TOP > 国内特許検索 > 多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメント > 明細書

明細書 :多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメント

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6532628号 (P6532628)
登録日 令和元年5月31日(2019.5.31)
発行日 令和元年6月26日(2019.6.26)
発明の名称または考案の名称 多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメント
国際特許分類 B29B   7/48        (2006.01)
FI B29B 7/48
請求項の数または発明の数 7
全頁数 33
出願番号 特願2019-501381 (P2019-501381)
出願日 平成30年2月21日(2018.2.21)
国際出願番号 PCT/JP2018/006270
国際公開番号 WO2018/155502
国際公開日 平成30年8月30日(2018.8.30)
優先権出願番号 2017030841
優先日 平成29年2月22日(2017.2.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成31年3月25日(2019.3.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】田中 達也
【氏名】松本 紘宜
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査官 【審査官】中山 基志
参考文献・文献 特表2013-535358(JP,A)
特開昭59-48136(JP,A)
国際公開第1999/61213(WO,A1)
田中達也,二軸混練押出機による混練技術/装置の変遷およびナノフィラー分散技術への応用,BANDO TECHNICAL REPORT No.18,日本,2014年 3月 3日,第2頁~第8頁,URL,http://www.bandogrp.com/development/pdf/technicalreport_18.pdf
調査した分野 B29B7/00-7/94
B29C48/00-48/96
B01F7/00-7/32
特許請求の範囲 【請求項1】
バレル内に、混練材料を混練するための複数の混練スクリュと、前記混練材料の伸長流動を促進するためのディスク型セグメントを備え、樹脂とナノ粒子とを混練してナノコンポジットを製造するためのナノコンポジット製造用多軸混練機であって、
前記ディスク型セグメントは、前記混練材料の投入部より下流の混練部を流れ方向の途中で仕切るように前記バレル内に固定して配置されるとともに、混練材料の流路となる小孔が穿設されたディスク本体と、このディスク本体に装着され、各混練スクリュの回転軸が回転自在に貫通する複数の軸貫通部となる複数の転がり軸受を備えていることを特徴とする多軸混練機。
【請求項2】
前記小孔の孔径が0.5~1.5mmであり、ディスク本体に2~64個穿設されている、請求項1に記載の多軸混練機。
【請求項3】
小孔の混練材料流れ入口側の開口面積の総計が、バレルの内断面積の20%以下である請求項1または請求項2に記載の多軸混練機。
【請求項4】
前記ディスク型セグメントが、バレル内に固定された前記ディスク本体と、このディスク本体に装着された前記転がり軸受のみから構成される、請求項1~請求項3のいずれかに記載の多軸混練機。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の多軸混練機を用い、樹脂とナノ粒子とを含む混練材料を混練し、混練物としてナノコンポジットを製造するナノコンポジットの製造方法。
【請求項6】
ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、セルロースナノファイバ、グラフェン、ナノクレイ、カーボンブラックからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項7】
多軸混練機の設計耐圧を超えない限度で所望の圧力損失を確保するために、前記圧力損失を考慮しつつ、前記小孔の径を0.5~1.5mmの範囲、軸方向の前記小孔の厚みをスクリュ径(D)に対する厚み(L)の比(L/D)で1/12~1/4の範囲、前記小孔の数を2~64個の範囲でそれぞれ決定し、決定した各条件で前記混練を行う、請求項5または6に記載のナノコンポジットの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
多軸混練機は、
(1)ホモジナイジング:重合反応後のポリマーの不均質構造の解消・添加剤の混合・分散、
(2)ポリマーの可塑化・溶融:ポリマーを可塑化・溶融し、カレンダ加工ラインなどに供給する、
(3)脱水・脱揮(脱溶媒・脱モノマー):ポリマーの乾燥、重合後のポリマーに含まれるモノマー・溶媒の脱揮、
(4)化学反応:ポリマーの重合・解重合・グラフト化などの化学反応を行う、
(5)ポリマーブレンド・アロイ:異種ポリマー、コンパチビライザーの混合・分散、
(6)繊維強化剤・無機質充填材のミクロ混合:繊維強化材の混合・無機質充てん材の混合・凝集塊のミクロサイズ粒子の分散、
(7)カーボンナノチューブなどの繊維強化材・無機質充填材のナノ混合(樹脂中にナノオーダーレベルにて均一に分散させることをいう。以下、同様。):繊維強化材の混合・無機質充てん材の混合・凝集塊のナノサイズ粒子の分散
など、混練目的の違いに応じ、スクリュ形状やその配置・形態等に関して、種々の発展を遂げてきた(非特許文献1の3頁表2等参照。)。
【0003】
ニーディングディスクは、多軸混練機による混練の基本技術の1つである。
ニーディングディスクは、断面楕円状の板状部材であって、軸方向に複数連続して配置される。ニーディングディスクは混練スクリュの回転に伴って回転し、混練材料は、前記ニーディングディスクとバレル内壁との間に導かれ、混練される(例えば、特許文献1等参照。)。
【0004】
ニーディングディスクのねじれ角度が大きくなると、分配・分散の効果は高まる。他方、ねじれ角度が小さくなると、分配・分散効果が低下し、搬送効果が増加する。
また、ディスク厚さが広がるとチップ部でのせん断応力が大きくなり分散効果が高まる。他方、ディスク厚さが小さいと分配効果は高まるが分散効果は低下する。
このように、ディスクのねじれ角度と厚さを変化させることによって分配と分散能力を変えることが可能となる。
【0005】
しかし、上述したように混練目的が多岐にわたる中で、特に、上記混練目的のうちの(7)カーボンナノチューブなどの繊維強化材・無機質充填材のナノ混合については、ニーディングディスクの制御だけでは限界がある。
【0006】
ここで、ニーディングディスクを用いた多軸混練機では、せん断流動が支配的であるが、ナノ粒子の分散にはせん断流動よりも伸長流動のほうが効果的であると考えられている。
なお、せん断流動は速度勾配によって材料が引きちぎられる流れであり、伸長流動は、主応力方向に材料が引き伸ばされる流れである。
【0007】
そこで、ナノ混合という新たなニーズを満たすため、より高い伸長流動を実現するべく、ニーディングディスクに代え、ブリスターディスクが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。このブリスターディスクは、小孔を有しており、この小孔に混練材料を通過させることにより、伸長流動作用を発揮させようというものである。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平11-10709号公報
【0009】

