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Specification :(In Japanese)柔軟導電膜及びその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-149262A
Date of publication of application Sep 5, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)柔軟導電膜及びその製造方法
IPC (International Patent Classification) H01R  11/01        (2006.01)
H01R  43/00        (2006.01)
FI (File Index) H01R 11/01 501C
H01R 11/01 501A
H01R 43/00 H
Number of claims or invention 8
Filing form OL
Total pages 16
Application Number P2018-032603
Date of filing Feb 26, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】野田 優
【氏名】川上 慧
【氏名】小林 峻司
Applicant (In Japanese)【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
Representative (In Japanese)【識別番号】110002675、【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 5E051
F-term 5E051CA03
Abstract (In Japanese)【課題】柔軟導電膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】柔軟導電膜10は、繊維12のスポンジ状構造体14と、スポンジ状構造体14の内部の隙間18に包含された複数の導電性粒子16と、スポンジ状構造体14の内部の隙間18に包含された気体Gとを備えることを特徴とする。柔軟導電膜10は、繊維12と導電性粒子16とが溶媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、分散液から溶媒を除去する溶媒除去工程とにより製造される。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
繊維のスポンジ状構造体と、
前記スポンジ状構造体の内部の隙間に包含された複数の導電性粒子と、
前記スポンジ状構造体の内部の隙間に包含された気体と
を備えることを特徴とする柔軟導電膜。
【請求項2】
前記気体の体積割合が、30vol%以上90vol%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の柔軟導電膜。
【請求項3】
前記導電性粒子の質量割合が、70wt%以上99wt%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の柔軟導電膜。
【請求項4】
前記繊維は、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブまたは有機系ナノファイバーであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の柔軟導電膜。
【請求項5】
面直方向の抵抗値が5Ωcm2以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の柔軟導電膜。
【請求項6】
Ω/sqの単位で定義される面内方向の抵抗値をΩcm2の単位で定義される面直方向の抵抗値で除した値が1×103以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の柔軟導電膜。
【請求項7】
前記気体は、空気または不活性ガスであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の柔軟導電膜。
【請求項8】
繊維と導電性粒子とが溶媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
前記分散液から前記溶媒を除去する溶媒除去工程と
を有することを特徴とする柔軟導電膜の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟導電膜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイスを回路基板に実装するために、はんだ付けが一般的に用いられている。はんだ付けは、はんだを融点以上の高温に加熱する必要があるため、電子デバイスと回路基板の材料が耐熱性の高い材料に限られる。また、はんだ付けは、はんだ付け部の厚みが大きくなるため、電子デバイスを高い実装密度で回路基板に実装することが難しい。特に近年の電子機器の小型化に伴い、電子デバイスを高い実装密度で回路基板に実装できる、はんだ付けに代わる技術が求められている。
【0003】
電子デバイスを回路基板に実装するために、高密度に配列された電極を電気的に接続する、高分子樹脂をマトリクスとした導電膜が知られている。このような導電膜は、電子デバイスに配列された電極と、回路基板に配列された電極との間に設けられ、電子デバイスと回路基板とが圧着されることにより、対向する電極間を導通させる。高分子樹脂をマトリクスとした導電膜としては、対向する電極間の導通と、隣接する電極間の絶縁とを実現する異方性導電膜がある。異方性導電膜は、膜面に対して直交する方向である面直方向の導電性と、膜面に平行な方向である面内方向の絶縁性とを有する。例えば、非特許文献1には、高分子樹脂により形成された膜の内部に複数の導電性粒子が包含された異方性導電膜が記載されている。
【0004】
特許文献1には、導電性粒子が分散された高分子樹脂を網目状絶縁部材に塗布して形成した異方性導電膜が記載されている。網目状絶縁部材は、絶縁樹脂繊維の織物であり、絶縁樹脂繊維で囲まれた隙間に高分子樹脂とともに導電性粒子を保持する。網目状絶縁部材に保持された導電性粒子は、異方性導電膜の面内方向への移動が制限される。
【0005】
特許文献2には、電極間を接続する接続材料として、高分子樹脂などで形成された接着剤層に導電性粒子が分散した異方性導電膜または等方性導電膜が記載されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2000-149666号公報
【特許文献2】特許第5163741号公報
【0007】

