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明細書 :プリンヌクレオシド誘導体、ポリヌクレオチド及びRNA

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年6月24日(2019.6.24)
発明の名称または考案の名称 プリンヌクレオシド誘導体、ポリヌクレオチド及びRNA
国際特許分類 C07H  19/207       (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
C12N  15/11        (2006.01)
FI C07H 19/207 CSP
C12N 15/113 ZNAZ
C12N 15/11 Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 44
出願番号 特願2018-538468 (P2018-538468)
国際出願番号 PCT/JP2017/032310
国際公開番号 WO2018/047909
国際出願日 平成29年9月7日(2017.9.7)
国際公開日 平成30年3月15日(2018.3.15)
優先権出願番号 2016175758
優先日 平成28年9月8日(2016.9.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】小笠原 慎治
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100140578、【弁理士】、【氏名又は名称】沖田 英樹
審査請求 未請求
テーマコード 4C057
Fターム 4C057BB02
4C057DD03
4C057LL39
4C057LL40
4C057LL45
4C057LL46
要約 下記式(Ia)等で表されるプリンヌクレオシド誘導体が開示される。
【化1】
JP2018047909A1_000023t.gif
及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Zは糖残基を示す。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb):
【化1】
JP2018047909A1_000017t.gif
で表され、これら式中、X及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Zは下記式(III):
【化2】
JP2018047909A1_000018t.gif
で表される糖残基を示し、式中、*は窒素原子との結合部位を示し、Yは水素原子又は水酸基を示し、Yは水酸基又はリン酸基を示し、式中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立にアニオン化していても、化学修飾されていてもよい、
プリンヌクレオシド誘導体。
【請求項2】
下記式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb):
【化3】
JP2018047909A1_000019t.gif
で表され、これら式中、X及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Zは下記式(IV):
【化4】
JP2018047909A1_000020t.gif
で表される基を示し、式中、*は窒素原子との結合部位を示し、Baseは核酸塩基を示し、式中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立にアニオン化していても、化学修飾されていてもよい、
プリンヌクレオシド誘導体。
【請求項3】
下記式(Ia’)、(Ib’)、(IIa’)又は(IIb’):
【化5】
JP2018047909A1_000021t.gif
で表される塩基部分及びこれが結合した糖部分を有する修飾ヌクレオチド単位を含み、これら式中、X及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Z’は前記糖部分との結合部位を示す、
ポリヌクレオチド。
【請求項4】
下記式(V):
【化6】
JP2018047909A1_000022t.gif
で表される5’キャップ構造を有するRNAであって、式中、*はポリヌクレオチドの5’末端との結合部位を示し、X及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、式中の水酸基及びリン酸基はアニオン化していても、化学修飾されていてもよい、
RNA。
【請求項5】
請求項4に記載のRNAが導入された真核細胞に光を照射することを含む、タンパク質の産生量を制御する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンヌクレオシド誘導体、ポリヌクレオチド及びRNAに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特定の波長を有する光の照射によってタンパク質の産生量を制御し得るRNAを開示している。非特許文献1は、各種の核酸機能の光制御について記載している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-207863号公報
【0004】

【非特許文献1】Chem. Rev. 2013, 113, 6114-6178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体細胞中の各種核酸の作用を光の照射によって制御する場合、生体細胞の損傷又は死滅を防ぐために、短い照射時間で活性を制御できることが望ましい。例えば特許文献1に開示されるRNAは、光照射によって作用を発現する構造に異性化しても、光の供給が途絶えると熱反応によって数10ミリ秒以内の極めて短時間で元の構造に戻るため、所望の機能を維持するためには長時間の継続的な光照射が必要となることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、下記式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb):
【化1】
JP2018047909A1_000003t.gif
で表されるプリンヌクレオシド誘導体を提供する。これら式中、X及びXはぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示し、Arは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Zは下記式(III):
【化2】
JP2018047909A1_000004t.gif
で表される糖残基を示す。式(III)中、*は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)中の窒素原子との結合部位を示し、Yは水素原子又は水酸基を示し、Yは水酸基又はリン酸基を示す。式(III)中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立に水素原子が脱離してアニオン化していてもよいし、化学修飾されていてもよい。
【0007】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)中のZは、下記式(IV):
【化3】
JP2018047909A1_000005t.gif
で表される基であってもよい。式(IV)中、*は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)中の窒素原子との結合部位を示し、Baseは核酸塩基を示す。式(IV)中の水酸基及びリン酸基は水素原子が脱離してアニオン化していてもよいし、化学修飾されていてもよい。
【0008】
本発明の別の側面は、上記プリンヌクレオシド誘導体から誘導される構成単位を任意の位置に含む、ポリヌクレオチドを提供する。上記プリンヌクレオシド誘導体から誘導される構成単位は、下記式(Ia’)、(Ib’)、(IIa’)、又は(IIb’)で表される塩基部分及びこれが結合した糖部分を有する修飾ヌクレオチド単位であることができる。これら式中、X、X、Ar及びRは式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のX、X、Ar及びRと同義である。Z’は前記糖部分との結合部位を示す、
【0009】
【化4】
JP2018047909A1_000006t.gif

【0010】
上記修飾ヌクレオチド単位が導入されたポリヌクレオチドは、下記式(V):
【化5】
JP2018047909A1_000007t.gif
で表される5’キャップ構造を有するRNAであってもよい。式(V)中、*は5’末端との結合部位を示し、X、X、及びArは式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のX、X、及びArと同義である。式(V)中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立にアニオン化していても、化学修飾されていてもよい。
【0011】
本発明の更に別の側面は、上記RNAが導入された真核細胞に光を照射することを含む、タンパク質の産生量を制御する方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面に係るプリンヌクレオシド誘導体から誘導される構成単位を導入したポリヌクレオチド又はRNAは、短時間の光照射によりその活性を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タンパク質の産生量を制御するメカニズムを示す模式図である。
【図2】プリンヌクレオシド誘導体(2PA-cap)の吸収スペクトルである。
【図3】プリンヌクレオシド誘導体(pMe-2PA-cap)の吸収スペクトルである。
【図4】プリンヌクレオシド誘導体(mMe-2PA-cap)の吸収スペクトルである。
【図5】プリンヌクレオシド誘導体(oMe-2PA-cap)の吸収スペクトルである。
【図6】プリンヌクレオシド誘導体(pEt-2PA-cap)の吸収スペクトルである。
【図7】プリンヌクレオキシド誘導体(2PA-cap)の370nm又は430nmの光照射下でのトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図8】プリンヌクレオキシド誘導体(pMe-2PA-cap)の370nm又は430nmの光照射下でのトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図9】プリンヌクレオキシド誘導体(mMe-2PA-cap)の370nm又は430nmの光照射下でのトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図10】プリンヌクレオキシド誘導体(pEt-2PA-cap)の370nm又は430nmの光照射下でのトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図11】プリンヌクレオキシド誘導体(2PA-cap)の光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。
【図12】プリンヌクレオキシド誘導体(pMe-2PA-cap)の光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。
【図13】プリンヌクレオキシド誘導体(mMe-2PA-cap)の光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。
【図14】プリンヌクレオキシド誘導体(oMe-2PA-cap)の光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。
【図15】プリンヌクレオキシド誘導体(pEt-2PA-cap)の光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。
【図16】370nm及び430nmの光を交互に照射したときのプリンヌクレオキシド誘導体(2PA-cap)の可逆的なシス体-トランス体のスイッチングを示すグラフである。
【図17】370nm及び430nmの光を交互に照射したときのプリンヌクレオキシド誘導体(pMe-2PA-cap)の可逆的なシス体-トランス体のスイッチングを示すグラフである。
【図18】370nm及び430nmの光を交互に照射したときのプリンヌクレオキシド誘導体(mMe-2PA-cap)の可逆的なシス体-トランス体のスイッチングを示すグラフである。
【図19】370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図20】370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図21】370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図22】370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図23】370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。
【図24】シス体又はトランス体が優勢なゼブラフィッシュ胚からの蛍光強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

