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明細書 :マイクロ流路内を流れるエマルションの分散相のサイズを計測するシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-169224 (P2018-169224A)
公開日 平成30年11月1日(2018.11.1)
発明の名称または考案の名称 マイクロ流路内を流れるエマルションの分散相のサイズを計測するシステム
国際特許分類 G01B  11/04        (2006.01)
G01B  11/10        (2006.01)
G06T   7/00        (2017.01)
FI G01B 11/04 H
G01B 11/10 H
G06T 7/00 300D
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2017-065273 (P2017-065273)
出願日 平成29年3月29日(2017.3.29)
発明者または考案者 【氏名】橋本 雅彦
【氏名】中小司 裕太
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2F065
5L096
Fターム 2F065AA22
2F065AA26
2F065BB15
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065RR07
5L096AA02
5L096EA35
5L096FA59
5L096FA66
5L096JA09
要約 【課題】マイクロ流体チップによって製造された液滴の粒径解析が簡単かつ迅速に行えるようにする。
【解決手段】動画データの入力部1、テンプレート画像格納部2、動画データを前処理する前処理部3、動画データの各フレームに対する検出エリアとエッジ検出用検出線分を設定する検出エリア設定部4及びテンプレート画像を用いて検出エリア内でパターンマッチングを行う判定部5を備える。検出エリア内に新たな分散相が検出される度に分散相を計数する分散相計数部6と、検出エリア内に新たな分散相が検出される度に関係する1つのフレームに対しエッジ検出を行い、分散相長さを測定する分散相長さ計測部7と、分散相長さの測定値とマイクロ流路の断面積値に基づき分散相を球状とみなした場合の粒径を算出する粒径算出部8と、分散相の粒径の総和を分散相計数部の計数値で除算し、分散相の平均粒径を算出する平均粒径算出部9を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
マイクロ流路内を流れるエマルションが撮影された動画データに基づいて、前記エマルションの分散相のサイズを計測するシステムであって、
前記動画データ、および前記マイクロ流路の断面積値の入力を受ける入力部と、
予め登録された前記分散相の参照画像が格納された参照画像格納部と、
前記入力部に入力された前記動画データのキャリブレーションを行うとともに、前記動画データがカラー画像データである場合は、前記動画データをグレースケール変換してモノクロ画像データにする前処理部と、
前記前処理部で得られた前記動画データの各フレームに対して固定した矩形状の検出エリアを設定し、前記検出エリア内にはエッジ検出のための検出線分を設定する検出エリア設定部と、を備え、
前記検出エリアは前記マイクロ流路の直線状部分の一定長をカバーし、かつ前記検出エリアの長辺が前記マイクロ流路に平行となるように配置され、前記検出線分は前記マイクロ流路の中心軸に一致するように配置され、前記検出エリアの長辺が同一フレーム内の異なる2つの前記分散相が同時に前記検出エリア内に位置し得ないような長さに設定されており、さらに、
前記参照画像を用いて、前記前処理部で得られた前記動画データの各フレームに対しフレーム番号順に前記検出エリア内においてパターンマッチングを行い、前記検出エリア内に前記参照画像に一致する画像が存在する前記フレームを分散相検出フレームとする一方、前記検出エリア内に前記参照画像に一致する画像が存在しない前記フレームを分散相不検出フレームとする判定部と、
前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後別の前記分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームのうちの1つに対し前記エッジ検出を行って、関係する前記分散相の前後端縁間の距離を測定する分散相長さ計測部と、
前記分散相長さ計測部による測定値と、前記入力部に入力された前記マイクロ流路の断面積値とに基づき、関係する前記分散相のサイズを算出して出力する分散相サイズ算出部と、を備えたものであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記分散相サイズ算出部は、前記分散相長さ計測部による前記測定値と、前記入力部に入力された前記マイクロ流路の断面積値とに基づき、関係する前記分散相を球状とみなしたときの粒径を算出して出力する粒径算出部を有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、前記分散相の個数をカウントする分散相計数部と、
