TOP > 国内特許検索 > 二本鎖核酸分子、およびその用途 > 明細書

明細書 :二本鎖核酸分子、およびその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年9月19日(2019.9.19)
発明の名称または考案の名称 二本鎖核酸分子、およびその用途
国際特許分類 C12N  15/113       (2010.01)
C12N  15/63        (2006.01)
A61K  31/713       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
C12P  19/34        (2006.01)
FI C12N 15/113 ZNAZ
C12N 15/63 Z
A61K 31/713
A61P 43/00 105
A61P 35/00
A61P 35/02
C12P 19/34 A
国際予備審査の請求
全頁数 40
出願番号 特願2018-547222 (P2018-547222)
国際出願番号 PCT/JP2017/039364
国際公開番号 WO2018/079841
国際出願日 平成29年10月31日(2017.10.31)
国際公開日 平成30年5月3日(2018.5.3)
優先権出願番号 2016213131
優先日 平成28年10月31日(2016.10.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】赤尾 幸博
出願人 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000671、【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 4B064
4C086
Fターム 4B064AF27
4B064CC24
4B064DA05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA38
4C086MA66
4C086NA12
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
要約 【課題】優れた抗腫瘍活性を示す二本鎖核酸分子を提供する。
【解決手段】化学式(1)(配列番号1)で表される塩基配列を含む第1ポリヌクレオチド鎖、および当該第1ポリヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を含む第2ポリヌクレオチド鎖を含む、二本鎖核酸分子である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学式(1)(配列番号1)で表される塩基配列を含む第1ポリヌクレオチド鎖、および当該第1ポリヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を含む第2ポリヌクレオチド鎖を含む、二本鎖核酸分子:
【化1】
JP2018079841A1_000021t.gif
ただし、化学式(1)において、(T/U)はTまたはUを表し;Nはそれぞれ独立してA、C、G、T、Uまたは欠損を表し;kは0または1を表し;Lは、下記化学式(2a)~(2g):
【化2】
JP2018079841A1_000022t.gif
化学式(2a)において、ZはCHまたはNを表す、
のいずれかで表される置換または非置換の環式化合物含有基を表すか、または、2以上の前記環式化合物含有基がそれぞれホスホジエステル結合を介して連結してなる2価の基を表し;Mは、水素原子またはヒドロキシル保護基を表し;この際、第1ポリヌクレオチド鎖を構成するヌクレオチドは、それぞれ独立して、2’-O-メチル、2’-メトキシエトキシ、2’-フルオロ、2’-アリル、2’-O-[2(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4’-チオ、4’-(CH-O-2’-架橋、2’-ロックド核酸または2’-O-(N-メチルカルバメート)からなる群から選択される修飾糖部分を含む塩基で置換されていてもよく、第1ポリヌクレオチド鎖を構成するホスホジエステル結合は、それぞれ独立して、下記化学式(3):
【化3】
JP2018079841A1_000023t.gif
化学式(3)において、Xは独立してO、SまたはSeを表し、Xは独立してOHもしくはO、SHもしくはS、SeHもしくはSe、炭素数1~4個のアルキル基またはモルホリノ基を表す(ただし、XがOでありXがOである場合を除く)、
で表されるリン原子修飾結合で置換されていてもよい。
【請求項2】
前記第1ポリヌクレオチド鎖および第2ポリヌクレオチド鎖の塩基数が、それぞれ独立に23~30塩基である、請求項1に記載の二本鎖核酸分子。
【請求項3】
前記配列番号1で表される塩基配列における(T/U)が、Uである、請求項1または2に記載の二本鎖核酸分子。
【請求項4】
前記配列番号1で表される塩基配列におけるNNが、GGまたはTTである、請求項1~3のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子。
【請求項5】
前記第2ポリヌクレオチド鎖が、下記化学式(5)(配列番号2)で表される塩基配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子:
【化4】
JP2018079841A1_000024t.gif
ただし、化学式(5)(配列番号2)において、N’はそれぞれ独立してA、C、G、T、Uまたは欠損を表し;k、LおよびMは上記と同様の定義であり;この際、第2ポリヌクレオチド鎖を構成するヌクレオチドは、それぞれ独立して、2’-O-メチル、2’-メトキシエトキシ、2’-フルオロ、2’-アリル、2’-O-[2(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4’-チオ、4’-(CH-O-2’-架橋、2’-ロックド核酸または2’-O-(N-メチルカルバメート)からなる群から選択される修飾糖部分を含む塩基で置換されていてもよく、第2ポリヌクレオチド鎖を構成するホスホジエステル結合は、それぞれ独立して、前記化学式(3)で表されるリン原子修飾結合で置換されていてもよい。
【請求項6】
前記配列番号2で表される塩基配列におけるNNが、GGである、請求項5に記載の二本鎖核酸分子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子をコードする塩基配列を含む、ベクター。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子、または請求項7に記載のベクターを有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【請求項9】
カチオン性ポリアミノ酸セグメントと親水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーと、請求項1~6のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子とを含み、前記カチオン性ポリアミノ酸セグメントの正電荷と前記二本鎖核酸分子の負電荷とが相殺されて電気的に中性であり、前記二本鎖核酸分子が前記親水性ポリマー鎖セグメントに覆われているユニット構造型医薬組成物からなる、抗腫瘍剤。
【請求項10】
膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん(Hepatocarcinoma)、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽腔がん、口腔がん、および下垂体腫瘍からなる群から選択される腫瘍の予防および/または治療のための、請求項8または9に記載の抗腫瘍剤。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二本鎖核酸分子、請求項7に記載のベクター、または請求項8~10のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤を被検者に投与することを含む、腫瘍の予防および/または治療方法。
【請求項12】
前記腫瘍が、膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん(Hepatocarcinoma)、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽腔がん、口腔がん、および下垂体腫瘍からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二本鎖核酸分子、およびその用途に関する。より具体的には、miR-145様の二本鎖核酸分子、およびその発現ベクター、ならびにこれらを含む抗腫瘍剤、およびこれらを利用した腫瘍の予防および/または治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
miRNAは、細胞内在性の、20~25塩基程度の非コードRNAである。miRNAは、ゲノムDNA上のmiRNA遺伝子から、まず数百~数千塩基程度の長さの一次転写物(pri-miRNA)として転写される。次いで、プロセシングを受けて数十塩基程度のヘアピン構造を有するpre-miRNAとなる。その後、核から細胞質内に移り、さらにプロセシングを受けて20~25塩基程度の二量体(ガイド鎖およびパッセンジャー鎖)からなる成熟miRNAとなる。成熟miRNAは、そのうちのガイド鎖(アンチセンス鎖)がRISC(RNA-Induced Silencing Complex)と呼ばれるタンパク質と複合体を形成し、標的遺伝子のmRNAに作用することで、標的遺伝子の翻訳を阻害する働きをすることが知られている。
【0003】
miRNAは細胞内で様々な働きをすることが知られているが、ある種のmiRNAは、がん患者の病変組織において発現量が低下したり、また、その発現量を増加させることで抗腫瘍活性を示したりすることが知られている。
【0004】
miR-145は、かような抗腫瘍活性を示すmiRNAの一種であり、細胞周期、細胞増殖、がん細胞の浸潤または細胞死等に関わる複数の遺伝子を標的としており、腫瘍抑制因子のひとつであると考えられている。miR-145は、膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝臓がん(例えば、肝細胞がん(Hepatocarcinoma))、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽腔がん、口腔がん、および下垂体腫瘍といった様々な腫瘍において発現量が低下することも知られている(非特許文献1)。例えば、miR-145の発現を誘導することにより膀胱がん細胞、前立腺がん細胞および膵臓がん細胞の細胞生存率が低下したり(非特許文献2、5、8)、大腸がん細胞および乳がん細胞の増殖が抑制されたり(非特許文献3、6)、胃がん細胞の浸潤が抑制されたり(非特許文献7)することが報告されている。また、miR-145の発現を抑制することにより、白血病が発症した例も報告されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Shi-Yun Cui et al., Journal of Cellular and Molecular Medicine (2014) 18, 1913-1926
【非特許文献2】MS Ostenfeld et al., Oncogene (2010) 29, 1073-1084
【非特許文献3】Lea H. Gregersen et al., Plos ONE (2010) 5, e8836
【非特許文献4】Daniel T. Starczynowski et al., Blood (2011) 117, 595-607
【非特許文献5】MS Zaman et al., British Journal of Cancer (2010) 103, 256-264
【非特許文献6】Shihua Wang et al., International Journal of Oncology (2009) 34, 1461-1466
【非特許文献7】Shi-Bin Jiang et al., OncoTargets and Therapy (2016) 2016, 2305-2315
【非特許文献8】Sheema Khan et al., Oncotarget (2016) 5, 7599-7609
【発明の概要】
【0006】
上記のように、miR-145は抗腫瘍剤の有効成分として期待されている。本発明者は、miR-145に関する研究を進める中で、驚くべきことに、miR-145のパッセンジャー鎖のヌクレオチド配列を人工的に改変して、ガイド鎖に対して完全に相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド鎖にした二本鎖核酸分子が優れた抗腫瘍活性を示すことを見出し、本発明の完成に至った。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】試験例1における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図2】試験例1において、がん関連分子(c-MycおよびFascin)のタンパク質発現量をJB-V235細胞を用いて解析した結果を示す。
【図3】試験例1において、がん関連分子(Fascin)のタンパク質発現量をT-24細胞を用いて解析した結果を示す。
【図4】試験例2における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図5】試験例3における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図6】試験例4における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図7】試験例5における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図8】試験例6における、生存細胞数の評価結果を示す。
【図9】試験例7における、MTTアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。