【非特許文献1】Sun-Chul Kim et al., Current Applied Physics., 13, S14 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子デバイスを実装するための導電膜には、面直方向の高い導電性と、凹凸形状に追従する柔軟性とが要求される。しかしながら、非特許文献1及び特許文献1,2では、電極と導電性粒子との間に高分子樹脂が残留し、対向する電極間の低抵抗化に限界がある。非特許文献1及び特許文献2では、電子デバイスと回路基板との圧着の際に、対向する電極間の導電性粒子が高分子樹脂とともに面内方向へ移動し、隣接する電極間で短絡が生じる。特許文献1では、網目状絶縁部材を作るための微細パターン形成が複雑であり、製造コストがかかる。特許文献2では、電極の凹凸を吸収する柔軟性に限界がある。
【0009】
そこで、本発明は、面直方向の導電性と凹凸形状に追従する柔軟性とを有する柔軟導電膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る柔軟導電膜は、繊維のスポンジ状構造体と、前記スポンジ状構造体の内部の隙間に包含された複数の導電性粒子と、前記スポンジ状構造体の内部の隙間に包含された気体とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る柔軟導電膜の製造方法は、繊維と導電性粒子とが溶媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、前記分散液から前記溶媒を除去する溶媒除去工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、面直方向の導電性と凹凸形状に追従する柔軟性とに優れる柔軟導電膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施した柔軟導電膜を示す概略図である。
【図2】柔軟導電膜を用いて回路基板に電子デバイスを実装する方法を説明する図であり、回路基板と電子デバイスとを圧着させる前の柔軟導電膜を示す模式図である。
【図3】柔軟導電膜を用いて回路基板に電子デバイスを実装する方法を説明する図であり、回路基板と電子デバイスとを圧着させた後の柔軟導電膜を示す模式図である。
【図4】柔軟導電膜の製造方法を説明するフローチャートである。
【図5】図5Aは粒子の膜中の質量割合と面直抵抗及び面内抵抗との関係を示すグラフであり、図5Bは粒子/繊維の質量比と面直抵抗及び面内抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】図6Aは粒子の膜中の質量割合と面内抵抗/面直抵抗比との関係を示すグラフであり、図6Bは粒子/繊維の質量比と面内抵抗/面直抵抗比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施形態
図1において、柔軟導電膜10は、繊維12のスポンジ状構造体14の内部に隙間18を有する。隙間18には複数の導電性粒子16と気体Gが包含されている。導電性粒子16は、スポンジ状構造体14に保持されている。気体Gは、空気または不活性ガスである。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等が挙げられる。なお、柔軟導電膜10は、真空環境で使用することも可能である。柔軟導電膜10を真空環境で使用する場合の気体Gは、大気圧よりも低い圧力の気体である。柔軟導電膜10は、例えばテープ状に形成されている。

【0015】
繊維12は、ナノファイバーである。ここでは、直径が100nm以下であり、アスペクト比が10以上の繊維状物質のことをナノファイバーと呼ぶ。カーボンナノチューブ(CNT;carbon nanotube)、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT;boron nitride nanotube)、または、有機系ナノファイバーなどが挙げられる。有機系ナノファイバーとしては、セルロースナノファイバー(CNF;cellulose nanofiber)、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー等が挙げられる。CNTは導電性繊維である。BNNTと有機系ナノファイバーは絶縁性繊維である。

【0016】
スポンジ状構造体14は、多孔性の膜であり、例えば繊維12の不織布である。スポンジ状構造体14は、加圧されることによって、隙間18から気体Gを流出させながら圧縮される。

【0017】
導電性粒子16は、繊維12に接続して保持されているため移動が制限されている。導電性粒子16は、導電性を有する材料により形成される。導電性粒子16は、例えば、銀、銅、金、錫、ニッケル、インジウム、ビスマス及びこれらを含む合金等により形成される。

