TOP > 国内特許検索 > 修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用 > 明細書

明細書 :修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-123773 (P2019-123773A)
公開日 令和元年7月25日(2019.7.25)
発明の名称または考案の名称 修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用
国際特許分類 C08G  81/02        (2006.01)
C08K   5/19        (2006.01)
C08L  87/00        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
A61K  31/337       (2006.01)
A61K  31/44        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  39/06        (2006.01)
A61K  31/77        (2006.01)
A61K  47/34        (2017.01)
A61L  31/10        (2006.01)
A61L  31/16        (2006.01)
FI C08G 81/02
C08K 5/19
C08L 87/00
A61K 45/00
A61K 31/337
A61K 31/44
A61P 35/00
A61P 43/00 121
A61P 39/06
A61K 31/77
A61K 47/34
A61L 31/10
A61L 31/16
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 43
出願番号 特願2018-003539 (P2018-003539)
出願日 平成30年1月12日(2018.1.12)
発明者または考案者 【氏名】長崎 幸夫
【氏名】池田 豊
【氏名】ホン ビン ロン
【氏名】金 雅覽
【氏名】稲垣 拓也
【氏名】トラン ティ ハオ
【氏名】萩野 遼
【氏名】中井 彬恵
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000741、【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4C081
4C084
4C086
4J002
4J031
Fターム 4C076AA12
4C076AA17
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076CC27
4C076EE23
4C076EE48
4C076EE50
4C076FF04
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF63
4C081AC16
4C081BB09
4C081CA18
4C081CC03
4C081CE02
4C081DA11
4C081DA15
4C084AA19
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA41
4C084MA44
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC17
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA41
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
4J002CA001
4J002EN136
4J002FD206
4J002GB04
4J031AA24
4J031AA53
4J031AB01
4J031AC03
4J031AD01
4J031AE15
4J031AE19
4J031AF03
4J031CD09
4J031CD11
4J031CD15
4J031CD24
4J031CD26
4J031CD29
要約 【課題】 効果的なドラッグデリバリーを可能にする担体又は生体接触基材表面の修飾に用いることの材料の提供
【解決手段】 無水マレイン酸とスチレンの共重合体であって、無水マレイン酸単位を介してポリ(エチレングリコール)鎖がグラフト鎖として、かつ、環状ニトロキシドラジカル、ホウ素含有化合物、ヨウ素含有化合物及びトリアルコキシシリルアルキルアミンから選ばれる作用化合物残基がペンダント基として共有結合した共重合体、並びにその使用。
【選択図】 なし
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I)に表される各反復単位を含んでなる共重合体:
【化1】
JP2019123773A_000037t.gif
式中、
x+yは5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、x+y:nは1:1~5の比率にあり、x:yは1~60:1の比率にある。
(1)下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中、
Lは、O又はNHであり、PEGは次式で表され、
【化2】
JP2019123773A_000038t.gif
ここで、pは1~6の整数であり、qは5~500の整数であり、
Aは、 A1:非置換若しくは置換C-C12アルコキシ基を表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式RCH-(ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表す。)の基、又は
A2:次式
【化3】
JP2019123773A_000039t.gif
で表される基を表し、当該反復単位は式(I)で表される共重合体の総単位の2%~15%を占める。
(2)下付き記号xの付された反復単位において、
(a)R又はRのいずれか一方は、
a1 :次式
【化4】
JP2019123773A_000040t.gif
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【化5】
JP2019123773A_000041t.gif
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【化6】
JP2019123773A_000042t.gif
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【化7】
JP2019123773A_000043t.gif
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、又は
(b)R及びRは、一緒になって-O-を表し、環式無水物残基を形成し、又は
(c)R及びRは、各OHを表す。
かつ、前記xの付された反復単位において、
(i)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基のみを含むか、
(ii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)を含む単位のいずれか1つが相互に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つを含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa
1~a4のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iv)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)のいずれか1つを含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(v)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占める。
【請求項2】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位である、共重合体。
【請求項3】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a2の残基を含む単位である、共重合体。
【請求項4】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a3の残基を含む単位である、共重合体。
【請求項5】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a4の残基を含む単位である、共重合体。
【請求項6】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位とa4の残基を含む単位である、共重合体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載された共重合体であって、下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中のAが、A2の式
【化8】
JP2019123773A_000044t.gif
で表される基である、共重合体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載された共重合体であって、TEMPOが、次式
【化9】
JP2019123773A_000045t.gif
上式中、R’はメチル基である、
で表されるいずれかの残基である、共重合体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体であって、水性媒体中で動的光散乱を測定すると、平均粒径がナノサイズにあるナノ粒子として存在する、共重合体。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体と塩化ベンザルコニウムを含んでなる複合体。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体と抗癌剤含んでなる医療用組成物。
【請求項12】
抗癌剤がパクリタキセル又はソラフェニブである請求項11に記載の医療用組成物。
【請求項13】
次式(II)で表される共重合体。
【化10】
JP2019123773A_000046t.gif
式中、
1-1又はR2-1のいずれか一方は、
a1 :次式
【化11】
JP2019123773A_000047t.gif
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【化12】
JP2019123773A_000048t.gif
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【化13】
JP2019123773A_000049t.gif
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【化14】
JP2019123773A_000050t.gif
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、式(II)における環式無水物残基部分はm1の10%まで加水分解され開環していてもよく、
そして
m1+m2は、5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、m1+m2:nは1:1~5の比率にある。
【請求項14】
下付き記号m2の付された反復単位において,R1-1又はR2-1のいずれか一方が、
a1 :次式
【化15】
JP2019123773A_000051t.gif
で表される請求項13に記載の共重合体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用に関し、特に、ポリ(エチレングリコール)グラフト化スチレン-無水マレイン酸共重合体及びそのナノメディシン材料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新薬の創出は、低分子有機化合物を中心とした合成物質から天然物やタンパク質へと移行してきており、まさに薬物ターゲットのパラダイムシフトが起こりつつある。しかし分子標的薬などのタンパク質や核酸を医薬に用いようとする場合、内在性の酵素による分解を受けるため、バイオアベイラビリティーが極めて短いだけでなく、その抗原性や腎臓からの排出など、様々な問題が避けられない。米国ラトガース(Rutgers)大学のDavisらはタンパク質にポリエチレングリコール(PEG)を共有結合させると言う奇抜なアイディアで、その抗原性の回避や滞留性の延長を示した(非特許文献1参照)。デリケートなタンパク質に合成高分子を共有結合させるという無謀とも言える試みではあるものの、初の高分子化薬物が誕生し、現在10種以上のPEG化タンパク質が上市されている。しかしタンパク質とPEGを直接反応させるため、著しい活性低下やコスト増大など問題が残る。
【0003】
我が国では1986年、前田らが癌に高分子物質が受動的に集積するEPR効果を発見した(非特許文献2又は特許文献1参照)。すなわち固形癌組織内の血管は、その構造が正常組織内の血管に比べて粗雑で、低分子物質のみならず高分子物質も容易に血管から癌組織へ漏出する。癌組織内に漏れ出した低分子物質は拡散や毛細リンパ管によって回収されるのに対し、高分子は拡散性が乏しく、毛細リンパ系での回収が間に合わない。このため、長時間にわたり癌組織内に蓄積される。この結果、固形癌組織には、高分子物質が選択的に滞留・蓄積することになり、これがEPR効果と名付けられた。そこで前田らはポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体に抗癌剤、ネオカルシノスタチンを結合し、1993年に世界初の高分子型抗癌剤スマンクスとして認可・販売された。高分子化薬の腫瘍集積効果は確認されたものの、分散安定性が悪く、動脈からのカテーテル投与のみが認可され、普及には至らなかった。そうであっても、ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体を、その他の抗癌剤をはじめとする医薬化合物の担体として使用する多くの試みが行われてきた(例えば、パクリタキセルコンジュゲートに関する非特許文献3参照)。
【0004】
長崎をはじめとする本発明者らは、高分子薬が低分子に比較して飛躍的にバイオアベイラビリティーが延長されることと体内臓器分布を著しく変化されることで、抗酸化ナノメディシンに関する開発を進めてきた(特許文献2参照)メディシンに関する開発を進めてきた(下記先行特許参照)。すなわち、酸素から誘導される過剰な活性酸素種(ROS)は様々な疾病の原因となる。このような疾病に関与するROSを消去するため、ビタミンCやEなどの天然物や様々な合成抗酸化剤が開発され、検討されてきたものの、殆どすべての臨床結果で「良い」という結果が出たものはない。本発明者らはこれら低分子抗酸化剤が非特異的に体内に広がり、正常細胞のミトコンドリア内のレドックス反応を破壊し、副作用を誘引してしまうことに注目した。特許文献2の図19に示す自己組織化ナノ粒子に抗酸化能を創り込み、正常な細胞やそのミトコンドリアに入り込むことなく、疾病に関与するROSを選択的に取り除く新しいナノメディシンの設計を進めてきた。その結果、例えば、高分子化抗酸化剤(TEMPOL)は産まれたばかりのゼブラフィッシュが低分子抗酸化剤(TEMPOL)で全滅する3mMの10倍高濃度条件でも、完全にミトコンドリアのダメージを抑制し、ほぼ100%生存することを確認した(非特許文献4)。こ
のようにして従来の抗酸化剤の欠点を克服したRNPはROSが関与する種々疾病に対し著しい治療効果を示すことを確認してきた。しかし、これまでのブロック共重合体による抗酸化ナノ粒子は合成に高真空条件を必要とし、合成にコストがかかる難点があった。また、リガンドの導入も難しく、粒子調製時に凝集しやすいなどの難点があった。これまでの低分子薬やタンパク薬と異なり、長いバイオアベイラビリティーと副作用を削減するためにはデザインが容易で非特異核酸を抑制し、安定に分散する材料を提供する材料が求められている。
【0005】
前述の前田らが利用したポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体は古くから知られている合成高分子であり、その環式無水物残基が求核試薬と容易に反応するため、例えば、前記共重合体とTEMPOL(4-ヒドロキシ-TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)及び4-アミノ-TEMPO)の反応生成物とみられる生体または生体に由来する物質と接触する表面を改質するのに使用できることが示唆されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】EP 0087957 A1
【特許文献2】WO 2009/133647 A1
【特許文献3】特開2011-78706号公報
【0007】

