TOP > 国内特許検索 > 羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法、並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置 > 明細書

明細書 :羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法、並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-050315 (P2020-050315A)
公開日 令和2年4月2日(2020.4.2)
発明の名称または考案の名称 羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法、並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置
国際特許分類 B64C  33/02        (2006.01)
B63H   1/36        (2006.01)
B63H  25/44        (2006.01)
B63C  11/00        (2006.01)
FI B64C 33/02
B63H 1/36
B63H 25/44
B63C 11/00 B
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2018-184512 (P2018-184512)
出願日 平成30年9月28日(2018.9.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 集会名:第38回エアロ・アクアバイオメカニズム学会定例講演会 開催日:2018年3月20日
発明者または考案者 【氏名】田中 博人
【氏名】栢菅 宏規
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078776、【弁理士】、【氏名又は名称】安形 雄三
【識別番号】100121887、【弁理士】、【氏名又は名称】菅野 好章
審査請求 未請求
要約 【課題】能動的に制御できる領域が大きい羽ばたき動作を可能とする羽ばたき動作機構及びその使用方法並びに、それを用いた推進装置を提供する。
【解決手段】差動歯車部と基部とを備え、差動歯車部は、内側/外側フレームと、3つの傘歯車部と2つのモータとを備え、3つの傘歯車は、内側フレームの内側に、回動可能に保持された、第1から第3の傘歯車であり、内側及び外側フレームとは回動可能に接続され、2つのモータは、外側フレームの外側に配置された第1と第2のモータであり、第1の傘歯車と第2の傘歯車とは、同軸上に、回動面が平行になるように、対向して配置され、第3の傘歯車は、第1の及び第2の傘歯車の回動面夫々とは垂直に、回動可能に設けられ、差動歯車部と基部とは、差動歯車部の外側フレームに、基部の第1の接続軸が、差動歯車部の、第1と第2の傘歯車の回動面の回動中心との中間点の方向に、差動歯車部を回動可能に接続される。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも差動歯車部と基台部とを備え、
前記差動歯車部は、フレームと、3つの傘歯車と2つのモータとを備え、
前記差動歯車部のフレームは、内側フレームと外側フレームとからなり、
前記3つの傘歯車は、前記内側フレームの内側に、回動可能に保持された、第1の傘歯車、第2の傘歯車、及び、第3の傘歯車であり、
前記内側フレームと前記外側フレームとは、前記第1の傘歯車の第1の歯車軸と、前記第2の傘歯車の第2の歯車軸とを介して回動可能に接続され、
前記2つのモータは、前記外側フレームの外側に配置された第1のモータと第2のモータであり、
前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車とは、同軸上に、回動面が平行になるように、相互に対向して配置され、
前記第1の歯車軸は、前記第1の傘歯車の回動中心に、前記第1の傘歯車の回動面に垂直に、前記第2の傘歯車側とは反対方向に設けられ、前記第1の歯車軸には、前記第1の歯車軸を回動可能に、前記第1のモータが接続され、
前記第2の歯車軸は、前記第2の傘歯車の回動中心に、前記第2の傘歯車の回動面に垂直に、前記第1の傘歯車側とは反対方向に設けられ、前記第2の歯車軸には、前記第2の歯車軸を回動可能に、前記第2のモータが接続され、
前記第3の傘歯車は、前記第1の傘歯車の回動面及び前記第2の傘歯車の回動面とは相互に垂直に、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車との間に、前記第1の傘歯車及び前記第2の傘歯車と噛合することにより回動可能に設けられ、
前記第3の傘歯車の回動中心には、前記第3の傘歯車の回動面に垂直に、第3の歯車軸が、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とは垂直な方向に設けられ、
前記基台部は、第1の接続軸と第3のモータとを備え、
前記第1の接続軸は、前記基台部の筐体に、軸廻りに回動可能に設けられ、
前記第3のモータは、前記第1の接続軸に、前記第1の接続軸を回動可能に接続され、
前記差動歯車部と前記基台部とは、前記差動歯車部の前記外側フレームに、前記基台部の前記第1の接続軸が、前記差動歯車部の、前記第1の傘歯車の回動面の回動中心と前記第2の傘歯車の回動面の回動中心との中間点の方向に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線に対して垂直な方向から、前記差動歯車部を回動可能に接続され、
前記差動歯車部と前記基台部との接続は、初期状態では、前記第1の接続軸の延長線と前記第3の歯車軸の延長線とが、同一軸線上にあるように形成されている、
ことを特徴とする羽ばたき動作機構。
【請求項2】
前記差動歯車部と前記基台部との接続は、初期状態では、前記第1の接続軸の延長線と前記第3の歯車軸延長線とが、相互に垂直になるように形成された、請求項1に記載の羽ばたき動作機構。
【請求項3】
請求項1に記載の羽ばたき動作機構の使用方法であって、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量で回動させることを通じて、前記第3の傘歯車と前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させることを通じて、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を、前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング面ピッチング動作を生じさせることを特徴とする、羽ばたき動作機構の使用方法。
【請求項4】
請求項2に記載の羽ばたき動作機構の使用方法であって、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にリード・ラグ動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記リード・ラグ動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング動作を生じさせ、
前記、フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせることを特徴とする、羽ばたき動作機構の使用方法。
【請求項5】
請求項2に記載の羽ばたき動作機構の使用方法であって、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とが、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、リード・ラグ動作を生じさせ、
前記フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせることを特徴とする、羽ばたき動作機構の使用方法。
【請求項6】
請求項1に記載の羽ばたき動作機構を用いた推進装置であって、
前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、
前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね平行になるように設けられ、
前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面が前記第3の歯車軸と前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸がなす平面と概ね平行になるように、翼が接続され、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を、前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング面ピッチング動作を生じさせ、
前記フラッピング動作、前記フェザリング動作、及び前記フラッピング面ピッチング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする、推進装置。
【請求項7】
請求項2に記載の羽ばたき動作機構を用いた推進装置であって、
前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、
前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね垂直になるように設けられ、
前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面の法線が前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸と概ね平行になるように、翼が接続され、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にリード・ラグ動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記リード・ラグ動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング動作を生じさせ、
前記、フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせ、
前記リード・ラグ動作、前記フェザリング動作、前記フラッピング動作、前記フラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする、推進装置。
【請求項8】
請求項2に記載の羽ばたき動作機構を用いた推進装置であって、
前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、
前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね平行になるように設けられ、
前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面が前記第3の歯車軸と前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸がなす平面と概ね平行になるように、翼が接続され、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、
前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とが、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、
前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、
前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、リード・ラグ動作を生じさせ、
前記フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせ、
前記フラッピング動作、前記フェザリング動作、前記リード・ラグ動作、フラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする、推進装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法、並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置に関する。更に詳細には、少なくとも3自由度の回転運動を用いた、羽ばたき動作を可能とする羽ばたき動作機構とその使用方法、並びに、これを用いた空中や水中での推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空中を航行する航空機では、推力(推進力)を生じさせるために、プロペラなどの推進装置が用いられ、水上や水中を航行する船舶では、同様にスクリューなどの推進装置が用いられている。
【0003】
これらのプロペラやスクリューなどの推進装置は、空中や水中での推進力を発生させるものではあるが、基本的には、固定翼飛行機や飛行船の場合には、空中で揚力を発生させるために、別途、翼が必要であり、推進力により前進しない限りは、揚力は発生せず、運動方向の制御用にも、舵を別途必要としている。また、水上を航行する船舶の場合には、船体の浮力の調整により、船体を水上に浮かせており、水中を航行する船舶の場合にも同様に船体の浮力の調整は可能であるが、運動方向の制御には、同様に、運動方向制御用の舵を別途必要とする、という課題があった。
【0004】
一方、自然界においては、このような推進力と運動方向との双方を同時に制御するために、羽ばたき翼を用いる例が見られる。
【0005】
例えば、空中では、一般的な鳥類は、羽ばたきによる推進力と運動方向との制御を行っており、水中では、ペンギンなどの潜水遊泳する鳥類、および海洋で生息するウミガメなどが、羽ばたきによる推進力と運動方向との制御を行っている。
【0006】
そして、こうした生物の羽ばたき運動を参考とした、推進機構に用いる技術として、例えば、特開2001-191985号公報(特許文献1)に記載されたような、「水中航走装置」や、特開2015-174538号公報(特許文献2)に記載されたような、「運動変換機構及びこれを用いた羽ばたき機構」などが開示されている。
【0007】
そして、これらの特許文献に開示された技術では、羽ばたき運動に必要とされるフラッピング運動やフェザリング運動等を、特許文献1では、ジンバル機構を介して生じさせており、特許文献2では、揺動コマと回転コマとの組み合わせなどを介して生じさせている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2001-191985号公報