【0009】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。

【0010】
《二本鎖核酸分子》
本発明の一側面は、所定の塩基配列を含む第1ポリヌクレオチド鎖、および当該第1ポリヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を含む第2ポリヌクレオチド鎖を含む、二本鎖核酸分子(以下、「本発明に係る核酸分子」とも称する)に関する。

【0011】
〈第1ポリヌクレオチド鎖〉
本発明において、第1ポリヌクレオチド鎖は、下記化学式(1)(配列番号1)で表される塩基配列を含むものである。

【0012】
【化1】
JP2018079841A1_000003t.gif

【0013】
ただし、化学式(1)において、(T/U)はTまたはUを表し;Nはそれぞれ独立してA、C、G、T、Uまたは欠損を表す。

【0014】
本発明に係る核酸分子は、細胞への取り込みやRNaseに対する耐性の向上等を目的として、当業者に知られた手段によって化学的に修飾を施されたものであっても良い。このような化学的修飾としては、(a)第1ポリヌクレオチド鎖または第2ポリヌクレオチド鎖における3’末端への化学修飾基の付加、(b)構成塩基の修飾糖部分を含む塩基による置換、および(c)ホスホジエステル結合のリン原子修飾結合による置換などが挙げられる。

【0015】
(a)3’末端への化学修飾基の付加
これらのうち、第1ポリヌクレオチド鎖に対して上記(a)の化学的修飾(3’末端への化学修飾基の付加)が施されたものは、化学式(1)においてkが1である場合に相当する。この場合、具体的には、第1ポリヌクレオチド鎖の3’末端のヌクレオチドの塩基に結合した3’末端側のホスホジエステル結合の酸素原子に、「-L-M」で表される構造を有する基が結合している。化学式(1)においてkが1であるとき、Lは、下記化学式(2a)~(2g):

【0016】
【化2】
JP2018079841A1_000004t.gif

【0017】
のいずれかで表される置換または非置換の環式化合物含有基を表すか、または、2以上の前記環式化合物含有基がそれぞれホスホジエステル結合を介して連結してなる2価の基を表し;Mは、水素原子またはヒドロキシル保護基を表す。

【0018】
好ましい実施形態において、上記Lは、2以上(例えば、2~10個、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは2個)の前記環式化合物含有基がそれぞれホスホジエステル結合を介して連結してなる2価の基を表す。

【0019】
ここで、上記環式化合物含有基が置換されている場合において当該環式化合物含有基を置換する置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基などのアルキル基;フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、p-トリルオキシ基などのアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基などのアシル基;メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基などのアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基などのアリールスルファニル基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基などのジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基などの他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基などが挙げられる。

【0020】
また、化学式(2a)において、Zは、CHまたはNを表す。好ましい実施形態において、上記Lは、1または2以上の化学式(2a)で表される置換されていてもよい環式化合物含有基を含むものである。また、他の好ましい実施形態において、上記Lは、2以上(例えば、2~10個、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは2個)の前記化学式(2a)で表される環式化合物含有基がそれぞれホスホジエステル結合を介して連結してなる2価の基を表す。この際、Lは、前記化学式(2a)で表される環式化合物含有基のうち、ZがCHであるもの(つまり、ベンゼン環を含む基)と、ZがNであるもの(つまり、ピリジン環を含む基)との双方を含む2価の基であることが好ましく、これらの基の1つずつからなる2価の基であることがより好ましい。また、さらに好ましい実施形態において、前記Lは、下記化学式(3):

【0021】
【化3】
JP2018079841A1_000005t.gif

【0022】
で表される構造を有するものである。

【0023】
ここで、化学式(3)において、*1はポリヌクレオチド鎖の3’末端のヌクレオチドの塩基に結合した3’末端側のホスホジエステル結合の酸素原子との結合部位を表し、*2はMとの結合部位を表す。

【0024】
化学式(1)において、Mは、水素原子またはヒドロキシル保護基を表し、好ましくは水素原子を表す。したがって、最も好ましい形態において、「-L-M」で表される構造は、上記化学式(3)の*2に水素原子が結合してなる基である(後述する実施例を参照)。なお、ヒドロキシル保護基としては、当該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよく、従来公知の知見が適宜参照されうる。好ましくは、ヒドロキシル保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持して除去されるものである。こうしたヒドロキシル保護基としては、特に限定されないが、例えば、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基、ジメトキシトリチル(DMT)基、モノメトキシトリチル基、トリフルオロアセチル基、レブリニル基、またはシリル基である。

【0025】
(b)構成塩基の修飾糖部分を含む塩基による置換
第1ポリヌクレオチド鎖に対して上記(b)の化学的修飾(構成塩基の修飾糖部分を含む塩基による置換)が施される場合、第1ポリヌクレオチド鎖を構成する各ヌクレオチドは、それぞれ独立して、2’-O-メチル、2’-メトキシエトキシ、2’-フルオロ、2’-アリル、2’-O-[2(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4’-チオ、4’-(CH-O-2’-架橋、2’-ロックド核酸または2’-O-(N-メチルカルバメート)からなる群から選択される修飾糖部分を含む塩基で置換されうる。なかでも、修飾糖部分は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾を含むことが好ましい。

【0026】
(c)ホスホジエステル結合のリン原子修飾結合による置換
第1ポリヌクレオチド鎖に対して上記(c)の化学的修飾(ホスホジエステル結合のリン原子修飾結合による置換)が施される場合、第1ポリヌクレオチド鎖を構成するホスホジエステル結合は、それぞれ独立して、下記化学式(4):

【0027】
【化4】
JP2018079841A1_000006t.gif

【0028】
で表されるリン原子修飾結合で置換されうる。

【0029】
化学式(4)において、Xは独立してO、SまたはSeを表し、Xは独立してOHもしくはO、SHもしくはS、SeHもしくはSe、炭素数1~4個のアルキル基またはモルホリノ基を表す。ただし、XがOを表しXがOを表す場合、上記化学式(4)は通常のホスホジエステル結合を表すことから、このような場合は本発明の範囲に含まれないものとする。好ましい実施形態において、XはOであり、XはSHもしくはS、SeHもしくはSe、炭素数1~4個のアルキル基またはモルホリノ基を表す。また、より好ましい実施形態において、XはOであり、XはSHまたはSを表す。さらに、特に好ましい実施形態において、XはOであり、XはSHまたはSを表す(この場合、リン原子修飾結合はホスホロチオエート結合である)。

【0030】
内在性の成熟miR-145は、ヒトおよび多くの非ヒト動物において共通の塩基配列を有していることが知られており、ガイド鎖(アンチセンス鎖、miR-145-5p)とパッセンジャー鎖(センス鎖、miR-145-3p)とは、そのそれぞれの塩基配列の一部において相補性を欠く(下記表1を参照)。一方、本発明に係る核酸分子の第1ポリヌクレオチド鎖は、内在性の成熟miR-145のガイド鎖(配列番号8で表されるポリヌクレオチド配列を有する)に対して完全に相補的なヌクレオチド配列(配列番号1における「AGGGA(T/U)(T/U)CC(T/U)GGGAAAAC(T/U)GGAC」の部分に相当する。以下、配列番号8で表されるポリヌクレオチド配列に対して完全に相補的な第1ポリヌクレオチド鎖の領域を、「相補性領域」とも称する。)を含む。かような核酸分子が優れた抗腫瘍活性を示す詳細なメカニズムは不明であるものの、核酸分子の3次元構造が、がん細胞のアポトーシス誘導と関連しているのではないかと推測される。