【非特許文献1】Abuchowskiら,J.Biolog.Chem.,1977,10:252(11):3582-3586
【非特許文献2】Matsumura,Maeda,Cancer Research, 46,6387-6392(1986)
【非特許文献3】ACS Appl.Mater.Interfaces 2015,7,26530-26548
【非特許文献4】Vong,et al.,Mol.Pharm.,13,9,3091(2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(以下、PSMAと略記する場合あり。)は表面の改質等に使用する場合にはあまり問題とはならないが、当該共重合体と生理活性物質、例えば抗癌剤、とのコンジュゲートは、前述したように医薬としてヒトに投与する場合には、分散安定性が悪い等の問題があった。なお、特許文献1には、当該PSMAの無水マレイン酸単位由来の薬物のハーフエステル単位とポリエチレングリコールのハーフエステル単位を含む高分子化抗癌剤が概括的に記載されているものの、具体的には記載されていないことのみならず、概括的にも、それらがどのような性質を有するかについては何ら記載されていない。また、これらの高分子化抗癌剤は高分子骨格に共有結合等を介して固定されているため、薬効を発揮するには標的部位で薬物が高分子化抗癌剤からリリースされ必要がある。本発明者等は、特許文献2に記載されるようなブロック共重合体の開発に際して対処すべき重大な課題としてきた高分子化生理活性物質の生体内又は生体外の水性媒体での分散安定性を向上させることを、ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体を用いる際にも、改善すべき課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、PSMAに、ポリ(エチレングリコール)を含む水溶性高分子を導入(又はグラフト化)し、PSMAに導入すべき薬物(1種以上)を選択すること等により
前田らのスマンクスにおいて問題のあった分散安定性を向上させることが可能であること、さらに抗癌剤等の薬物を高分子骨格に共有結合やイオン結合させることなく前記の特定の薬剤を共有結合せしめた薬剤修飾共重合体から形成されるミセル(ナノ粒子)に封入又は内包できることが確認できたことにより解決された。
【0010】
したがって、本発明によれば、次の態様の発明が提供される。
態様1:次式(I)に表される各反復単位を含んでなる共重合体:
【0011】
【化1】
JP2019123773A_000002t.gif

【0012】
式中、
x+yは5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、x+y:nは1:1~5の比率にあり、x:yは1~20:1の比率にあり、x:yは1~60:1の比率にある。
(1)下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中、
Lは、O又はNHであり、PEGは次式で表され、
【0013】
【化2】
JP2019123773A_000003t.gif

【0014】
ここで、pは1~6の整数であり、qは5~500の整数であり、
Aは、 A1:非置換若しくは置換C-C12アルコキシ基を表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式RCH-(ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表す。)の基、又は
A2:次式
【0015】
【化3】
JP2019123773A_000004t.gif

【0016】
で表される基を表し、当該反復単位は式(I)で表される共重合体の総単位の2%~15%を占める。
(2)下付き記号xの付された反復単位において、
(a)R又はRのいずれか一方は、
a1 :次式
【0017】
【化4】
JP2019123773A_000005t.gif

【0018】
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【0019】
【化5】
JP2019123773A_000006t.gif

【0020】
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【0021】
【化6】
JP2019123773A_000007t.gif

【0022】
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【0023】
【化7】
JP2019123773A_000008t.gif

【0024】
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、又は
(b)R及びRは、一緒になって-O-を表し、環式無水物残基を形成し、又は
(c)R及びRは、各OHを表す。
かつ、前記xの付された反復単位において、
(i)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基のみを含むか、
(ii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)を含む単位のいずれか1つが相互に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つを含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iv)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)のいずれか1つを含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(v)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占める。態様2:態様1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位である、共重合体。
態様3:態様1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a2の残基を含む単位である、共重合体。
態様4:態様1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a3の残基を含む単位である、共重合体。
態様5:態様1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a4の残基を含む単位である、共重合体。
態様6:態様1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位とa4の残基を含む単位である、共重合体。
態様7:態様1~6のいずれかに記載された共重合体であって、下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中のAが、A2の式
【0025】
【化8】
JP2019123773A_000009t.gif

【0026】
で表される基である、共重合体。
態様8:態様1~7のいずれかに記載された共重合体であって、TEMPOが、次式
【0027】
【化9】
JP2019123773A_000010t.gif

【0028】
上式中、R’はメチル基である、
で表されるいずれかの残基である、共重合体。
態様9:態様1~8のいずれかに記載された共重合体であって、水性媒体中で動的光散乱を測定すると、平均粒径がナノサイズにあるナノ粒子として存在する、共重合体。
態様10:態様1~8のいずれかに記載された共重合体と塩化ベンザルコニウムを含んでなる複合体。
態様11:態様1~8のいずれかに記載された共重合体と抗癌剤含んでなる医療用組成物。
態様12:抗癌剤がパクリタキセル又はソラフェニブである請求項11に記載の医療用組成物。
態様13:次式(II)で表される共重合体。を
【0029】
【化10】
JP2019123773A_000011t.gif

【0030】
式中、
1-1又はR2-1のいずれか一方は、
a1 :次式
【0031】
【化11】
JP2019123773A_000012t.gif

【0032】
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【0033】
【化12】
JP2019123773A_000013t.gif

【0034】
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【0035】
【化13】
JP2019123773A_000014t.gif

【0036】
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【0037】
【化14】
JP2019123773A_000015t.gif

【0038】
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、式(II)における環式無水物残基部分はm1の10%まで加水分解され開環していてもよく、
そして
m1+m2は、5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、m1+m2:nは1:1~5の比率にある。
態様14:下付き記号m2の付された反復単位において,R1-1又はR2-1のいずれか一方が、
a1 :次式
【0039】
【化15】
JP2019123773A_000016t.gif

