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明細書 :根寄生植物の防除剤及び防除方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-147749 (P2019-147749A)
公開日 令和元年9月5日(2019.9.5)
発明の名称または考案の名称 根寄生植物の防除剤及び防除方法
国際特許分類 A01N  43/653       (2006.01)
A01P  13/00        (2006.01)
A01N  43/42        (2006.01)
A01N  33/04        (2006.01)
A01N  47/34        (2006.01)
C12N   9/40        (2006.01)
C12N  15/56        (2006.01)
C12N  15/63        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12Q   1/34        (2006.01)
A01N  43/12        (2006.01)
A01N  43/90        (2006.01)
A01N  43/78        (2006.01)
A01N  37/44        (2006.01)
A01N  31/02        (2006.01)
A01N  37/18        (2006.01)
A01N  41/06        (2006.01)
A01N  31/14        (2006.01)
A01N  43/54        (2006.01)
C12N   9/99        (2006.01)
FI A01N 43/653 ZNAQ
A01P 13/00
A01N 43/42 101
A01N 33/04
A01N 47/34
C12N 9/40
C12N 15/56
C12N 15/63 Z
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12Q 1/34
A01N 43/12 Z
A01N 43/90 103
A01N 43/78 Z
A01N 37/44
A01N 31/02
A01N 43/78 101
A01N 37/18 Z
A01N 41/06 B
A01N 31/14
A01N 43/54 F
C12N 9/99
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 34
出願番号 特願2018-032276 (P2018-032276)
出願日 平成30年2月26日(2018.2.26)
発明者または考案者 【氏名】岡澤 敦司
【氏名】馬場 敦也
出願人 【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
【識別番号】100159385、【弁理士】、【氏名又は名称】甲斐 伸二
【識別番号】100163407、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 裕輔
【識別番号】100166936、【弁理士】、【氏名又は名称】稲本 潔
審査請求 未請求
テーマコード 4B050
4B063
4B065
4H011
Fターム 4B050CC01
4B050CC03
4B050DD13
4B050LL05
4B063QA18
4B063QQ61
4B063QQ67
4B063QR15
4B063QS38
4B063QX01
4B065AA26X
4B065AA89Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA27
4B065CA53
4H011AB01
4H011BB04
4H011BB09
4H011BB14
4H011DA12
4H011DF05
要約 【課題】根寄生植物を効果的に防除することができる根寄生植物の防除剤及び根寄生植物の防除方法。
【解決手段】プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤を含有することを特徴とする根寄生植物の防除剤を提供。例えば、下記の防除剤。
JP2019147749A_000044t.gif
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤を含有することを特徴とする根寄生植物の防除剤。
【請求項2】
プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤が
【化1】
JP2019147749A_000032t.gif
(I)
式(I)中、
aは、ナフチル基、フェニル基、フェニルC1~C4アルキル基又はC1~C12アルキル基であり、ここで、ナフチル基、フェニル基又はフェニルアルキル基のフェニルは、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルオキシ基又はC1~C6アルキルオキシカルボニル基で置換されていてもよく、隣り合う2つのC1~C6アルキル基及び/又はC1~C6アルキルオキシ基はそれぞれが結合する炭素と共に環を形成してもよく、また、アルキル基又はフェニルアルキル基のアルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基で置換されていてもよく、
各Xは、独立して-CR12-(ここで、R1及びR2は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基若しくはC1~C6アルキルオキシ基であるか、又はR1及びR2は一緒になって=O若しくは=Sである)又は-SO2-であり、
m=1又は2であり、
Yは、結合手、-CR34-、-CR56-O-又は-CR78-S-(ここで、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基である)であり、
1は-N<又は-CR<(ここで、RはZ5のRz13と一緒になって結合手を形成している)であり
2は-CRz2z3-(ここで、Rz2及びRz3は一緒になって=O又は=Sであるか、或いは、Rz2は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、Rz3はZ3のRz6と一緒になって結合手を形成している)であり、
3は-NRz4-(ここで、Rz4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルオキシ基又はC2~C6アルケニル基であるか、或いは、Z4のRz8と一緒になって結合手を形成している)又は-CRz5z6-(ここで、Rz5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、Rz6はZ2のRz3と一緒になって結合手を形成している)であり、
4は-CRz7z8-(ここで、Rz7は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基又はフェニル基であり、該フェニル基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基で置換されていてもよく、Rz8はZ5のRz11若しくはZ3のRz4と一緒になって結合手を形成している)又は-CRz9CRz10-(ここで、Rz9及びRz10は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルオキシ基又フェニル基であるか、或いはRz9及びRz10は一緒になってベンゼン環を形成し、該環はハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基で置換されていてもよい)であり、
5は-NRz11-(ここで、Rz11は、Z4のRz8と一緒になって結合手を形成しているか、或いは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルオキシ基又はC2~C6アルケニル基である)又は-CRz12z13-(式中、Rz12は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、Rz13はZ1のRz1と一緒になって結合手を形成している)である);
【化2】
JP2019147749A_000033t.gif
【化3】
JP2019147749A_000034t.gif
(式中、
b及びRcは、各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であるか、又は一緒になって結合手を形成し、
dは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、
各Rdは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、
nは0~9の整数である);
【化4】
JP2019147749A_000035t.gif
【化5】
JP2019147749A_000036t.gif
(式中、各Rfは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、p=0~5の整数である);
【化6】
JP2019147749A_000037t.gif
(式中、各Rg及び各Rhは、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルキルオキシ基であり、q=0~5の整数、q=0~5の整数である)
からなる群より選択される請求項1に記載の防除剤。
【請求項3】
プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ活性の阻害剤が
【化7】
JP2019147749A_000038t.gif
(式中、Ra、Rz4及びRz7は上記と同義である)
又は
【化8】
JP2019147749A_000039t.gif
(I-2)
(式中、Ra、Rz4、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である)
又は
【化9】
JP2019147749A_000040t.gif
(I-3)
(式中、Ra、Y、Rz2、Rz5、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である)
である請求項1又は2に記載の防除剤。
【請求項4】
プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ活性の阻害剤が
【化10】
JP2019147749A_000041t.gif
(式中、
各Rjは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
t=0~5の整数であり、
各Ri、s及びRz4は、上記と同義である)
【化11】
JP2019147749A_000042t.gif
(I-3-ia)
(式中、
各Rkは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
u=0~4の整数であり、
各Rj、s、Rz4及びRz12は、上記と同義である)
【化12】
JP2019147749A_000043t.gif
(I-4-ia)
(式中、
各Rjは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
t=0~5の整数であり、
各Ri、s、Rz4及びRz7は、上記と同義である)
である請求項1~3のいずれか1項に記載の防除剤。
【請求項5】
根寄生植物がハマウツボ科に属する植物である請求項1~4のいずれか1項に記載の防除剤。
【請求項6】
根寄生植物がハマウツボ属(Orobanche)、ストライガ属(Striga)又はフェリパンキ属(Phelipanche)に属する植物である請求項1~5のいずれか1項に記載の防除剤。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の防除剤を用いることを特徴とする根寄生植物の防除方法。
【請求項8】
(i)配列番号2の1位~412位のアミノ酸配列、2位~412位のアミノ酸配列、3位~412位のアミノ酸配列、4位~412位のアミノ酸配列、5位~412位のアミノ酸配列、6位~412位のアミノ酸配列、7位~412位のアミノ酸配列、8位~412位のアミノ酸配列、9位~412位のアミノ酸配列、10位~412位のアミノ酸配列、11位~412位のアミノ酸配列、12位~412位のアミノ酸配列、13位~412位のアミノ酸配列、14位~412位のアミノ酸配列、15位~412位のアミノ酸配列、16位~412位のアミノ酸配列、17位~412位のアミノ酸配列、18位~412位のアミノ酸配列、19位~412位のアミノ酸配列、20位~412位のアミノ酸配列、21位~412位のアミノ酸配列、22位~412位のアミノ酸配列、23位~412位のアミノ酸配列、24位~412位のアミノ酸配列、25位~412位のアミノ酸配列、26位~412位のアミノ酸配列、27位~412位のアミノ酸配列、28位~412位のアミノ酸配列、29位~412位のアミノ酸配列、30位~412位のアミノ酸配列、31位~412位のアミノ酸配列、32位~412位のアミノ酸配列、33位~412位のアミノ酸配列、34位~412位のアミノ酸配列若しくは35位~412位のアミノ酸配列、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、
(iii)(i)若しくは(ii)のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、付加、挿入及び/若しくは欠失されたアミノ酸配列、又は
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
からなるタンパク質であることを特徴とする、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ。
【請求項9】
N末端及び/又はC末端にタグが付されている請求項8に記載のα-ガラクトシダーゼ。
【請求項10】
請求項8に記載のα-ガラクトシダーゼをコードする塩基配列からなる核酸分子。
【請求項11】
塩基配列が
(i)配列番号1の103位~1236位、100位~1236位、97位~1236位、94位~1236位、91位~1236位、88位~1236位、85位~1236位、82位~1236位、79位~1236位、76位~1236位、73位~1236位、70位~1236位、67位~1236位、64位~1236位、61位~1236位、58位~1236位、55位~1236位、52位~1236位、49位~1236位、46位~1236位、43位~1236位、40位~1236位、37位~1236位、34位~1236位、31位~1236位、28位~1236位、25位~1236位、22位~1236位、19位~1236位、16位~1236位、13位~1236位、10位~1236位、7位~1236位、4位~1236位若しくは1位~1236位の塩基配列、又は
(ii)(i)の塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列
である請求項10に記載の核酸分子。
【請求項12】
5'末端及び/又は3'末端にタグのアミノ酸配列をコードする塩基配列が付加されている請求項10又は11に記載の核酸分子。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の核酸分子を含んでなるベクター。
【請求項14】
請求項13に記載のベクターを含んでなる細胞。
【請求項15】
被検物質の存在下に請求項8又は9に記載のタンパク質とα-ガラクトシダーゼ基質とを接触させて、該タンパク質によるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を検出する工程を含むことを特徴とする、根寄生植物の防除剤の有効成分として用い得る物質をスクリーニングする方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、根寄生植物を効果的に防除することができる根寄生植物の防除剤及び根寄生植物の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根寄生植物は、世界の農業に甚大な被害をもたらしている。例えば、ハマウツボ属植物やフェリパンキ属植物は、地中海沿岸地域や東西ヨーロッパ、西アジアに分布し、野菜や豆類などの農作物に被害を与えている。ストライガ属植物は主にアフリカ地域に分布し、これら地域における作物損失の最大の生物的要因と考えられている。根寄生植物による農作物の損失額は年間に約70億を超え130億ドルにも及ぶと試算されている。また、アフリカの一部では、ストライガ属植物の侵入により、耕作地の変更を余儀なくされている。
【0003】
根寄生植物の防除には、従来、根寄生植物の種子発芽刺激活性物質として作用するストリゴラクトン又はその類縁体(例えば、カルバメート誘導体)や、エチレンを用いて、宿主植物の非存在下で強制発芽させる方法(自殺発芽)(特許文献1~4、非特許文献1)や、根寄生植物の種子発芽を誘導するが寄生させない「おとり植物」を栽培する方法(トラップクロップ法)が用いられてきた。
一方、ストリゴラクトンの幾つか又はその類縁体(例えば、カルバメート誘導体)は発芽を阻害することが見出されており、これを根寄生植物の防除に用いることが提案されている(非特許文献2、3、特許文献5)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10-251243
【特許文献2】特開平11-139907
【特許文献3】特開平11-139908
【特許文献4】国際公開第2011/125714号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2013/140946号パンフレット
【0005】

