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明細書 :ヒートパイプ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-120432 (P2019-120432A)
公開日 令和元年7月22日(2019.7.22)
発明の名称または考案の名称 ヒートパイプ
国際特許分類 F28D  15/02        (2006.01)
F28F  13/16        (2006.01)
H01L  23/427       (2006.01)
FI F28D 15/02 101J
F28F 13/16
H01L 23/46 B
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2017-254094 (P2017-254094)
出願日 平成29年12月28日(2017.12.28)
発明者または考案者 【氏名】山口 博司
【氏名】山崎 晴彦
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5F136
Fターム 5F136CC12
5F136FA01
5F136FA02
5F136FA12
5F136FA51
要約 【課題】熱輸送距離を長くすることが可能なヒートパイプを提供する。
【解決手段】外パイプ2および内パイプ3を備え、外パイプ2と内パイプ3との間に形成された第1流路L1と内パイプ3の内側に形成された第2流路L2とが両端で連通する二重管構造のヒートパイプ1であって、外パイプ2の一端側の外周を加熱して、外パイプ2内に加熱領域を形成する加熱手段4と、内パイプ3の一端部に設けられ、第1流路L1および第2流路L2に磁場を印加する筒状の磁場印加手段6と、温度上昇に伴い磁化が減少する磁性粒子およびベース液を含み、外パイプ2内に封入されて第1流路L1および第2流路L2を循環する磁性流体と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
一端および他端を有する外パイプと、
一端が前記外パイプの前記一端側に位置し、他端が前記外パイプの前記他端側に位置するように、前記外パイプ内に配置された内パイプと、を備え、
前記外パイプと前記内パイプとの間に形成された第1流路と前記内パイプの内側に形成された第2流路とが両端で連通する二重管構造のヒートパイプであって、
前記外パイプの前記一端側の外周を加熱して、前記外パイプ内に加熱領域を形成する加熱手段と、
前記内パイプの一端部に設けられ、前記第1流路および前記第2流路に磁場を印加する筒状の磁場印加手段と、
温度上昇に伴い磁化が減少する磁性粒子およびベース液を含み、前記外パイプ内に封入されて前記第1流路および前記第2流路を循環する磁性流体と、を備える
ことを特徴とするヒートパイプ。
【請求項2】
前記内パイプは、
第1パイプと、
前記第1パイプの内側に配置された第2パイプと、を備え、
前記第1パイプと前記第2パイプとの間には、前記磁場印加手段と筒状の断熱手段とが軸方向に並置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記外パイプの前記一端から前記磁場印加手段の一端までの領域を加熱して前記加熱領域を形成し、
前記磁性流体は、前記第1流路を前記外パイプの前記他端から前記一端に向かって流れ、前記第2流路を前記内パイプの前記一端から前記他端に向かって流れる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートパイプ。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記磁場印加手段の他端から前記外パイプの前記他端に向かってのびる所定の領域を加熱して、前記加熱領域を形成し、
前記磁性流体は、前記第1流路を前記外パイプの前記一端から前記他端に向かって流れ、前記第2流路を前記内パイプの前記他端から前記一端に向かって流れる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートパイプ。
【請求項5】
前記磁場印加手段は、一端側に第1極性を有し、他端側に第2極性を有する少なくとも1つの磁石である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートパイプ。
【請求項6】
前記磁場印加手段は、一方側部分の内側および他方側部分の外側に第1極性を有し、前記他方側部分の内側および前記一方側部分の外側に第2極性を有する少なくとも1つの磁石である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートパイプ。
【請求項7】
前記磁場印加手段は、前記磁石の内側または外側に設けられた少なくとも1つの電磁石を含む
ことを特徴とする請求項5または6に記載のヒートパイプ。
【請求項8】
前記磁性流体は、前記ベース液よりも低沸点の低沸点溶媒を含む
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のヒートパイプ。
【請求項9】
前記磁性粒子は、マンガン亜鉛フェライトを含み、
前記ベース液は、炭化水素系オイルを含み、
前記低沸点溶媒は、炭化水素化合物を含む
ことを特徴とする請求項8に記載のヒートパイプ。
【請求項10】
前記内パイプは、前記外パイプの内側に設けられたハニカム構造の支持部により支持されている
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のヒートパイプ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートパイプとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のヒートパイプは、熱輸送方向が長手方向であるコンテナと、コンテナ内に封入された作動流体と、コンテナの内面に設けられたウィック構造体と、ウィック構造体に設けられた蒸気流路と、蒸気流路とウィック構造体との間に設けられた隔離部材と、を有する。特許文献1に記載のヒートパイプは、ウィック構造体の毛細管現象を利用することで、コンテナに封入された作動流体の循環を促している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2017-146024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウィック構造体の毛細管現象を利用するヒートパイプでは、作動流体の静水圧や表面張力に限界があるため、10m程度の距離しか熱輸送できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、熱輸送距離を長くすることが可能なヒートパイプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るヒートパイプは、
一端および他端を有する外パイプと、
一端が前記外パイプの前記一端側に位置し、他端が前記外パイプの前記他端側に位置するように、前記外パイプ内に配置された内パイプと、を備え、
前記外パイプと前記内パイプとの間に形成された第1流路と前記内パイプの内側に形成された第2流路とが両端で連通する二重管構造のヒートパイプであって、
前記外パイプの前記一端側の外周を加熱して、前記外パイプ内に加熱領域を形成する加熱手段と、
前記内パイプの一端部に設けられ、前記第1流路および前記第2流路に磁場を印加する筒状の磁場印加手段と、
温度上昇に伴い磁化が減少する磁性粒子およびベース液を含み、前記外パイプ内に封入されて前記第1流路および前記第2流路を循環する磁性流体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記ヒートパイプにおいて、
前記内パイプは、
第1パイプと、
前記第1パイプの内側に配置された第2パイプと、を備え、
前記第1パイプと前記第2パイプとの間には、前記磁場印加手段と筒状の断熱手段とが軸方向に並置されていることが好ましい。
【0008】
上記ヒートパイプにおいて、
前記加熱手段は、前記外パイプの前記一端から前記磁場印加手段の一端までの領域を加熱して前記加熱領域を形成し、
前記磁性流体は、前記第1流路を前記外パイプの前記他端から前記一端に向かって流れ、前記第2流路を前記内パイプの前記一端から前記他端に向かって流れるように構成することができる。
【0009】
上記ヒートパイプにおいて、
前記加熱手段は、前記磁場印加手段の他端から前記外パイプの前記他端に向かってのびる所定の領域を加熱して、前記加熱領域を形成し、
前記磁性流体は、前記第1流路を前記外パイプの前記一端から前記他端に向かって流れ、前記第2流路を前記内パイプの前記他端から前記一端に向かって流れるように構成することができる。
【0010】
上記ヒートパイプにおいて、
前記磁場印加手段は、一端側に第1極性を有し、他端側に第2極性を有する少なくとも1つの磁石であってもよい。
【0011】
上記ヒートパイプにおいて、
前記磁場印加手段は、一方側部分の内側および他方側部分の外側に第1極性を有し、前記他方側部分の内側および前記一方側部分の外側に第2極性を有する少なくとも1つの磁石であってもよい。
【0012】
上記ヒートパイプにおいて、
前記磁場印加手段は、前記磁石の内側または外側に設けられた少なくとも1つの電磁石を含んでもよい。
【0013】
上記ヒートパイプにおいて、
前記磁性流体は、前記ベース液よりも低沸点の低沸点溶媒を含んでもよい。
【0014】
上記ヒートパイプにおいて、
前記磁性粒子は、マンガン亜鉛フェライトを含み、
前記ベース液は、炭化水素系オイルを含み、
前記低沸点溶媒は、炭化水素化合物を含んでもよい。
【0015】
上記ヒートパイプにおいて、
前記内パイプは、前記外パイプの内側に設けられたハニカム構造の支持部により支持されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱輸送距離を長くすることが可能なヒートパイプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るヒートパイプの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るヒートパイプの内パイプの構成を示す図である。
【図3】(A)は、本発明の一実施形態に係るヒートパイプの加熱部を示す断面図である。(B)は、(A)の軸(1)および軸(2)における磁場分布図である。
【図4】(A)は、加熱領域と非加熱領域との境界を磁場印加手段の一端に一致させたときの磁性流体の流れを示す図である。(B)は、加熱領域と非加熱領域との境界を磁場印加手段の他端に一致させたときの磁性流体の流れを示す図である。
【図5】(A)は、磁場印加手段の第1変形例を示す図である。(B)は、磁場印加手段の第2変形例を示す図である。
【図6】磁場印加手段の第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るヒートパイプの実施形態について説明する。