【0040】
で表される態様13に記載の共重合体。
【発明の効果】
【0041】
本願発明によれば、水性媒体又は体液中で分散安定性の高い、生理活性物質若しくは診断用薬剤等の生体内デリバリー用又は生体と接触する表面を改質するための新規薬剤又は材料、さらには当該材料の前駆体としても使用できる新規材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】製造例1で得られるSMAPo(n=2)のサイズ分割クロマトグラフィー(SEC)測定結果のグラフ表示
【図2】前記SMAPo(n=2)のH-NMRスペクトル
【図3】製造例4で得られるポリマー(SMATN)のH-NMRスペクトル
【図4】製造例5で得られるポリマー(SMATN)のH-NMRスペクトル
【図5】製造例6で得られるポリマー(SMATN)のH-NMRスペクトル
【図6】製造例7で得られるポリマー(pSMATN)のH-NMRスペクトル
【図7】製造例8で得られるポリマー(pSMATN)のH-NMRスペクトル
【図8】製造例9で得られるポリマー(SMAPoTN(n=2))のSEC測定結果のグラフ表示
【図9】前記SMAPoTN(n=2)のH-NMRスペクトル
【図10】製造例10で得られるポリマー(SMAPoTN(n=2))のH-NMRスペクトル
【図11】製造例11で得られるポリマー(pSMAPoTN(n=2))のH-NMRスペクトル
【図12】製造例12で得られるポリマー(SMAPo(n=2))のH-NMRスペクトル
【図13】製造例13で得られるポリマー(SMAPo(n=2))のH-NMRスペクトル
【図14】製造例14で得られるポリマー(SMACHO-PhPo(n=2))のTOF-MSスペクトル
【図15】前記SMACHO-PhPo(n=2)のH-NMRスペクトル
【図16】前記SMACHO-PhPo(n=2)のSEC測定結果のグラフ表示
【図17】製造例16で得られるポリマー(SMACHO-PhPo(n=2))のTOF-MSスペクトル
【図18】製造例16で得られるポリマーのH-NMRスペクトル
【図19】製造例16で得られるポリマーのSEC測定結果のグラフ表示
【図20】製造例17で得られるSMAPoTNのナノ粒子溶液の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図21】前記ナノ粒子のゼータ(ζ)電位の測定結果のグラフ表示
【図22】製造例18で調製される複合体の粒径の測定結果のグラフ表示
【図23】前記複合体のゼータ電位測定結果のグラフ表示
【図24】前記複合体の散乱強度(カウントレート)の測定結果のグラフ表示
【図25】試験例1における複合体のイオン強度依存性の粒径分布の測定結果のグラフ表示
【図26】試験例1における散乱強度の測定結果のグラフ表示
【図27】製造例19で得られる複合体の粒度分布測定結果のグラフ表示
【図28】製造例19で得られる複合体のイオン強度依存性の粒度分布の測定結果のグラフ表示
【図29】製造例19で得られる複合体のイオン強度依存性の散乱強度の測定結果のグラフ表示
【図30】製造例20で得られる複合体の粒度分布測定結果のグラフ表示
【図31】製造例20で得られる複合体のイオン強度依存性の粒度分布の測定結果のグラフ表示
【図32】製造例20で得られる複合体のイオン強度依存性の散乱強度の測定結果のグラフ表示
【図33】製造例21で得られるSMAPoのナノ粒子溶液の動的光散乱の測定結果(粒径分布)のグラフ表示
【図34】試験例2における被験動物への各サンプルの経口投与30分後の各ナノ粒子の臓器分布測定結果のグラフ表示
【図35】前記投与4時間後の各ナノ粒子の臓器分布測定結果のグラフ表示
【図36】試験例3におけるポリスチレン表面への各ポリマーの練り込みによる生成スーパーオキシドの抑制についての検出結果のグラフ表示
【図37】試験例4における薬物(ソラフェニブ)内包シリカ含有ナノ粒子の動的光散乱分析による粒子径分布の測定結果のグラフ表示
【図38】試験例5における造影剤担持ポリマー(SMAPo)の担癌マウスでの造影剤としての評価結果を示す図に代わる写真
【図39】試験例6におけるパクリタキセルの内包されたSMAPoTNのナノ粒子の動的散乱光解析による粒子径分布の測定結果のグラフ表示
【図40】試験例7(1)におけるコラーゲンコートビーズへコーティングしたポリマーの洗浄に対する安定性の評価結果のグラフ表示
【図41】試験例7(2)におけるコラーゲンコートビーズへコーティングしたポリマーの抗血栓形成能についての評価結果のグラフ表示
【図42】試験例7(2)におけるコーティングによる血栓の形成に次いで、カラムを洗浄した後の状態を表す図に代わる写真。
【図43】試験例8における、動物細胞の凍結保存の際のポリマー(SMAPoTN)の保護効果の評価結果のグラフ表示
【図44】製造例22で得られるN618のH-NMRスペクトル
【図45】製造例23で得られるN623のH-NMRスペクトル
【図46】試験例9のN563による基材表面改質(血液適合性の付与)試験の結果のグラフ表示
【図47】製造例24で得られるポリマーSMATNのSEC測定結果のグラフ表示
【図48】製造例25で得られるポリマーSMAPn1TNH-NMRスペクトル
【図49】製造例26で得られるポリマーSMAPn3TNH-NMRスペクトル
【図50】製造例27で得られるポリマーSMATNのSEC測定結果のグラフ表示
【図51】製造例28で得られるポリマーSMAPn1.5TN(及び対照PEG-NH)のSEC測定結果のグラフ表示
【図52】製造例29においてSMATNから作製されるナノ粒子の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図53】製造例29においてSMAPn1TNから作製されるナノ粒子の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図54】製造例29においてSMAPn3TNから作製されるナノ粒子の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図55】製造例30においてSMATNから作製されるナノ粒子の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図56】製造例30においてSMAPn1.5TNから作製されるナノ粒子の動的光散乱の測定結果のグラフ表示
【図57】試験例10におけるSMATN応答性について測定した結果のグラフ表示
【図58】試験例10におけるSMAPn1.5TN応答性について測定した結果のグラフ表示
【図59】試験例11におけるSMATNの経時的な動的散乱強度の測定結果のグラフ表示
【図60】試験例11におけるSMATNの経時的なTEMPOに起因するシグナル変化
【図61】試験例11におけるSMAPn1.5TNの経時的な動的散乱強度の測定結果のグラフ表示
【図62】試験例11におけるSMAPn1.5TNの経時的なTEMPOに起因するシグナル変化
【発明の詳細な説明】
【0043】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0044】
上記式(I)で表される共重合体において、従来技術と比べて特徴のある点は、限定されるものでないが、一般的に共重合体骨格又は主鎖に、2つ以上のポリ(エチレングリコール)(PEGと略記することあり)鎖がグラフトされた状態にあることのみならず、当該共重合体を含有する組成物中に抗癌剤をはじめとする医薬が包含される場合に、それらの組成物の生体内へのドラッグデリバリーの際や組成物それ自体の安定性に寄与し得る特定の生理活性物質又は作用剤がペンダント基として共有結合されていることにもある。本発明に従う共重合体は、水性媒体(純水、体液、適当な緩衝剤で緩衝化された水溶液、水溶解性有機溶媒含有水溶液、等)中で、それ自体又はカチオン化合物等の助けをかりて自己集積化することでナノサイズのミセル(又は粒子)を形成することができる。かような共重合体はナノサイズのミセル、すなわち、ナノサイズの範囲内、例えば、10nm~800nm、好ましくは15nm~200nmの範囲内のミセルを形成する際に、抗癌剤(ソラフェニブ(sorafenib)、カンプトテシン、パクリタキセル及び抗癌性白金錯体、等)をはじめとする医薬を共重合体への共有結合を介することなく当該ミセルへ効果的又は安定に封入又は内包することができる。
【0045】
式(I)の下付き記号xの付された反復単位にける(a)の定義において、a1の式:
【0046】
【化16】
JP2019123773A_000017t.gif
【0047】
中の環状ニトロキシドラジカル化合物の残基は、高分子化した場合にそのニトロキシドラジカルが生体環境下で発揮し得るレドックス機能を利用して、生体内における過剰な活性酸素等の産生、存在に起因するとみなせる疾患等を予防又は治療するのに役立つことが知られている(前記の特許文献2等参照)。
【0048】
理論により拘束されるものでないが、本発明に従う式(I)で表される共重合体は、特許文献2に記載のブロック共重合体とは前述した特徴を持つ点で異なるにもかかわらず、当該ブロック共重合体に勝るとも劣らない特性を有する。例えば、PEG鎖の数を選択することによりナノサイズのミセル又は粒子の平均粒径を制御できると共に水性媒体中での安定性の向上したナノミセルを提供できる。さらに、例えば、前記xの付された反復単位における(b)に定義される、R及びRは、一緒になって-O-を表すことで形成される環式無水物残基と同(a)に定義される残基の機能、例えば当該残基がTEMPOを含む場合には環状ニトロキシドラジカル化合物の残基に起因するニトロキシドラジカルのレドックス機能に悪影響を及ぼすことなく、コラーゲン等のタンパク質等でコートされた医療用デバイス等の表面を、修飾又は改変できる。
【0049】
前記(a)の定義においてa2の式
【0050】
【化17】
JP2019123773A_000018t.gif
【0051】
のいずれかで表される残基は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)において機能する残基であり、当該残基の共有結合した形態にある式(I)の共重合体は、前述のa1につて述べたレドックス機能でなく、ホウ素中性子捕捉療法において機能すること以外、同等の特性を発揮する。
【0052】
前記(a)の定義においてa3の式
【0053】
【化18】
JP2019123773A_000019t.gif
【0054】
のいずれかで表される残基は、X線造影剤として機能する残基であり、当該残基の共有結合した形態にある式(I)の共重合体は、前述のa1につて述べたレドックス機能でなく
、X線造影剤として機能すること以外、同等の特性を発揮する。また、このような残基は、例えば、当該共重合体が生体内で滞留又は蓄積する部位の追跡にも役立つ。
【0055】
前記(a)の定義においてa4の式
【0056】
【化19】
JP2019123773A_000020t.gif
【0057】
で表され残基の共有結合した形態にある式(I)の共重合体は、当該残基のトリアルコキシシリル基を介して、また、必要によりテトラアルコキシシラン若しくはナノサイズのシリカの共存下で、例えば、10℃~30℃において、所謂ゾルゲル反応を介して架橋結合を形成し得ることから、シリカ含有コアとPEG鎖を主体として構築されるシェルを有するナノサイズの、所謂コア-シェル型ミセルを作製できる。かようなミセルはそれらの形成中又は形成後にシリカ含有コア部位に前述した抗癌剤等を吸着若しくは含ませることができる。また、当該残基を有する単位は、かようなシリカに起因する特性に加え、前述のa1につて述べたレドックス機能以外、同等の特性を発揮する。
【0058】
式(I)の共重合体は、少なくとも前述したa1~a4について述べた機能を有し、また、これらのa2~a4に述べた機能の他、a1に関連して前述した(b)に定義される、R及びRは、一緒になって-O-を表すことで形成される環式無水物残基に基づき発揮される機能も併せ持つ。以上に述べたa1~a4の機能は、前述したように抗癌剤等を標的にデリバリーする際に役立ち、また、適当な場合(例えば、標的領域においてハーフエステル若しくはハーフアミドが加水分解される場合)には、前記(b)に定義される環式無水物残基を介して当該抗癌剤等を共重合体のペンダント基として共有結合させることもできる。当該(b)に定義される環式無水物残基は、全部または一部が(c)に定義されるとおり加水分解され開環した状態にあることができるが、全て若しくは80%以上の残基が(b)で定義されるものであることが好ましい。
【0059】
式(I)の共重合体において、a4の残基とa1~a3のいずれか一つの残基が組み合わさって共存するときには、前述したa4の機能と、各a1~a3について前述した各機能が組み合わさって発揮される。したがって、当該共重合体が形成するミセルに前述した抗癌剤等を内包し、水性媒体中での安定性を高め、また、ミセルの平均粒子径を調整する等の場合には、a4の残基とa1~a3のいずれか一つの残基が組み合わさって利用されていることが好ましい。
【0060】
式(I)の共重合体において、x+y及びnは、限定されるものでないが、無水マレイン酸及びスチレンのラジカル共重合によって得られるランダム共重合体、好ましくは交互共重合体、それぞれの反復単位を構成する単位数に由来することができる。前述した(a)に定義される単位及び(b)に定義される単位の各機能を発揮するものであれば限定されるものでないが、x+yは5~1400の整数であることができ、nは5~1400の整数であることができ、x+y:nは1:1~5、好ましくは1:1~3、より好ましくは1:2の比率にあることができる。かようなx+yにいうx:yは、1~60:1、好ましくは1~40:1の比率にあることができる。さらに、yは、前記LがOであるとき2以上であり、NHであるとき1以上であることができる。
【0061】
式(I)の共重合体において、下付き記号yの付された反復単位におけるL-PEG-
A中のPEGは、式
【0062】
【化20】
JP2019123773A_000021t.gif
【0063】
で表され、ここで、pは1~6、好ましくは2~4、特に2の整数であり、qは5~500、好ましくは10~300、より好ましくは20~150の整数であることができる。なお、本明細書における式又は部分若しくは基は、特記しない限り、表示した方向性を持つものとして記載している。
【0064】
一方、Aは、A1に定義されるとおり、非置換若しくは置換C-C12アルコキシ基を表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式RCH-(ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表す。)の基であるか、又は
A2に定義される式
【0065】
【化21】
JP2019123773A_000022t.gif
【0066】
で表される特定の基であることができる。
【0067】
A1に定義される保護されたホルミル基やA2に定義される特定の保護されたホルミル基がPEG鎖末端に存在する場合には、当該基を介して標的指向性リガンド等をPEG鎖末端に導入することができる。特に、後者の場合には、それ自体が粘膜や臓器の表面のアミノ基と容易に結合するので式(I)の共重合体の生体内局所滞留性の向上に資することができる。
【0068】
式(I)の共重合体は、前記の(a)、(b)及び(c)について定義した基に由来するか又は他方のものとして定義するOHであるとき(カルボキシル基を形成する)、カルボキシル基の対イオン化合物である第四級アンモニュウム又はアミン化合物と一緒になってポリイオンコンプレックス(PIC)を形成することができる。このようなPICは水性媒体中で安定なPICミセルとして存在でき、しかも、当該ミセルの形成中に前述した抗癌剤等を充填又は内包できる。限定されるものでないが、第四級アンモニュウム化合物としては、ベンザルコニウム、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(クロリド)、1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(クロリド)、1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(メチルサルフェート)、キトサン、ポリ(メタクリル酸 2-トリエチルアミノエチルクロリド)等を挙げることができる。
【0069】
前述の共重合体が形成するミセル、シリカ含有ミセル、PICミセルは、グラフトされ
るPEG鎖の数、シリカの含有量等により、ミセル水溶液について動的光散乱(DLS)の測定を行った場合の平均粒径が約10nm~約600nm、好ましくは約15nm~約150nmのミセル粒子として得ることができる。
【0070】
こうして得られるミセルは、遠心等の分離手段により分離でき、また、凍結乾燥することにより、乾燥組成物として保存でき、必要に応じて、水性媒体中で再構成できる。このような乾燥組成物は、必要により、生理学的に許容され得る希釈剤または賦形剤を含むPICミセルの水溶液として提供できる。このような希釈剤は、滅菌水、生理食塩水、生理学的に許容される緩衝剤を含む溶液等であることができ、賦形剤としては、例えば、ソルビトール、デキストリン、ブドウ糖、マンニトール、アミノ酸(例えば、グリシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、グルタミン酸等)等であることができる。このような水性溶液は、その投与を必要とする哺乳動物、特に、ヒトに静脈もしくは動脈を介し、また、該水溶液もしくは乾燥組成物は腫瘍局所に直接投与することもできる。有効な用量は、共重合体の内包又は含有される薬剤の種類、患者の状態、等により最適値が変動するので限定されないが、後述する試験例等を参考にさらなる臨床試験等を行った結果に基づき専門医によって決定できる。
【0071】
式(I)の共重合体は、限定されるものでないが、前述した無水マレイン酸及びスチレンのラジカル共重合によって得ることができ、市販されているランダム共重合体、好ましくは交互共重合体として入手できる原料共重合体の環式無水物残基又は無水マレイン酸環残基又は部分に、式(I)のL-PEG-Aで表されるグラフト鎖、(a)について定義されるa1、a2、a3、a4のいずれかひとつの残基、にそれぞれ対応する化合物とを、同時又は相互に前後して、それ自体公知の、所謂、求核反応的に反応せしめることにより入手できる。
【0072】
式(I)の共重合体は、例えば、原料共重合体とL-PEG-Aで表されるグラフト鎖に対応する化合物及び/又は(a)について定義されるa1、a2、a3、a4のいずれかひとつの残基、にそれぞれ対応する化合物を無水有機溶媒中で、必要によりアルカリ等の存在下で室温にて、数時間から24時間反応させることにより製造できる。前記化合物がヒドロキシ化合物である場合には、反応に際して、予めアルカリ金属のアルコラートとしておくこともできる。これに対し、前記化合物がアミン化合物である場合には、アルコラート形成処理等を必要とすることなく、当該反応を進行させることができる。かような有機溶媒は限定されるものでないが、非プロトン性溶媒、好ましくは双極性非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を挙げることができる。L-PEG-Aで表されるグラフト鎖に対応する化合物と前記共重合体の反応は、当該化合物残基を前記共重合体の環式無水物残基に導入しようとする数に応じて、前者の化合物の添加量を調整することにより実施することができる。例えば、前記環式無水物残基の当量当たり前記化合物の当量が2以上になるように適度に選択することにより約2本以上のL-PEG-Aで表されるグラフト鎖を原料共重合体に導入することができる。(a)について定義されるa1、a2、a3、a4のいずれかひとつの残基を前記環式無水物残基に導入する際に、前者と後者の当量割合が、20以上対1となるように選択すると実質的にすべての環式無水物残基へ前者の残基を導入でき、当該割合が10以下対1となるように選択すると、通常、当該導入率を100%未満、例えば、10~60%とすることができる。残存する環式無水物残基は、さらに前記以外の化合物を含む追加の化合物を求核的に反応せしめることにより、追加の化合物残基を当該環式無水物残基に導入することができる。また、当該環式無水物残基は加水分解することにより開環しジカルボキシル残基とすることもできる。
【0073】
したがって、式(II):
【0074】
【化22】
JP2019123773A_000023t.gif
【0075】
式中、R1-1、R2-1、m1、m2、nは前記に定義したとおりである。
で表される共重合体にL-PEG-Aで表されるグラフト鎖に対応する化合物又はPEG誘導体を求核的に反応せしめることにより式(I)の共重合体を提供することもできる。かような観点から、式(II)で表される共重合体は、式(I)の共重合体の前駆体であり、また、それ自体、環式無水物残基の単位を利用して医療用デバイス等の表面のコーティング用材料して使用することもできる。
【実施例】
【0076】
以下、具体例を参照しながら本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲をこれらの例に限定することを意図するものでない。
【0077】
製造例1:SMAPo(n=2)の合成(N557)(2本のPEGをPSMAにエステ
ルで結合したもの)
【0078】
【化23】
JP2019123773A_000024t.gif