【非特許文献1】杉本幸裕ら,根の研究(Root Research),12(2):51-56(2003)
【非特許文献2】K. Uenoら,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2011,59,10485-10490
【非特許文献3】K. Uenoら,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2011,59,9226-9231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トラップクロップ法や発芽誘導剤を用いる方法では、寄生植物の発芽を強力に誘導することができないとともに、膨大な数の寄生植物を完全には防除できないという問題点を有している。
また、ストリンゴラクトン受容体に作用すると考えられる従来の発芽阻害剤は選択性の点で問題があり得る。
これまでに根寄生植物に選択的な除草剤は知られておらず、その開発は急務である。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、効果的に寄生植物を防除し得る寄生植物の防除剤、および寄生植物の防除方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
根寄生植物は発芽後直ぐに宿主植物と物理的、化学的に結合することから、本発明者らは、発芽過程に着目して根寄生植物を選択的に防除することを試みた。
その結果、本発明者らは、根寄生植物の種子における貯蔵糖であり、その代謝が発芽過程において重要な役割を果たすプランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼを同定し、該酵素を阻害することにより根寄生植物の発芽又は幼根の伸長が抑制されるという新たな知見に基き、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明によれば、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤を含有することを特徴とする根寄生植物の防除剤が提供される。
また、本発明によれば、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤を含有する根寄生植物の防除剤を用いることを特徴とする根寄生植物の防除方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、α-ガラクトシダーゼ活性を有し、プランテオースを加水分解することができるタンパク質も提供される。
本発明によれば、上記タンパク質をコードする塩基配列からなる核酸分子、該核酸分子を含んでなるベクター、又は該ベクターを含んでなる細胞も提供される。
本発明によれば、更に、候補化合物の存在下に上記タンパク質とα-ガラクトシダーゼ基質とを混合して、該タンパク質によるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を検出する工程を含むことを特徴とする、根寄生植物の防除剤の有効成分として用い得る化合物をスクリーニングする方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、根寄生植物を効果的に防除することができる根寄生植物の防除剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ヤセウツボα-ガラクトシダーゼ(OmAGAL)の大腸菌での発現を示す電気泳動写真である。
【図2】OmAGALの転写量を示す図である。
【図3】OmAGALのプランテオースに対する活性を示す図である。
【図4】OmAGAL阻害剤のスクリーニング結果を示す写真である。
【図5】OmAGAL阻害剤のスクリーニング結果を示す写真である。
【図6】OmAGAL阻害剤のスクリーニング結果を示す写真である。
【図7】OmAGAL阻害剤のスクリーニング結果を示す写真である。
【図8】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)及び阻害剤PI-1で処理したヤセウツボ種子の発芽状況を示す写真である。左下バー = 0.2 mm
【図9】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)及び阻害剤PI-1で処理したヤセウツボ種子の幼根の長さを示すグラフである。
【図10】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)及び阻害剤PI-1で処理したヤセウツボ種子の発芽率を示すグラフである。
【図11】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)及び阻害剤PI-1~PI-20で処理したヤセウツボ種子の幼根の長さを示すグラフである。
【図12】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)及び阻害剤PI-28で処理したヤセウツボ種子の発芽状況を示す写真である。(左下バー=0.2 mm)
【図13】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(control)及び阻害剤PI-28で処理したヤセウツボ種子の幼根の長さを示すグラフである。
【図14】発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(control)及び阻害剤PI-21~PI-28で処理したヤセウツボ種子の幼根の長さを示すグラフである。
【図15】無処理のシロイヌナズナ種子(control)及び阻害剤PI-1で処理したシロイヌナズナ種子の7日後の発芽状況を示す写真である。左下バー=1cm。
【図16】無処理のシロイヌナズナ種子(WT)及び阻害剤PI-1で処理したシロイヌナズナ種子の幼根の長さを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(防除剤)
本発明の根寄生植物の防除剤(以下、単に「本発明の防除剤」とも呼ぶ。)は、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤を含有することを特徴とする。
本発明の防除剤の防除対象は、根寄生植物であれば特に限定されない。本明細書において、「根寄生植物」とは、他の植物(宿主植物)の根部に寄生し、水分及び栄養分を奪い取って生育する植物である。宿主植物は、特に限定されないが、例えば、マメ科、イネ科、ナス科、キク科、ウリ科の植物である。
根寄生植物は、例えば、ハマウツボ科(Orobanchaceae)に属する植物であり、好ましくはハマウツボ属(Orobanche)、フェリパンキ属(Phelipanche)又はストライガ属(Striga)に属する植物である。ハマウツボ属植物(Orobanche spp.)としては、例えば、O. minor、O. cernua、O. ramosa、O. aegyptiaca、O. coerulescens、O. cumana、O. crenataなどが挙げられる。フェリパンキ属植物(Phelipanche spp.)としては、例えば、P. aegyptiaca、P. ramosaなどが挙げられる。ストライガ属植物(Striga spp.)としては、例えば、S. hermonthica、S. asiatica、S. gesnerioides、S. aspera、S. forbesiiなどが挙げられる。