【0018】
図2及び図3を参照し、柔軟導電膜10を用いて回路基板21に電子デバイス22を実装する方法を説明する。

【0019】
図2に示すように、回路基板21は、基材21aと、基材21aに対して突出して設けられた複数の電極21bとを備えている。電子デバイス22は、チップ22aと、チップ22aに対して突出して設けられた複数の電極22bとを備えている。電極21bと電極22bとは互いに対向する。柔軟導電膜10は、回路基板21と電子デバイス22との間に配置される。

【0020】
図3に示すように、柔軟導電膜10は、回路基板21と電子デバイス22とが所定の圧力Pで圧着されることにより、互いに対向する電極21bと電極22bとを一括して接続する。この例ではP=1MPaとしている。本図では電子デバイス22を加圧しているが、回路基板21を加圧してもよいし、回路基板21と電子デバイス22との両方を加圧してもよい。

【0021】
柔軟導電膜10は、圧着によって、対向する電極21bと電極22bとに接触する部分が、電極21bと電極22bの凹凸形状に追従して変形し、面直方向に圧縮される。柔軟導電膜10の圧縮部分では、隙間18から気体Gが流出し、導電性粒子16同士が接触する。また、柔軟導電膜10の圧縮部分に包含される導電性粒子16は、対向する電極21bと電極22bとを接続する。これにより、圧着後の柔軟導電膜10は、対向する電極21bと電極22bとが導電性粒子16を介して導通し、面直方向の電気抵抗が低減する。

【0022】
柔軟導電膜10の製造方法について、図4を用いて以下に説明する。

【0023】
柔軟導電膜10は、分散液調製工程32と溶媒除去工程36とにより製造される。分散液調製工程32は、繊維12と導電性粒子16と溶媒30との混合物に対して分散処理を行うことにより、繊維12と導電性粒子16とが溶媒30に分散した分散液34を調製する。分散処理としては、超音波分散処理、ビーズミル、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。分散処理は、例えば10秒~1分間行われる。

【0024】
溶媒除去工程36は、分散液34から溶媒30を除去する。例えば、溶媒除去工程36は、図示しないろ過装置のフィルタに分散液34を供給し、分散液34をろ過することにより、フィルタの表面に繊維12を集積させる。繊維12は、導電性粒子16を取り込みながら絡まり合うことによりスポンジ状構造体14となる。これにより、フィルタの表面に、スポンジ状構造体14の内部の隙間18に導電性粒子16が保持された膜状体が形成される。この膜状体を乾燥し、フィルタから剥離したものが柔軟導電膜10である。

【0025】
以上のように、柔軟導電膜10は、対向する電極間に配置され、圧着されることにより、電極の凹凸形状に追従して変形する。柔軟導電膜10は、導電性粒子16の表面が露出しており、隙間18に包含された気体Gが圧着の際にスポンジ状構造体14の外へ逃げるので、導電性粒子16が面直方向に互いに接触することで導電性を発現する。また、柔軟導電膜10は、繊維12と導電性粒子16とが溶媒30に分散した分散液34を調製し、この分散液34から溶媒30を除去するだけで簡易に製造することができる。

【0026】
2.実施例
分散液調製工程32において、溶媒30に分散させる繊維12の質量と導電性粒子16の質量を変更して分散液34を調製し、溶媒除去工程36において、分散液34をフィルタに供給してろ過し、フィルタ上に形成された膜状体を乾燥し、膜状体をフィルタから剥離することにより、柔軟導電膜を製造し、実施例1~65とした。繊維12の質量と導電性粒子16の質量を変えて柔軟導電膜を製造し、比較例1,2とした。

【0027】
表1~4に示すように、導電性粒子16は、銀粒子である。表1~4には、「粒子」の「種類」欄に「Ag」と記載している。銀粒子は、銀の前駆体である硝酸銀の水溶液に分散安定剤となるポリビニルピロリドン(PVP)を添加し、撹拌しながら還元剤となるアスコルビン酸(AA)を添加することにより合成した。合成後、銀粒子を含む溶液を遠心分離して銀粒子と溶媒とを分離し、エタノールで洗浄して不純物を除去し、銀粒子を得た。銀粒子の直径は1μm~2μmであり、柔軟導電膜の厚みに対して1/10程度である。銀粒子の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により撮影して得られたSEM画像から求めた。導電性粒子16の直径は、0.1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下の範囲内であることが特に好ましい。また、導電性粒子16の直径は、柔軟導電膜の厚みに対して、1/300以上1/3以下の範囲内であることが好ましい。銀粒子の直径は、硝酸銀の濃度と反応温度とにより制御することができる。

