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明細書 :植物気孔開口調節剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年7月18日(2019.7.18)
発明の名称または考案の名称 植物気孔開口調節剤
国際特許分類 A01N  37/32        (2006.01)
A01N  43/90        (2006.01)
A01N  43/836       (2006.01)
A01N  43/828       (2006.01)
A01N  43/78        (2006.01)
A01N  43/54        (2006.01)
A01N  43/824       (2006.01)
A01N  43/36        (2006.01)
A01N  43/653       (2006.01)
A01N  43/42        (2006.01)
A01N  39/04        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
A01N  43/58        (2006.01)
FI A01N 37/32 101
A01N 43/90 103
A01N 43/90 104
A01N 43/90 105
A01N 43/836
A01N 43/828
A01N 43/78 B
A01N 43/54 F
A01N 43/824 D
A01N 43/36 B
A01N 43/653 N
A01N 43/42 101
A01N 39/04 B
A01P 21/00
A01N 43/58 B
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 37
出願番号 特願2018-542518 (P2018-542518)
国際出願番号 PCT/JP2017/034287
国際公開番号 WO2018/062036
国際出願日 平成29年9月22日(2017.9.22)
国際公開日 平成30年4月5日(2018.4.5)
優先権出願番号 2016194748
優先日 平成28年9月30日(2016.9.30)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】木下 俊則
【氏名】井上 心平
【氏名】戸田 陽介
【氏名】佐藤 綾人
【氏名】青木 沙也
【氏名】藤 茂雄
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H011
Fターム 4H011AB03
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB10
要約
一般式(1)~(52)で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、植物気孔開口調節剤。
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)~(8)及び(34)~(41):
【化1】
JP2018062036A1_000014t.gif
【化2】
JP2018062036A1_000015t.gif
[一般式(1)中:R1-1及びR1-2は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。但し、R1-1及びR1-2は隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成していてもよい。R1-3及びR1-4は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R1-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R1-6は、水素原子、水酸基、またはメトキシ基を示す。
一般式(2)中:R2-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R2-2及びR2-3は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(3)中:R3-1は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す。R3-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R3-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(4)中:R4-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲンを示す。R4-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R4-3は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示す。
一般式(5)中:R5-1は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。
一般式(6)中:R6-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R6-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R6-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R6-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R6-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(7)中:R7-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R7-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R7-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。
一般式(8)中:R8-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。
一般式(34)中:R34-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R34-2は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R34-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R34-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(35)中:R35-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(示す。R35-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(36)中:R36-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R36-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。R36-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(37)中:R37-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(38)中:R38-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(39)中:R39-1は、炭素数1~4のアルキル基を示す。R39-2は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示す。R39-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R39-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
一般式(40)中:R40-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R40-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R40-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。R40-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。
一般式(41)中:R41-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示す。R41-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、植物気孔開口調節剤。
【請求項2】
前記化合物が、一般式(1)~(5)及び(34)~(36)で表される各々の化合物である、請求項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項3】
前記化合物が、一般式(1)~(8)で表される各々の化合物である、請求項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項4】
植物気孔開口促進剤である、請求項3に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項5】
前記化合物が一般式(1)~(5)で表される各々の化合物である、請求項4に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載の植物気孔開口調節剤を含有する、光合成促進剤。
【請求項7】
請求項3~5のいずれかに記載の植物気孔開口調節剤を含有する、植物成長促進剤。
【請求項8】
前記化合物が、一般式(34)~(41)で表される各々の化合物である、請求項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項9】
植物気孔開口抑制剤である、請求項3に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項10】
前記化合物が一般式(34)~(36)で表される各々の化合物である、請求項4に記載の植物気孔開口調節剤。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかに記載の植物成長調節剤を含有する、乾燥耐性向上剤。
【請求項12】
請求項7に記載の植物成長促進剤を植物に施用することを含む、植物成長促進方法。
【請求項13】
請求項7に記載の植物成長促進剤を植物の気孔に接触させることを含む、請求項12に記載の植物成長促進方法。
【請求項14】
請求項11に記載の乾燥耐性向上剤を植物に施用することを含む、乾燥耐性向上方法。
【請求項15】
請求項11に記載の乾燥耐性向上剤を植物の気孔に接触させることを含む、請求項14に記載の乾燥耐性向上方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物気孔開口調節剤に関する。
【背景技術】
【0002】
陸生高等植物は、葉の表皮に存在する気孔の開口調節を通じて、光合成に必要な二酸化炭素の取り込み量、蒸散量等の調節を行っている。例えば、水不足に晒されると、植物体内の水分を維持するために、気孔を閉鎖し、蒸散を抑制することが知られている。また、気孔は光に反応して開口され、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みが促進されることが知られている。このため、気孔開口を人為的に調節することにより、光合成の促進、成長促進、乾燥耐性向上等の効果が期待できる。
【0003】
気孔開口の人為的な調節の例としては、孔辺細胞において細胞膜H-ATPase(AHA2)を過剰発現させる方法が報告されている(特許文献1、非特許文献1)。この方法によれば、気孔開口を促進させ、これに伴い光合成速度及び植物成長も促進させることができる。また、孔辺細胞においてマグネシウムキラターゼHサブユニットを過剰発現させ、気孔の閉鎖を促進させることによって、乾燥耐性を向上させる方法も報告されている(非特許文献2)。
【0004】
これらの方法は、遺伝子組換え技術によるものであるため、
1.遺伝子組換え技術が確立していない生物種においては組換え技術の確立及び最適化が都度必要となる。
2.遺伝子組み換え作物(GMO)の作出に時間がかかる(例えばポプラはトランスジェニック当代の作出に約半年、イネにおいては次世代のGMO種子の獲得に半年以上それぞれ要する。)
3.作成したGMOに対して都度認可が必要となる。
【0005】
これに対して、既に生育している植物に対して施用することにより気孔開口を調節できる物質であれば、GMOの作出及びその認可という手続を各種植物に対して採らなくてもよいので、極めて有用である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2014/142334号
【0007】