【0015】
一実施形態に係るプリンヌクレオシド誘導体は、下記式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)で表される化合物である。

【0016】
【化6】
JP2018047909A1_000008t.gif

【0017】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のX及びXは、ぞれぞれ独立に窒素原子、-CH=又は-CR=(Rはアルキル基を示す。)を示す。-X=X-の基は、シス体又はトランス体のいずれであってもよく、所定の光の照射によりシス体からトランス体、又はトランス体からシス体に容易に異性化する。したがって、通常、シス体及びトランス体が混在しながら、一方の比率が他方の比率よりも大きい状態にあることが多い。

【0018】
生体細胞内に存在する翻訳開始因子等の各種のタンパク質との相互作用の強さがシス体とトランス体とで異なることに基づいて、生体細胞内での各種RNAによる翻訳等の作用の発現を制御することができる。式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)のプリンヌクレオシド誘導体は、光照射後、周囲温度によるシス体-トランス体の異性化を生じ難い。そのため、例えば数秒~数分程度の短時間の光照射の後、数分から数時間にわたって異性化による活性状態が維持され得る。X及びXが窒素原子であってもよい。言い換えると、-X=X-がアゾ基(-N=N-)であってもよい。これにより、より長波長の光によってシス体-トランス体の異性化を進行させることができる。

【0019】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のArは、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、これらは、単環又は複数の環から構成される縮合環であってもよい。

【0020】
Arとしてのアリール基の炭素数は5~30、又は6~13であってもよい。炭素数5~30のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、as-インダセニル基、s-インダセニル基、アセナフチレニル基、9H-フルオレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、テトラフェニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、及びペンタセニル基が挙げられる。

【0021】
Arとしてのヘテロアリール基は、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1又は2以上のヘテロ原子を環構成原子として含む、5~10員環の基であってもよい。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個又は2個含む5員環又は6員環の基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピロリル基、及びイミダゾリル基のような窒素原子を含む単環式ヘテロアリール基、インドリル基のような窒素原子を含む縮合環式ヘテロアリール基、キノリニル基、2,7-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,5-ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、9H-カルバゾリル基、9H-β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、1H-ペリミジニル基、フェナントロリニル基(4,7-フェナントロリニル基、3,8-フェナントロリニル基及び2,9-フェナントロリニル基など)、フェナジニル基、テベニジニル基、並びに10H-キンドリニル基が挙げられる。

【0022】
Arは特に、下記(10)で表される置換又は無置換のフェニル基であってもよい。

【0023】
【化7】
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【0024】
式(10)中、*はXとの結合部位を示し、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいテロアリール基を示す。

【0025】
11、R12、R13、R14又はR15としてのアルキル基は、例えば炭素数1~20のアルキル基であってもよく、その例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、及びトリチル基が挙げられる。

【0026】
11、R12、R13、R14又はR15としてのアリール基は、炭素数5~30のアリール基であってもよく、その例としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、及びピレニル基が挙げられる。

【0027】
11、R12、R13、R14又はR15としてのヘテロアリール基は、5~10員環であってもよく、その例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、インドリル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、テベニジニル基、及び10H-キンドリニル基が挙げられる。

【0028】
11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1~10若しくは1~3のアルキル基であってもよい。

【0029】
式(Ia)及び(IIa)中のRは水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Rは炭素数1~3のアルキル基、特にメチル基であってもよい。

【0030】
以上説明した各置換基の種類及び組み合わせは、シス体とトランス体とでターゲットとするタンパク質との相互作用の差異が大きくなるなど、各種の核酸機能を光制御できるように、適宜選択することができる。

【0031】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のZは、下記式(III):
【化8】
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で表される糖残基であってもよい。式(III)中、*は窒素原子との結合部位を示し、Yは水素原子又は水酸基を示し、Yは水酸基又はリン酸基を示す。式(III)中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立に水素原子が脱離してアニオン化していてもよく、化学修飾されていてもよい。

【0032】
本明細書において、水酸基及びリン酸基の化学修飾は、保護基による保護、及び反応性を付与するための活性化基との結合を含む。水酸基を保護する保護基の例としては、アセチル基、イソブチル基、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、及びジメトキシトリチル基(DMTr)が挙げられる。

【0033】
本明細書において、リン酸基は、下記各式で表される一リン酸基、二リン酸基、三リン酸基、四リン酸基、五リン酸基、及び六リン酸基を含む。式中の-OHは、水素原子が脱離してアニオン化していてもよい。

【0034】
【化9】
JP2018047909A1_000011t.gif

【0035】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)中のZは、下記式(IV):

【0036】
【化10】
JP2018047909A1_000012t.gif
で表される基であってもよい。式(IV)中、*は式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)中の窒素原子との結合部位を示し、Baseは核酸塩基を示す。式(IV)中の水酸基及びリン酸基は水素原子が脱離してアニオン化していてもよい。式(IV)中の核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン又はウラシルの残基であることができ、これら核酸塩基は必要により置換基の導入等によって化学的に修飾されていてもよい。式(IV)で表される基を有するプリンヌクレオシド誘導体は、例えば、RNA(特に、mRNA)に光応答性の5’キャップ構造を導入するために用いることができる。

【0037】
これらプリンヌクレオシド誘導体は、当業者に理解されるように、通常の各種素反応を組み合わせながら、商業的に利用可能な原料から合成することができる。

【0038】
以上説明した実施形態に係るプリンヌクレオシド誘導体は、ポリヌクレオチドの構成単位(ヌクレオチド単位)として各種のポリヌクレオチド中に導入することができる。例えば、一実施形態に係るポリヌクレオチドは、下記式(Ia’)、(Ib’)、(IIa’)、又は(IIb’)で表される塩基部分及びこれが結合した糖部分を有する修飾ヌクレオチド単位を任意の位置に含む。これら式中、X、X、Ar及びRは式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)中のX、X、Ar及びRと同義である。Z’は糖部分との結合部位を示す、

【0039】
【化11】
JP2018047909A1_000013t.gif

【0040】
修飾ヌクレオチド単位は、RNA又はDNAの任意の位置のヌクレオチド単位を置換していてもよいし、ポリヌクレオチドの5’末端又は3’末端に結合していてもよい。例えば、5’キャップ構造を有するRNAの場合、5’キャップ構造、又はポリヌクレオチドの5’末端から10塩基までの範囲の位置に修飾ヌクレオチド単位が導入されていてもよい。

【0041】
上記修飾ヌクレオチド単位がRNAの中間部分の位置に導入される場合、式(Ia’)、(Ib’)、(IIa’)、及び(IIb’)中のZ’は例えば下記式(III’)で表される糖部分であることができる。式(III’)中、*は塩基部分との結合部位であり、**は隣接するヌクレオチド単位との結合部位である。

【0042】
【化12】
JP2018047909A1_000014t.gif

【0043】
上記修飾ヌクレオチド単位が導入されたmRNAの5’キャップ構造は、例えば、下記式(V):
【化13】
JP2018047909A1_000015t.gif
で表される。式(V)中、*はポリヌクレオチドの5’末端との結合部位を示す。式(V)中の水酸基及びリン酸基はそれぞれ独立にアニオン化していても、化学修飾されていてもよい。