【0014】
本明細書において、「プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ」とは、プランテオースのガラクトース及びスクロースへの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼをいう。
本発明の防除剤の1つの実施形態において、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼは
(i)配列番号2の35位~412位のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質、
(iii)(i)若しくは(ii)のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、付加、挿入及び/若しくは欠失されたアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質、又は
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質
である。

【0015】
本明細書において、配列番号2のアミノ酸配列配列相同性は、2つの配列をBlastアルゴリズム(例えば、BLAST 2.0;National Center for Biotechnology Information(NCBI)のサイトから入手可能)のデフォルトパラメータを用いて決定することができる。配列番号2のアミノ酸配列との配列相同性は、好ましくは少なくとも93%、より好ましくは95%、より好ましくは97%、最も好ましくは少なくとも99%である。
本明細書において、「複数個」とは、アミノ酸の置換、付加、挿入及び/又は欠失に関しては、10以下の整数、例えば2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4の整数をいう。
本明細書において、ストリンジェントな条件とは、例えば、5×又は6×SSC(50%ホルムアミドを含んでもよい)中での少なくとも60℃(例えば63℃、65℃、68℃、70℃)でのハイブリダイゼーションをいう。このストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、0.1~1×SSC中での約40℃~60℃での洗浄処理を伴ってもよい。1×SSCは、0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウムを含有する溶液を意味する。

【0016】
本発明の防除剤の1つの実施形態において、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼの阻害剤は下記(a)~(f)の化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である:

【0017】
(a)化合物(I):
【化1】
JP2019147749A_000002t.gif
(I)
式(I)中、
aは、ナフチル基、フェニル基、フェニルC1~C4アルキル基又はC1~C12(好ましくはC1~C10、より好ましくはC1~C8、より好ましくはC1~C6)アルキル基である。フェニルC1~C4アルキル基としては、具体的には、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルn-プロピル基、フェニルイソプロピル基、フェニルn-ブチル基、フェニルイソブチル基が挙げられ、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基が好ましく、フェニルメチル基、フェニルエチル基がより好ましい。
ナフチル基、フェニル基又はフェニルアルキル基のフェニルは、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキルオキシ基(アルコシキ基)又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルキルオキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基)で置換されていてもよい。ここで、隣り合う2つのC1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基及び/又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルキルオキシ基はそれぞれが結合する炭素と共に環を形成してもよい。

【0018】
また、アルキル基又はフェニルアルキル基のアルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルキルオキシ基で置換されていてもよい。
ハロゲンとしては、具体的には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
C1~C6アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。アルキル基は、更にハロゲンで置換されていてもよい。
C1~C6アルキルオキシ基(アルコキシ基)としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基がより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。アルキルオキシ基は、更にハロゲンで置換されていてもよい。
aは、その炭素数の合計が好ましくは4以上、より好ましくは5以上、より好ましくは6以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、より好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。

