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明細書 :X線CT装置、電子密度及び実効原子番号の測定方法、CT検査方法、検査方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年7月11日(2019.7.11)
発明の名称または考案の名称 X線CT装置、電子密度及び実効原子番号の測定方法、CT検査方法、検査方法
国際特許分類 A61B   6/03        (2006.01)
G01N  23/046       (2018.01)
G01N  23/18        (2018.01)
FI A61B 6/03 350Z
G01N 23/046
G01N 23/18
A61B 6/03 F
A61B 6/03 373
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 26
出願番号 特願2018-542666 (P2018-542666)
国際出願番号 PCT/JP2017/035026
国際公開番号 WO2018/062308
国際出願日 平成29年9月27日(2017.9.27)
国際公開日 平成30年4月5日(2018.4.5)
優先権出願番号 2016190218
優先日 平成28年9月28日(2016.9.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】櫻井 浩
【氏名】取越 正己
【氏名】砂口 尚輝
【氏名】金井 達明
【氏名】長尾 明恵
【氏名】イ ソン ヒョン
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G001
4C093
Fターム 2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001FA18
2G001KA01
2G001LA01
4C093AA22
4C093CA50
4C093EA07
4C093EA12
4C093EB22
4C093FA15
4C093FA59
4C093GA02
要約 光源部のX線光源から照射されて被測定物を透過したX線を検出したデータを処理する処理部を備え、処理部は、2種類以上の校正用治具を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定したデータから各校正用治具の各エネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、求めた各校正用治具の吸収係数から、下記数式(3)に基づいて各エネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)を算出し、測定対象を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定したデータから、測定対象の各エネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、測定対象の各エネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)と各エネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)から、下記数式(4)に基づいて測定対象の電子密度ρ及び実効原子番号Zを算出するX線CT装置を構成する。
JP2018062308A1_000016t.gif
JP2018062308A1_000017t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
X線光源を有し、複数のエネルギー領域のX線を被測定物に照射することが可能な光源部と、
前記光源部の前記X線光源から照射されて前記被測定物を透過したX線を検出する検出部と、
前記検出部で検出したX線のデータを処理する処理部を備え、
前記処理部は、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、各前記校正用治具を前記複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、各前記校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、各前記校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)から、下記数式(3)に基づいて、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)を算出し、
JP2018062308A1_000012t.gif[数式(3)において、ρは前記校正用治具の電子密度を示し、Zは前記校正用治具の実効原子番号を示す。]
さらに、前記処理部は、測定対象を前記複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、前記測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、前記測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)と、それぞれのエネルギー領域kにおける前記校正係数F(k),G(k)とから、下記数式(4)に基づいて、前記測定対象の電子密度ρ及び実効原子番号Zを算出する
JP2018062308A1_000013t.gif[数式(4)において、ρは前記測定対象の電子密度を示し、Zは前記測定対象の実効原子番号を示す。]
X線CT装置。
【請求項2】
前記校正用治具と前記測定対象を切り替える、切り替え機構を有する請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記切り替え機構は、前記校正用治具と前記測定対象を自動的に切り替えるように制御される請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記光源部の前記X線光源は、前記複数のエネルギー領域にわたるスペクトルを有する連続X線を照射する構成であり、前記検出部は、X線を特定のエネルギー領域ごとに弁別して検出する構成である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項5】
X線CT装置を用いて、測定対象の電子密度及び実効原子番号を測定する方法であって、
均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、前記X線CT装置により、各前記校正用治具を、複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して、各前記校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、
各前記校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)から、下記数式(3)に基づいて、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)を算出し、
JP2018062308A1_000014t.gif[数式(3)において、ρは前記校正用治具の電子密度を示し、Zは前記校正用治具の実効原子番号を示す。]
前記X線CT装置により、測定対象を、前記複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して、前記測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、
前記測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)と、それぞれのエネルギー領域kにおける前記校正係数F(k),G(k)とから、下記数式(4)に基づいて、前記測定対象の電子密度ρ及び実効原子番号Zを算出する
JP2018062308A1_000015t.gif[数式(4)において、ρは前記測定対象の電子密度を示し、Zは前記測定対象の実効原子番号を示す。]
電子密度及び実効原子番号の測定方法。
【請求項6】
前記X線CT装置が、X線光源から前記複数のエネルギー領域にわたるスペクトルを有する連続X線を被測定物に照射し、前記被測定物を透過したX線を特定のエネルギー領域ごとに弁別して検出する構成である、請求項5に記載の電子密度及び実効原子番号の測定方法。
【請求項7】
前記X線CT装置が、前記校正用治具を取り出すことが可能な構成である、請求項5又は請求項6に記載の電子密度及び実効原子番号の測定方法。
【請求項8】
前記校正用治具に、カーボン、マグネシウム、アルミニウムから選ばれる物質を使用する請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の電子密度及び実効原子番号の測定方法。
【請求項9】
人体の被検体に対してCT検査を行うCT検査方法であって、
請求項5~請求項8のいずれか1項に記載の電子密度及び実効原子番号の測定方法において、前記測定対象を前記被検体として、前記被検体の前記電子密度及び前記実効原子番号を測定し、
測定した前記被検体の前記電子密度及び前記実効原子番号に基づいて、前記被検体の内部の電子密度マップを得る
CT検査方法。
【請求項10】
物体を検査して、前記物体における爆発物の有無を検知する検査方法であって、
請求項5~請求項8のいずれか1項に記載の電子密度及び実効原子番号の測定方法において、前記測定対象を前記物体として、前記物体の前記電子密度及び前記実効原子番号を測定し、
測定した前記物体の前記電子密度及び前記実効原子番号に基づいて、前記物体の内部の物質を特定することにより、前記爆発物の有無を検知する
検査方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置、並びに、X線CT装置を用いた電子密度及び実効原子番号の測定方法に関する。また、X線CT装置を用いた被検体のCT検査方法、X線CT装置を用いて物体の内部の爆発物の有無等を検査する検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がんの診断において、CT検査は不可欠である。
CTの情報は、画像診断だけでなく、更にがんの放射線治療において、治療の質を左右する治療計画に必要不可欠な情報を与える。
CTの画像は、被写体の減弱の大きさから得られるCT値が基本となって構成されている。
X線治療計画においては、CT値-電子密度変換表を用いてCT値が電子密度に変換され、その電子密度の情報に基づいて、X線または重粒子線の治療計画が立てられる。
【0003】
重粒子線治療においては、治療計画立案にあたり、水等価な部位で±1%以下、肺等の臓器で±2%以下の精度で電子密度分布を求めるよう提案されている(IPEM81)。
また、X線照射治療(定位放射線治療(SRT)、強度変調放射線治療(IMRT))においては、±3%の精度で電子密度を求めるよう提案されている(日本放射線技術学会、(京都)、2003年)。
しかし、研究調査によれば(非特許文献1を参照)、日本国内の200以上の施設において、CT値-電子密度変換表の数値にばらつきが大きく、平均で±6%、平均値からのずれは最大で25%であることが報告されており、現状の技術ではその定量性は必ずしも十分ではない。
【0004】
CT値-電子密度変換表の数値のばらつきに対する解決法として、2種類のエネルギーのX線を用いる2色X線CT(Dual Source CT)、あるいは、X線のエネルギー情報を用いてCT画像を撮影するPhoton Counting CTが提案されている。
そして、特許文献1~特許文献11においては、Photon Counting CTの装置構成とデータの再構成プログラムに関する技術が述べられている。
【0005】
また、特許文献12に記載された装置を用いて、特許文献13に記載された装置及びプログラムを利用することで、CT値から電子密度・実効原子番号を求める手法が述べられている。また、同じ発明者による学術文献(非特許文献2を参照)には、実施例が掲載されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2016-32635号公報
【特許文献2】特開2016-16130号公報
【特許文献3】特開2015-223350号公報
【特許文献4】特開2015-180859号公報
【特許文献5】特開2015-160135号公報
【特許文献6】特開2015-144809号公報
【特許文献7】特開2015-144808号公報
【特許文献8】特開2015-62657号公報
【特許文献9】特開2015-131028号公報
【特許文献10】特開2014-140707号公報
【特許文献11】特開2014-128456号公報
【特許文献12】特開2007-271468号公報
【特許文献13】特開2009-53090号公報
【0007】