【0044】
上記修飾ヌクレオチド単位を含む5’キャップ構造を有するmRNAを真核細胞の細胞質に導入し、真核細胞に光を照射することにより、当該mRNAがコードするタンパク質の産生量を制御することができる。

【0045】
照射される光は、シス体又はトランス体の比率が大きくなる所定の波長を有することができる。タンパク質の産生量を制御する方法は、例えば、シス体の比率が大きくなる第一の波長の光を照射することと、トランス体の比率が大きくなる第二の波長の光を照射することとを含んでいてもよい。これにより、タンパク質産生のオン/オフのスイッチングを任意のタイミングで行うことができる。図1は、式(V)の5’キャップ構造を有するmRNAを例とした、タンパク質の産生量を制御するメカニズムを示す模式図である。図中の(a)に示されるように、430nm(第二の波長)の光照射により生じるトランス体は翻訳開始因子elF4Eと結合しないことから、mRNAからの翻訳によるタンパク質の合成が抑制される。370nm(第一の波長)の光照射によって生成するシス体はelF4Eと結合し、タンパク質の合成が促進される。なお、塩基部分の構造等によっては、シス体よりもトランス体のときにタンパク質産生が促進され得る。

【0046】
本実施形態に係るヌクレオチド単位中の塩基部分は、熱による異性化に対して安定であるため、光を長時間連続的に照射する必要がない。例えば、1回あたりの照射時間を1秒~2分とすることができる。このような短時間であれば、細胞の損傷又は死滅を抑制しながら光を照射することができる。シス体又はトランス体の比率が大きい状態を長時間維持する必要がある場合、例えば、30分~10時間毎に1秒~2分、光を照射してもよい。照射される光は、例えば紫外線であることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
1.光応答性capアナローグ(プリンヌクレオシド誘導体)の合成
真核生物翻訳開始因子elF4Eとの相互作用を制御可能な光応答性capアナローグとして、下記合成反応式に従って、反応式中に示す2PA-cap(6a)、pMe-2PA-cap(6b)、mMe-2PA-cap(6c)、oMe-2PA-cap(6d)及びpEt-2PA-cap(6e)の5種を合成した。
【実施例】
【0049】
【化14】
JP2018047909A1_000016t.gif
【実施例】
【0050】
1-1.反応a
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン(2b)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-ニトロアデノシン(1)(500mg、1.18mmol)及び無水アセトニトリル(10mL)を含む懸濁液に、酢酸(0.79mL)及びp-トルイジン(0.15mL、1.42mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した後、真空下で濃縮した。残渣をトルエンに溶解し、3回同時蒸着し、シリカゲルカラムにより精製した。3~10%のグラジエントをかけたメタノール/クロロホルムで生成物を溶出させて、578mg(収率96%)の2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン(2b)(橙色固体)を得た。
1H NMR (chloroform-d,400 MHz) δ: 8.08 (s, 1H), 7.96 (d, J = 8.0, 2H), 7.30 (d, J = 8.0, 2H), 6.44 (s, 2H), 6.43 (d, J = 6.0, 1H),5.80 (t, J = 6.0, 1H), 5.61 (dd, J = 6.0, 3.6, 1H), 4.45-4.41 (m, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.12 (s, 3H),2.04 (s, 3H)
13C NMR (chloroform-d, 400MHz) δ: 170.4, 169.7, 169.6, 162.7, 156.4, 151.0, 150.7, 139.7,129.9, 124.0, 119.8, 85.3, 80.6, 77.3, 73.5, 70.8, 63.4, 21.8, 20.9, 20.7, 20.5
ESI-TOF MS [M-H]- for C23H25N7O7, Calculated: 510.17; Found: 510.22
【実施例】
【0051】
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2c)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-ニトロアデノシン(1)(1.0g、2.37mmol)及び無水アセトニトリル(16mL)を含む懸濁液に、酢酸(1.58mL)及び3,5-キシリジン(0.36mL、2.84mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した後、真空下で濃縮した。残渣をトルエンに溶解し、3回同時蒸着し、シリカゲルカラムにより精製した。3~10%のメタノール/クロロホルムのグラジエントで生成物を溶出させて、881mg(収率71%)の2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2c)(赤色固体)を得た。
1H NMR (chloroform-d, 400 MHz) δ: 8.10 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.17 (s, 1H), 6.46 (d, J = 6.0, 1H), 6.26 (s, 2H), 5.79 (t, J = 6.0, 1H), 5.61 (dd, J = 6.0, 3.6, 1H), 4.46-4.41 (m, 3H), 2.40 (s, 6H), 2.14 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.04 (s, 3H)
13C NMR (chloroform-d, 400MHz) δ:170.4, 169.7, 169.6, 162.7, 156.3, 152.8, 151.1, 139.7, 138.9, 134.5, 121.8, 119.8, 85.2, 80.6, 77.3, 73.5, 70.9, 63.4, 21.3, 20.9, 20.7, 20.5
ESI-TOF MS [M-H]- for C24H27N7O7, Calculated: 524.19; Found: 524.23
【実施例】
【0052】
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2d)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-ニトロアデノシン(1)(1.0g、2.37mmol)及び無水アセトニトリル(16mL)を含む懸濁液に、酢酸(1.58mL)及び2,6-キシリジン(0.36mL、2.84mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した後、真空下で濃縮した。残渣をトルエンに溶解し、3回同時蒸着し、シリカゲルカラムにより精製した。3~10%のメタノール/クロロホルムのグラジエントで生成物を溶出させて、312mg(収率25%)の2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2d)(茶色固体)を得た。
1H NMR (chloroform-d, 400 MHz) δ: 8.08 (s, 1H), 7.16 (d, J = 7.2, 1H),7.12 (d, J = 7.2, 2H), 6.36 (d, J = 5.6, 1H), 6.11 (s, 2H), 5.84 (t, J = 5.6, 1H), 5.63 (dd, J = 5.6, 4.0, 1H), 4.47-4.41 (m, 3H), 2.36 (s, 6H), 2.12 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.06 (s, 3H)
13C NMR (chloroform-d, 400MHz) δ: 170.4, 169.7, 169.6, 162.5, 156.2, 152.0, 150.9, 140.0, 131.0, 129.1, 120.0, 86.0, 80.5, 77.3, 73.6, 70.9 63.3, 20.9, 20.6, 20.5, 18.9
ESI-TOF MS [M-H]- for C24H27N7O7, Calculated: 524.19; Found: 524.17
【実施例】
【0053】
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン(2e)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-ニトロアデノシン(1)(1.0g、2.37mmol)及び無水アセトニトリル(20mL)を含む懸濁液に、酢酸(1.58mL)及び4-エチルアニリン(0.36mL、2.84mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した後、真空下で濃縮した。残渣をトルエンに溶解し、3回同時蒸着し、シリカゲルカラムにより精製した。3~10%のメタノール/クロロホルムのグラジエントで生成物を溶出させて、1.08g(収率87%)の2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン(2e)(橙色固体)を得た。
1H NMR (chloroform-d, 400 MHz) δ: 8.07 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.4, 2H), 7.29 (d, J = 8.4 2H), 6.41 (d, J = 5.6, 1H), 5.79 (t, J = 5.6, 1H), 5.60 (dd, J = 5.6, 3.6, 1H), 4.43-4.39 (m, 3H), 2.67 (q, J = 7.6, 2H), 2.10 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 1.23 (t, J = 7.6, 3H)
13C NMR (chloroform-d, 400MHz) δ:170.4, 169.7, 169.6, 162.8, 156.6, 150.9, 150.7, 149.8, 139.6, 128.7, 124.0, 119.7, 85.3, 80.5, 77.4, 73.5, 70.9, 63.4, 29.0, 20.9, 20.7, 20.5, 15.2
ESI-TOF MS [M-H]- for C24H27N7O7, Calculated: 524.19; Found: 524.28
【実施例】
【0054】
1-2.反応b,c
2-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3a)
