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Specification :(In Japanese)エクソソームの製造方法及びその製造方法によって得られるエクソソーム

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B1)
Patent Number P6448826
Date of registration Dec 14, 2018
Date of issue Jan 9, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)エクソソームの製造方法及びその製造方法によって得られるエクソソーム
IPC (International Patent Classification) C12N   5/07        (2010.01)
FI (File Index) C12N 5/07
Number of claims or invention 8
Total pages 14
Application Number P2018-005638
Date of filing Jan 17, 2018
Date of request for substantive examination Mar 29, 2018
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】加納 ふみ
【氏名】村田 昌之
【氏名】園田 雄輝
Accelerated examination, or accelerated appeal examination (In Japanese)早期審査対象出願
Representative (In Japanese)【識別番号】100139594、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 健次郎
【識別番号】100090251、【弁理士】、【氏名又は名称】森田 憲一
Examiner (In Japanese)【審査官】千葉 直紀
Document or reference (In Japanese)特開2014-185090(JP,A)
特表2017-521644(JP,A)
国際公開第2016/178532(WO,A1)
特開2011-120520(JP,A)
特開2010-285426(JP,A)
特開2013-213688(JP,A)
国際公開第2016/076347(WO,A1)
特開2017-038566(JP,A)
Cell Death and Differentiation, 2017, Vol. 24, pp. 798-808
生物物理, 2014, Vol. 54, No. 4, pp. 206-209
日本薬学会第135年会, 2015, p. 63, 26U-am10S
Nature Communications, 2016, Vol. 7, pp. 1-9, [online], <URL: https://www.nature.com/articles/ncomms12277.pdf>
Biochemical and Biophysical Research Commnications, 2016, Vol. 472, pp. 53-59
Field of search C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Abstract (In Japanese)【課題】本発明の目的は、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有させる方法を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の(a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、(b)ATPを添加し、インキュベートする工程、及び(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程、を含む、エクソソームの製造方法によって解決することができる。
【選択図】なし
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
(a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、(b)ATPを添加し、インキュベートする工程、及び
(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程、
を含む、エクソソームの製造方法。
【請求項2】
(d)培地からエクソソームを精製する工程、
を更に含む請求項1に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項3】
工程(b)において、細胞質を添加する、請求項1又は2に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項4】
前記穿孔活性を持つ生物毒素が、コレステロール依存性細胞溶解毒素(例えばストレプトリジンO、リステリオリジンO、スイリシン、ケイニリシン、イクイシミリシン、ニューモリシン、パーフリンゴリシンO、テタノリシンO、ミチリシン、Streptococcus mitis由来ヒト血小板凝集因子、レクチノリシン、シュードニューモリシン、バジノリシン、セリゲリオリシンO、イバノリシンO、アルベオリシンO、アンスラリシンO、ピオリシンO、又はインターメディリシン)、ブドウ球菌α毒素、及びウェルシュ菌θ毒素からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項5】
前記工程(c)において、細胞に、小胞体ストレス、老化誘導、低酸素ストレス、放射線暴露、又はシスプラチン処理を付与する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項6】
前記工程(b)において、外来成分を添加する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項7】
前記外来成分が、タンパク質、核酸、低分子化合物、脂質、糖質、蛍光色素、可溶性ポリマー、又は磁気ビーズである、請求項6に記載のエクソソームの製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のエクソソームの製造方法によって得られる、エクソソーム。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、エクソソームの製造方法及びその製造方法によって得られるエクソソームに関する。本発明によれば、所望の成分をエクソソームに含有させることができる。
【背景技術】
【0002】
細胞から細胞外に分泌される細胞外小胞として、マイクロベシクル、アポトーシス小体、及びエクソソームが知られている。これらの細胞外小胞のうちエクソソームは、表面に細胞膜由来、あるいはエンドソーム膜由来のタンパク質や脂質を有し、内部に細胞質由来の核酸及びタンパク質を含み、そして細胞間の情報伝達の機能を担っていることが報告されている(非特許文献1)。