【非特許文献1】松田外、日本放射線技術学会誌、63巻、2008年、p.888
【非特許文献2】W. Zou et al, JJAP47, pp. 7317-7323(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1~特許文献11に開示された、Photon Counting CTの装置構成とデータの再構成プログラムに関する技術では、CT値から高精度に電子密度を取得する方法については解決されていない。
【0009】
また、特許文献13及び非特許文献2に開示された手法は、非特許文献2に記載された実施例の電子密度の測定誤差は10%程度であり、電子密度の測定精度に関しては従来のX線CTと比較して進歩性はない。これは、実際の測定におけるバックグラウンド、多重散乱等複数の要因に起因する誤差が含まれているためである。
【0010】
また、患者の治療目的以外の用途、例えば、荷物検査等の測定対象の材質を識別する用途や、被測定物の亀裂や欠陥等を検査する用途においても、高精度に電子密度を取得することが必要になる場合がある。
【0011】
上述した課題に対して、本発明は、測定対象(被検体、その他の物体)の内部の電子密度及び実効原子番号を高精度で推定することができる、X線CT装置、並びに、X線CT装置を用いた電子密度及び実効原子番号の測定方法を提供するものである。また、本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法を適用した、CT検査方法、検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のX線CT装置は、X線光源を有し、複数のエネルギー領域のX線を被測定物に照射することが可能な光源部と、光源部のX線光源から照射されて被測定物を透過したX線を検出する検出部と、検出部で検出したX線のデータを処理する処理部を備えている。そして、処理部は、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、各校正用治具を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)から、下記数式(3)に基づいて、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)を算出する。
【0013】
【数1】
JP2018062308A1_000003t.gif
[数式(3)において、ρは校正用治具の電子密度を示し、Zは校正用治具の実効原子番号を示す。]
【0014】
さらに、処理部は、測定対象を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)と、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)とから、下記数式(4)に基づいて、測定対象の電子密度ρ及び実効原子番号Zを算出する。
【0015】
【数2】
JP2018062308A1_000004t.gif
[数式(4)において、ρは測定対象の電子密度を示し、Zは測定対象の実効原子番号を示す。]
【0016】
本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法は、X線CT装置を用いて、測定対象の電子密度及び実効原子番号を測定する方法であって、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、X線CT装置により、各校正用治具を、複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求める。そして、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)から、下記数式(3)に基づいて、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)を算出する。
【0017】
【数3】
JP2018062308A1_000005t.gif
[数式(3)において、ρは校正用治具の電子密度を示し、Zは校正用治具の実効原子番号を示す。]
【0018】
さらに、X線CT装置により、測定対象を、複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を求め、測定対象のそれぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)と、それぞれのエネルギー領域kにおける校正係数F(k),G(k)とから、下記数式(4)に基づいて、測定対象の電子密度ρ及び実効原子番号Zを算出する。
【0019】
【数4】
JP2018062308A1_000006t.gif
[数式(4)において、ρは測定対象の電子密度を示し、Zは測定対象の実効原子番号を示す。]
【0020】
本発明のCT検査方法は、人体の被検体に対してCT検査を行うCT検査方法であって、上記本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法において、測定対象を被検体として、被検体の電子密度及び実効原子番号を測定し、測定した被検体の電子密度及び実効原子番号に基づいて、被検体の内部の電子密度マップを得るものである。
【0021】
本発明の検査方法は、物体を検査して、その物体における爆発物の有無を検知する検査方法であって、上記本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法において、測定対象を物体として、物体の電子密度及び実効原子番号を測定し、測定した物体の電子密度及び実効原子番号に基づいて、物体の内部の物質を特定することにより、爆発物の有無を検知するものである。
【発明の効果】
【0022】
上述の本発明によれば、校正用治具を測定して得られる校正係数を用いて、測定対象の実測値に対して校正を行うので、実測値に含まれるバックグラウンド、多重散乱等複数の誤差要因を同時に消去し、測定対象の電子密度および実効原子番号を高精度で算出することができる。
【0023】
本発明のCT検査方法によれば、測定対象である被検体の電子密度および実効原子番号を高精度で算出することができるので、高い精度の人体の電子密度マップを得ることができ、治療計画時に、より高精度な飛程計算を推定することが可能となる。
従って、X線治療や重粒子線治療の際の照射精度の向上を図ることができる。
【0024】
本発明の検査方法によれば、測定対象である物体の実効原子番号と電子密度を高い精度で算出することができるので、測定対象の内部に存在する物質を位置精度良く検出することが可能になり、爆発物の有無を精度良く検知することができる。
従って、本発明の検査方法を、手荷物や貨物の検査に適用すれば、高い精度の検査を行うことが可能になる。
【0025】
また、本発明のX線CT装置や、本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法を、被検体以外の物体の検査に適用した場合には、測定対象の物体の実効原子番号と電子密度を高い精度で算出することができるので、物体の内部に存在する、物質(例えば、危険物、腐食物)や欠陥等を、位置精度良く検出することが可能になる。
従って、本発明のX線CT装置や本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法を、製品の不良の有無の検査等に適用すれば、高い精度の検査を行うことが可能になる。
【0026】
また、本発明によれば、予め校正用治具の測定によって算出した校正係数を用いて、測定対象の電子密度の算出を行うので、逐次近似を行っていた場合等の従来の手法と比較して、電子密度の算出の際の計算量を大幅に少なくすることができる。これにより、短い時間で電子密度の算出を行うことが可能になり、また大型のコンピュータを使用する必要が無くなり、パーソナルコンピュータ等でも算出を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のX線CT装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】図1のX線CT装置における校正係数及び電子密度及び実効原子番号を算出する過程を説明するフローチャートである。
【図3】本発明のX線CT装置の他の実施の形態の概略構成図である。
【図4】実施例の測定に用いたX線CT装置の概略構成図である。
【図5】A~D 実施例の測定結果から校正係数を算出した結果を示す図である。
【図6】A~C 実施例において、電子密度と実効原子番号を算出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要と原理について説明する。