【非特許文献1】PNAS, January 7, 2014, vol.111, no.1, pp.533-538
【非特許文献2】Front Plant Sci, October 30, 2013, vol.4, Article440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、植物気孔開口調節剤を提供することを目的とする。より具体的には、植物気孔開口促進剤、及び植物気孔開口抑制剤、さらにはこれらを用いた植物成長調節方法、乾燥耐性向上方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者等は、一般式(1)~(52)で表される各々の化合物が気孔開口調節作用を有することを見出した。本発明は、この知見に基づいて更に研究を重ねた結果、完成されたものである。
【0010】
本発明は、一形態として以下の項1~15を包含する。
【0011】
項1. 一般式(1)~(8)及び(34)~(41):
【0012】
【化1】
JP2018062036A1_000002t.gif

【0013】
【化2】
JP2018062036A1_000003t.gif
[一般式(1)中:R1-1及びR1-2は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。但し、R1-1及びR1-2は隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成していてもよい。R1-3及びR1-4は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R1-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R1-6は、水素原子、水酸基、またはメトキシ基を示す。
【0014】
一般式(2)中:R2-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R2-2及びR2-3は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0015】
一般式(3)中:R3-1は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示す。R3-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R3-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0016】
一般式(4)中:R4-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲンを示す。R4-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R4-3は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示す。
【0017】
一般式(5)中:R5-1は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。
【0018】
一般式(6)中:R6-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R6-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R6-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R6-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R6-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0019】
一般式(7)中:R7-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R7-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R7-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。
【0020】
一般式(8)中:R8-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。
【0021】
一般式(34)中:R34-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R34-2は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R34-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R34-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0022】
一般式(35)中:R35-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(示す。R35-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0023】
一般式(36)中:R36-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示す。R36-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。R36-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0024】
一般式(37)中:R37-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0025】
一般式(38)中:R38-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0026】
一般式(39)中:R39-1は、炭素数1~4のアルキル基を示す。R39-2は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示す。R39-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R39-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0027】
一般式(40)中:R40-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R40-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。R40-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。R40-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示す。