また、がん細胞又は疾患状態の細胞から分泌されたエクソソームは、がん又は疾患に特徴的なマーカーを含んでいる可能性があるため、そのようなエクソソームを用いた疾患の診断方法の開発が進められている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】「ジャーナル・オブ・エクストラセルラー・ベジクルズ(Journal of Extracellular Vesicles)」(米国)2015年、第4巻、Article:27066
【非特許文献2】「JAMAオンコロジー(JAMA Oncology)」(米国)2016年、第2巻、p882-889
【非特許文献3】「トレンズ・イン・バイオテクノロジー(Trends in Biotechnology)」(米国)2017年、第7巻、p665-676
【非特許文献4】「BMBレポーツ(BMB Reports)」(韓国)2016年、第49巻、p585-586
【非特許文献5】「サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)」(英国)2017年、第7巻、Article number:15167
【非特許文献6】「プロスワン(PLoS ONE)」(米国)2012年、第7巻、e44127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、エクソソームをドラッグデリバリーに用いるために、エクソソームを改変するための技術として、細胞外へ分泌されたエクソソームへのex vitroローディング法、及び遺伝子改変した細胞からエクソソームを取り出すin vitroローディング法が報告されている(非特許文献3)。例えば、エクソソームに任意のタンパク質をパッケージングするin vitroローディング法として、エクソソーム膜を標的とするペプチドに任意のタンパク質を結合させる方法が開示されている(非特許文献4)。しかしながら、この非特許文献4に記載の方法は、タンパク質を融合タンパク質としてエクソソームに含有させる方法であり、タンパク質をそのままエクソソームに含有させる方法ではなかった。また、ex vitroローディング法は操作が煩雑で、ローディングする物質の化学的性質によってローディングの効率が大きく異なることから、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸などをエクソソームに含有させるのは容易ではなかった。
従って、本発明の目的は、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有させる方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、セミインタクト細胞リシール技術を用いてエクソソームを製造することにより、タンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、(b)ATPを添加し、インキュベートする工程、及び(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程、を含む、エクソソームの製造方法、
[2](d)培地からエクソソームを精製する工程、を更に含む[1]に記載のエクソソームの製造方法、
[3]工程(b)において、細胞質を添加する、[1]又は[2]に記載のエクソソームの製造方法、
[4]前記穿孔活性を持つ生物毒素が、コレステロール依存性細胞溶解毒素(例えばストレプトリジンO、リステリオリジンO、スイリシン、ケイニリシン、イクイシミリシン、ニューモリシン、パーフリンゴリシンO、テタノリシンO、ミチリシン、Streptococcus mitis由来ヒト血小板凝集因子、レクチノリシン、シュードニューモリシン、バジノリシン、セリゲリオリシンO、イバノリシンO、アルベオリシンO、アンスラリシンO、ピオリシンO、又はインターメディリシン)、ブドウ球菌α毒素、及びウェルシュ菌θ毒素からなる群から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載のエクソソームの製造方法、
[5]前記工程(c)において、細胞に、小胞体ストレス、老化誘導、低酸素ストレス、放射線暴露、又はシスプラチン処理を付与する、[1]~[4]のいずれかに記載のエクソソームの製造方法、
[6]前記工程(b)において、外来成分を添加する、[1]~[5]のいずれかに記載のエクソソームの製造方法、
[7]前記外来成分が、タンパク質、核酸、低分子化合物、脂質、糖質、蛍光色素、可溶性ポリマー、又は磁気ビーズである、[6]に記載のエクソソームの製造方法
[8][1]~[7]のいずれかに記載のエクソソームの製造方法によって得られる、エクソソーム、及び
[9]蛍光標識分子を含むエクソソーム(但し、エクソソーム膜を標的とするペプチドと融合した蛍光標識分子を除く)、
に関する。
セミインタクト細胞リシール技術は、細胞膜を穿孔し、細胞質内に特定の物質を導入する技術として知られている(非特許文献5及び6)が、セミインタクト細胞リシール技術により、効率良くエクソソームが製造できることは、驚くべきことである。
本明細書において、セミインタクト細胞リシール技術で得られた細胞を「リシール細胞」と称することがある。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエクソソームの製造方法によれば、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有させることができる。また、大量のエクソソームを製造することができる。本発明の製造方法によって得られたエクソソームは、ドラッグデリバリーに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のエクソソームの製造方法の概要を示した図である。
【図2】HeLa細胞を用いて、リシール細胞から得られたエクソソーム(小胞体ストレス有り、又は無し)の粒子径分布及び粒子数、又はインタクト細胞から得られたエクソソーム(小胞体ストレス有り、又は無し)の粒子径分布及び粒子数を示したグラフである。
【図3】蛍光標識デキストランを含むリシール細胞のCD63を、抗体を用いて蛍光抗体法により検出したN-STRORMによる顕微鏡写真である。コントロールは、インタクト細胞の顕微鏡写真である。
【図4】蛍光標識デキストランを含むリシール細胞のCD63を、抗体を用いて蛍光抗体法により検出したN-STRORMによる顕微鏡写真である。コントロールは、インタクト細胞の顕微鏡写真である。
【図5】本発明の製造方法で得られたエクソソームの、FITC、CD63、TSG101、及びHSP70Aをウエスタンブロッティングで解析した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]エクソソームの製造方法
本発明のエクソソームの製造方法は、(a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程(以下、工程(a)と称することがある)、(b)ATPを添加し、インキュベートする工程(以下、工程(b)と称することがある)、及び(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程(以下、工程(c)と称することがある)、を含む。また、本発明のエクソソームの製造方法は、更に(d)培地からエクソソームを精製する工程(以下、工程(d)と称することがある)を含むことができる。