前記粒径算出部から出力された前記分散相の粒径の総和を、前記分散相計数部によるカウント値によって割り算することにより、前記分散相の平均粒径を算出して出力する平均粒径算出部と、を備えたものであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記入力部が前記動画データのフレームレートの入力を受けるようになっており、
前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームの次に別の前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置するフレームの数を算出するフレーム数算出部と、
前記フレーム数算出部による前記フレームの数の算出値と、前記入力部に入力された前記フレームレートとに基づき分散相生成速度を算出して出力する分散相生成速度算出部と、を備えたものであることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記判定部において前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、前記検出エリア内における前記分散相の位置座標を検出し、前記位置座標を当該分散相検出フレームのフレーム番号とともに記録する分散相位置検出部と、
前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームのうちの2つの前記分散相検出フレームに関する前記分散相の位置座標と、前記2つの分散相検出フレーム間に位置するフレームの数と、前記入力部に入力された前記フレームレートとに基づき、前記分散相の線速度を算出して出力する分散相線速度算出部と、を備えたものであることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームの次に別の前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームの数と前記分散相不検出フレームの数との比を分散相・連続相流量比として算出して出力する流量比算出部を、備えたものであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流路内を流れるエマルションが撮影された動画データに基づいて、エマルションの分散相のサイズを計測するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジーや薬品製造等の分野では、分散相と連続相が共に液体である分散系溶液(エマルション)中の分散相(液滴)が極微小反応容器やマイクロカプセルの形成材等として広く用いられており、液滴の製造には通常マイクロ流体チップが使用され、マイクロ流体チップによれば、液滴を高速かつ大量に調製することができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、製造された液滴の集合体については、粒径解析を行う必要があるが、従来技術においては、この粒径解析は顕微鏡を使用して専ら手作業でなされていた。
しかしながら、対象となる液滴集合体中の液滴数は膨大であるため、手作業での粒径解析には多大な時間と労力を要していた。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-29909号公報
【特許文献2】特開2015-211931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、マイクロ流体チップによって製造された液滴の粒径解析を簡単にかつ高速で行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、マイクロ流路内を流れるエマルションが撮影された動画データに基づいて、前記エマルションの分散相のサイズを計測するシステムであって、前記動画データ、および前記マイクロ流路の断面積値の入力を受ける入力部と、予め登録された前記分散相の参照画像が格納された参照画像格納部と、前記入力部に入力された前記動画データのキャリブレーションを行うとともに、前記動画データがカラー画像データである場合は、前記動画データをグレースケール変換してモノクロ画像データにする前処理部と、前記前処理部で得られた前記動画データの各フレームに対して固定した矩形状の検出エリアを設定し、前記検出エリア内にはエッジ検出のための検出線分を設定する検出エリア設定部と、を備え、前記検出エリアは前記マイクロ流路の直線状部分の一定長をカバーし、かつ前記検出エリアの長辺が前記マイクロ流路に平行となるように配置され、前記検出線分は前記マイクロ流路の中心軸に一致するように配置され、前記検出エリアの長辺が同一フレーム内の異なる2つの前記分散相が同時に前記検出エリア内に位置し得ないような長さに設定されており、さらに、前記参照画像を用いて、前記前処理部で得られた前記動画データの各フレームに対しフレーム番号順に前記検出エリア内においてパターンマッチングを行い、前記検出エリア内に前記参照画像に一致する画像が存在する前記フレームを分散相検出フレームとする一方、前記検出エリア内に前記参照画像に一致する画像が存在しない前記フレームを分散相不検出フレームとする判定部と、前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後別の前記分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームのうちの1つに対し前記エッジ検出を行って、関係する前記分散相の前後端縁間の距離を測定する分散相長さ計測部と、前記分散相長さ計測部による測定値と、前記入力部に入力された前記マイクロ流路の断面積値とに基づき、関係する前記分散相のサイズを算出して出力する分散相サイズ算出部と、を備えたものであることを特徴とするシステムを構成したものである。
