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明細書 :抗動脈硬化剤及び動脈硬化の病態判定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年9月5日(2019.9.5)
発明の名称または考案の名称 抗動脈硬化剤及び動脈硬化の病態判定方法
国際特許分類 A61K  39/395       (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
C12Q   1/6851      (2018.01)
G01N  33/53        (2006.01)
C07K  16/28        (2006.01)
FI A61K 39/395 ZNAN
A61K 39/395 D
A61P 9/10 101
C12Q 1/6851 Z
G01N 33/53 N
G01N 33/53 M
C07K 16/28
国際予備審査の請求
全頁数 32
出願番号 特願2018-546372 (P2018-546372)
国際出願番号 PCT/JP2017/037624
国際公開番号 WO2018/074497
国際出願日 平成29年10月18日(2017.10.18)
国際公開日 平成30年4月26日(2018.4.26)
優先権出願番号 2016204783
優先日 平成28年10月19日(2016.10.19)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】石上 友章
【氏名】陳 琳
出願人 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001656、【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B063
4C085
4H045
Fターム 4B063QA07
4B063QA08
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA23
4H045FA74
要約 動脈硬化病変の発生を抑制し、動脈硬化症を治療できる新規な手段が開示されている。本発明による抗動脈硬化剤は、B2細胞を選択的に抑制する物質を有効成分とする。B2細胞を選択的に抑制する物質は、例えば抗CD23抗体である。本発明による動脈硬化の病態の判定を補助する方法の第1の態様では、被検者から分離された試料を用いて、特定の遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を測定することを含む。該方法の第2の態様では、被検者から分離された血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルを測定することを含む。
特許請求の範囲 【請求項1】
B2細胞を選択的に抑制する物質を有効成分とする、抗動脈硬化剤。
【請求項2】
B2細胞を選択的に抑制する物質が抗CD23抗体である、請求項1記載の抗動脈硬化剤。
【請求項3】
被検者から分離された試料を用いて、以下の遺伝子群A及び遺伝子群Bからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を測定することを含む、動脈硬化の病態の判定を補助する方法。
遺伝子群A:
Ccl2、Cd14、Hspa1a、Il1b、Il1r1、Ptgs2、Tnfrsf1a、Tlr5
遺伝子群B:
Cebpb、Fos、Jun、Nfkbib、Chuk、Ikbkb、Irf1、Mapk8、Mapk8ip3、Mapk9、Tollip、Tradd
【請求項4】
前記被検者が動脈硬化症患者である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記試料がB2細胞を含む試料である、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記遺伝子群Aは、高発現が動脈硬化の存在又は悪化の指標となる遺伝子であり、前記遺伝子群Bは、低発現が動脈硬化の存在又は悪化の指標となる遺伝子である、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
被検者から分離された血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルを測定することを含む、動脈硬化の病態の判定を補助する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、抗動脈硬化剤、及び動脈硬化の病態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化症は生活習慣病の終末像である。糖尿病、高血圧、脂質異常、慢性腎臓病、喫煙といったリスクファクター(非特許文献1)を制御することで、本症の発症の確度を制御するか、急性のカタストロフ的な病状(心筋梗塞症、脳梗塞、重症下肢虚血)を呈した場合には、医療資源(消防救急システム、急性期血管内治療を施行できる設備と人材を備えた急性期病院)を最大限の活用し、救命する以外に制圧の方法はない。リスク制御による戦略は、確実性に乏しく、臨床試験でも、集団を対象にした試験による、相対的なリスク低下をもって有効性を判断する以外にない。
【0003】
本症の成因には、生活習慣病による高リスク状態とともに、炎症・免疫応答に由来する病態が考えられている。本願発明者らも、これまでに、IL-5等の分子に対する血清中自己抗体が動脈硬化症に関与していることを報告している(非特許文献2、特許文献1)。しかしながら、動脈硬化症の成因に働きかける積極的な治療手段は未だ開発されていない。
【0004】
特許文献2には、抗CD20抗体によりB細胞を枯渇させてアテローム性動脈硬化を治療ないし予防するという発明が開示されている。CD20は、末梢血またはリンパ器官のB細胞の90%超の表面に見出される35kDaの非グリコシル化リンタンパク質であり、初期プレB細胞の発生の間に発現され、形質細胞の分化まで存続する(特許文献2)。つまり、抗CD20抗体を投与した場合、B細胞全般がターゲットとなり、それらの細胞数が低減することが想定される。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2012/067165号公報
【特許文献2】特表2012-514587号公報
【0006】