【0028】
一般式(41)中:R41-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示す。R41-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、植物気孔開口調節剤。
【0029】
項2. 前記化合物が、一般式(1)~(5)及び(34)~(36)で表される各々の化合物である、項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【0030】
項3. 前記化合物が、一般式(1)~(8)で表される各々の化合物である、項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【0031】
項4. 植物気孔開口促進剤である、項3に記載の植物気孔開口調節剤。
【0032】
項5. 前記化合物が一般式(1)~(5)で表される各々の化合物である、項4に記載の植物気孔開口調節剤。
【0033】
項6. 項3~5のいずれかに記載の植物気孔開口調節剤を含有する、光合成促進剤。
【0034】
項7. 項3~5のいずれかに記載の植物気孔開口調節剤を含有する、植物成長促進剤。
【0035】
項8. 前記化合物が、一般式(34)~(41)で表される各々の化合物である、項1に記載の植物気孔開口調節剤。
【0036】
項9. 植物気孔開口抑制剤である、項3に記載の植物気孔開口調節剤。
【0037】
項10. 前記化合物が一般式(34)~(36)で表される各々の化合物である、項4に記載の植物気孔開口調節剤。
【0038】
項11. 項8~10のいずれかに記載の植物成長調節剤を含有する、乾燥耐性向上剤。
【0039】
項12. 項7に記載の植物成長促進剤を植物に施用することを含む、植物成長促進方法。
【0040】
項13. 項7に記載の植物成長促進剤を植物の気孔に接触させることを含む、項12に記載の植物成長促進方法。
【0041】
項14. 項11に記載の乾燥耐性向上剤を植物に施用することを含む、乾燥耐性向上方法。
【0042】
項15. 項11に記載の乾燥耐性向上剤を植物の気孔に接触させることを含む、項14に記載の乾燥耐性向上方法。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、植物気孔開口調節剤を提供することができる。また、植物気孔開口促進剤、光合成促進剤、植物成長促進剤等を提供することもできる。さらに、本発明は、植物気孔開口阻害剤、乾燥耐性向上剤等を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】PP242(化合物1a)の気孔開口促進作用測定結果(試験例1)を示す。縦軸は、気孔開度を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、PP242は、試験液として気孔開度測定溶液に化合物1aを溶解させた溶液を用いた場合を示し、FCは、試験液として気孔開度測定溶液にフシコクシンを溶解させた溶液を用いた場合(ポジティブコントロール)を示す。**は、p値が0.01未満であることを示す。
【図2】Torin2(化合物2a)の気孔開口促進作用測定結果(試験例1)を示す。縦軸は、気孔開度を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、Torin2は、試験液として気孔開度測定溶液に化合物2aを溶解させた溶液を用いた場合を示し、FCは、試験液として気孔開度測定溶液にフシコクシンを溶解させた溶液を用いた場合(ポジティブコントロール)を示す。**は、p値が0.01未満であることを示す。
【図3】AZD-8055(化合物3a)の気孔開口促進作用測定結果(試験例1)を示す。縦軸は、気孔開度を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、AZDは、試験液として気孔開度測定溶液に化合物3aを溶解させた溶液を用いた場合を示し、FCは、試験液として気孔開度測定溶液にフシコクシンを溶解させた溶液を用いた場合(ポジティブコントロール)を示す。**は、p値が0.01未満であることを示す。
【図4】気孔開口促進化合物のスクリーニング結果(試験例2)を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、FCは、試験液として気孔開度測定溶液にフシコクシンを溶解させた溶液を用いた場合(ポジティブコントロール)を示し、4a~33aは、試験液として気孔開度測定溶液にスクリーニング対象化合物(化合物4a~33a)を溶解させた溶液を用いた場合を示す。縦軸は、横軸中「FC」の場合の気孔開度を100とした場合の相対値を示す。
【図5】気孔開口抑制化合物のスクリーニング結果(試験例2)を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、ABAは、試験液として気孔開度測定溶液にアブシシン酸を溶解させた溶液を用いた場合(ポジティブコントロール)を示し、34a~52aは、試験液として気孔開度測定溶液にスクリーニング対象化合物(化合物34a~52a)を溶解させた溶液を用いた場合を示す。縦軸は、横軸中「DMSO」の場合の気孔開度を100とした場合の相対値を示す。
【図6】化合物34aの気孔閉鎖促進作用の評価結果(試験例3)を示す。縦軸は、気孔開度を示す。横軸中、Bufferは薬剤処理前の蛍光灯処理後の結果を示し、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いて薬剤処理した場合の結果を示し、H2は、試験液として、気孔開度測定溶液に化合物34aを溶解させた溶液を用いて薬剤処理した場合の結果を示す。**は、p値が0.01未満であることを示す。
【図7】化合物34aの種子発芽に与える影響の評価結果(試験例4)を示す。縦軸は、発芽率を示す。横軸中、Mockは、試験液として発芽試験溶液を用いた場合(ネガティブコントロール)を示し、H2は、試験液として発芽試験溶液に化合物34aを溶解させた溶液を用いた場合を示し、ABAは、試験液として発芽試験溶液にアブシシン酸を溶解させた溶液を用いた場合を示す。
【図8】化合物34a、化合物35a、及び化合物36aの気孔閉鎖促進作用の評価結果(試験例5)を示す。縦軸は、気孔開度を示す。横軸中、DMSOは、試験液として気孔開度測定溶液を用いたことを示し、ABA(アブシシン酸)、34a、35a、及び36aは、試験液として、これらを気孔開度測定溶液に溶解させた溶液を用いたことを示す。*は、DMSOと比較した場合にp値が0.01未満であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[1]一般式(1)~(52)
本発明の植物気孔開口調節剤は、下記一般式(1)~(52)の各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。