【0009】
《工程(a)》
前記工程(a)においては、細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする。本工程は、リシール細胞を作製するために、穿孔活性を持つ生物毒素により、細胞を穿孔する工程である。

【0010】
(穿孔活性を持つ生物毒素)
穿孔活性を持つ生物毒素としては、特に限定されるものではないが、コレステロール依存性細胞溶解毒素、ブドウ球菌α毒素、又はウェルシュ菌θ毒素が挙げられるが、コレステロール依存性細胞溶解毒素が好ましい。コレステロール依存性細胞溶解毒素としては、ストレプトリジンO、リステリオリジンO、スイリシン、ケイニリシン、イクイシミリシン、ニューモリシン、パーフリンゴリシンO、テタノリシンO、ミチリシン、Streptococcus mitis由来ヒト血小板凝集因子、レクチノリシン、シュードニューモリシン、バジノリシン、セリゲリオリシンO、イバノリシンO、アルベオリシンO、アンスラリシンO、ピオリシンO、又はインターメディリシンが挙げられるが、ストレプトリジンO、又はリステリオリシンOが好ましい。
穿孔活性を有する生物毒素は、界面活性剤などによる細胞への穿孔と比較して穏やかであり、カルシウムイオンによるリシールが効果的に実施できる。

【0011】
(コレステロール依存性細胞溶解毒素)
コレステロール依存性細胞溶解毒素は、細胞膜のコレステロールを受容体とする毒素であり、細胞を穿孔することができる。
例えば、ストレプトリジンO(SLO)は、連鎖球菌が菌体外に産生するコレステロール結合細菌毒素であり、60,400の分子量を有するタンパク質である。SLOは、細胞膜のコレステロールに選択的に結合し、多量体の環状複合体を形成することで30nm程度の孔を細胞膜に形成することができる。また、形成された孔は、融合することなどにより200nm程度まで大きくなることもある。形成された孔は、カルシウムイオン依存的に閉じる。また、SLOは、酸素感受性であり、酸素存在下に長時間さらされることにより失活させることができる。
穿孔活性を有する生物毒素の培地中の濃度は、細胞に孔が生じる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば0.001~1,000μg/mLであり、好ましくは0.01~100μg/mLであり、より好ましくは0.05~10μg/mLであり、最も好ましくは0.083~0.125μg/mLである。当業者は、それぞれ生物毒素の穿孔活性及び細胞への毒性の強弱に応じて、生物毒素の濃度を適宜調整して用いることができる。

【0012】
工程(a)において使用する培地は、特に限定されず、使用する細胞に応じて適宜選択することができるが、例えばPBS、DMEM、EMEM、G-MEM、MEM alpha、Ham’s F-12、Ham’s F-12K、IMDM、DMEM/F12、Essential 8、HBSS、又はRPMI-1640(RPMI-1640)が挙げられる。培地に血清を添加すると生物毒素が血清成分に吸着し、作用が弱まることがあるため、無血清培地が好ましい。

【0013】
前記生物毒素を添加した後に、1~10分氷上で静置することが好ましい。例えばSLOはコレステロールに結合し、25℃以上で穿孔活性を持つため、添加したSLOを氷上で細胞になじませるためである。他の生物毒素も、細菌由来のものが多く、細菌の増殖温度で穿孔活性を示すものが多い。また、氷上でSLOなどの生物毒素を細胞膜に結合させ、その後に細胞に結合していないSLOなどの生物毒素を洗い流すことが好ましい。その後、温度を上げSLOなどの生物毒素を活性化させることによって、開孔からSLOが細胞質内に入ることを防止し、細胞内のオルガネラへのダメージを防ぐことができる。
生物毒素によるインキュベーションは、限定されるものではないが、25℃以上で行うことが好ましく、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは35℃以上である。インキュベーション温度の上限は、生物毒素が失活しない限り、特に限定されるものではないが、例えば50℃以下であり、好ましくは45℃以下であり、より好ましくは40℃以下である。
インキュベーション時間も、細胞に孔が形成され、そして細胞に悪影響が無い限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば1~60分であり、好ましくは2~30分であり、より好ましくは5~20分であり、最も好ましくは8~15分である。

