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明細書 :病状判定装置、病状判定システム及び病状判定プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年7月4日(2019.7.4)
発明の名称または考案の名称 病状判定装置、病状判定システム及び病状判定プログラム
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
A61B   5/1455      (2006.01)
A61B   5/026       (2006.01)
FI A61B 10/00 H
A61B 5/1455
A61B 10/00 E
A61B 5/026 120
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 39
出願番号 特願2018-540996 (P2018-540996)
国際出願番号 PCT/JP2017/033034
国際公開番号 WO2018/056137
国際出願日 平成29年9月13日(2017.9.13)
国際公開日 平成30年3月29日(2018.3.29)
優先権出願番号 2016183437
優先日 平成28年9月20日(2016.9.20)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】柳沢 一機
【氏名】綱島 均
【氏名】成田 奈緒子
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
審査請求 未請求
テーマコード 4C017
4C038
Fターム 4C017AA11
4C017AB06
4C017AC28
4C017BB04
4C017BC11
4C017CC03
4C017FF05
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX02
要約 病状判定装置は、近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が被検体に与えられているタスク状態の血流情報である第1負荷血流情報と、第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が被検体に与えられているコントロール状態の血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、無負荷血流情報に基づいて、被検体の血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出部と、無負荷血流情報に基づいて、被検体の血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出部と、第1分離度算出部が算出する分離度と、振幅検出部が検出する振幅と、位相検出部が検出する位相とに基づいて、被検体の病状を判定する判定部と、を備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、
前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出部と、
前記無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出部と、
前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記振幅検出部が検出する前記振幅と、前記位相検出部が検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、
を備える病状判定装置。
【請求項2】
近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、
前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出部と、
前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記振幅検出部が検出する前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、
を備える病状判定装置。
【請求項3】
前記振幅検出部は、
散布図の面積を用いて前記振幅を検出する
請求項1又は請求項2に記載の病状判定装置。
【請求項4】
近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、
前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出部と、
前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記位相検出部が検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、
を備える病状判定装置。
【請求項5】
前記位相検出部は、
ヒルベルト変換を用いて前記位相を検出する
請求項1又は請求項4に記載の病状判定装置。
【請求項6】
前記第1分離度算出部が算出する前記分離度に、前記タスク状態と、前記コントロール状態とに基づく重み係数を乗じた重み付き分離度を算出する第2分離度算出部
を更に備え
前記判定部は、
前記第2分離度算出部が算出する前記重み付き分離度に更に基づいて、前記被検体の病状を判定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の病状判定装置。
【請求項7】
前記血流情報は、
前記被検体の前頭前野背外側部の血流を測定した情報である
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の病状判定装置。
【請求項8】
前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する第1負荷振幅検出部
を更に備え、
前記判定部は、
前記第1負荷振幅検出部が検出した前記タスク状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の病状判定装置。
【請求項9】
前記タスク状態には、提示された提示情報を記憶する記憶状態と、前記記憶状態において記憶した前記提示情報に基づいて作業を行う作業状態とが含まれ、
前記第1負荷振幅検出部は、
前記記憶状態において取得された前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出し、
前記判定部は、
前記第1負荷振幅検出部が検出した前記記憶状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する、
請求項8に記載の病状判定装置。
【請求項10】
前記タスク状態には、提示された提示情報を記憶する記憶状態と、前記記憶状態において記憶した前記提示情報に基づいて作業を行う作業状態とが含まれ、
前記第1負荷振幅検出部は、
前記作業状態において取得された前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出し、
前記判定部は、
前記第1負荷振幅検出部が検出した前記作業状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する、
請求項8又は請求項9に記載の病状判定装置。
【請求項11】
前記第2負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する第2負荷振幅検出部
を更に備え、
前記判定部は、
前記第2負荷振幅検出部が検出した前記コントロール状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の病状判定装置。
【請求項12】
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の病状判定装置と、
近赤外線を用いた光学測定によって前記被検体の脳の前記血流を測定し、前記血流を示す前記血流情報を出力する測定器と、
前記判定部が判定する前記被検体の病状を示す判定結果を表示する表示部と、
を備える病状判定システム。
【請求項13】
コンピュータに、
近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流を測定した血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出ステップと、
前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出ステップと、
前記無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出ステップと、
前記第1分離度算出ステップが算出する前記分離度と、前記振幅検出ステップが検出する前記振幅と、前記位相検出ステップが検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定ステップと、
を実行させるための病状判定プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、病状判定装置、病状判定システム及び病状判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳を活動させるための課題を与えているときに測定された被検体の定められた脳部位における血流の情報に基づいて、当該血流の特徴量を抽出し、認知機能障害の判定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2012/165602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、脳機能の障害に関する病状を判定する際、脳機能に障害があることが予め診断されている複数の被検体の血流の情報と、脳機能に障害がないことが予め診断されている複数の被検体の血流の情報とに基づいて、判定基準を設定することが求められる場合があった。
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、簡素な構成によって被検体の脳機能の障害に関する病状を判定する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出部と、前記無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出部と、前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記振幅検出部が検出する前記振幅と、前記位相検出部が検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、を備える病状判定装置である。
【0006】
また、本発明の一態様は、近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出部と、前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記振幅検出部が検出する前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、を備える病状判定装置である。
【0007】
また、本発明の一態様の病状判定装置において、前記振幅検出部は、散布図の面積を用いて前記振幅を検出する。
【0008】
また、本発明の一態様は、近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流が測定された血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出部と、前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出部と、前記第1分離度算出部が算出する前記分離度と、前記位相検出部が検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定部と、を備える病状判定装置である。
【0009】
また、本発明の一態様の病状判定装置において、前記位相検出部は、ヒルベルト変換を用いて前記位相を検出する。
【0010】
また、本発明の一態様の病状判定装置において、前記第1分離度算出部が算出する前記分離度に、前記タスク状態と、前記コントロール状態とに基づく重み係数を乗じた重み付き分離度を算出する第2分離度算出部を更に備え前記判定部は、前記第2分離度算出部が算出する前記重み付き分離度に更に基づいて、前記被検体の病状を判定する。
【0011】
また、本発明の一態様の病状判定装置において、前記血流情報は、前記被検体の前頭前野背外側部の血流を測定した情報である。
【0012】
また、本発明の一態様の病状判定装置は、前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する第1負荷振幅検出部を更に備え、前記判定部は、前記第1負荷振幅検出部が検出した前記タスク状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する。
【0013】
また、本発明の一態様の病状判定装置は、前記タスク状態には、提示された提示情報を記憶する記憶状態と、前記記憶状態において記憶した前記提示情報に基づいて作業を行う作業状態とが含まれ、前記第1負荷振幅検出部は、前記記憶状態において取得された前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出し、前記判定部は、前記第1負荷振幅検出部が検出した前記記憶状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する。
【0014】
また、本発明の一態様の病状判定装置において、前記タスク状態には、提示された提示情報を記憶する記憶状態と、前記記憶状態において記憶した前記提示情報に基づいて作業を行う作業状態とが含まれ、前記第1負荷振幅検出部は、前記作業状態において取得された前記第1負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出し、前記判定部は、前記第1負荷振幅検出部が検出した前記作業状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する。
【0015】
また、本発明の一態様の病状判定装置は、前記第2負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する第2負荷振幅検出部を更に備え、前記判定部は、前記第2負荷振幅検出部が検出した前記コントロール状態における前記振幅に基づいて、前記被検体の病状を判定する。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記に記載の病状判定装置と、近赤外線を用いた光学測定によって前記被検体の脳の前記血流を測定し、前記血流を示す前記血流情報を出力する測定器と、前記判定部が判定する前記被検体の病状を示す判定結果を表示する表示部と、を備える病状判定システムである。
【0017】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、近赤外線を用いた光学測定によって被検体の脳の血流を測定した血流情報のうち、前記被検体の血流状態を変化させる負荷である第1負荷が前記被検体に与えられているタスク状態の前記血流情報である第1負荷血流情報と、前記第1負荷とは異なる負荷である第2負荷が前記被検体に与えられているコントロール状態の前記血流情報である第2負荷血流情報とに基づいて、分離度を算出する第1分離度算出ステップと、前記被検体に前記負荷が与えられていない状態の前記血流情報である無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する振幅検出ステップと、前記無負荷血流情報に基づいて、前記被検体の前記血流のヘモグロビン濃度変化の位相を検出する位相検出ステップと、前記第1分離度算出ステップが算出する前記分離度と、前記振幅検出ステップが検出する前記振幅と、前記位相検出ステップが検出する前記位相とに基づいて、前記被検体の病状を判定する判定ステップと、を実行させるための病状判定プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡素な構成によって被検体の脳機能の障害に関する病状を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】被検体のタスク状態における血流測定の一例を示す図である。
【図2】被検体のコントロール状態における血流測定の一例を示す図である。
【図3】各状態に応じた健常者の酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示すグラフである。
【図4】各状態に応じた非健常者の酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示すグラフである。
【図5】実施形態の病状判定システムの構成の一例を示す図である。
【図6】実施形態の血流情報の分散を示す散布図の一例を示す第1の図である。
【図7】実施形態の血流情報の分散を示す散布図の一例を示す第2の図である。
【図8】実施形態の血流情報の振幅を示す散布図の一例を示す第1の図である。
【図9】実施形態の血流情報の振幅を示す散布図の一例を示す第2の図である。
【図10】実施形態の血流情報のうち、無負荷血流情報の経時変化の一例を示す第1の図である。
【図11】実施形態の血流情報のうち、無負荷血流情報の経時変化の一例を示す第2の図である。
【図12】実施形態の判定部が被検体を判定する判定基準の一例を示す表である。
【図13】実施形態の病状判定装置の動作の一例を示す流れ図である。
【図14A】変形例1の各状態に応じた健常者の血流情報の経時変化の一例を示すグラフである。
【図14B】変形例1の血流情報に含まれる第1負荷血流情報及び第2負荷血流情報の分散を示す散布図である。
【図15A】変形例1の各状態に応じた非健常者の血流情報の経時変化の一例を示すグラフである。
【図15B】変形例1の血流情報に含まれる第1負荷血流情報及び第2負荷血流情報の分散を示す散布図である。
【図16】変形例1の病状判定システムの構成の一例を示す図である。
【図17A】変形例1の加点が加算される場合のプロットの位置を示す図である。
【図17B】変形例1の減点が加算される場合のプロットの位置を示す図である。
【図18】変形例2のタスク状態TKCの一例を示す図である。
【図19】変形例2の記憶状態における健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図20】変形例2の記憶状態における健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図21】変形例2の記憶状態における非健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図22】変形例2の記憶状態における非健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図23】変形例2の作業状態における健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図24】変形例2の作業状態における健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図25】変形例2の作業状態における非健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図26】変形例2の作業状態における非健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図27】変形例2のコントロール状態における健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図28】変形例2のコントロール状態における健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図29】変形例2のコントロール状態における非健常者の血流情報の一例を示す図である。
【図30】変形例2のコントロール状態における非健常者の血流情報の他の例を示す図である。
【図31】変形例2の病状判定システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。