【非特許文献1】田中達也、「二軸混練押出機による混練技術/装置の変遷およびナノフィラー分散技術の応用」、バンドーテクニカルレポート、バンドー化学株式会社、第2~8頁、2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来のブリスターディスクでは、伸長流動の効果が十分に発揮されていないことが判明した。
そこで、本発明は、小孔を有するディスク型セグメントにおける小孔前後にて作用する伸長流動作用を十分に発揮させることのできる多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
伸長流動は小孔入口部で発生する大きな流速変化及びそれに伴う大きな変化勾配の圧力損失によって生じることが知られている。このことも踏まえて、上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した。その過程において、小孔部で発生する圧力損失を向上させることで、ナノ粒子の分散を向上させることが可能であるとの知見を得た(後述の図3参照。)。そして、従来のブリスターディスクではディスク間での漏れが生じるために圧力損失が低下しており、これにより伸長流動作用が阻害されていることが分かった。
そこで、ディスク間での漏れを解消し、圧力損失の低下を抑制して、伸長流動作用を十分に発揮させるための構成についてさらに種々検討した結果、下記構成を見出したものである。
【0012】
すなわち、本発明にかかる多軸混練機は、バレル内に、混練材料を混練するための複数の混練スクリュと、前記混練材料の伸長流動を促進するためのディスク型セグメントを備え、樹脂とナノ粒子とを混練してナノコンポジットを製造するためのナノコンポジット製造用多軸混練機であって、前記ディスク型セグメントは、前記混練材料の投入部より下流の混練部を流れ方向の途中で仕切るように前記バレル内に固定して配置されるとともに、混練材料の流路となる小孔が穿設されたディスク本体と、このディスク本体に装着され、各混練スクリュの回転軸が回転自在に貫通する複数の軸貫通部となる複数の転がり軸受を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかるナノコンポジットの製造方法は、上記本発明にかかる多軸混練機を用い、樹脂とナノ粒子とを含む混練材料を混練し、混練物としてナノコンポジットを製造することを特徴とする。
お、本明細書において「ナノ粒子」というときは、原則として、粒子径が0.1nm~100nmの粒子を指すものとする。ただし、本発明の効果を害しない程度の誤差の範囲であれば、前記範囲(0.1nm~100nm)から外れたものであっても、「ナノ粒子」の概念に含めることとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の多軸混練機は、従来型のブリスターディスクを用いた多軸混練機よりも圧力損失を向上させることができるものであって、小孔を有するディスク型セグメントによる伸長流動作用を十分に発揮させることができる。そのため、特に樹脂と樹脂添加剤とを含む混練材料の混練に適用した場合において、従来より樹脂添加剤の分散性(特にナノ粒子の分散性)に優れ、成形物の機械的強度向上をもたらすことができる。しかも、せん断発熱が少ないという利点もある。
本発明のナノコンポジットの製造方法は、上記利点を有する多軸混練機を用いるので、従来型のブリスターディスクを用いた多軸混練機よりも圧力損失が向上し、伸長作用がより働き、ナノ粒子の分散性が良好で、機械的強度にも優れたナノコンポジットを提供し得る。
本発明のディスク型セグメントは、上記多軸混練機及びナノコンポジットの製造方法における上記利点をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる多軸混練機の一実施形態を示す断面概略図である。
【図2】本発明にかかる多軸混練機の一実施形態におけるディスク型セグメントを示す正面図である。
【図3】二軸混練押出機によるナノコンポジットの製造において条件を種々変えた場合の圧力と分散性の関係を示すグラフである。
【図4】ポリマーブレンドにおける粘度比とウェーバー数(キャピラリー数)の関係を示すグラフである。
【図5】ポリマーブレンドの相図である。
【図6】本発明にかかる多軸混練機の一実施形態を示す断面概略図である。
【図7】本発明にかかる多軸混練機の一実施形態を示す断面概略図である。
【図8】実施例1で用いたディスク型セグメントの写真である。
【図9】実施例1、比較例1,2における各ディスク型セグメントの配置位置を示す二軸混練押出機の模式図である。
【図10】比較例1で用いたニーディングディスクの写真である。
【図11】比較例2で用いた従来型のブリスターディスクの写真である。
【図12】実施例1、比較例1,2において、CNTの添加率と比機械的エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図13】実施例1、比較例1,2において、CNTの添加率と樹脂温度との関係を示すグラフである。
【図14】実施例1、比較例1,2において、比機械的エネルギーと樹脂温度との関係を示すグラフである。
【図15】実施例のシミュレーションにおいて利用したCNT濃度1.0重量%の粘度データである。
【図16】実施例のシミュレーションにおけるXBDのモデルを示す3Dデータである。
【図17】実施例のシミュレーションにおけるKDのモデルを示す3Dデータである。
【図18】実施例のシミュレーションにおけるBDのモデルを示す3Dデータである。
【図19】実施例のシミュレーションにおいて、滞留時間についての結果を示すグラフである。
【図20】実施例のシミュレーションにおいて、圧力損失についての結果を示すグラフである。
【図21】実施例のシミュレーションにおいて、最大せん断応力についての結果を示すグラフである。
【図22】実施例のシミュレーションにおいて、最大伸長応力についての結果を示すグラフである。
【図23】実施例1、比較例1,2において、CNT含有量の設定値と実測値との関係を示すグラフである。
【図24】実施例1、比較例1,2において、凝集体のサイズ分布を示すグラフである。
【図25】実施例1、比較例1,2において、5μm2以下のCNT凝集体が占める割合を示すグラフである。
【図26】実施例1、比較例1,2において、動的粘弾性測定の結果を示すグラフである。
【図27】実施例1、比較例1,2において、動的粘弾性測定の結果を示すグラフである。
【図28】実施例1、比較例1,2において、導電性についての結果を示すグラフである。
【図29】実施例1、比較例1,2において、結晶化度についての結果を示すグラフである。
【図30】実施例1、比較例1,2において、弾性率についての結果を示すグラフである。
【図31】実施例1、比較例1,2において、引張強度についての結果を示すグラフである。
【図32】実施例1、比較例1,2における評価試験結果をまとめた図表である。
【図33】実施例2~8におけるマスターバッチ調製で用いた二軸混練押出機の模式図である。
【図34】実施例2~8において、濃度調製した混練材料を溶融混練するのに用いた二軸混練押出機の模式図である。
【図35】実施例2~8で用いたディスク型セグメントのスクリュピッチの意義を明らかにするための説明図である。
【図36】実施例2~8に関し、温度に対する圧力損失の実測値とシミュレーションによる解析値を示すグラフである。
【図37】実施例2~8に関し、スクリュ回転数に対する圧力損失の実測値とシミュレーションによる解析値を示すグラフである。
【図38】実施例2~8に関し、処理量に対する圧力損失の実測値とシミュレーションによる解析値を示すグラフである。
【図39】実施例2~8に関し、粘度と流量の積と、圧力損失との関係を示すグラフである。
【図40】COP/SWCNTの混練押出のシミュレーションに基づく、異なる温度でのディスク型セグメント貫通孔部におけるせん断速度・伸長速度の解析結果を示すグラフである。
【図41】COP/SWCNTの混練押出のシミュレーションに基づく、異なるスクリュ回転数でのディスク型セグメント貫通孔部におけるせん断速度・伸長速度の解析結果を示すグラフである。
【図42】COP/SWCNTの混練押出のシミュレーションに基づく、異なる処理量でのディスク型セグメント貫通孔部におけるせん断速度・伸長速度の解析結果を示すグラフである。
【図43】実施例2~8について、圧力損失とSMEの関係を示すグラフである。
【図44】実施例2~8について、粘弾性特性と表面抵抗率の関係を示すグラフである。
【図45】実施例2~8について、引張試験の結果を示すグラフである。
【図46】実施例2~8について、モルフォロジー観察の結果を示すグラフである。
【図47】実施例2~8について、凝集体のサイズ分布を示すグラフである。
【図48】実施例2~8について、20μm2以下のSWCNT凝集体が占める割合を示すグラフである。
【図49】実施例2~15について、Q/Nsと圧力損失の関係を示すグラフである。
【図50】実施例2~15について、SMEと表面抵抗率の関係を示すグラフである。
【図51】実施例2~8及び実施例16~22について、Q/Nsと圧力損失の関係を示すグラフである。
【図52】実施例2~8及び実施例16~22について、SMEと表面抵抗率の関係を示すグラフである。
【図53】実施例23~32における各ディスク型セグメントの配置位置を示す二軸混練押出機の模式図である。
【図54】実施例28~32で用いたディスク型セグメントの写真である。
【図55】比較例3~7における各ディスク型セグメントの配置位置を示す二軸混練押出機の模式図である。
【図56】ポリメタクリル酸メチル(マトリックス)に対するポリカーボネート(分散相)の粘度比(せん断速度と温度の依存性)を示すグラフである。
【図57】実施例23~32、比較例3~7について、圧力損失のデータを示すグラフである。
【図58】実施例23~32、比較例3~7について、吐出温度のデータを示すグラフである。
【図59】実施例23~32、比較例3~7について、PC分散径とヘイズ値との関係を示すグラフである。
【図60】実施例23~32、比較例3~7について、PCの液滴径の計測結果を示すグラフである。
【図61】実施例23~32、比較例3~7について、相対ヘイズ値(PMMA単独のヘイズ値に対する相対値)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメントの好ましい実施形態について詳しく説明する。
ただし、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
例えば、以下では、本発明を押出成形に適用した例を示すが、本発明にかかる多軸混練機は、押出成形機に限定されるものではなく、これと同様に複数の混練スクリュによる混練機構を備える他の装置であっても良いし、又はそのような装置の一部であってもよい。
また、以下では、二軸の混練機を例に説明するが、当業者であれば、技術常識及び以下の説明から、三軸以上の多軸混練機に本発明を適用することも容易になし得るであろう。
さらに、以下に記載する各種寸法も一例であって、当業者であれば、技術常識及び以下の例示記載から、以下の例示とはスケールの異なる種々の多軸混練機にも本発明を容易に適用し得るであろう。