【非特許文献1】Anderson KM. et al., Am Heart J, 1991;121:293-8
【非特許文献2】Ishigami T. et al., FASEB J, 2013;27:3437-3445
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、動脈硬化病変の発生を抑制し、動脈硬化症を治療できる新規な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、マウス動脈硬化発症モデルを用いて鋭意研究した結果、腸管共生微生物叢がB2細胞におけるTLRシグナル伝達経路の活性化を介して動脈硬化を促進すること、抗CD23抗体を用いてマウス体内のB2細胞を枯渇させると動脈硬化の発症が抑制されることを見出すとともに、特定の遺伝子の発現量又は血清IgG3レベル若しくは血清総IgGレベルを指標として動脈硬化の発症や増悪・改善等を判定し得ることを見出し、本願発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、B2細胞を選択的に抑制する物質を有効成分とする、抗動脈硬化剤を提供する。
また、本発明は、被検者から分離された試料を用いて、以下の遺伝子群A及び遺伝子群Bからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を測定することを含む、動脈硬化の病態の判定を補助する方法を提供する。
遺伝子群A:
Ccl2、Cd14、Hspa1a、Il1b、Il1r1、Ptgs2、Tnfrsf1a、Tlr5
遺伝子群B:
Cebpb、Fos、Jun、Nfkbib、Chuk、Ikbkb、Irf1、Mapk8、Mapk8ip3、Mapk9、Tollip、Tradd
さらに、本発明は、被検者から分離された血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルを測定することを含む、動脈硬化の病態の判定を補助する方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、動脈硬化症そのものを治療できる手段が提供された。生活習慣病は動脈硬化症のリスクであるが原因ではなく、生活習慣病を改善しても動脈硬化それ自体を治療できるわけではない。血管内治療は、動脈硬化症の結果である急性の血栓症に対する対症療法に過ぎない。B2細胞を標的にした本発明による抗動脈硬化剤は、本症の成因を制御することで動脈硬化の発症や進行、悪化を抑制するものであり、従来治療と根本的に異なる治療法であり、健康寿命の延長に大いに貢献できる。動脈硬化の発症においては脂質代謝に非依存のメカニズムでB2細胞が活性化されており、B2細胞の活性化を抑制した場合には、血清脂質値が上昇し内臓・皮下脂肪も多い状態でも動脈硬化症を抑制することができる。従って、本発明の抗動脈硬化剤によれば、動脈硬化症患者に課せられる厳しい脂質制限を緩和できる可能性がある。また、本発明の病態判定方法によれば、患者の動脈硬化の状態を適切に把握できるほか、抗動脈硬化剤の治療効果のモニタリングや、抗動脈硬化剤候補物質の治療効果の判定も可能となり、さらなる動脈硬化治療手段等の開発にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】抗生物質処置したマウスが飼料誘導性のアテローム性動脈硬化に対して抵抗性であることを示すデータである。マウスには抗生物質処置ありで又はなしでウェスタン飼料又は標準的な固形飼料を8週間給与した。(A)各マウス群の体重である。AT: 抗生物質処置; WD: ウェスタン飼料; ND: 標準固形飼料。3回の独立した実験からプールしたデータである(平均値±標準誤差、各群n=7)。(B-D) 脂肪の代表的なマイクロCT画像(B)、内臓脂肪体積の割合(C)、皮下脂肪体積の割合(D)を示す。データは独立した3回の実験の平均値±標準誤差である。各群n=7。事後ANOVA統計解析で*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001。(E-H) 総コレステロール(E)、LDLコレステロール (F)、HDLコレステロール(G)、及びトリグリセライド(H)の血清値を調べた。LDL: 低密度リポタンパク質; HDL: 高密度リポタンパク質。結果は平均値±標準誤差で示す。各群n=7。*p<0.05, **p<0.001。(I, J) 大動脈病変サイズをオイルレッドO染色(I)及びHE染色(J)で調べた。正面向きで調製された大動脈のオイルレッドO染色の代表的な画像及び定量結果をIに示す(大動脈表面積に対するパーセンテージ、各群n=12)。HE染色で測定した大動脈根切片内の最大病変面積の代表的な画像及び定量結果をJに示す(各群n=12)。スケールバーは100μm。3回の独立した実験からプールしたデータである。WDと他の群をANOVAで比較して*p<0.05, **p=0.001。CD21+/loCD23+ (FO B細胞)及びB220+CD21highCD23-/lo (MZ B細胞)でMHCクラスIIのRNA発現をリアルタイムPCRにより解析し、GAPDHに対してノーマライズした結果である。2△Ctの相対発現量(fold change)を平均値±標準誤差で表した。*p<0.05。各群n = 7。【図3B】WD給与及びAT後のB2細胞中のTLRシグナル伝達経路に関連する遺伝子発現プロファイルを表すヒートマップである。脾臓由来のソート済みMZ B細胞のmRNA調製物をマウストール様受容体シグナル伝達経路RT2 Profiler PCRアレイで解析した。TLRシグナル伝達経路との関連が報告されている遺伝子のMZ B2細胞での発現を各群間で比較した。
【図4】B2細胞の薬理学的枯渇はマウスをアテローム性動脈硬化から防御することを示すデータである。(A及びB) マウス特異的CD23抗体又は生理食塩水を投与したマウスのPVAT (A)及び脾臓(B)中のB2細胞数の代表的なフローサイトメトリープロットである(各群n=6)。(C) マウス特異的CD23抗体又は生理食塩水を投与したマウスについて、ウェスタン飼料8週間給与の終了時点で測定した体重である。値はn=6の実験からの平均値±標準誤差。(D及びE) 内臓脂肪体積(D)及び皮下脂肪体積(E)の割合をマイクロCTで調べた結果である。データは平均値±標準誤差。各群n=6。(F-I) 総コレステロール(F)、LDLコレステロール(G)、HDLコレステロール(H)及びトリグリセライド(I)の血清値を測定した。結果は平均値±標準誤差。各群n=6。(J及びK) 高マウスCD23抗体がプラーク形成に及ぼす効果をJ~Kに示す。(J) 正面向きで調製したオイルレッドO染色の代表的画像及び定量結果である。(K) 大動脈根切片のHE染色の代表的画像及び最大病変面積の定量結果である。n=6の実験からのデータ(平均値±標準誤差)。スケールバーは100μm。一元配置ANOVA及びTukeyの補正で*p<0.05, **p<0.001。(L及びM) マウス特異的CD23抗体又は生理食塩水を投与したマウスの血清中の総IgG (L) 及びIgG3 (M) の濃度である。値はn=6の実験の平均値±標準誤差。一元配置ANOVA及びTukeyの補正で*p<0.05, **p<0.01。【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の抗動脈硬化剤は、B2細胞を選択的に抑制する物質を有効成分とする。B2細胞の抑制という語には、B2細胞の活性化の抑制、例えば検出可能なB2細胞数の低減が包含される。B2細胞を選択的に抑制する物質とは、B2細胞を抑制し、かつ、B1細胞及びその他のB細胞のサブセットを抑制しない物質である。例えば、ある物質を全身投与した生体において、脾臓中のB1細胞数が非投与の脾臓中B1細胞数の65%以上(例えば70%以上、75%以上、80%以上、85%、又は90%以上)に維持され、かつ、脾臓中のB2細胞数が非投与の脾臓中B2細胞数の20%未満(例えば、15%未満、10%未満、7%未満、又は5%未満)に低減した場合、その物質は「B2細胞を選択的に抑制する物質」に該当する。下記実施例に具体的に示される通り、B2細胞を選択的に抑制することにより、動脈硬化症を治療することができる。動脈硬化症の治療という語には、動脈硬化病変の進行・重症化の抑制、新たな動脈硬化病変の発生の抑制が包含される。