常法に従って、2-フェノルアゾアデノシン(2a)を合成した。得られた2-フェニルアゾアデノシン(190mg、0.51mmol)を、リン酸トリメチル(2.0mL)中で塩化ホスホリル(0.14mL、1.54mmol)と混合した。得られた反応混合物を0℃で16時間攪拌した後、1M 臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、144mg(収率43%)の2-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3a)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.15 (s, 1H), 7.18 (d, J = 7.6, 2H), 7.0 (t, J = 7.6, 1H), 6.93 (t, J = 7.6, 2H), 5.77 (d, J = 4.4, 1H), 4.34 (t, J = 4.4, 1H), 4.26 (t, J = 4.4, 1H), 4.18 (m, 1H), 4.04-4.00 (m, 1H), 3.98-3.93 (m, 1H), 2.99 (q, J = 7.6, 12H), 1.07 (t, J = 7.6, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 159.8, 155.2, 150.2, 149.1, 140.6, 132.9, 128.7, 122.8, 118.4, 83.5, 83.4, 74.8, 69.9, 64.0, 46.6, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.57 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C16H18N7O7P, Calculated: 451.08; Found: 451.05
【実施例】
【0055】
2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3b)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン(2b)(570mg、1.12mmol)及び無水メタノール(20mL)を含む溶液に、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(0.82mL、ナトリウムメトキシド3.35mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した。その後混合物を酢酸で中和し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製した。生成物を5-12%のグラジエントをかけたメタノール/クロロホルムで溶出し、387mg(収率90%)の2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン(橙色固体)を得た。得られた生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン(380mg、0.99mmol)を、リン酸トリメチル(5.0mL)中でプロトンスポンジ(317mg、1.48mmol)及び塩化ホスホリル(0.23mL、2.47mmol)と混合した。反応混合物を0℃で16時間攪拌し、1M TEABで中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、336mg(収率49%)の2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3b)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.03 (s, 1H), 6.68 (d, J = 7.6, 2H), 6.31 (d, J = 7.6, 2H), 5.54 (d, J = 3.6, 1H), 4.19-4.13 (m, 3H), 4.03-3.99 (m, 1H), 3.94-3.91 (m, 1H), 2.97 (q, J = 7.2, 12H), 1.69 (s, 3H), 1.06 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ:159.3, 154.7, 148.5, 147.8, 144.1, 139.9, 128.6, 122.4, 118.1, 74.8, 69.6, 63.9, 46.6, 20.7, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.42 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H20N7O7P, Calculated: 464.11; Found: 464.11
【実施例】
【0056】
2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3c)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2c)(690mg、1.31mmol)及び無水メタノール(20mL)を含む溶液に、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(0.96mL、ナトリウムメトキシド3.94mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した。その後混合物を酢酸で中和し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製した。生成物を5-12%のグラジエントをかけたメタノール/クロロホルムで溶出し、440mg(収率84%)の2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(橙色固体)を得た。得られた生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(112mg、0.28mmol)を、リン酸トリメチル(1.4mL)中でプロトンスポンジ(90mg、0.42mmol)及び塩化ホスホリル(62μL、0.67mmol)と混合した。反応混合物を0℃で16時間攪拌し、1M TEABで中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、130mg(収率68%)の2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3c)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.32 (s, 1H), 6.97 (s, 2H), 6.81 (s, 1H), 5.90 (d, J = 4.8, 1H), 4.41 (t, J = 4.8, 1H), 4.31 (t, J = 4.8, 1H), 4.23 (m, 1H), 4.06-4.01 (m, 1H), 3.99-3.94 (m, 1H), 3.03 (q, J = 7.2, 12H), 2.01 (s, 6H), 1.11 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 160.2, 155.4, 150.8, 149.3, 140.8, 139.1, 120.7, 118.4, 117.7, 87.5, 75.0, 69.9, 63.9, 58.9, 46.6, 20.3, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.83 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C18H22N7O7P, Calculated: 478.12; Found: 478.17
【実施例】
【0057】
2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3d)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(2d)(119mg、0.227mmol)及び無水メタノール(5mL)を含む溶液に、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(0.17mL、ナトリウムメトキシド0.68mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した。その後混合物を酢酸で中和し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製した。生成物を5-12%のグラジエントをかけたメタノール/クロロホルムで溶出し、53mg(収率58%)の2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(赤色固体)を得た。得られた生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン(53mg、0.13mmol)を、リン酸トリメチル(0.7mL)中でプロトンスポンジ(43mg、0.20mmol)及び塩化ホスホリル(0.03mL、0.32mmol)と混合した。反応混合物を0℃で16時間攪拌し、1M TEABで中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、61mg(収率67%)の2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3d)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.29 (s, 1H), 6.75-6.67 (m, 3H), 5.90 (d, J = 4.8, 1H), 4.44 (t, J = 4.8, 1H), 4.32 (t, J = 4.8, 1H), 4.20 (m, 1H), 4.02-3.97 (m, 1H), 3.00 (q, J = 7.2, 12H), 2.02 (s, 6H), 1.08 (t, J = 7.2, 18H)
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.39 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H20N7O7P, Calculated: 478.12; Found: 478.25
【実施例】
【0058】
2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3e)
2’,3’,5’-トリ-O-アセチル-2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン(2e)(1.08mg、2.06mmol)及び無水メタノール(7mL)を含む溶液に、アンモニアの2Mメタノール溶液(7mL)を加えた。得られた反応混合物を50℃で5時間攪拌した。その後混合物を酢酸で中和し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムにより精製した。生成物を5-12%のグラジエントをかけたメタノール/クロロホルムで溶出し、595mg(収率72%)の2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン(橙色固体)を得た。得られた生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン(580mg、1.45mmol)を、リン酸トリメチル(6.0mL)中で塩化ホスホリル(1.33mL、14.5mmol)と混合した。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウムで中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、530mg(収率54%)の2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3e)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.05 (s, 1H), 6.84 (d, J = 8.4, 2H), 6.44 (d, J = 8.4, 2H), 5.63 (d, J = 4.0, 1H), 4.18 (m, 2H), 4.12 (m, 1H), 3.98-3.89 (m, 2H), 2.92 (q, J = 7.2, 12H), 2.02 (q, J = 7.2, 2H), 1.05 (t, J = 7.2, 18H), 0.74 (t, J = 7.2, 3H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ:180.9, 159.7, 154.9, 150.0, 148.8, 148.2, 140.1, 127.4, 122.7, 118.1, 87.3, 83.3, 83.2, 74.8, 69.7, 64.0, 58.7, 48.4, 46.5, 42.2, 27.7, 13.3, 8.2, 7.3