【0017】
本発明の一実施形態にかかる二軸混練押出機を図1に示す。
図1に示すように、二軸混練押出機1は、基本的構成は従来と同様であり、中空のバレル11と、バレル11内に樹脂を供給するためのホッパー12、バレル11内に樹脂添加剤を供給するための添加剤投入口13(サイドフィーダ)、脱気等のためのベント14を備える。

【0018】
バレル11内には軸方向に沿って混練スクリュ21が配置される。本実施形態の混練押出機は二軸であるから、2条の混練スクリュが対になっている。
混練スクリュ21の中間位置かつ添加剤投入口13の下流側に、ディスク型セグメント22が配置される。なお、「中間位置」とは、必ずしも中央を意味するものではなく、単に入口ないし出口の位置でないことを意味する。また、本実施形態では、ディスク型セグメント22は1枚のみであるが、複数枚配置しても良く、その場合、連続的に配置しても良いし、間隔を空けて配置しても良い。ディスク型セグメント22はセグメントタイプであるため、圧力制御や、その位置、個数等を自由に設定できる。

【0019】
ホッパー12から供給された樹脂は、混練スクリュ21によって、上流(図1左側)から下流(図1右側)へ軸方向に混練されながら搬送される。その際、途中で添加剤投入口13から樹脂添加剤が供給される。ベント14からは、混練中に発生したガスの排出等が行われる。

【0020】
ディスク型セグメント22は、バレル11内を仕切るように、バレル11の内断面と略同形状の断面形状を備える。具体的には、ディスク型セグメント22は、図2に示すように2つの円が一部重ね合わされたような断面形状を有し、バレル11も同様の内断面形状を有する。

【0021】
ディスク型セグメント22は、従来のニーディングディスクのように、バレル11内壁とのクリアランスに混練材料を通過させるのではなく、その小孔221a(後述する)に混練材料を通過させるものであるので、バレル11内壁との間に隙間を設ける必要はない。
ただし、ディスク型セグメント22をバレル11内に挿入する作業上、これを容易ならしめる程度の隙間を設けても良い。

【0022】
図2に示すように、ディスク型セグメント22は、ディスク本体221と、混練スクリュ21の回転軸21aが回転自在に貫通する軸貫通部222を備えている。
軸貫通部222としては、例えば、ボールベアリングやスリーブベアリング、ローラーベアリングなどのベアリングが挙げられる。
ディスク型セグメント22は、混練スクリュ21の回転に伴って回転することなく、混練押出時において、固定された状態となる。
軸貫通部222の周囲には、混練材料の流路となる多数の小孔221aが形成されている。

【0023】
以上の説明から明らかなとおり、本発明の多軸混練機におけるディスク型セグメントは、混練スクリュの回転に伴って回転することのない固定式であり、極めて効率的に混練材料が小孔を通過する。ディスク2枚が分離し、各々が混練スクリュの回転に伴って回転する従来型のブリスターディスクのように、ディスク間での漏れも生じないことから、高い圧力損失をもたらすことができる。
ここで、本発明者は、大きな圧力損失を与え、小孔を通過させることで、伸長流動により樹脂添加剤の分散性が向上するとの知見を得ている。
このことを示すデータを図3に示す。詳しい実験条件等の記載は省略するが、その要旨は、小孔の孔、個数、押出速度を変更し、ポリプロピレン中のカーボンナノチューブの分散を測定したものである。
図3より、圧力損失が大きい方が、伸長流動が促進され樹脂添加剤の分散性が高くなっており、この例(樹脂=ポリプロピレン、樹脂添加剤=カーボンナノチューブ)では、圧力損失約1.5~2.0MPaにおいて高い分散性が得られている。
従って、本発明によれば、従来型のブリスターディスクと比べて高い圧力損失を生じさせることが可能である結果、伸長流動の効果を十分に発揮させ、優れた分散性を得ることができる。

【0024】
上に述べたことから、多軸混練機の設計耐圧を超えないよう留意しつつ、その限度で所望の分散に必要な圧力損失を確保することが好ましい。
従って、小孔221aの径、軸方向の厚み、数、小孔221aの樹脂流れ入口側の開口面積の総計、位置、押出速度などについても、多軸混練機の設計耐圧、分散性を考慮して設計することが望ましい。
例えば、小孔の厚みを持たせることで圧力損失を上げることはできるが、小孔内部は純粋なせん断作用のため、せん断発熱をさけるためには極力薄くすることが望ましい。また、小孔の数は多い方がナノ粒子の分配作用が期待できる。小孔の径について、通常、樹脂添加剤のナノ粒子のサイズを考慮して決定することになる。
このような観点から好ましい範囲を一例として以下に述べる。
すなわち、例えば、小孔221aの径を0.5~1.5mmとし、軸方向の小孔221aの厚みをスクリュ径(D)に対する厚み(L)の比(L/D)で1/12~1/4とし、小孔221aの数を2~64個とすることができる。
また、小孔221aの樹脂流れ入口側の開口面積の総計は、例えば、バレル11の内断面積の4~20%とすることができる。20%以内とすることが好ましく、10%以内とすることがより好ましい。