【0013】
ある物質がB2細胞を抑制する作用を有するか否かは、例えば、末梢血試料を当該物質で処理し、フローサイトメトリー法によりB2細胞数を測定し、当該物質で処理していないコントロールの末梢血試料中のB2細胞数と比較することにより調べることができる。

【0014】
B2細胞を選択的に抑制する物質の典型例として、抗CD23抗体を挙げることができる。低親和性IgE受容体であるCD23は、B細胞の中でもB2細胞に特異性の高い表面抗原であり、抗CD23抗体を用いれば生体内のB2細胞を選択的に抑制することができる。

【0015】
抗CD23抗体は各種のものが知られており、市販もされている。ヒトに投与可能な抗ヒトCD23モノクローナル抗体も既に公知である(例えば、WO98/37099)。また、ヒトをはじめとする各種動物のCD23のアミノ酸配列及びそれをコードするcDNAの配列が知られており、データベースにも登録されているので、常法により抗CD23抗体を作出することも可能である。例えば、ヒトCD23は、NCBIのGenBankにNM_002002などのaccession番号で登録されている。配列表の配列番号3、4に記載した配列は、NM_002002.4で登録されているヒトCD23の配列である。

【0016】
抗ヒトCD23モノクローナル抗体をハイブリドーマ法により製造する場合には、例えば、ヒトCD23タンパク質又はその適当な断片(細胞外領域、例えばヒトCD23のaa48-321)を免疫原として用いて非ヒト動物に免疫し、該動物から脾細胞やリンパ球のような抗体産生細胞を採取し、これをミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを調製し、CD23タンパク質と結合する抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすればよい。スクリーニングにより選択したハイブリドーマを増殖させ、培養上清から抗ヒトCD23モノクローナル抗体を得ることができる。

【0017】
ヒト用の医薬として抗CD23抗体を用いる場合、ヒト型キメラ抗体(典型的には、げっ歯類や霊長類とヒトとのキメラ抗体)、ヒト化抗体(非ヒト由来抗体のCDR領域をヒト抗体の相当する領域に移植したもの)、又はヒト抗体(非ヒト動物又はヒト細胞株を用いて製造される、ヒトの体内で産生されるものと同じ抗体)のように、ヒトに対する免疫原性を低減した抗体が好ましい。キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体の作製方法も周知の方法として確立している。

【0018】
抗CD23抗体には、中和活性(neutralising, blocking, 又はinhibiting)、ADCC活性、CDC活性などの種々の活性を有する抗体が包含される。本発明では、B2細胞を抑制できる限り、抗CD23抗体はいずれの活性を有していても良い。

【0019】
本発明において、動脈硬化とは、典型的にはアテローム性動脈硬化である。

【0020】
本発明の抗動脈硬化剤の投与対象には、種々の哺乳動物が包含されるが、典型的にはヒトである。本発明の抗動脈硬化剤は、動脈硬化症を有する患者、典型的にはヒト患者に対して好ましく投与することができる。

【0021】
抗動脈硬化剤の投与量は、動脈硬化症を治療できる量であればよく、投与対象の年齢、体重、重症度等に応じて適宜選択できる。特に限定されないが、投与量は、対象に対し1日当たりの有効成分量として1.5μg/kg体重~1.5g/kg体重程度、例えば10μg/kg体重~100mg/kg体重程度であり得る。1日の投与は1回でもよいし、数回に分けて投与しても良い。毎日投与してもよいし、又は数日、数週おきに投与してもよい。

【0022】
抗動脈硬化剤の投与経路は、経口投与でも非経口投与でもよいが、一般には筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。通常は全身投与が好ましいが、動脈硬化病変部近傍に局所投与してもよい。

【0023】
抗動脈硬化剤の剤形は特に限定されず、各投与経路に応じて、薬剤的に許容される担体、希釈剤、賦形剤等の添加剤を上記の有効成分と適宜混合させて製剤することができる。製剤形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口剤や、吸入剤、注射剤、座剤、液剤などの非経口剤などを挙げることができる。製剤方法及び使用可能な添加剤は、医薬製剤の分野において周知であり、いずれの方法及び添加剤をも用いることができる。

【0024】
また、本発明は、動脈硬化の病態の判定を補助する方法も提供する。該方法の第1の態様では、被検者から分離された試料を用いて、以下の遺伝子群A及び遺伝子群Bからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を測定することを含む。

【0025】
遺伝子群A:
Ccl2(UniGene Hs.303649, Refseq NM_002982.3)
Cd14(UniGene Hs.163867, Refseq NM_000591.3)
Hspa1a(UniGene Hs.274402, Refseq NM_005345.5)
Il1b(UniGene Hs.126256, Refseq NM_000576.2)
Il1r1(UniGene Hs.701982, Refseq NM_000877.2)
Ptgs2(UniGene Hs.196384, Refseq NM_000963.2)
Tnfrsf1a(UniGene Hs.279594, Refseq NM_001065.3)
Tlr5(UniGene Hs.604542, Refseq NM_003268.5)
遺伝子群B:
Cebpb(UniGene Hs.719041, Refseq NM_005194.3)
Fos(UniGene Hs.25647, Refseq NM_005252.3)
Jun(UniGene Hs.696684, Refseq NM_002228.3)
Nfkbib(UniGene Hs.9731, Refseq NM_002503.4)
Chuk(UniGene Hs.198998, Refseq NM_001278.3)
Ikbkb(UniGene Hs.597664, Refseq NM_001556.2)
Irf1(UniGene Hs.436061, Refseq NM_002198.2)
Mapk8(UniGene Hs.138211, Refseq NM_002750.2)
Mapk8ip3(UniGene Hs.207763, Refseq NM_015133.3)
Mapk9(UniGene Hs.484371, Refseq NM_002752.4)
Tollip(UniGene Hs.368527, Refseq NM_019009.3)
Tradd(UniGene Hs.460996, Refseq NM_003789.3)