【0014】
本発明において用いる細胞としては、特に限定されるものではないが、生物から分離された初代培養細胞、又は継代培養細胞を用いることができる。細胞の由来も、特に限定されるものではなく、哺乳類としては、例えばヒト、サル、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ウサギ、モルモット、ラット、及びマウスを挙げることができる。また、鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、ダチョウ、及びホロホロチョウを挙げることができ、爬虫類としては、ワニ、カメ、及びトカゲを挙げることができ、両生類としては、カエル、及びイモリを挙げることができ、魚類としては、テラピア、タイ、ヒラメ、サメ、及びサケを挙げることができる。更に、無脊椎動物としては、カニ、貝類、クラゲ、及びエビを挙げることができる。更に昆虫細胞を用いることもできる。コレステロール依存性細胞溶解毒素を用いる場合、細胞膜にコレステロールを発現している細胞が好ましい。

【0015】
《工程(b)》
工程(b)においては、ATPを添加し、インキュベートする。本工程は、工程(a)おいて形成された孔を介して、細胞外の成分を細胞内へ移行させる工程である。すなわち、細胞外の液体を、細胞質に流入させる工程である。
また、前記培地がカルシウムイオンを含んでいる場合は、カルシウムイオンにより穿孔活性を持つ生物毒素によって形成された孔が閉孔することがある。従って、培地にカルシウムキレート剤を添加することが好ましい。キレート剤としては、カルシウムをキレートできる限りにおいて、限定されるものではないが、EGTA(Ethylene Glycol Tetraacetic Acid)EDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid)、NTA(Nitrilo Triacetic Acid)、DTPA(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)、HEDTA(Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid)、TTHA(Triethylene Tetramine Hexaacetic Acid)、PDTA(1,3-Propanediamine Tetraacetic Acid)、DPTA-OH(1,3-Diamino-2-hydroxypropane Tetraacetic Acid)、HIDA(Hydroxyethyl Imino Diacetic Acid)、DHEG(Dihydroxyethyl Glycine)、GEDTA(Glycol Ether Diamine Tetraacetic Acid)、CMGA(Dicarboxymethyl Glutamic Acid)、又はEDDS((S,S)-Ethylene Diamine Disuccinic Acid)が挙げられる。
カルシウムキレート剤の濃度も、その効果が得られる限りにおいて限定されるものではないが、例えば0.1~5mMであり、より好ましくは0.5~3mMである。

【0016】
工程(b)においては、カリウムイオン濃度を上昇させるために、トランスポートバッファーを添加してもよい。トランスポートバッファーに前記カルシウムキレート剤を添加してもよい、トランスポートバッファーとしては、例えば25mM HEPES-KOH(pH7.4)、0.115M CH3COOK、2.5mM MgCl2の組成のトランスポートバッファーが挙げられる。
培地中のカリウムイオン濃度も、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されるものではないが、好ましくは1~1,000mMであり、より好ましくは10~500mMであり更に好ましくは50~300mMである。

【0017】
《ATP》
ATPはミトコンドリアの活性、膜融合、膜の修復、及びストレス応答などに作用する。ATPの濃度は、発明の効果が得られる限りにおいて限定されるものではないが、好ましくは0.1~100mMであり、より好ましくは0.5~50mMであり、より好ましくは1~10mMである。

【0018】
《外来成分》
本発明において、前記細胞外の成分(細胞外の液体)に外来成分を添加してもよい。本明細書において、「外来成分」とは、本発明のエクソソームの製造方法に用いる細胞の細胞質に含まれている成分以外の成分を意味する。従って、外来成分としては、用いる細胞以外の細胞の細胞質成分、タンパク質、核酸、低分子化合物、脂質、糖質、蛍光色素、可溶性ポリマー、又は磁気ビーズが挙げられる。外来成分として、ドラッグデリバリーで輸送する成分を添加してもよい。すなわち、ドラッグデリバリーで輸送する成分として、タンパク質、核酸、低分子化合物、脂質、又は糖質などを添加することにより、製造されたエクソソームにそれらの成分を含有させることができる。例えば、細胞質成分を添加することによりリシール効率が上昇する。また、リシール後の細胞の生存率が向上する。従って、エクソソームの効率的な産生のために、外来成分として細胞質成分を添加することが好ましい。
前記外来成分の分子量は、エクソソームに取り込まれる限りにおいて限定されるものではないが、上限は500万であり、好ましくは50万であり、より好ましくは10万であり、更に好ましくは6万であり、最も好ましくは3,000である。分子量の下限は限定されるものではないが、低分子1分子、例えばアミノ酸1分子でもよい。