【0025】
なお、本実施形態では、各軸貫通部222の同心円状に一列に、30個の小孔221aが配置されている。これと異なり、小孔を2列以上配置してもよい。
また、軸貫通部222と軸貫通部222との間には小孔を穿設していないが、これに限定されず、軸貫通部222と軸貫通部222との間に小孔を穿設してもよい。
さらに、上記実施形態は、バレル11の途中に添加剤投入口13を設け、そこから樹脂添加剤を投入する構成としたが、これと異なり、ホッパー12から樹脂と樹脂添加剤を同時に投入する構成としても良い。

【0026】
また、上記実施形態は、樹脂と樹脂添加剤とを含む混練材料を混練するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、良好な伸長流動が求められる他の混練材料の混練に適用しても良い。
例えば、ポリマーブレンド(アロイ)の混練にも適用することができる。ポリマーブレンドには相溶系と非相溶系があり、相溶系における相溶性の程度も様々であるが、本発明はいずれにも適用可能である。より詳細には以下のとおりである。
ポリマーブレンドの分散は、以下のパラメータに依存する。
粘度比:λ=ηd/ηm
キャピラリー数:Ca(We)
分散に要する時間:t*
また、液滴分散の条件は下式のとおりである(Talorの式)

【0027】
【数1】
JP0006532628B2_000002t.gif

【0028】
上記において、
ηm:母相粘度
ηd:分散相粘度
v:界面張力
d:初期の液滴径
である。

【0029】
図4に、ポリマーブレンドにおける粘度比とウェーバー数We(キャピラリー数Ca)の関係を示す(H.P.Grace,Chemical Engineering Communications,Vol.14(3-6)(1982),pp.225-277.)。
図4に見るように、せん断流動では粘度比λ>3.8で分散不可だが、伸長流動ではλ>3.8でも分散可能であり、ポリマーブレンド(液-液系)でも伸長流動は有効である。
また、図5に示すポリマーブレンドの相図から分かるように、ポリマーブレンドは温度によって相溶性が決定される(ただし、圧力やせん断によって相図範囲も変化する)。そして、LCST型の相図を持つポリマーブレンドについては、LCST以下の温度で混練することが必要となる。

【0030】
以上のことから、伸長流動性に優れ、かつ、せん断発熱が抑制可能な本発明は、ポリマーブレンド、特にLCST型の相図を持つポリマーブレンドに好適である。
好ましいポリマーブレンドの一例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(母相)とポリカーボネート(分散相)のポリマーブレンドを挙げることができる。このポリマーブレンドは、ポリメタクリル酸メチルによる高い剛性と透明性、ポリカーボネートによる高い衝撃性と耐熱性が活かされ、透明性・機械的物性を維持しながら高い耐熱性が発揮される。なお、このポリマーブレンドは、LCST型の相図を持ち、LCSTは約285℃である。

【0031】
また、本発明の多軸混練機におけるディスク型セグメントは、上述したとおり、複数枚配置しても良く、その位置も自由に設定することができる。
真空ポンプにより脱揮する場合において、ディスク型セグメントが一枚であると、図6に示すように、Aの位置に真空ポンプを配置することになる。他方、ディスク型セグメントを複数枚用いるようにすれば、図7に示すように、B1の位置だけでなく、B2の位置(ディスク型セグメントの背後)にも真空ポンプを配置し、脱揮させることができる。ディスク型セグメントの配置が自由に設定できるため、脱揮位置も自由に変更できるという利点を有することになる。