【0026】
本発明において、病態の判定という語には、動脈硬化症の発症の有無、重症化・増悪、軽減・改善の判定が包含される。

【0027】
本発明において、被検者は、典型的には動脈硬化症患者である。

【0028】
第1の態様における試料は、B細胞、特にB2細胞を含む試料であれば特に限定されない。例えば、被検者より末梢血を採取し、適当な表面マーカーを用いて常法のセルソーティングにより単核球細胞分画を濃縮・単離し、この細胞分画について、上記した遺伝子群のうちの少なくともいずれか1つの遺伝子の発現を調べればよい。

【0029】
遺伝子群Aは、動脈硬化を発症した個体において、発症が抑制された個体と比較して発現量が高いことが確認された遺伝子である。遺伝子群Aに属する遺伝子の高発現が検出された場合、当該被検者は動脈硬化症を発症している、又は動脈硬化症が悪化していると判定することができる。逆に、遺伝子群Aに属する遺伝子の低発現が検出された場合、当該被検者は動脈硬化症を発症していないと判定することができる。また、動脈硬化症患者において、遺伝子群Aの遺伝子の発現量が過去の同患者の発現量と比べて低下した場合には、当該患者の動脈硬化症が改善していると判定することができる。

【0030】
遺伝子群Bは、動脈硬化を発症した個体において、発症が抑制された個体と比較して発現量が低いことが確認された遺伝子である。遺伝子群Bに属する遺伝子の低発現が検出された場合、当該被検者は動脈硬化症を発症している、又は動脈硬化症が悪化していると判定することができる。逆に、遺伝子群Bに属する遺伝子の高発現が検出された場合、当該被検者は動脈硬化症を発症していないと判定することができる。また、動脈硬化症患者において、遺伝子群Bの遺伝子の発現量が同患者の過去の発現量と比べて上昇した場合には、当該患者の動脈硬化症が改善していると判定することができる。

【0031】
ここでいう高発現とは、健常者集団の発現量に基づき定められた健常者参照値(例えば、各健常者の発現量の平均値)よりも発現量が高いこと、又は、同じ被検者の過去の発現量測定値と比較して発現量が高いことをいう。また、低発現とは、健常者参照値よりも発現量が低いこと、又は、同じ被検者の過去の発現量測定値と比較して発現量が低いことをいう。

【0032】
遺伝子発現の測定には、mRNA発現量の測定とタンパク質発現量の測定が包含される。mRNA発現量は、リアルタイムPCR、マイクロアレイ、ノーザンブロッティング等の常法により測定できる。タンパク質発現量は、免疫測定等の常法により測定できる。

【0033】
病態判定方法の第2の態様では、被検者から分離された血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルを測定することを含む。下記実施例に示される通り、動脈硬化を発症している個体群では血清IgG3レベルが高く、動脈硬化を有しない健常個体群、及び抗CD23抗体の投与等により動脈硬化が抑制された個体群では、血清IgG3レベルが低い。この血清IgG3レベルの変動は、血清総IgGの変動としてとらえることもできる。従って、血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルに基づいて動脈硬化の病態を判定することができる。血清試料中のIgG3レベル又は総IgGレベルの測定は、いずれか一方のみの測定でも良いし、両者を測定してもよい。

【0034】
血清IgG3レベル又は総IgGレベルが高値の場合、該被検者は動脈硬化を発症している、又は動脈硬化が悪化していると判定することができる。また、動脈硬化症患者において、血清IgG3レベル又は総IgGレベルが同患者の過去の血清IgG3レベル又は総IgGレベルと比べて低下した場合には、当該患者の動脈硬化症が改善していると判定することができる。

【0035】
ここでいう血清IgG3レベルの高値とは、健常者集団の血清IgG3レベルに基づき定められた健常者参照値(例えば、各健常者の血清IgG3レベルの平均値)よりも血清IgG3レベルが高いこと、又は、同じ被検者の過去の血清IgG3レベルよりも高いことをいう。血清総IgGレベルの高値という語も同様である。