【0019】
各Xは、独立して-CR12-(ここで、R1及びR2は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基若しくはC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基であるか、又はR1及びR2は一緒になって=O若しくは=Sである)又は-SO2-である。Xとしては、具体的には、例えば、-CH2-、-CO-、-CS-及び-SO2-が挙げられ、-CH2-、-CO-及び-CS-が好ましく、-CH2-及び-CO-がより好ましい。ハロゲン、C1~C6アルキル基及びC1~C6アルコキシ基については、上記と同様である。
m=1又は2であり、m=1が好ましい。

【0020】
Yは、結合手、-CR34-、-CR56-O-又は-CR78-S-(ここで、R3、R4、 R5、R6、R7及びR8は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基である)である。Yとしては、具体的には、例えば、結合手、-CH2-、-CH2-O-及び-CH2-S-が挙げられ、結合手、-CH2-及び-CH2-O-が好ましい。ハロゲン、C1~C6アルキル基及びC1~C6アルコキシ基については、上記と同様である。

【0021】
1は-N<又は-CR<(ここで、RはZ5のRz13と一緒になって結合手を形成している)である。
2は-CRz2z3-(ここで、Rz2及びRz3は一緒になって=O又は=Sであるか、或いは、Rz2は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基であり、Rz3はZ3のRz6と一緒になって結合手を形成している)である。ハロゲン、C1~C6アルキル基及びC1~C6アルコキシ基については、上記と同様である。
3は-NRz4-(ここで、Rz4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC2~C6(好ましくはC2~C4)アルケニル基であるか、或いは、Z4のRz8と一緒になって結合手を形成している)又は-CRz5z6-(ここで、Rz5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基であり、Rz6はZ2のRz3と一緒になって結合手を形成している)である。C2~C6アルケニル基としては、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が挙げられる。ハロゲン、C1~C6アルキル基及びC1~C6アルコキシ基については、上記と同様である。

【0022】
4は-CRz7z8-(ここで、Rz7は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はフェニル基であり、該フェニル基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルキルオキシ基で置換されていてもよく、Rz8はZ5のRz111若しくはZ3のRz4と一緒になって結合手を形成している)又は-CRz9CRz10-(ここで、Rz9及びRz10は各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又フェニル基であるか、或いはRz9及びRz10は一緒になってベンゼン環を形成し、該環はハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基で置換されていてもよい)である。ハロゲン、C1~C6アルキル基及びC1~C6アルコキシ基については、上記と同様である。

【0023】
5は-NRz11-(ここで、Rz11は、Z4のRz8と一緒になって結合手を形成しているか、或いは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC2~C6(好ましくはC2~C4)アルケニル基である)又は-CRz12z13-(式中、Rz12は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基であり、Rz13はZ1のRz1と一緒になって結合手を形成している)である。ハロゲン、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC2~C6アルケニル基については、上記と同様である。

【0024】
【化2】
JP2019147749A_000003t.gif
としては、具体的には、例えば、
【化3】
JP2019147749A_000004t.gif
(Rz4及びRz7は上記と同義である);
【化4】
JP2019147749A_000005t.gif
(Rz4、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である);
【化5】
JP2019147749A_000006t.gif
(Rz2、Rz5、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である)
が挙げられる。

【0025】
化合物(I)のより具体的な例としては、
【化6】
JP2019147749A_000007t.gif
(式中、Ra、Rz4及びRz7は上記と同義である)(まとめて「化合物(I-1)」と呼ぶ)
【化7】
JP2019147749A_000008t.gif
(I-2)
(式中、Ra、Rz4、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である)
【化8】
JP2019147749A_000009t.gif
(I-3)
(式中、Ra、Y、Rz2、Rz5、Rz9、Rz10及びRz12は上記と同義である)
が挙げられる。

【0026】
化合物(I)の更に具体的な例としては、
【化9】
JP2019147749A_000010t.gif
(式中、
各Riは、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
s=0~5の整数であり、
z4及びRz7は、上記と同義である)(まとめて「化合物(I-1-i)」と呼ぶ)
【化10】
JP2019147749A_000011t.gif
(I-2-i)
(式中、
各Ri、s、Rz4、Rz9、Rz10及びRz12は、上記と同義である)
【化11】
JP2019147749A_000012t.gif
(I-3-i)
(式中、
各Ri、s、Rz2、Rz5、Rz9、Rz10及びRz12は、上記と同義である)
が挙げられる。

【0027】
化合物(I)の尚更に具体的な例としては、
【化12】
JP2019147749A_000013t.gif
(式中、
各Rjは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
t=0~5の整数であり、
各Ri、s及びRz4は、上記と同義である)(まとめて「化合物(I-1-i-A)」と呼ぶ)
【化13】
JP2019147749A_000014t.gif
(I-2-i-A)
(式中、
各Rkは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
u=0~4の整数であり、
各Rj、s、Rz4及びRz12は、上記と同義である)
【化14】
JP2019147749A_000015t.gif
(I-3-i-A)
(式中、
各Rjは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシカルボニル基であり、
t=0~5の整数であり、
各Ri、s、Rz4及びRz7は、上記と同義である)
が挙げられる。

【0028】
化合物(I)の具体例としては、
【化15】
JP2019147749A_000016t.gif
が挙げられる。

【0029】
(b)化合物PI-2及びPI-3:
【化16】
JP2019147749A_000017t.gif

【0030】
(c)化合物(II)
【化17】
JP2019147749A_000018t.gif
(II)
式(II)中、
b及びRcは、各々独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基である。或いは、Rb及びRcは一緒になって結合手を形成する。
dは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基又はC2~C6(好ましくはC2~C4)アルケニル基であり、
各Reは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6(好ましくはC1~C4)アルキル基又はC1~C6(好ましくはC1~C4)アルコキシ基であり、
nは0~9の整数である。
ハロゲン、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC2~C6アルケニル基については上記と同様である。

【0031】
化合物(II)の具体例としては、
【化18】
JP2019147749A_000019t.gif
が挙げられる。

【0032】
(d)化合物PI-14、PI-15及びPI-16
【化19】
JP2019147749A_000020t.gif

【0033】
(e)化合物(III)
【化20】
JP2019147749A_000021t.gif
(III)
式(III)中、
各Rfは独立してハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルコキシ基である。
p=0~5の整数である。

【0034】
化合物(III)の具体例としては、
【化21】
JP2019147749A_000022t.gif
が挙げられる。

【0035】
(f)化合物(IV)
【化22】
JP2019147749A_000023t.gif
(IV)
式(IV)中
各Rg及び各Rhは、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6アルキル基又はC1~C6アルコキシ基である。
q=0~5の整数である。
q=0~5の整数である。