【0021】
<被検体の血流の測定について:タスク状態>
図1は、被検体STのタスク状態TKCにおける血流測定の一例を示す図である。
被検体STは、頭部に測定器BTを装着した状態で当該被検体STの血流の状態(以下、血流状態)を変化させる所定の作業を行う。被検体STとは、脳機能の障害に関する病状を判定される対象者である。
測定器BTとは、近赤外を用いた光学測定によって被検体STの血流を測定する装置である。測定器BTは、例えば、近赤外線分光分析法式の酸素計(以下、脳NIRS計)である。測定器BTは、近赤外光を被検体STに照射し、被検体ST内部を透過した近赤外光を受光素子によって検出する。測定器BTは、照射する近赤外光と、検出する近赤外光との差に基づいて、血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度のうち、少なくとも一方を測定する。一般に、脳の活動が活発である脳の部位には、当該活動に伴い消費された酸素が補給されるため、血流が増加する。この場合、血流が増加することに伴い、血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する。したがって、血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度の変化は、被検体STの血流の変化を示す。この一例では、測定器BTは、血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度を測定する。測定器BTは、血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度を所定の時間間隔によって取得し、当該酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定する。これにより、測定器BTは、被検体STの血流の変化を測定する。所定の間隔とは、測定器BTが被検体STの血中に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度を測定する間隔である。

【0022】
なお、測定器BTは、血中の酸素化ヘモグロビン濃度を測定する構成に代えて、血中の脱酸素化ヘモグロビン濃度を測定する構成であってもよい。ここで、血中の酸素化ヘモグロビン濃度の変化に応じて脱酸素化ヘモグロビン濃度が変化する。具体的には、酸素化ヘモグロビン濃度が上昇することに応じて、脱酸素化ヘモグロビン濃度が減少する。したがって、測定器BTは、血中に含まれる脱酸素化ヘモグロビン濃度を測定することにより、被検体STの血流を測定する。

【0023】
この一例では、被検体STは、前頭前野背外側部の血流を測定するように測定器BTを装着する。具体的には、被検体STは、当該被検体STの前頭前野背外側部の血流を測定するように測定器BTを装着する。測定器BTは、被検体STの血流を測定する。また、測定器BTは、病状判定装置10と通信可能に接続されており、測定した血流を示す血流情報BCを病状判定装置10に供給する。この場合、血流情報BCは、被検体STの前頭前野背外側部の血流を測定した情報である。具体的には、血流情報BCは、被検体STの前頭前野背外側部の酸素化ヘモグロビン濃度を測定した測定結果を示す情報である。

【0024】
ここで、被検体STの血流状態を変化させる所定の作業とは、被検体STが提示された情報を記憶し、当該記憶する情報に基づいて行う作業である。以降の説明において、提示された情報を被検体STが記憶し、当該記憶する情報に基づいて被検体STが行う作業をタスクTKと記載する。また、タスクTKを行う被検体STの状態をタスク状態TKCと記載する。また、提示された情報を、提示情報と記載する。図1に示す通り、タスクTKは、例えば、複数の色及び複数の形状によって示される複数個の見本図形を、ある時間だけ提示され、記憶した後、タッチパネルTPに表示される様々な図形のうち、当該記憶した見本図形と一致する図形を選択する作業である。被検体STは、タスクTKを行うタスク状態TKCにおいて、血流状態が変化する。具体的には、タスクTKを行うことにより、被検体STの脳には負荷が与えられた状態となり、被検体STの脳の血流は、負荷が与えられていない場合と比較して増加する。測定器BTは、タスク状態TKCである被検体STの脳の血流を測定し、当該血流を示す酸素化ヘモグロビン濃度の変化を病状判定装置10に供給する。以降の説明において、被検体STがタスク状態TKCの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を第1負荷血流情報FBCと記載する。つまり、測定器BTは、タスク状態TKCの酸素化ヘモグロビン濃度の変化(この一例では、第1負荷血流情報FBC)を所定の時間毎に病状判定装置10に供給する。

【0025】
<被検体の血流の測定について:コントロール状態>
図2は、被検体STのコントロール状態CLCにおける血流測定の一例を示す図である。
被検体STは、頭部に測定器BTを装着した状態で当該被検体STの血流状態を変化させる所定の作業であって、タスクTKとは異なる作業を行う。
ここで、当該被検体STの血流状態を変化させる所定の作業であって、タスクTKとは異なる作業とは、提示される情報に基づいて被検体STが行う作業である。以降の説明において、提示される情報に基づいて被検体STが行う作業をコントロールCLと記載する。また、コントロールCLを行う被検体STの状態をコントロール状態CLCと記載する。図1に示す通り、コントロールCLは、例えば、タッチパネルTPに表示される様々な図形のうち、当該タッチパネルTPに同時に表示される複数の色及び複数の形状によって示される複数個の見本図形と一致する図形を選択する作業である。被検体STは、コントロールCLを行うコントロール状態CLCにおいて、血流状態が変化する。具体的には、コントロールCLを行うことにより、被検体STの脳には負荷が与えられ、被検体STの脳の血流は、負荷が与えられていない場合と比較して増加する。
なお、コントロールCLは、被検体STが提示される情報に基づいて行う作業に代えて、タスクTKよりも被検体STの脳の負荷が軽い作業であれば、他の作業であってもよい。
測定器BTは、コントロール状態CLCの被検体STの脳の血流を測定し、当該血流を示す血流情報BCを病状判定装置10に供給する。以降の説明において、被検体STがコントロール状態CLCの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を第2負荷血流情報SBCと記載する。つまり、測定器BTは、コントロール状態CLCの酸素化ヘモグロビン濃度の変化(この一例では、第2負荷血流情報SBC)を所定の時間毎に病状判定装置10に供給する。
また、以降の説明において、タスクTKと、コントロールCLとを総称して負荷と記載する。ここで、タスクTKとは、第1負荷の一例である。また、コントロールCLとは、第2負荷の一例である。

【0026】
<被検体の血流の測定について:無負荷状態>
また、測定器BTは、被検体STに上述した負荷が与えられていない脳の血流を測定する。以降の説明において、被検体STに負荷が与えられていない状態をレスト状態RTCと記載する。測定器BTは、被検体STがレスト状態RTCの脳の血流を測定し、当該血流を示す血流情報BCを病状判定装置10に供給する。以降の説明において、血流情報BCのうち、被検体STがレスト状態RTCの血流情報BCを無負荷血流情報NBCと記載する。したがって、測定器BTは、レスト状態RTCの酸素化ヘモグロビン濃度の変化(この一例では、無負荷血流情報NBC)を所定の時間毎に病状判定装置10に供給する。

