色固体として得た。収率は63%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0083】
【化18】
【実施例】
【0084】
化合物(5-2)のデータ:
400 MHz
1
H-NMR (CDCl
3
/TMS) δ (ppm): 12.28 (1H, s), 6.49 (1H, s), 3.28 (4H, t), 2.71 (2H, t), 2.55 (2H, t), 1.92 (4H, m).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
20
H
14
F
4
NO
4
([M-H]
-
): 408.0864, found: 408.0884.
【実施例】
【0085】
9-(2-カルボキシ-3,4,5,6-テトラフルオロベンゾイル)-8-ヒドロキシジュロリジン(化合物(5-2), 0.22 mmol)及びヒドロキノン(0.10 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物を硫酸(0.3 mL)に加え、4時間135℃で撹拌後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(6-2)を無色固体として得た。収率は2%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0086】
【化19】
【実施例】
【0087】
化合物(6-2)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 688 nm (ジカチオン型、10体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
46
H
29
F
8
N
2
O
6
([M+H]
+
): 857.1892, found: 857.1896.
【実施例】
【0088】
実施例2で得られた化合物をクロロホルムに溶解し、吸収スペクトルを測定した(中性型)。次いで、この中性型の溶液に、0.01体積%となるようにトリフルオロ酢酸を加え、同様に吸収スペクトルを測定した(モノカチオン型)。さらに、このモノカチオン型の溶液に、2体積%となるようにトリフルオロ酢酸を加え、同様に吸収スペクトルを測定した(ジカチオン型)。
各構造の吸収スペクトルを図3に示す。
【実施例】
【0089】
中性型では無色の溶液であったのに対し、モノカチオン型では桃色、ジカチオン型では青緑色に呈色し、モノカチオン型及びジカチオン型の溶液で色相が異なった。
【実施例】
【0090】
実施例2で得られた化合物の10体積%トリフルオロ酢酸/クロロホルム中での吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定した。結果を図4に示す。
【実施例】
【0091】
[実施例3]
窒素雰囲気下で、8-ヒドロキシジュロリジン(2.00 mmol, 和光純薬株式会社より購入)と4-メチルフタル酸無水物(化合物(4-3), 3.00 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物をトルエン(10 mL)に加え、12時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、ヘキサンを加えて不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(5-3)を茶色固体として得た。収率は34%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0092】
【化20】
【実施例】
【0093】
化合物(5-3)のデータ:
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
21
H
20
NO
4
([M-H]
-
): 350.1397, found: 350.1398.
【実施例】
【0094】
9-(2-カルボキシ-4-メチルベンゾイル)-8-ヒドロキシジュロリジン及び9-(2-カルボキシ-5-メチルベンゾイル)-8-ヒドロキシジュロリジンの混合物(化合物(5-3), 0.5 mmol)並びにヒドロキノン(0.25 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)を硫酸(3 mL)に加え、室温で三日間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(6-3)を薄桃色固体として得た。収率は3%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0095】
【化21】
【実施例】
【0096】
化合物(6-3)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 675 nm (ジカチオン型、10体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
48
H
41
N
2
O
6
([M+H]
+
): 741.2959, found: 741.3003
【実施例】
【0097】
[実施例4]
窒素雰囲気下で、8-ヒドロキシジュロリジン(3.00 mmol, 和光純薬株式会社より購入)と3,4,5,6-テトラクロロフタル酸無水物(化合物(4-4), 3.61 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をトルエン(10 mL)に加え、3時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、ヘキサンを加えて不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(5-4)を黄色固体として得た。収率は40%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0098】
【化22】
【実施例】
【0099】
化合物(5-4)のデータ:
500 MHz
1
H-NMR (CDCl
3
/TMS) δ (ppm): 12.33 (1H, s), 6.46 (1H, s), 3.28 (4H, t), 2.69 (2H, t), 2.54 (2H, t), 1.91 (4H, m).
【実施例】
【0100】
9-(2-カルボキシ-3,4,5,6-テトラクロロベンゾイル)-8-ヒドロキシジュロリジン(化合物(5-4), 1.0 mmol)及びヒドロキノン(0.50 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物を硫酸(1.5 mL)に加え、3日間室温で撹拌後、反応液を炭酸カリウム水溶液で中和し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(6-4)を無色固体として得た。収率は5%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0101】
【化23】
【実施例】
【0102】
化合物(6-4)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 687 nm (ジカチオン型、5体積% CH
3
SO
3
H/MeOH).
MS (MALDI) m/z calcd. for C
46
H
28
Cl
8
N
2
O
6
([M]
+
): 987.9397, found: 988.