【0032】
本発明のナノコンポジットの製造方法は、上述した如き本発明の多軸混練機を用いて、樹脂添加剤としてナノ粒子を添加する工程を含む。
本発明の多軸混練機は、ナノ分散性に優れるので、このようなナノコンポジットの製造方法に特に好適である。
この場合、樹脂としては、特に限定するわけではないが、一般的な熱可塑性樹脂、例えば、汎用プラスチック(ポリプロピレン等)、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
また、ナノ粒子としては、特に限定するわけではないが、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、セルロースナノファイバ、グラフェン、ナノクレイ、カーボンブラックなどが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を用いて、本発明にかかる多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメントについて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
〔実施例1〕
二軸混練押出機「ZSK18 MEGAlab」(Coperion社製。スクリュ径18mm、L/D:40)を用いて、そのバレル内に、図8に示すディスク型セグメント(以下、「XBD」(Fixed Blistering Disk)と略記する)を配置し、混練押出を行った。
図8に示すとおり、XBDの小孔の数は30個である。また、小孔の径は1mmであり、小孔の軸方向の幅(厚み)は3mm(他の部分も含めたディスクの軸方向の幅は7mm)である。
混練材料としては、樹脂としてポリプロピレン(PP)「プライムポリプロ(登録商標) J108M」(株式会社プライムポリマー社製。ホモポリマー、MFR:45g/10min(230℃))を用い、樹脂添加剤(ナノフィラー)としてカーボンナノチューブ(CNT)「NC7000」(NANOCYL社製。多層カーボンナノチューブ、平均径9.5nm、平均長さ1.5μm、アスペクト比160)を用いた。
二軸混練押出機におけるXBDの配置位置は図9に示すとおりとした。
また、混練押出条件は、バレル温度200℃、スクリュ回転数250rpm、投入量5.4kg/hとした。
【実施例】
【0035】
〔比較例1〕
XBDに代えて、図10に示すニーディングディスク(Kneading Disk。以下、「KD」と略記する。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、混練押出を行った。
図10に示すとおり、90°ずらした5枚のディスクが連続して構成され、これらの軸方向の幅(厚み)は全体で16mmである。
なお、二軸混練押出機におけるKDの配置位置は図9に併せて示している。
【実施例】
【0036】
〔比較例2〕
XBDに代えて、図11に示す従来型のブリスターディスク(Blistering Disk。以下、「BD」と略記する。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、混練押出を行った。
図11に示すとおり、BDの小孔の数は32(=16×2)個である。また、小孔の径は1mmであり、小孔の軸方向の幅(厚み)は3mm(他の部分も含めたディスクの軸方向の幅は9mm)である。
なお、二軸混練押出機におけるBDの配置位置は図9に併せて示している。
【実施例】
【0037】
〔混練特性評価1〕
実施例1、比較例1及び2における混練特性の評価を行った。結果を以下に示す。
CNTの添加率(重量%)を横軸、比機械的エネルギー(SME:Specific Mechanical Energy)(kWh/kg)を縦軸とし、実施例1、比較例1,2の結果を図12に示す。
CNTの添加率(重量%)を横軸、樹脂温度(℃)を縦軸とし、実施例1、比較例1,2の結果を図13に示す。
SME(kWh/kg)を横軸、樹脂温度(℃)を縦軸とし、実施例1、比較例1,2の結果を図14に示す。
【実施例】
【0038】
図12に示すとおり、XBDを用いた実施例1において、SMEが最も高かった。
他方、図13から、XBDを用いた実施例1やBDを用いた比較例2では、KDを用いた比較例1と比べて、樹脂温度の上昇が抑制されており、せん断発熱が抑制されていることが分かった。
図12~14の結果から分かるように、XBDを用いた実施例1では、与えたエネルギーに対して、発熱温度が低い。これは伸長流動の効果であると理解できる。
【実施例】
【0039】
〔混練特性評価2〕
混練特性をさらに明らかにするため、以下のとおり、シミュレーションを行った。
シミュレーションには、粘性・粘弾性有限要素解析ソフトウェア「ANSYSPOLYFLOW16.0」を使用した。
【実施例】
【0040】
<支配方程式>
【実施例】
【0041】
【数2】
JP0006532628B2_000003t.gif
【実施例】
【0042】
【数3】
JP0006532628B2_000004t.gif
【実施例】
【0043】
【数4】
JP0006532628B2_000005t.gif
【実施例】
【0044】
上記支配方程式において、
v:速度ベクトル
τ:余剰応力テンソル
P:圧力
η:粘度
D:変形速度テンソル
である。
【実施例】
【0045】
<前提>
流体は非圧縮性であり、非ニュートン粘性である。
慣性及び重力は無視できる。
流体はバレル表面に付着する。
流動は恒温である。
【実施例】
【0046】
<ひずみ速度>
せん断速度は以下で規定される。
【実施例】
【0047】
【数5】
JP0006532628B2_000006t.gif
【実施例】
【0048】
伸長速度は以下で規定される。
【実施例】
【0049】
【数6】
JP0006532628B2_000007t.gif
【実施例】
【0050】
<応力>
せん断粘度及び伸長粘度はそれぞれ下式で規定される。これらは、カーボンナノチューブ濃度1.0重量%についての図15に示すせん断粘度カーブ及び伸長粘度カーブに基づく。
【実施例】
【0051】
【数7】
JP0006532628B2_000008t.gif
【実施例】
【0052】
【数8】
JP0006532628B2_000009t.gif
【実施例】
【0053】
せん断応力及び伸長応力はそれぞれ下式で規定される。
【実施例】
【0054】
【数9】
JP0006532628B2_000010t.gif
【実施例】
【0055】
【数10】
JP0006532628B2_000011t.gif
【実施例】
【0056】
<粒子追跡>
下記解析条件で、粒子2000個を入口から出口まで流し、最大せん断応力、最大伸長応力、滞留時間及び圧力分布について、粒子が受ける各パラメータ値のヒストグラムを作成した。
(解析条件)
流量一定(5.4kg/h)
流路表面で速度ゼロ
流路出口で圧力ゼロ
粘度:PP/CNT(1重量%)200℃
回転数:250rpm
(モデル)
シミュレーションにおけるモデルを図16~図18に示す。
図16に示すモデルは上記実施例1に対応する(XBD)。図17に示すモデルは上記比較例1に対応する(KD)。図18に示すモデルは上記比較例2に対応する(BD)。
【実施例】
【0057】
<シミュレーション結果>
滞留時間についての結果を、図19に示す。
図19に示す結果から、KDと比較し、BD、XBDの滞留時間は短く、XBDの分布はよりシャープであった。
このことから、XBDでは、滞留時間が均一化されており、物性ばらつきの低減化が可能となることが分かった。
【実施例】
【0058】
圧力分布についての結果を、図20に示す。
図20に示す結果から、XBDでは、BDと比較してディスク間での漏洩が減少、圧力損失が上昇することが分かった(40%以上の向上)。なお、CNTの分散に必要な圧力損失値は1.5~2MPaである。
【実施例】
【0059】
最大せん断応力及び最大伸長応力についての結果を、図21,22に示す。
図21に示す結果から、KDと比較し、BD、XBDでは、せん断応力の分布が低応力側へシフトしていることが分かる。
すなわち、
せん断混練効果:KD>XBD>BD
であり、XBD,BDの方が、KDよりもせん断発熱が抑制されることが分かる。
図22に示す結果から、XBDでは、KD,BDと比べて、高伸長応力を発生させることが可能であることがわかった。
すなわち、
伸長混練効果:XBD>BD≧KD
であった。
【実施例】
【0060】
〔CNTの分散及びナノコンポジットの物性の各評価〕
上記実施例1、比較例1及び比較例2で得られた各ナノコンポジットについて、下記のとおり、CNTの分散及びナノコンポジットの物性の各評価を行った。