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.48 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H20N7O7P, Calculated: 478.12; Found: 478.21
【実施例】
【0059】
1-3.反応d
2-フェノルアゾグアノシン一リン酸(4a)
亜硝酸ナトリウム(2.0g、29.0mmol)を、2-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3a)(112mg、0.17mmol)が水(50mL)及び酢酸(10mL)に溶解した溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、102mg(収率90%)の2-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4a)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.35 (s, 1H), 7.46 (d, J = 6.8, 2H), 7.21 (t, J = 6.8, 1H), 7.13 (t, J = 6.8, 2H), 5.93 (d, J = 4.4, 1H), 4.61 (t, J = 4.4, 1H), 4.47 (t, J = 4.4, 1H), 4.38 (m, 1H), 4.21-4.12 (m, 2H), 3.18 (q, J = 7.2, 12H), 1.27 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ:157.0, 153.1, 149.8, 147.7, 140.8, 135.2, 129.5, 124.2, 123.8, 87.7, 84.3, 75.2, 70.5, 64.6, 46.9, 8.4
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.21 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C16H17N6O8P, Calculated: 451.08; Found: 451.05
【実施例】
【0060】
2-p-メチル-フェノルアゾグアノシン一リン酸(4b)
亜硝酸ナトリウム(2.82g、40.9mmol)を、2-p-メチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3b)(141mg、0.20mmol)が水(55mL)及び酢酸(12mL)に溶解した溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、120mg(収率85%)の2-p-メチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4b)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.14 (s, 1H), 6.83 (d, J = 7.6, 2H), 6.39 (d, J = 7.6, 2H), 5.59 (d, J = 4.8, 1H), 4.38 (t, J = 4.8, 1H), 4.47 (t, J = 4.8, 1H), 4.20 (m, 1H), 3.97 (m, 1H), 3.04 (q, J = 7.2, 12H), 1.77 (s, 3H), 1.12 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 181.1, 156.4, 152.7, 147.6, 147.2, 147.1, 140.2, 129.5, 123.6, 87.0, 84.2, 75.1, 70.5, 64.3, 46.7, 23.1, 8.3
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.44 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H19N6O8P, Calculated: 465.09; Found: 465.15
【実施例】
【0061】
2-m-ジメチル-フェノルアゾグアノシン一リン酸(4c)
亜硝酸ナトリウム(5.0g、72.5mmol)を、2-m-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3c)(224mg、0.33mmol)が水(80mL)及び酢酸(20mL)に溶解した溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、208mg(収率93%)の2-m-ジメチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4c)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.34 (s, 1H), 6.86 (s, 2H), 6.6 (s, 1H), 5.77 (d, J = 5.2, 1H), 4.43 (t, J = 5.2, 1H), 4.33 (t, J = 5.2, 1H), 4.24 (m, 1H), 4.02-3.97 (m, 2H), 3.04 (q, J = 7.6, 12H), 1.84 (s, 6H), 1.12 (t, J = 7.6, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 156.4, 152.5, 149.5, 147.1, 140.5, 139.5, 136.4, 123.5, 121.2, 87.2, 84.1, 75.3, 70.2, 63.9, 46.6, 19.9, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.82 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C18H21N6O8P, Calculated: 479.11; Found: 479.23
【実施例】
【0062】
2-o-ジメチル-フェノルアゾグアノシン一リン酸(4d)
亜硝酸ナトリウム(1.2g、17.4mmol)を、2-o-ジメチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3d)(60mg、0.09mmol)が水(20mL)及び酢酸(5mL)に溶解した溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、43mg(収率72%)の2-o-ジメチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4d)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.18 (s, 1H), 6.45-6.38 (m, 3H), 5.67 (d, J = 4.8, 1H), 4.43 (t, J = 4.8, 1H), 4.32 (t, J = 4.8, 1H), 4.20 (m, 1H), 3.87-3.75 (m, 1H), 3.01 (q, J = 7.2, 12H), 2.01 (s, 6H), 1.09 (t, J = 7.2, 18H)
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.63 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H19N6O8P, Calculated: 479.11; Found: 479.11
【実施例】
【0063】
2-p-エチル-フェノルアゾグアノシン一リン酸(4e)
亜硝酸ナトリウム(5.0g、72.5mmol)を、2-p-エチル-フェニルアゾアデノシン一リン酸(3e)(530mg、0.78mmol)が水(100mL)及び酢酸(20mL)に溶解した溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。粗生成物をDEAE-Shephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、277mg(収率52%)の2-p-エチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4e)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 8.14 (s, 1H), 6.93 (d, J = 8.4, 2H), 6.50 (d, J = 8.4, 2H), 5.64 (d, J = 5.6, 1H), 4.39 (t, J = 5.6, 1H), 4.25 (t, J = 8.0, 1H), 3.94 (m, 2H), 3.01 (q, J = 7.2, 12H), 2.01 (q, J = 7.2, 2H), 1.09 (t, J = 7.2, 18H), 0.74 (t, J = 7.2, 3H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 181.2, 156.5, 153.0, 152.9, 147.5, 147.3, 140.2, 128.1, 123.5, 87.0, 84.3, 84.2, 75.1, 70.5, 64.3, 46.6, 27.7, 23.2, 12.5, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.49 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H19N6O8P, Calculated: 479.11; Found: 479.16
【実施例】
【0064】
1-4.反応e
2-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5a)