【0046】
【化3】
JP2018062036A1_000004t.gif

【0047】
【化4】
JP2018062036A1_000005t.gif

【0048】
【化5】
JP2018062036A1_000006t.gif

【0049】
【化6】
JP2018062036A1_000007t.gif

【0050】
【化7】
JP2018062036A1_000008t.gif
一般式(1)~(52)の定義において、「アルキル基」には、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のいずれのものも包含される。具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる。

【0051】
一般式(1)~(52)の定義において、「シクロアルキル基」又は「環状のアルキル基」としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。

【0052】
一般式(1)~(52)の定義において、「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。

【0053】
一般式(1)中:R1-1及びR1-2は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4のアルキル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。但し、R1-1及びR1-2は隣接する炭素原子と共にシクロプロピル基を形成していてもよい。R1-3及びR1-4は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。R1-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R1-6は、水素原子、水酸基、またはメトキシ基を示し、好ましくは水酸基である。

【0054】
一般式(2)中:R2-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R2-2及びR2-3は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。

【0055】
一般式(3)中:R3-1は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示し、好ましくはメトキシ基である。R3-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。R3-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。

【0056】
一般式(4)中:R4-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲンを示し、好ましくはメチル基である。R4-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R4-3は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。

【0057】
一般式(5)中:R5-1は、水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、好ましくはメトキシ基である。

【0058】
一般式(6)中:R6-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R6-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R6-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。R6-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R6-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0059】
一般式(7)中:R7-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R7-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R7-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。

【0060】
一般式(8)中:R8-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。

【0061】
一般式(9)中:R9-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0062】
一般式(10)中:R10-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。。R10-2及びR10-3は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。

【0063】
一般式(11)中:R11-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。

【0064】
一般式(12)中:R12-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R12-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R12-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0065】
一般式(13)中:R13-1及びR13-2は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも炭素数1~2のアルキル基を)示す。R13-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0066】
一般式(14)中:R14-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。R14-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R14-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R14-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0067】
一般式(15)中:R15-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。R15-2は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示し、好ましくはメトキシ基である。

【0068】
一般式(16)中:R16-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R16-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R16-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0069】
一般式(17)中:R17-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R17-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R17-3は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。

【0070】
一般式(19)中:R19-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R19-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R19-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R19-4は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。

【0071】
一般式(20)中:R20-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0072】
一般式(21)中:R21-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R21-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R21-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)を示し、好ましくはメチル基である。R21-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R21-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0073】
一般式(22)中:R22-1は、炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~3の直鎖状アルキル基を)示す。R22-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R22-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R22-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R22-5は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R22-6は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0074】
一般式(23)中:R23-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。R23-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0075】
一般式(24)中:R24-1は、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)を示し、好ましくはメチル基である。R24-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R24-3及びR24-4は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。

【0076】
一般式(25)中:R25-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R25-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R25-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R25-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R25-5は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。

【0077】
一般式(26)中:R26-1及びR26-2は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。R26-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R26-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R26-5は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R26-6は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。R26-7は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。

【0078】
一般式(27)中:R27-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1~6の鎖状アルキル基を(好ましくは炭素数3~5の直鎖状のアルキル基を)示す。R27-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R27-3及びR27-4は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。

【0079】
一般式(28)中:R28-1は、炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~3の直鎖状アルキル基を)示す。R28-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0080】
一般式(29)中:R29-1は、炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~3の直鎖状のアルキル基を)示す。R29-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R29-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0081】
一般式(30)中:R30-1及びR30-2は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくはいずれも水素原子を)示す。

【0082】
一般式(31)中:R31-1は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、好ましくは臭素原子である。

【0083】
一般式(32)中:R32-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。

【0084】
一般式(33)中:R33-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R33-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。

【0085】
一般式(34)中:R34-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R34-2は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、好ましくは臭素原子である。R34-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。R34-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。