【0031】
本明細書において「二本鎖核酸分子」は、その分子構造内に、第1ポリヌクレオチド鎖と第2ポリヌクレオチド鎖とのハイブリッド構造(完全マッチな塩基配列)を含む核酸分子である。二本鎖核酸分子は、一本鎖である第1ポリヌクレオチド鎖と、同じく一本鎖である第2ポリヌクレオチド鎖とがハイブリダイズした構造を有するものであってもよい。あるいは、内在性miRNAの前駆体であるpri-miRNAやpre-miRNAがそうであるように、第1ポリヌクレオチド鎖と第2ポリヌクレオチド鎖とが、ループ領域を介して連結したヘアピン構造であってもよい。かようなループ領域の長さは、本発明の目的効果が制限されない限りにおいて特に制限されないが、例えば3~100塩基程度であり、好ましくは3~10塩基程度である。かようなヘアピン構造を有する核酸分子のループ領域は、生体内においてDicer等のmiRNA成熟化に関与するプロセシング機構によって除去され得る。

【0032】
本明細書において「抗腫瘍」とは、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、腫瘍の発生、浸潤、転移および/または着床を防止する予防的作用、ならびに腫瘍細胞の増殖抑制、腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍の縮小をもたらす治療的作用の両方を含む用語として解釈される。抗腫瘍活性は、例えば、実施例に記載のように、核酸分子をトランスフェクションした細胞を所望の期間培養し、培養後の細胞数を計測することによって評価し得る。

【0033】
本発明に係る核酸分子の第1ポリヌクレオチド鎖および第2ポリヌクレオチド鎖の塩基数は同一であっても異なっていてもよい。本発明に係る核酸分子の第1ポリヌクレオチド鎖および第2ポリヌクレオチド鎖の塩基数は、例えば、それぞれ独立に23~30塩基である。本発明に係る核酸分子の第1ポリヌクレオチド鎖および第2ポリヌクレオチド鎖の塩基数は、それぞれ独立に、好ましくは23~27塩基であり、より好ましくは23~25塩基であり、更に好ましくは25塩基である。

【0034】
本発明に係る核酸分子の第1ポリヌクレオチド鎖はDNA鎖、RNA鎖またはDNA/RNAキメラ鎖のいずれであってもよいが、抗腫瘍活性の観点から、相補性領域はRNA鎖であることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態では、上記配列番号1で表される塩基配列における(T/U)が、Uである。

【0035】
配列番号1において、3’末端に位置する「NN」は、欠損、またはA、C、G、TおよびUから選択される任意の残基(3’末端付加配列)であり、各「N」は同一であっても異なってもよい。また、配列番号1において、3’末端付加配列は1残基であっても2残基であってもよいが、抗腫瘍活性の観点から、好ましくは2残基であり、GおよびTから選択される2残基であることがより好ましい。特に、配列番号1で表される塩基配列におけるNNが、GGまたはTTである場合、高い抗腫瘍活性を発揮し得ることから好ましい。

【0036】
〈第2ポリヌクレオチド鎖〉
本発明に係る核酸分子の第2ポリヌクレオチド鎖は、配列番号1と完全に相補的なヌクレオチド配列を含むDNA鎖、RNA鎖またはDNA/RNAキメラ鎖である。抗腫瘍活性の観点から、第2ポリヌクレオチド鎖のうち、第1ポリヌクレオチド鎖の相補性領域とハイブリダイズする領域(以下、単に「ハイブリダイズ領域」とも称する。)はRNA鎖であることが好ましい。すなわち、好ましい一実施形態では、第2ポリヌクレオチド鎖が、下記化学式(5)(配列番号2)で表される塩基配列を含む。

【0037】
【化5】
JP2018079841A1_000007t.gif

【0038】
化学式(5)(配列番号2)において、N’はそれぞれ独立してA、C、G、T、Uまたは欠損を表す。

【0039】
第2ポリヌクレオチド鎖もまた、第1ポリヌクレオチド鎖について上述したように、当業者に知られた手段によって、上記(a)~(c)等の化学修飾を施されたものでありうる。すなわち、化学式(5)(配列番号2)において、k、LおよびMは上記と同様の定義である(上記(a)の修飾)。また、第2ポリヌクレオチド鎖を構成するヌクレオチドは、それぞれ独立して、2’-O-メチル、2’-メトキシエトキシ、2’-フルオロ、2’-アリル、2’-O-[2(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4’-チオ、4’-(CH-O-2’-架橋、2’-ロックド核酸または2’-O-(N-メチルカルバメート)からなる群から選択される修飾糖部分を含む塩基で置換されていてもよく(上記(b)の修飾)、第2ポリヌクレオチド鎖を構成するホスホジエステル結合は、それぞれ独立して、前記化学式(3)で表されるリン原子修飾結合で置換されていてもよい(上記(c)の修飾)。

【0040】
上記配列番号2において、3’末端に位置する「N’N’」が欠損の場合、成熟miR-145のガイド鎖と塩基配列が一致する。配列番号2において、抗腫瘍活性の観点から、N’がそれぞれ独立してA、C、G、TおよびUからなる群から選択されることが好ましく、GおよびTから選択される2残基であることがより好ましい。上記配列番号2において、3’末端側の「N’N’」がGGの場合に特に高い抗腫瘍活性を発揮し得る。すなわち、本発明の好ましい一実施形態では、配列番号2で表される塩基配列におけるN’N’が、GGである。

【0041】
特に、配列番号1で表される塩基配列におけるNNがGGであり(すなわち、第1ポリヌクレオチド鎖が下記配列番号3で表され)、配列番号2で表される塩基配列におけるN’N’がGGである(すなわち、第2ポリヌクレオチド鎖が下記配列番号4で表される)場合に、顕著な抗腫瘍活性を発揮し得る。

【0042】
(製造方法)
本発明に係る核酸分子は、その塩基配列に基づき、従来公知の手法(核酸自動合成機を用いたホスホロアミダイト法による合成)により、化学的に合成することができる。また、このようにして製造された第1ポリヌクレオチド鎖および第2ポリヌクレオチド鎖の一方または双方の3’末端に上述した「-L-M」で表される修飾構造を導入する手法についても、従来公知の知見(例えば、国際公開第2007/094135号パンフレットや特開2011-251912号公報など)が適宜参照されうる。さらに、特定箇所のホスホジエステル結合を上記化学式(3)で表されるリン原子修飾構造とする手法についても、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、ホスホロアミダイト法による核酸合成の最終段階における3価のリンの5価への酸化を、酸化剤溶液に代えて硫化剤溶液を用いて行うことで、ホスホジエステル結合に代えてホスホロチオエート結合を導入することが可能である。

【0043】
本発明の一側面は、本発明に係る核酸分子をコードする塩基配列を含むベクターに関する。かようなベクターとしては、生体内において本発明に係る核酸分子を発現し得るものであれば特に制限されない。例えば、適切なプロモーターを有するプラスミドベクター、ウイルスベクター等を、ベクターが導入される宿主に合わせて適宜選択し、プロモーターの下流に本発明に係る核酸分子をコードするDNAを従来公知の手法により組込んだものを用いればよい。プロモーターとしては、特に制限されるものではないが、例えば、U6プロモーター、H1 RNAポリメラーゼIIIプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーター等が例示できる。

【0044】
プラスミドベクターとしては、例えば、pSINsiシリーズ、pBAsiシリーズ、pSIRENシリーズ(以上、タカラバイオ株式会社製)等が例示できる。プラスミドには、通常、アンピシリン、カナマイシン等の抗生物質に対する耐性遺伝子が含まれる。

【0045】
ウイルスベクターとしては、例えば、例えばレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター等が例示できる。

【0046】
本発明に係る核酸分子をコードするDNAは、第1ポリヌクレオチド鎖をコードするDNAと第2ポリヌクレオチド鎖をコードするDNAとが別々にプロモーターの下流にそれぞれ組込まれたもの(タンデム型)でもよく、第1ポリヌクレオチド鎖相当領域をコードするDNAと第2ポリヌクレオチド鎖相当領域をコードするDNAとがループ領域をコードするDNAを介して連結されてひとつのプロモーターの下流に組込まれた上述のヘアピン構造を有するもの(ショートヘアピン型)でもよい。本発明に係る核酸分子をコードするDNAの下流には、ターミネーターが含まれることが好ましい。