【0019】
前記タンパク質としては、蛍光タンパク質(例えば、GFP、DsRed、又は改変GFP、DsRed(例えば、Sirius、EBFP、SBP2、EBP2、Azurite、mKalama1、TagBFP、mBlueberry、mTurquoise、ECFP、Cerulean、mCerulean、TagCFP、AmCyan、mTP1、MiCy(Midoriishi Cyan)、TurboGFP、CFP、AcGFP、TagGFP、AG(Azami-Green)、mAG1、ZsGreen、EmGFP(Emerald)、EGFP、GP2、T-Sapphire、HyPer、TagYFP、mAmetrine、EYFP、YFP、Venus、Citrine、PhiYFP、PhiYFP-m、turboYFP、ZsYellow、mBanana、mKO1、KO(Kusabira Orange)、mOrange、mOrange2、mKO2、Keima570、TurboRFP、DsRed-Express、DsRed2、TagRFP、TagRFP-T、DsRed-Monomer、mApple、AsRed2、mStrawberry、TurboFP602、mRP1、JRed、KillerRed、mCherry、KeimaRed、HcRed、mRasberry、mKate2、TagFP635、mPlum、egFP650、Neptune、又はmNeptune))、抗体、機能性ペプチド、又は合成ペプチドが挙げられる。
前記核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA、例えばメッセンジャーRNA、トランスファーRNA、又はリボゾームRNA)、又は機能性核酸(例えば、miRNA、siRNA、shRNA、lincRNA、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、リボザイム、DNAエンザイム、モレキュラー・ビーコン、リボスイッチ、U1アダプター、人工染色体、人工DNA、又はアプタマー)が挙げられる。
前記低分子化合物としては、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Terrettら,J.Steele.Tetrahedron,第51巻,第8135-8173頁,1995年)によって得られた化合物が挙げられる。
前記蛍光色素としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、オレゴングリーン、トーキョーグリーン、カルボキシフルオレセイン、又はカルボキシフルオレセインジアセテートが挙げられる。

【0020】
工程(b)におけるインキュベーションの温度は、細胞外の成分が細胞内へ移行できる限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば4℃~50℃であり、好ましくは15~45℃であり、より好ましくは25~42℃であり、最も好ましくは30~40℃である。
インキュベーション時間も、細胞外の成分が細胞内へ移行できる限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば1~120分であり、好ましくは3~60分であり、より好ましくは5~40分であり、最も好ましくは10~30分である。

【0021】
《工程(c)》
工程(c)においては、カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする。本工程は、カルシウムイオンによって、細胞に形成された孔を塞ぐ工程である。すなわち、セミインタクト細胞をリシールする工程である。
添加するカルシウムイオンとしては、限定されるものではなく、カルシウム塩を用いることができる。具体的には、例えばCaCl2を用いることができる。カルシウムイオン濃度は、細胞がリシールされる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば0.1~10mMであり、好ましくは0.2~5mMであり、より好ましくは0.3~2mMである。
工程(c)におけるインキュベーションの温度は、細胞の孔が塞がれる限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば25℃~50℃であり、好ましくは30~45℃であり、より好ましくは35~40℃である。
インキュベーション時間も、細胞の孔が塞がれる限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば1~30分であり、好ましくは2~15分であり、より好ましくは3~10分である。

【0022】
工程(c)においては、工程(a)~工程(c)のストレス緩和のために、例えば37℃、5%CO2存在下で、2時間程度、培養することが好ましい。前記培養温度、CO2濃度、及び培養時間は、用いる細胞等によって、適宜調整することができる。
更に、工程(c)においては、エクソソームの効率的な生成のために、細胞の培養を行うことが好ましい。例えば、培養温度は、好ましくは25~40℃程度であり、培養時間は、好ましくは1~96時間であり、より好ましくは12~72時間であり、更に好ましくは24~60時間である。培養温度、培養時間、CO2濃度などの培養条件は、細胞の種類、又は細胞の状態などに応じて、適宜変更することができる。
また、培養に用いる培地も細胞の種類等に応じて適宜選択することができるが、ウシなどの血清由来のエクソソームの混入を防ぐために、血清フリーの培地を使用することが好ましい。