【0029】
本発明のX線CT(Computed Tomography)装置(以下、「本発明の装置」とも略す)は、X線光源を有し、複数のエネルギー領域のX線を被測定物に照射することが可能な光源部と、光源部のX線光源から照射されて被測定物を透過したX線を検出する検出部と、検出部で検出したX線のデータを処理する処理部を備えている。そして、処理部は、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、各校正用治具を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数を求め、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数から、それぞれのエネルギー領域における校正係数を算出し、測定対象を複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して検出したデータから、測定対象のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数を求め、測定対象のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数と、それぞれのエネルギー領域における校正係数とから、測定対象の電子密度及び実効原子番号を算出するものである。

【0030】
本発明の電子密度及び実効原子番号の測定方法(以下、「本発明の測定方法」とも略す)は、X線CT装置を用いて、測定対象の電子密度及び実効原子番号を測定する方法である。そして、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、単一元素又は化合物により構成された校正用治具を2種類以上使用して、X線CT装置により、各校正用治具を、複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数を求め、各校正用治具のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数から、それぞれのエネルギー領域の校正係数を算出し、X線CT装置により、測定対象を、複数のエネルギー領域でそれぞれ測定して測定対象のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数を求め、測定対象のそれぞれのエネルギー領域における吸収係数と、それぞれのエネルギー領域における校正係数とから、測定対象の電子密度及び実効原子番号を算出する。

【0031】
本発明のCT検査方法は、人体の被検体に対してCT検査を行うCT検査方法であって、本発明の測定方法において、測定対象を被検体として、被検体の電子密度及び実効原子番号を測定し、測定した被検体の電子密度及び実効原子番号に基づいて、被検体の内部の電子密度マップを得る。

【0032】
本発明の検査方法は、物体を検査して、その物体における爆発物の有無を検知する検査方法であって、本発明の測定方法において、測定対象を物体として、物体の電子密度及び実効原子番号を測定し、測定した物体の電子密度及び実効原子番号に基づいて、物体の内部の物質を特定することにより、爆発物の有無を検知する。

【0033】
本発明の装置においては、基本的に、装置内に処理部を有している。処理部は、コンピュータプログラムにより、X線CT測定の際に検出部で検出されたデータの処理を行う。
そして、例えば、光源部と検出部を含む測定部に対して、測定部内に処理部を内蔵した構成、もしくは、測定部の外に処理部が付随している構成とすることができる。

【0034】
本発明の測定方法は、X線CT(Computed Tomography)装置を使用する。
本発明の測定方法が使用するX線CT装置としては、上述の本発明の装置、即ち、測定対象の電子密度及び実効原子番号の算出を行う処理部を備えたX線CT装置だけでなく、その他の構成のX線CT装置(例えば、従来公知のX線CT装置)を使用することも可能である。
そして、本発明の測定方法には、X線CT装置の外部で、測定対象の電子密度及び実効原子番号の算出等のデータの処理を行う場合も含まれる。例えば、X線CT装置が測定したデータを記憶媒体に記憶して、外部で記憶媒体に記憶したデータの処理を行うことや、外部の処理装置に有線又は無線によってデータを送信して処理を行うことや、データの処理をネットワーク上のプログラムによって処理を行うことも、可能である。

【0035】
本発明の装置及び本発明の測定方法において、X線CT装置は、複数(2つ以上)のエネルギー領域のX線を被測定物に照射して、被測定物を透過したX線をエネルギー領域毎に検出する。この条件を満たす限り、X線CT装置における、X線光源からX線を照射する光源部と、被測定物を透過したX線を検出する検出部のそれぞれの構成は、様々な構成を使用することが可能である。

【0036】
本発明の装置及び本発明の測定方法における、X線CT装置の光源部と検出部の組合せとしては、例えば、以下の(A)~(C)の構成が挙げられる。

【0037】
(A)光源部が、第1のエネルギーのX線を照射する第1のX線光源と、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーのX線を照射する第2のX線光源を少なくとも有する構成である。
検出部は、光源部の各X線光源に対して、それぞれ検出器を有する。
光源部の構成としては、例えば、特開平10-104175号公報の図3に開示されているように、第1のX線光源から高いエネルギーのX線束を照射し、第2のX線光源から低いエネルギーのX線束を照射する構成を採用することができる。
また、光源部が、互いにエネルギーの異なる3つ以上のX線光源を有していてもよい。
X線光源は、単色X線を照射する構成も、ある程度のエネルギー分布を有する連続X線を照射する構成も、いずれも可能である。X線光源を、ある程度の連続X線を照射する構成とする場合には、上述の「第1のエネルギー」及び「第2のエネルギー」を、「第1のエネルギー領域」及び「第2のエネルギー領域」と読み替える。
なお、(A)の構成では、照射するX線が単色X線のようにエネルギー分布が狭い方が、電子密度等の算出の精度を高くすることができる。

【0038】
(B)光源部が、X線光源に供給する加速電圧等の変更により、1つのX線光源から照射するX線のエネルギーを変更することが可能な構成である。
検出部は、光源部の1つのX線光源に対して検出器を有する。
1つのX線光源(X線管)に供給する加速電圧等を変更することにより、X線光源から照射するX線のエネルギーを変更する。そして、例えば、第1のエネルギーのX線の照射、第2のエネルギーのX線の照射、第3のエネルギーのX線の照射、という具合に、順次エネルギーの異なるX線の照射を行って、それぞれのエネルギーのX線による測定を行う。
X線光源は、単色X線を照射する構成も、ある程度のエネルギー分布を有する連続X線を照射する構成も、いずれも可能である。X線光源を、ある程度の連続X線を照射する構成とする場合には、上述の「X線のエネルギー」を、「X線のエネルギー領域」と読み替える。
なお、(B)の構成では、照射するX線が単色X線のようにエネルギー分布が狭い方が、電子密度等の算出の精度を高くすることができる。