【0047】
本発明に係る核酸分子をコードするDNAのベクターへの組換え方法は、当業者に知られた手段によって行うことができ、例えばSambrook, J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press(1989)等が参酌される。

【0048】
本発明の一側面は、本発明に係る核酸分子、または本発明に係る核酸分子をコードする塩基配列を含む上記のベクターを有効成分として含む、抗腫瘍剤が提供される。抗腫瘍剤は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、腫瘍の発生、浸潤、転移および/もしくは着床を防止する予防目的、または腫瘍細胞の増殖抑制、腫瘍細胞の死滅および/もしくは腫瘍の縮小をもたらす治療目的で使用され得る。本発明の一側面では、本発明に係る核酸分子、または上記の本発明に係る核酸分子をコードする塩基配列を含むベクターを被検者に投与することを含む、腫瘍の予防および/または治療方法が提供される。

【0049】
本明細書において「有効成分として含む」とは、所望の活性(抗腫瘍活性)を発揮するのに充分な量(すなわち、有効量)で含むことを意味する。

【0050】
本発明に係る抗腫瘍剤が適用される腫瘍は良性腫瘍および悪性腫瘍の両方を含み、所望の目的が達成される限り特に制限されるものではないが、例えば膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝臓がん、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽頭がん、口腔がん、下垂体腫瘍、胆道がん、脾臓がん、腎がん、子宮がん、精巣がん、甲状腺がん、脳腫瘍、造血器腫瘍、悪性黒色腫などが挙げられる。このうち、本発明に係る抗腫瘍剤は、膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝臓がん、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽頭がん、口腔がん、および下垂体腫瘍の治療用および/または予防用として特に有効に用いられ得る。すなわち、本発明の一実施形態では、膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽腔がん、口腔がん、および下垂体腫瘍からなる群から選択される腫瘍の予防および/または治療のための抗腫瘍剤が提供される。本発明の別の側面では、本発明に係る核酸分子、または本発明に係る核酸分子をコードする塩基配列を含む上記のベクターを被検者に投与することを含む、膀胱がん、大腸がん、乳がん、白血病、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん、肺がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、神経膠腫、咽頭がん、鼻咽腔がん、口腔がん、および下垂体腫瘍からなる群から選択される腫瘍の、予防および/または治療方法が提供される。がんは、原発性がんまたは転移性がんでありうる。また、「被検者」とは、例えばヒト、ならびにマウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ等の非ヒト動物が含まれるが、好ましくはヒトである。

【0051】
本発明に係る抗腫瘍剤は、固体または液体での投与形態に応じて製剤化することができる。経口投与としては、例えば、水薬(水溶液もしくは非水溶液または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、カプセル剤、粉末薬、顆粒剤、およびペースト等が例示される。非経口投与としては、例えば、皮下、腹腔内、筋内もしくは静脈内注射のための製剤、または、膣内もしくは直腸内へ投与するための剤形へと製剤化されうる。本発明に係る抗腫瘍剤の有効成分が核酸分子である場合、好ましくは注射剤の形態として製剤化され、なかでもリポソーム-核酸分子が複合体化した形態に製剤化されることがさらに好ましい。

【0052】
リポソームを用いることで核酸分子の細胞への取り込みが促進され、核酸分子の血中半減期を長期化することもできる。リポソームを調製する方法としては公知のものを採用することができ、例えばF.Szoka,Annual Review of Biophysics and Bioengineering(1980)9:467-508等が参酌される。

【0053】
また、リポソームを用いた場合よりもバイオアベイラビリティ(ひいては抗腫瘍活性)をさらに向上させることを目的として、本発明にかかる核酸分子をユニット構造型医薬組成物(以下、「ユニット構造体」とも称する)の形態の抗腫瘍剤として製剤化することが好ましい。ここで、ユニット構造体の形態の抗腫瘍剤は、カチオン性ポリアミノ酸セグメントと親水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーと、上述した本発明にかかる核酸分子とを含み、前記カチオン性ポリアミノ酸セグメントの正電荷と前記二本鎖核酸分子の負電荷とが相殺されて電気的に中性であり、前記二本鎖核酸分子が前記親水性ポリマー鎖セグメントに覆われている構造を有するものである(国際公開第2013/162041号パンフレットを参照)。このようにカチオン性ポリアミノ酸セグメントの電荷量と核酸の電荷量との関係を調整し、かつ、核酸を親水性ポリマー鎖セグメントで覆うことにより、血液中のタンパクや酵素に対する電荷的な誘引や物理的(電荷に依存しない)な接近に起因した該核酸の代謝または分解を防止できるので、カチオン性ポリマー型キャリアにおける核酸の血中滞留性能が大幅に向上する。このような構造を有するユニット構造型医薬組成物の詳細については、国際公開第2013/162041号パンフレットに記載されているが、以下に簡単に説明する。

【0054】
本明細書において、「ユニット構造体が電気的に中性である」という状態は、ユニット構造体におけるカチオン性ポリアミノ酸セグメントのカチオン性基に由来する電荷の合計と核酸に由来する電荷の合計との相違が±10%程度の範囲、より厳格には±5%程度の範囲、にある状態を排除しない。例えば、核酸の電荷の合計が40である場合、ユニット構造体におけるカチオン性基に由来する電荷の合計が36~44、厳格には38~42の範囲、より厳格には39~41の範囲、にある状態を排除しない。なお、本発明に用いられるブロックコポリマーにおいては、親水性ポリマー鎖セグメントおよびカチオン性ポリアミノ酸セグメントはそれぞれ、ある程度の多分散性を示しうる。よって、本明細書において、ブロックコポリマーの特性(例えば、分子量、重合度、慣性半径)について言及する際は、特段の記載がない限り、多分散性を示すポリマー全体の平均について言及するものとする。したがって、上記電荷量は、実際に測定して得られる重合度を平均重合度とみなし、重合度に基づいて算出するものとする。例えば、カチオン性ポリアミノ酸セグメントの重合度は、核磁気共鳴装置(日本電子社製、製品名「JNM-ECS400」)を用い、溶媒:DO、温度:25℃で、核磁気共鳴スペクトル(H-NMRスペクトル)を測定し、得られたH-NMRスペクトルからポリリシン側鎖のメチレン基数を算出することにより求めることができる。

【0055】
本明細書において、「核酸が親水性ポリマー鎖セグメントに覆われている」という状態は、親水性ポリマー鎖セグメントによって、核酸の全体が覆われている状態を意味する。より具体的には、核酸の全体が親水性ポリマー鎖セグメントの空間的な広がり(慣性半径)の中に包まれている状態を意味する。複数個のブロックコポリマーによってユニット構造体が形成されている場合、1つのブロックコポリマーの親水性ポリマー鎖セグメントが核酸の全体を覆っている必要はなく、それぞれのブロックコポリマーの親水性ポリマー鎖セグメントに由来する総合的な空間的広がりの中に核酸の全体が包まれていればよい。

【0056】
ユニット構造体において、カチオン性ポリアミノ酸セグメントは核酸の伸びる方向に沿って直線状に配置されている形態でありうるが、カチオン性ポリアミノ酸セグメントの配置状態は核酸の負電荷を相殺しうる限りにおいて制限されず、例えば、核酸のらせん構造に沿って巻き付くように配置されている形態も可能である。

【0057】
ユニット構造体は、不特定多数のブロックコポリマーと1つまたは複数の核酸とを含み、組成を特定することが困難な従来の複合体(例えば、従来の核酸内包コア-シェル型ポリマーミセル)とは異なり、ブロックコポリマーと核酸とを各々の電荷量に基づいて決定される所定の含有数ずつ含むこと点に1つの特徴がある。ある実施形態において、ユニット構造体は、m×N個の核酸と、n×N個のブロックコポリマーとを含み得る(ここで、Nは、1以上の整数であり、mおよびnはそれぞれ独立して、例えば1~9の整数である)。なお、ユニット構造体に含まれる核酸の数は、40×対物レンズ(C-Apochromat、Carl Zeiss社製)およびConfoCor3モジュールを搭載した共焦点レーザスキャン顕微鏡(Carl Zeiss社製、製品名「LSM510」)を用い、蛍光相関分光法によって、150mM NaClを含む10mM HEPES緩衝液中で室温にて、Cy5-siRNA由来の蛍光分子数を測定し、核酸のみのときの蛍光分子数を基準にして求めることができる。一方、ユニット構造体に含まれるブロックコポリマーの数は、上述したカチオン性ポリアミノ酸セグメントの重合度およびユニット構造体中の核酸の数に加えて、分析用超遠心機(ベックマン・コールター社製、製品名「Optima XL-A」を用い、150mM NaClを含む10mM HEPES緩衝液中で20℃にて測定されるユニット構造体の分子量の値をさらに用いて算出することができる。