【0028】
繊維12は、表1~4の「繊維」の「種類」欄に示すCNFまたはCNTである。CNFは、株式会社スギノマシン製のCNF(品番BMa-100)である。CNFは、平均長さが10μmであり、直径が20nm~50nmである。CNTは、特許第5447367号公報、特許第5862559号公報、D.Y. Kim, H. Sugime, K. Hasegawa, T. Osawa, and S. Noda, Carbon 49(6), 1972-1979 (2011).、Z. Chen, D.Y. Kim, K. Hasegawa, T. Osawa, and S. Noda, Carbon 80, 339-350 (2014).などに記載されている流動層CVD法により合成した。CNTは、平均長さが約200μmであり、平均直径が約10nmである。

【0029】
【表1】
JP2019149262A_000003t.gif

【0030】
【表2】
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【0031】
【表3】
JP2019149262A_000005t.gif

【0032】
【表4】
JP2019149262A_000006t.gif

【0033】
分散液34は、導電性粒子16と繊維12との質量割合が所望の値となるように、適量の導電性粒子16と繊維12を溶媒30に入れて、10秒~1分間撹拌することにより調製した。溶媒30は水である。導電性粒子16の質量割合は、表1~4の「粒子」の「質量割合」欄に示す。繊維12の質量割合は、表1~4の「繊維」の「質量割合」欄に示す。表1~4の「粒子/繊維」欄に示す値は、溶媒30に入れた導電性粒子16の質量を繊維12の質量で除した値である。以降の説明では、導電性粒子16の質量を繊維12の質量で除した値を、粒子/繊維の質量比と記載する。

【0034】
溶媒除去工程36で用いたフィルタは、メルク社製のオムニポアメンブレンフィルター JAWP02500であり、孔径が1μmである。溶媒除去工程36において、フィルタ上に形成された膜状体を剥離し、自立膜として回収した後、エタノールや水などで洗浄し、柔軟導電膜を製造した。柔軟導電膜は、平面形状が円形である。比較例2は、フィルタから膜状体を剥離する際に、膜状体が粉状に崩れ、自立膜として回収できなかった。表4に示す比較例2の「-」は、自立膜として回収できなかったことにより、各種の測定及び計算を行わなかったことを示す。各実施例及び比較例1について、膜重量、膜厚、直径をそれぞれ測定した。表1~4には、膜重量、膜厚、直径のうち、膜厚のみを記載している。

【0035】
各実施例及び比較例1について、圧着前における、導電性粒子16の体積割合、繊維12の体積割合、空隙率をそれぞれ求めた。これらの結果を表1~4に示す。導電性粒子16の体積割合は、導電性粒子16の質量、導電性粒子16の密度、膜厚、直径に基づき算出した。繊維12の体積割合は、繊維12の質量、繊維12の密度、膜厚、直径に基づき算出した。空隙率は、柔軟導電膜の総体積に占める空隙の体積の割合であり、導電性粒子16の体積割合と繊維12の体積割合とに基づき算出した。空隙率は、柔軟導電膜における気体Gの体積割合である。

【0036】
各実施例及び比較例1について、圧着後における、面直方向の抵抗値と面内方向の抵抗値とを測定した。面直方向の抵抗値は、表1~4の「面直抵抗」欄に示す。面内方向の抵抗値は、表1~4の「面内抵抗」欄に示す。表1~4の「面内抵抗/面直抵抗」欄に示す値は、面内方向の抵抗値を面直方向の抵抗値で除した値である。以降の説明では、面内方向の抵抗値を面直方向の抵抗値で除した値を、面内抵抗/面直抵抗比と記載する。