【0027】
<各状態に応じた被検体の血流情報の変化について:健常者の場合>
以下、図3を参照して、各状態に応じた健常者HPの血流の変化について説明する。
図3は、各状態に応じた健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示すグラフである。

【0028】
健常者HPとは、脳機能に障害がない又は脳機能の障害が軽度である被検体STである。図3に示す通り、レスト状態RTC、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCの各状態における健常者HPの血流情報BC(以下、血流情報BC1)の経時変化が波形WH1によって示される。
図3に示す波形WH1は、測定器BTが測定するタスクTK及びコントロールCLが与えられた状態と、負荷が与えられない状態との健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化(この一例では、測定開始から時刻t6までの血流情報BC1の経時変化)を示す波形である。図3のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。
健常者HPには、脳機能の障害に関する病状の判定をするため、健常者HPの状態が種々の状態となるように負荷が与えられる。具体的には、健常者HPは、レスト状態RTCから、1回目のタスク状態TKCであるタスク状態TKC1、1回目のコントロール状態CLCであるコントロール状態CLC1、2回目のタスク状態TKCであるタスク状態TKC2、2回目のコントロール状態CLCであるコントロール状態CLC2、3回目のタスク状態TKCであるタスク状態TKC3の順序に当該健常者HPの状態が遷移するように負荷が与えられる。

【0029】
図3に示す通り、健常者HPの状態は、血流の測定開始から所定時間dt11が経過する時刻t1までの間、レスト状態RTCである。所定時間dt11は、健常者HPの血流状態に変化が生じないように、健常者HPがリラックスする時間である。具体的には、所定時間dt11とは、例えば、3分程度の時間である。
また、健常者HPの状態は、時刻t1から所定時間dt21が経過する時刻t2までの間、タスク状態TKC1である。所定時間dt21は、健常者HPにタスクTKが与えられる時間である。所定時間dt21とは、例えば、25~40秒程度の時間である。具体的には、所定時間dt21のうち、初めの10~25秒は、健常者HPが提示された情報を記憶する時間であって、後の15秒は、健常者HPが記憶する情報に基づいて作業する時間である。
また、健常者HPの状態は、時刻t2から所定時間dt22が経過する時刻t3までの間、コントロール状態CLC1である。所定時間dt22は、健常者HPにコントロールCLが与えられる時間である。所定時間dt22とは、例えば、15秒程度の時間である。
また、健常者HPの状態は、時刻t3から所定時間dt21が経過する時刻t4までの間、タスク状態TKC2である。また、健常者HPの状態は、時刻t4から所定時間dt22が経過する時刻t5までの間、コントロール状態CLC2である。また、健常者HPの状態は、時刻t5から所定時間dt21が経過する時刻t6までの間、タスク状態TKC3である。

【0030】
測定器BTは、被検体STの各状態の血流を所定の時間毎に測定する。測定器BTは、被検体STの各状態の血流を示す血流情報BCを病状判定装置10に供給する。
この一例では、測定器BTは、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す血流情報BC1を病状判定装置10に供給する。血流情報BC1には、レスト状態RTCの健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す無負荷血流情報NBC1が含まれる。また、血流情報BC1には、タスク状態TKC1の健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC11が含まれる。また、血流情報BC1には、コントロール状態CLC1の健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第2負荷血流情報SBC11が含まれる。また、血流情報BC1には、タスク状態TKC2の健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC12が含まれる。また、血流情報BC1には、コントロール状態CLC2の健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第2負荷血流情報SBC12が含まれる。また、血流情報BC1には、タスク状態TKC3の健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC13が含まれる。
図3に示す波形WH1のうち、測定開始から時刻t1までの波形は、無負荷血流情報NBC1の経時変化を示す波形である。また、波形WH1のうち、時刻t1から時刻t2までの波形は、第1負荷血流情報FBC11の経時変化を示す波形である。また、波形WH1のうち、時刻t2から時刻t3までの波形は、第2負荷血流情報SBC11の経時変化を示す波形である。また、波形WH1のうち、時刻t3から時刻t4までの波形は、第1負荷血流情報FBC12の経時変化を示す波形である。また、時刻t4から時刻t5までの波形は、第2負荷血流情報SBC12の経時変化を示す波形である。また、時刻t5から時刻t6までの波形は、第1負荷血流情報FBC13の経時変化を示す波形である。

【0031】
図3に示す通り、波形WH1が示す健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度は、レスト状態RTCにおいて、大きな変化がみられない。また、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度は、タスク状態TKCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が上昇することを示す。また、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度は、コントロール状態CLCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が減少することを示す。したがって、健常者HPの血流情報BC1を示す波形WH1は、測定開始から時刻t1までの間、大きく変化せず、時刻t1から時刻t2まで上昇し、時刻t2から時刻t3まで減少し、時刻t3から時刻t4まで上昇し、時刻t4から時刻t5まで減少し、時刻t5から時刻t6まで上昇することを示す。
以降の説明において、被検体STの状態を上述した順序及び時間によって変化させる状態の変化の構成を試験状態と記載する。

【0032】
<各状態に応じた被検体の血流情報の変化について:非健常者の場合>
以下、図4を参照して、各状態に応じた非健常者SPの血流の変化について説明する。
図4は、各状態に応じた非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示すグラフである。

【0033】
非健常者SPとは、脳機能の障害がある又は脳機能の障害が重度である被検体STである。例えば、非健常者SPは、Autistic Spectrum Disorders(以下、ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群))の障害がある、又は認知症の障害がある被検体STである。図4に示す通り、レスト状態RTC、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCの各状態における非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度(以下、血流情報BC2)の経時変化が波形WS1によって示される。
図4に示す波形WS1は、測定器BTが測定するタスクTK及びコントロールCLが与えられた状態と、負荷が与えられない状態との非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化(この一例では、測定開始から時刻t6までの血流情報BC2の経時変化)を示す波形である。図4のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。
非健常者SPには、脳機能の障害に関する病状の判定をするため、非健常者SPの状態が種々の状態となるように負荷が与えられる。測定器BTは、非健常者SPが上述した試験状態と同様の状態に遷移する際の血流情報BC2を測定する。

【0034】
上述したように、測定器BTは、被検体STの各状態の血流を測定し、各状態の血流を示す血流情報BCを病状判定装置10に供給する。
この一例では、測定器BTは、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す血流情報BC2を病状判定装置10に供給する。血流情報BC2には、レスト状態RTCの非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す無負荷血流情報NBC2が含まれる。また、血流情報BC2には、タスク状態TKC1の非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC21が含まれる。また、血流情報BC2には、コントロール状態CLC1の非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第2負荷血流情報SBC21が含まれる。また、血流情報BC2には、タスク状態TKC2の非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC22が含まれる。また、血流情報BC2には、コントロール状態CLC2の非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第2負荷血流情報SBC22が含まれる。また、血流情報BC2には、タスク状態TKC3の非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化を示す第1負荷血流情報FBC23が含まれる。
図4に示す波形WSのうち、測定開始から時刻t1までの波形は、無負荷血流情報NBC2の経時変化を示す波形である。また、波形WSのうち、時刻t1から時刻t2までの波形は、第1負荷血流情報FBC21の経時変化を示す波形である。また、波形WSのうち、時刻t2から時刻t3までの波形は、第2負荷血流情報SBC21の経時変化を示す波形である。また、波形WSのうち、時刻t3から時刻t4までの波形は、第1負荷血流情報FBC22の経時変化を示す波形である。また、時刻t4から時刻t5までの波形は、第2負荷血流情報SBC22の経時変化を示す波形である。また、時刻t5から時刻t6までの波形は、第1負荷血流情報FBC23の経時変化を示す波形である。

【0035】
図4に示す通り、波形WS1が示す非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化は、レスト状態RTCにおいて、大きく変化することを示す。また、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化は、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCの変化と相関がないことを示す。

【0036】
<病状判定装置の判定の概要について>
病状判定装置10は、測定器BTから血流情報BCである無負荷血流情報NBC、第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCを取得する。病状判定装置10は、取得した情報と、健常者HP及び非健常者SPにおける各状態と血流情報BCとの傾向の違いに基づいて、被検体STの脳機能の障害に関する病状を判定する装置である。また、以降の説明において、病状判定装置10は、被検体STに上述した試験状態によって取得した血流情報BCに基づいて、被検体STの脳機能の障害に関する病状を判定する場合について説明する。
また、図1及び図2に示す通り、病状判定装置10は、被検体STの脳機能の障害に関する病状を判定した判定結果RTを表示部DPに表示する。

【0037】
なお、試験状態は、上述した構成に代えて他の構成であってもよい。例えば、血流情報BCに無負荷血流情報NBC、第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCが含まれていれば、レスト状態RTC、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCは、複数回行われなくてもよい。また、試験状態は、レスト状態RTC、タスク状態TKC、コントロール状態CLCの順序が異なる順序であってもよい。また、被検体STの状態は、1度の試験によってレスト状態RTC、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCに変化されなくてもよい。例えば、血流情報BCには、被検体STの状態をそれぞれ個別の試験によってレスト状態RTC、タスク状態TKC及びコントロール状態CLCに遷移した際の無負荷血流情報NBC、第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCが含まれていてもよい。