【0007】
上記構成において、好ましくは、前記分散相サイズ算出部は、前記分散相長さ計測部による前記測定値と、前記入力部に入力された前記マイクロ流路の断面積値とに基づき、関係する前記分散相を球状とみなしたときの粒径を算出して出力する粒径算出部を有している。
さらに好ましくは、前記システムは、前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、前記分散相の個数をカウントする分散相計数部と、前記粒径算出部から出力された前記分散相の粒径の総和を、前記分散相計数部によるカウント値によって割り算することにより、前記分散相の平均粒径を算出して出力する平均粒径算出部とを備えている。
【0008】
また、上記構成において、前記入力部が前記動画データのフレームレートの入力を受けるようになっていて、前記システムが、さらに、前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームの次に別の前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置するフレームの数を算出するフレーム数算出部と、前記フレーム数算出部による前記フレームの数の算出値と、前記入力部に入力された前記フレームレートとに基づき分散相生成速度を算出して出力する分散相生成速度算出部と、を備えていてもよい。
【0009】
また、上記構成において、前記システムが、さらに、前記判定部において前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、前記検出エリア内における前記分散相の位置座標を検出し、前記位置座標を当該分散相検出フレームのフレーム番号とともに記録する分散相位置検出部と、前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームのうちの2つの前記分散相検出フレームに関する前記分散相の位置座標と、前記2つの分散相検出フレーム間に位置するフレームの数と、前記入力部に入力された前記フレームレートとに基づき、前記分散相の線速度を算出して出力する分散相線速度算出部と、を備えていてもよい。
ここで、分散相の線速度は連続相の線速度に等しいので、「分散相の線速度」に関する記載は、「分散相」を「連続相」に置き換えることで「連続相の線速度」にも適用し得る。以下同様。
【0010】
また、上記構成において、前記システムが、さらに、前記判定部において前記分散相不検出フレームの次に前記分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームの次に別の前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置する前記分散相検出フレームの数と前記分散相不検出フレームの数との比を分散相・連続相流量比として算出して出力する流量比算出部を、備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マイクロ流路内を流れるエマルションが撮影された動画データに基づいて、エマルションの分散相のサイズを自動的に計測する。
そのため、マイクロ流体チップを用いて液滴を製造する場合、エマルションがマイクロ流体チップのマイクロ流路内を流れる様子を動画撮影し、得られた動画データを記録しさえすれば、その動画データに基づいて分散相のサイズを自動的に高速で算出することによって、製造した液滴の粒径解析を簡単かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1実施例による粒径解析システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は図1のシステムのテンプレート画像格納部に格納されたテンプレート画像を示す図であり、(B)は図1のシステムの検出エリア設定部によって1つのフレームの画像に設定された検出エリアを示す図である。
【図3】(A)は動画データ中の分散相検出フレームおよび分散相不検出フレームの出現シーケンスの一例を示す図であり、(B)~(D)は、(A)のうちのi+1番目、i+4番目およびi+10番目のフレームに対応するフレーム画像を示す図2Bに類似の図である。
【図4】図1のシステムから出力された平均粒径の時間変化を表すグラフである。
【図5】図1のシステムから出力された分散相生成速度および分散相数の時間変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明による粒径解析システムの概略構成を示すブロック図である。
本発明による粒径解析システムは、マイクロ流路内を流れるエマルションが撮影された動画データに基づいてエマルションの分散相のサイズを計測するものであり、図1に示すように、当該動画データ、動画データのフレームレートおよびマイクロ流路の断面積値の入力を受ける入力部1と、予め登録された分散相の参照画像(この実施例では「テンプレート画像」と呼ぶ。図2A参照)が格納されたテンプレート画像格納部2が備えられる。
なお、図2Aに示すように、この実施例では、マイクロ流路内を流れる分散相はプラグ状を有している。