2-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4a)(122mg、0.19mmol)を水(10mL)に溶解し、得られた溶液のpHを酢酸で4.0に調節した。そこに、硫酸ジメチル(0.18mL、1.89mmol)を1時間かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。0.2M NaOHで中和した後、粗生成物をクロロホルムで3回洗浄し、DEAE Sephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、43mg(収率34%)の2-フェニルアゾグ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5a)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.02 (s, 1H), 7.33 (d, J = 7.6, 2H), 7.25 (t, J = 7.6, 1H), 7.14 (t, J = 7.6, 2H), 5.88 (d, J = 2.8, 1H), 4.31 (m, 1H), 4.26 (m, 2H), 4.17-4.13 (m, 1H), 4.01-3.97 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.02 (q, J = 7.2, 12H), 1.10 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 150.3, 147.1, 133.6, 129.0, 123.2, 120.2, 114.4, 89.9, 83.9, 75.1, 68.6, 63.0, 46.6, 35.8, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.50 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C17H19N6O8P, Calculated: 465.09; Found: 465.05
【実施例】
【0065】
2-p-メチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5b)
2-p-メチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4b)(110mg、0.16mmol)を水(10mL)に溶解し、得られた溶液のpHを酢酸で4.0に調節した。そこに、硫酸ジメチル(0.15mL、1.58mmol)を1時間かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。0.2M NaOHで中和した後、粗生成物をクロロホルムで3回洗浄し、DEAE Sephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、56mg(収率50%)の2-p-メチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5b)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.41 (s, 1H), 7,52 (s, 2H), 6.07 (d, J = 2.4, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.34 (m, 2H), 4.18 (dd, J = 10.8, 4.4, 1H), 4.05 (s, 3H), 4.03 (dd, J = 10.8, 4.4, 1H), 3.05 (q, J = 7.2, 12H), 2.21 (s, 3H), 3.05 (q, J = 7.2, 12H), 1.13 (t, J = 7.2, 18H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 153.2, 146.1, 136.6, 130.4, 124.8, 115.8, 110.8, 109.0, 90.7, 84.6, 75.6, 69.2, 63.4, 46.7, 42.3, 21.2, 8.3
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.19 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C18H21N6O8P, Calculated: 479.11; Found: 479.12
【実施例】
【0066】
2-m-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5c)
2-m-ジメチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4c)(139mg、0.20mmol)を水(12mL)に溶解し、得られた溶液のpHを酢酸で4.0に調節した。そこに、硫酸ジメチル(0.40mL、4.22mmol)を1時間かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。0.2M NaOHで中和した後、粗生成物をクロロホルムで3回洗浄し、DEAE Sephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、38mg(収率27%)の2-m-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5c)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (methanol-d4, 400 MHz) δ: 7.58 (s, 2H), 7.25 (s, 1H), 6.19 (d, J = 2.4, 1H), 4.55 (dd, J = 4.8, 2.4, 1H), 4.42 (dd, J = 6.4, 4.8, 1H), 4.32-4.27 (m, 1H), 4.26 (s, 3H), 4.12-4.09 (m, 1H), 3.18 (q, J = 7.2, 12H), 2.39 (s, 6H), 1.28 (t, J = 7.6, 18H)
13C NMR (methanol-d4, 400 MHz) δ: 165.8, 163.6, 152.5, 148.3, 139.2, 134.3, 121.0, 114.5, 90.9, 84.4, 75.5, 68.7, 62.8, 46.2, 35.4, 19.9, 7.8
31P NMR (methanol-d4, 162 MHz) δ: -0.35 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C19H23N6O8P, Calculated: 493.12; Found: 493.23
【実施例】
【0067】
2-o-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5d)
2-o-ジメチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4d)(40mg、0.06mmol)を水(5mL)に溶解し、得られた溶液のpHを酢酸で4.0に調節した。そこに、硫酸ジメチル(0.11mL、1.17mmol)を1時間かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。0.2M NaOHで中和した後、粗生成物をクロロホルムで3回洗浄し、DEAE Sephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、21mg(収率52%)の2-o-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5d)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (Methanol-d4, 400 MHz) δ: 9.66 (s, 1H), 7.28 (d, J = 7.2, 1H), 7.21 (d, J = 7.2, 2H), 6.24 (d, J = 2.4, 1H), 4.61 (dd, J = 4.8, 2.4, 1H), 4.43 (dd, J = 4.8, 2.4, 1H), 4.28 (s, 3H), 3.17 (q, J = 7.2, 6H), 2.45 (s, 6H), 1.29 (t, J = 7.2, 12H)
13C NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ: 167.2, 163.1, 151.1, 148.8, 137.1, 130.5, 129.6, 129.4, 113.8, 89.5, 84.6, 75.2, 70.3, 63.7, 45.8, 35.9, 18.8, 9.0
31P NMR (Methanol-d4, 162 MHz) δ: 0.04 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C18H21N6O8P, Calculated: 493.12; Found: 493.11
【実施例】
【0068】
2-p-エチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5e)
2-p-エチル-フェニルアゾグアノシン一リン酸(4d)(150mg、0.22mmol)を水(10mL)に溶解し、得られた溶液のpHを酢酸で4.0に調節した。そこに、硫酸ジメチル(0.21mL、2.20mmol)を1時間かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。0.2M NaOHで中和した後、粗生成物をクロロホルムで3回洗浄し、DEAE Sephadexカラムで精製した。0~1Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、76mg(収率50%)の2-p-エチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5e)(橙色泡状物)を得た。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.02 (s, 1H), 7.23 (d, J = 8.4, 2H), 6.95 (d, J = 8.4, 2H), 5.81 (d, J = 2.4, 1H), 4.28 (t, J = 3.2, 1H), 4.22-4.18 (m, 2H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.96-3.92 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 2.98 (q, J = 7.2, 12H), 2.36 (q, J = 7.2, 2H), 1.07 (t, J = 7.2, 18H), 0.95 (t, J = 7.2, 3H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 162.4, 162.1, 151.5, 148.7, 147.3, 128.4, 123.5, 114.3, 89.9, 83.8, 83.7, 75.1, 68.5, 62.8, 46.6, 35.9, 28.2, 14.1, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: 0.70 (s, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C18H21N6O8P, Calculated: 493.12; Found: 493.15
【実施例】
【0069】
1-5.反応f
2-フェニルアゾ cap(2PA-cap)(6a)