【特許文献2】特開2015-174538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示された技術では、ジンバル機構を用いていることから、ジンバル機構自体が筐体内で専有する体積が大きくなるという弊害が有り、ジンバル機構の枠体や支持軸の方向等によって、動作の変更や運動方向の制御に制限を受けるという問題も有る。また、特許文献1に開示された技術では、胸鰭にサーボモータの駆動軸が直接取り付けられている。そのため、特許文献1のジンバル機構では、胸鰭を駆動させるためには、サーボモータを含めた部分についてジンバル内での移動を行う必要があるため、質量の増大に伴う負荷が大きくなり、応答も遅くなる、という課題があった。また、こうした構造に伴い、胸鰭の駆動に伴う流体からの抗力の増大に対応して、モータの出力を大きくしようとすると、さらに質量が増大して問題が大きくなる、という課題もあった。
【0010】
また、特許文献2に開示された技術では、2つの回転コマの間の略楕円状の端面に挟持された空間の中に、翼が接続された揺動コマを挟み込んでいる。そして、その端面に沿った運動に伴って、揺動コマを動かし、揺動コマに接続された翼を運動させる機構になっている。そのため、特許文献2に開示された技術では、翼のフェザリング運動を揺動コマの運動中に任意の方向に制御できず、フラッピングの幅も、2つの回転コマに予め形成された形態に制限されることから、能動的な制御に限界があった。また、特許文献2では、元々、小型化・軽量化を発明の課題としているため、出力も限定される、という課題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであり、能動的に制御できる領域が大きな、羽ばたき動作を可能とする羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、少なくとも差動歯車部と基台部とを備え、前記差動歯車部は、フレームと、3つの傘歯車と2つのモータとを備え、前記差動歯車部のフレームは、内側フレームと外側フレームとからなり、前記3つの傘歯車は、前記内側フレームの内側に、回動可能に保持された、第1の傘歯車、第2の傘歯車、及び、第3の傘歯車であり、前記内側フレームと前記外側フレームとは、前記第1の傘歯車の第1の歯車軸と、前記第2の傘歯車の第2の歯車軸とを介して回動可能に接続され、前記2つのモータは、前記外側フレームの外側に配置された第1のモータと第2のモータであり、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車とは、同軸上に、回動面が平行になるように、相互に対向して配置され、前記第1の歯車軸は、前記第1の傘歯車の回動中心に、前記第1の傘歯車の回動面に垂直に、前記第2の傘歯車側とは反対方向に設けられ、前記第1の歯車軸には、前記第1の歯車軸を回動可能に、前記第1のモータが接続され、前記第2の歯車軸は、前記第2の傘歯車の回動中心に、前記第2の傘歯車の回動面に垂直に、前記第1の傘歯車側とは反対方向に設けられ、前記第2の歯車軸には、前記第2の歯車軸を回動可能に、前記第2のモータが接続され、前記第3の傘歯車は、前記第1の傘歯車の回動面及び前記第2の傘歯車の回動面とは相互に垂直に、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車との間に、前記第1の傘歯車及び前記第2の傘歯車と噛合することにより回動可能に設けられ、前記第3の傘歯車の回動中心には、前記第3の傘歯車の回動面に垂直に、第3の歯車軸が、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とは垂直な方向に設けられ、前記基台部は、第1の接続軸と第3のモータとを備え、前記第1の接続軸は、前記基台部の筐体に、軸廻りに回動可能に設けられ、前記第3のモータは、前記第1の接続軸に、前記第1の接続軸を回動可能に接続され、前記差動歯車部と前記基台部とは、前記差動歯車部の前記外側フレームに、前記基台部の前記第1の接続軸が、前記差動歯車部の、前記第1の傘歯車の回動面の回動中心と前記第2の傘歯車の回動面の回動中心との中間点の方向に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線に対して垂直な方向から、前記差動歯車部を回動可能に接続され、前記差動歯車部と前記基台部との接続は、初期状態では、前記第1の接続軸の延長線と前記第3の歯車軸の延長線とが、同一軸線上にあるように形成されている、ことを特徴とする羽ばたき動作機構を提供する。
【0013】
また上記課題の解決は、前記差動歯車部と前記基台部との接続は、初期状態では、前記第1の接続軸の延長線と前記第3の歯車軸延長線とが、相互に垂直になるように形成されることにより、更に効果的に達成される。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明は、前記羽ばたき動作機構において、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量で回動させることを通じて、前記第3の傘歯車と前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させることを通じて、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を、前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング面ピッチング動作を生じさせる、羽ばたき動作機構の使用方法を提供する。
【0015】
また、上記課題の解決のために本発明は、羽ばたき動作機構において、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にリード・ラグ動作のみを生じさせ、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記リード・ラグ動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング動作を生じさせ、前記、フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせる、羽ばたき動作機構の使用方法を提供する。
【0016】
また、上記課題の解決のために本発明は、羽ばたき動作機構において、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、 前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とが、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、リード・ラグ動作を生じさせ、前記フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせる、羽ばたき動作機構の使用方法を提供する。
【0017】
また、上記課題の解決のために本発明は、羽ばたき動作機構を用いた推進装置であって、前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね平行になるように設けられ、前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面が前記第3の歯車軸と前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸がなす平面と概ね平行になるように、翼が接続され、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を、前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング面ピッチング動作を生じさせ、前記フラッピング動作、前記フェザリング動作、及び前記フラッピング面ピッチング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする推進装置を提供する。
【0018】
また、上記課題の解決のために本発明は、前記羽ばたき動作機構を用いる推進装置であって、前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね垂直になるように設けられ、前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面の法線が前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸と概ね平行になるように、翼が接続され、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にリード・ラグ動作のみを生じさせ、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記リード・ラグ動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、フラッピング動作を生じさせ、前記、フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせ、前記リード・ラグ動作、前記フェザリング動作、前記フラッピング動作、前記フラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする推進装置を提供する。
【0019】
また、上記課題の解決のために本発明は、前記羽ばたき動作機構を用いた推進装置であって、前記推進装置は、少なくとも、推進装置本体と、2台の前記羽ばたき動作機構とを有し、前記羽ばたき動作機構は、前記推進装置本体の前後方向に対する両側面に設けられると共に、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とが作る軸線が、前記推進装置本体の前後方向を結ぶ線に概ね平行になるように設けられ、前記羽ばたき動作機構の前記第3の歯車軸には、翼面が前記第3の歯車軸と前記第1の歯車軸および前記第2の歯車軸がなす平面と概ね平行になるように、翼が接続され、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、前記内側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸にフラッピング動作のみを生じさせ、前記第1の歯車軸と前記第2の歯車軸とを、前記第1のモータと前記第2のモータにより、対向する前記第1の傘歯車の回動面と前記第2の傘歯車の回動面とが、相互に異なる方向に同じ回動量だけ回動させることにより、前記第3の歯車軸にフェザリング動作のみを生じさせ、前記フラッピング動作と前記フェザリング動作とを、前記方向と前記回動量とを調整することにより連動して生じさせ、前記第1の接続軸を前記第3のモータにより回動させることを通じて、前記外側フレームを回動させることにより、前記第3の歯車軸に、リード・ラグ動作を生じさせ、前記フラッピング動作と前記リード・ラグ動作とを同時に実行することにより、前記第3の歯車軸にフラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作を生じさせ、前記フラッピング動作、前記フェザリング動作、前記リード・ラグ動作、フラッピング面ピッチングを伴う前記フラッピング動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことを特徴とする推進装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、能動的に制御できる領域が大きな、羽ばたき動作を可能とする羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による第1の実施形態の三面図である。
【図3】フラッピング動作の例を示す斜視図である。
【図4】フラッピング動作の例を示す側面図である。
【図5】フェザリング動作の例を示す斜視図である。
【図6】フェザリング動作の例を示す側面図である。
【図7】フェザリング面ピッチング動作の例を示す斜視図である。
【図8】フェザリング面ピッチング動作の例を示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による推進装置の概略を図示した平面図である。
【図10】羽ばたき動作機構の実験事例の、各測定項目を示した図である。
【図11】フェザリング動作を行わない場合の実験事例における結果である。
【図12】フェザリング動作を併用した時の実験事例における結果である。
【図13】実験事例におけるフェザリング角と平均推力との関係を示す図である。
【図14】打ち上げ時にピッチング角度が正の場合の、打ち上げ動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図である。
【図15】打ち上げ時にピッチング角度が負の場合の、打ち上げ動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図である。
【図16】打ち上げ動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定結果を示した図である。
【図17】打ち下ろし時にピッチング角度が正の場合の、打ち下ろし動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図である。
【図18】打ち下ろし時にピッチング角度が負の場合の、打ち下ろし動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図である。
【図19】打ち下ろし動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定結果を示した図である。
【図20】本発明による第1の実施形態の機構原理図である。
【図21】本発明による第2の実施形態の機構原理図である。
【図22】本発明による第2の実施形態の自由度を示す図である。
【図23】本発明による第3の実施形態の機構原理図である。
【図24】本発明による第3の実施形態の自由度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明による羽ばたき動作機構について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同一の構成要素については、他の形態を採り得るものについても同一の記号を用い、重複する構成やその説明については、一部省略する場合がある。また、本発明の理解を容易にするために、羽ばたき動作機構を構成する各構成要素の大きさ、並びに、これらを構成する要素の大きさの比率や図面の縮尺等は、実際のものとは適宜変更して表現する場合が有る。また、本願において、回動とは、回転軸上の遠方から見たときに、軸を中心にして時計回り(正方向)又は反時計回り(逆方向)に回転運動を行うことを意味するが、これを単に回転という場合も含む。また、図面では、第3の歯車軸1331に翼WGを接続したものを示しているが、機構自体は必ずしも翼WGを必須の構成要素とするものに限られない。