【0023】
エクソソームの生成のための培養時に、細胞にストレスを付与することにより、エクソソームの産生量を増加させることができる。本発明の製造方法においては、工程(a)、(b)、及び(c)によって、細胞に穿孔し、細胞外の液を流入させ、孔を塞ぐセミインタクト細胞リシール法(以下、リシール法と称することがある)を実施している。このリシール法による細胞へのストレスにより、リシール法を実施していない細胞と比較して、エクソソームの生成を増加させることができる。
このリシール法による細胞へのストレスに加えて、前記培養時に細胞にストレスを付与することにより、エクソソームの産生量を増加させることができる。細胞へのストレスとしては、エクソソームの産生量が増加する限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば小胞体ストレス、老化誘導、低酸素ストレス、放射線暴露、又はシスプラチン処理が挙げられる。
前記小胞体ストレス(ERストレス)とは、正常な高次構造に折り畳まれなかったタンパク質(変性タンパク質;unfolded protein)が小胞体に蓄積し、それにより細胞への悪影響(ストレス)が生じることである。具体的には、ツニカマイシン(Tunicamycin)、タプシガルギン(Thapsigargin)、又はジチオスレトール(DTT)を培地に添加することにより、小胞体ストレスを細胞に付与することができる。ツニカマイシン、タプシガルギン、又はジチオスレトールの添加量は、特に限定されるものではなく、細胞の種類等に従って、適宜決定することができるが、例えばツニカマイシンは、5μg/mLの濃度で培地に添加することによって小胞体ストレスを付与できる。

【0024】
前記老化ストレスとは、細胞の老化を誘導するストレスである。具体的には、プロジェリンの発現、細胞周期の停止、がん化(Ras過剰発現)、シスプラチンなどの老化誘導剤による処理、高継代回数、放射線曝露、酸化ストレス、ERストレス、又は熱ショックによって、老化を誘導することができる。

【0025】
前記低酸素ストレスとは、細胞を低酸素状態に置くことによって生じるストレスである。通常、細胞培養においては、20%の酸素濃度で培養するが、例えば0.05%~5%、より好ましくは0.1~1%の酸素濃度で培養することによって、低酸素ストレスを細胞に付与することができる。低酸素ストレスを付与できる酸素濃度は、細胞の種類又は細胞の状態に応じて、適宜変更することができる。

【0026】
《工程(d)》
工程(d)においては、培地からエクソソームを精製する。前記工程(a)~(c)によって、細胞外の培地中にエクソソームが分泌される。本工程においては、分泌されたエクソソームを濃縮などの方法により精製する。
得られたエクソソームの大部分は、50~150nmの直径の粒子であり、1.11~1.19g/mLの密度を有している。このようなエクソソームの物性を利用して、エクソソームを精製することができる。
具体的な精製方法として、超遠心法、密度こう配遠心法、ポリマー沈殿法、フローサイトメーター法、カラム、又は限外濾過法が挙げられる。
超遠心法としては、得られた培養上清から、低速遠心(例えば、2,000xg)により細胞のデブリスなどを除去する。得られた上清を、0.22μm程度のフィルターを通過させ、1μm程度の粒径のマイクロベシクルを除去する。得られた上清を、例えば100,000xgで超遠心し、エクソソームを回収する。回収したエクソソームは、再び100,000xgで超遠心し、再精製してもよい。
密度こう配遠心としては、ショ糖密度こう配遠心法によって行ってもよく、市販の密度こう配遠心に用いる試薬を用いて行ってもよい。超遠心法と同じように、上清から低速遠心によって細胞のデブリスを除去し、密度こう配遠心を実施することができる。
ポリマー沈殿としては、ポリエチレングリコール(PEG)などを添加して溶解度を下げ、エクソソームを沈殿させることができる。市販のキットとして、Total exosome isolation kit,Exo quickを用いてもよい。液体の試薬とサンプルを混合し、20,000xg以下で遠心し、沈殿を懸濁することでエクソソームを回収することができる。
フローサイトメーターとしては、PKH26などの膜染色試薬を用いてエクソソームを非特異的に染色するか、蛍光抗体法でエクソソームの表面抗原を特異的に染色し、フローサイトメーターでエクソソームを回収することができる。更に、FITC、又は蛍光タンパク質を含んだエクソソームをフローサイトメーターで回収することができる。
カラムとしては、分子量で分離する限外濾過法、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、又はエクソソームに対する抗体を固相化したアフィニティーカラムを用いることができる。
限外濾過法としては、50~150nmの粒子を分離できるフィルターを用いることによって、エクソソームを精製することができる。例えば、0.22μmのフィルターを用いることにより、1μm程度の粒径のマイクロベシクルを除去し、220nm未満のエクソソームを得ることができる。