2-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5a)(43mg、0.064mmol)、及びグアノシン二リン酸イミダゾリド(66mg、0.13mmol)が3mLの無水DMFに溶解している溶液に、塩化亜鉛(53mg、0.39mmol)を加えた。得られた反応溶液を室温で72時間攪拌し、251mgのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が25mLの水に溶解している0℃の溶液に注ぎ入れた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、溶液をDEAE Sephadexカラムに装填した。0~1.2Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、2PA-capのテトラエチルアンモニウム(TEA)塩(橙色泡状物)を得た。2PA-capのTEA塩を10mLの水に溶解し、得られた溶液をStrata-X-AWカラムに載せ、10mLの水、及び10mLのメタノールの順で洗浄した。次いで、15mLのNH4OH/メタノール/水(2/25/73)で2PA-capを溶出させ、回収した溶液を凍結乾燥機で乾燥して、26mgの2PA-cap(6a)を得た(収率45%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.09 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.61 (d, J = 7.6, 2H), 7.39 (t, J = 7.6, 1H), 7.30 (t, J = 7.6, 2H), 5.91 (d, J = 2.8, 1H), 5.51 (d, J = 5.6, 1H), 4.40-4.35 (m, 2H), 4.31-4.24 (m, 4H), 4.19-4.14 (m, 2H), 4.09-4.06 (m, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.03 (q, J = 7.2, 18H), 1.11 (t, J = 7.2, 27H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 161.9, 161.2, 158.1, 153.5, 151.1, 150.7, 147.2, 136.9, 134.1, 129.4, 123.6, 115.7, 114.7, 89.9, 86.7, 83.6, 75.2, 74.0, 70.3, 68.6, 65.4, 64.1, 46.6, 36.2, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: -11.70 (d, J = 19.3, 2P), -23.19 (t, J = 19.3, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C27H31N11O18P3, Calculated: 890.11; Found: 890.11
【実施例】
【0070】
2-p-メチル-フェニルアゾ cap(pMe-2PA-cap)(6b)
2-p-メチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5b)(40mg、0.056mmol)、及びグアノシン二リン酸イミダゾリド(58mg、0.11mmol)が2mLの無水DMFに溶解している溶液に、塩化亜鉛(46mg、0.34mmol)を加えた。得られた反応溶液を室温で72時間攪拌し、220mgのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が15mLの水に溶解している0℃の溶液に注ぎ入れた。飽和炭酸水素ナトリウムで中和した後、溶液をDEAE Sephadexカラムに装填した。0~1.2Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、pMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩(橙色泡状物)を得た。pMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩を10mLの水に溶解し、得られた溶液をStrata-X-AWカラムに載せ、10mLの水、及び10mLのメタノールの順で洗浄した。次いで、15mLのNHOH/メタノール/水(2/25/73)で2-p-メチル-フェニルアゾ capを溶出させ、回収した溶液を凍結乾燥機で乾燥して、23mgのpMe-2PA-cap(6b)を得た(収率44%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 7,75 (s, 1H), 7.44 (d, J = 8.4, 2H), 7.05 (d, J = 8.4, 2H), 5.86 (d, J = 2.8, 1H), 5.53 (d, J = 6.0, 1H), 4.43-4.38 (m, 2H), 4.31-4.26 (m, 4H), 4.21-4.16 (m, 2H), 4.10-4.07 (m, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.05 (q, J = 7.2, 18H), 2.18 (s, 3H), 1.13 (t, J = 7.2, 27H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 158.0, 153.4, 151.0, 148.8, 147.0, 136.8, 129.9, 123.8, 115.6, 114.7, 90.0, 86.7, 83.7, 75.2, 74.0, 70.3, 68.6, 65.5, 64.1, 46.7, 36.2, 21.0, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: -11.71 (d, J = 19.3, 2P), -23.18 (t, J = 19.3, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C28H33N11O18P3, Calculated: 904.12; Found: 904.16
【実施例】
【0071】
2-m-ジメチル-フェニルアゾ cap(mMe-2PA-cap)(6c)
2-m-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5c)(38mg、0.055mmol)、及びグアノシン二リン酸イミダゾリド(56mg、0.11mmol)が2mLの無水DMFに溶解している溶液に、塩化亜鉛(44mg、0.33mmol)を加えた。得られた反応溶液を室温で72時間攪拌し、214mgのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が15mLの水に溶解している0℃の溶液に注ぎ入れた。飽和炭酸水素ナトリウムで中和した後、溶液をDEAE Sephadexカラムに装填した。0~1.2Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、mMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩(橙色泡状物)を得た。mMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩を10mLの水に溶解し、得られた溶液をStrata-X-AWカラムに載せ、10mLの水、及び10mLのメタノールの順で洗浄した。次いで、15mLのNHOH/メタノール/水(2/25/73)でmMe-2PA-capを溶出させ、回収した溶液を凍結乾燥機で乾燥して、26mgのmMe-2PA-cap(6c)を得た(収率44%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.05, (s, 1H), 7,72 (s, 1H), 7.10 (s, 2H), 6.91 (s, 1H), 5.82 (d, J = 2.8, 1H), 5.47 (d, J = 5.6, 1H), 4.33-4.22 (m, 6H), 4.18-4.13 (m, 2H), 4.09-4.04 (m, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.02 (q, J = 7.2, 18H), 2.05 (s, 6H), 1.10 (t, J = 7.2, 27H);
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 157.9, 153.3, 150.9, 146.8, 139.7, 136.7, 136.0, 121.3, 115.4, 114.6, 90.2, 86.7, 83.5, 75.1, 74.1, 70.3, 68.4, 65.4, 63.9, 46.6, 36.3, 20.2, 8.2;
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: -11.72 (d, J = 18.8, 2P), -23.15 (t, J = 18.8, 1P);
ESI-TOF MS [M-H]- for C29H35N11O18P3, Calculated: 918.34; Found: 918.32
【実施例】
【0072】
2-o-ジメチル-フェニルアゾ cap(oMe-2PA-cap)(6d)
2-o-ジメチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5d)(21mg、0.03mmol)、及びグアノシン二リン酸イミダゾリド(31mg、0.06mmol)が2mLの無水DMFに溶解している溶液に、塩化亜鉛(25mg、0.12mmol)を加えた。得られた反応溶液を室温で72時間攪拌し、118mgのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が8mLの水に溶解している0℃の溶液に注ぎ入れた。飽和炭酸水素ナトリウムで中和した後、溶液をDEAE Sephadexカラムに装填した。0~1.2Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、oMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩(橙色泡状物)を得た。oMe-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩を10mLの水に溶解し、得られた溶液をStrata-X-AWカラムに載せ、10mLの水、及び10mLのメタノールの順で洗浄した。次いで、15mLのNHOH/メタノール/水(2/25/73)でoMe-2PA-capを溶出させ、回収した溶液を凍結乾燥機で乾燥して、16mgのoMe-2PA-cap(6d)を得た(収率56%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 7.87 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.06-7.03 (m, 1H), 6.95 (d, J = 7.2, 2H), 6.00 (d, J = 3.2, 1H), 5.64 (d, J = 5.6, 1H), 4.51-4.44 (m, 2H), 4.38-4.29 (m, 4H), 4.21-4.16 (m, 2H), 4.12-4.07 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.60 (q, J = 7.2, 18H), 2.20 (s, 6H), 1.14 (t, J = 7.2, 27H)
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: -11.73 (d, J = 19.3, 2P), -23.22 (t, J = 19.3, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C28H33N11O18P3, Calculated: 918.14; Found: 918.17
【実施例】
【0073】
2-p-エチル-フェニルアゾ cap(pEt-2PA-cap)(6e)