【0038】
<病状判定装置の構成について>
以下、図を参照して病状判定システム1の構成について説明する。
図5は、実施形態の病状判定システム1の構成の一例を示す図である。
病状判定システム1は、測定器BTと、病状判定装置10と、表示部DPとを備える。
測定器BTは、被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度を測定した血流情報BCを病状判定装置10に供給する。
表示部DPは、病状判定装置10が被検体STの脳機能の障害を判定した判定結果RTを表示する表示装置である。表示部DPとは、例えば、液晶ディスプレイパネル、あるいは、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネルである。表示部DPは、病状判定装置10と通信可能に接続されており、病状判定装置10から判定結果RTを示す情報を取得し、取得した情報を表示する。

【0039】
病状判定装置10は、制御部100を備える。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、取得部110と、第1分離度算出部120と、振幅検出部130と、位相検出部140と、判定部150とを備える。
取得部110は、測定器BTから血流情報BCを取得する。取得部110は、取得した血流情報BCに含まれるタスク状態TKCの被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度である第1負荷血流情報FBCを第1分離度算出部120に供給する。また取得部110は、取得した血流情報BCに含まれるコントロール状態CLCの被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度である第2負荷血流情報SBCを第1分離度算出部120に供給する。また、取得部110は、取得した血流情報BCに含まれるレスト状態RTC状態の被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度である無負荷血流情報NBCを振幅検出部130と、位相検出部140とに供給する。

【0040】
<第1分離度算出部について>
第1分離度算出部120は、取得部110から第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCを取得する。第1分離度算出部120は、取得した第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCに基づいて、分離度SDを算出する。

【0041】
<分離度について>
以下、図6及び図7を参照し、分離度SDについて説明する。
図6は、実施形態の血流情報BC1の分散を示す散布図の一例を示す第1の図である。
図7は、実施形態の血流情報BC2の分散を示す散布図の一例を示す第2の図である。
具体的には、図6は、健常者HPの第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCの分散を示す散布図である。また、図7は、非健常者SPの第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCの分散を示す散布図である。
図6及び図7に示す散布図の縦軸は酸素化ヘモグロビン濃度を示し、横軸は、酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化の時間微分を示す。換言すると、散布図の縦軸は、酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化の傾きの方向及び傾きの大きさを示す。
この一例では、図6の散布図のプロットPのうち、プロットPT11~プロットPT14は、血流情報BC1に含まれる第1負荷血流情報FBC(この一例では、第1負荷血流情報FBC11、FBC12及びFBC13)に基づくプロットPである。また、プロットPのうち、プロットPC11~プロットPC14は、血流情報BC1に含まれる第2負荷血流情報SBC(この一例では、第2負荷血流情報SBC11及びSBC12)に基づくプロットPである。
また、この一例では、図7の散布図のプロットPのうち、プロットPT21~プロットPT24は、血流情報BC2に含まれる第1負荷血流情報FBC(この一例では、第1負荷血流情報FBC21、FBC22及びFBC23)に基づくプロットPである。また、プロットPのうち、プロットPC21~プロットPC24は、血流情報BC2に含まれる第2負荷血流情報SBC(この一例では、第2負荷血流情報SBC21及びSBC22)に基づくプロットPである。
第1分離度算出部120は、取得した第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCを散布図にプロットした際のクラス内分散と、クラス間分散とに基づいて、分離度SDを算出する。分離度SDの値を単にSDと記載する場合、SDは、次式によって示される。

【0042】
【数1】
JP2018056137A1_000003t.gif

【0043】
分離度SDは、被検体STに負荷が与えられている時の第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度変化の振幅のピークのうち、隣接するピークが離れているほど高い値を示す。ここで、健常者HPと、非健常者SPとでは、健常者HPの方が高い値を示す場合がある。
図6に示す健常者HPの血流情報BCの分離度SDは、5.06である。また、図7に示す非健常者SPの血流情報BCの分離度SDは、0.0461である。
第1分離度算出部120は、算出した分離度SDを示す情報を判定部150に供給する。

【0044】
<振幅検出部について>
図5に戻り、振幅検出部130は、取得部110から無負荷血流情報NBCを取得する。振幅検出部130は、取得した無負荷血流情報NBCに基づいて、ヘモグロビン濃度変化の振幅APを検出する。

【0045】
<振幅について>
以下、図8及び図9を参照し、振幅APについて説明する。
図8は、実施形態の血流情報BC1の振幅APを示す散布図の一例を示す第1の図である。
図9は、実施形態の血流情報BC2の振幅APを示す散布図の一例を示す第2の図である。
具体的には、図8は、健常者HPの無負荷血流情報NBCの分散を示す散布図である。また、図9は、非健常者SPの無負荷血流情報NBCの分散を示す散布図である。
振幅検出部130は、既知の方法によって、無負荷血流情報NBCの振幅APを検出する。
振幅検出部130は、例えば、取得した無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を散布図にプロットした際のプロットPを包含する範囲ARの面積によって、酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化の振幅APを検出する。この一例では、振幅検出部130は、取得した無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度をローレンツプロットによってプロットした際のプロットPを包含する範囲ARに基づいて振幅APを検出する。散布図のプロットPは、X座標がある時刻の酸素化ヘモグロビン濃度であって、Y座標がX座標の当該ある時刻より所定の時間後の酸素化ヘモグロビン濃度である位置にプロットされる。所定の時間後の酸素化ヘモグロビン濃度とは、測定器BTが無負荷血流情報NBCを取得する取得間隔の1回分の時間だけ後に取得された無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度である。

【0046】
この一例では、図8の散布図のプロットPN101~プロットPN115は、血流情報BC1に含まれる無負荷血流情報NBC(この一例では、無負荷血流情報NBC1)に基づくプロットPである。
また、この一例では、図9のプロットPN201~プロットPN217は、血流情報BC2に含まれる無負荷血流情報NBC(この一例では、無負荷血流情報NBC2)に基づくプロットPである。

【0047】
ここで、先に取得した(X座標の)無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度と、後に取得した(Y座標の)無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度とが乖離している場合、酸素化ヘモグロビン濃度変化の振幅が大きい。また、この場合、プロットPが散布図にプロットされる位置は、X座標とY座標が同値である中心線Cから離れた位置である。したがって、酸素化ヘモグロビン濃度変化の振幅が大きい場合、範囲ARの面積は、広くなる。
図9に示す非健常者SPの無負荷血流情報NBCに基づく範囲AR2は、図8に示す健常者HPの無負荷血流情報NBCに基づく範囲AR1より広い面積になる。
振幅検出部130は、範囲ARに基づいて検出した振幅APを示す情報を判定部150に供給する。

【0048】
<位相検出部について>
図5に戻り、位相検出部140は、取得部110から無負荷血流情報NBCを取得する。位相検出部140は、取得した無負荷血流情報NBCに基づいて、酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化の変曲点CPを検出する。具体的には、位相検出部140は、取得した無負荷血流情報NBCの経時変化に基づいて、当該無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度の傾きが変化する変曲点CPを検出する。位相検出部140は、例えば、無負荷血流情報NBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度を、縦軸を酸素化ヘモグロビン濃度及び横軸を時間として無負荷血流情報NBCの経時変化を波形として示した場合、当該波形の変曲点CPの数を検出する。

【0049】
<変曲点について>
以下、図10及び図11を参照し、位相PHについて説明する。
図10は、実施形態の血流情報BC1のうち、無負荷血流情報NBC1の経時変化の一例を示す第1の図である。
図11は、実施形態の血流情報BC2のうち、無負荷血流情報NBC2の経時変化の一例を示す第2の図である。
具体的には、図10は、波形WH1の一部であって、健常者HPの無負荷血流情報NBC1の経時変化を示す測定開始から時刻t1までの波形WH1を示す。また、図11は、波形WS1の一部であって、非健常者SPの無負荷血流情報NBC2の経時変化を示す測定開始から時刻t1までの波形WS1を示す。
図10に示す通り、この一例では、位相検出部140は、無負荷血流情報NBC1の経時変化の変曲点CPとして、変曲点CP101~変曲点CP106の6点を変曲点CPとして検出する。また、図11に示す通り、この一例では、位相検出部140は、無負荷血流情報NBC2の変曲点CPとして、変曲点CP201~変曲点CP220の20点を変曲点CPとして検出する。
なお、位相検出部140は、無負荷血流情報NBCの経時変化の変曲点を検出する構成に代えて、無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形をヒルベルト変換することによって、当該波形の変曲点CPの数を検出する構成であってもよい。
ここで、変曲点CPとは、無負荷血流情報NBCの経時変化の波形において、当該波形の位相PHが変化する点である。具体的には、変曲点CPの数が多いほど、当該波形の位相PHの変化が多く、変曲点CPの数が少ないほど、当該波形の位相PHの変化が少ない。換言すると、変曲点CPとは、無負荷血流情報NBCの経時変化の波形の位相PHを示す情報の一例である。したがって、位相検出部140は、無負荷血流情報NBCの経時変化の波形に基づいて、被検体STの血流の酸素化ヘモグロビン濃度の位相PH(この一例では、変曲点CPの数)を検出する。
位相検出部140は、位相PHを示す情報を判定部150に供給する。