【0086】
一般式(35)中:R35-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R35-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~3の直鎖状アルキル基を)示す。

【0087】
一般式(36)中:R36-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R36-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。R36-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0088】
一般式(37)中:R37-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0089】
一般式(38)中:R38-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0090】
一般式(39)中:R39-1は、炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~3の直鎖状のアルキル基を)示す。R39-2は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数4~6の鎖状アルキル基を示す。R39-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R39-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0091】
一般式(40)中:R40-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、好ましくはメチル基である。R40-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R40-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。R40-4は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。

【0092】
一般式(41)中:R41-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(より好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。R41-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0093】
一般式(42)中:R42-1は、炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R42-2は、炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。

【0094】
一般式(43)中:R43-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。R43-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。R43-3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R43-4は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)を示し、好ましくはメチル基である。

【0095】
一般式(44)中:R44-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5の鎖状アルキル基を示す。R44-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0096】
一般式(45)中:R45-1は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。

【0097】
一般式(46)中:R46-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R46-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R46-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。

【0098】
一般式(47)中:R47-1は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を示し、好ましくはメトキシ基である。R47-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。

【0099】
一般式(48)中:R48-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは炭素数1~2のアルキル基を)示す。R48-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)を示し、好ましくはメチル基である。

【0100】
一般式(49)中:R49-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。R49-2は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R49-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。

【0101】
一般式(50)中:R50-1は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基(好ましくは炭素数1~2のアルキル基)またはハロゲン原子を示し、好ましくはメチル基である。R50-2は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。R50-3は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり、より好ましくは塩素原子である。

【0102】
一般式(52)中:R52-1は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を(好ましくは水素原子を)示す。R52-2は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数3~5のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数3のシクロアルキル基を)示す。R52-3は、炭素数1~6の鎖状ないしは環状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数4~6のシクロアルキル基を(好ましくは炭素数6のシクロアルキル基を)示す。

【0103】
一般式(1)~(52)で表される各々の化合物の具体例としては、実施例の化合物1a~52aが挙げられる。なお、式の番号と、化合物の番号は対応している。すなわち、例えば一般式(1)で表される化合物の具体例としては化合物1aが挙げられ、一般式(2)で表される化合物の具体例としては化合物2aが挙げられる。

【0104】
一般式(1)~(52)で表される各々の化合物は、公知化合物であるか、又は有機合成化学分野における通常の方法に従って合成することができる化合物である。また、一般式(1)~(52)の化合物として、市販されているものを用いることもできる。

【0105】
一般式(1)~(52)で表される化合物の塩は、農学的に許容される塩である限り、特に制限されるものではなく、酸性塩及び塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。

【0106】
一般式(1)~(52)で表される化合物又はその塩の溶媒和物としては、農学的に許容される溶媒との溶媒和物である限り特に限定されない。農学的に許容される溶媒としては、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。

【0107】
[2]用途
本発明の植物気孔開口調節剤は、一般式(1)~(52)で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。また、気孔開口の調節により、光合成の調節、さらには植物の成長調節を図ることもできる。したがって、一般式(1)~(52)で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物又はその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種は、光合成調節剤、植物成長調節剤等の有効成分として用いることができる。

【0108】
一般式(1)~(52)で表される各々の化合物の中でも、植物気孔開口調節作用がより強いという観点から、好ましくは一般式(1)~(8)及び(34)~(41)で表される各々の化合物が挙げられ、より好ましくは(1)~(5)及び(34)~(36)で表される各々の化合物が挙げられる。

【0109】
一般式(1)~(33)で表される各々の化合物は、植物の気孔開口を促進することができる。また、気孔開口の促進により、光合成の促進、さらには植物の成長促進を図ることができる。したがって、一般式(1)~(33)で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、並びにこれらの化合物若しくはその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種は、植物気孔開口促進剤、光合成促進剤、植物成長促進剤等の有効成分として用いることができる。

【0110】
一般式(1)~(33)で表される各々の化合物の中でも、植物気孔開口促進作用がより強いという観点から、好ましくは一般式(1)~(8)で表される各々の化合物が挙げられ、より好ましくは(1)~(5)で表される各々の化合物が挙げられる。

【0111】
一般式(34)~(52)で表される各々の化合物は、植物の気孔開口(特に光に対する気孔開口)を抑制する作用を有している。また、植物の気孔開口が抑制されることによって、蒸散が抑制され、植物内の水分量が保たれることが知られている。したがって、一般式(34)~(52)で表される各々の化合物、これらの化合物の塩、及びこれらの化合物若しくはその塩の溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種は、植物気孔開口抑制剤、乾燥耐性向上剤等の有効成分として用いることができる。