【0036】
血清IgG3レベルや血清総IgGレベルは、免疫測定等の常法により測定できる。ヒトやマウス等の各種動物の血清IgG3又は血清総IgGを測定できるELISAキット等が市販されており、そのような市販品を用いてよい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
<材料及び方法>
マウス
ApoEノックアウト(KO)マウスは、C57BL/6J系統をバックグラウンドとする公知のマウス(Lo Sasso et al., J Transl Med 2016, 14:146, DOI 10.1186/s12967-016-0901-1; Kapourchali et al., World J Clin Cases 2014 May 16, vol. 2, issue 5, p.126-132; Li et al., Protein Cell 2011, vol. 2, issue 3, p.189-201)を用いた。C57BL/6Jマウスはオリエンタル酵母(日本国東京)から購入した。各実験で用いた1群当たりのマウス頭数は図面の説明中にnとして記載した。研究に用いた全てのマウスは意図した実験期間生存し、5週齢の雄マウスのみを実験に用いた。実験に必要になるまで、マウスには標準的な飼料と水道水を自由に摂取させた。全ての動物実験は横浜市立大学大学院医学研究科の動物取扱いガイドラインに従って実施した。
【実施例】
【0039】
共生細菌の除去
微生物叢の役割は、マウスを抗生物質で処置して調べた。実験のため、5週齢の雄のApoE KOマウスをコントロール群又は抗生物質処置(AT)群に割り当てた。AT群のマウスは、0.5 g/Lバンコマイシン、1 g/L硫酸ネオマイシン、1 g/Lメトロニダゾール及び1 g/Lアンピシリンを含む広域スペクトル抗生物質カクテルAVNMで処置した。抗生物質カクテルは飲水に添加し、ウェスタン飼料の給与開始の1週間前から実験期間にわたって継続して与えた(Croswell et al., 2009; Rakoff-Nahoum et al., 2004; Wang et al., 2011)。抗生物質はシグマ又は和光(日本国東京)から購入した。抗生物質を添加した飲水は3~4日ごとに交換した。
【実施例】
【0040】
アテローム性動脈硬化の積極的誘導
マウスには抗生物質処置の1週間後にウェスタン飼料(WD; 21.22% [g/100 g]脂質、17.01%タンパク質、48.48%炭水化物、及び0.15%コレステロールを含む; オリエンタル酵母)及び標準的な固形飼料(ND)をそれぞれ与え、各飼料で8週間飼育した。
【実施例】
【0041】
マイクロCT
屠殺前にマイクロCTスキャンを実施し、内臓脂肪及び皮下脂肪を評価した。生体マイクロX線CTシステムR_mCT2(株式会社リガク、日本国東京)を用いてマウスを麻酔下で撮像した(スキャン条件:電圧90 kV; 電流160 μA; FOV 60 mm; 走査時間17 秒)。全内臓脂肪及び全皮下脂肪の体積をトレースした。定量的測定は代謝解析ソフトウェア(株式会社リガク)を用いて実施した。
【実施例】
【0042】
アテローム性動脈硬化の定量及び組織学的解析
ウェスタン飼料を8週間給与した後、心臓及び大動脈を摘出し、大動脈根の横断面解析及び大動脈全体の正面像解析によりアテローム硬化病変を定量した。心臓はパラフィン包埋し、3つの大動脈弁尖の始端から上行大動脈まで5μm厚の連続切片を切り出し、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した。その後、大動脈を10%ホルマリンで固定し、長軸方向に展開し、オイルレッドO溶液(シグマ-アルドリッチ、米国)で脂質沈着を染色した。Image Jプログラム (米国国立衛生研究所; http://rsb.info.nih.gov/ij)を用いて病変部面積を算出した。プラークの測定のため、病変面積が最大となった切片を用いて群間で病変サイズを比較した。プラーク面積及び総血管面積を測定し、相対プラーク伸展を総血管面積の百分率で表した。
【実施例】
【0043】
組織学的・免疫組織化学的解析
新鮮分離した脾臓の重量を測定し、撮像後、ホルマリン固定とパラフィン包埋を行ない5μm厚で切り出した。脾臓の構造はH&E染色後に評価した。胚中心の数はImage Jソフトウェアを用いて評価した。血管周囲の脂肪組織(PVAT)からの組織サンプルは、標準的な手順に従いプロセシングとパラフィン包埋を行なった。5μm厚切片をH&E又はCD23抗体(Product code: ab185807、アブカム、米国)で染色した。H&E染色スライド上の脂肪細胞面積の測定にはImage Jソフトウェアを使用し、マウス1匹につき異なる組織切片2枚を定量した(各画像において、少なくともマウス3匹、少なくとも脂肪細胞100個)。さらに、B2細胞に特異的なCD23抗体を用いてPVAT中のB2細胞を染色した。Image Jソフトウェアを使用し、CD23陽性フィールドの百分率面積を盲検化して評価した。
【実施例】
【0044】
フローサイトメトリー及びセルソーティングのための組織の調製
脾細胞及びPVAT細胞を採取し、フローサイトメトリー用にプロセシングした。簡潔には、カプセルをニッキングすることにより脾臓から細胞を放出させ、2つの顕微鏡スライドを穏やかに回転させた。赤血球溶解バッファー(Product No. R7757、Sigma)でインキュベートすることにより、残りの赤血球を除去した。一方、完全PVAT細胞は倍率4倍の視野で大動脈から分離し、4型コラゲナーゼ(0.5 mg/ml)(Catalog No. LS004186, Worthington Biochemicals)で30分間、37℃で消化し、次いで総PVAT細胞を回収した。単一細胞懸濁液をナイロンメッシュ(100 μm, BD Biosciences)で濾過し、蛍光色素標識抗マウスモノクローナル抗CD21抗体 (APC標識, Catalog No. 561770, BD Biosciences)、抗CD23抗体 (PE標識, Catalog No. 561773, BD Biosciences)、抗CD45R/B220抗体 (FITC標識, Catalog No. 561877, BD Biosciences) 又は抗CD45抗体 (FITC標識, Catalog No. 561088, BD Biosciences)、抗F4/80抗体 (PE標識, Catalog No. 565410, BD Biosciences)、抗CD3e抗体 (APC標識, Catalog No. 557306, BD Biosciences) のいずれかの混合物で氷上30分間染色した。次いで、固定可能な生存率解析用試薬である4', 6-ジアミジノ-2-フェニルインドール (DAPI, Catalog No. P4864, Sigma) をフローサイトメトリー染色バッファー(Catalog No. 00-4222-57, eBioscience)で希釈した溶液中に細胞を懸濁した。フローサイトメトリー解析はMoFlo Astrios (Beckman Coulter)にて実施し、得られた結果はソフトウェアver. 6.2.3で解析した。死細胞はFSC, SSC, 及びDAPI染色により除外した。異なるB細胞集団、T細胞、及びマクロファージは、それぞれの細胞表面抗原の発現によって同定した。具体的には、FO B細胞はB220+CD21+/loCD23+細胞として、MZ B細胞はB220+CD21highCD23-/lo細胞として、移行期B細胞はB220+CD21-CD23-細胞として、B1細胞はB220lowCD23-細胞として同定した。T細胞はCD45+CD3e+F4/80-細胞として、マクロファージはCD45+F4/80+ CD3e-細胞として同定した。セルソーティング実験のため、FO B細胞及びMZ B細胞を純度が99%より高くなるように親ゲートから選別した。