【0050】
<判定部について>
図5に戻り、判定部150は、第1分離度算出部120から分離度SDを示す情報を取得する。また、判定部150は、振幅検出部130から振幅APを示す情報を取得する。また、判定部150は、位相検出部140から位相PHを示す情報を取得する。
判定部150は、分離度SD、振幅AP及び位相PHに基づいて、被検体STの病状を判定する。具体的には、判定部150は、分離度SD、振幅AP及び位相PHに基づいて、被検体STが健常者HPであるか非健常者SPであるかを判定する。

【0051】
<判定基準について>
以下、図12を参照して判定部150が被検体STを判定する判定基準について説明する。
図12は、実施形態の判定部150が被検体STを判定する判定基準の一例を示す表である。
図12に示す通り、判定部150は、レスト状態RTCにおいて、振幅APが閾値TH1より小さい場合、被検体STは、健常者HPの傾向があると判定する。また、判定部150は、レスト状態RTCにおいて、閾値TH1より振幅APが大きい場合、被検体STは、非健常者SPの傾向があると判定する。ここで、閾値TH1とは、健常者HPの無負荷血流情報NBCと、非健常者SPの無負荷血流情報NBCの傾向に基づいて、予め算出された振幅APの基準値である。
また、判定部150は、レスト状態RTCにおいて、無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の位相PHの変化が閾値TH2より少ない(この一例では、変曲点CPの数が少ない)場合、被検体STは、健常者HPの傾向があると判定する。また、判定部150は、レスト状態RTCにおいて、無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の位相PHの変化が閾値TH2より多い場合、被検体STは、非健常者SPの傾向があると判定する。ここで、閾値TH2とは、健常者HPの無負荷血流情報NBCと、非健常者SPの無負荷血流情報NBCの傾向に基づいて、予め算出された位相PHの基準値である。
また、判定部150は、タスク状態TKC又はコントロール状態CLCにおいて、分離度SDの値が閾値TH3より高い場合、被検体STは、健常者HPの傾向があると判定する。また、判定部150は、タスク状態TKC又はコントロール状態CLCにおいて、分離度SDの値が閾値TH3より低い場合、被検体STは、非健常者SPの傾向があると判定する。ここで、閾値TH3とは、健常者HPの第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCと、非健常者SPの第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCとの傾向に基づいて、予め算出された分離度SDの基準値である。
また、分離度SD、振幅AP及び位相PHのそれぞれが示す被検体STの傾向が、健常者HP又は非健常者SPの傾向に一意に定まらない場合、判定部150は、分離度SDに基づいて、被検体STが健常者HPであるか非健常者SPであるかを判定する。また、振幅AP及び位相PHのそれぞれが示す被検体STの傾向が、健常者HP又は非健常者SPの傾向に一意に定まらない場合、判定部150は、振幅APに基づいて、被検体STが健常者HPであるか非健常者SPであるかを判定する。

【0052】
<病状判定装置の動作について>
以下、図13を参照して、病状判定装置10の動作について説明する。
図13は、実施形態の病状判定装置10の動作の一例を示す流れ図である。
取得部110は、測定器BTから酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、血流情報BC)を取得する(ステップS110)。
第1分離度算出部120は、取得部110が取得する酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報のうち、タスク状態TKCにおける被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、第1負荷血流情報FBC)及びコントロール状態CLCにおける被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、第2負荷血流情報SBC)に基づいて、分離度SDを算出する(ステップS120)。振幅検出部130は、取得部110が取得する酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報のうち、レスト状態RTCにおける被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度(この一例では、無負荷血流情報NBC)に基づいて、振幅APを検出する(ステップS130)。位相検出部140は、取得部110が取得する酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報のうち、レスト状態RTCにおける酸素化ヘモグロビン濃度に基づいて、位相PHを検出する(ステップS140)。
判定部150は、第1分離度算出部120が算出する分離度SDと、振幅検出部130が検出する振幅APと、位相検出部140が検出する位相PHとに基づいて、被検体STの病状を判定する(ステップS150)。

【0053】
なお、上述では、判定部150が分離度SDと、振幅APと、位相PHに基づいて、被検体STの病状を判定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、判定部150は、分離度SDのみに基づいて、被検体STの病状を判定する構成であってもよく、振幅APのみに基づいて、被検体STの病状を判定する構成であってもよく、位相PHのみに基づいて、被検体STの病状を判定する構成であってもよく、分離度SD、振幅AP及び位相PHのうち、いずれかの組み合わせによって被検体STの病状を判定する構成であってもよい。
この場合、病状判定装置10は、判定部150が判定に用いる情報に応じて、第1分離度算出部120、振幅検出部130及び位相検出部140のうち、いずれかを備えていなくてもよい。例えば、病状判定装置10は、判定部150が、分離度SDを判定に用いない場合、第1分離度算出部120を備えていなくてもよい。また、病状判定装置10は、判定部150が振幅APを判定に用いない場合、振幅検出部130を備えていなくてもよい。また、病状判定装置10は、判定部150が位相PHを判定に用いない場合、位相検出部140を備えていなくてもよい。

【0054】
以上説明したように、本実施形態の病状判定装置10は、被検体STの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、血流情報BC)のうち、タスク状態TKCの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、第1負荷血流情報FBC)及びコントロール状態CLCの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、第2負荷血流情報SBC)に基づいて、分離度SDを算出し、レスト状態RTCの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(この一例では、無負荷血流情報NBC)に基づいて、振幅AP及び位相PHを検出する。本実施形態の病状判定装置10は、分離度SD、振幅AP及び位相PHに基づいて、被検体STの病状を判定する。
ここで、第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCの分離度SDの値は、被検体STが健常者HPである場合には、高い傾向があり、被検体STが非健常者SPである場合には、低い傾向がある。また、無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の振幅APは、被検体STが健常者HPである場合には、小さい傾向があり、被検体STが非健常者SPである場合には、大きい傾向がある。また、無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の位相PHは、被検体STが健常者HPである場合には、変化が少ない傾向があり、被検体STが非健常者SPである場合には、変化が多い傾向がある。
本実施形態の病状判定装置10は、測定器BTによって検出した血流情報BCに基づく比較的簡素な構成によって、被検体STの病状を判定することができる。

【0055】
また、本実施形態の病状判定装置10が備える振幅検出部130は、散布図の面積を用いて無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の振幅APを検出する。
これにより、本実施形態の病状判定装置10は、比較的容易に振幅APを検出することができる。

【0056】
また、本実施形態の病状判定装置10が備える位相検出部140は、ヒルベルト変換を用いて無負荷血流情報NBCの経時変化を示す波形の位相PHを検出する。
これにより、本実施形態の病状判定装置10は、比較的容易に位相PHを検出することができる。

【0057】
また、本実施形態の病状判定装置10は、測定器BTが被検体STの前頭前野背外側部の血流を測定した情報である血流情報BCに基づいて、被検体STの病状を判定する。
ここで、被検体STがASDや認知症の障害がある非健常者SPである場合、脳の血流のうち、特に前頭前野背外側部の血流に健常者HPとの顕著な違いがみられる。
したがって、本実施形態の病状判定装置10によれば、より精度高く被検体STの病状を判定することができる。

【0058】
また、本実施形態の病状判定システム1は、病状判定装置10と、測定器BTと、表示部DPとを備える。病状判定装置10が備える第1分離度算出部120は、測定器BTが出力する血流情報BCに基づいて、分離度SDを算出する。また、振幅検出部130は、測定器BTが出力する血流情報BCに基づいて、振幅APを検出する。また、位相検出部140は、測定器BTが出力する血流情報BCに基づいて、位相PHを検出する。判定部150は、分離度SD、振幅AP及び位相PHに基づいて被検体STの病状を判定し、判定した判定結果RTを表示部DPに供給する。表示部DPは当該判定結果RTを表示する。
本実施形態の病状判定システム1によれば、被検体STは、当該被検体STを測定器BTによって測定した血流情報BCに基づいて、当該被検体STの病状を判定し、表示部DPによって判定結果RTを確認することができる。したがって、本実施形態の病状判定システム1によれば、被検体STは、当該被検体STの病状をすぐに確認することができる。

【0059】
なお、病状判定装置10は、病状判定システム1が備える測定器BTが出力する血流情報BCに基づいて、被検体STの病状を判定する構成に代えて、過去に被検体STの脳の血流を測定した血流情報BCに基づいて、当該被検体STの病状を判定してもよい。