【0058】
ユニット構造体に含まれるブロックコポリマーの数は、核酸と電気的に中性なユニット構造体を構成でき、かつ、親水性ポリマー鎖セグメントの空間的な広がりによって核酸を覆うことができる限りにおいて制限はなく、例えば、1~8の整数でありうる。なお、ユニット構造体は、2つ以上のブロックコポリマーを用いて構成することができるが、1つのブロックコポリマーを用いて構成することもできる。

【0059】
ユニット構造体を形成しうるブロックコポリマーは、カチオン性ポリアミノ酸セグメントと親水性ポリマー鎖セグメントとを有する。ある実施形態において、カチオン性ポリアミノ酸セグメントは、ユニット構造体に含有されるべき核酸の負電荷を相殺してユニット構造体を電気的に中性にする正電荷を有し、親水性ポリマー鎖セグメントが、核酸を覆う鎖長を有する。親水性ポリマー鎖セグメントは、例えば、カチオン性ポリアミノ酸セグメントの端部(片端または両端)に配置されうる。また、当該端部に代えてまたはこれに加えて、カチオン性ポリアミノ酸セグメントの中間部分(好ましくは略中央部分)の側鎖にグラフトされてもよく、2つの隣接するカチオン性ポリアミノ酸セグメントの間に配置されてもよい。2つの隣接するカチオン性ポリアミノ酸セグメントの間に配置される場合、親水性ポリマー鎖セグメントは、これらカチオン性ポリアミノ酸セグメントの配列方向と交差する方向に伸びるように配置されることが好ましい。

【0060】
ブロックコポリマーは、好ましくは複数の親水性ポリマー鎖セグメントを有する(例えば、1つのブロックコポリマーあたり親水性ポリマー鎖セグメントを2つ以上有する)。複数の親水性ポリマー鎖セグメントを有するブロックコポリマーによれば、核酸をより厳重に覆うことができるので、酵素等による代謝または分解を好適に回避しうる。その結果、血中滞留性により優れたユニット構造体が得られうる。各部位に配置される親水性ポリマー鎖セグメントの数は、例えば、1~4でありうる。親水性ポリマー鎖セグメントは、多分岐型の親水性ポリマーの構造によって複数個が配置された状態にあってもよい。ブロックコポリマーに配置される親水性ポリマー鎖セグメントの数は4以上であってもよい。より具体的には、1つのブロックコポリマーによってユニット構造体が構成されている場合、当該1つのブロックコポリマーが親水性ポリマー鎖セグメントを4つ以上有していてもよい(例えば、カチオン性ポリアミノ酸セグメントの両端部のそれぞれに2つずつの親水性ポリマー鎖セグメントを有しうる)。また、ブロックコポリマーは、必要に応じて、親水性ポリマー鎖側末端に結合した標的結合部位をさらに有していてもよい。標的結合部位を有することにより、標的となる所望の部位への核酸の到達性を向上できる。なお、本明細書において、ブロックコポリマーは、当該ブロックコポリマーの薬学的に許容可能な塩も包含するものとする。

【0061】
カチオン性ポリアミノ酸セグメントを構成するアミノ酸としては、側鎖にカチオン性基(代表的には、アミノ基、好ましくは一級アミノ基)を有する任意の適切なカチオン性アミノ酸が用いられうる。例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸にカチオン性基を導入したアミノ酸誘導体等が挙げられる。核酸の負電荷はリン酸基(またはリン原子修飾基)に由来するので、核酸は負の電荷を1ずつ(電荷量=-1)略等間隔で有する。よって、核酸中の各リン酸基と好適に静電結合を形成する観点から、側鎖にカチオン性基を1つ有するアミノ酸、より具体的には血中pHにおいて側鎖に正電荷を1つ有するアミノ酸が好ましく用いられうる。

【0062】
カチオン性ポリアミノ酸セグメントにおいては、主鎖から側鎖上のカチオン性基までの距離が短いことが好ましい。具体的には、カチオン性基が好ましくは1~6個、より好ましくは2~4個の原子を介して主鎖に結合していることが好ましい。このような側鎖構造を有するブロックコポリマーを用いることにより、ユニット構造体の血中滞留性(結果として、核酸の血中滞留性)を向上させ得るからである。

【0063】
カチオン性ポリアミノ酸セグメントは、好ましくはユニット構造体に含まれる核酸の負電荷に対して略等量、略半量、略1/4量、または略1/8量の正電荷を有する。カチオン性ポリアミノ酸セグメントがこのような電荷量を有することにより、ブロックコポリマーの含有数が異なる(例えば、1個、2個、4個、または8個)種々のユニット構造体が得られうる。

【0064】
好ましい実施形態において、カチオン性ポリアミノ酸セグメントは、ユニット構造体に含まれる核酸の負電荷に対して略半量の正電荷を有する。血中pHにおいて側鎖に正電荷を1つ有するアミノ酸によってこのような正電荷を有するポリアミノ酸セグメントを構成すると、1つの核酸に対して2つのブロックコポリマーを含むユニット構造体(代表的には、1つの核酸と2つのブロックコポリマーを含むユニット構造体)が形成され、当該ユニット構造体によれば、血中滞留性(結果として、核酸の血中滞留性)が向上しうるためである。当該効果が奏される理由は定かではないが、例えば、このような比率でブロックコポリマーを含むことにより、核酸の全長に渡ってカチオン性ポリアミノ酸セグメントが配置されやすくなり、その結果、核酸の負電荷を好適に相殺しうるものと推測される。

【0065】
カチオン性ポリアミノ酸セグメントが含むアミノ酸残基数は、当該セグメントに所望される電荷量に応じて適切に設定され得る。カチオン性ポリアミノ酸セグメントは、本発明の効果を損なわない範囲において、非カチオン性アミノ酸残基を含んでいてもよい。非カチオン性アミノ酸残基の数は、カチオン性ポリアミノ酸セグメントが含むアミノ酸残基の総数の、例えば20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下とすることができる。

【0066】
親水性ポリマー鎖セグメントは、任意の適切な親水性ポリマーによって構成されうる。親水性ポリマーとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(オキサゾリン)またはこれらの誘導体が挙げられる。ポリサッカライドの具体例としては、デンプン、デキストラン、フルクタン、ガラクタン等が挙げられる。これらのなかでも、ポリ(エチレングリコール)は、末端に種々の官能基を有する末端反応性ポリエチレングリコールが市販されており、また、種々の分子量のものや分岐型のものが市販されており、容易に入手できることから、好ましく用いられうる。

【0067】
親水性ポリマー鎖セグメントの長さは、ユニット構造体に含まれる核酸の鎖長に応じて、適切な長さに設定されうる。具体的には、親水性ポリマー鎖セグメントは、核酸を覆うことができる長さに設定される。本発明においては、ユニット構造体中の少なくとも1つの親水性ポリマー鎖セグメントが、ユニット構造体に含まれる核酸の長さ(複数の核酸が含まれる場合には、各核酸の長さの合計)以上の慣性半径(Rg)を有する場合、核酸の全体が親水性ポリマー鎖セグメントに覆われていると判断される。また、核酸の一方の末端側に回転中心(例えば、ポリアミノ酸セグメントとの連結部位)を有するように配置された親水性ポリマー鎖セグメントと他方の末端側に回転中心を有するように配置された親水性ポリマー鎖セグメントとを含むユニット構造体については、核酸の両端の親水性ポリマー鎖セグメントの慣性半径(Rg)の合計がユニット構造体に含まれる核酸の長さ以上であれば、核酸の全体が親水性ポリマー鎖セグメントに覆われていると判断できる。

【0068】
好ましい実施形態において、ユニット構造体は、1つの核酸分子と2つのブロックコポリマーとから構成され、当該ブロックコポリマーは、ポリアミノ酸鎖セグメントの片端に親水性ポリマー鎖セグメントとして2本鎖PEGを有する。それぞれのPEG鎖は、好ましくは10,000Da~80,000Da、より好ましくは20,000Da~60,000Da、さらに好ましくは30,000Da~45,000Daの分子量を有する。