【0037】
面直方向の抵抗値は、以下の方法で測定した。幅0.7cmのリボン状の銅板2枚を直交して配置し、その間に柔軟導電膜を挟み、各銅板をKEITHLEY社製デジタルマルチメータ(KEITHLEY 2400)と接続した。この銅板/柔軟導電膜/銅板の積層物を2枚のガラス板の間に配置し、一方のガラス板に対し荷重装置を用いて圧力を加え、デジタルマルチメータから直流電流を流して2枚の銅板間の電位差を読み取ることで抵抗測定を行った。二枚の銅板が重なる領域は一辺の長さが0.7cmの正方形である。すなわち、0.49cm2の領域を介して、電流は銅板-柔軟導電膜-銅板の順に流れる。荷重装置の圧力は1MPaである。銅板は、ニラコ社製、型番CU-113321、厚さ0.1mm、表面粗さは算術平均粗さがRa=0.045μm、最大高さがRz=0.67μm(20μm四方での原子間力顕微鏡測定値)である。面直方向の抵抗値は、デジタルマルチメータの測定値と上記接触面積とを乗算した値とした。面直方向の抵抗値は、Ωcm2の単位で定義される。柔軟導電膜の面直方向の導電性は、測定した面直方向の抵抗値を用いて評価することができる。面直方向の抵抗値が5Ωcm2以下を示せば、導電性を有するといえる。

【0038】
面内方向の抵抗値は、以下の方法で測定した。四探針法を行う四探針測定装置で測定した。面内方向の抵抗値は、Ω/sq(ohms per square)の単位で定義される。柔軟導電膜の面内方向の絶縁性は、測定した面内方向の抵抗値を用いて評価することができる。面内方向の抵抗値が1×108Ω/sq超を示した際は、表1~4の「面内抵抗」欄において1E+08と記載した。図5A,図5B,図6A,図6Bは1×108Ω/sqの値を用いて作図した。なお、面内方向の抵抗値が1×108Ω/sq以上を示せば、絶縁性を有するといえる。

【0039】
面直方向の抵抗値と面内方向の抵抗値とを用いて、柔軟導電膜の異方性を評価することができる。Ω/sqの単位で定義される面内方向の抵抗値をΩcm2の単位で定義される面直方向の抵抗値で除した値が1×103以上を示せば、異方性を有するといえる。

【0040】
図5Aは、導電性粒子16の質量割合を横軸に、面直抵抗と面内抵抗を縦軸にしてプロットした結果である。図5Bは、粒子/繊維の質量比を横軸に、面直抵抗と面内抵抗を縦軸にしてプロットした結果である。図6Aは、導電性粒子16の質量割合を横軸に、面内抵抗/面直抵抗比を縦軸にしてプロットした結果である。図6Bは、粒子/繊維の質量比を横軸に、面内抵抗/面直抵抗比を縦軸にしてプロットした結果である。なお、図5A,図5B及び図6A,図6Bでは、実施例1~65と比較例1のデータをプロットしており、自立膜として回収できなかった比較例2のデータはプロットしていない。

【0041】
図5A,図5B及び図6A,図6Bより、絶縁性繊維であるCNFを繊維12として用いた実施例1~61の場合の面直方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が増加するとともに小さくなることがわかる。導電性繊維であるCNTを繊維12として用いた実施例62~65の場合においても、面直方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が増加するとともに小さくなることがわかる。面直方向の抵抗値の絶対値は、絶縁性繊維を用いた場合でも導電性繊維を用いた場合でも、また、導電性粒子16の質量割合が同等の場合には同等であることがわかる。これより、面直方向の抵抗値は、導電性粒子16の面直方向への接続の影響が大きいと考えられる。実施例1~65(導電性粒子16の質量割合70wt%以上99wt%以下)と比較例1(導電性粒子16の質量割合50wt%)とを比べると、比較例1は面直方向の抵抗値が5Ωcm2を超えているのに対し、実施例1~65は面直方向の抵抗値が5Ωcm2以下であった。これは、導電性粒子16の質量割合が50wt%以下であると、面直方向における導電性粒子16同士の接続が不十分となるためと考えられる。導電性粒子16の質量割合が99wt%を超える比較例2では、柔軟導電膜の機械的強度を確保することができず、自立膜とすることが難しくなることがわかる。以上から、実施例1~65は、繊維12として絶縁性繊維を用いた場合も導電性繊維を用いた場合も、面直方向に高い導電性を有することが確認できた。このため、柔軟性導電膜は、導電性粒子16の質量割合が70wt%以上99wt%以下の範囲内であることが好ましい。