【実施例】
【0103】
[実施例5]
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-4-メチル-安息香酸及び2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-5-メチル-安息香酸の混合物(化合物(9-5), 0.562 mmol, 文献: WO2014/002292記載の手法により合成)並びにヒドロキノン(0.280 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)を硫酸(1.84 mL)に加え、4.5時間110℃で撹拌後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(10-5)を薄青色固体として得た。収率は7%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0104】
【化24】
【実施例】
【0105】
化合物(10-5)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 659 nm (ジカチオン型、10体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
46
H
37
N
2
O
6
([M+H]
+
): 693.2959, found: 693.2978.
【実施例】
【0106】
[実施例6]
窒素雰囲気下で、N,N-ジブチル-m-アミノフェノール(化合物(7-6), 3.0 mmol, 和光純薬株式会社より購入)と4-メチルフタル酸無水物(化合物(8-6), 3.0 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をトルエン(2.4 mL)に加え、22 時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、反応液に水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムを加え分液した。分離した水層を塩酸で酸性にした後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下でクロロホルムを留去し、赤色固体粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(9-6)を臙脂色飴状物として得た。収率は18%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0107】
【化25】
【実施例】
【0108】
化合物(9-6)のデータ:
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
23
H
28
NO
4
([M-H]
-
): 382.2018, found: 382.2048.
【実施例】
【0109】
2-(4-(ジブチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-4-メチル安息香酸及び2-(4-(ジブチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-5-メチル安息香酸の混合物((9-6), 0.106 mmol)並びにヒドロキノン(0.053 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物をメタンスルホン酸(0.35 mL)に加え、110℃で19 時間撹拌後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、焦茶色飴状の粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(10-6)を茶色固体として得た。収率は8%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0110】
【化26】
【実施例】
【0111】
化合物(10-6)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 666 nm (ジカチオン型、CH
3
SO
3
H/CHCl
3
).
MS (MALDI) m/z calcd. for C
52
H
58
N
2
O
6
([M+2H]
+
): 806.4295, found: 806.
【実施例】
【0112】
[実施例7]
窒素雰囲気下で、N,N-ジエチル-m-アミノフェノール(化合物(7-7), 10.0 mmol, 和光純薬株式会社より購入)と4-tert-ブチルフタル酸無水物(化合物(8-7), 10.0 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物をトルエン(20 mL)に加え、48 時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、減圧下でトルエンを留去し、紫色固体粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(9-7)を黄色固体として得た。収率は23%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0113】
【化27】
【実施例】
【0114】
化合物(9-7)のデータ:
MS (ESI) m/z calcd. for C
22
H
26
NO
4
([M-H]
-
): 368.1862, found: 368.
【実施例】
【0115】
2-(4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-4-tert-ブチル安息香酸及び2-(4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-5-tert-ブチル安息香酸の混合物(化合物(9-7), 0.5 mmol)並びにヒドロキノン(0.25 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物をメタンスルホン酸(1.00 mL)に加え、室温で24時間攪拌後、110℃で3時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、紫色飴状の粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(10-7)を無色固体として得た。収率は21%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0116】
【化28】
【実施例】
【0117】
化合物(10-7)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 659 nm (ジカチオン型、10 体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
50
H
53
N
2
O
6
([M+H]
+
): 777.3904, found: 777.3902.
【実施例】
【0118】
[実施例8]
窒素雰囲気下で、N,N-ジブチル-m-アミノフェノール(化合物(7-8), 4.0 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)と4-ブロモフタル酸無水物(化合物(8-8), 4.8 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をトルエン(4.0 mL)に加え、12 時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、減圧下でトルエンを留去し、赤色油状粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(9-8)を黄色泡状物として得た。収率は26%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0119】
【化29】
【実施例】
【0120】
化合物(9-8)のデータ:
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
22
H
25
BrNO
4
([M-H]
-
): 446.0967, found: 446.0966.
【実施例】
【0121】
2-(4-(ジブチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-4-ブロモ安息香酸及び2-(4-(ジブチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル)-5-ブロモ安息香酸の混合物(化合物(9-8), 1.04 mmol)並びにヒドロキノン(0.50 mmol, 東京化成工業株式会社より購入)の混合物を硫酸(2.00 mL)に加え、110℃で2時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、紫色固体の粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(10-8)を無色固体として得た。収率は14%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0122】
【化30】
【実施例】
【0123】
化合物(10-8)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 669 nm (ジカチオン型、10 体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
MS (MALDI) m/z calcd. for C
50
H
52
Br
2
N
2
O
6
([M+2H]
+
): 936.2192, found: 936.