【0069】
上記ブロックコポリマーにおいて、カチオン性ポリアミノ酸セグメントと親水性ポリマー鎖セグメントとは、任意の適切な連結基によって連結されている。連結基としては、エステル結合、アミド結合、イミノ基、炭素-炭素結合、エーテル結合等が挙げられる。また、これらのセグメントは、生体内で開裂可能な連結基(例えば、ジスフィルド結合、ヒドラゾン結合、マレアメート結合、アセタール基)によって連結されていてもよい。なお、上記ブロックコポリマーのカチオン性ポリアミノ酸側末端および/または親水性ポリマー鎖側末端には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、任意の適切な修飾がなされうる。

【0070】
本発明に係る抗腫瘍剤は、所望の製品形態に応じた製薬上許容されうる担体や、他の添加剤などとともに組成物を構成してもよい。また、本発明に係る抗腫瘍剤は、賦形剤などの添加剤と混合して非経口投与、または経口投与に適した形態で使用することができる。

【0071】
「製薬上許容されうる」とは、正しい医学的判断の範囲内で、妥当な便益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応等の問題や合併症なしに、ヒトおよび動物組織に接触させる使用に適した、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を指す。

【0072】
「製薬上許容されうる担体」とは、体の一器官または一部から体の別の器官または一部へ本発明に係る抗腫瘍剤を運搬または輸送することに関与する、液体または固体の製薬上許容されうる充填剤、希釈剤、補形薬、溶剤、カプセル化材料、賦形剤、またはこれらの組成物を意味する。製薬上許容されうる担体としては、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;トラガカント;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ワックスのような補形薬;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油脂;エチレングリコール、プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩液;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液のような緩衝液等が例示できる。

【0073】
その他、湿潤剤、乳化剤、潤滑剤、着色剤、放出剤、被覆剤、甘味料、香味剤、香料、保存料、酸化防止剤もまた、抗腫瘍剤中に存在してもよい。

【0074】
製薬上許容されうる酸化防止剤の例には以下のものがある:アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール等のような油溶性酸化防止剤;ならびにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤も必要に応じて含有させることができる。

【0075】
非経口投与に好適な形態に製剤化された抗腫瘍剤は、本発明に係る化合物とともに、1つまたは複数の製薬上許容されうる溶媒、分散剤、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、等張化剤、および/または懸濁剤を含みうる。非経口投与用とする場合には、本発明に係る化合物を精製水、リン酸緩衝液等の適当な緩衝液、生理食塩水、リンガー溶液(リンゲル液)、ロック溶液等の生理的塩溶液、エタノール、グリセリンおよび界面活性剤等と適当に組み合わせた、水溶液、非水溶液、懸濁液、リポソームまたはエマルジョンとして製剤化され得る。好ましくは注射用滅菌水溶液として製剤化され、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内等に投与される。この際、製剤は、生理学的なpH、好ましくは6~8の範囲内のpHであることが好ましい。また、ローション剤、懸濁剤、乳剤等の液状製剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏等の半固形製剤、散剤、粉剤(粉状)、用事調製用の固形製剤、または貼付剤などの外用剤として、標的部位およびその周辺部位に経皮的に投与してもよい。さらに、坐薬用基剤を用いた坐薬として投与されることも可能である。上述したうち、好ましい製剤や投与形態等は、担当の医師によって選択され得る。ローション剤、クリーム剤または軟膏などの半固形製剤は、本発明に係る化合物を、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、蝋、硬膏剤、樹脂、プラスチック、グリコール類、高級アルコール、グリセリン、水、乳化剤および懸濁剤などからなる群から選択される一種以上と適宜混和することにより得られる。

【0076】
抗腫瘍剤は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助薬や、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノール等の種々の抗菌剤および抗真菌剤、糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含めることもできる。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる作用物質を用いることにより、製剤の吸収持続性を調整することもできる。

【0077】
本発明に係る抗腫瘍剤の投与量は、対象疾患、投与対象、投与経路などにより差異がある。例えば、対象となる者の体重等の条件によって用量は容易に変動しうるため、投与量は当業者によって適宜選択されうるが、有効成分として、例えば0.001~1000mg/日/kg体重の範囲内であり、0.01~100mg/日/kg体重の範囲内であることが望ましい。