【0039】
(C)光源部のX線光源から照射するX線のエネルギー分布のうち、検出部が2つ以上のエネルギー領域をエネルギー領域毎に弁別して検出する構成である(例えば、上記の特許文献13を参照)。
所謂フォトンカウンティングCT装置は、この構成を採用している。
光源部のX線光源は、連続X線を照射する構成とし、比較的広い範囲のエネルギー領域にわたるスペクトル分布を有することが望ましい。
この構成では、1回のX線照射で2つ以上のエネルギー領域の測定を同時に行えるため、被爆線量を少なくすることができる。また、単色X線ではなく、連続X線を使用するので、大がかりな設備を必要としない。
従って、この構成を採用した場合、病院等でも容易に設置することができる。
光源部と検出部を(C)の構成とする場合、光源部のX線光源や、検出部の検出器は、従来公知のフォトンカウンティングCT装置と同様の構成を採用することができる。

【0040】
なお、上述の(A)~(C)の各構成は、基本的な構成である。変形例として、例えば、それぞれの基本的な構成において、同一のエネルギーを照射するX線光源を複数個設けても良い。

【0041】
光源部を複数のX線光源で構成したときには、例えば、特許文献13に記載された構成(図2、図4等)と同様に、複数のX線光源によるX線の照射方向を互いに異ならせることも可能になる。
例えば、上述した(A)の構成において、複数のX線光源によるX線の照射方向を互いに異ならせることができる。
複数のX線光源によるX線の照射方向を互いに異ならせた場合には、複数のX線光源から同時にX線を照射して測定を行うことが可能である。

【0042】
本発明の装置及び本発明の測定方法では、標準物質となる、校正用治具を使用する。
そして、校正用治具としては、均質であり実効原子番号Zeffと電子密度ρが計算可能である、単一元素又は化合物により構成された物質を使用する。
校正用治具として使用する物質は、実効原子番号Zeffと電子密度ρが計算可能である限りにおいて、任意の元素又は化合物で構成された物質を使用することが可能である。
ただし、原子番号が大きくなると、算出される電子密度の誤差が大きくなるため、原子番号が1~30の範囲の元素で構成された物質を使用することが好ましい。

【0043】
いくつかの元素に関しては、その元素の既知の実効原子番号Zeff及び電子密度ρの理論値を使用することができる。
その他の元素や化合物に関しては、文献に記載されている計算式を用いて、実効原子番号Zeff及び電子密度ρを計算することができる。
実効原子番号Zeffの計算式は、例えば、Khan’s The Physics of Radiation Therapy, Faiz M. Khan, John P. Gibbons(Jr.), Lippincott Wiliams & Wikins, 2014 (p.78の式(6.4))に記載されている。
電子密度ρの計算式は、例えば、J Med Phys. 2009 Jul-Sep; 34(3):176-179. Doi: 10.4103/0971-6203.54853(Introduction中の最後の式)に記載されている。
例えば、カーボン、マグネシウム、アルミニウムから選ばれる物質を、校正用治具に使用することができる。これらカーボン、マグネシウム、アルミニウムは、従来校正用治具として使用されたことがない物質である。
また、校正用治具としては、液体等も可能ではあるが、なるべく常温で安定して固体の状態を保持することができる物質を使用することが望ましい。

【0044】
校正用治具の形状は、取り扱いや測定が容易である形状とすることが望ましい。例えば、四角柱状や円柱状等が挙げられる。
校正用治具の大きさについては、測定対象の物体の種類や、要求される電子密度の精度に対応して、適切な大きさを選定する。例えば、X線が透過する部分の厚さが数mm程度~数cm程度となるような大きさとする。

【0045】
続いて、本発明の原理について説明する。

【0046】
2種類以上のエネルギーkのX線を照射して、被測定物のX線の吸収係数を求めるとき、吸収係数μ(k)は、次式(1)で求められる(例えば、M. Torikoshi et al., Phys. Med. Boil, 48, 673, (2003)を参照)。
【数5】
JP2018062308A1_000007t.gif

【0047】
従来は、例えば、上記式(1)から、2つのエネルギーの単色X線で吸収係数μを測定して、吸収係数μの測定値と、原子番号Zの理論値を用いて、電子密度ρを求めていた。また、例えば、原子番号Zとして適当な値を入れることにより、逐次的に近似を行って、実効原子番号Zeffと電子密度ρを求めていた。
吸収係数μの測定値は、誤差やバックグラウンドを含んでいるため、吸収係数μの測定値と、原子番号Zの理論値とからでは、電子密度ρを精度良く求めることが難しい。
また、逐次的に近似を行うと、計算量が膨大になることから、計算に時間がかかり、パソコン等では計算処理が難しくなる。

【0048】
これに対して、本発明では、逐次的な近似等の従来の手法とは異なる手法により、測定対象の実効原子番号Zeffと電子密度ρを求める。
以下、本発明の手法を説明する。

【0049】
上記式(1)において、係数F,Gは原子番号依存性が小さいので、原子番号依存性がないと仮定する。
式(1)は、原子番号依存性がないと仮定すると、次の式(2)のように表される。
【数6】
JP2018062308A1_000008t.gif

【0050】
さらに、式(2)を変形すると、下記の式(3)となる。
【数7】
JP2018062308A1_000009t.gif

【0051】
ここで、均質で実効原子番号Zeffと電子密度ρが計算可能である、単一元素又は化合物により構成された物質を、2種類以上用いて、それぞれの物質について、複数(2つ以上)のエネルギーにおける吸収係数μを測定する。そして、式(3)がZに対して線形であることを利用すれば、あるエネルギーkにおいて、それぞれの物質の吸収係数μの測定値と原子番号Z及び電子密度ρの値(既知の理論値又は計算値)から、当該エネルギーkにおける、F(k)とG(k)が求められる。

【0052】
さらに、式(2)は、下記の式(4)のように変形できる。
【数8】
JP2018062308A1_000010t.gif

【0053】
複数(2つ以上)のエネルギーkで測定対象の吸収係数μ(k)を測定し、同じエネルギーkに対応するF(k),G(k)が予め求めてあれば、式(4)式がF(k)/G(k)に対して線形であることを利用して、測定対象の電子密度ρが求められる。