【0023】
最初に、本発明における羽ばたき動作について、図1を参照して説明する。

【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構の概略を示す斜視図である。

【0025】
図1では、本発明の第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構に、後述する第3の歯車軸1331に翼WGを接続した例を示している。そして、図1中のX、Y、Zは上記斜視図の座標軸を示したものであり、翼WGは、図中の座標軸上でいえば、基台部BAから図中のY軸方向に延伸されており、翼WGの前縁は+X軸方向を向いていて、その翼面は、初期状態では、XY平面と概ね平行になるように配置されている。なお、ここで、初期状態とは、本発明による羽ばたき動作機構が、駆動を開始する前又は駆動を終了した際に採っている状態として、予め設定した状態の事である。そのため、後述する第2の実施形態2000に例示したように、異なる初期状態を採用した場合には、X、Y、Z軸の周りに沿って、異なる動作を採用することも可能である。

【0026】
翼WGの羽ばたき動作は、一般的には、フラッピング(主となる羽ばたきの回転)、フェザリング(翼WGの長軸廻りの回転)、フラッピング面ピッチング(フラッピングの回転軸の機首上げ・機首下げ方向回転)に分解することができる。

【0027】
このうち、フラッピング動作FLは、更に具体的には、図1にFLで示した矢印のように、翼WGの主面を、翼WGの概ね付け根部分(差動歯車DGとの接続部分)を中心にして、上下方向(±Z軸方向)に振るために、X軸廻りに回動させることである。(但し、実際には、フラッピング動作FLの回転軸は、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321との同軸上になる。)
また、フェザリング動作FTは、図1にFTで示した矢印のように、翼WGの主面を、翼WGの付け根部分を中心にして、翼WGの翼幅方向廻り(初期状態ではY軸廻り(より具体的には第3の歯車軸1331廻り))に、回動させることである。

【0028】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPは、図1にFLPPで示した矢印のように、翼WGの主面を、翼WGが接続されている差動歯車部DGごと、基台部BAに対して、Y軸廻りに回動させることである。

【0029】
本発明による上記第1の実施形態1000において、フェザリング動作FTは、フラッピング方向に対する翼WG面の向きを変えるものであり、フラッピング面ピッチング動作FLPPは、フラッピング動作FLの速度方向を変えるものである。そして、これにより、推進及び運動制御のための流体力を制御している。

【0030】
また、本発明による第1の実施形態1000では、上記3つの回動運動を3つのモータ(サーボモータ等)により能動的に制御する。すなわち、本発明の第1の実施形態1000では、第1のモータM1と第2のモータM2とが差動歯車部DGを介して、翼WGのフラッピング動作FLとフェザリング動作FTとを行う。また、第3のモータM3が、第1のモータM1と第2のモータM2及び、差動歯車部DG全体を駆動することで、翼WGについてフラッピング面ピッチング動作を行わせる事が可能である。

【0031】
なお、上記第1の実施形態1000では採用していないが、後述する第2の実施形態2000では、翼WGのリード・ラグ動作LLを用いることも可能である。そして、かかるリード・ラグ動作LLを、上記の図1の翼WGを用いて説明すると、リード・ラグ動作LLは、図1にLLで示した矢印のように、翼WGの主面を、翼WGの概ね付け根部分を中心にして、Z軸廻りに回動させて、翼WGを前後(±X軸方向)方向に、振ることである。