【実施例】
【0045】
リアルタイムPCR(RT-PCR)解析
プールした選別細胞より、RiboPureキット (Catalog No. AM1924, Life Technologies) 又はRNeasy Plus Microキット (Catalog No. 74034, QIAGEN) を製造者のプロトコールに従い用いて全RNAを単離した。High Capacity RNA-to-cDNA Kit (Catalog No. 4387406, Applied Biosystems) を製造者のプロトコールに従い用いて1 μgのRNAをcDNAに逆転写した。製造者の推奨する条件に従い、SYBR-Green (Catalog No. 4309155, Applied Biosystems)及びABI 7500 RT-PCR装置を用いたRT-PCRにより、主要組織適合複合体(MHC)クラスIIの発現レベルを解析した。相対mRNA発現レベルは、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をハウスキーピング遺伝子として使用し、2[-ΔΔC (T)]法により決定した。使用したプライマーは次の通り: マウスMHC-クラスII (LeibundGut-Landmann et al., 2004): I-Aa forward, 5’-AAATTCCACCCCAGCTACCAAT-3’(配列番号1); I-Aa reverse, 5’-GCTGACCCAGCAGCACAG-3’(配列番号2)。トール様受容体(TLR) シグナル伝達遺伝子の解析のため、マウスTLRシグナル伝達経路RT2 Profiler PCRアレイ (Catalog No. PAMM-018Z, Qiagen) を用いて、TLRシグナリングに関わる84遺伝子の発現をプロファイリングした。プールした選別細胞からの全RNAを使用し、RT2 PreAMP cDNA synthesis kit及びRT2 PreAMP Pathway Primer Mix (Catalog No. 330451; PBM-018Z, Qiagen)を用いて25 ngの全RNAから一本鎖cDNAを合成した。cDNAをRT2 SYBR Green ROX qPCR Mastermixと混合し、製造者の指示書に従いRT-PCRを実施した。温度サイクリング及び蛍光検出は、ABI 7500 Sequence Detection System (Applied Biosystems)を用いて行なった。データの定量はオンラインのソフトウェアRT2 Profiler PCR Array Data Analysis version 3.5 (Qiagen, http:// pcrdataanalysis. Sabiosciences. Com/pcr/arrayanalysis.php?target=upload)を用いて行なった。Ct値<35のみを含めて計算を行い、ハウスキーピング遺伝子であるβ2ミクログロブリン(β2M)及びGAPDHの平均発現量に対して遺伝子発現を相対評価した。β2M及びGAPDHは、使用したアレイに搭載された5つのハウスキーピング遺伝子のうちで最も安定的であったために採用した。目的の転写物はlog2 fold change及び平均発現量として表し、TLR制御転写物の発現はヒートマップとして群間で比較した。【0046】
血清パラメータの定量
マウスの屠殺時に右心室穿刺により全血を採取した。総コレステロール、低密度リポタンパクコレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパクコレステロール (HDL-C) 及びトリグリセライドはSRLに委託し、LDL-コレステロールキット(Catalog No. 30173000, 積水メディカル株式会社、日本国東京)、HDL-コレステロールキット(Catalog No. 30169000, 積水メディカル株式会社)、コレステロールキット(Catalog No. 460-44301, 和光純薬工業、日本国東京)及びトリグリセライドキット(Catalog No. 464-44201, 和光純薬工業)を用いて測定した(Hashimoto et al., 2006; Hosoi et al., 2010; Irie et al., 2015)。上記のLDL-コレステロールキット及びHDL-コレステロールキットは、LDL-C及びHDL-Cの信頼できるアッセイキットであり、疾病予防管理センター(CDC)及びCholesterol Reference Method Laboratory Network (CRMLN)の認証プログラムで認証されている。免疫グロブリン測定:血清総IgG及びIgG3は、マウスIgG ELISAキット(Bethyl Laboratories, E99-131)及びマウスIgG3 ELISAキット(Bethyl Laboratories, E99-111)を製造者の指示書に従い用いて希釈血清で測定した。データはアイソタイプスタンダードの標準曲線に基づきμg/mLで表した。
【実施例】
【0047】
抗体処置によるB2細胞の除去
アテローム発生進展における共生微生物特異的なB2細胞サブセット活性化の関与を調べるため、抗CD23中和抗体(精製ラット抗マウスCD23, BD Pharmingen, B3B4, アイソタイプIgG2a)をウェスタン飼料の給与開始の1週間前に50μg(0.5μg/μlを100μl)腹腔内投与、次いでアテローム性動脈硬化の誘導期間中に毎週50μg腹腔内投与し、B2細胞を除去した(Coyle et al., 1996; Dasic et al., 1999)。コントロール群には生理食塩水を投与した。なお、ここで使用したラット抗CD23モノクローナル抗体B3B4については、IgEのCD23への結合をビトロ及びビボでブロックすることが報告されている(Rao M, et al. 1987. J. Immunol. 138:1845.; Oshiba A, et al. 1997. J. Immunol. 159:4056.; Dasic G, et al. 1999. Eur. J. Immunol. 29:2957)。
【実施例】
【0048】