【0079】
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)38gを無水テトラヒドロフラン(THF)100mLに溶解させた。市販の片末端メトキシ、他末端ヒドロキシ ポリ(エチレングリコール)(MW=5,000,MeO-PEG-OHと略記)50gを200mLナス型フラスコに計り取り、80℃で1日間減圧乾燥させた後、乾燥THF200mLに溶解させ、市販ブチルリチウム(ヘキサン溶液、1.6M)6.5mL加え、PEG末端をアルコラートにした。この溶液を先のPSMAのTHF溶液に加え、室温で1日反応させた。反応溶液を1Lのイソプロピルアルコールに投入し、遠心(9,000rpm、2分間)により沈殿物を得た。上澄みを捨て、沈殿物をヘキサンに分散し、遠心で沈殿物を精製した(2回)。その後減圧乾燥によりポリマーを回収した(76g)。上記で得られたポリマーのサイズ分画クロマトグラフィー(SEC)の測定結果を図1に、H-NMRスペクトルを図2に示す。
【0080】
製造例2:SMAPo(n=5)の合成(N605I)(5本のPEGをPSMAにエス
テルで結合したもの)
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)7.6gを無水THF50mLに溶解させた。市販の片末端メトキシ、他末端ヒドロキシ ポリ(エチレングリコール)(MW=5,000,MeO-PEG-OHと略記)25gを100mLナス型フラスコに計り取り、80℃で1日間減圧乾燥させた後、乾燥THF200mLに溶解させ、市販ブチルリチウム(ヘキサン溶液、1.6M)3.3mL加え、PEG末端をアルコラートにした。この溶液を先のPSMAのTHF溶液に加え、室温で1日反応させた。反応溶液を1Lのイソプロピルアルコールに投入し、遠心(9,000rpm、2分間)により沈殿物を得た。上澄みを捨て、沈殿物をヘキサンに分散し、遠心で沈殿物を精製した(2回)。その後減圧乾燥によりポリマーを回収した(30g)。得られたポリマーの構造は、製造例1のものを参照。
【0081】
製造例3:SMAPo(n=10)の合成(N605II)(10本のPEGをPSMA
にエステルで結合したもの)
PSMA(分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)3.8g用いた以外、製造例2と同様の方法を実施した(収量30g)。得られたポリマーの構造は、製造例1のものを参照。
【0082】
製造例4:TEMPO導入PSMA(SMATN、N547)の合成
【0083】
【化24】
JP2019123773A_000025t.gif