【0060】
<変形例1>
以下、図を参照して本実施形態の変形例1について説明する。
図14は、変形例1の健常者HPの血流情報BC21の一例を示す図である。
図15は、変形例1の非健常者SPの血流情報BC22の一例を示す図である。
具体的には、図14(a)は、各状態に応じた健常者HPの血流情報BC21の経時変化の一例を示すグラフである。また、図14(b)は、血流情報BC21に含まれる第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCの分散を示す散布図である。
また、図15(a)は、各状態に応じた非健常者SPの血流情報BC22の経時変化の一例を示すグラフである。また、図15(b)は、血流情報BC22の第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCの分散を示す散布図である。

【0061】
血流情報BC21は、上述した実施形態と同様の試験状態によって健常者HPの状態を遷移させた場合の当該健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す情報(血流情報BC)である。したがって、血流情報BC21には、第1負荷血流情報FBC111、第2負荷血流情報SBC111、第1負荷血流情報FBC112、第2負荷血流情報SBC112及び第1負荷血流情報FBC113が含まれる。また、血流情報BC22は、上述した実施形態と同様の試験状態によって非健常者SPの状態を遷移させた場合の当該非健常者SPの血流情報BCである。したがって、血流情報BC22には、第1負荷血流情報FBC221、第2負荷血流情報SBC221、第1負荷血流情報FBC222、第2負荷血流情報SBC222及び第1負荷血流情報FBC223が含まれる。

【0062】
上述したように、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化の傾向として、図14(a)に示す健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度(この一例では、血流情報BC1)は、タスク状態TKCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が上昇することを示す。また、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度は、コントロール状態CLCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が減少することを示す。
これに対し、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の変化は、健常者HPの血流情報BCとは異なる変化をする場合がある。例えば、図15(a)に示す非健常者SPの血流情報BC2は、タスク状態TKCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が減少することを示す。また、非健常者SPの血流情報BC2は、コントロール状態CLCにおいて酸素化ヘモグロビン濃度が上昇することを示す。
したがって、波形WH2と、波形WS2とは、位相が180度ずれた波形である。

【0063】
ここで、第1分離度算出部120が上述した構成によって分離度SDを算出する場合、図14(a)に示す健常者HPの血流情報BC1の分離度SDと、図15(a)に示す非健常者SPの血流情報BC2の分離度SDとが一致する場合がある。
具体的には、図14(b)の散布図のプロットPのうち、プロットPT111~プロットPT114は、血流情報BC21に含まれる第1負荷血流情報FBC(この一例では、第1負荷血流情報FBC111、FBC112及びFBC113)に基づくプロットPである。また、プロットPのうち、プロットPC111~PC114は、血流情報BC21に含まれる第2負荷血流情報SBC(この一例では、第2負荷血流情報SBC111、SBC112)に基づくプロットPである。
また、図15(b)の散布図のプロットPのうち、プロットPT211~プロットPT214は、血流情報BC22に含まれる第1負荷血流情報FBC(この一例では、第1負荷血流情報FBC221、FBC222及びFBC223)に基づくプロットPである。また、プロットPのうち、プロットPC211~PC214は、血流情報BC22に含まれる第2負荷血流情報SBC(この一例では、第2負荷血流情報SBC221、SBC222)に基づくプロットPである。
図14(b)及び図15(b)に示す通り、基づく情報が違うプロットPであっても、散布図にプロットされるプロットPの位置は、相関する。
変形例1の病状判定装置20は、分離度SDに更に重みづけを行うことによって、より精度高く被検体STの病状を判定する。
なお、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。

【0064】
<病状判定装置の構成について>
以下、図を参照して、病状判定システム2の構成について説明する。
図16は、変形例1の病状判定システム2の構成の一例を示す図である。
病状判定システム2は、測定器BTと、病状判定装置20と、表示部DPとを備える。

【0065】
病状判定装置20は、制御部200を備える。制御部200は、CPUを備えており、取得部110と、第1分離度算出部120と、振幅検出部130と、位相検出部140と、判定部150と、第2分離度算出部160とをその機能部として備える。
変形例1の第1分離度算出部120は、算出した分離度SDと、加点nと、減点mとを示す情報を第2分離度算出部160に供給する。

【0066】
<加点及び減点について>
以下、図を参照して加点n及び減点mについて説明する。
図17は、変形例1の加点n及び減点mの一例を示す図である。
具体的には、図17(a)は、加点nが加算される場合のプロットPの位置を示す図である。また、図17(b)は、減点mが加算される場合のプロットPの位置を示す図である。
変形例1では、第1分離度算出部120は、取得した第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCを散布図にプロットした際のプロットPの位置と、当該プロットPの基づく情報とによって、加点nと、減点mとを算出する。
図17(a)に示す通り、第1分離度算出部120は、第1負荷血流情報FBCに基づくプロットPであるプロットPTが散布図の第1象限に位置する場合、プロットPT一つにつき加点nを1点加算する。また、第1分離度算出部120は、第2負荷血流情報SBCに基づくプロットPであるプロットPCが散布図の第3象限に位置する場合、プロットPC一つにつき加点nを1点加算する。図17(a)に示す一例の場合、加点nは、8点であって、減点mは、0点である。
また、図17(b)に示す通り、第1分離度算出部120は、プロットPTが散布図の第3象限に位置する場合、プロットPT一つにつき減点mを1点加算する。また、第1分離度算出部120は、プロットPCが散布図の第1象限に位置する場合、プロットPC一つにつき減点mを1点加算する。図17(b)に示す一例の場合、加点nは、0点であって、減点mは、8点である。
加点n及び減点mとは、負荷(この一例では、タスク状態TKC及びコントロール状態CLC)に基づく重み係数の一例である。

【0067】
<第2分離度算出部について>
図16に戻り、第2分離度算出部160は、第1分離度算出部120から分離度SD、加点n及び減点mを示す情報を取得する。
第2分離度算出部160は、取得した分離度SD、加点n及び減点mに基づいて、重み付き分離度WSDを算出する。重み付き分離度WSDとは、分離度SDに重み係数(この一例では、加点n及び減点m)を乗じた値である。重み付き分離度WSDの値を単にWSDと記載する場合、WSDは、次式によって示される。

【0068】
【数2】
JP2018056137A1_000004t.gif

【0069】
重み付き分離度WSDは、被検体STに負荷が与えられている時の第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBCが示す酸素化ヘモグロビン濃度変化の振幅のピークのうち、隣接するピークが離れているほど高い値を示す。ここで、健常者HPと、非健常者SPとでは、健常者HPの方が高い値を示す場合がある。
第2分離度算出部160は、算出した重み付き分離度WSDを示す情報を判定部150に供給する。
以降の構成は上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。

【0070】
以上説明したように、変形例1の病状判定装置20は、第2分離度算出部160を備える。第2分離度算出部160は、分離度SDに、タスク状態と、コントロール状態とに基づく重み係数(この一例では、加点n及び減点m)を乗じた重み付き分離度WSDを算出する。変形例1の病状判定装置20は、算出した重み付き分離度WSDに更に基づいて、被検体STの病状を判定する。

【0071】
変形例1の病状判定装置20によれば、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示す波形の形状と、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度の経時変化を示す波形の形状とが類似する場合であっても、健常者HPと、非健常者SPとをより精度高く判定することができる。

【0072】
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例1では、血流情報BCのうち、無負荷血流情報NBCの振幅に基づいて、被検体STの病状を判定する場合について説明した。変形例2では、血流情報BCのうち、第1負荷血流情報FBCや第2負荷血流情報SBCの振幅に基づいて、被検体STの病状を判定する場合について説明する。
なお、上述した実施形態及び変形例1に記載の構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。

【0073】
図18は、変形例2のタスク状態TKCの一例を示す図である。
上述したように、タスク状態TKCには、被検体STが提示情報を記憶する状態(以下、記憶状態という。)と、当該記憶する情報に基づいて作業を行う状態(以下、作業状態という。)が含まれる。変形例2では、タスク状態TKCの時間が、24~39秒程度の時間であって、初めの9~24秒が記憶状態であって、後の15秒が作業状態である。以降の説明において、記憶状態を、タスク状態TKCaとも記載する。また、タスク状態TKCのうち、作業状態を、タスク状態TKCbとも記載する。
以下、記憶状態、作業状態及びコントロール状態CLCおける、健常者HP及び非健常者の血流情報BCの振幅の特徴について、図19~30を参照し、説明する。