【0054】
本発明では、上述した原理に基づいて、前述したように、均質であり実効原子番号Zeffと電子密度ρが計算可能である、単一元素又は化合物により構成された物質を校正用治具として用い、この校正用治具を元素が異なる2種類以上用意する。
そして、予め、校正用治具の測定を行って、校正係数を求めておく。
その後、測定対象(被検体やその他の物体)の測定を行い、測定対象の測定値に対して、求めておいた校正係数を使用した校正を行って、測定対象の実効原子番号Zeff及び電子密度を求める。
以下、これらの手順をさらに詳しく説明する。

【0055】
まず、それぞれの校正用治具について、複数(2つ以上)のエネルギーkのそれぞれのエネルギーkにおいて、吸収係数μ(k)を測定して、それぞれのエネルギーkに対応するF(k)及びG(k)を求め、求めたF(k)及びG(k)を各エネルギーkの校正係数とする。
具体的には、式(3)がZに対して線形であるので、それぞれのエネルギーkにおいて、Zを横軸にして、μ/ρを縦軸にして、2種類以上の校正用治具の値をプロットする。プロットにより得られる直線の傾きと直線の切片から、当該エネルギーkにおける校正係数F(k)とG(k)を求めることができる。
このとき、直線を得るためには、2点以上のプロットが必要であるため、2種類以上の校正用治具を使用する。

【0056】
次に、複数(2つ以上)のエネルギーkのそれぞれのエネルギーkにおいて、測定対象(被検体やその他の物体)の吸収係数μ(k)を測定する。
そして、それぞれのエネルギーkにおける、測定対象の吸収係数μ(k)の測定値と、上述のようにして予め求めた校正係数F(k),G(k)を用いて、測定対象の電子密度ρを算出する。
具体的には、式(4)がF(k)/G(k)に対して線形であるので、F(k)/G(k)を横軸にして、μ(k)/G(k)を縦軸にして、2つ以上のエネルギーkの各エネルギーkの値をプロットする。プロットにより得られる直線の傾きからZρを求め、直線の切片からρを求める。そして、これらの値から、測定対象の電子密度ρと実効原子番号Zeffを求めることができる。
このとき、直線を得るためには、2点以上のプロットが必要であるため、複数(2つ以上)のエネルギーkで測定及び校正係数の算出を行う。

【0057】
本発明によれば、上述した手法を採用していることにより、測定対象の実効原子番号Zeffと電子密度ρを、高い精度で算出することが可能になる。

【0058】
本発明のCT検査方法によれば、測定対象である被検体の電子密度および実効原子番号を高精度で算出することができるので、高い精度の人体の電子密度マップを得ることができ、治療計画時に、より高精度な飛程計算を推定することが可能となる。
従って、X線治療や重粒子線治療の際の照射精度の向上を図ることができる。

【0059】
本発明の検査方法によれば、測定対象である物体の実効原子番号と電子密度を高い精度で算出することができるので、測定対象の内部に存在する物質を位置精度良く検出することが可能になり、爆発物の有無を精度良く検知することができる。
従って、本発明の検査方法を、手荷物や貨物の検査に適用すれば、高い精度の検査を行うことが可能になる。

【0060】
また、本発明の装置や本発明の測定方法を、被検体以外の物体の検査に適用した場合、測定対象の物体の実効原子番号と電子密度を高い精度で算出することが可能になるため、非破壊で、物体の内部に存在する、物質(例えば、危険物、腐食物)や欠陥等を、位置精度良く検出することが可能になる。
従って、本発明の装置や本発明の測定方法を、製品の不良の有無の検査等に適用すれば、高い精度の検査を行うことが可能になる。

【0061】
測定対象の吸収係数μを測定した場合、実測値には、バックグラウンドや多重散乱等の要因が含まれる。
従来のように、測定対象の測定値と原子番号の値から直接電子密度を求めると、バックグラウンドや多重散乱等の要因を十分に消去できず、電子密度の精度が悪化してしまう。
これに対して、本発明の手法を採用して、校正用治具を測定して得られる校正係数を用いて校正を行うことにより、実測値に含まれるバックグラウンド、多重散乱等複数の誤差要因を同時に消去し、電子密度および実効原子番号を高精度で算出することができる。

【0062】
また、本発明によれば、予め校正用治具の測定データから算出した校正係数を用いて、測定対象の電子密度の算出を行うので、逐次近似を行っていた場合等の従来の手法と比較して、電子密度の算出の際の計算量を大幅に少なくすることができる。これにより、短い時間で電子密度の算出を行うことが可能になり、また大型のコンピュータを使用する必要が無くなり、パーソナルコンピュータ等でも算出を行うことが可能になる。

【0063】
校正用治具の測定の頻度は、測定対象の1回の測定毎ではなくても良く、必要とされる精度にもよるが、X線管球の劣化やスペクトル状態のゆらぎなどを考慮して、高めの頻度(例えば、1日複数回~数日に1回程度)とすることが望ましい。
例えば、1日1回程度とすることができる。この場合、例えば、毎日の始業時に校正用治具の測定を行うことが考えられる。

【0064】
校正用治具の測定においては、測定対象を測定する位置と、同一の位置で測定を行うことが望ましい。同一の位置で測定することにより、光源からの距離による吸収係数の測定値への影響を排除することができる。
校正用治具の測定位置の精度は、要求される電子密度の精度にもよる。被検体を測定対象とする場合、例えば、20cm程度の被検体の患部に対して±1%(2mm程度)以内とすることが考えられる。

【0065】
本発明の装置及び本発明の測定方法において、操作者の手や装置外の機械等により、校正用治具の測定位置への設置と測定位置からの除去を行う構成も考えられるが、この構成では、校正用治具の測定が煩雑になる。
そこで、校正用治具の測定を容易に行うために、X線CT装置が、校正用治具の測定と被検体等の測定対象の測定とを切り替えるための、切り替え機構を有していることが望ましい。例えば、アームやスライダ等の切り替え機構によって校正用治具を出し入れして、校正用治具の測定と、測定対象の測定とを、切り替えて行うことができるようにする。
切り替え機構は、手動でスライダ等を動かして切り替えを行う構成や、ボタンを押すことにより切り替えが行われる構成も考えられるが、より好ましくは、コンピュータプログラム等の制御により、自動的に切り替えを行う構成とする。
例えば、前述した始業時に校正用の治具の測定を行う場合に、電源投入後、自動的に、校正用治具の測定位置への設置と、校正用治具の測定の測定と、校正用治具の収納が、順次行われるように、自動的に制御する構成とすれば良い。
校正用治具と測定対象とを切り替える切り替え機構を有する構成は、測定対象の電子密度及び実効原子番号の算出を行う処理部を備えた本発明のX線CT装置にも、当該処理部を備えていない、その他のX線CT装置(例えば、従来公知のX線CT装置)にも、適用することが可能である。
また、X線CT装置を、校正用治具を取り出すことが可能な構成とすることができる。