【実施例】
【0061】
<CNTの分散状態の評価>
(1)光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)により、分散性を局所的に評価した。
ミクロトーム「RM2265」(ライカ社製)により、試料(厚み20μm)を作製し、デジタルマイクロスコープ「VHX-5000」(キーエンス社製)で断面を観察した(倍率200倍)。
画像解析ソフトウェア「SigmaScan Pro5」(ヒューリンクス社製)により、凝集体(1μm2以上)の面積を測定した。
【実施例】
【0062】
実施例1(XBD)、比較例1(KD)、比較例2(BD)について、CNT含有量の設定値と実測値との関係を下表1及び図23に示す。
【実施例】
【0063】
【表1】
JP0006532628B2_000012t.gif
【実施例】
【0064】
これらの結果から、各実施例、比較例間でCNT含有量が異なることが分かる。これはCNTの滞留状態が異なることを示すものと理解される。特に、比較例2(BD)において減少傾向が認められた。
【実施例】
【0065】
CNT含有量(設定値)0.5重量%における凝集体のサイズの分布を図24に示す。
この結果から、実施例1(XBD)は、比較例1(KD)と比較し、CNTの分散状態が良好であることが分かった。
【実施例】
【0066】
また、5μm2以下(1μm2以上)のCNT凝集体が占める割合を計算し、その結果を図25にまとめた。
この結果から、
分散状態:実施例1(XBD)>比較例2(BD)>比較例1(KD)
といえる。
実施例1は、比較例1と比較して、およそ8%分散性が向上したことが分かり、特に低濃度において分散状態が良好であることが分かった。
【実施例】
【0067】
(2)動的粘弾性測定
周波数依存測定(貯蔵弾性率G’,複素粘度|η*|)により、分散(CNTのネットワーク状態)を全域的に評価した。
「HAAKETM MARSTM レオメーター」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、下記のとおり、評価した。
・平板/平板:直径20mm、厚み1mm
・周波数依存測定:0.1~350rad/s *線形粘弾性領域(ひずみ10%)
・温度:220℃
【実施例】
【0068】
測定結果を図26,27に示す。
0.5重量%付近では、各実施例、比較例間で分散の違いが顕著に見られる。
分散状態:実施例1(XBD)>比較例2(BD)>比較例1(KD)
といえ、光学顕微鏡による観察結果と同様の傾向であった。
【実施例】
【0069】
(3)導電性試験
体積抵抗率の測定(JIS K7194に準拠)により、CNT分散を全域的に評価した。
この測定には、抵抗率計「ハイレスタUP」(三菱化学アナリテック社製)を用いた。
【実施例】
【0070】
測定結果を図28に示す。
比較例1(KD)と比較し、実施例1(XBD)の方が、体積抵抗率が低いことが分かった。
ここで、CNTのネットワークは、分散状態にほぼ比例する(高橋辰宏、安田健、大久保貴啓、粟野宏、米竹孝一郎著、“カーボンナノチューブと高分子の複合機能化”、炭素TANSO Vol.2006 (2006) No.223 P194-205参照。)から、体積抵抗率の値が小さいほど分散は促進しているといえる。
従って、
分散状態:実施例1(XBD)>比較例1(KD)>比較例2(BD)
といえる。
【実施例】
【0071】
<機械的強度の評価>
(4)結晶化度
示差走査熱量測定(DSC)「Q 1000」(TA Instrument社製)を用いて、下記条件で、結晶化度を測定した。
・昇温・降温20℃(K)/min 0℃~200℃範囲
・結晶化度の測定(1st cooling and 2nd heating time)
・窒素雰囲気下
【実施例】
【0072】
測定結果を図29に示す。
なお、Xcは下式で算出される。
【実施例】
【0073】
【数11】
JP0006532628B2_000013t.gif
【実施例】
【0074】
上式において、
ΔHm:溶融エンタルピー
ΔHm0:100%結晶性ポリマーのエンタルピー(※ポリプロピレンのΔHm0=207.1(J/g))
α:CNT添加率(重量%)
である。
【実施例】
【0075】
CNTによってマトリックスの結晶性が向上することで、機械的強度の向上につながる。
従って、
機械的強度:実施例1(XBD)>比較例2(BD)>比較例1(KD)
といえる。
【実施例】
【0076】
(5)引張試験
射出成形機「PLASTR ET-40V」(東洋機械金属社製)を用い、JIS K7161 1A試験片を作製した。
JIS K7161に従い、5本測定を行い、弾性率及び引張強度を測定した。
【実施例】
【0077】
測定結果を図30,31に示す。
これらの結果から、実施例1(XBD)では、弾性率及び引張強度がともに改善されていることが分かる。
従って、
機械的強度:実施例1(XBD)>比較例2(BD)>比較例1(KD)
といえる。
上記結果は、ポリプロピレン自体の熱劣化が抑制され、分散性向上に伴い結晶化度が向上しているからであると理解できる。特に、低濃度側で機械的強度の向上効果が高かった。
【実施例】
【0078】
〔各評価試験結果のまとめ〕
以上の結果をまとめて図32に示す。
本発明の多軸混練機及びこの多軸混練機を用いたナノコンポジットの製造方法並びにこれらに用いるディスク型セグメントは、比較例2のようなディスク間での樹脂漏えいが回避でき、せん断を抑えつつ(せん断発熱を抑制しつつ)、伸長流動に特化したものといえる。
【実施例】
【0079】
〔実施例2~8〕
二軸混練押出機「ZSK18 MEGAlab」(Coperion社製。スクリュ径18mm、L/D:40)を用いて、そのバレル内に、ディスク型セグメントを配置し、混練押出を行った。詳しくは、以下のとおりである。
【実施例】
【0080】
混練材料は、樹脂としてシクロオレフィンポリマー(COP)「ZEONOR(登録商標) 1420R」(日本ゼオン株式会社製。非結晶樹脂、ガラス転移点136℃、メルトフローレート20g/10min(280℃))を用い、樹脂添加剤(ナノフィラー)として単層カーボンナノチューブ(SWCNT)「ZEONANO(登録商標)」(ゼオンナノテクノロジー株式会社製。平均径3~5nm、平均長さ100~600μm)を用いた。
二軸混練押出機(図33に模式図を示す)を用いて、ホッパーからCOPを供給し、添加剤投入口からSWCNTを添加して、混練押し出しを行うことで、マスターバッチを作製した。なお、図中の「Melting(KD)」は溶融のために用いたニーディングディスク(図10に示すもの)である。
【実施例】
【0081】
次に、上記マスターバッチにCOPを加えて、SWCNTが0.5重量%となるように濃度調整した。これを、XBDを配置した二軸混練押出機(図34に模式図を示す)を用いて、混練押出した。スクリュはフルフライトスクリュ(FF)であり、スクリュピッチ(図35のaで示す間隔)は12mmである。なお、図中の「Melting(KD)」は溶融のために用いたニーディングディスク(図10に示すもの)である。
【実施例】
【0082】
XBDは、図8に示すもので、XBDの小孔の数は30個、小孔の径は1mm、小孔の軸方向の幅(厚み)は3mm(他の部分も含めたディスクの軸方向の幅は7mm)である。
上記操作における混練押出条件は、下表のとおりである。
【実施例】
【0083】
【表2】
JP0006532628B2_000014t.gif
【実施例】
【0084】
〔実施例9~15〕
小孔の数が8個であるXRDを用いたこと以外は実施例2~8と同様にして、混練押出を行った。
【実施例】
【0085】
〔実施例16~22〕
スクリュピッチ(図35参照)を8mmに変更したこと以外は実施例2~8と同様にして、混練押出を行った。
【実施例】
【0086】
〔COP/SWCNTの混練押出のシミュレーション〕
上記実施例2~22とは別に、COP/SWCNTの混練押出について、シミュレーションを行った。具体的には以下のとおりである。
シミュレーションには、粘性・粘弾性有限要素解析ソフトウェア「ANSYSPOLYFLOW18.0」を使用した。
【実施例】
【0087】
<支配方程式>
【実施例】
【0088】
【数12】
JP0006532628B2_000015t.gif
【実施例】
【0089】
【数13】
JP0006532628B2_000016t.gif
【実施例】
【0090】
【数14】
JP0006532628B2_000017t.gif
【実施例】
【0091】
上記支配方程式において、