統計解析
統計解析にはSPSS 22ソフトウェアプログラムを用いた。適当な検定を用いてP<0.05の時に群間に統計学的な有意差ありとした。値が正規分布に従う場合は1元配置ANOVAの後にTukeyの事後検定を行い、値が正規分布に従わない場合はノンパラメトリックなクラスカル・ワリス検定を行なった。【0049】
<結果>
腸管共生微生物叢はアテローム性動脈硬化の発症を促進する
腸管共生微生物叢がアテローム性動脈硬化に及ぼす影響を調べるため、抗生物質処置により腸管共生微生物叢を除去した。糞便培養や16S rRNA遺伝子配列のRT-PCR増幅による全生物相の定量解析は実施しなかったが、広域スペクトル抗生物質カクテル(AVNM)により検出可能な共生細菌の全てを枯渇できることが過去の研究で示されており(Rakoff-Nahoum et al., 2004; Wang et al., 2011)、腸管共生微生物叢の枯渇に関連する特徴的な二次所見(未消化の粘液の蓄積による盲腸の顕著な腫脹など)(Barthel et al., 2003; Croswell et al., 2009)が消化管の肉眼検査から明らかとなった。これらの所見は細菌定着レベルが低下していることを示している(データ省略)。抗生物質処置(AT)あり又はなしのウェスタン飼料(WD)群及び標準飼料(ND)群の体重は毎週計測した。図1Aは体重計測結果である。WD群及びND群間では体重に有意差があった(p<0.05)が、WD給与マウス及び同齢のWD給与ATありマウスの間で比較すると体重に明らかな差はみられなかった。この結果は、抗生物質処理で腸管内微生物叢を除去してもWDで誘導される体重増加には影響がないことを示している。興味深いことに、抗生物質処理をするとWD給与期間の内臓脂肪及び皮下脂肪が増大したが、8週間の飼料給与実験の終了時のマイクロCTによると、ND給与したApoE KOマウスと比べてもWD給与したApoE KOマウスの内臓脂肪及び皮下脂肪に変化はみられなかった。しかしながら、抗生物質処置をした場合、WD給与マウスのみで内臓脂肪(p<0.05)及び皮下脂肪(p<0.01)に有意な増加が見られた(図1B-1D)。WD-ATマウスでの内臓脂肪及び皮下脂肪の増加について、この現象が代謝の変調を伴っているかを調べたところ、WD-ATマウスに脂質代謝異常が検出された。WD-ATマウスでは血清脂質値が有意に上昇しており、血清総コレステロール値、LDL-C値はWD-ATマウスでWD給与マウスよりも有意に高値であった(p<0.05)(図1E-1H)。血漿コレステロール値の変化は明らかであったが、8週間WD給与後の大動脈全体のオイルレッドO染色によって動脈硬化病変サイズを測定した結果では、WDに関連する正面動脈硬化病変サイズは抗生物質処置によって有意に減少していた(p<0.001)(図1I)。大動脈根の組織学的検査では、動脈硬化病変サイズに同様の減少が確認され(p<0.05)(図1J)、マクロファージ・T細胞リッチな領域面積にも同様の減少が確認された(データ省略)。これらの表現型がApoE KOマウスに特異的なものであるかを調べるため、正常なC57BL/6Jマウスを用いて同じ解析を行なったところ、予想通り同様の結果が得られた(図5)。プラークサイズと総コレステロール値との間の関係を解析したところ、これらの変数の間には相関がなかった。この結果は、アテローム誘発作用が腸管共生微生物叢に関連しており、高コレステロール血症には依存していないことを示している。まとめると、以上のデータは、腸管共生微生物叢が脂質代謝に非依存のメカニズムで動脈硬化発症を促進することを示唆している。【0050】
抗生物質処置はWDで誘導されるFO B細胞の増加を消失させることによりアテローム性動脈硬化を低減する
B細胞は、脾臓のほか血管外膜層にも存在することが知られている(Grabner et al., 2009; Hamze et al., 2013)。一方で、代謝非依存の経路による免疫系の制御における腸管微生物の役割も報告されている(Brown and Hazen, 2015; Drosos et al., 2015)。そこで、腸管微生物叢はB2細胞の活性化を通じてアテローム性動脈硬化に影響を及ぼしているという仮説を立て、これを検証すべく、まずは脾臓及びPVAT中のB2細胞集団を解析した。
【実施例】
【0051】
健常個体では、小さい脂肪細胞に分化する脂肪細胞前駆細胞の集積促進を経て脂肪パッド塊が拡大し、それにより脂肪組織が拡張する。対照的に、脂肪組織の病的な拡張は、既存の脂肪細胞の拡大を経て脂肪パッドが急速に増殖することを特徴とする。そのような病的な拡張は慢性炎症と関連している(Sun et al., 2011)。従って、WD給与マウス及びWD給与ATありマウスにおいて観察された代謝異常症候群は、これらのマウスで病的な脂肪組織の拡張が生じている可能性を示している。予想通り、WD給与マウスのPVAT中の脂肪細胞は、コントロール群の脂肪細胞と比べてサイズが大きく、組織化の程度が少なく、充填も緩かった(p<0.001; 図2A-2B)。しかしながら、図2A-2Bに示される通り、WD-ATマウスのPVAT中の脂肪細胞の典型的特徴には、ND給与マウスのものと有意な差はなかった。さらに、腸管共生微生物叢の除去がWD給与マウスのPVAT中のB2細胞蓄積に及ぼす効果を調べたところ、上記の結果と合致して、免疫組織化学的解析により評価したCD23陽性細胞の蓄積がWD給与マウスで有意に増大していた(p<0.001; 図2B-2C)。WD-AT群のCD23陽性細胞はコントロール群と同等であった(図2B-2C)。このことは、WD給与マウスのPVATでは明白なB2細胞浸潤が増強されたこと、このB2細胞浸潤は全ての検出可能な共生微生物の枯渇とともに完全に消失したことを示唆している。これらの結果は、蓄積したB2細胞が腸管微生物叢によるアテローム性動脈硬化の誘導に本質的に寄与しているという見解を支持している。【0052】
上記の結果をさらに確認すべく、PVATのB2細胞をフローサイトメトリーにより調べた。代表的なフローサイトメトリープロットを図2Dに示す。PVAT中の活性化FO B細胞の割合は、ND給与マウスと比較してWD給与マウスで劇的に増大していた(p<0.001)。しかしながら、抗生物質処置で微生物叢を枯渇させた後は、WDで誘導されたFO B細胞の増加が消失しており(p<0.001)、この結果は上記の結果と合致する。B細胞の主たる貯蔵庫である脾臓内のB2細胞についても調べたところ、脾臓重量には有意差が無く(図6A)、また、WD給与と抗生物質処理は脾臓中FO B細胞の割合に変化を与えず(図2E)、FO B細胞活性化の指標となる脾臓構造の変化にも関連がなかったが(図6B-6C)、MZ B細胞の割合は抗生物質処置後にWDを給与したマウスで有意に減少していた(p<0.01; 図2E)。正常なC57BL/6Jマウスにおいても上記の結果を確認した(図7)。注目すべきことに、WD給与マウスのPVATでは活性化FO B細胞の数が増大していた一方で、AVNMによる微生物叢枯渇はFO B2細胞の有意な減少をもたらし、上記のFO B細胞数の増大はC57BL/6Jマウスでは完全に失われていた(図7)。