【0036】
化合物(IV)の具体例としては
【化23】
JP2019147749A_000024t.gif
が挙げられる。

【0037】
上記化合物は、公知の方法により製造することができる。
例えば、化合物(I-1a)及び(I-1b)は、それぞれ例えばHavaldar F.H.及びMishra S.K.J.(Asian J. Chem., 16(3-4): 1681-1684, 2004)の方法及びGodhani D.R.ら(J. Chem. Pharm. Res., 5(1): 240-243, 2013)の方法に準じて合成することができる。
簡潔には、アシルヒドラジン化合物(例えば、ベンゾイルヒドラジン)を例えばメタノール中で等モル量のイソチオシアネート化合物(例えば、アリルイソチオシアネート)と反応させ、得られたアシルチオセミカルバジド化合物を水酸化ナトリウムの存在下で環化して3,4-置換1,2,4-トリアゾール-5-チオンを得て、これをホルムアルデヒド及び種々のアミン(例えばアニリン)を用いてアミノメチル化することにより化合物(I-1a)が得られる。
また、アシルイソチオシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させて1,5-置換1,2,4-トリアゾール-3-チオンを得て、これをホルムアルデヒド及び種々のアミン(例えばアニリン)と1,4-ジオキサンの存在下に反応させることにより化合物(I-1b)が得られる。

【0038】
また、例えば、化合物(I-2)は、例えば特表2013-543861号公報に記載の方法(工程1及び2)に準じて合成することができる。
簡潔には、アニリン化合物(例えば、N-ペンチルアニリン)をメタントリカルボン酸トリエチルエステルとマイクロウェーブ照射下で縮合し、得られるキノリノンカルボキシレートをマイクロウェーブ照射下でアニリン化合物(例えば、2,4-ジメチルアニリン)と反応させることにより化合物(I-2)が得られる。

【0039】
本発明の防除剤は、上記(a)~(f)の化合物群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでなる。本発明の防除剤に含まれる有効成分は、前記化合物そのものであってもよいし、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物であってもよい。本発明の防除剤は、当該化合物(又はその塩、水和物若しくは溶媒和物)に加えて、添加剤を含んでなってもよい。本発明の防除剤中の前記化合物の配合割合は、防除剤全量に対して、0.0001~100重量%、例えば0.001~90重量%、0.01~80重量%、0.1~70重量%、1~60重量%であり得る。

【0040】
本発明の防除剤は、農薬製剤上の常法に従って、上記(a)~(f)の化合物群から選択される少なくとも1つの化合物をそのまま又は液体若しくは固体担体に担持させて製剤化することができる。
本発明の防除剤の剤形は、農学的に許容される剤形である限り特に限定されず、液体(懸濁液を含む)形態であっても、固相に担持された形態であってもよい。本発明の防除剤の剤形は、例えば、液剤、固形剤、粉剤、顆粒剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤、ペースト剤、分散剤であり得る。

【0041】
固体担体としては特に限定されず、農薬製剤に一般的に用いられる固体担体を用いることができる。固体担体として、例えば、天然鉱物(例えば、石英、クレー、カオリナイト、ピロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、珪藻土)、無機塩(例えば、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム)、有機固体担体(例えば、合成ケイ酸、合成ケイ酸塩、デンプン、セルロース)、プラスチック担体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン)の単独又は任意の組合せを挙げることができる。
液体担体としては特に限定されず、農薬製剤に一般的に用いられる液体担体を用いることができる。液体担体として、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、アミド、ジメチルスルホキシド、含窒素担体若しくは油脂又はこれらの任意の組合せの混合溶媒を挙げることができる。

【0042】
本発明の防除剤は、例えば、防除対象の根寄生植物の種子を含む土壌に散布することにより、当該根寄生植物の種子は発芽できないか、又は幼根を伸長させることができず、したがって当該土壌を浄化することができる。
また、本発明の農薬組成物を土壌に散布、噴霧、散粉などすることにより施用することもできる。

【0043】
(防除方法)
本発明は根寄生植物の防除方法にも関する。
本発明の根寄生植物の防除方法(以下、単に「本発明の防除方法」ともいう。)は、上記の防除剤(本発明の防除剤)を用いることを特徴とする。
本発明の防除方法によれば、根寄生植物の種子の発芽又は幼根の伸長を阻害することにより、根寄生植物を防除することができ、延いては、根寄生植物による農作物の生育阻害を防除することができる。

【0044】
防除剤の施用方法としては、通常の農薬と同様な方法によって施用することができるが、防除対象の根寄生植物の種子を含有すると疑われる土壌への、宿主となり得る有用植物の播種前及び/又は播種後の適用が好ましい。土壌への適用方法としては、例えば、液状製剤(例えば、原液のまま又は適切な溶媒での希釈液など)を土壌に注入又は散布する方法や、固形製剤(例えば、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤など)を土壌に混和又は散布する方法などが挙げられる。
本発明の防除剤の施用量は、種々の要因(例えば、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期など)により変動し得るが、例えば有効成分として0.1g/ha~10kg/ha、より具体的には1g/ha~5kg/haの範囲から適宜選択することができる。

【0045】
(根寄生植物由来のα-ガラクトシダーゼ)
本発明は、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼにも関する。
本発明のプランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ(以下、単に「本発明のα-ガラクトシダーゼ」ともいう。)は、
(i)配列番号2の35位~412位のアミノ酸配列、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、
(iii)(i)若しくは(ii)のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、付加、挿入及び/若しくは欠失されたアミノ酸配列、又は
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
からなるタンパク質であることを特徴とする。

【0046】
本発明のα-ガラクトシダーゼは、根寄生植物の種子における貯蔵糖であり、その発芽過程に関与するプランテオースの加水分解を触媒する天然型酵素(又は野生型酵素)であるか、又は該天然型酵素(又は野生型酵素)と同等の酵素活性を有するものであるため、例えば、根寄生植物の種子の発芽又は幼根の伸長を阻害することによる該根寄生植物の防除剤において有効成分として用い得る物質のスクリーニングに有用である。