2-p-エチル-フェニルアゾ-7-メチル-グアノシン一リン酸(5e)(76mg、0.11mmol)、及びグアノシン二リン酸イミダゾリド(112mg、0.22mmol)が2mLの無水DMFに溶解している溶液に、塩化亜鉛(89mg、0.66mmol)を加えた。得られた反応溶液を室温で72時間攪拌し、425mgのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が30mLの水に溶解している0℃の溶液に注ぎ入れた。飽和炭酸水素ナトリウムで中和した後、溶液をDEAE Sephadexカラムに装填した。0~1.2Mの直線的なグラジエントをかけたTEABで生成物を溶出させた。生成物を含む画分から溶媒を留去し、真空乾燥して、pEt-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩(橙色泡状物)を得た。pEt-2PA-capのテトラエチルアンモニウム塩を10mLの水に溶解し、得られた溶液をStrata-X-AWカラムに載せ、10mLの水、及び10mLのメタノールの順で洗浄した。次いで、15mLのNHOH/メタノール/水(2/25/73)でpEt-2PA-capを溶出させ、回収した溶液を凍結乾燥機で乾燥して、16mgのpEt-2PA-cap(6e)を得た(収率73%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ: 9.00 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.42 (d, J = 8.4, 2H), 7.05 (d, J = 8.4, 2H), 5.83 (d, J = 2.8, 1H), 5.51 (d, J = 6.0, 1H), 4.37 (t, J = 5.6, 1H), 4.33 (dd, J = 4.0, 2.8, 1H), 4.26-4.23 (m, 3H), 4.18-4.11 (m, 2H), 4.07-4.04 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.00 (q, J = 7.2, 18H), 2.43 (q, J = 7.6, 2H), 1.08 (t, J = 7.2, 27H), 1.01 (t, J = 7.6, 3H)
13C NMR (D2O, 400 MHz) δ: 162.5, 161.9, 157.9, 153.4, 151.9, 151.0, 149.0, 147.4, 136.8, 128.6, 123.7, 115.6, 114.4, 89.9, 86.6, 75.1, 74.0, 70.4, 68.4, 65.4, 64.0, 46.6, 36.1, 28.3, 14.2, 8.2
31P NMR (D2O, 162 MHz) δ: -11.91 (d, J = 20.1, 2P), -23.33 (t, J = 20.1, 1P)
ESI-TOF MS [M-H]- for C28H33N11O18P3, Calculated: 918.14; Found: 918.14
【実施例】
【0074】
2.光応答性capアナローグの評価
合成した光応答性capアナローグについて、水溶液中での光異性化特性を、300Wのキセノンランプを光源として用いて評価した。
【実施例】
【0075】
図2、図3、図4、図5及び図6は、それぞれ、2PA-cap、pMe-2PA-cap、mMe-2PA-cap、oMe-2PA-cap及びpEt-2PA-capのシス体及びトランス体の吸収スペクトルである。2PA-cap、pMe-2PA-cap及びmMe-2PA-capのトランス体、oMe-2PA-cap及びpEt-2PA-capはそれぞれ、310nm、331nm、323nm、339nm及び337nmにππ遷移に対応するピークを示し、シス体は416nm、418nm及び417nm、412nm及び417nmにnπ遷移に対応するピークを示した。
【実施例】
【0076】
図7、図8、図9及び図10は、370nm又は430nmの光照射下でのトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。いずれのcapアナローグも、およそ2分以内に光平衡状態に到達した。
【実施例】
【0077】
図11、図12、図13、図14及び図15は、光平衡状態におけるトランス体の比率と照射光波長との関係を示すグラフである。トランス体の比率は、370nmにおいて23%(2PA-cap)、6%(pMe-2PA-cap)、21%(mMe-2PA-cap)、28%(oMe-2PA-cap)、13%(pEt-2PA-cap)と最も小さくなり、430nmにおいて82%(2PA-cap)、74%(pMe-2PA-cap)、82%(mMe-2PA-cap)、89%(oMe-2PA-cap)、77%(pEt-2PA-cap)と最も大きくなった。ただし、pMe-2PA-capに関しては550nmの光照射においてもトランス体の比率が27%であった。トランス体の比率は、310nm(2PA-cap)、331nm(pMe-2PA-cap)、又は323nm(mMe-2PA-cap)、339nm(oMe-2PA-cap)、又は337nm(pEt-2PA-cap)での吸光度をモニターすることにより求めた(以下でも同様)。
【実施例】
【0078】
図16、図17及び図18は、370nm及び430nmの光を交互に照射したときの可逆的なシス体-トランス体のスイッチングを示すグラフである。2分毎の交互な光照射を40回繰り返したところ、良好な可逆性のシス体-トランス体の光異性化が確認された。
【実施例】
【0079】
図19、図20、図21、図22及び図23は、370nmで2分間の光照射後の、28.5℃におけるトランス体の比率の時間変化を示すグラフである。いずれの光応答性capについても、熱異性化の場合、シス体からトランス体への変換が数時間かけて緩慢に進行した。異性化の時定数τは2.42時間(2PA-cap)、0.73時間(pMe-2PA-cap)、1.30時間(mMe-2PA-cap)、9.30時間(oMe-2PA-cap)、又は1.89時間(pEt-2PA-cap)であった。この結果から、光照射を継続することなく、シス体又はトランス体の比率が高い状態を長時間維持できることが確認された。
【実施例】
【0080】
3.mRNAの翻訳制御
3-1.テンプレートDNAの合成
T7プロモータを5’に含む黄色蛍光タンパク質でるvenus、及びnordal関連タンパク質であるsquintのテンプレートDNAと、グロビンの3’-UTR配列を、pCS2 venus又はpCS2 squintから、2段階のPCRで調製した。第1段階ではvenus順方向プライマー(配列番号1)、venus逆方向プライマー(配列番号2)、squint順方向プライマー(配列番号3)、及びsquint逆方向プライマー(配列番号4)を用いた。第2段階では順方向プライマー(配列番号5)及び逆方向プライマー(配列番号6)をvenus及びsquintの両方に用いた。1x反応バッファー、300ngのプラスミド、200mMのdNTPs、1mMのMgSO、6μLのKOD-plus-DNAポリメラーゼ(東洋紡製)、及び3mMのプライマーを含む、全体積300mLの反応溶液を、35サイクルの増幅に供した。PCRの条件を以下のように設定した。
変性:98℃で2分間
アニーリング:58℃で3秒冷却
伸長反応:68℃で60秒間の加熱
反応後、生成物をWizard SV Gel及びPCR Clean-upシステム(プロメガ製)を用いて精製した。
【実施例】
【0081】
3-2.光応答性capを導入したmRNAの調製
in vitoでのRNA転写を、MEGAscript(登録商標)キット(Ambion社製)を用いて行った。1x反応バッファーと、0.5mgのテンプレートDNAと、それぞれ6mMのATP、CTP及びUTPと、1.2mMのGTPと、4.8mMcapアナローグと、50U/mLのT7 RNAポリメラーゼとを含む反応液(全体積20mL)を、37℃で4時間インキュベートした。残存したDNAの加水分解のため、1mLのturbo DNAaseを反応液に加え、更に反応液を37℃で15分インキュベートした。合成したmRNAを、ポリ(A)テーリングキット(Ambion製)を用いてポリアデニル化した。mRNA、1x反応バッファー、1mMのATP、2.5mMのMnCl、及び4mL(2U/mL)のE-PAPを含む反応液(全体積100mL)を37℃で1時間インキュベートした。MEGAclear(登録商標)キット(Ambion社製)を用いて、5’キャップ構造として光応答性capが導入されたmRNAを反応液から精製した。
【実施例】
【0082】
3-3.ゼブラフィッシュ胚中でのmRNA翻訳
(1)光応答性の検討
squintタンパク質に対応する配列を含み光応答性capが導入されたmRNA(5pg)、及びvenusタンパク質に対応する配列を含み光応答性capが導入されたmRNA(25pg)の混合物を、FemtoJet(eppendorf社製)を用いて1細胞期のゼブラフィッシュ胚の細胞質に導入した。mRNAを導入した胚を0.01%のカナマイシン及びペニシリン/ステレオマイシンを含むリンゲル液中、28.5℃で培養した。胚への導入の前に、光応答性capを導入したmRNAに対して430nmの光を照射し、トランス体が優勢な状態とした。また、capを導入していないmRNA、又は正常capを導入したmRNAも同様にゼブラフィッシュ胚に導入した。
【実施例】
【0083】
培養中、メタルハライドランプを光源とする370nmの光を、1時間毎に2分間、共焦点顕微鏡の視野内で胚に照射した。発現したvenusタンパク質による蛍光が観察されたことから、370nmで優勢となるシス体のcapを有するmRNAによる翻訳が進行したことが確認された。一方、培養中に370nmの光照射を行わなかった場合、トランス体が優勢な状態が維持され、venusタンパク質による蛍光がほとんど観察されなかった。図24は、培養中24hpfの時点でのシス体又はトランス体が優勢なゼブラフィッシュ胚からの蛍光強度を示すグラフである。シス体はトランス体と比較して明らかに多くのタンパク質を発現させており、光応答性capのシス体/トランス体の変換により、mRNA翻訳によるタンパク質発現が制御できることが確認された。ただし、oMe-2PA-capだけ、トランス体のときにタンパク質発現をより促進した。特に、2PA-cap又はmMe-2PA-capを導入したmRNAの場合、正常capの場合に近いレベルでタンパク質が発現した。
【実施例】
【0084】
(2)光照射に基づく体軸形成制御
mMe-2PA-capを導入したmRNAを上記と同様にゼブラフィッシュ胚に導入し、培養を行った。培養中、8細胞期から50%エピボリー期(5.5phf)までの間、370nmの光を1時間毎に2分間照射した。6hpfにおいて430nmの光を胚全体に照射した。その結果、24hpfの時点で、発現したsquintタンパク質の作用によって形成された完全な頭部を伴う2個目の体軸が観察された。完全な2個目の頭部を有する胚の割合は、全培養胚のうち12%(8/88)、2個目の体軸を発現した胚のうち73%(8/11)であった。また、(6hpf)においてトランス体を優勢にする430nmの光を照射しなかった場合、完全な2個目の頭部を有する胚の割合は、全培養胚のうち16%(11/70)、2個目の体軸を発現した胚のうち92%(11/12)であった。この結果から、squintタンパク質は、発生初期段階では体軸の形成を誘起するが、より後期の段階では頭部の発達を阻害することが示唆される。このように、所定の期間のみ短時間の光照射を行うことで、細胞の損傷を抑制しながらタンパク質の産生を制御することができた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係るプリンヌクレオシド誘導体を利用して、タンパク質の生産、又は核酸機能などの各種の生体内で発現される機能を光制御することができる。例えば非特許文献1に記載されるような、核酸の二本鎖形成、リボザイムの触媒機能発現などの各種の核酸機能の光制御への応用が期待できる。また、本発明に係るプリンヌクレオシド誘導体は、ゲノム編集の光制御にも利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23