【0032】
次に、本発明による、第1の実施形態1000の具体的構成について説明する。

【0033】
本発明による第1の実施形態1000は、上記のような、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びに、フラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせる機能と構成とを有している。そして、特にフラッピング動作FLについては、後述するように、2つのモータを用いて行うことが可能な構成とすることで、フラッピング動作FLにおける高出力化を図ることが可能である。

【0034】
図2は、本発明による第1の実施形態1000の3面図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は正面図、図2(C)は右側面図を示している。

【0035】
そして、本発明による第1の実施形態1000では、差動歯車部DGと基台部BAとを主要な構成要素としている。

【0036】
このうち、差動歯車部DGは、フレームと、3つの傘歯車部と2つのモータとを備えており、差動歯車部DGのフレームは、内側フレーム1300と外側フレーム1500とからなっている。

【0037】
上記内側フレーム1300と外側フレーム1500とは、本実施形態では、外側フレーム1500は、概ね「コの字状」、内側フレーム1300は、概ね「円筒状」の枠体から形成されている。また、内側フレーム1300の内側には、第1の傘歯車1310、第2の傘歯車1320及び第3の傘歯車1330が保持されており、内側フレーム1300と外側フレーム1500とは、第1の傘歯車1310の第1の歯車軸1311と、前記第2の傘歯車1320の第2の歯車軸1321とを介して回動可能に接続されている。なお、ここで、上記内側フレーム1300と外側フレーム1500の枠体の形態は、必要な機能を達成することが可能であれば良い為、特に限定を設けるものでは無い。

【0038】
なお、本実施形態では、内側フレーム1300と外側フレーム1500との間に、フラッピング動作の角度を検出するために、補助歯車が設けられている。

【0039】
そこで、こうした角度を検出するために、補助歯車は、本実施形態では、第1の補助歯車1410と第2の補助歯車1420とから形成されており、補助歯車1420の補助歯車軸1421の軸受部に回転センサ等の取り付けが可能となっており、フラッピング動作の回転量を検出してフィードバック制御に用いること等が可能になっている。

【0040】
補助歯車のうち、第1の補助歯車1410は、内側フレーム1300の一側面に固定されており、後述する第1の傘歯車1310若しくは第2の傘歯車1320の側の外側フレーム1500との間の空間に、これらの歯車軸と同軸線上に回転軸が設けられ、第1の傘歯車1310若しくは第2の傘歯車1320の動きに連動して、内側フレーム1300と共に回動するように構成されている。

【0041】
また、第2の補助歯車1420は、上記第1の補助歯車1410と噛合されるように構成されており、外側フレーム1500の内側であって、内側フレーム1300の外側に、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320の作る軸線と平行に形成された補助歯車軸1421上に、後述する第3の傘歯車1330とは反対側に設けられていて、第1の補助歯車1410の動きに連動して回動するように構成されている。

【0042】
次に、差動歯車部DGの3つの傘歯車は、上述した内側フレーム1300の内側にそれぞれの歯車軸を回動可能に保持された、第1の傘歯車1310、第2の傘歯車1320、及び、第3の傘歯車1330であり、同じく、差動歯車部DGの2つのモータは、外側フレーム1500の外側に配置された第1のモータM1と第2のモータM2である。

【0043】
そして、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320とは、内側フレーム1300の内側に、同軸上に、回動面1310Sと回動面1320Sとが平行になるように、相互に対向して配置されている。

【0044】
また、第1の傘歯車1310の回動中心には、当該第1の傘歯車1310の回動面1310Sに垂直に、第1の歯車軸1311が第2の傘歯車1320側とは反対方向に設けられ、第1の歯車軸1311には、当該第1の歯車軸1311を回動可能に、第1のモータM1が接続されている。

【0045】
また、同様に、第2の傘歯車1320の回動中心には、当該第2の傘歯車1320の回動面1320Sに垂直に、第2の歯車軸1321が第1の傘歯車1310とは反対方向に設けられ、第2の歯車軸1321には、当該第2の歯車軸1321を回動可能に、第2のモータM2が接続されている。

【0046】
また、上記第1のモータM1乃至第2のモータM2と、第1の傘歯車1310の第1の歯車軸1311と第2の傘歯車1320の第2の歯車軸1321との接続は、本発明の上記第1の実施形態1000では、それぞれの回動軸に取付けられたプーリ乃至歯車(M1G、1311G、等)に対して、ベルト乃至歯付ベルトBLを介して接続されている。

【0047】
そのため、上記の構成を採用することにより、各モータの駆動により、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320とを任意の方向に回動することが可能である。

【0048】
なお、上記第1のモータM1乃至第2のモータM2と、第1の傘歯車1310乃至第2の傘歯車1320との接続手段については、特に限定を設けるものでは無い。そのため、それぞれのモータにより、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320とが回動可能であれば、例えば、上述の例のように、ベルトとプーリを用いたり、或いは、リンク機構を用いたり、若しくは、別途、各種の歯車を組み合わせて用いたりすることが可能である。

【0049】
また、内側フレーム1300に配置される第3の傘歯車1330は、歯車軸1331が第1の傘歯車1310の回転軸1311ないし第2の傘歯車1320の回転軸1321に対して垂直になるように、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320との間に、第1の傘歯車1310及び第2の傘歯車1320と噛合することにより回動可能に設けられている。

【0050】
そして、第3の傘歯車1330の回動中心には、当該第3の傘歯車1330の回動面1330Sに垂直に、第3の歯車軸1331が、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とは垂直な方向に設けられており、当該第3の歯車軸1331には、必要に応じて翼WGなどが接続される。

【0051】
そのため、第3の傘歯車1330は、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320の動作に応じて、回動が可能になっており、更に後述するように、第1の傘歯車1310と第2の傘歯車1320の動作の態様によっては、第3の傘歯車1330の第3の歯車軸1331自体が、内側フレーム1300と一体となって動作するようにも構成されている。

【0052】
また、本発明による上記第1の実施形態1000を構成する、もう一つの主要な要素である基台部BAは、例えば、円板状の形態を有していて、その円板形状の片側の端面側に、上記差動歯車部DGを保持する固定台としての機能を有する部分である。そして、当該基台部BAは、少なくとも第1の接続軸1611と第3のモータM3とを備えている。

【0053】
このうち、第1の接続軸1611は、基台部BAの筐体に、軸廻りに回動可能に設けられ、第3のモータM3は、第1の接続軸1611に、当該第1の接続軸1611を回動可能に接続されている。

【0054】
なお、ここで、上記第3のモータM3と第1の接続軸1611との接続方法は特に限定を設けるものでは無いが、本実施形態では、第3のモータM3の駆動軸に接続された歯車M3Gと、第1の接続軸1611に接続された歯車1611Gとの噛合によって行われている。

【0055】
そして、上記のように本発明の第1の実施形態1000を構成する差動歯車部DGと基台部BAとの接続は、初期状態では、第1の接続軸1611の延長線と第3の歯車軸1331の延長線とが、同一軸線上にあるように形成されている。

【0056】
そのため、本発明の第1の実施形態1000を構成する差動歯車部DGは、基台部BAと接続されることに伴い、第1の接続軸1611を第3のモータM3により駆動することによって、当該差動歯車部DGの第3の歯車軸1331の周りに、任意の方向に回動可能になっている。(なお、これは初期状態を採るときのみでありフラッピング動作をしたとき第1の接続軸1611と第3の歯車軸1331は同軸上にはない。)
以上のように、本発明による第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構によれば、上記第3の歯車軸1331に、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能である。