【0047】
特定の実施形態において、本発明のα-ガラクトシダーゼは、
(i)配列番号2の35位~412位のアミノ酸配列のN末端に、配列番号2の1位~34位(すなわち、全長が1位~412位)、2位~34位(すなわち、全長が2位~412位)、3位~34位(すなわち、全長が3位~412位)、4位~34位(すなわち、全長が4位~412位)、5位~34位(すなわち、全長が5位~412位)、6位~34位(すなわち、全長が6位~412位)、7位~34位(すなわち、全長が7位~412位)、8位~34位(すなわち、全長が8位~412位)、9位~34位(すなわち、全長が9位~412位)、10位~34位(すなわち、全長が10位~412位)、11位~34位(すなわち、全長が11位~412位)、12位~34位(すなわち、全長が12位~412位)、13位~34位(すなわち、全長が13位~412位)、14位~34位(すなわち、全長が14位~412位)、15位~34位(すなわち、全長が15位~412位)、16位~34位(すなわち、全長が16位~412位)、17位~34位(すなわち、全長が17位~412位)、18位~34位(すなわち、全長が18位~412位)、19位~34位(すなわち、全長が19位~412位)、20位~34位(すなわち、全長が20位~412位)、21位~34位(すなわち、全長が21位~412位)、22位~34位(すなわち、全長が22位~412位)、23位~34位(すなわち、全長が23位~412位)、24位~34位(すなわち、全長が24位~412位)、25位~34位(すなわち、全長が25位~412位)、26位~34位(すなわち、全長が26位~412位)、27位~34位(すなわち、全長が27位~412位)、28位~34位(すなわち、全長が28位~412位)、29位~34位(すなわち、全長が29位~412位)、30位~34位(すなわち、全長が30位~412位)、31位~34位(すなわち、全長が31位~412位)、32位~34位(すなわち、全長が32位~412位)若しくは33位~34位(すなわち、全長が33位~412位)のアミノ酸配列又は34位のアミノ酸(すなわち、全長が34位~412位)が付加されたアミノ酸配列、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列、
(iii)(i)若しくは(ii)のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、付加、挿入及び/若しくは欠失されたアミノ酸配列、又は
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
からなるタンパク質である。

【0048】
本発明のα-ガラクトシダーゼは、N末端及び/又はC末端にタグが付加されていてもよい。
タグとしては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、β-ガラクトシダーゼ、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、ポリシステイン、ポリフェニルアラニン、プロテインA、プロテインG、アルカリホスファターゼ、糖結合ポリペプチド(例えばマルトース結合ポリペプチド)が挙げられる。
タグと結合された本発明のα-ガラクトシダーゼは、アフィニティー精製により容易に回収できるので有用である。タグは、適切なプロテアーゼにより切断可能であるように結合されていてもよい。

【0049】
本発明は、上記の本発明のα-ガラクトシダーゼをコードする塩基配列からなる核酸分子にも関する。
本発明の核酸分子は、上記で説明したα-ガラクトシダーゼのいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる核酸分子である。本発明において、核酸分子はDNA分子であってもRNA分子であってもよい。
1つの実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号1の103位~1236位の塩基配列からなってもよい。。
特定の実施形態において、本発明の核酸分子は、
(i)配列番号1の103位~1236位の塩基配列の5'末端に、配列番号1の1位~102位(すなわち、全長が1位~1236位)、4位~102位(すなわち、全長が4位~1236位)、7位~102位(すなわち、全長が7位~1236位)、10位~102位(すなわち、全長が10位~1236位)、13位~102位(すなわち、全長が13位~1236位)、16位~102位(すなわち、全長が16位~1236位)、19位~102位(すなわち、全長が19位~1236位)、22位~102位(すなわち、全長が22位~1236位)、25位~102位(すなわち、全長が25位~1236位)、28位~102位(すなわち、全長が28位~1236位)、31位~102位(すなわち、全長が31位~1236位)、34位~102位(すなわち、全長が34位~1236位)、37位~102位(すなわち、全長が37位~1236位)、40位~102位(すなわち、全長が40位~1236位)、43位~102位(すなわち、全長が43位~1236位)、46位~102位(すなわち、全長が46位~1236位)、49位~102位(すなわち、全長が49位~1236位)、52位~102位(すなわち、全長が52位~1236位)、55位~102位(すなわち、全長が55位~1236位)、58位~102位(すなわち、全長が58位~1236位)、61位~102位(すなわち、全長が61位~1236位)、64位~102位(すなわち、全長が64位~1236位)、67位~102位(すなわち、全長が67位~1236位)、70位~102位(すなわち、全長が70位~1236位)、73位~102位(すなわち、全長が73位~1236位)、76位~102位(すなわち、全長が76位~1236位)、79位~102位(すなわち、全長が79位~1236位)、82位~102位(すなわち、全長が82位~1236位)、85位~102位(すなわち、全長が85位~1236位)、88位~102位(すなわち、全長が88位~1236位)、91位~102位(すなわち、全長が91位~1236位)、94位~102位(すなわち、全長が94位~1236位)、97位~102位(すなわち、全長が97位~1236位)若しくはは100位~102位(すなわち、全長が100位~1236位)の塩基配列が付加された塩基配列、又は
(ii)(i)の塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列
からなる。

【0050】
上記の本発明の核酸分子は、5'末端及び/又は3'末端にタグ(上記の通り)をコードする核酸配列が付加されていてもよい。
本発明の核酸分子はベクターに含まれ、又は組み込まれていてもよい。ベクターの骨格は、目的とする宿主細胞(例えば、原核生物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞など)において自律複製が可能であるか、又はその染色体中への組み込みが可能であるように適切に選択し得る。ベクターは、適切な選択マーカー(例えば薬剤耐性遺伝子)を含んでいてもよい。ベクターはプラスミドであり得る。
ベクターは、宿主細胞における発現に適切なプロモーター(例えば、CMVプロモーター)その他の種々の発現調節エレメント(例えばターミネーター、エンハンサー)を含んでもよい(このようなベクターは「発現ベクター」と呼ばれる)。発現ベクターのタイプ及び調節エレメントの種類は、宿主細胞に応じて適切に選択し得る。

【0051】
本発明のベクターを用いて細胞を形質転換してもよい。宿主細胞としては、ポリペプチド/タンパク質の発現に適切な宿主細胞を用いることができ、例えば、大腸菌(Escherichia coli)細胞のような原核細胞、酵母(例えばSaccharomyces cerevisiae)、昆虫、植物細胞及び動物細胞(HEK293細胞、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、3T3細胞、HeLa細胞など)のような真核細胞が挙げられる。形質転換された細胞は、例えば本発明の核酸分子の維持・増殖又は本発明のα-ガラクトシダーゼの発現に有用である。
本発明のα-ガラクトシダーゼの発現に適切な条件(例えば培地、培養温度など)は、宿主細胞、発現に用いたベクター(例えばプラスミド)などを考慮して適切に決定できる。