【0084】
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)9gを無水THF50mLに溶解させた。市販の4-アミノ—2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル NH2-TEMPO)5gをTHF15mLに溶解させ、上のPSMA/THF溶液に加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液を1Lのエーテルに投入し、沈殿物を得た。上澄みを捨て、沈殿物をエーテルに分散し、ろ過にて精製した(2回)。その後減圧乾燥によりポリマーを回収した(14g)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり14個であった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図3に示す。なお、上記式における無水マレイン酸残基の一部又は全部は加水分解されていることができる。
【0085】
製造例5:TEMPO導入PSMA(SMATN、N568)の合成その2
PSMA、分子量230KDa、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=1:1)7gを無水THF50mLに溶解させたこと以外、製造例4と同様の方法を実施して目的物を合成した(11g)。電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり464個であった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図4に示す。
【0086】
製造例6:TEMPO導入PSMA(SMATN、N569)の合成その3
無水THFの代わりに無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を使ったこと以外、製造例5と同様の方法を実施して目的物を得た(7g)。電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり468個であった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図5に示す。
【0087】
製造例7:pSMATN(N572)の合成(PSMAの無水マレイン酸の一部にNH
-TEMPOを導入したもの)
【0088】
【化25】
JP2019123773A_000026t.gif

【0089】
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量1,600、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=1.3:1)10gを無水THF100mLに溶解させたこと以外、製造例4と同様の方法を実施して目的物を合成した(14.6g)。電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり2.6個であった(残存無水マレイン酸4.4個)。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図6に示す。
【0090】
製造例8:pSMATN(N574)の合成その2
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量1,600、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=1.3:1)15gを無水THF100mLに溶解させたこと以外、製造例7と同様の方法を実施して目的物を合成した(19.5g)。電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり2.2個であった(残存無水マレイン酸4.8個)。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図7に示す。
【0091】
製造例9:SMAPoTN(n=2,N564)の合成(2本のPEGをPSMAにエス
テルで結合し残りの無水マレイン酸環にNH-TEMPOを導入したもの)
【0092】
【化26】
JP2019123773A_000027t.gif