【0057】
なお、上述の例において使用される第1から第3のモータM3の種類については特に限定を設けるものでは無いが、上記実施形態の例では、サーボモータを使用している。

【0058】
また、上記各構成要素の材質についても、発明の目的に適合する強度や耐久性を有すれば、特に限定を設けるものでは無いが、なるべく軽量の材質を使用することが望ましく、特に水中における使用では、耐水性や防食性も考慮することが望ましい。

【0059】
次に、本発明による、第1の実施形態1000を用いた、羽ばたき動作機構の更に具体的な使用方法について説明する。

【0060】
本発明による第1の実施形態1000では、次のような具体的な使用方法により、本発明による羽ばたき動作機構に、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能である。

【0061】
このうち、フラッピング動作FLについては、具体的には、図3、図4、並びに、次に記載するように生じさせている。

【0062】
ここで、図3は、本発明による第1の実施形態1000においてフラッピング動作FLを生じさせるための例を示す斜視図である。このうち図3(A)は、機構部分の動作の概略を図示したものであり、図3(B)は、機構部分を更に拡大して示したものである。また、図4はフラッピング動作FLの各段階の様子を示す正面図であり、(A)は第3の歯車軸1331が上方(+Z)方向にフラッピングした状態を示し、(B)は初期状態を示し、(C)は、第3の歯車軸1331が下方(-Z)方向にフラッピングした状態を示している。

【0063】
そして、本発明による、第1の実施形態1000では、次のように、第3の歯車軸1331乃至それに接続された翼WGにフラッピング動作FLを生じさせている。

【0064】
すなわち、更に具体的には、図3(A)、(B)の矢印FL1とFL2に示すように、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させる。

【0065】
そうすると、例えば、図3(B)に示すように、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とが回動するが、これらは同じ方向に同じ回動量だけ回動するため、第3の歯車軸1331は自身の軸廻りには回動しないが、これにより、内側フレーム1300が第1の補助歯車1410を介して外側フレーム1500に対して回動することになる。

【0066】
そのため、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、第3の歯車軸1331が駆動し、当該第3の歯車軸1331を保持する内側フレーム1300が連動して回動し、この結果として、図4に各段階の様子を示したように、第3の歯車軸1331(及び内側フレーム1300)に接続された翼WGにフラッピング動作FLのみを生じさせることが可能となっている。

【0067】
なお、ここで、同じ回動量とは、回転角度の変位量が、比較対象間で同じことを意味しており、量という時は方向や正負を持たない大きさの趣旨である。

【0068】
また、フェザリング動作FTについては、図5、図6、並びに、次に示すように生じさせている。

【0069】
ここで、図5は、本発明による第1の実施形態1000においてフェザリング動作FTのみを生じさせるための例を示す斜視図である。このうち図5(A)は、機構部分の動作の概略を図示したものであり、図5(B)は、機構部分を更に拡大して示したものである。また、図6はフェザリング動作FTの各段階の様子を示す正面図であり、(A)は第3の歯車軸1331がY軸を中心とした時計回り方向にフェザリングした状態を示し、(B)は初期状態を示し、(C)は、第3の歯車軸1331がY軸を中心とした反時計回り方向にフェザリングした状態を示している。なお、図6中の鎖線は、理解の容易化のために翼WGの翼面の基準面の断面線を仮想的に示したものである。

【0070】
そして、本発明による、第1の実施形態1000では、次のように、第3の歯車軸1331乃至それに接続された翼WGにフェザリング動作FTのみを生じさせている。

【0071】
すなわち、更に具体的には、図5(A)、(B)の矢印FT1とFT2に示すように、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面1310Sと第2の傘歯車1320の回動面1320Sとを、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させる。

【0072】
そうすると、例えば、図5(B)に示すように、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とが回動するが、これらは相互に異なる方向に同じ回動量で回動するため、第3の歯車軸1331は自身の軸廻りのFT方向に回動することになる。

【0073】
そのため、相互に異なる方向に同じ回動量で第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを回動させた場合には、図6に各段階の様子を示したように、第3の歯車軸1331にフェザリング動作FTのみを生じさせることが可能となっている。

【0074】
以上に示した例は、フラッピング動作FLのみ、或いは、フェザリング動作FTのみを生じさせる例を示したものであるが、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とのそれぞれに、フラッピング動作FL分の回動とフェザリング動作FT分の回動とを合わせた回動を生じさせれば、フラッピング動作FLとフェザリング動作FTとを同時に生じさせることも可能である。

【0075】
そのため、例えば、フラッピング動作FLでは、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを相互に同一の方向に回動させた場合であっても、異なる回動量で回動させれば、フェザリング動作FTを伴うものになる。また、フェザリング動作FTでは、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを相互に異なる方向に回動させた場合であっても、異なる回動量で回動させれば、フラッピング動作を伴うものになる。

【0076】
したがって、本発明では、第1の歯車軸1311の回動方向や、第2の歯車軸1321の回動方向と、これらの歯車軸の回動量とをそれぞれ調節することにより、フラッピング動作とフェザリング動作とを、連動して生じさせることが可能である。

【0077】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPについては、図7、図8、並びに、次に示すように生じさせている。

【0078】
ここで、図7は、本発明による第1の実施形態1000においてフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせるための例を示す斜視図である。また、図8はフラッピング面ピッチング動作FLPPの各段階の様子を示す側面図であり、(A)は差動歯車部DGがY軸を中心とした時計回り方向にフラッピング面ピッチング動作FLPPをした状態を示し、(B)は初期状態を示し、(C)は、差動歯車部DGがY軸を中心とした反時計回り方向にフラッピング面ピッチング動作FLPPをした状態を示している。なお、図8中の鎖線は、理解の容易化のために翼WGの翼面の基準面の断面線を仮想的に示したものであり、白抜きの矢印は、理解の容易化のために第3の歯車軸1331に接続された翼WGがフラッピングする方向を仮想的に示したものである。

【0079】
そして、本発明による、第1の実施形態1000では、次のように、第3の歯車軸1331乃至それに接続された翼WGにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせている。

【0080】
すなわち、更に具体的には、図7に表示した矢印FLPPに示すように、基台BAに設けられた第1の接続軸1611を、同じく基台に設けられた第3のモータM3により回動させる。

【0081】
そうすると、第1の接続軸1611に接続された差動歯車部DGの外側フレーム1500が回動することになるが、当該外側フレーム1500には内側フレーム1300が接続されているため、結果として、図7に示すように、差動歯車部DG全体が、フラッピング面ピッチング動作FLPPを生じることになり、上記内側フレーム1300に設けられた第3の歯車軸1331も、同様の動作をすることになる。

【0082】
そのため、第1の接続軸1611を、第3のモータM3により回動させることを通じて、外側フレーム1500を回動させることにより、図8に各段階の様子を示したように、第3の歯車軸1331に、フラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能となっている。

【0083】
以上のような、本発明による第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構を用いた具体的な使用方法によれば、上述した第1から第3までの各モータを適宜作動させて、本発明による羽ばたき動作機構に、上述のような、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能である。

【0084】
次に、本発明の第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構を用いた推進装置9000について説明する。