【0066】
続いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。

【0067】
本発明のX線CT装置の一実施の形態の概略構成図を、図1に示す。
本実施の形態は、測定対象を被検体としたX線CT装置に適用した場合である。

【0068】
図1に示すX線CT装置1は、X線透過強度測定部10と、電子密度及び実効原子番号校正システム部20の2つの部分から構成されている。X線透過強度測定部10は、本発明の装置の光源部と検出部を含む。電子密度及び実効原子番号校正システム部20は、本発明の装置の処理部を含む。

【0069】
X線透過強度測定部10は、X線光源11、スリット又はコリメータ12、寝台装置14、スリット又はコリメータ15、エネルギー弁別X線強度検出器16、データ収集部17を有する。
X線光源11の下に、スリット又はコリメータ12が配置され、X線光源11から下方にX線が照射される。
測定対象である被検体(患者P)30の下方に、スリット又はコリメータ15を介して、エネルギー弁別X線強度検出器16が配置されている。
データ収集部17は、エネルギー弁別X線強度検出器16に接続され、エネルギー弁別X線強度検出器16で検出したデータを収集する。
図1の下方に示すように、寝台装置14は、XYZθ精密自動ステージを有し、さらに図示しない切り替え機構が設けられている。切り替え機構により、図中矢印で示すように、校正用治具13と、被検体(患者P)30とを切り替えて、それぞれの測定を行うことができる。
校正用治具13は、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、標準物質となる単一元素又は化合物により構成された物質であり、異なる2種類以上用意されている。それぞれの校正用治具13を、切り替え機構で切り替えて、校正用治具13の測定が順次行われる。

【0070】
電子密度及び実効原子番号校正システム部20は、制御部21、校正部22、解析部23を有している。電子密度及び実効原子番号校正システム部20は、パーソナルコンピュータ等で構成され、コンピュータプログラムで動作する構成とする。校正部22及び解析部23は、本発明の装置の処理部に含まれる。
制御部21は、X線透過強度測定部10の、X線光源11、スリット又はコリメータ12、校正用治具13と被検体30の切り替え機構、データ収集部17の制御を行う。
校正部22は、X線透過強度測定部10のデータ収集部17で収集したデータから、校正係数の算出等を行う。
解析部23は、校正部22で算出した校正係数を適用して、電子密度及び実効原子番号の解析を行う。

【0071】
続いて、図1のX線CT装置1の動作を説明する。
図1のX線CT装置1における校正係数及び電子密度及び実効原子番号を算出する過程のフローチャートを、図2に示す。

【0072】
図2のフローチャートに示すように、ステップS1において、校正部22を用いた校正測定を開始する。
次に、ステップS2において、校正用治具13を、寝台装置14の被検体30の該当部(測定位置)に設置する。即ち、切り替え機構の動作により、校正用治具13を測定位置に設置する。

【0073】
次に、ステップS3において、校正用治具13のCT撮影を行う。即ち、X線光源11からX線を照射して、校正用治具13を透過したX線をエネルギー弁別X線検出器16で検出し、検出したデータをデータ収集部17で収集する。校正用治具13のCT撮影が終了したら、切り替え機構により校正用治具13を測定位置から除去して、所定の場所に収容する。

【0074】
なお、校正用治具13は2種類以上あるので、それぞれの校正用治具13について、校正用治具13の測定位置への設置、校正用治具13のCT撮影、撮影した校正用治具13の測定位置からの除去を繰り返す。

【0075】
次に、ステップS4において、吸収係数の取得を行う。即ち、データ収集部17で収集した、校正用治具13のデータから、校正部22において、吸収係数μ(k)を取得する。

【0076】
次に、ステップS5において、校正係数の算出を行う。即ち、校正部22において、吸収係数μ(k)と、各校正用治具13の実効原子番号Zeff及び電子密度ρの値(理論値又は計算値)とから、校正係数F(k),G(k)を算出する。

【0077】
次に、ステップS6において、解析部23を用いた被検体30の測定を開始する。
そして、ステップS7において、被検体(患者P)30を寝台装置14に設置する。

【0078】
次に、ステップS8において、被検体30のCT撮影を行う。即ち、X線光源11からX線を照射して、被検体30を透過したX線をエネルギー弁別X線検出器16で検出し、検出したデータをデータ収集部17で収集する。

【0079】
次に、ステップS9において、吸収係数の取得を行う。即ち、データ収集部17で収集した、被検体30のデータから、解析部23において、被検体30の吸収係数μ(k)を取得する。

【0080】
次に、ステップS10において、校正係数の適用を行う。即ち、被検体30の吸収係数μ(k)に、予めステップS5で算出した校正係数F(k),G(k)を適用する。

【0081】
次に、ステップS11において、電子密度・実効原子番号の解析を行う。即ち、解析部22において、被検体30の吸収係数μ(k)と校正係数F(k),G(k)とから、被検体30の電子密度ρと実効原子番号Zeffを解析する。

【0082】
その後、ステップS12において、他の被検体30を測定するか判断する。
他の被検体30を測定する場合には、ステップS6に戻って、他の被検体30の測定を行う。
他の被検体30を測定しない場合には、測定を終了する。

【0083】
このようにして、校正用治具13を用いて算出した校正係数F(k),G(k)によって、被検体30の測定値を校正することにより、被検体30の電子密度及び実効原子番号を高い精度で算出することができる。

【0084】
上述の本実施の形態によれば、校正用治具13の測定により取得された吸収係数から校正係数を算出し、被検体30の測定により取得された吸収係数に、校正係数を適用することにより、被検体30の実効原子番号及び電子密度を算出している。そのため、実測値に含まれるバックグラウンド、多重散乱等複数の誤差要因を同時に消去することができ、被検体30の実効原子番号Zeffと電子密度ρを、高い精度で算出することが可能になる。
これにより、高い精度の人体の電子密度マップを得ることができることから、治療計画時に、より高精度な飛程計算を推定することが可能となる。
従って、X線治療や重粒子線治療の際の照射精度の向上を図ることができる。

【0085】
また、予め校正用治具13の測定データから算出した校正係数を用いて、被検体30の電子密度の算出を行うので、逐次近似を行っていた場合等の従来の手法と比較して、電子密度の算出の際の計算量を大幅に少なくすることができる。これにより、短い時間で電子密度の算出を行うことが可能になり、また大型のコンピュータを使用する必要が無くなり、パーソナルコンピュータ等でも算出を行うことが可能になる。

【0086】
本発明のX線CT装置の他の実施の形態の概略構成図を、図3に示す。
本実施の形態は、測定対象を被検体以外の物体としたX線CT装置に適用した場合である。