v:速度ベクトル
β:相対圧縮因子(relative compression factor)
η:せん断粘度
p:圧力
H:階段関数(step function)
ρa:慣性項(inertia term)
T:余剰応力テンソル
D:変形速度テンソル
である。
【実施例】
【0092】
<材料パラメータ(Carreau-modelを使用)>
【実施例】
【0093】
【数15】
JP0006532628B2_000018t.gif
【実施例】
【0094】
〔測定及び評価〕
<圧力損失>
実施例2~8について、Dynisco社製圧力センサー(NP462)2対を自作した二軸押出機用バレルに取付け、XBD前後での圧力損失(ΔP)を測定した。
【実施例】
【0095】
<ディスク型セグメント貫通孔部でのせん断速度・伸長速度>
シミュレーションにより、ディスク型セグメント貫通孔部でのせん断速度・伸長速度を解析した。
【実施例】
【0096】
<COP中のSWCNTの分散状態>
光学顕微鏡観察、溶融粘弾特性、表面抵抗率、引張特性の4点から評価した。具体的には以下のとおりである。
【実施例】
【0097】
(1)光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)により、分散性を局所的に評価した。
ミクロトーム(日本ミクロトーム研究所株式会社製、RMD-5型)により、試料(厚み2μm)を作製し、光学顕微鏡(MEIJI TECHNO社製、MT9400)で断面を観察した(倍率230倍)
SEM観察は走査型電子顕微鏡FE-SEM(日本電子製、JSM-7001FD)を用いて加速電圧10.0kVにて引張試験片の断面観察を行った。
画像解析ソフトウェア「SigmaScan Pro5」(ヒューリンクス社製)により、凝集体(1μm2以上)の面積を測定した。
【実施例】
【0098】
(2)動的粘弾性測定
周波数依存測定(貯蔵弾性率G’,複素粘度|η*|)により、分散(CNTのネットワーク状態)を全域的に評価した。
「Bohlin GEMINI II」(Malvern instruments社製)を用いて、下記の通り評価した。
・平板/平板:直径20mm,厚み1.5mm
・周波数依存測定:0.1~100rad/s *線形粘弾性領域(ひずみ2%)
・温度:210℃
【実施例】
【0099】
(3)導電性試験
表面抵抗率の測定(JIS K7194)により、SWCNT分散を全域的に評価した。
測定には抵抗率計「ロレスタGX MCP-T700」(三菱ケミカルアナリテック社製)を用いた。
【実施例】
【0100】
(4)引張試験
射出成形機「PLASTR ET-40V」(東洋機械金属社製)を用い、JIS K7161 1A試験片を作製した。
JIS K7161に従い、7本測定を行い、弾性率、引張強度及び破断伸びを測定した。
【実施例】
【0101】
〔結果及び考察〕
<圧力損失の傾向>
実施例2~8について、圧力損失の実測値とシミュレーションによる解析値を図36~38に示す。
図に示す結果から、バレル温度を低く、回転数を低く、処理量(流量)を増加させることで、高い圧力損失を得ることができることが分かった。
【実施例】
【0102】
<混練条件と圧力損失の関係性>
実施例2~8について、各混練条件における粘度(η:貫通孔内部でのせん断粘度)と流量(Q/N:貫通孔一個当たりの流量)の積と、圧力損失の値の関係は、図39に示す通りであった。
この結果は、以下のような理解と整合する。
【実施例】
【0103】
Power-law則は下式で表される。
【実施例】
【0104】
【数16】
JP0006532628B2_000019t.gif
【実施例】
【0105】
また、Hagen-poiseuilleの式から下式が導出される。
【実施例】
【0106】
【数17】
JP0006532628B2_000020t.gif
【実施例】
【0107】
上式において、
K:粘度係数
Q:流量
n:Power-law指数
N:貫通孔個数
R:貫通孔半径
L:貫通孔長さ
【実施例】
【0108】
そして、粘度の温度依存性、せん断速度依存性より、混練条件であるバレル温度、回転数を変更することは粘度を変更することと同義であるといえる。また、処理量を変更することは流量を変更することと同義であるといえる。
【実施例】
【0109】
<ディスク型セグメント貫通孔部でのせん断速度・伸長速度>
COP/SWCNTの混練押出のシミュレーションに基づく、ディスク型セグメント貫通孔部でのせん断速度(shear rate)・伸長速度(stretch rate)の解析結果を図40~42に示す。
図に示す結果から、バレル温度(樹脂温度)はひずみ速度へは影響を与えないこと(但し、応力は増加)、スクリュ回転数はその増加とともにひずみ速度が減少すること、流量はその増加とともにひずみ速度が増加することが分かった。この傾向は、圧力損失と同様である(圧力損失と作用する応力は同等)。
【実施例】
【0110】
<圧力損失とSMEの関係>
実施例2~8について、圧力損失とSMEの関係を図43に示す。
図に示す結果から、圧力損失(Δp)はQ/Nsの増加に伴い増加するのに対し、SMEはQ/Nsの増加に伴い減少することが分かった。すなわち、圧力損失とSMEは相反する傾向にあることが分かった。
【実施例】
【0111】
<粘弾性特性と表面抵抗率>
実施例2~8について、粘弾性特性と表面抵抗率の関係を図44に示す。
図に示す結果から、SMEの増加(Q/Nsの減少)とともにG’が増加し、表面抵抗率は低下(導電率が向上)することが分かった。すなわち、SWCNTの絡み合いはSMEに依存する。
【実施例】
【0112】
<引張特性>
実施例2~8について、引張試験の結果を図45に示す。なお、COP単独の引張強度(σγ)は61MPaであり、破断伸び(εB)は20%である。
図に示す結果から、圧力損失(Δp)の増加(Q/Nsの増加)とともに引張強度のみならず破断伸びが増加することがわかった。
【実施例】
【0113】
<モルフォロジー観察>
実施例2~8について、モルフォロジー観察の結果を図46に示す。
図に示す結果から、以下のことが分かった。
SMEが小でΔpが大である場合、SWCNTのマクロな凝集体は微細化している。
SMEが大でΔpが小である場合、SWCNTの大きな凝集体が残存している。
【実施例】
【0114】
<凝集面積分布の統計処理>
実施例2~8について、凝集体のサイズの分布と、20μm2以下のSWCNT凝集体が占める割合を計算し、その結果を図47,48にまとめた。
これらの図に示す結果から、Q/Nsの増加(Δpの増加)とともに分散は悪化しているが、分散のばらつきは減少していることが分かる。従って、SMEはミクロな分散を促進させ、Δpはマクロな分散を促進させると判断することができる。
【実施例】
【0115】
<ディスク型セグメントの収縮比の影響>
実施例2~15について、Q/Nsと圧力損失の関係を図49に示し、SMEと表面抵抗率の関係を図50に示す。
なお、図中、「XBD N30D1」が小孔の数30個のXBDを用いた実施例2~8の結果であり、「XBD N8D1」が小孔の数8個のXBDを用いた実施例9~15の結果である。
これらの図に示す結果から、収縮比を減少させる(小孔の個数を減らす)ことで、圧力損失が向上することが分かり、これにより導電性(分散)の改善も可能となることが分かった。
【実施例】
【0116】
<スクリュピッチの影響>
実施例2~8及び実施例16~22について、Q/Nsと圧力損失の関係を図51に示し、SMEと表面抵抗率の関係を図52に示す。
なお、図中、「FF Pitch12」がスクリュピッチ12mmのフルフライトスクリュを用いた実施例2~8の結果であり、「FF Pitch8」がスクリュピッチ8mmのフルフライトスクリュを用いた実施例16~22の結果である。
これらの図に示す結果から、スクリュピッチの幅を減少させても、圧力損失はほぼ変化せず、導電性(分散)も殆ど改善されないことが分かった。
【実施例】
【0117】
<上記測定及び評価のまとめ>
本発明のディスク型セグメントで生じる圧力損失(Δp)は粘度と流量の積に比例し、Q/Nsの増加に伴い増加する。粘度と流量は混練条件を変えることで変化させることができる。
引張強度はΔpの増加に伴い大きく改善される。他方、導電性はSMEの増加に伴い改善される。この事実から、Δpが分散材のマクロな均一分散を促進させるのに対し、SMEはミクロ分散を促進させることが分かった。
SMEとΔpは相反関係にあり、これらの両立は困難であるが、小孔の数を30個から8個に減少させることで圧力損失が増加した結果から、貫通孔の透過面積を減少させることで、Δpを向上させることができることが分かった。他方、スクリュピッチを減少させることはΔpの向上にはあまり有効ではないことが分かった。