【0112】
一般式(34)~(52)で表される各々の化合物の中でも、植物気孔開口抑制作用がより強いという観点から、好ましくは一般式(34)~(41)で表される各々の化合物が挙げられ、より好ましくは(34)~(36)で表される各々の化合物が挙げられる。

【0113】
本発明の植物気孔開口調節剤の対象植物は、気孔を有する植物である限り特に限定されない。例えば、被子植物(双子葉植物、単子葉植物等)、裸子植物、シダ植物等の植物に対して広く適用できる。具体例としては、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス等のナス類、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ等のウリ類、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ等の菜類、セルリー、パセリー、レタス等の生菜又は香辛菜類、ネギ、タマネギ、ニンニク等のネギ類、ダイズ、ラッカセイ、インゲン、エンドウ、アズキ等の豆類、イチゴ等のその他果菜類、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ等の直根類、サトイモ、キャッサバ、バレイショ、サツマイモ、ナガイモ等のイモ類、アスパラガス、ホウレンソウ、ミツバ等の柔菜類、トルコギキョウ、ストック、カーネーション、キク等の花卉類、イネ、コムギ、オオムギ、エンバク、トウモロコシ等の穀物類、ベントグラス、コウライシバ等の芝類、ナタネ、ラッカセイ等の油料作物類、サトウキビ、テンサイ等の糖料作物類、ワタ、イグサ等の繊維料作物類、クローバー、ソルガム、デントコーン等の飼料作物類、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモ等の落葉性果樹類、ウンシュウミカン、レモン、グレープフルーツといった柑橘類、サツキ、ツツジ、スギ等の木本類等が挙げられる。

【0114】
本発明の植物気孔開口調節剤は、上記した薬剤のみからなるものでもよいが、上記した薬剤に加えて、後述の剤形、施用態様等に応じて種々の添加剤を含んでいてもよい。植物気孔開口調節剤中の上記薬剤の含有割合は、後述の剤形、施用態様等に応じて適宜決定することができるが、例えば0.0001~100質量%の範囲を例示することができる。より具体的な例として、上記薬剤の含有割合は、液剤である本発明の植物気孔開口調節剤を気孔に接触させる場合であれば、1~500μM、好ましくは5~100μM程度が例示される。

【0115】
本発明の植物気孔開口調節剤の剤形は、農学的に許容される剤形である限り特に限定されない。例えば、液剤、固形剤、粉剤、顆粒剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤、ペースト剤、分散剤等が挙げられる。

【0116】
添加剤は、農学的に許容される添加剤である限り特に限定されない。例えば、担体、界面活性剤、増粘剤、増量剤、結合剤、ビタミン類、酸化防止剤、pH調整剤、揮散抑制剤、色素等が挙げられる。