【0093】
製造例1で合成したSMAPo 20gを無水THF150mLに溶解した。NH-TEMPO5gを15mLの無水THFに溶解し、上記溶液に加え室温で2時間攪拌する。反応溶液を1Lのエーテルに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行い、目的物を得た(収量25g)。上記で得られたポリマーのSECの測定結果を図8に、H-NMRスペクトルを図9に示す。SECの測定結果から、TEMPO導入量は16個/鎖、カルボキシル基25個/鎖であった。
【0094】
製造例10:SMAPoTN(n=2,N607)の合成(2本のPEGをPSMAにエ
ステルで結合し残りの無水マレイン酸環にNH-TEMPOを導入したも
の)(一段合成)
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)38gを無水THF100mLに溶解させた。市販の片末端メトキシ、他末端ヒドロキシポリエチレングリコール(MW=5,000,MeO-PEG-OHと略記)50gを200mLナス型フラスコに計り取り、80℃で1日間減圧乾燥させた後、乾燥THF200mLに溶解させ、市販ブチルリチウム(ヘキサン溶液、1.6M)6.5mL加え、PEG末端をアルコラートにした。この溶液を先のPSMAのTHF溶液に加え、室温で2時間反応させた。NH-TEMPO20gを60mLの無水THFに溶解し、上記溶液に加え室温で2時間攪拌する。反応溶液を1Lのエーテルに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行った。(収量104g)ESRより1本あたりのTEMPO導入量は16.5であった。得られたポリマーのH NMRスペクトルを図10に示す。
【0095】
製造例11:pSMAPoTN(n=2,N563)の合成(2本のPEGをPSMAに
エステルで結合し残りの無水マレイン酸環の一部にNH-TEMPOを導
入したもの)
【0096】
【化27】
JP2019123773A_000028t.gif

【0097】
製造例1で合成したSMAPo(N557)5gを無水THF50mLに溶解した。NH-TEMPOの0.6gを3mLの無水THFに溶解し、上記溶液に加え室温で2時間攪拌した。反応溶液を400mLのエーテルに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行った。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図11に示す。H-NMR及びESRの測定結果よりx=15,y=7.6,z=2(収量5.6g)と決定された。
【0098】
製造例12:SMAPo(n=2,N559)の合成(2本のPEGをPSMAにエス
テルで結合し残りの無水マレイン酸環にボロン化合物を導入したもの)
【0099】
【化28】
JP2019123773A_000029t.gif

【0100】
製造例1で合成したSMAPo(N557)5gを無水THF 50mLに溶解した。4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル2gを20mLの無水THFに溶解し、6mLのブチルリチウムを加得(1.6M)室温で10分間攪拌後、上記溶液に加え室温で12時間攪拌した。反応溶液を1Lのエーテルに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行い回収した(収量4.1g)。ICP-MS側定よりホウ素含有量は6.9個/ポリマーであった。得られたポリマーのH NMRスペクトルを図12に示す。
【0101】
製造例13:SMAPo(n=2,N561)の合成(2本のPEGをPSMAにエス
テルで結合し残りの無水マレイン酸環にヨウ素化合物を導入したもの)
【0102】
【化29】
JP2019123773A_000030t.gif

【0103】
製造例1で合成したSMAPo(N557)2.5gを無水DMF 30mLに溶解した。2,4-ジヨードアニリン1.73gを20mLの無水THFに溶解し、3mLのブチルリチウムを加得(1.6M)室温で10分間攪拌後、上記溶液に加え室温で5時間攪拌した。反応溶液を500mLの2-プロパノールに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行い目的のポリマーを回収した(収量2.1g)。ICP-MSによりヨウ素含有量は1.8/ポリマーであった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図13に示す。
【0104】
製造例14:SMACHO-PhPo(n=2,N606I)の合成その1(PEG末端
にベンジルアセタール基を導入したSMAPoの合成)
【0105】
【化30】
JP2019123773A_000031t.gif

【0106】
窒素下200mLナスフラスコ中、4-(ジメトキシメチル)ベンジルアルコーる0.45gを50mLの無水THFに溶解させ、カリウムナフタレン(K-Naph)のTHF溶液(1.05M)3mLを加えた。その後冷却エチレンオキシ度(EO)を12.5g加え、水冷下、1日攪拌した(溶液Aとする)。市販のPSMA(分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)5gを無水THF40gに溶解し溶液Bとする、溶液Aを11g、溶液Bを18g混合し、5時間反応させた。反応溶液を1Lの2-プロパノールに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行った(収量4.2g)。得られたポリマーのTOF-MSスペクトルを図14に、H-NMRスペクトルを図15に、SEC測定結果を図16に示す。
【0107】
製造例15:SMACHO-PhPo(n=5,N606II)の合成その2
製造例14で調製した溶液A 43gと溶液B27gを混合し、室温で5時間攪拌した。反応溶液を1Lの2-プロパノールに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行ない、目的のポリマーを得た(収量7g)。
【0108】
製造例16:SMACHO-PhPo(n=2,N604)の合成その3(PEG鎖2K
Da)
窒素下100mLナスフラスコ中、4-(ジメトキシメチル)ベンジルアルコール0.54gを30mLの無水THFに溶解させ、カリウムナフタレンのTHF溶液(1.05M)3.3mLを加えた。その後冷却エチレンオキシ度(EO)を7g加え、水冷下、1日攪拌した。市販のPSMA(分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)2.3gを無水THF10gに溶解し上の溶液に混合し、5時間反応させた。反応溶液を1Lの2-プロパノールに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行い目的のポリマーを得た(収量8.2g)。得られたポリマーのTOF-MSスペクトルを図17に、H-NMRスペクトルを図18に、SEC測定結果を図19に示す。
【0109】
製造例17:SMAPoTN(N564)のナノ粒子の調製
製造例9で合成したSMAPoTN(N564)の50mgを10mLのDMFに溶解し、分画分子量3.6KDaの透析膜を用いて2Lの水に対して透析を行った。12時間ごとに透析水を2度交換したのち、遠心エバポレータで濃縮して10mg/mLとした。その溶液の動的光散乱及びゼータ電位を測定した。動的光散乱の測定結果を図20に、ゼータ(ζ)電位の測定結果を図21に示す。
【0110】
製造例18:SMAPoTN(N564)とBKClとの複合体調製
塩化ベンザルコニウム(BKCl)(10%水溶液)を0.28gとミリQ水3.7mLとを混合させた(溶液A)。SMAPoTN(N564)70mgをミリQ水2mLと0.1M NaOH一滴加え混合した(溶液B)。溶液A、Bを下記の表1に示すように混合し、複合体を調製した。
【0111】
【表1】
JP2019123773A_000032t.gif