【実施例】
【0118】
以上のとおり、上記各実施例では、実施例1において、ポリプロピレンと多層カーボンナノチューブを用いたのと異なり、シクロオレフィンポリマーと単層ナノチューブを用いた場合でも、本発明が有効であることが明確となった。このように、本発明は、樹脂及び樹脂添加剤の種類によらず、広範に適用可能である。
特に、単層ナノチューブは、比表面積が大きいために、大きな凝集体を形成する傾向があり、分散が困難である。本発明によれば、このような混練材料であっても、良好に分散可能であり、本発明が、混練押出技術として極めて優れていることが裏付けられた。また、上記各実施例は、混練条件、XBDの形状、スクリュ構成などが分散性に与える影響を考察したものとして、本発明の意義をより明確化するものである。
【実施例】
【0119】
〔実施例23~27〕
二軸混練押出機「ZSK18 MEGAlab」(Coperion社製。スクリュ径18mm、L/D:40)を用いて、そのバレル内に、図8に示すディスク型セグメント(XBD)を配置し、混練押出を行った。
図8に示すとおり、XBDの小孔の数は30個である。また、小孔の径は1mmであり、小孔の軸方向の幅(厚み)は3mm(他の部分も含めたディスクの軸方向の幅は7mm)である。
ポリマーブレンドのマトリックスとしてポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱ケミカル(株)社製,VH001)を用いた。密度は1.19g/cm3,メルトフローレート(MFR)は2.0g/10min(230℃,3.73N)である。
また、分散相としてポリカーボネート(PC)(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製,H-4000)を用いた。密度は1.20g/cm3,MFRは63g/10min(300℃,1.20kgf)である。
PCが4重量%となる割合でPMMAとPCをドライブレンドし、これをホッパーから二軸混練押出機に供給し、混練押出を行った。
二軸混練押出機におけるXBDの配置位置は図53に示すとおりとした。なお、図中の「Melting(KD)」は溶融のために用いたニーディングディスク(図10に示すもの)である。
【実施例】
【0120】
各実施例において、混練押出条件を下表のとおりとした。
【実施例】
【0121】
【表3】
JP0006532628B2_000021t.gif
【実施例】
【0122】
〔実施例28~32〕
小孔の数が8個である図54に示すXBDを用いたこと以外は、実施例23~27と同様にして、混練押出を行った。
【実施例】
【0123】
〔比較例3~7〕
二軸混練押出機「ZSK18 MEGAlab」(Coperion社製。スクリュ径18mm、L/D:40)を用いて、そのバレル内に、XBDではなく、図10に示すディスク型セグメント(KD)を配置し、混練押出を行った。KDの配置位置は図55のとおりとした。その他は実施例23~27と同様とした。
【実施例】
【0124】
〔測定及び評価〕
<粘度比>
高圧式ツインキャピラリーレオメーター(Malvern Instruments Ltd.製,Rosand RH2200)を用いて各樹脂の定常流動粘度測定を行った。熱風乾燥機にて80℃,24時間以上乾燥させた各々の樹脂を用いて、約100s-1~10000s-1のせん断速度範囲、及び240℃から280℃まで10℃刻みにて粘度計測を行い、PMMAに対するPCの粘度比を求めた。
【実施例】
【0125】
<圧力損失>
Dynisco社製圧力センサー(NP462)2対を自作した二軸押出機用バレルに取付け、XBD前後での圧力損失(ΔP)を測定した
【実施例】
【0126】
<分散評価>
透過電子顕微鏡(TEM)観察、ヘイズ測定、DSC測定の3点から評価した。具体的には以下のとおりである。
【実施例】
【0127】
(1)TEM観察
PMMA/PCポリマーブレンドの組織状態観察は、透過電子顕微鏡TEM(日本電子(株)製,JEM-2100)を用いた。二軸押出により得られたペレットをミクロトームにより厚さ約100nmの薄片に切り出し、加速電圧200kVにて観察を行った。
PMMA中のPCの平均液滴直径dPCは,画像処理システムSigmaScan Pro(Systat Software Inc.社製)を用いて、倍率40000倍にて観察したTEM像中におけるPCを約300個以上測定し、そのPCの平均粒径dPCを算出した。
【実施例】
【0128】
(2)ヘイズ測定
混練押出物を水冷により急冷し、ペレットを得た後、射出成形により板材(70mm×120mm×3.4mm)を成形し、ヘイズメーター(日本電色工業(株)社製,NDH2000)を用いて、JIS K 7136(ISO 14782)に準じヘイズ測定を行った。
【実施例】
【0129】
(3)DSC測定
上記(2)と同様に板材を成形した。
この板材について、示差走査熱量測定(DSC)「Q 1000」(TA Instrument社製)を用いて、下記条件で、ガラス転移温度を測定した。
・昇温10℃(K)/min 2℃~200℃範囲
・窒素雰囲気下
・測定は、一度昇温させて保持したのち、降温し、再度昇温を行ったときの昇温過程(2nd run)でのベースラインのシフトに基づいて行った。
【実施例】
【0130】
〔結果及び考察〕
<PMMAとPCの粘度比(レオロジーデータ)>
PMMA(マトリックス)に対するPC(分散相)の粘度比(せん断速度と温度の依存性)を求めたグラフを図56に示す。
ポリマーブレンドの分散状態は粘度比に依存する。
そして、図56に示す結果から、PMMA/PCポリマーブレンドは、せん断速度(回転数が高い)が高いと粘度比が上がってしまい、分散させにくい材料であることがわかる。また、温度が低い状態でも粘度比が高くなってしまい、分散が悪くなる傾向にある材料であることが分かる。
従って、PMMA/PCポリマーブレンドは、一般に混練のハードルが高いことが分かる。
【実施例】
【0131】
<XBDのプロセスデータ>
実施例23~32、比較例3~7における圧力損失と吐出温度データを、それぞれ図57,58に示す。
図に示す結果から、Q/Nsが大きくなるにつれて圧力損失(Δp)が上昇することが分かる。また、Q/Nsが小さいほど(SMEが高いほど)吐出温度が高く、発熱はΔpに依存しないことが分かる。すなわち、伸長流動による発熱は支配的ではない。
【実施例】
【0132】
<PMMA中のPC分散径>
TEM観察の結果を図59に示す。液滴径dpc[nm]は、約300個の平均値である。
図に示す結果から、Q/Nsが大きくなるにつれてPCの分散径が減少する傾向にあることが分かった。
【実施例】
【0133】
<ヘイズ値>
実施例23~32、比較例3~7について、上述のPC分散径とヘイズ値との関係を図60に示す。また、相対ヘイズ値(PMMA単独のヘイズ値に対する相対値)を図61に示す。
図に示す結果から、XBDを用いた方が、KDを用いた場合よりも、PCの液滴径が小さく、その結果、ヘイズ値も小さくなること(透明性が高いこと)が分かった。
【実施例】
【0134】
<ガラス転移温度>
実施例23~32、比較例3~7について、ガラス転移温度の測定結果を表4にまとめた。
【実施例】
【0135】
【表4】
JP0006532628B2_000022t.gif
【実施例】
【0136】
上記表に示す結果から、XBDの圧力損失を向上させるにつれて、ガラス転移温度(Tg)が上昇することが分かった。
【実施例】
【0137】
<上記測定及び評価のまとめ>
PMMA/PC系のポリマーブレンドではLCST型の相図をもつため、せん断速度の増加とそれに伴うせん断発熱は相分離を引き起こし、過剰せん断混練は適さない。
この点、本発明のディスク型セグメントは、せん断発熱を抑制しながら高い圧力損失を与えることができるため、透明性を維持しながら耐熱性を向上するプロセスを可能とする。
すなわち、本発明のディスク型セグメントは、ポリマーブレンドへの適用においても、極めて有効であることが分かった。
【符号の説明】
【0138】
1 二軸混練押出機
11 バレル
12 ホッパー
13 サイドフィーダ
14 ベント
21 混練スクリュ
22 ディスク型セグメント
221 ディスク本体
222 軸貫通部
221a 小孔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52
【図54】
53
【図55】
54
【図56】
55
【図57】
56
【図58】
57
【図59】
58
【図60】
59
【図61】
60