活性化B細胞の主たる機能は抗体生産であることから、抗生物質処置が循環IgG力価を変化をもたらすかを調べた(図2F-2G)。FO B細胞数の増大は、ND給与マウスとの比較でWD給与マウスの血清中の総IgG力価の上昇には関連がなかったが、抗生物質処置により血清中の総IgG力価は急激に低下し、それに続きFO B細胞及びMZ B細胞も減少した(p<0.01; 図2F)。さらに、IgGの特異的サブクラスであり、主としてMZ B細胞がT細胞非依存の経路によって免疫前又は免疫後に産生する(Guinamard et al., 2000; Panda et al., 2013)IgG3を解析したところ、WD-ATマウスはWDマウスとの比較で血清IgG3値の低下を示した(p<0.05; 図2G)。さらにまた、統計学的な有意差にまでは至らなかったが、WDマウスではNDマウスと比べて血清IgG3値が上昇する傾向もみられた。また、抗原提示を媒介するとともに活性化B細胞の別の重要な機能を表す分子であるMHCクラスIIのB2細胞におけるmRNA発現レベルを調べた。フローサイトメトリー解析の結果ではWD群とWD-AT群との間で脾臓FO B2細胞の割合には差異がなかったが(図2E)、図2Hに示す通り、WD群の脾臓FO B2細胞におけるMHCクラスIIの発現は抗生物質処置により有意に低下した。従って、これらのデータは、腸管微生物叢が誘導するアテローム性動脈硬化がB2細胞の活性化を特徴とすることを示唆している。【0053】
腸管微生物叢はアテローム発生過程のB2細胞TLRシグナル伝達及び炎症遺伝子発現の活性化を促進する
B細胞はTLR発現パターンにバリエーションがあり、これが微生物叢からのシグナルを直接伝達している可能性がある。あるいは、TLRを経由した微生物叢からのシグナルが抗体生産、抗原提示、サイトカイン分泌等のB細胞応答を変化させているかもしれない(Nickerson et al., 2010; Pasare and Medzhitov, 2005; Rawlings et al., 2012)。前述の結果は、WD給与マウスにおいて腸管微生物叢の除去を介して抗体応答が消失することを示している。そこで、B2細胞をさらに特徴づけ、WD給与マウスにおいて観察された微生物叢誘導性のアテローム性動脈硬化にB2細胞TLRシグナリングが寄与しているかどうかを解読するため、脾臓及びPVATからB2細胞を単離し、TLRシグナリングの遺伝子発現を定量した。予想した通り、WD群及びWD-AT群の比較の結果、遺伝子発現プロファイルに実質的な差異があることが明らかとなった(図3A及び表1、表2)。TLR発現は影響されていなかったが(図5)、前炎症性サイトカインの遺伝子発現レベルはWD給与マウスのPVAT由来のFO B2細胞で上昇していた。最も顕著な相違点として、B細胞機能に必要な分子である表面抗原CD14をコードするCD14遺伝子の転写はPVATのFO B細胞で有意にアップレギュレートされていた。過去の報告でも、CD14が自然免疫系の構成成分であり、TLR2及びTLR4とともに細菌のリポ多糖(LPS)の検出のためのコレセプターとして働くことが明らかとなっている(Heumann et al., 2001; Tasaka et al., 2003)。さらに、ケモカインリガンド2(Ccl2)、熱ショック70kDaタンパク質1a(Hspa1a)、インターロイキン1β(IL1β)、インターロイキン1受容体タイプ1(IIl1r1)、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ2(Ptgs2)、及び腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1a(Tnfrsf1a)をはじめとする炎症活性化関連分子をコードする遺伝子もアップレギュレートされていた。WD給与マウスの脾臓由来のFO B2細胞とは対照的に、WD-ATマウスでは、TLRシグナル伝達のネガティブレギュレーターであるCCAAT/エンハンサー結合タンパク質β(Cebpb) 及びNF-kappa-Bインヒビターβ (Nfkbib)の発現が誘導されており、炎症活性化関連遺伝子Hspa1a及びPtgs2の発現は劇的に低下していた(表1)。これらの結果は、観察された変化が腸管微生物叢の除去によってもたらされていること、腸管微生物叢はB2細胞TLRシグナル伝達経路の活性化を介してアテローム性動脈硬化を促進することを強く示唆している。従って、B2細胞TLRシグナリングは微生物叢によって起こるアテローム性動脈硬化を媒介している。総合すると、これらの結果は、微生物叢によるアテローム性動脈硬化の過程でB2細胞におけるTLRシグナル伝達が特異的な役割を担っていることを裏付けている。
【実施例】
【0054】
【表1】
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【実施例】
【0055】
【表2】
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【実施例】
【0056】
微生物叢により誘導されるアテローム性動脈硬化はB細胞の枯渇により減弱される
腸管微生物叢の枯渇が活性化B2細胞の数を減少させることでアテローム性動脈硬化の発症に影響を及ぼしている可能性があることから、B2細胞の枯渇が微生物叢により誘導されるアテローム性動脈硬化に対する防御をもたらすかどうかを検討した。WD給与マウスのコホートは、B細胞を枯渇できる抗マウスCD23抗体(精製ラット抗マウスCD23, BD Pharmingen, B3B4, アイソタイプIgG2a)で前処置した。抗CD23抗体の腹腔内投与はアテローム性動脈硬化の発症の1週間前に開始した。コントロール群のマウスには生理食塩水を投与した。期待した通り、抗CD23抗体を投与したマウスでは、脾臓及びPVAT内のB2細胞数が生理食塩水を投与したマウスよりもはるかに少なかった(図4A-4B)。B2細胞以外の細胞集団には変化が見られなかった(図8)。抗CD23抗体投与したWD給与マウスでは、WD給与コントロールマウスと同様に、内臓脂肪、皮下脂肪及び血清脂質値の増加と関連した体重の増加がみられた(図4C-4I)。しかしながら、8週間のWD給与後にWD給与マウスとWD給与+抗CD23抗体投与マウスとでプラークを比較したところ、WD給与+抗CD23抗体投与マウスではプラーク形成が顕著に低下していた(図4J-4K)。血清IgG値及び血清IgG3値は抗体非投与のWD給与マウスのみで上昇がみられた(図4L-4M)。これらの結果より、微生物叢によるアテローム性動脈硬化の誘発には初期のB2細胞からの助けが必要であることが確認された。全体として、これらのデータは、微生物叢が活性化B2細胞生成を刺激し宿主応答をTH1関連免疫へシフトさせることによりアテローム性動脈硬化を増悪することを示している。
【実施例】
【0057】
References
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8