【0117】
本発明の植物気孔開口調節剤の施用態様は、農薬の使用態様として公知の態様(或いは将来開発される態様)である限り特に限定されない。例えば、散布、滴下、塗布、植物生育環境中(土壌中、水中、固形培地中、液体培地中等)への混合又は溶解等が挙げられる。本発明の植物気孔開口調節剤の作用対象は気孔であるので、好ましくは本発明の植物気孔開口調節剤を植物の気孔に接触させることにより施用することが好ましい。
【実施例】
【0118】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0119】
試験例1:気孔開口促進作用の測定試験
mTOR阻害剤であるPP242(化合物1a)、Torin2(化合物2a)、及びAZD-8055(化合物3a)の気孔開口促進作用を測定した。これらの化合物の構造式を以下に示す。
【実施例】
【0120】
【化8】
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【実施例】
【0121】
<1-1.表皮小片の作製>
マルバツユクサ(Commelina benghalensis)の茎の一部を、バーミキュライトとピートモスとの混合土を入れたプランターに挿し、自然光が入る室内の窓際(室温25~28℃)で、2~4週間生育させた。プランターを暗室に置き、一晩、暗処理した。暗処理後、弱い赤色光下で、十分に展開した葉の裏側の表皮をピンセットで剥離し、これをはさみで切って、2.0~3.0 mm四方の小片を作製した。
【実施例】
【0122】
<1-2.試験液の調製>
試験液として、気孔開度測定溶液(5 mM MES-BTP[pH6.5], 50 mM KCl, 0.1 mM CaCl2, 0.5% DMSO)、該測定溶液に被検化合物(化合物1a~3a)を溶解(5又は50μM)させた溶液、及び該測定溶液にフシコクシンを溶解(10μM)させた溶液を調製した。
【実施例】
【0123】
<1-3.気孔開口促進作用の測定試験>
試験液それぞれについて、19 mm ガラスシャーレに400μlずつ分注し、そこに表皮小片を浸漬した。暗室内で4時間、薬剤処理した。薬剤処理後、倒立顕微鏡(Nikon ECLIPSE TS100 / TS100-F)による観察像(600倍)下で、各表皮小片あたり15個(=各試験液を用いた場合それぞれについて60個)の気孔の短径(以下、「気孔開度」と示す。)を測定した。上記測定試験を計3回行い、各試験液を用いた場合それぞれについて得られた計3回の測定値に基づいて平均値及び標準誤差(Standard Error; SE)を求め、代表例をグラフ化した(図1~3)。有意性(p値)については、Excel(Microsoft)を使用したスチューデントt-検定に従って判定した。両側検定を等分散行列(homoscedastic matrices)について実施した。
【実施例】
【0124】
<1-4.結果>
図1~3のとおり、化合物1a~3aは、いずれも気孔開口を有意に促進することが示された。また、化合物1a~3aは、気孔開口促進作用があることが知られているフシコクシンよりも、気孔開口促進作用の程度が弱いことが示された。フシコクシンは、カビ毒素として知られている化合物であり、過度な気孔開口促進により蒸散を促進し、これにより葉の枯死を引き起こすことが知られている。上記結果より、化合物1a~3aは、葉の枯死を引き起こすフシコクシン程には気孔開口を促進しないので、葉を枯死させる危険性がより少ないことが示唆された。
【実施例】
【0125】
試験例2:気孔開口調節化合物のスクリーニング
約20000種類の化合物ライブラリーの中から、気孔開口調節作用を有する化合物をスクリーニングした。具体的には次のように行った。
【実施例】
【0126】
<2-1.リーフディスクの作製>
マルバツユクサ(Commelina benghalensis)の茎の一部を、バーミキュライトとピートモスとの混合土を入れたプランターに挿し、自然光が入る室内の窓際(室温25~28℃)で、2~4週間生育させた。プランターを暗室に置き、一晩、暗処理した。暗処理後、弱い赤色光下で、十分に展開した葉をホールパンチを用い、直径5mmの円型のリーフディスクを作製した。
【実施例】
【0127】
<2-2.試験液の調製>
試験液として、気孔開度測定溶液(5 mM MES-BTP[pH6.5], 50 mM KCl, 0.1 mM CaCl2, 0.5% DMSO)、又は該測定溶液に被検化合物(スクリーニング対象化合物、フシコクシン、又はアブシジン酸)を溶解させた溶液を調製した。試験液中のスクリーニング対象化合物の濃度は50μMであり、試験液中のフシコクシンの濃度は10μMであり、試験液中のアブシジン酸の濃度は20μMである。
【実施例】
【0128】
<2-3.気孔開口促進作用を有する化合物のスクリーニング>
試験液それぞれを、96穴プレートのウェルに100μlずつ分注し、そこにリーフディスクを浸漬した。暗室内で4時間、薬剤処理した。薬剤処理後、実体蛍光顕微鏡(Leica M205FA)による観察像(160倍)下で、気孔開口を評価した。この評価の結果、気孔開口促進作用を有することが認められた化合物(113個)について、4つのリーフディスクを用いて再試験し、再現性が認められたものについて気孔開口促進作用を有する化合物としてスクリーニングした。さらに、スクリーニングで得られた化合物(56個)について、再試験し、薬剤処理後、倒立顕微鏡(Nikon ECLIPSE TS100 / TS100-F)による観察像(600倍)下で、各リーフディスクあたり35個(=各試験液を用いた場合それぞれについて140個)の気孔の短径(以下、「気孔開度」と示す。)を測定した。上記測定試験を計2回行い、各試験液を用いた場合それぞれについて得られた計2回の測定値に基づいて平均値及び標準偏差(Standard deviation; SD)を求めた。最終的に気孔開口促進作用を有すると判定した化合物(33個:化合物4a~33a)の結果について、グラフ化した(図4)。