【0087】
図3に示すX線CT装置40は、X線透過強度測定部50と、電子密度及び実効原子番号校正システム部60の2つの部分から構成されている。X線透過強度測定部50は、本発明の装置の光源部と検出部を含む。電子密度及び実効原子番号校正システム部60は、本発明の装置の処理部を含む。

【0088】
X線透過強度測定部50は、X線光源51、XYZ精密自動ステージ52、スリット又はコリメータ53、XYZθ精密自動ステージ56、スリット又はコリメータ57、エネルギー弁別X線強度検出器58、XYZ精密自動ステージ59を有する。
X線光源51の前方に、スリット又はコリメータ53が配置され、X線光源51から前方にX線が照射される。X線光源51は、XYZ精密自動ステージ52により、位置を変更することが可能になっている。
XYZθ精密自動ステージ56には、図示しない切り替え機構が設けられている。切り替え機構により、図中矢印で示すように、校正用治具54と測定対象(物体)55とを切り替えて、それぞれの測定を行うことができる。また、XYZθ精密自動ステージ56は、その上に設置された、校正用治具54又は測定対象55の位置や向きを変更することが可能になっている。
校正用治具54又は測定対象55の前方に、スリット又はコリメータ57を介して、エネルギー弁別X線強度検出器58が配置されている。エネルギー弁別X線検出器58は、XYZ精密自動ステージ59により、位置を変更することが可能になっている。
校正用治具54は、均質であり実効原子番号と電子密度が計算可能である、標準物質となる単一元素又は化合物により構成された物質であり、異なる2種類以上用意されている。それぞれの校正用治具54を、切り替え機構で切り替えて、校正用治具54の測定が順次行われる。

【0089】
電子密度及び実効原子番号校正システム部60は、制御部61、校正部62、解析部63を有している。電子密度及び実効原子番号校正システム部60は、パーソナルコンピュータ等で構成され、コンピュータプログラムで動作する構成とする。校正部62及び解析部63は、本発明の装置の処理部に含まれる。
制御部61、校正部62、解析部63の機能や動作は、図1のX線CT装置1の電子密度及び実効原子番号校正システム部20の制御部21、校正部22、解析部23とほぼ同様である。
制御部61は、X線透過強度測定部50の、X線光源51、XYZ精密自動ステージ52、XYZθ精密自動ステージ56、エネルギー弁別X線強度検出器58、XYZ精密自動ステージ59の各部や、校正用治具54と測定対象55を切り替える切り替え機構に対して、制御を行う。
校正部62は、X線透過強度測定部50で収集したデータから、校正係数の算出等を行う。
解析部63は、校正部62で算出した校正係数を適用して、電子密度及び実効原子番号の解析を行う。

【0090】
そして、このX線CT装置40では、先の実施の形態のX線CT装置1の図2に示したフローチャートと同様の手順により、校正用治具54の測定、校正係数F(k),G(k)の算出、測定対象55の測定、測定対象55の電子密度ρ及び実効原子番号Zeffの解析、の各過程を行う。
校正用治具54を用いて算出した校正係数F(k),G(k)によって、測定対象55の測定値を校正することにより、測定対象55の電子密度及び実効原子番号を高い精度で算出することができる。

【0091】
上述の本実施の形態によれば、校正用治具54の測定により取得された吸収係数から校正係数を算出し、測定対象55の測定により取得された吸収係数に、校正係数を適用することにより、測定対象の実効現地番号及び電子密度を算出している。そのため、実測値に含まれるバックグラウンド、多重散乱等複数の誤差要因を同時に消去することができ、測定対象55の実効原子番号Zeffと電子密度ρを、高い精度で算出することが可能になる。
これにより、非破壊で、測定対象55の内部に存在する、物質(例えば、危険物、腐食物)や欠陥等を、位置精度良く検出することが可能になる。

【0092】
また、予め校正用治具54の測定データから算出した校正係数を用いて、測定対象55の電子密度の算出を行うので、逐次近似を行っていた場合等の従来の手法と比較して、電子密度の算出の際の計算量を大幅に少なくすることができる。これにより、短い時間で電子密度の算出を行うことが可能になり、また大型のコンピュータを使用する必要が無くなり、パーソナルコンピュータ等でも算出を行うことが可能になる。

【0093】
上述の各実施の形態のX線CT装置1,40は、いずれも、従来のフォトンカウンティングCT装置と同様に、連続X線を照射するX線光源とエネルギー弁別検出器を有する構成であった。即ち、光源部と検出部の組合せが、前述した(C)の構成であった。
本発明の装置及び方法は、(C)の構成に限定されるものではなく、前述した(A)の構成や(B)の構成にも、適用することができる。

【0094】
本発明を(A)の構成に適用する場合には、例えば、校正用治具の測定及び測定対象の測定の際に、各X線光源からのエネルギー(もしくはエネルギー領域)が異なるX線の照射を、順次或いは同時に行う。これにより、校正係数F(k),G(k)と測定対象の電子密度を算出するために必要なデータが得られる。