【0052】
本発明に関連して必要となる遺伝子組換え/発現技術の詳細は、標準的な教科書(例えば、Ausubel,F.A.ら編(1988),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,New York,NY;Sambrook,J.ら(1989),Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)に記載されている。

【0053】
(スクリーニング方法)
本発明の根寄生植物の防除剤の有効成分として用い得る物質(以下、「有用物質」ともいう)をスクリーニングする方法(以下、「本発明のスクリーニング方法」ともいう。)は、被検物質の存在下に、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼとα-ガラクトシダーゼ基質とを接触させて、該ガラクトシダーゼによるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を検出する工程を含むことを特徴とする。
本発明のスクリーニング方法において、「プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼ」は、防除剤が対象とする根寄生植物に由来するものであり得るが、当該スクリーニング方法により選択される物質が、防除対象の根寄生植物におけるプランテオースの加水分解を阻害し得る限り、根寄生植物に由来するものと異なってもよい。

【0054】
本発明のスクリーニング方法の1つの実施形態において、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼは
(i)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質、
(iii)(i)若しくは(ii)のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、付加、挿入及び/若しくは欠失されたアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質、又は
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド分子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなり、プランテオースを加水分解し得るタンパク質
である。

【0055】
1つの具体的形態において、本発明のスクリーニング方法は、
(a)被検物質の存在下に、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼとα-ガラクトシダーゼ基質とを接触させる工程;
(b)該ガラクトシダーゼによるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を検出する工程;
(c)分解産物が検出されない場合に、被検物質を有用物質として選択する工程
を含んでなる。
別の1つの具体的形態において、本発明のスクリーニング方法は、
(a-1)被検物質の存在下に、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼとα-ガラクトシダーゼ基質とを接触させる工程;
(b-1)被検物質の存在下での該ガラクトシダーゼによるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を定量する工程;
(a-2)被検物質の非存在下に、プランテオースの加水分解を触媒するα-ガラクトシダーゼとα-ガラクトシダーゼ基質とを接触させる工程;
(b-1)被検物質の非存在下での該ガラクトシダーゼによるα-ガラクトシダーゼ基質のいずれかの分解産物を定量する工程;
(b')被検物質の存在下で測定した分解産物の量と被検物質の非存在下で測定した分解産物の量とを比較する工程;
(c)被検物質の存在下で測定した分解産物の量が、被検物質の非存在下で測定した分解産物の量と有意に低い場合に、被検物質を候補物質として選択する工程
を含んでなる。

【0056】
本明細書において、α-ガラクトシダーゼ基質の分解産物に関して「検出」とは、存否の判定だけでなく定量及び半定量も含む。
本発明のスクリーニング方法において、「α-ガラクトシダーゼ基質」は、防除剤が対象とする根寄生植物に由来するプランテオースであり得るが、当該スクリーニング方法により選択される物質が、防除対象の根寄生植物におけるプランテオースの加水分解を阻害し得る限り、根寄生植物に由来するものと異なってもよい。更に、α-ガラクトシダーゼ基質は、必ずしもプランテオースであることを要さず、当該スクリーニング方法により選択される物質が、防除対象の根寄生植物におけるプランテオースの加水分解を阻害し得る限り、他の基質であってもよい。このような基質としては、非還元末端にα-ガラクトシル基を有するラフィノース、メリビオース、スタキオース又はp-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシドなどを用いることができる。

【0057】
例えば、α-ガラクトシダーゼ基質として、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシドを用いる場合には、検出すべき分解産物はニトロフェノール又はガラクトースである。ニトロフェノールを検出する場合、簡潔には、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシドを単独で又は被検物質と共に含む溶液(例えば、緩衝液(例えば、pH5))に、本発明のα-ガラクトシダーゼを添加するか、或いは、本発明のα-ガラクトシダーゼを単独で又は被検物質と共に含む溶液(例えば、緩衝液(例えば、pH5))に、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシドを添加し、例えば室温~40℃で、例えば10分間~1時間反応させた後、例えば炭酸ナトリウムを用いて反応を停止させ、得られた溶液の吸光度(波長400~420nm)を測定する。
【実施例】
【0058】
1.プランテオースを加水分解するα-ガラクトシダーゼの同定
1.1.実験方法
(1)OmAGAL配列の取得
ヤセウツボの発芽は、Wakabayashi et al.,J. Exp. Bot.,66,3085-3097,2015に記載に方法に従って誘導した。発芽種子からのトータルRNAの抽出は、PureLink RNA Mini Kit(Thremo Fischer Scientific)を用いて行なった。RNA-Seqライブラリの合成と配列の取得はBGI Japanにて行われた。配列取得にはHiSeq 2000を用いた。トランスクリプトームデータの取得はDDBJ Read Annotation Pipelineを用いたDe Noveアセンブリによって行なった。このトランスクリプトームデータからOmAGAL配列を取得した。クエリーとして、プランテオースを種子中に含むタバコ(Nicotiana tabacum)のα-ガラクトシダーゼ配列(GenBank:AEB98600.1;配列番号3)を用いた。この配列からシグナルペプチド部(N末端側1~34アミノ酸)をOkazawa et al.,Plant Biotechnol.,31,561-566,2014に記載の方法によってpGEX-5X-1-GWに導入し、大腸菌で発現させた。発現したGST-ΔTP-OmAGALタンパク質をGST GraviTrapカラム(GE Healthe care Life Sciences)によって精製し(図1)、アッセイに用いた。
【実施例】
【0059】
(2)酵素アッセイ
40 mMリン酸バッファー(pH 5)中で、1.0 mMプランテオースとGST-ΔTP-OmAGALを30μg加えて全量を200μlとした。それを23℃で1時間反応させた後、95℃で5分間加熱することで反応を停止した。反応はUPLC分析によって確認した。
【実施例】
【0060】
1.2.結果
(1)OmAGAL配列の取得
ヤセウツボの発芽時におけるトランスクリプトームデータからOmAGAL配列を探索した。ヒットした配列の中で発芽時に転写量が大きく上昇する配列をOmAGALとした(図2)。