【実施例】
【0129】
<2-4.気孔開口抑制作用を有する化合物のスクリーニング>
試験液それぞれを、96穴プレートの5つのウェルに50μl/ウェルずつ分注し、そこにリーフディスクを浸漬した。蛍光灯照射下で4時間、薬剤処理した。薬剤処理後、実体蛍光顕微鏡(Leica M205FA)による観察像(160倍)下で、気孔閉鎖を評価した。この評価の結果、気孔開口抑制作用を有することが認められた化合物(197個)について、4つのリーフディスクを用いて再試験し、再現性が認められたものについて気孔開口抑制作用を有する化合物としてスクリーニングした。さらに、スクリーニングで得られた化合物(77個)について、再試験し、薬剤処理後、倒立顕微鏡(Nikon ECLIPSE TS100 / TS100-F)による観察像(600倍)下で、各リーフディスクあたり35個(=各試験液を用いた場合それぞれについて140個)の気孔の短径(以下、「気孔開度」と示す。)を測定した。上記測定試験を計2回行い、各試験液を用いた場合それぞれについて得られた計2回の測定値に基づいて平均値及び標準偏差(Standard deviation; SD)を求めた。最終的に気孔開口抑制作用を有すると判定した化合物(19個:化合物34a~52a)の結果について、グラフ化した(図5)。
【実施例】
【0130】
<2-5.結果>
最終的に気孔開口促進作用を有すると判定した化合物(33個:化合物4a~33a)の構造式を以下に示す。
【実施例】
【0131】
【化9】
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【実施例】
【0132】
【化10】
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最終的に気孔開口抑制作用を有すると判定した化合物(19個:化合物34a~52a)の構造式を以下に示す。
【実施例】
【0133】
【化11】
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【実施例】
【0134】
【化12】
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図4より、化合物4a~33aの中でも、化合物4a~8a(その中でも特に化合物4a~5a)は、気孔開口促進作用が比較的高いことが示された。また、図5より、化合物34a~52aの中でも、化合物34a~41a(その中でも特に化合物34a~36a)は、特に気孔開口抑制作用が比較的高いことが示された。
【実施例】
【0135】
試験例3:気孔閉鎖促進作用の評価1
薬剤処理前にリーフディスクを蛍光灯照射下で3.5時間処理し、且つ薬剤処理の時間を3時間とする以外は、試験例2の項2-4と同様にして試験を行った。結果を図6に示す。
【実施例】
【0136】
図6に示されるように、化合物34aは、既に開いている気孔の閉鎖を促進することが分かった。
【実施例】
【0137】
試験例4:種子発芽に与える影響の評価
発芽試験溶液、該試験溶液にアブシシン酸を溶解(10μM)させた溶液、該試験溶液に化合物34aを溶解(5μM又は50μM)させた溶液を、試験液として準備した。各試験液150μLが入ったウェルに、シロイヌナズナ(Col-0)乾燥種子を約50粒入れ、明条件16時間/暗条件8時間のサイクルで3日間処理した。処理後、発芽した種子数をカウントし、発芽率を算出した。結果を図7に示す。
【実施例】
【0138】
図7に示されるように、化合物34aは、種子発芽を阻害しないことが分かった。この点で、化合物34aはアブシシン酸とは異なることが示された。
【実施例】
【0139】
試験例5:気孔閉鎖促進作用の評価2
リーフディスクとしてエンバクのリーフディスクを用いる以外は、試験例2の項2-4と同様にして試験を行った。
【実施例】
【0140】
エンバクのリーフディスクは、次のようにして作製した。エンバク(Avena sativa)の種子を、バーミキュライトとピートモスとの混合土を入れたプランターに播種し、室温23℃で蛍光灯下で、1~2週間生育させた。プランターを暗室に置き、一晩、暗処理した。暗処理後、弱い赤色光下で、十分に展開した葉をはさみで切って、2.0~3.0 mm四方のリーフディスクを作製した。
【実施例】
【0141】
本試験例では、薬剤処理の時間を3時間とし、薬剤処理中の光強度を赤150μM、青50μMとした。各リーフディスクあたり10個の気孔の気孔開度を測定した。この測定試験を計4回行い、各試験液を用いた場合それぞれについて得られた計4回の測定値に基づいて平均値及び標準偏差(Standard deviation; SD)を求めた。結果を図8に示す。
【実施例】
【0142】
図8に示されるように、化合物34a、化合物35a、及び化合物36aは、アブシシン酸と同程度に、既に開いている気孔の閉鎖を促進することが分かった。また、気孔開口調節作用は、異なる植物種に用いても発揮されることが分かった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7