【0027】
[2]エクソソーム
本発明のエクソソームは、前記エクソソームの製造方法によって得ることができる。本発明のエクソソームの製造方法によって得られたエクソソームは、細胞外の液が細胞質内に流入し、そしてエクソソームに細胞外の液が含まれるため、リシール法を用いずに得られたエクソソームとはその組成が異なる。例えば、穿孔活性を持つ生物毒素により、細胞膜を穿孔するが、若干の生物毒素が細胞内に流入し、エクソソームに含まれることがある。また、CD63の発現量、HPS70の発現量、及び/又はTSG101の発現量が、リシール法を用いずに得られたエクソソームと異なることがある。また、本発明のエクソソームは、コレステロールの含有量が、通常のエクソソームと異なる可能性がある。更に、工程(b)において、外来成分を添加することによって、エクソソームが外来成分を含むことがある。

【0028】
《作用》
本発明の製造方法により得られるエクソソームには、外来成分を含有させることができる。そのメカニズムは、詳細に調べられているわけではないが、以下のように推定される。しかしながら、本発明は以下の推定によって限定されるものではない。
例えば、細胞質成分に可溶するHSPファミリーやGAPDHなどのタンパク質は拡散によって取り込まれると考えられる。更に、外来成分であるデキストラン、BSAなどの生理的に不活性な物質も拡散によってエクソソームに取り込まれると考えられる。
穿孔活性を持つ生物毒素によって形成される孔は30nm程度であるが、融合によって200nm程度の孔が形成されることもある。従って、孔を通過できる外来成分であれば、拡散などによって細胞質内に導入され、エクソソームに含有されることができると推定される。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0030】
《実施例1》
本実施例では、本発明の製造方法で、HeLa細胞を用いてエクソソームを作製し、粒子径分布及び粒子数を測定した。
HeLa細胞を10%FCS含有D-MEM培地で、100%コンフルエントになるまで培養し、PBSにより洗浄した。無血清D-MEMでSLOを10,000倍に希釈し、0.1μg/mLのSLOを含むD-MEMを、1mL細胞に添加し、氷上で5分間静置した。PBSにより洗浄後、2mMのEGTAを含むTransport buffer(25mM HEPES-KOH(pH7.4)、0.115M CH3COOK、2.5mM MgCl2)を1mL加えた後、37℃で10分間静置した。
【実施例】
【0031】
次に、Transport bufferにより洗浄後、タンパク質濃度が3mg/mLのL5178Y細胞質(1mMATP、1mMGTP、1mg/mLのGlucose、0.05mg/mLのcreatine kinase、2.62mg/mLのcreatine phosphate、0.25Mのsucrose)を1mL添加し、37℃で20分間作用させた。
【実施例】
【0032】
次に、1mMのCaCl2を添加し、37℃で5分間作用させることにより、リシールした。リシール細胞作製時のストレス緩和のために37℃、5%CO2存在下で、2時間培養し、培地交換を行った。
5mLの牛由来エクソソームを含まない10%FCS含有D-MEMを用い、37℃で12時間培養した。このとき、小胞体ストレスを付与するため、5μg/mLとなるようにツニカマイシンを、培地に添加した。小胞体ストレスなしのコントロールとして、同量のDMSOを培地に添加した。
【実施例】
【0033】
得られた培養上清から、遠心分離によりエクソソームを回収した。5mLの培養上清を、2,000xgで10分間、遠心分離し、細胞デブリスを除去した。得られた上清を、0.22μmのフィルターでろ過し、1μm程度のマイクロベジクルを除去した。得られた上清を100,000xgで70分間、遠心し、上清を捨てた。12mLのPBSで再懸濁し、100,000xgで70分間、再度遠心した。沈殿を50μLのPBSに懸濁し、エクソソームを回収した。
得られたエクソソームの粒子径分布と粒子数とを、qNano(Izon社)を用いて測定した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0034】
《比較例1》
本比較例では、リシール法を行わずに、HeLa細胞からエクソソームを回収し、粒子径分布及び粒子数を測定した。
本発明の工程(a)~(c)を実施していないHeLa細胞を、1mLの牛由来エクソソームを含まない10%FCS含有D-MEMで、37℃で12時間培養した。このとき、小胞体ストレスを付与するため、5μg/mLとなるようにTunicamycinを、培地に添加した。小胞体ストレスなしのコントロールとして、同量のDMSOを培地に添加した。
次に、前記実施例1と同様に、遠心分離によってエクソソームを回収した。得られたエクソソームの粒子径分布と粒子数とを、qNano(Izon社)を用いて測定した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0035】
図2に示すように、実施例1において得られたエクソソームにおいて、ERストレス曝露群(ツニカマイシン添加)は、対照群(DMSO添加)と比較してエクソソーム数が増加していた。すなわち、ERストレスにより、エクソソーム分泌応答が起こることが分かった。