【0112】
複合体の粒径、ゼータ電位及び散乱強度(カウントレート)の測定結果をそれぞれ、図22、図23及び図24に示す。
【0113】
試験例1:SMAPoTN(N564)と塩化ベンザルコニウム(BKCl)との複体の
イオン強度安定性
製造例18で調製したSMAPoTN(N564)と塩化ベンザルコニウ無(BKCl)との複合体(50:50)溶液にNaClを加えてイオン強度を60から500mMとして動的光散乱および散乱強度等を測定した。当該複合体のイオン強度依存性の粒径分布を図25に、散乱強度を図26に示す。
【0114】
製造例19:SMAPo(N586)と塩化ベンザルコニウム(BKCl)との複合体
調製及び特性の決定
SMAPo(N559)を用いたこと以外、製造例18と同様の方法で溶液を調製し、複合体を調製し、試験例1に記載のごとく粒度分布、イオン強度依存性の粒度分布及び散乱強度の測定を行った。測定結果をそれぞれ、図27、図28及び図29に示す。
【0115】
製造例20:SMAPo(N561)と塩化ベンザルコニウ無(BKCl)との複合体
調製及び特性の決定
製造例13で得られるSMAPo(N561)を用いたこと以外、製造例19と同様の方法で溶液を調製し、複合体を調製し、試験例1に記載のごとく粒度分布、イオン強度依存性の粒度分布及び散乱強度の測定を行った。測定結果をそれぞれ、図30、図31及び図32に示す。
【0116】
製造例21:SMAPo(n=2,N561)の ナノ粒子調製
製造例13で合成したN561の20mgを4mLのメタノールに溶解し、4mLのミリQ水を加え、エバポレートした。半量になったところで4mLの水を加え、再度エバポレートした。これを二度繰り返した後全量を4mLとして動的光散乱により粒径を測定した。測定結果を図33に示す。図から平均粒径は体積分布で11nmであることが解かる。
【0117】
試験例2:各サンプルの経口投与による臓器分布
製造例4、9及び15でそれぞれ、合成したサンプルN547(PEGなしSMATN)、N564(SMAPoTN,n=2)及びN606I(SMAace-PhPoTN;n=2)1.5gをそれぞれ15mLのDMFに溶解し、2Lの透析水に対して2日間透析した。最終濃度はそれぞれ30mg/mL、23mg/mL及び26mg/mLであった。これらの各溶液0.5mLをICRマウスに経口投与し、30分後及び4時間後に臓器を採取して電子スピン共鳴装置により分布を計測した。投与30分後及び4時間後の各ナノ粒子の臓器分布測定結果を図34及び35に示す。これらの結果から上記の3つのナ
ノ粒子は経口投与で血中には全く移行することが無かった。また、PEGのないN547は小腸には殆ど集積が見られないが、N564は小腸に良く集積した。ベンズアセタール末端を有するナノ粒子は胃への残存が長い傾向が認められる。
【0118】
試験例3:ポリスチレン表面へのポリマーの練り込み
スチレン(100mg/ml)のトルエン溶液にSMATN(N547)(100mg/ml)、pSMAPoTN(N563)(100mg/ml)又はSMAPoTN(N564)(100mg/ml)のトルエン溶液を1:1の割合で混合し100μLずつ96wellの白色プレートに加え真空乾燥させトルエンを除去し、プレート表面にキャストした。比較対象としてスチレンのみでのキャストも同様におこなった。ヒポキサンチン及びキサンチンオキシダーゼを加え発生したスーパーオキシドをMPEC(アトー)により検出した。結果を図36に示す。N563及びN564をスチレンに練りこんでキャストしたものは発光量がスチレンのみの場合と比較して減少しており、スーパーオキシドを消去していることが確認できた。
【0119】
試験例4:ソラフェニブ(抗がん剤)のpSMAPoTN(N563)への薬物封入
(1)製造例11で得られるpSMAPoTN(n=2,N563)の22mgをガラスバイアル中で1mLのDMFに完全に溶解し、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(d=0.946)の21μLと混合した。次いで、溶液に2.2mgのソラフェニブ(Sorafenib)、21μLのテトラエチルオルソシリケート(TEOS)及び30 μLのアンモニア水(NH,28%)を連続的に加えた。混合2時間後、前記溶液に500μLのミリQ水を加えてさらに5分間混合した。その後、分画分子量3.6KDaの透析膜を用いて2Lの水に対して透析を行った。水を12時間後に交換し、さらに24時間後に回収した。溶液をPBS緩衝液(pH7.2(20mM PO3-))に1:1の比率で混合することにより動的光散乱分析に供し、粒子径分布を求めた。得られた結果を図37に示す。
(2)薬物の内包量を次のとおり試験した。サンプルをアセトにトリスと混合(50:50)し、2時間超音波浴中に放置した後、0.2μm孔のフィルターを用いて濾過した。薬物量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い254nmにおける吸収波長を試験することにより決定した。結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
JP2019123773A_000033t.gif

【0121】
試験例5:SMAPo(N561)を用いた担癌マウスでの造影剤評価
N561を125mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ担癌マウス(Balb/c 5週齢)に100μLを癌に局所投与し、ALOKA LaTheta LCT-100にて撮影を行った。比較対象として、イオメロン(エーザイ)をヨウ素含有量にして等量局所投与した。測定結果を示す図に代わる写真を図38に示す。N561の場合に30分後においても腫瘍部分で検出できていることが確認された(同図矢印)。
【0122】
試験例6:パクリタキセル(PTX,抗癌剤)のSMAPoTN(N564)への薬物封

N564(40mg)に対してPTXをポリマー重量の10%(4mg)と20%(8mg)をそれぞれ入れ、1mLのDMFガラスバイアル中で3時間混合した。その後2Lの超純水に対して分画分子量3.6kDaの透析膜を用いて透析を行い12時間後に水を交換し、さらに12時間後に回収した。未封入のドラッグを0.2μm孔のフィルターで除いた後、動的散乱光解析により粒子径分布を測定した。結果を図39に示す。その後、以下の通りに薬物封入量を調べた。サンプルを凍結乾燥しアセトニトリルに溶解後(1mg/mL)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて227nmの波長吸収を調べることでPTX薬物量を定量した。結果を以下の表3に示す。
【0123】
【表3】
JP2019123773A_000034t.gif

【0124】
試験例7: プラビーズカラム(コラーゲンコート)へのポリマーのコーティング
pSMAPoTN(N563)、SMAPoTN(N564)のメタノール溶液(50mg/mL)でコラーゲンコートされた市販プラビーズカラム(http://dev.medicalonline.jp/index/product/eid/45155)をコーティングした。コーティング条件は下記のとおりである。

<コーティング条件>
(マル1):プラビーズそのまま
(マル2):N563コーティング
(マル3):N564 コーティング

I群:試料コーティング後風乾
II群:試料コーティング後風乾し、再度コーティング風乾を繰り返す
III群:試料コーティング後1週間密閉し放置

(1)上記のように準備したカラム(マル2)、(マル3)をリン酸緩衝液で3回洗浄した。洗浄液のESR強度を測定した結果を図40に示す。図(マル3)40から、N564((マル3)シリーズ、無水マレイン酸(MA)の残存が無いか又は少ないサンプル)では洗浄ごとにコーティングポリマーが剥離しているのに対し、N563(MAが明らかに残存している)では殆ど溶出しないことがわかり、安定なコーティングが達成された。図40参照。
(2)作製したカラムにヘパリン等の抗凝固剤無添加のマウス全血500μLを注入し2
0分間静置した。その後1μLのリン酸緩衝溶液で洗浄した。コーティングによる血栓の形成について測定した結果を図41に示し、洗浄後のカラムの状態を表す図に代わる写真を図42に示す。コラーゲンコーティングカラムでは極めて大量の血栓ができており、ほぼ洗浄ができない状況にあった。N564コーティングでもかなりの血栓が残っているのに対し、N563ではほぼ完全に血栓形成が押さえられており、極めて高性能な表面コーティング材となる。
【0125】
試験例8:動物細胞の凍結保存におけるSMAPoTN(N564)の保護効果
ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を150mmのシャーレで培養後コンフルエントに達した時、培地で細胞を10cells/mLに分散し、1mLずつバイアルに分注した。DMSO1%とSMAPoTN(N564)の所定量を加えピペッティング後、-80℃の冷凍庫で急速冷凍した。2日後バイアルを37℃の温湯の中に入れ、素早く融解させ、37℃のDMEM培地4mLと細胞懸濁液1mLを15mLファルコンに入れた。希釈した細胞懸濁液50μLと市販0.4w/v%トリパンブルー染色液50μLを1.5mLチューブに取り、混合し、血球計算盤により生細胞数を計測した。結果を図43に示す。図から、N564の添加で著しい細胞生存率の向上が見られる。一般に培養細胞は5~10%程度のジメチルスルホキシド(DMSO)を培養液に加え、10~10cells/mL程度の細胞を-80℃で凍結保存し、再度利用するときに解凍さる。再生医療や臓器保存を考えたときDMSOの量を極力減らし、大量に凍結できることが望ましい。
【0126】
製造例22:N618の製造
製造例1で合成したSMAPo(N557)の2.5gを無水THF25mLに溶解した。NH-CHPh-I(4-ヨードベンジルアミン)1.0gの25mLのDMF溶液を、上記溶液に加え室温で2時間攪拌した。反応溶液を400mLの2-
プロパノールに投入し、減圧ろ過にて沈殿を回収し、減圧乾燥を行った。ICP解析より得られたポリマー中のNH-CHPh-I導入量は18であった。H-NMRスペクトルを図44に示す。(収量2.5g)。
【0127】
製造例23:N623の製造
製造例1で合成したSMAPo(N557)2.5gを無水THF25mLに溶解した。NH-CHPh-B(ピナコール):
【0128】
【化31】
JP2019123773A_000035t.gif