【0095】
本発明を(B)の構成に適用する場合には、例えば、校正用治具の測定及び測定対象の測定の際に、X線の照射、照射するX線のエネルギー(もしくはエネルギー領域)の変更、X線の照射、を繰り返して、複数のエネルギー(もしくはエネルギー領域)のX線による測定を行う。これにより、校正係数F(k),G(k)と測定対象の電子密度を算出するために必要なデータが得られる。
【実施例】
【0096】
実際に、校正用治具を用いて校正係数を算出し、校正係数を適用して測定対象の解析を行った。
【実施例】
【0097】
校正用治具として、炭素C、マグネシウムMg、アルミニウムAlの3種類を用意した。
具体的には、それぞれの元素単体から成る、直径5mmの円柱形の校正用治具を用意した。
また、この実施例では、3種類の校正用治具そのものを測定対象とした。
【実施例】
【0098】
実施例の測定に用いたX線CT装置の概略構成図を、図4に示す。
図4に示すX線CT装置70は、定盤71上に、X線光源72、XYZ精密自動ステージ73、スリット74、XYZθ精密自動ステージ76、エネルギー弁別X線強度検出器77、XYZ精密自動ステージ78を有する。また、定盤71の外に、CT撮影用制御PC(パーソナルコンピュータ)79が設けられている。
【実施例】
【0099】
X線光源72の前方にスリット74が配置され、X線光源72から前方にX線が照射される。X線光源72は、XYZ精密自動ステージ73上に配置され、XYZ精密自動ステージ73により、位置を変更することが可能になっている。
XYZθ精密自動ステージ76に、校正用治具と測定対象を兼ねる、試料75が配置されている。XYZθ精密自動ステージ76は、その上に配置された試料75の位置や向きを変更することが可能になっている。
試料55の前方の、XYZ精密自動ステージ78上に、エネルギー弁別X線強度検出器77が配置されている。エネルギー弁別X線検出器77は、XYZ精密自動ステージ78により、位置を変更することが可能になっている。
そして、X線光源72として、WアノードのX線光源を使用した。また、エネルギー弁別X線強度検出器77として、フォトンカウンティングライン検出器を用いた。
定盤71は、縦1m×横2mの広さである。
【実施例】
【0100】
CT撮影用制御PC79は、図4では詳細な図示を省略しているが、X線光源72及びXYZ精密自動ステージ73、試料75用のXYZθ精密自動ステージ76、エネルギー弁別X線強度検出器77及びXYZ精密自動ステージ78とそれぞれ接続されている。
【実施例】
【0101】
まず、炭素C、マグネシウムMg、アルミニウムAlの各校正用治具を試料75として、それぞれCT撮影を行った。
X線光源72から、広い範囲のエネルギー領域に連続するスペクトルのX線を発生させて、試料75に照射した。
そして、試料75を透過したX線を、エネルギー弁別X線検出器77において、50~60KeV、60~70keV、70~80keV、80~90keVの各エネルギー領域に弁別して検出した。そして、検出した各エネルギー領域の測定値から、それぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を算出した。
【実施例】
【0102】
算出した吸収係数(k)と、各校正用治具(C,Mg,Al)の原子番号Z及び電子密度ρの理論値から、μ/ρとZを算出して、各エネルギー領域において、それぞれ3つの校正用治具のμ/ρとZの値をプロットして、3点の近似直線を求めた。
それぞれのエネルギー領域の結果を、図5A~図5Dに示す。エネルギー領域50~60keVの結果を図5Aに示し、エネルギー領域60~70keVの結果を図5Bに示し、エネルギー領域70~80keVの結果を図5Cに示し、エネルギー領域80~90keVの結果を図5Dに示す。
【実施例】
【0103】
図5A~図5Dより、いずれのエネルギー領域においても、3点がほぼ直線に並び、近似直線が精度良く得られている。近似直線を、μ/ρ=F(k)×Z+G(k)として、近似直線の傾きと切片から、各エネルギー領域kの校正係数F(k),G(k)を求めた。
図5Aに示すエネルギー領域50~60keVでは、F(k)=2.0976×10-29、G(k)=6.0186×10-25となった。
図5Bに示すエネルギー領域60~70keVでは、F(k)=1.3244×10-29、G(k)=5.943×10-25となった。
図5Cに示すエネルギー領域70~80keVでは、F(k)=9.5685×10-30、G(k)=5.587×10-25となった。
図5Dに示すエネルギー領域80~90keVでは、F(k)=6.5554×10-30、G(k)=5.4434×10-25となった。
【実施例】
【0104】
次に、測定対象として、各校正用治具(C,Mg,Al)を試料75に用いて、再度CT撮影を行った。
X線光源72から、広い範囲のエネルギー領域に連続するスペクトルのX線を発生させて、試料75に照射した。
そして、試料75を透過したX線を、エネルギー弁別X線検出器77において、50~60KeV、60~70keV、70~80keV、80~90keVの各エネルギー領域に弁別して検出した。そして、検出した各エネルギー領域の測定値から、それぞれのエネルギー領域kにおける吸収係数μ(k)を算出した。
【実施例】
【0105】
算出した吸収係数μ(k)と、先に求めた、各エネルギー領域kの校正係数F(k),G(k)から、μ(k)/G(k)及びF(k)/G(k)を算出して、3つの試料75の各試料において、それぞれ4つのエネルギー領域のμ(k)/G(k)及びF(k)/G(k)をプロットして、4点の近似直線を求めた。
それぞれの試料の結果を、図6A~図6Cに示す。炭素Cの結果を図6Aに示し、マグネシウムMgの結果を図6Bに示し、アルミニウムAlの結果を図6Cに示す。
【実施例】
【0106】
図6A~図6Dより、いずれの試料においても、4点がほぼ直線に並び、近似直線が精度良く得られている。近似直線を、μ(k)/G(k)=ρ{F(k)/G(k)}+ρとして、近似直線の傾きと切片から、各試料のρとρを求めた。
図6Aに示す炭素Cの試料では、ρ=5.7328×1026、ρ=5.6629×1023となった。
図6Bに示すマグネシウムMgの試料では、ρ=1.1265×1028、ρ=5.2196×1023となった。
図6Cに示すアルミニウムAlの試料では、ρ=2.1417×1028、ρ=7.6542×1023となった。
【実施例】
【0107】
そして、求めたρとρとから、実効原子番号Zeffを算出した。また、各元素の電子密度ρ及び実効原子番号Zeffの理論値と、算出した電子密度及び実効原子番号の解析結果とから、誤差の割合を求めた。各試料の結果をまとめて表1に示す。
なお、表1において、理論値が小数点以下3桁であるため、先に示した解析結果の値も小数点以下第4桁を四捨五入して桁を合わせている。そして、誤差の割合は、有効数字2桁としている。
【実施例】
【0108】
【表1】
JP2018062308A1_000011t.gif
【実施例】
【0109】
表1より、相対誤差は、電子密度ρ<0.7%、実効原子番号Zeff<6.0%であり、それぞれ精度良く算出できていることがわかる。
【実施例】
【0110】
なお、上述の実施例では、単一元素からなる校正用治具をそのまま測定対象として用いたが、これらの元素の2種類以上を有する化合物又は合金や、これらの元素のいずれかを含む物体を測定対象としても、同様に電子密度及び実効原子番号を精度良く算出することができる。
また、上述の実施例では、単一元素からなる校正用治具を使用したが、均質で実効原子番号及び電子密度の計算が可能な化合物により構成された物質を校正用治具に使用しても、同様に測定対象の電子密度及び実効原子番号を精度良く算出することができる。
【実施例】
【0111】
本発明は、上述した実施の形態や実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の範囲内であれば、その他の様々な構成を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1,40,70 X線CT装置、10,50 X線透過強度測定部、11,51,72 X線光源、12,15,53,57 スリット又はコリメータ、13,54 校正用治具、14 寝台装置、16,58,77 エネルギー弁別X線強度検出器、17 データ収集部、20,60 電子密度及び実効原子番号校正システム部、21,61 制御部、22,62 校正部、23,63 解析部、30 被検体、52,59,73,78 XYZ精密自動ステージ、55 測定対象、56,76 XYZθ精密自動ステージ、71 定盤、74 スリット、75 試料、79 CT撮影用制御PC
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5