また、比較例1において得られたエクソソーム数と比較して、実施例1で得られたエクソソーム数が増加していた。従って、本発明の製造方法により、エクソソーム数が増加すると考えられた。
【実施例】
【0036】
《実施例2及び比較例2》
本実施例では、エクソソームに蛍光標識デキストランを取り込ませ、超解像顕微鏡により、膜タンパク質を解析した。
L5178Y細胞質に、CF568が付加されたデキストラン(分子量10,000)を添加したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、リシール細胞を作製した。リシール細胞作製時のストレス緩和のために、37℃、5%CO2存在下で、2時間培養した。得られた細胞を固定し、CD63抗体を用いて蛍光抗体法を行った。また、比較例2として、SLO処理をしていないHeLa細胞についても、CD63抗体を用いて蛍光抗体法を行った。
超解像顕微鏡N-STORM(ニコン社)で観察したところ、リシール細胞では、10kDa CF568標識デキストラン(緑)はCD63(赤)に取り囲まれている様子が観察できた(図3、「+SLO」(インセットは四角部分の拡大図)および図4、「+SLO」)。それに対し、SLO処理していないインタクト細胞では、CF568標識デキストランは近傍でCD63のシグナルと一部重なることはあるものの(図4、「-SLO」)、囲まれることはなかった(図3、「-SLO」)。リシール細胞ではCF568標識デキストランが細胞質中にあり、それがエクソソーム内へと移行し、その結果CD63に囲まれたデキストランの像が得られたと考えられる(図4(B)、3(緑):CF568標識デキストランを含む細胞質、4(赤):CD63)。インタクト細胞ではCF568標識デキストランは細胞質には存在せず、同様な構造が観察されなかった(図4(A)、1(青):細胞質、2(赤):CD63)。
このことから、細胞質成分がILVに取り込まれることがわかった。
【実施例】
【0037】
《実施例3及び比較例3》
本実施例及び比較例では、エクソソームに含まれるタンパク質であるCD63、ESCRT関連膜タンパク質TSG101、HSP70Aをウエスタンブロッティングで解析した。コントロールとして、ERに局在するCalnexinを検出した。また、外来成分であるFITCについても、ウエスタンブロッティングで解析した。
L5178Y細胞質にFITCが付加されたBSA(BSA-FITC)を添加したこと、及びFBSを含まない無血清D-MEMでの培養を48時間としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返し、エクソソームを回収した。BSA-FITCはリシール操作により細胞質へと導入できたことを蛍光顕微鏡観察により確認した(図5、「BSA-FITC標識リシール細胞」)。また、比較例1の操作を繰り返し、エクソソームを回収した。
インタクト細胞、リシール細胞、又はそれらの細胞から得られたエクソソームをRIPA bufferで溶解後、6×Sample bufferを混合し、100℃で5分間煮沸した。続いて、SDS-PAGEによりタンパク質を泳動分離した。次に、セミドライブロッティング法によりゲル中のタンパク質を予め親水化させたPVDFメンブレンへ転写した。このメンブレンを5%BSAでブロッキング後、エクソソームマーカータンパク質、ネガティブコントロールであるCalnexin、又はFITCに対する1次抗体を反応させ、そして2次抗体を反応させた。
Amersham Imager 600を用いてメンブレン上のターゲットバンドを検出した結果、図5に示すように、細胞ライセートおよびエクソソームとも、リシール細胞(実施例3)にのみBSA-FITCのバンドが検出された(図5、左下図、赤四角で囲まれたバンド)。このことはBSA-FITCは細胞内のみならず、エクソソームにまで取り込まれ、リシール細胞で貨物が改変されたエクソソームが分泌されることを意味する。また、エクソソームマーカーに対する抗体を用いたWestern blottingの結果では、エクソソームマーカーであるCD63、HSP70、及びTSG101は、インタクト細胞(比較例3)及びリシール細胞(実施例3)いずれから調製されたエクソソームでも検出された(図5、右下図、α-CD63、α-HSP70、α-TSG101)。ネガティブコントロールであるCalnexinはいずれの場合も細胞ライセートにはあるが、エクソソームには存在しなかった(図5、右下図、α-Calnexin)。以上のことから、リシール細胞由来のエクソソームはインタクト細胞と同様エクソソームマーカーを含むものであり、細胞膜がちぎれて出来た小胞や細胞のデブリが主成分ではないことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の製造方法によって得られたエクソソームは、任意のタンパク質、脂質、糖質、又は核酸をエクソソームに含有することができる。従って、本発明の製造方法によって得られたエクソソームは、例えばドラッグデリバリーに用いることができる。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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