【0074】
<記憶状態における血流情報BCの特徴について>
図19は、変形例2の記憶状態における健常者HPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図20は、変形例2の記憶状態における健常者HPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図19に示す波形WH11及び図20に示す波形WH12は、記憶状態において計測された健常者HPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図19及び図20のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図19及び図20において、時刻t1から時刻t11までの間は、記憶状態である。具体的には、時刻t1から開始されるタスク状態TKC1の記憶状態(図示する、タスク状態TKCa1)である。
波形WH11が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、記憶状態を開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が減少し、減少した後に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「谷型」の変化である。これは、健常者HPが、記憶状態において提示情報を記憶しようと集中するまでにやや時間を必要とするものの(例えば、図示する測定点MP1~変曲点CPまでの間)、記憶状態において情報が提示されている間(時刻t11まで)は、情報を覚えようと最後まで集中していることを示す。
また、波形WH12が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、記憶状態を開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「右上がり」の変化である。これは、健常者HPが、記憶状態において提示情報が提示されている間(時刻t11まで)は、情報を覚えようと最後まで集中していることを示す。

【0075】
図21は、変形例2の記憶状態における非健常者SPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図22は、変形例2の記憶状態における非健常者SPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図21に示す波形WS11及び図22に示す波形WS12は、記憶状態において計測された非健常者SPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図21及び図22のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図21及び図22において、時刻t1から時刻t11までの間は、記憶状態である。具体的には、時刻t1から開始されるタスク状態TKC1の記憶状態(図示する、タスク状態TKCa1)である。
波形WS11が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、記憶状態を開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が上昇し、上昇した後に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「山型」の変化である。これは、非健常者SPが、記憶状態において情報が提示されている間(時刻t11まで)、集中が持続せず、記憶状態の後半で脳活動が鈍くなっていることを示す。
また、波形WS12が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、記憶状態を開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「右下がり」の変化である。これは、非健常者SPには、タスクTKと関連した脳活動が見受けられないことを示す。

【0076】
<作業状態における血流情報BCの特徴について>
図23は、変形例2の作業状態における健常者HPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図24は、変形例2の作業状態における健常者HPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図23に示す波形WH21及び図24に示す波形WH22は、作業状態において計測された健常者HPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図23及び図24のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図23及び図24において、時刻t11から時刻t2までの間は、作業状態である。具体的には、時刻t11から開始されるタスク状態TKC1の作業状態(図示する、タスク状態TKCb1)である。
波形WH21が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、作業状態を開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が上昇し、上昇した後に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「山型」の変化である。これは、健常者HPが、作業状態において提示情報を選択している間(例えば、図示する測定点MP1~変曲点CP3までの間)は集中し、選択の完了に伴って集中を終えていることを示す。
また、波形WH22が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、作業状態を開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「右上がり」の変化である。これは、健常者HPが、作業状態において提示情報を思い出すために思考していることを示す。

【0077】
図25は、変形例2の作業状態における非健常者SPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図26は、変形例2の作業状態における非健常者SPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図25に示す波形WS21及び図26に示す波形WS22は、作業状態において計測された非健常者SPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図25及び図26のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図25及び図26において、時刻t11から時刻t2までの間は、作業状態である。具体的には、時刻t11から開始されるタスク状態TKC1の作業状態(図示する、コントロール状態CLC1)である。
波形WS21が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、作業状態を開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が減少し、減少した後に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「谷型」の変化である。これは、非健常者SPには、タスクTKに関連する脳活動が見受けられず、タスクTKと関連しない脳活動が見受けられることを示す。
また、波形WS22が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、作業状態を開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「右下がり」の変化である。これは、非健常者SPには、タスクTKと関連した脳活動が見受けられないことを示す。

【0078】
<コントロール状態CLCにおける血流情報BCの特徴について>
図27は、変形例2のコントロール状態CLCにおける健常者HPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図28は、変形例2のコントロール状態CLCにおける健常者HPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図27に示す波形WH31及び図28に示す波形WH32は、コントロール状態CLCにおいて計測された健常者HPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図27及び図28のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、健常者HPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図27及び図28において、時刻t2から時刻t3までの間は、コントロール状態CLCである。具体的には、時刻t2から開始されるコントロール状態CLC(図示する、コントロール状態CLC1)である。
波形WH31が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、コントロール状態CLCを開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が上昇し、上昇した後に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「山型」の変化である。これは、健常者HPが、コントロール状態CLCにおいて提示情報を選択している間(例えば、図示する測定点MP1~変曲点CP3までの間)は集中し、選択の完了に伴って集中を終えていることを示す。
また、波形WH32が示す通り、健常者HPの血流情報BCは、コントロール状態CLCを開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が減少する「右下がり」の変化である。これは、健常者HPにとって、コントロール状態CLCに与えられる負荷(コントロールCL)が、タスク状態TKCにおいて与えられる負荷(タスクTK)より簡単な負荷であるため、集中力が徐々に減少していることを示す。

【0079】
図29は、変形例2のコントロール状態CLCにおける非健常者SPの血流情報BCの一例を示す図である。また、図30は、変形例2のコントロール状態CLCにおける非健常者SPの血流情報BCの他の例を示す図である。
図29に示す波形WS31及び図30に示す波形WS32は、コントロール状態CLCにおいて計測された非健常者SPの血流情報BCの経時変化の一例を示すグラフである。図29及び図30のグラフの横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、非健常者SPの酸素化ヘモグロビン濃度を示す。図29及び図30において、時刻t2から時刻t3までの間は、コントロール状態CLCである。具体的には、時刻t2から開始されるコントロール状態CLC(図示する、コントロール状態CLC1)である。
波形WS31が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、コントロール状態CLCを開始してから酸素化ヘモグロビン濃度が減少し、減少した後に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「谷型」の変化である。これは、非健常者SPには、タスクTKに関連する脳活動が見受けられず、タスクTKと関連しない脳活動が見受けられることを示す。
また、波形WS32が示す通り、非健常者SPの血流情報BCは、コントロール状態CLCを開始してから徐々に酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する「右上がり」の変化である。これは、非健常者SPには、タスクTKと関連した脳活動が見受けられないことを示す。

【0080】
変形例2の病状判定システム3は、上述したような、記憶状態の第1負荷血流情報FBC、作業状態の第1負荷血流情報FBC及びコントロール状態CLCの第2負荷血流情報SBCの振幅に基づいて、被検体STの病状を判定する。以下、病状判定システム3の具体的な構成について説明する。

【0081】
<病状判定装置の構成について>
図31は、変形例2の病状判定システム3の構成の一例を示す図である。
病状判定システム3は、測定器BTと、病状判定装置30と、表示部DPとを備える。

【0082】
病状判定装置30は、制御部300を備える。制御部300は、CPUを備えており、取得部110と、第1分離度算出部120と、振幅検出部130と、位相検出部140と、判定部150と、第2分離度算出部160と、形状検出部170と、形状判定部180とをその機能部として備える。

【0083】
変形例2では、取得部110は、取得した血流情報BC(この一例では、第1負荷血流情報FBC及び第2負荷血流情報SBC)を形状検出部170に供給する。
形状検出部170は、第1負荷血流情報FBCに基づいて、記憶状態の振幅を検出する。病状判定システム3は、例えば、「山型」の基準画像、「谷型」の基準画像、「右上がり」の基準画像及び「右下がり」の基準画像と、第1負荷血流情報FBCのうち、記憶状態がどのタイミングであるか(この一例では、タスク状態TKC開始から9~24秒までの間)を示す情報を記憶部(不図示)に記憶しており、形状検出部170は、取得した第1負荷血流情報FBCのうち、「記憶状態」の間の酸素化ヘモグロビン濃度を示す値を時間毎にプロットしたプロット画像(例えば、図19~図22における波形WH11~12及び波形WS11~12の形状を示す画像)と、各基準画像とを照らし合わせて、プロット画像と合致する基準画像を検索する。形状検出部170は、合致した基準画像の形状を示す情報と、プロット画像が示す被検体STの状態(この一例では、記憶状態)を示す状態情報とを対応付けて、検出情報(以下、検出情報DR1という。)として形状判定部180に供給する。

【0084】
また、形状検出部170は、第1負荷血流情報FBCに基づいて、作業状態の振幅を検出する。病状判定システム3は、例えば、第1負荷血流情報FBCのうち、作業状態がどのタイミングであるか(この一例では、タスク状態TKC開始から9~24秒経過してから15秒間)を示す情報を記憶部(不図示)に記憶しており、形状検出部170は、取得した第1負荷血流情報FBCのうち、「作業状態」の間の酸素化ヘモグロビン濃度を示す値を時間毎にプロットしたプロット画像(例えば、図23~図26における波形WH21~22及び波形WS21~22の形状を示す画像)と、各基準画像とを照らし合わせて、プロット画像と合致する基準画像を検索する。形状検出部170は、合致した基準画像の形状を示す情報と、プロット画像が示す被検体STの状態(この一例では、作業状態)を示す状態情報とを対応付けて、検出情報(以下、検出情報DR2という。)として形状判定部180に供給する。