【0085】
図9は、本発明の第1の実施形態1000による羽ばたき動作機構を用いた推進装置9000の概略を図示した平面図である。そして、図中の鎖線は、推進装置本体THVの重心Gを通る前後方向の線を示す仮想的な線であり、点線は、羽ばたき動作機構の第3の歯車軸1331の軸線を示す仮想的な線である。

【0086】
本発明による推進装置9000は、少なくとも、推進装置本体THVと、2台の前記羽ばたき動作機構1000とから構成されている。

【0087】
そして、当該2つの羽ばたき動作機構1000は、推進装置本体THVの前後方向に対する両側面に設けられると共に、(図示しない)第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とが作る軸線が、推進装置本体THVの前後方向を結ぶ線(図中の鎖線)に概ね平行になるように設けられている。なお、ここで、平行とは必ずしも厳密に平行であることを意味するものでは無く、使用される翼の形態などに応じて、推進装置本体THVの機能を発揮させ得る程度に平行と認められる範囲を意味しており、「概ね」とは、これを強調する趣旨で表現したものである。

【0088】
また、羽ばたき動作機構1000の第3の歯車軸1331には、翼WGの翼面が第3の歯車軸1331と第1の歯車軸1311ないし第2の歯車軸1321がなす平面が平行になるように、翼WGが接続されている。

【0089】
そして、上記第3の歯車軸1331乃至それに接続された翼WGに対して、次のように、一方乃至双方の翼WGを連動させ、或いは個別に、下記のように、フラッピング動作FL、フェザリング動作FT、又はフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせる。

【0090】
すなわち、フラッピング動作FLのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面1310Sと第2の傘歯車1320の回動面1320Sとを、相互に同一の方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、第3の歯車軸1331を駆動し、これにより、当該第3の歯車軸1331を保持する内側フレーム1300を回動させることにより、フラッピング動作FLのみを生じさせる。

【0091】
また、フェザリング動作FTのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面1310Sと第2の傘歯車1320の回動面1320Sとを、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させることを通じて、第3の歯車軸1331にフェザリング動作FTのみを生じさせる。

【0092】
そして、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とのそれぞれに、フラッピング動作FL分の回動とフェザリング動作FT分の回動とを合わせた回動を生じさせれば、フラッピング動作FLとフェザリング動作FTとを同時に生じさせることも可能である。

【0093】
そのため、例えば、フラッピング動作FLでは、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを相互に同一の方向に回動させた場合であっても、異なる回動量で回動させれば、フェザリング動作FTを伴うものになる。また、フェザリング動作FTでは、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを相互に異なる方向に回動させた場合であっても、異なる回動量で回動させれば、フラッピング動作を伴うものになる。

【0094】
したがって、フラッピング動作とフェザリング動作とは、上述したように、第1の歯車軸1311の回動方向や、第2の歯車軸1321の回動方向と、これらの歯車軸の回動量とをそれぞれ調節することにより、連動して生じさせることが可能である。

【0095】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPについては、第1の接続軸1611を、第3のモータM3により回動させることを通じて、外側フレーム1500を回動させることにより、第3の歯車軸1331に、フラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせる。

【0096】
そして、上記推進装置9000では、上記2つの羽ばたき動作機構1000を、それぞれ同様に、或いは、別個に、フラッピング動作FL、フェザリング動作FT、及びフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせ、これらの動作量と位相差とを制御することにより、空気中や水中などの流体中での運動の制御を行うことが可能である。

【0097】
ここで、位相差の制御とは、フラッピング動作FL、フェザリング動作FT、及びフラッピング面ピッチング動作FLPPの各動作の位相或いはタイミングを、それぞれ任意の違いを設けて行うように、制御することである。

【0098】
すなわち、本発明では、例えば、フラッピング動作FLは、図4(B)に記載したように、初期状態から、+Z方向から、-Z方向へ、時間軸に沿って、正弦波状に動作させることが可能であり、これは他の動作についても同様である。

【0099】
そこで、本発明では、これらの動作を各動作ごとに位相を制御することで、翼WGが発生する流体力と慣性力とを制御して、推進装置の運動制御を行うことが可能である。

【0100】
これを、例えば、翼WGのフェザリング角を変化させながらフラッピング動作が可能な2自由度の羽ばたき動作機構の実験事例で示すと、次のような結果が得られている。

【0101】
本実験事例では、図1に記載したような本発明による第1の実施形態1000のような羽ばたき動作機構を流水が流れる水路上に配置した。

【0102】
そして、基台部BAと差動歯車部DGとが水路上になり、翼WGが水面下になるように、羽ばたき動作機構を配置した。すなわち、例えば、図1のY軸が水深方向となり、+X軸から-X軸の方向に水が流れるように配置して、フラッピング動作FLとフェザリング動作FTとを行った。

【0103】
そして、その際の翼WG等に関する測定項目を、図10に、上記実験事例による測定項目として示したように、水路の水流方向に対して逆方向に生じる力を正の推力とし、これに垂直な力を横力、これらの合力の方向を持つ力を流体力として、測定を行い、次の結果が得られた。

【0104】
図11は、フェザリング動作FTを行わない場合の上記実験事例における結果である。

【0105】
この場合、フェザリング角度(フェザリング角)を一定(0度)とし、フラッピング動作FLの角度(フラッピング角)を正弦波状に変化させた時、横力は正弦波状に変動するが、推力(鎖線で表示した部分)はほとんど得られなかった。

【0106】
また、図12は、フェザリング動作FTを併用した時の上記実験事例における結果である。

【0107】
この場合、正弦波状のフラッピング角に対して、正弦波状のフェザリング動作FTの角度(フェザリング角)を30度進めたとき、鎖線で表示したような、正弦波状の正の推力が得られた。

【0108】
また、図13は、フェザリング振幅と平均推力との関係を示す図であり、ここでは、フェザリング振幅を0度から50度まで10度ずつ変化させた時の、それぞれの1周期の平均推力を示している。そして、この場合、フェザリング角度が0の場合の平均推力が0.07[N]であるのに対し、フェザリング動作FTを併用した場合の平均推力は0.64[N]となり、約9倍になっている(ただし、たとえば、フェザリング振幅が10度のとき、最大フェザリング角は10度であり、最小フェザリング角は-10度である。)。

【0109】
また、次に、これを例えば、フラッピング軸のピッチング角度(フラッピング面ピッチングの角度:ピッチング角)の変動による流体力の向きの変化について、数値シミュレーションを行ったところ、次のような結果を得ている。

【0110】
ここで、フラッピング動作FLの方向は、翼WGの翼面が上向きの動き(打ち上げ)をする場合と下向きの動き(打ち下げ)をする場合との2つの動作の方向を採り得る。そして、それぞれの動作を行う際に、ピッチング角が正の場合と負の場合とが有るため、以下の説明では、これを分けて考える。

【0111】
図14と図15は、打ち上げ動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図であり、図14は、打ち上げ時にピッチング角度が正の場合、図15は、打ち上げ時にピッチング角度が負の場合の例を示したものである。なおここで、図中の反時計回りを正回転としている。また、フラッピング、フェザリング、フラッピング面ピッチングの与え方については、上記実験事例と同様であり、フラッピング動作は上記実験事例と同様で、フラッピング動作は上記実験事例で最大の平均推力が得られたフェザリング振幅30度の運動であり、ピッチング角は-10度から10度まで5度ずつ変化させた。また、流速と翼の大きさ,形状については上記実験事例と同様である.
図14から、図15の変化を見るとピッチング角が小さくなる(正から負になる)につれて、相対流速の向きは時計回りに回転し、流体力の向きも時計回りに回転する。すなわち、フラッピング軸のピッチング角度の変動に応じて、流体力の向きを変えることが可能である。なお、ここで相対流速とは、筐体(翼の付いた本体)が移動していると想定した時の移動速度と、その時の羽ばたき運動中の翼の筐体に対する運動速度とを合わせた速度である。