【0042】
図5A,図5B及び図6A,図6Bより、絶縁性繊維であるCNFを繊維12として用いた実施例1~61の場合は、面内方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が92wt%以下の範囲では測定限界以上であり、94wt%では測定限界以上の場合も有限の抵抗値を示す場合もあり結果が変動するが、導電性粒子16の質量割合が94wt%を超えると、導電性粒子16の質量割合の増加とともに面内方向の抵抗値が急激に減少することがわかる。面内方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が94wt%を超えると、導電性粒子16が面内方向に接続するようになり、急激に抵抗が減少したためと考えられる。導電性繊維であるCNTを繊維12として用いた実施例62~65の場合は、面内方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が94wt%以下の範囲でも、面内方向の抵抗値が小さいことがわかる。面内方向の抵抗値は、導電性粒子16の質量割合が増加するとともに小さくなることもわかる。導電性繊維の場合は、繊維12が導電性を有するので導電性粒子16の質量割合に関わらず面内方向の抵抗値が小さいが、導電性粒子16の質量割合が増加すると、さらに導電性粒子16の面内方向への接続の効果も加わり、面内方向の抵抗値が小さくなったと考えられる。

【0043】
図6A,図6Bより、面内抵抗/面直抵抗比は、絶縁性繊維であるCNFを繊維12として用いた実施例1~61では、導電性粒子16の質量割合が96wt%以下の範囲では1×103以上となり異方性が大きくなり、93wt%以下であると異方性が1×106以上とより大きくなるが、導電性粒子16の質量割合が96wt%を超えると1×103未満となり異方性が小さくなることがわかる。また、導電性粒子16の質量割合が90wt%以上である実施例5~65では、面直抵抗が0.01Ωcm2以下となり、面直方向に高い導電性を示すことがわかる。以上から、柔軟導電膜を異方性導電膜として使用する場合は、導電性粒子16の質量割合が70wt%以上99wt%以下の範囲内であることが好ましく、80wt%以上96wt%以下の範囲内であることがより好ましく、90wt%以上93wt%以下の範囲内であることが特に好ましい。柔軟導電膜を異方性導電膜として使用する場合は、スポンジ状構造体14の内部の隙間18に包含された気体Gは、絶縁性マトリクスとして機能する。

【0044】
柔軟導電膜を異方性導電膜として使用する場合は、絶縁性繊維である繊維12の質量割合は、1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、3wt%以上20wt%以下の範囲内であることがより好ましく、7wt%以上10wt%以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0045】
実施例1~65は、空隙率、すなわち気体Gの体積割合が30vol%以上90vol%以下の範囲内であることがわかる。気体Gの体積割合が30vol%未満であると、相対的に繊維12と導電性粒子16の体積割合が大きくなりすぎて、圧着の際に電極の凹凸形状に追従して変形し難しくなる。また、気体Gの体積割合が90vol%を超えると、繊維12の体積割合が小さくなりすぎて柔軟導電膜の機械的強度を確保することができず、自立膜とすることが難しくなる。これより、実施例1~65は、凹凸形状に追従する柔軟性を有する自立膜であることが確認できた。以上から、柔軟導電膜は、気体Gの体積割合が30vol%以上90vol%以下の範囲内であることが好ましく、40vol%以上85vol%以下の範囲内であることがより好ましく、50vol%以上80vol%以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0046】
特に繊維12を絶縁性繊維とした場合、気体Gの体積割合が30vol%未満であると、相対的に繊維12の体積割合が大きくなり、面直方向への圧着時に導電性粒子16の間に繊維12が介在することで面直方向の導電性が低下する。また、気体Gの体積割合が90vol%を超えると、導電性粒子16の体積割合が小さくなりすぎて面直方向の導電性が低下する。気体Gの体積割合を30vol%以上90vol%以下とすることにより、絶縁性繊維であるCNFを繊維12とした実施例1~61は、面直方向の導電性の低下が抑制されていることが確認できた。