【0078】
本発明に係る抗腫瘍剤は、必要に応じて、他の抗腫瘍剤と組み合わせて用いてもよい。他の抗腫瘍剤としては、例えば、フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル配合剤、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、ドキシフルリジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、デシタビン、フロクスウリジン、エチニルシチジン、6-メルカプトプリン、フルダラビン、ペントスタチン、ネララビン、6-チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、ノラトレキセド、プララトレキサート、トリメトレキサート、イダトレキサート、ヒドロキシカルバミド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ミリプラチン、ロバプラチン、スピロプラチン、テトラプラチン、オルマプラチン、イプロプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、クロラムブシル、グルフォスファミド、マフォスファミド、エストラムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、トラベクテジン、アパジコン、アルトレタミン、ベンダムスチン、ミトラクトール、アントラサイクリン系抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、アムルビシン、ゾルビシン、バルルビシン、リポソーマルドキソルビシン、ピクサントロン、およびミトキサントロン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイシン、アクチノマイシンD、ジノスタチンスチマラマー、トポテカン、イリノテカン、エキサテカン、ノギテカン、エトポシド、テニポシド、ゾブゾキサン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンフルニン、モノメチルアウリスタチンE、エポチロンB、エリブリン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ボロゾール、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ゲストノロン、メピチオスタン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、クロルマジノン、エストラムスチン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオール、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ミトタン、ゴセレリン、リュープロレリン、ブセレリン、トリプトレリン、ベバシズマブ、アフリベルセプト、MV833、セツキシマブ、ペガプタニブ、パゾパニブ、CBO-P11、スニチニブ、ソラフェニブ、ラニビズマブ、バタラニブ、アキシチニブ、ザクティマ、NX1838、アンジオザイム、セマキサニブ、レスタウルチニブ、TSU-68、ZD4190、テムシロリムス、アンジオスタチン、エンドスタチン、TNP-470、CP-547632、CPE-7055、KRN633、AEE788、IMC-1211B、PTC-299、E7820、レンバチニブ、マリマスタット、ネオバスタット、プリノマスタット、メタスタット、BMS-275291、MMI270、S-3304、ビタキシン、オロチン酸カルボキシアミドトリアゾール、サリドマイド、ゲニステイン、インターフェロンα、およびインターロイキン12等が挙げられる。
【実施例】
【0079】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【実施例】
【0080】
(試験例1)
・Syn-1
以下の配列番号3で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、配列番号4で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-1)を準備し、膀胱がん細胞(JB-V235細胞)の増殖抑制活性を評価した。なお、以下の配列番号3において、3’末端側の2残基(GG)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分が相補性領域に相当する。また、以下の配列番号4において、3’末端側の2残基(GG)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分がハイブリダイズ領域に相当する。
【実施例】
【0081】
【化6】
JP2018079841A1_000008t.gif
【実施例】
【0082】
従来のmiR-145アナログ(A-miR-145)は、Life Technoligies社より購入して用いた。
【実施例】
【0083】
JB-V235細胞(ヒト膀胱がん細胞)は、ヒューマンサイエンス資源バンク(HSRRB、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)より入手し、RPMI164培地(10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)添加)を用いて37℃のインキュベーター(空気/CO=95/5(v/v))内で培養した。
【実施例】
【0084】
5~6×10細胞/mlとなるように、6ウェルプレートにJB-V235細胞を播種し、その翌日、上記のSyn-1またはA-miR-145(いずれも終濃度10nM)をトランスフェクションした。なお、トランスフェクションにはカチオン性リポソーム(Lipofectamine(登録商標) RNAiMAX、ライフテクノロジーズ社)を用い、製造業者のプロトコルに従って行った。
【実施例】
【0085】
トランスフェクション直後を0時間目とし、その後、72時間まで培養を行い、トリパンブルー染色法により生存細胞数を計測した。陰性対照区(Cont)としてダーマコン社より購入したコントロールmiRNAを用い、陰性対照区における生存細胞数を100%とした場合における相対的な細胞数として、生存細胞(%)を算出した。その結果を図1に示す(*:p<0.05)。なお、統計分析はグラフパッドプリズムソフトウェアシステム(グラフパッドソフトウェア社)を用い、両側スチューデントt検定により統計有意性を評価した。値は6~12ウェルの細胞を評価した平均±標準偏差として示した。
【実施例】
【0086】
図1に示すとおり、本発明であるSyn-1、およびA-miR-145のいずれにおいても、対照区と比較して生存細胞数が減少していた。Syn-1は、従来のmiR-145アナログであるA-miR-145と比較しても、有意に生存細胞数が減少していた。
【実施例】
【0087】
(ウェスタンブロッティング;JB-V235細胞)
上記と同様の手法により、Syn-1またはA-miR-145(いずれも終濃度5nM)をJB-V235細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションから72時間後に細胞を回収し、細胞をセルスクレイパーで回収し、以下のウェスタンブロッティングによりがん関連分子(c-MycおよびFascin)の発現量を解析した。
【実施例】
【0088】
より具体的には、氷冷した溶解バッファー(10mMトリス-HCl(pH7.4)、1%(w/v)NP-40、0.1%(w/v)デオキシコール酸、0.1%(w/v)SDS、150mM NaCl、1mM EDTA、および1%(w/v)プロテアーゼインヒビターカクテル(シグマ-アルドリッチ社)中で細胞をホモジナイズし、氷上で20分間静置した。ホモジネートを13,000rpmで20分間(4℃)遠心分離した後、上清をウェスタンブロッティング用試料として採取した。試料中のタンパク質含有量は、DCプロテインアッセイキット(バイオラッド社製)を用いて測定した。試料(10μgのタンパク質量)を10.0または12.5%(w/v)のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEで分離し、PVDF膜(パーキンエルマーライフサイエンス社)に転写した。5%(w/v)脱脂乳液(0.1%(w/v)Tween(登録商標)20を含むPBS(PBS-T)で調製)中で1時間インキュベートして非特異的結合をブロックした。その後、2%(w/v)ウシ血清アルブミンおよび0.01%(w/v)アジ化ナトリウムを含有するPBS-Tで適度に希釈した1次抗体(抗c-Myc抗体(サンタクルズ社)、抗ファスシン(Fascin)抗体(Cell Signaling社))と共に、4℃で膜を一晩インキュベートした。次いで、PBS-Tで膜を3回洗浄し、二次抗体(HRP-結合抗ウサギ、またはマウスIgG抗体、Cell Signaling社)と共に室温でさらにインキュベートした。次いで、PBS-Tで膜を3回洗浄した。免疫ブロットは、アマシャムECLプラスウエスタンブロッティング検出試薬(GEヘルスケア社)を用いて可視化した。抗β-Actin抗体(シグマ-アルドリッチ社)を用いて同じ膜を再インキュベートすることにより、β-Actinを内部標準として用いた。
【実施例】
【0089】
ウェスタンブロットの結果を図2に示す。図2に示す通り、c-MycおよびFascinの発現量が、Syn-1のトランスフェクションにより顕著に低下した。
【実施例】
【0090】
続いて、Syn-1またはA-miR-145をヒト膀胱がん細胞であるT-24細胞にトランスフェクションした。なお、T-24細胞は、ヒューマンサイエンス資源バンク(HSRRB、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)より入手し、RPMI164培地(10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)添加)を用いて37℃のインキュベーター(空気/CO=95/5(v/v))内で培養した。
【実施例】
【0091】
トランスフェクション操作は具体的に、0.5~1×10細胞/mlとなるように、6ウェルプレートにT-24細胞を播種し、その翌日、上記のSyn-1またはA-miR-145(いずれも終濃度10nM)をトランスフェクションした。なお、トランスフェクションにはカチオン性リポソーム(Lipofectamine(登録商標) RNAiMAX、ライフテクノロジーズ社)を用い、製造業者のプロトコルに従って行った。
【実施例】
【0092】
トランスフェクション直後を0時間目とし、その後、72時間まで培養を行った。この際、陰性対照区(Cont)としてダーマコン社より購入したコントロールmiRNAを用いた。次いで、培養後に細胞を回収し、細胞をセルスクレイパーで回収し、上記と同様の手法によりウェスタンブロッティングを行って、がん関連分子(Fascin)の発現量を解析した。ウェスタンブロットの結果を図3に示す。図3に示す通り、Fascinの発現量が、Syn-1のトランスフェクションにより顕著に低下した。
【実施例】
【0093】
(試験例2)
・Syn-2
上記の配列番号3で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、以下の配列番号5で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-2)を準備した。なお、以下の配列番号5において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分がハイブリダイズ領域に相当する。
【実施例】
【0094】
【化7】
JP2018079841A1_000009t.gif
【実施例】
【0095】
・Syn-3
以下の配列番号6で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、上記の配列番号4で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-3)を準備した。なお、以下の配列番号6において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分が相補性領域に相当する。
【実施例】
【0096】
【化8】
JP2018079841A1_000010t.gif
【実施例】
【0097】
上記のSyn-1、Syn-2、およびSyn-3を用いて、下記方法に従って膀胱がん細胞(T-24細胞)の増殖抑制活性を評価した。下記表1に、各二本鎖核酸分子における第1ポリヌクレオチド鎖と第2ポリヌクレオチド鎖との対応関係を示す。下記表1に示す通り、本発明に係る二本鎖核酸分子(Syn-1、Syn-2、およびSyn-3)では、3’末端付加配列を除き、第1ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列と第2ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列は相補的な関係である。
【実施例】
【0098】
【表1】
JP2018079841A1_000011t.gif
【実施例】
【0099】
T-24細胞(ヒト膀胱がん細胞)は、ヒューマンサイエンス資源バンク(HSRRB、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)より入手し、RPMI164培地(10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)添加)を用いて37℃のインキュベーター(空気/CO=95/5(v/v))内で培養した。
【実施例】
【0100】