【0112】
そして、これについて、数値シミュレーションで計算した結果が図16である。この結果から、ピッチング角が小さくなるにつれて、移動方向と流体力方向がなす角が小さくなる(近づく)ことが確認できる。

【0113】
また、図17と図18は、打ち下ろし動作を行う場合の数値シミュレーションモデルの測定項目を示した図であり、図17は、打ち下ろし時にピッチング角度が正の場合、図18は、打ち下ろし時にピッチング角度が負の場合の例を示したものである。

【0114】
上記図17及び図18から、ピッチング角が小さくなる(正から負になる)につれて、流体力の向きが時計回りに回転することが分かる。

【0115】
そして、これについて、数値シミュレーションで計算した結果が図19である。この結果から、ピッチング角が小さくなるにつれて、移動方向と流体力方向がなす角が大きくなる(離れていく)ことが確認できる。

【0116】
以上の数値シミュレーションでは、フェザリング角の時間変化関数、移動速度、フラッピング角の時間関数は、全て同じで、フラッピング軸ピッチングのみを変えて比較している、フラッピング軸ピッチング角を変えることで流体力の向きを変更できるので、推進装置の制御が可能となっている。

【0117】
そのため、以上の結果から分かるように、本発明においては、各動作の動作量と位相差とを制御することにより、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことが可能である。

【0118】
以上のように、本願発明による羽ばたき動作機構では、上記本発明の第1の実施形態1000に示したように、少なくとも3自由度の回転運動を用いることで、第3の歯車軸1331乃至それに接続される翼WGに対して、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能である。

【0119】
そして、特に、翼WGに対して抗力が大きくなるフラッピング動作FLにおいては、2つのモータを用いることで、こうした大きくなる抗力に対して、出力を増大させて対応することが可能である。

【0120】
また、本発明による羽ばたき動作機構による使用方法によれば、上記羽ばたき動作機構を適切に使用することにより、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせることが可能である。

【0121】
さらに、本発明による羽ばたき動作機構を用いることにより、水中や空中などの流体中において、推進装置の運動を制御することが可能である。

【0122】
そのため、本発明によれば、能動的に制御できる領域が大きな、羽ばたき動作を可能とする羽ばたき動作機構及び羽ばたき動作機構の使用方法並びに、羽ばたき動作機構を用いた推進装置を提供することが可能である。

【0123】
なお、上記第1の実施形態1000は、本発明の構成の一例を示したものであるため、本発明による趣旨の範囲で、更に異なる構成例を採用することが可能である。

【0124】
そのため、次のような、本発明の基本的な機構原理に基づいて、例えば、以下の構成例を採用することも可能である。

【0125】
図20は、本発明による羽ばたき駆動動作機構の機構原理図を示したものである。

【0126】
本発明の主要な構成要素は、上述のように差動歯車部DGと基台部BAである。そして、本発明の第1の実施形態1000では、差動歯車部DGの第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321の作る軸線は、推進装置等に使用する際には、前進方向(即ち、図1における+X方向)に向けられており、翼WGの翼面はXY平面と(初期状態では)平行に設けられていた。

【0127】
そのため、図20に示すように、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とを、相互に、例えば、同一方向である図中の矢印に示すFL1とFL2方向に同じ回動量で回動させることを通じて、第3の歯車軸1331を回動させることにより、当該第3の歯車軸1331を保持する内側フレーム1300を連動させてフラッピング動作FLのみを、図20における紙面の手前方向に生じさせていた。

【0128】
また、フェザリング動作FTのみについては、同じく図20に示すように、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、対向する第1の傘歯車1310の回動面1310Sと第2の傘歯車1320の回動面1320Sとを、例えば、相互に異なる方向である図中の矢印に示すFT1方向とFT2方向とに同じ回動量で回動させることを通じて、生じさせている。

【0129】
そして、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とのそれぞれに、フラッピング動作FL分の回動とフェザリング動作FT分の回動とを合わせた回動を生じさせることにより、フラッピング動作FLとフェザリング動作FTとを連動して生じさせている。

【0130】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPについては、基台部BAに設けられた第1の接続軸1611を、例えば、FLPP1方向に回動させることを通じて、外側フレーム1500を回動させることにより、第3の歯車軸1331に、フラッピング面ピッチング動作FLPPを生じさせている。

【0131】
一方、上記本発明の主要な構成要素である差動歯車部DGと基台部BAについては、初期状態において、例えば、第1の接続軸1611の延長線と第3の歯車軸1331延長線とが、相互に垂直になるように形成される第2の実施形態2000を採用することも可能である。

【0132】
そして、そのように第2の実施形態2000を採用した場合には、次のように、第2の実施形態2000を用いた、2つの使用方法を採用することが可能である。

【0133】
図21は、第2の実施形態2000における2つの使用方法のうちの、一つの使用方法の例を示したものであり、図22は、その自由度を説明する斜視図である。なお、図21では、記号の一部を省略して示しているが、省略した部分の記号については従前に説明した図1から10等に示したものの例により把握することが可能である。

【0134】
ここで、この使用方法を第2の使用方法とすると、第2の実施形態2000における羽ばたき動作機構においては、上述した第1の実施形態1000における、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPの他に、リード・ラグ動作LLを生じさせることが可能である。

【0135】
すなわち、上記第2の実施形態2000による羽ばたき動作機構を用いる場合に、差動歯車部DGの第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321の作る軸線を、前進方向(即ち、図1における+X方向)に対して垂直方向(例えば、+Z方向)に向け、第3の歯車軸1331に翼WGを翼面がXY平面と平行になるように配置する。そうすると、第1の接続軸1611の延長線が、第1の歯車軸1311及び第2の歯車軸1321と第3の歯車軸1331に垂直で、第1の歯車軸1311、第2の歯車軸1321及び第3の歯車軸1331の交点を通る構成となる。

【0136】
そしてその場合には、本第2の実施形態2000においては、例えば、図22に示したように、それぞれの自由度を有することになる。

【0137】
更に具体的には、図22に示したように、基台部BAに設けられた第1の接続軸1611については、フラッピング自由度を有し、差動歯車部DGについては、第1から第3の傘歯車の組み合わせにより、リード・ラグ自由度とフェザリング自由度とを有することになる、そのため、上記第2の実施形態2000による第2の使用方法によれば、それぞれ、次のように動作させることが可能である。

【0138】
すなわち、リード・ラグ動作LLのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、(図示しない)第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とを、図21のLL1とLL2に示す矢印のように、相互に同一方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、第3の歯車軸1331を回動させることにより、第3の歯車軸1331を保持する内側フレーム1300を連動させてリード・ラグ動作LLのみを生じさせることが可能である。

【0139】
また、フェザリング動作FTのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、(図示しない)第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とを、図21のFT1とFT2に示す矢印のように、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させることにより、第3の歯車軸1331にフェザリング動作FTのみを生じさせることが可能である。