【0085】
また、形状検出部170は、第2負荷血流情報SBCに基づいて、コントロール状態CLCの振幅を検出する。形状検出部170は、取得した第2負荷血流情報SBCのうち、「コントロール状態CLC」の間の酸素化ヘモグロビン濃度を示す値を時間毎にプロットしたプロット画像(例えば、図27~図30における波形WH31~32及び波形WS31~32の形状を示す画像)と、各基準画像とを照らし合わせて、プロット画像と合致する基準画像を検索する。形状検出部170は、合致した基準画像の形状を示す情報と、プロット画像が示す被検体STの状態(この一例では、コントロール状態CLC)を示す状態情報とを対応付けて、検出情報(以下、検出情報DR3という。)として形状判定部180に供給する。以降の説明において、検出情報DR1~検出情報DR3を区別しない場合には、総称して検出情報DRと記載する。

【0086】
形状判定部180は、形状検出部170から検出情報DR1を取得する。形状判定部180は、検出情報DR1が「谷型」及び「右上がり」であることを示す場合、被検体STが健常者HPであると判定する。また、形状判定部180は、検出情報DR1が「山型」及び「右下がり」であることを示す場合、被検体STが非健常者SPであると判定する。
形状判定部180は、形状検出部170から検出情報DR2を取得する。形状判定部180は、検出情報DR2が「山型」及び「右上がり」であることを示す場合、被検体STが健常者HPであると判定する。また、形状判定部180は、検出情報DR2が「谷型」及び「右下がり」であることを示す場合、被検体STが非健常者SPであると判定する。
形状判定部180は、形状検出部170から検出情報DR3を取得する。形状判定部180は、検出情報DR3が「山型」及び「右下がり」であることを示す場合、被検体STが健常者HPであると判定する。また、形状判定部180は、検出情報DR3が「谷型」及び「右上がり」であることを示す場合、被検体STが非健常者SPであると判定する。
表示部DPは、形状判定部180が判定した判定結果を表示する。

【0087】
なお、形状検出部170は、記憶状態の振幅のみを検出する構成であってもよく、作業状態の振幅のみを検出する構成であってもよく、コントロール状態CLCの振幅のみを検出する構成であってもよく、複数の状態を検出する構成であってもよい。この場合、取得部110は、形状検出部170が検出する状態に応じて、第1負荷血流情報FBC又は第2負荷血流情報SBCを形状検出部170に供給する。また、形状判定部180は、検出情報DR1~検出情報DR3のうち、形状検出部170から供給される検出情報DRに応じた判定を行う。

【0088】
また、上述では、形状検出部170が基準画像に基づいて、第1負荷血流情報FBCの振幅及び第2負荷血流情報SBCの振幅を検出する場合について説明したが、これに限られない。形状検出部170は、各状態における被検体STの血流のヘモグロビン濃度の値に基づいて、振幅を検出する構成であってもよい。
この場合、形状検出部170は、第1負荷血流情報FBCのうち、「記憶状態」の開始時及び終了時における酸素化ヘモグロビン濃度を示す値(図19~図22における測定点MP1及び測定点MP2)、第1負荷血流情報FBCのうち、「作業状態」の開始時及び終了時における酸素化ヘモグロビン濃度を示す値(図23~図26における測定点MP1及び測定点MP2)及び第2負荷血流情報SBCのうち、「コントロール状態CLC」の開始時及び終了時における(図27~図30における測定点MP1及び測定点MP2)を取得する。また、形状検出部170は、開始時及び終了時の間に酸素化ヘモグロビン濃度の傾きが変化する変曲点CP(図21、図23、図25、図27及び図29における変曲点CP3)を検出する。

【0089】
形状検出部170は、変曲点CP3が存在しない場合、測定点MP2の値から測定点MP1の値を差し引いた値が正の値であるか、負の値であるかを示す情報(つまり、「右上がり」又は「右下がり」)を示す情報を形状判定部180に供給する。
また、形状検出部170は、変曲点CP3が存在する場合、変曲点CP3の値から測定点MP1の値を差し引いた値が正の値であって、かつ測定点MP2の値から変曲点CP3の値を差し引いた値が負の値であるか(つまり、「山型」であるか)又は変曲点CP3の値から測定点MP1の値を差し引いた値が負の値であって、かつ測定点MP2の値から変曲点CP3の値を差し引いた値が正の値であるか(つまり、「谷型」であるか)を示す検出情報DRを形状判定部180に供給する。

【0090】
なお、形状検出部170は、変曲点CP3の値から測定点MP1の値を差し引いた値と、測定点MP2の値から変曲点CP3の値を差し引いた値とを検出情報DRとして形状判定部180に供給する構成であってもよい。この場合、形状判定部180は、検出情報DRに基づいて、各状態における血流情報BCの形状が「山型」、「谷型」「右上がり」及び「左上がり」のうち、いずれの形状であるかを判定する。
また、形状検出部170は、酸素化ヘモグロビン濃度変化が「山型」、「谷型」「右上がり」及び「左上がり」のいずれにも一致しない場合には、一致しないことを示す検出情報DRを形状判定部180に供給する構成であってもよい。この場合、形状判定部180は、検出情報DRに基づく被検体STの病状判定を行わない。

【0091】
また、病状判定装置30は、形状検出部170の判定結果及び判定部150の判定結果RTに基づいて、被検体STの病状を判定する構成であってもよい。この場合、判定部150は、形状検出部170の判定結果を取得する。判定部150は、例えば、判定結果RTと、形状検出部170の判定結果とが一致する場合、当該判定結果を判定結果RTとして表示部DPに供給する。また、判定部150は、例えば、判定結果RTと、形状検出部170の判定結果とが一致しない場合、再度測定促す判定結果RTを表示部DPに供給する。また、判定部150は、例えば、判定結果RTと、形状検出部170の判定結果とが一致しない場合、判定結果RTと、判定結果RTの妥当性が低いことを示す情報を表示部DPに供給する。この場合、形状判定部180の機能を判定部150が有する構成であってもよい。

【0092】
以上説明したように、変形例2の病状判定装置30は、第1負荷振幅検出部(この一例では、形状検出部170)を更に備える。形状検出部170は、第1負荷血流情報FBCに基づいて、被検体STの血流のヘモグロビン濃度変化の振幅を検出する。判定部(この一例では、形状判定部180は、形状検出部170が検出したタスク状態TKCにおける被検体STの血流のヘモグロビン濃度変化の振幅(この一例では、検出情報DR1又は検出情報DR2)に基づいて、被検体STの病状を判定する。

【0093】
また、変形例2の病状判定装置30において、タスク状態TKCには、記憶状態と、作業状態とが含まれ、形状検出部170は、記憶状態において取得された第1負荷血流情報FBCに基づいて、記憶状態における被検体STの血流のヘモグロビン濃度変化の振幅(この一例では、検出情報DR1)を検出する。形状判定部180は、検出情報DR1に基づいて、被検体STの病状を判定する。

【0094】
また、変形例2の病状判定装置30が備える形状検出部170は、作業状態において取得された第1負荷血流情報FBCに基づいて、作業状態における被検体STの血流のヘモグロビン濃度変化の振幅(この一例では、検出情報DR2)を検出する。形状判定部180は、検出情報DR2に基づいて、被検体STの病状を判定する。

【0095】
また、変形例2の病状判定装置30が備える第2負荷振幅検出部(この一例では、形状検出部170)は、第2負荷血流情報SBCに基づいて、コントロール状態CLCにおける被検体STの血流のヘモグロビン濃度変化の振幅(この一例では、検出情報DR3)を検出する。形状判定部180は、検出情報DR3に基づいて、被検体STの病状を判定する。

【0096】
変形例2の病状判定装置30によれば、測定器BTによって検出した血流情報BCに基づく比較的簡素な構成によって、被検体STの病状を判定することができる。

【0097】
なお、上記の各実施形態における病状判定装置10及び病状判定装置20が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。

【0098】
なお、病状判定装置10及び病状判定装置20が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、病状判定装置10及び病状判定装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。

【0099】
また、病状判定装置10及び病状判定装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。

【0100】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。

【0101】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1、2…病状判定システム、10、20…病状判定装置、100、200…制御部、110…取得部、120…第1分離度算出部、130…振幅検出部、140…位相検出部、150…判定部、160…第2分離度算出部、PH…位相、AP…振幅、SD…分離度、WSD…重み付き分離度、BT…測定器、DP…表示部、RTC…レスト状態、TK…タスク、CL…コントロール、CLC、CLC1、CLC2…コントロール状態、TKC、TKC1、TKC2、TKC3…タスク状態、BC、BC1、BC2、BC21、BC22…血流情報、ST…被検体、HP…健常者、SP…非健常者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14A】
13
【図14B】
14
【図15A】
15
【図15B】
16
【図16】
17
【図17A】
18
【図17B】
19
【図18】
20
【図19】
21
【図20】
22
【図21】
23
【図22】
24
【図23】
25
【図24】
26
【図25】
27
【図26】
28
【図27】
29
【図28】
30
【図29】
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【図30】
32
【図31】
33