(2)酵素アッセイ
プランテオースとGST-ΔTP-OmAGALの反応を確認した結果、スクロースのピークが現れた(図3)。このことから、GST-ΔTP-OmAGALがプランテオースを加水分解することがわかった。
【実施例】
【0061】
2.プランテオースを加水分解するα-ガラクトシダーゼの阻害物質のスクリーニング
2.1.実験方法
(1)酵素阻害活性測定(化合物ライブラリを用いた二次スクリーニング)
0.1Mリン酸バッファー(pH 5)に、GST-ΔTP-OmAGAL(配列番号2の35位~412位[ΔTP-OmAGAL]とGSTとの融合タンパク質) 0.2μgと化合物ライブラリMyria Screen II(Sigma-Aldrich)に含まれる化合物3μl加え、更にモデル基質4-ニトロフェニルα-D-ガラクトピラノシドを0.67mM加えて全量を150μlとするか、或いは、0.1Mリン酸バッファー(pH 5)に、GST-ΔTP-OmAGAL 0.1μgと化合物ライブラリMyria Screen I(Sigma-Aldrich)に含まれる化合物2μl加え、更に4-ニトロフェニルα-D-ガラクトピラノシドを1.0mM加えて全量を150μlとし、室温で30分間反応させた。0.5M Na2CO3を100μl加えて反応を停止させた。ネガティブコントロールとして、0.1Mリン酸バッファー(pH 5)に4-ニトロフェニルα-D-ガラクトピラノシド(0.67mM又は1.0mM)を加えたものを準備し、ポジティブコントロールとして、0.1Mリン酸バッファー(pH 5)にGST-ΔTP-OmAGAL(0.2μg又は0.1μg)とDMSO(3μl又は2μl)と4-ニトロフェニルα-D-ガラクトピラノシド(0.67mM又は1.0mM)を加えたものを準備した。反応停止後、目視による確認と吸光度(A410)の測定を行った。
【実施例】
【0062】
(2)発芽阻害実験
(2-1)選抜した阻害剤のヤセウツボへの処理
ヤセウツボ種子を1%次亜塩素酸及び0.1% Tween20を含む溶液で42℃にて1分間振とう滅菌した。その後、蒸留水(DW)でリンスし、乾燥させた。乾燥させた種子を1.5mLエッペンドルフチューブに入れ、更に0.1%寒天を1.0mL加えて混合した。シャーレ(アズノールシャーレφ50×15)に、GF/Dガラス繊維ろ紙(Whatman 47mmφ)を2枚敷き、1.5mLのDWを加えた。その上に、直径6mmの円形ろ紙(桐山ロート用ろ紙60mmφ)を敷き、その上に種子を置いた。パラフィルムでシャーレの周りを巻き、更にアルミニウムで覆った後、23℃で1週間コンディショニングを行った。
コンディショニングを行った種子を、根寄生植物種子の発芽刺激物質ストリゴラクトンの一種であるGR24(1ppm) 190μl又は95μl及び阻害剤10μl又は5μlで処理した。処理の3、5、7日後に観察した。幼根の測定にはImage Jを用いた。
【実施例】
【0063】
(2-2)阻害剤のシロイヌナズナへの処理
シャーレにGF/Dろ紙を2枚敷き、その上に滅菌シロイヌナズナ種子を置いた。種子をDW 190 μlに阻害剤10μlを加えた溶液を種子に処理した。パラフィルムでシャーレの周りを巻き、更にアルミニウムで覆い4℃で48時間培養した後(春化処理)、長日条件下で培養し、7日後に観察を行った。
【実施例】
【0064】
2.2.結果
(1)酵素阻害活性測定
(1-1)Myria Screen IIを用いたスクリーニング
下記の20の化合物について発色なし又は黄色発色の低減が観察され、α-ガラクトシダーゼ活性が確認できた(図4及び表1)。
【表1】
JP2019147749A_000025t.gif
【実施例】
【0065】
【化24】
JP2019147749A_000026t.gif
【実施例】
【0066】
例えば、PI-1、PI-7、PI-8、PI-14の吸光度はそれぞれ0.039、0.092、0.066、0.103であった(図5及び表1)。酵素阻害活性測定時の各化合物の濃度を表2に示す。
【表2】
JP2019147749A_000027t.gif
なお、ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの吸光度はそれぞれ0.034及び0.16であった。
【実施例】
【0067】
(2-2)Myria Screen Iを用いたスクリーニング
下記の8つの化合物について発色なし又は黄色発色の低減が観察され、α-ガラクトシダーゼ活性が確認できた(図6並びに表3及び4)。
【表3】
JP2019147749A_000028t.gif
【表4】
JP2019147749A_000029t.gif
【化25】
JP2019147749A_000030t.gif
【実施例】
【0068】
例えば、PI-28の吸光度は0.095であった(図7)。酵素阻害活性測定時の各化合物の濃度を表5に示す。
【表5】
JP2019147749A_000031t.gif
なお、ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの吸光度はそれぞれ0.036及び0.203であった。PI-28 で黄色の発色が薄くなっていることを,目視によっても確認できた。PI-28 の構造を下記に示す。PIの濃度を表2に示す。
【実施例】
【0069】
(2)発芽阻害実験
(2-1)阻害剤PI-1~PI-20
発芽刺激物質GR24のみで処理したヤセウツボ種子(WT)は3DAG(発芽処理後日数)で発芽している種子が見られ、5DAG、7DAGと経つにつれ幼根は伸長した(図8)。
一方、阻害剤PI-1(140μM)で処理したヤセウツボ種子は5DAGで発芽している種子が見られ、7DAGにはその幼根は伸長していた(図8)。5DAGで、PI-1で処理した種子の幼根の長さは、WTの幼根の長さの約1/3であった(図9)。PI-1で処理したヤセウツボ種子の発芽率はWTのものより低かった(図10)。ヤセウツボ種子に処理したPIの濃度を表3に示す。
阻害剤PI-2~PI-20で処理したヤセウツボ種子も、5DAGでの幼根の長さがWTの約1/4程度であった(図11)。
【実施例】
【0070】
(2-2)阻害剤PI-21~PI-28
阻害剤PI-28(142μM)で処理したヤセウツボ種子は、WT(control)と同様に3DAGで発芽が見られたが、幼根の長さは短かく、その後もほとんど伸長しなかった(図12及び図13)。
阻害剤PI-21~PI-28で処理したヤセウツボ種子の5DAGでの幼根の長さを図14に示す。
【実施例】
【0071】
(2-2)阻害剤のシロイヌナズナ種子への処理
PI-1(140μM)で処理したシロイヌナズナ種子の根はWTの約1/2であり、ヤセウツボ種子の場合より阻害の程度は小さかった(図15及び図16)。
【実施例】
【0072】
上記の実施形態および実施例は、本発明の理解を容易にするために例示として記載されたものであって、本発明は本明細書または添付図面に記載された具体的な構成および配置のみに限定されるものではないことに留意すべきである。本明細書に記載した具体的構成、手段、方法及び装置は、本発明の技術思想の範囲を逸脱することなく、当該分野において公知の他の多くのものと置換可能であることを、当業者は理解すべきであり、そして容易に認識する。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
8
【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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