【0014】
本発明によれば、また、入力部1に入力された動画データのキャリブレーションを行うとともに、動画データがカラー画像データである場合は、動画データをグレースケール変換してモノクロ画像データにする前処理部3が備えられる。
前処理部3による動画データのキャリブレーションにより、動画データに基づいて測定した長さ、面積および中心位置等の測定値を指定した単位で算出できるようになる。

【0015】
また、前処理部3で得られた動画データの各フレームに対して固定した矩形状の検出エリアを設定し、検出エリア内にはエッジ検出のための検出線分を設定する検出エリア設定部4が備えられる。

【0016】
図2Bは、検出エリア設定部4によって1つのフレームの画像に設定された検出エリアを示した平面図であり、図2B中、15はマイクロ流路であり、16は(プラグ状の)分散相であり、17は検出エリアであり、18は検出線分である。
図2Bを参照して、検出エリア17は、マイクロ流路15の直線状部分の一定長をカバーし、かつ検出エリア17の長辺がマイクロ流路15に平行となるように、かつ検出線分18がマイクロ流路15の中心軸に一致するように配置される。さらに、検出エリア17の長辺が同一フレーム内の異なる2つの分散相16が同時に検出エリア17内に位置し得ないような長さに設定される。

【0017】
さらに、本発明によれば、テンプレート画像(図2A参照)を用いて、前処理部3で得られた動画データの各フレームに対しフレーム番号順に検出エリア17内においてパターンマッチング(テンプレートマッチング)を行い、検出エリア17内にテンプレート画像に一致する画像が存在するフレームを分散相検出フレームとする一方、検出エリア17内にテンプレート画像に一致する画像が存在しないフレームを分散相不検出フレームとする判定部5が備えられる。

【0018】
さらに、判定部5において分散相不検出フレームの次に分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、分散相16の個数をカウントするとともに、カウント値を出力する分散相計数部6と、判定部5において分散相不検出フレームの次に分散相検出フレームが出現した後別の分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する分散相検出フレームのうちの1つに対しエッジ検出を行うことにより、関係する分散相16の前後端縁間の距離を測定する分散相長さ計測部7が備えられる。

【0019】
以下、分散相計数部6および分散相長さ計測部7のこの動作を、図面を参照して具体的に説明する。
図3Aは、動画データ中の分散相検出フレームおよび分散相不検出フレームの出現シーケンスの一例を示す図であり、図3A中、各正方形枠はフレームを表し、各正方形枠の下側の記号はフレーム番号を表し、○印はフレームが分散相検出フレームであることを表し、×印はフレームが分散相不検出フレームであることを表している。
また、図3B~図3Dは、図3Aのうちの(i+1)番目、(i+4)番目および(i+10)番目のフレームに対応するフレーム画像を示す図2Bに類似の図である。
図3Bでは、1つの分散相16aが検出エリア17内において初めて検出されており、図3Cでは、当該分散相16aが検出エリア17内において最後に検出され、図3Dでは、次の分散相16bが検出エリア内において初めて検出されている。

【0020】
図3においては、分散相不検出フレームであるフレーム(i)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+1)が出現し、その後、分散相不検出フレームであるフレーム(i+9)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+10)が出現する。
よって、分散相計数部6は、フレーム(i+1)が出現したとき分散相数1をカウントし、次に、フレーム(i+10)が出現したき分散相数1をカウントする。

【0021】
図3においては、分散相不検出フレームであるフレーム(i)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+1)が出現した後、別の分散相不検出フレームであるフレーム(i+5)が出現する。
よって、分散相長さ計測部7は、フレーム(i)とフレーム(i+5)の間に位置するフレーム(分散相検出フレーム)のうちの1つに対しエッジ検出を行い、分散相16の前後端縁間の距離、すなわち分散相の長さを測定する。

【0022】
また、本発明によれば、分散相長さ計測部7による測定値と、入力部1に入力されたマイクロ流路の断面積値とに基づき、分散相16のサイズを算出して出力する分散相サイズ算出部が備えられる。
分散相サイズ算出部は、この実施例では、分散相長さ計測部7による測定値と、入力部1に入力されたマイクロ流路の断面積値とに基づき、関係する分散相16を球状とみなしたときの粒径を算出して出力する粒径算出部8を有している。