【0047】
実施例1~65は、繊維12の体積割合が1vol%以上40vol%以下の範囲内であることがわかる。繊維12の体積割合が1vol%未満であると、柔軟導電膜の機械的強度を確保することができず、自立膜とすることが難しくなる。また、繊維12の体積割合が40vol%を超えると、相対的に気体Gの体積割合が小さくなりすぎて、圧着の際に電極の凹凸形状に追従して変形し難しくなる。これより、実施例1~65は、凹凸形状に追従する柔軟性を有する自立膜であることが確認できた。以上から、柔軟導電膜は、繊維12の体積割合が1vol%以上40vol%以下の範囲内であることが好ましく、3vol%以上30vol%以下の範囲内であることがより好ましく、7vol%以上20vol%以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0048】
特に繊維12を絶縁性繊維とした場合、繊維12の体積割合が40vol%を超えると、面直方向における導電性粒子16同士の接続が不十分となり、面直方向の導電性が低下する。繊維12の体積割合を40vol%以下とすることにより、実施例1~61は、繊維12を絶縁性繊維としたにもかかわらず、面直方向の導電性の低下が抑制されていることが確認できた。

【0049】
柔軟導電膜は、導電性粒子16の体積割合が8vol%以上50vol%以下の範囲内であることが好ましく、10vol%以上30vol%以下の範囲内であることがより好ましく、12vol%以上25vol%以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0050】
以上のように、柔軟導電膜10は、繊維12のスポンジ状構造体14の内部の隙間18に導電性粒子16と気体Gが包含されているので、面直方向の導電性と凹凸形状に追従する柔軟性とを有する。

【0051】
なお、繊維12の長さと直径は、アスペクト比が10以上となる値であることが好ましい。例えば、繊維12の長さは、0.3μm以上3mm以下の範囲内であることが好ましく、0.5μm以上2mm以下の範囲内であることがより好ましく、1μm以上1mm以下の範囲内であることが特に好ましい。繊維12の直径は、0.5nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、1nm以上70nm以下の範囲内であることがより好ましく、2nm以上50nm以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0052】
柔軟導電膜10の厚みは、圧着時に柔軟導電膜10が電極の凹凸形状に追従し、面直方向の電気抵抗を低減することができれば特に限定されないが、例えば3μm以上1000μm以下の範囲内とされる。柔軟導電膜10の厚みは、5μm以上500μm以下の範囲内であることがより好ましく、10μm以上300μm以下の範囲内であることが特に好ましい。

【0053】
3.変形例
柔軟導電膜10の空隙率は、例えば、プレスなどの処理を施すことによって調節することができる。また、柔軟導電膜10を水またはエタノールなどの有機溶剤で洗浄することにより、柔軟導電膜10の空隙率を調節することもできる。柔軟導電膜10を水で洗浄した場合は、水の表面張力が高いため柔軟導電膜10が収縮し、空隙率が下がる。柔軟導電膜10を有機溶剤で洗浄した場合は、有機溶剤の表面張力が低いため柔軟導電膜10があまり収縮せず、空隙率が上がる。また、特定の溶媒に溶ける犠牲粒子を用いて柔軟導電膜10の空隙率を調節することもできる。さらにフリーズドライ法を用いると、空隙率を容易に高めることができる。

【0054】
柔軟導電膜10は、テープ状に形成したものに限られず、例えば、平面形状が円形、楕円形、矩形、多角形等のシート状に形成してもよい。

【0055】
溶媒除去工程36は、ろ過法により分散液34から溶媒30を除去する場合に限られない。例えば、ろ過法で溶媒を含むスポンジ状構造体14を形成したあとに、温風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、フリーズドライ法で乾燥させても良い。また、ブレードコート法、スプレーコート法、ドロップキャスト法、ディップコート法、スピンコート法等により、分散液34を薄膜状に成型してから、温風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、フリーズドライ法などで溶媒30を除去してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 柔軟導電膜
12 繊維
14 スポンジ状構造体
16 導電性粒子
18 隙間
G 気体
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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