【0129】
1.0gの25mLのDMF溶液を、上記溶液に加え室温で2時間攪拌した。反応溶液を透析膜(分画分子量2,500)で水に対して透析して精製し、透析乾燥にて標題のポリマーを得た。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図45に示す。
【0130】
試験例9:N563による基材表面改質(血液適合性の付与)
スチレン溶液(100mg/mL トルエン)及びスチレン・N563混合溶液(前記スチレン溶液とN563溶液(10mg/mLトルエン溶液を遠心して得た上澄み液)を1:1で混和した溶液)を300μLずつ48ウェルプレートに加えた後乾燥させて薄膜を形成させた。マウスより得た全血を100μLずつ加え5分間静置させた後、生理食塩水で5回洗浄した。吸着したタンパク質成分をRIPAバッファーにより溶解させ、吸着量をBCA法により測定した。結果を図46に示す。図からN563を加えた薄膜の方がタンパク質の吸着量が少ない事が確認できた。
【0131】
製造例24:TEMPO導入SMA(SMATN)の合成その4
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)200mgを無水DMF5mLに溶解させた。市販の4-アミノ—2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル NH2-TEMPO)171mgをDMF0.85mLに溶解させ、上のPSMA/DMF溶液に加え、室温で1日攪拌した。反応溶液を透析膜(分画分子量3500)に入れ、蒸留水に対し24時間透析させDMFと残存NH2-TEMPOを除いた。その後透析後の溶液を液体窒素で凍結させ減圧下で凍結乾燥を行うことでポリマーを回収した(503mg)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり21個であった。得られたポリマーのサイズ分画クロマトグラフィー(SEC)の測定結果を図47に示す。
【0132】
製造例25:TEMPO・PEG導入SMAP(SMAPn1TN)(1本のPEGをP
SMAにアミノ結合させ、残りの無水マレイン酸にTEMPOを導入したも
の)の合成
【0133】
【化32】
JP2019123773A_000036t.gif

【0134】
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)373mgとNH-PEGをPSMAに対してモル比で1:1(246mg)の割合で無水DMF5mLに溶解させたこと以外、製造例9と同様の方法を実施してSMAPn1TNを合成した(732mg)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり17個であった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルを図48に示す。
【0135】
製造例26:TEMPO・PEG導入SMAP(SMAPn3TN)(3本のPEGをP
SMAにアミノ結合させ、残りの無水マレイン酸にTEMPOを導入したも
の)の合成
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)200mgとNH-PEGをPSMAに対してモル比で1:3(399mg)の割合で無水DMF5mLに溶解させたこと以外、製造例9と同様の方法を実施してSMAPn3TNを合成した(536mg)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり16個であった。得られたポリマーのH-NMRスペクトルの測定結果を図49に示す。
【0136】
製造例27:TEMPO導入SMA(SMATN)の合成その5
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)300mgを無水THF10mLに溶解させた。市販の4-アミノ—2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル NH2-TEMPO)200mgをTHF1.2mLに溶解させ、上のPSMA/THF溶液に加え、室温で3日攪拌した。反応溶液を1Lのエーテルに投入し、沈殿物を得た。上澄みを捨て、沈殿物をエーテルに分散し、ろ過にて精製した(2回)。その後減圧乾燥によりポリマーを回収した(397mg)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり17個であった。得られたポリマーのサイズ分画クロマトグラフィー(SEC)の測定結果を図50に示す。
【0137】
製造例28:TEMPO・PEG導入SMAP(SMAPn1.5TN)(1.5本のP
EGをPSMAにアミノ結合させ、残りの無水マレイン酸にTEMPOを導
入したもの)の合成
市販のポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体(PSMA、分子量7,500、スチレン:無水マレイン酸ユニット比=2:1)(PSMAと略記)300mgとNH-PEGをPSMAに対してモル比で1:1.5(300mg)の割合で無水THF10mLに溶解させたこと以外、製造例25と同様の方法を実施してSMAPn1.5TNを合成した(720mg)。得られたポリマーの電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定によりTEMPO導入率は1ポリマーあたり21.5個であった。得られたポリマーのサイズ分画クロマトグラフィー(SEC)の測定結果を図51に示す。
【0138】
製造例29:SMATN、SMAPnTN(n=1及び3)のナノ粒子の調製
製造例24、25、26でそれぞれ合成した3つのサンプルSMATN、SMAPnTN(n=1、3)の20mgを2mLのメタノールに溶解し、分画分子量3.5KDaの透析膜を用いて2Lの水に対して透析を行った。数時間おきに透析水を交換し、最終濃度が5mg/mL前後となるように調製し、その溶液の動的光散乱を測定した。動的光散乱の測定結果を、それぞれ図52、図53及び図54に示す。
【0139】
製造例30:SMATN、SMAPnTN(n=1.5)のナノ粒子の調製
製造例27、28でそれぞれ合成した2つのサンプルSMATN、SMAPnTN(n=1.5)の20mgを2mLのメタノールに溶解し、分画分子量3.5KDaの透析膜を用いて2Lの水に対して透析を行った。数時間おきに透析水を交換し、最終濃度が5mg/mL前後となるように調製し、その溶液の動的光散乱を測定した。動的光散乱の測定結果を図55及び56に示す。
【0140】
試験例10:SMATN(反応溶媒DMF)とSMAPn1.5TN(反応溶媒THF)
のpH応答性の評価
TEMPO導入率がほぼ等しいSMATN(反応溶媒DMF)とSMAPn1.5TN(反応溶媒THF)に対し、上記のミセル調製法に基づき、最終ミセル濃度が約10mg/mLとなるようにミセルを調製し、pHに対する応答性を評価した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)バッファーに対して0.1Mおよび0.01M HClと0.1M NaOHを加えてさまざまなpHとなるようにバッファーを調製したあと、調製したミセル300μLに対してバッファー300μLを加え数秒攪拌し、動的散乱強度を測定した。SMATN及びSMAPn1.5TNに関する測定結果をそれぞれ図57及び58に示す。体積別散乱強度で見た結果、PEGを導入していないSMATNはpH=2前後で顕著に凝集する傾向を示したのに対し、PEG鎖を1.5本導入したSMAPn1.5TNはpH=3まで30nm前後の粒径を保つことが分かった。
【0141】
試験例11:PBS滴下後のSMATN(反応溶媒DMF)とSMAPn1.5TN(反
応溶媒THF)の安定性評価
SMATN(反応溶媒DMF)とSMAPn1.5TN(反応溶媒THF)に対し、上記のミセル調製法に基づき最終ミセル濃度が約10mg/mLとなるようにミセルを調製し、PBS滴下後のミセルの安定性を評価した。調製したミセル500μLに対し、pH=7.7のPBS500μLを加えて攪拌したあと、動的散乱強度及びESR測定を行った。なお、恒温水槽を用いて生体温度である37.4℃に保存して時間経過を測定した。SMATNにつていの結果をそれぞれ図59及び60に、SMAPn1.5TNについての結果をそれぞれ図61及び62に示す。PEGを導入していないSMATNは時間経過につれ粒径や散乱強度に大きな変化は見られなかったが、PBS滴下後からTEMPOのシグナルがはっきりとみられた。PEG鎖を1.5本導入したSMAPn1.5TNは時間経過につれ粒径および散乱強度が増加し、TEMPOシグナルも徐々にはっきりとしていったことから、イオンを含むPBS溶媒と親和していることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、医薬又は診断薬の製造業で利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52
【図54】
53
【図55】
54
【図56】
55
【図57】
56
【図58】
57
【図59】
58
【図60】
59
【図61】
60
【図62】
61