【0140】
そして、例えば、相互に異なる方向に同じ回動量で第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを回動させた場合には、上記のように、フェザリング動作FTのみを生じさせることが可能であるが、これらの歯車軸を相互に同じ方向又は異なる方向に回動させた場合であっても、回動量が異なれば、リード・ラグ動作LLを伴う、フェザリング動作FTを生じさせることが可能である。

【0141】
したがって、リード・ラグ動作LLとフェザリング動作FTとは、上述したように、第1の歯車軸1311の回動方向や、第2の歯車軸1321の回動方向と、これらの歯車軸の回動量とをそれぞれ調節することにより、連動して生じさせることが可能である。

【0142】
また、フラッピング動作FLについては、(図示しない)第1の接続軸1611を(図示しない)第3のモータM3により回動させることを通じて、例えば、図21の矢印に示すFL方向に外側フレーム1500を回動させることにより、第3の歯車軸1331に、フラッピング動作FLを生じさせることが可能である。

【0143】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPについては、フラッピング動作FLとリード・ラグ動作LLとを同時に実行することにより、第3の歯車軸1331にフラッピング面ピッチングを伴うフラッピング動作FLを生じさせることが可能である。

【0144】
そのため、上記第2の実施形態2000による第2の使用方法を採用した場合には、例えば、これを推進装置9000に使用することにより、リード・ラグ動作LL、フェザリング動作FT、フラッピング動作FLの動作量と位相差とを制御することで、水中や空中などの流体中での運動の制御を行うことが可能である。

【0145】
また、図23は、第2の実施形態2000における2つの使用方法のうちの、他の一つの使用方法の例を示したものであり、図24は、その自由度を説明する斜視図である。

【0146】
ここで、この使用方法を第3の使用方法とすると、当該第3の使用方法においても第2の使用方法と同様に、第2の実施形態2000による羽ばたき動作機構を用いて、上述した第1の実施形態1000における、フラッピング動作FLとフェザリング動作FT、並びにフラッピング面ピッチング動作FLPPの他に、リード・ラグ動作LLを生じさせることが可能である。

【0147】
すなわち、上記第2の実施形態2000による羽ばたき動作機構を用いる場合に、差動歯車部DGの第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321の作る軸線を、前進方向(即ち、図1における+X方向)に対して平行な方向に向け、第3の歯車軸1331に翼WGの翼面がXY平面になるように配置する。更に具体的には、第1の接続軸1611の延長線が、第1の歯車軸1311及び第2の歯車軸1321と第3の歯車軸1331に垂直で、第1の歯車軸1311、第2の歯車軸1321及び第3の歯車軸1331の交点を通るように配置する。そしてその場合には、本第2の実施形態2000においては、例えば、図24に示したように、それぞれの自由度を有することになる。

【0148】
更に具体的には、図24に示したように、基台部BAに設けられた第1の接続軸1611については、リード・ラグ自由度を有し、差動歯車部DGについては、第1から第3の傘歯車の組み合わせにより、フラッピング自由度とフェザリング自由度とを有することになる、そのため、上記第2の実施形態2000による第3の使用方法によれば、それぞれ、次のように動作させることが可能である。

【0149】
すなわち、フラッピング動作FLのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、(図示しない)第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とを、図23のFL1とFL2とで示す矢印のように、相互に同一方向に同じ回動量だけ回動させることを通じて、第3の歯車軸1331を回動させることにより、第3の歯車軸1331を保持する内側フレーム1300を連動させて、フラッピング動作FLのみを生じさせることが可能である。

【0150】
また、フェザリング動作FTのみについては、第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを、(図示しない)第1のモータM1と第2のモータM2により、対向する第1の傘歯車1310の回動面と第2の傘歯車1320の回動面とが、図23のFT1とFT2とで示す矢印のように、相互に異なる方向に同じ回動量で回動させることにより、第3の歯車軸1331にフェザリング動作FTのみを生じさせることが可能である。

【0151】
そして、例えば、相互に異なる方向に同じ回動量で第1の歯車軸1311と第2の歯車軸1321とを回動させた場合には、上記のように、フェザリング動作FTのみを生じさせることが可能であるが、これらの歯車軸を相互に同じ方向又は異なる方向に回動させた場合であっても、回動量が異なれば、フラッピング動作FLを伴う、フェザリング動作FTを生じさせることが可能である。

【0152】
したがって、フラッピング動作FLとフェザリング動作FTとは、上述したように、第1の歯車軸1311の回動方向や、第2の歯車軸1321の回動方向と、これらの歯車軸の回動量とをそれぞれ調節することにより、連動して生じさせることが可能である。

【0153】
また、リード・ラグ動作LLについては、(図示しない)第1の接続軸1611を(図示しない)第3のモータM3により回動させることを通じて、例えば、図23におけるLL方向を示す矢印のように、外側フレーム1500を回動させることにより、第3の歯車軸1331に、リード・ラグ動作LLを生じさせることが可能である。

【0154】
また、フラッピング面ピッチング動作FLPPについては、フラッピング動作FLとリード・ラグ動作LLとを同時に実行することにより、第3の歯車軸1331にフラッピング面ピッチングを伴うフラッピング動作FLを生じさせることが可能である。

【0155】
そのため、上記第2の実施形態2000による第3の使用方法を採用した場合には、例えば、これを推進装置9000に使用することにより、フラッピング動作FL、フェザリング動作FT、リード・ラグ動作LL、フラッピング面ピッチングを伴うフラッピング動作FLの位相差を制御することで、水中又は空中などの流体中での動作の制御を行うことが可能である。

【0156】
なお、上記第2の実施形態2000の例では、本発明の主要な構成要素である差動歯車部DGと基台部BAについては、初期状態において、例えば、第1の接続軸1611の延長線と第3の歯車軸1331延長線とが、相互に垂直になるように形成される例を示したが、上記は本発明の羽ばたき動作機構における構成例の一例を示したものである。そのため、差動歯車部DGと基台部BAとが初期状態においてなす角度は、任意に設定することも可能であり、使用目的や推進装置の筐体の構造などに応じて、可変とすることも可能である。
【符号の説明】
【0157】
WG 翼
FL フラッピング
FLP フラッピング面
FT フェザリング
FLPP フラッピング面ピッチング
LL リード・ラグ
M1 第1のモータ
M1G 第1モータのプーリ(又は歯車)
M2 第2のモータ
M2G 第2モータのプーリ(又は歯車)
M3 第3のモータ
M3G 第3のモータに接続された歯車
BL ベルト乃至歯付ベルト
THV 推進装置本体
DG 差動歯車部
BA 基台部
1000 第1の実施形態
1300 内側フレーム
1310 第1の傘歯車
1310S 第1の傘歯車の回動面
1311 第1の歯車軸
1311G 第1の歯車軸に接続されたプーリ(又は歯車)
1320 第2の傘歯車
1320S 第2の傘歯車の回動面
1321 第2の歯車軸
1321G 第2の歯車軸に接続されたプーリ(又は歯車)
1330 第3の傘歯車
1330S 第3の傘歯車の回動面
1331 第3の歯車軸
1410 第1の補助歯車
1420 第2の補助歯車
1421 補助歯車軸
1500 外側フレーム
1611 第1の接続軸
1611G 第1の接続軸に接続された歯車
2000 第2の実施形態
9000 推進装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23