【0023】
さらに、本発明によれば、粒径算出部8から出力された分散相16の粒径の総和を、分散相計数部6によるカウント値によって割り算することにより、分散相16の平均粒径を算出して出力する平均粒径算出部9が備えられる。

【0024】
粒径算出部8による分散相16の粒径の算出および平均粒径算出部9による平均粒径の算出は、次のようにしてなされる。
本発明では、分散相16は、マイクロ流路15内では空間的制限を受けてプラグ状または球状またはそれらの中間の形状を有するが、マイクロ流体チップの液溜や別の容器に捕集された状態では、空間的制限を受けずに球状の液滴となる点に鑑み、エマルションの分散相のサイズの計測が、分散相の長さの測定値とマイクロ流路の断面積値とに基づいて分散相を球状とみなしたときの粒径を算出することによってなされる。

【0025】
今、分散相16が空間的制限を受けない状態で直径(粒径)Dの完全な球であり、分散相16がマイクロ流路15内で(空間的制限を受けた状態で)断面積Sの完全な直方体であるとし、分散相長さ計測部7による測定値をLとすれば、
S×L=(4/3)×π(D/2) (1)
が成立する。(1)式をDについて解けば
D=(6×S×L/π)1/3 (2)
となる。

【0026】
次に、分散相16の粒径の総和をDtotalとし、分散相計数部6のカウント値をNとすれば、平均粒径Davは、
av=Dtotal/N (3)
によって求められる。
そして、粒径算出部8は(2)式に基づいて粒径を算出し、平均粒径算出部9は(3)式に基づいて平均粒径を算出する。

【0027】
図4には、平均粒径算出部9から出力された、平均粒径の時間変化を表すグラフの一例を示した。図4のグラフ中、縦軸は平均粒径(μm)を表し、横軸は時間(min)を表わす。

【0028】
本発明によれば、また、判定部5において分散相不検出フレームの次に分散相検出フレームが出現した後、別の前記分散相不検出フレームの次に別の前記分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置するフレームの数を算出するフレーム数算出部10と、フレーム数算出部10によるフレームの数の算出値と、入力部1に入力されたフレームレートとに基づき分散相生成速度を算出して出力する分散相生成速度算出部11が備えられる。

【0029】
フレーム数算出部10および分散相生成速度算出部11の動作を図3に基づいて説明すると、図3においては、分散相不検出フレームであるフレーム(i)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+1)が出現した後、別の分散相不検出フレームであるフレーム(i+9)の次に別の分散相検出フレームであるフレーム(i+10)が出現する。

【0030】
よって、フレーム数算出部10は、フレーム(i)およびフレーム(i+10)間に位置するフレーム数
(i+9)-i=9
を算出する。
そして、分散相生成速度算出部11は、フレームレートをαとして
α/9
によって、分散相生成速度を算出する。

【0031】
図5には、分散相生成速度算出部11から出力された、分散相生成速度の時間変化を表すグラフ(点線で描いた)を示した。図5のグラフ中、縦軸(左側目盛)は分散相生成速度(Hz)を表し、横軸は時間(min)を表している。
なお、図5には、分散相数の時間変化のグラフ(実線で描いた)も同時に示した(縦軸右側目盛参照)。

【0032】
また、本発明によれば、判定部5において分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、検出エリア17内における分散相16の位置座標を検出し、検出した位置座標を当該分散相検出フレームのフレーム番号とともに記録する分散相位置検出部12と、判定部5において分散相不検出フレームの次に分散相検出フレームが出現した後、別の分散相不検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相不検出フレーム間に位置する分散相検出フレームのうちの2つの分散相検出フレームに関する分散相16の位置座標と、2つの分散相検出フレーム間に位置するフレームの数と、フレームレートとに基づき、分散相16の線速度を算出して出力する分散相線速度算出部13が備えられる。