試験例1と同様の手法により二本鎖核酸分子のトランスフェクションを行い、その後72時間細胞を培養して生存細胞数を計測した。その結果を図4に示す。
【実施例】
【0101】
図4に示すとおり、本発明であるSyn-1、Syn-2およびSyn-3のいずれにおいても、対照区と比較して生存細胞数が減少していた。また、Syn-1は、生存細胞数が特に減少していた。
【実施例】
【0102】
(試験例3)
上記のSyn-1、Syn-2、およびSyn-3を用いて、大腸がん細胞(DLD-1細胞)の増殖抑制活性を評価した。
【実施例】
【0103】
DLD-1細胞(ヒト大腸がん細胞)は、ヒューマンサイエンス資源バンク(HSRRB、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)より入手し、RPMI164培地(10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)添加)を用いて37℃のインキュベーター(空気/CO=95/5(v/v))内で培養した。
【実施例】
【0104】
試験例1と同様の手法により二本鎖核酸分子のトランスフェクションを行い、その後72時間細胞を培養して生存細胞数を計測した。その結果を図5に示す。
【実施例】
【0105】
図5に示すとおり本発明であるSyn-1、Syn-2およびSyn-3のいずれにおいても、対照区と比較して生存細胞数が減少していた。また、Syn-1は、生存細胞数が特に減少していた。
【実施例】
【0106】
(試験例4)
Syn-1およびA-miR-145を用いて、終濃度が5nM、10nMまたは15nMとなるようにT-24細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションから72時間後、試験例1と同様に生存細胞数を計測した。その結果を図6に示す。
【実施例】
【0107】
図6に示す通り、Syn-1は濃度依存的にがん細胞の増殖を抑制した。
【実施例】
【0108】
(試験例5)
・Syn-4
上記の配列番号3で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、以下の配列番号9で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-4)を準備した。なお、以下の配列番号9において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分がハイブリダイズ領域に相当する。また、配列番号9において「^」の符号で示される4箇所のホスホジエステル結合はホスホロチオエート結合で置換されたものである。さらに、配列番号9において下線が付された塩基は2’-フルオロの修飾糖部分を含むものであり、二重下線が付された塩基は2’-O-メチルの修飾糖部分を含むものである。
【実施例】
【0109】
【化9】
JP2018079841A1_000012t.gif
【実施例】
【0110】
・Syn-5
以下の配列番号10で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、上記の配列番号4で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-5)を準備した。なお、以下の配列番号10において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分が相補性領域に相当する。また、配列番号10において「^」の符号で示される4箇所のホスホジエステル結合はホスホロチオエート結合で置換されたものである。さらに、配列番号10において下線が付された塩基は2’-フルオロの修飾糖部分を含むものであり、二重下線が付された塩基は2’-O-メチルの修飾糖部分を含むものである。
【実施例】
【0111】
【化10】
JP2018079841A1_000013t.gif
【実施例】
【0112】
・Syn-6
上記の配列番号3で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、以下の配列番号11で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-6)を準備した。なお、以下の配列番号11において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分がハイブリダイズ領域に相当する。また、配列番号11において「^」の符号で示される4箇所のホスホジエステル結合はホスホロチオエート結合で置換されたものである。さらに、配列番号11において下線が付された塩基は2’-フルオロの修飾糖部分を含むものであり、二重下線が付された塩基は2’-O-メチルの修飾糖部分を含むものである。
【実施例】
【0113】
【化11】
JP2018079841A1_000014t.gif
【実施例】
【0114】
・Syn-7
以下の配列番号12で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、上記の配列番号4で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-7)を準備した。なお、以下の配列番号12において、3’末端側の2残基(TT)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分が相補性領域に相当する。また、配列番号12において「^」の符号で示される4箇所のホスホジエステル結合はホスホロチオエート結合で置換されたものである。さらに、配列番号12において下線が付された塩基は2’-フルオロの修飾糖部分を含むものであり、二重下線が付された塩基は2’-O-メチルの修飾糖部分を含むものである。
【実施例】
【0115】
【化12】
JP2018079841A1_000015t.gif
【実施例】
【0116】
上記のSyn-1、およびSyn-4~Syn-7を用いて、上述した試験例2と同様の方法に従って膀胱がん細胞(T-24細胞)の増殖抑制活性を評価した。下記表2に、各二本鎖核酸分子における第1ポリヌクレオチド鎖と第2ポリヌクレオチド鎖との対応関係を示す。下記表2に示す通り、本発明に係る二本鎖核酸分子(Syn-1、Syn-4~Syn-7)では、3’末端付加配列を除き、第1ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列と第2ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列は相補的な関係である。
【実施例】
【0117】
【表2】
JP2018079841A1_000016t.gif
【実施例】
【0118】
上述した増殖抑制活性試験の結果を図7に示す。
【実施例】
【0119】
図7に示すとおり、本発明であるSyn-1、およびSyn-4~Syn-7のいずれにおいても、対照区と比較して生存細胞数が減少していた。また、Syn-1は、生存細胞数が特に減少していた。
【実施例】
【0120】
(試験例6)
・Syn-8
以下の配列番号13で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、上記の配列番号4で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-8)を準備した。なお、以下の配列番号13においては、3’末端側に3’末端付加配列が存在しない。
【実施例】
【0121】
【化13】
JP2018079841A1_000017t.gif
【実施例】
【0122】
・Syn-9
以下の配列番号14で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、配列番号15で表される第2ポリヌクレオチド鎖とを有する二本鎖核酸分子(Syn-9)を準備した。なお、配列番号14で表される第1ポリヌクレオチドの構造は、配列番号13で表されるポリヌクレオチドの3’末端に上記化学式(3)で表される構造(*2には水素原子が結合;ベンゼンピリジン(BP)構造)が付加された構造に相当する。また、配列番号15で表される第2ポリヌクレオチドの構造は、配列番号4で表されるポリヌクレオチドの3’末端付加配列(GG)が上記化学式(3)で表される構造(*2には水素原子が結合;ベンゼンピリジン(BP)構造)で置換された構造に相当する。
【実施例】
【0123】
【化14】
JP2018079841A1_000018t.gif
【実施例】
【0124】
・Syn-10
上記の配列番号3で表される第1ポリヌクレオチド鎖(3’末端付加配列(GG)を有する)と、上記の配列番号15で表される第2ポリヌクレオチド鎖(3’末端にBP構造を有する)とを有する二本鎖核酸分子(Syn-10)を準備した。
【実施例】
【0125】
・Syn-11
上記の配列番号13で表される第1ポリヌクレオチド鎖(3’末端付加配列を有さない)と、上記の配列番号15で表される第2ポリヌクレオチド鎖(3’末端にBP構造を有する)とを有する二本鎖核酸分子(Syn-11)を準備した。
【実施例】
【0126】
・Syn-12
以下の配列番号16で表される第1ポリヌクレオチド鎖と、上記の配列番号8で表される第2ポリヌクレオチド鎖(hsa-miR-145-5p)とを有する二本鎖核酸分子(Syn-12)を準備した。なお、以下の配列番号16において、3’末端側の2残基(UU)が3’末端付加配列であり、それ以外の部分が相補性領域に相当する。また、配列番号16において「^」の符号で示される4箇所のホスホジエステル結合はホスホロチオエート結合で置換されたものである。さらに、配列番号16において下線が付された塩基は2’-フルオロの修飾糖部分を含むものであり、二重下線が付された塩基は2’-O-メチルの修飾糖部分を含むものである。
【実施例】
【0127】
【化15】
JP2018079841A1_000019t.gif
【実施例】
【0128】
下記表3に、各二本鎖核酸分子における第1ポリヌクレオチド鎖と第2ポリヌクレオチド鎖との対応関係を示す。下記表3に示す通り、本発明に係る二本鎖核酸分子(Syn-1、Syn-8~Syn-11)では、3’末端付加配列を除き、第1ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列と第2ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列は相補的な関係である。一方、野生型miR-145と同一の塩基配列を有するSyn-12では、3’末端不可配列の他に4箇所のミスマッチが存在する。
【実施例】
【0129】
【表3】
JP2018079841A1_000020t.gif
【実施例】
【0130】
上記のSyn-1、およびSyn-8~Syn-11を用いて、上述した試験例1と同様の方法に従って膀胱がん細胞(JB-V235細胞)の増殖抑制活性を評価した。増殖抑制活性試験の結果を図8に示す。
【実施例】
【0131】
図8に示すとおり、本発明であるSyn-1、およびSyn-8~Syn-11のいずれにおいても、対照区と比較して生存細胞数が減少していた。また、Syn-1、Syn-8、Syn-9およびSyn-11は、生存細胞数が特に減少しており、さらに、Syn-1およびSyn-9では生存細胞数がより有意に減少していた。
【実施例】
【0132】
(試験例7)
・ユニット構造(unitPIC)型医薬組成物の調製
国際公開第2013/162041号パンフレットの実施例の記載に準じて、ブロックコポリマーを調製した。具体的には、親水性ポリマー鎖セグメントが2本のPEG(分子量はそれぞれ10kDa)から構成されており、カチオン性ポリアミノ酸セグメントが20個のオルニチン残基で構成されている構造を有するブロックコポリマーを調製した。
【実施例】
【0133】
続いて、二本鎖核酸分子と、上記のようにして調製されたブロックコポリマーとを、10mM HEPES緩衝液(pH7.3)に別々に溶解し、N/P比([ブロックコポリマー中のカチオン性基の総数(N)]/[核酸中のリン酸基の総数(P)]として定義される)が5となるように混合することによって、ユニット構造(unitPIC)型医薬組成物を調製した。ここで、二本鎖核酸分子としては、コントロールmiRNA(陰性対照区(Cont);ダーマコン社より購入したもの)、A-miR-145、または上記で合成したSyn-1、Syn-9もしくはSyn-12をそれぞれ用いた。
【実施例】
【0134】
一方、上記と同様の二本鎖核酸分子をそれぞれリポソーム中に封入することにより、リポソーム型医薬組成物を調製した。具体的には、カチオニックリポソームと二本鎖核酸分子とを反応液中でインキュベートすることにより、リポソーム型医薬組成物を調製した。
【実施例】
【0135】
このようにして調製されたユニット構造型医薬組成物およびリポソーム型医薬組成物をそれぞれ用いて、MTTアッセイを行った。具体的には、3次元に培養したJB-V235細胞を用い、細胞をバッファーにて融解して、MTTアッセイを行った。MTTアッセイの結果を図9に示す。なお、図9に示す結果においては、吸光度(陰性対照区(Cont)に対する相対値%)の値が小さいほど、がん細胞の増殖がより抑制されていることを示す。
【実施例】
【0136】
図9に示すとおり、本発明であるSyn-1およびSyn-9は、Cont並びにA-miR-145およびSyn-12(化学修飾されているもののミスマッチを有する二本鎖核酸分子)と比較して高いがん細胞増殖抑制効果を示した。また、Syn-1およびSyn-9の双方において、ユニット構造(unitPIC)型医薬組成物の形態の方がリポソーム型医薬組成物の形態と比較して有意に高いがん細胞増殖抑制効果を示した。
【実施例】
【0137】
この出願は、2016年10月31日に出願された日本国特許出願第2016-213131号に基づいており、その出願は全体として参照により引用されている。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8