【実施例】
【0124】
[実施例9]
窒素雰囲気下で、N,N-ジヘキシル-m-アミノフェノール(化合物(7-9), 2.6 mmol)とフタル酸無水物(化合物(8-9), 2.6 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をトルエン(2.6 mL)に加え、19 時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、減圧下で溶媒を留去し、赤紫色飴状粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(9-9)を緑褐色飴状物として得た。収率は90%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0125】
【化31】
【実施例】
【0126】
化合物(9-9)のデータ:
400 MHz
1
H-NMR (CDCl
3
/TMS) δ (ppm): 12.55(1H, s), 8.11(1H, d, J = 7.5 Hz), 7.62(1H, m), 7.54(1H, m), 7.37(1H, d, J = 7.5 Hz), 6.88(1H, d, J = 9.0 Hz), 6.11(1H, d, J = 2.1 Hz), 6.02(1H, dd, J = 9.0, 2.4 Hz), 3.28(4H, t, J = 7.9 Hz), 1.59(4H, bs), 1.30(12H, m), 0.89(6H, t, J = 6.6 Hz).
MS (MALDI) m/z calcd. for C
26
H
34
NO
4
([M-H]
-
): 424.2488, Found 424.2.
【実施例】
【0127】
2-(4-(ジヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル安息香酸(化合物(9-9), 9.02 mmol)及びヒドロキノン(4.56 mmol, 和光純薬株式会社より購入)の混合物をメタンスルホン酸(17 mL)に加え、100℃で4 時間撹拌後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、黒緑色飴状の粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにて精製を行い、化合物(10-9)を淡紅色固体として得た。収率は15%であった。反応式は以下に示す。
【実施例】
【0128】
【化32】
【実施例】
【0129】
化合物(10-9)のデータ:
UV/Vis: λ
max
= 669 nm (ジカチオン型、10 体積% CF
3
COOH/CHCl
3
).
MS (MALDI) m/z calcd. for C
58
H
70
N
2
O
6
([M+2]
+
): 890.5234, Found 890.7.
【実施例】
【0130】
[実施例10]
実施例1で得られた化合物5.0 mgに、0.03 mgのカテコールを乳鉢でよく混ぜたところ、混合物は赤桃色に呈色した。この混合物に0.12 mgのカテコールを加えたところ、混合物は紫色に呈色した。さらに、この混合物に1.3 mgのカテコールを加えたところ、混合物は緑色に呈色した。
本発明の化合物は、フェノール類との重量比に応じて、固体状態において異なる色に呈色することがわかった。
【実施例】
【0131】
[実施例11]
実施例1で得られた化合物を0.2 mg/Lとなるようにクロロホルムに溶解し、この溶液に0.3 mol/Lとなるようにカテコールを加えたところ、溶液は緑色に呈色した。また、同様に、1.0 mol/Lとなるようにp-クレゾールを加えたところ、溶液は緑色に呈色した。各溶液の吸収スペクトルを図5に示す。
本発明の化合物は、溶液状態においてもフェノール類に応答し呈色することがわかった。
【実施例】
【0132】
[参考例1]
実施例2において、3,4,5,6-テトラフルオロフタル酸無水物の代わりに2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物を用いた以外は同様にして下記化合物(5-1’)を得た。
【実施例】
【0133】
【化33】
【実施例】
【0134】
化合物(5-1’)のデータ:
300 MHz
1
H-NMR ((CD
3
)
2
CO/TMS) δ(ppm): 13.01 (1H, s), 8.64 (1H, s), 8.15 (1H, m), 8.04 (1H, m), 7.88 (1H, s), 7.70 (2H, m), 6.66 (1H, s), 3.28 (4H, t), 2.66 (2H, t), 2.43 (2H, t), 1.86 (4H, m).
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
24
H
20
NO
4
([M-H]
-
): 386.1398, found: 386.1394.
【実施例】
【0135】
[参考例2]
実施例2において、3,4,5,6-テトラフルオロフタル酸無水物の代わりに2,3-ピリジンジカルボン酸無水物を用いた以外は同様にして下記化合物(5-2’)を得た。
【実施例】
【0136】
【化34】
【実施例】
【0137】
化合物(5-2’)のデータ:
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
19
H
17
N
2
O
4
([M-H]
-
): 337.1194, found: 337.1186.
【実施例】
【0138】
[参考例3]
実施例2において、3,4,5,6-テトラフルオロフタル酸無水物の代わりにトリメリット酸無水物を用いた以外は同様にして下記化合物(5-3’)を得た。
【実施例】
【0139】
【化35】
【実施例】
【0140】
化合物(5-3’)のデータ:
HRMS (ESI) m/z calcd. for C
21
H
18
NO
6
([M-H]
-
): 380.1140, found: 380.1126.
【実施例】
【0141】
上記参考例1~3で得られた化合物(5-1’)~(5-3’)は、それぞれヒドロキノンと反応させることで、本発明の化合物を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の化合物は、一分子で異なる色相変化をもたらす化合物として、着色料や染色剤としての各種色素材料、フェノール類の検出試薬等の化合物の指示薬や診断薬、蛍光イメージング色素、色素増感型太陽電池等様々な分野に有用な化合物として期待される。
図面
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】