【0033】
この場合、分散相位置検出部12は、分散相検出フレームが出現するたびに、検出エリア17の左上隅角を原点として検出エリア17内に設定したxy座標系(x軸が検出エリアの長辺に平行)に基づき、分散相16の中心の位置座標を検出し、検出した位置座標を該当するフレーム番号とともに記録する。

【0034】
分散相線速度算出部13による分散相線速度の算出法を図3に基づいて説明すると、図3においては、分散相不検出フレームであるフレーム(i)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+1)が出現した後、別の分散相不検出フレームであるフレーム(i+5)が出現する。
よって、分散相線速度算出部13は、フレーム(i)およびフレーム(i+5)間に位置するフレーム(分散相検出フレーム)のうちの2つのフレーム、例えば、フレーム(i+1)とフレーム(i+4)に関する分散相16のx座標(x座標)を分散相位置検出部12から抽出する。

【0035】
今、フレーム(i+1)に関する分散相16のx座標をxとし、フレーム(i+4)の分散相16のx座標をxとする。
次いで、フレーム(i+1)およびフレーム(i+4)間のフレーム数Fを、
F=(i+4)-i=4
によって求め、さらに、フレームレートをαとして
F/α=4/α
によって、フレーム(i+1)およびフレーム(i+4)間の経過時間を算出する。
そして、
(x-x)/(4/α)
によって、分散相線速度を算出する。
なお、分散相の線速度は連続相の線速度に等しいので、「分散相の線速度」に関する記載は、「分散相」を「連続相」に置き換えることで「連続相の線速度」にも適用し得る。

【0036】
本発明によれば、さらに、判定部5において分散相不検出フレームの次に分散相検出フレームが出現した後、別の分散相不検出フレームの次に別の分散相検出フレームが出現するたびに、その都度、当該分散相不検出フレームおよび当該別の分散相検出フレーム間に位置する分散相検出フレームの数と分散相不検出フレームの数との比を、分散相・連続相流量比として算出して出力する流量比算出部14が備えられる。

【0037】
流量比算出部14の動作を図3に基づいて説明すると、図3においては、分散相不検出フレームであるフレーム(i)の次に分散相検出フレームであるフレーム(i+1)が出現した後、別の分散相不検出フレームであるフレーム(i+9)の次に別の分散相検出フレームであるフレーム(i+10)が出現する。

【0038】
よって、流量比算出部14は、フレーム(i)およびフレーム(i+10)の間に位置する分散相検出フレームの数
(i+4)-i=4
と、分散相不検出フレームの数
(i+9)-i-4=5
との比4/5を算出して出力する。

【0039】
本発明によれば、マイクロ流体チップを用いて液滴を製造する場合、エマルションがマイクロ流体チップのマイクロ流路内を流れる様子を動画撮影し、得られた動画データを記録しさえすれば、その動画データに基づいて分散相の個数、粒径および平均粒径を自動的に高速で算出することによって、製造した液滴の粒径解析が簡単かつ迅速に行える。
加えて、マイクロ流体チップによる液滴製造の間におけるマイクロ流路内を流れる分散相の生成速度、分散相の線速度、分散相および連続相の流量比も自動的に算出することができる。

【0040】
以上、本発明の1実施例について説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出できることは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、システムは、分散相の個数、粒径および平均粒径に加えて、分散相生成速度、分散相線速度および分散相・連続相流量比を算出するようになっているが、分散相の平均粒径、分散相生成速度、分散相線速度および分散相・連続相流量比を算出するための構成については、必要に応じてシステムに備えられればよい。
また、例えば、システムが分散相のサイズのみを算出し出力するような構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 入力部
2 テンプレート画像格納部
3 前処理部
4 検出エリア設定部
5 判定部
6 分散相計数部
7 分散相長さ計測部
8 粒径算出部
9 平均粒径算出部
10 フレーム数算出部
11 分散相生成速度算出部
12 分散相位置検出部
13 分散相線速度算出部
14 流量比算出部
15 マイクロ流路
16、16a、16b 分散相
17 検出エリア
18 検出線分
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4