【0019】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係るヒートパイプ1を示す。ヒートパイプ1は、外パイプ2と、内パイプ3と、加熱手段4と、冷却手段5と、磁場印加手段6と、断熱手段7と、を備える。ヒートパイプ1内には、磁性流体が封入されている。

【0020】
ヒートパイプ1は、加熱手段4を含む加熱部と、冷却手段5を含む冷却部と、加熱部と冷却部の間の中間部と、に大別される。加熱部、冷却部、中間部は、それぞれ分離させて交換することができる。例えば、中間部の長さを変えることで、ヒートパイプ1の長さを変えることができる。

【0021】
外パイプ2は、円筒形状の本体部と、本体部の一端側を塞ぐ円形状の蓋部2aと、本体部の他端側を塞ぐ円形状の蓋部2bと、を含む。また、外パイプ2は、加熱部と中間部との境界に加熱部と中間部とを固定する円環形状のフランジ部を有し、中間部と冷却部との境界に中間部と冷却部とを固定する円環形状のフランジ部を有する。

【0022】
外パイプ2は、耐熱性および磁性流体に対する耐薬品性を有することが好ましい。外パイプ2として、本実施形態ではアルミニウムを用いているが、アルミニウム以外の金属でもよいし、樹脂(例えば、フッ素樹脂)でもよい。

【0023】
内パイプ3は、円筒形状の第1パイプ31および円筒形状の第2パイプ32からなる本体部と、本体部の一端に設けられた円環形状の蓋部3aと、本体部の他端に設けられた円環形状の蓋部3bと、を含む。図2に示すように、第1パイプ31と第2パイプ32の間には、筒状の磁場印加手段6と筒状の断熱手段7とが内パイプ3の軸方向に並置されている。

【0024】
内パイプ3は、耐熱性および磁性流体に対する耐薬品性を有することが好ましい。内パイプ3として、本実施形態ではアルミニウムを用いているが、アルミニウム以外の金属でもよいし、樹脂(例えば、フッ素樹脂)でもよい。

【0025】
図1に示すように、内パイプ3は、一端(蓋部3a)が外パイプ2の一端側(蓋部2a側)に位置し、他端(蓋部3b)が外パイプ2の他端側(蓋部2b側)に位置し、かつ蓋部3aと蓋部2aとが離間し、蓋部3bと蓋部2bとが離間した状態で、外パイプ2内に配置される。内パイプ3は、外パイプ2の内側に設けられた複数の支持部8により支持されている。支持部8は、磁性流体の流れをできるだけ妨げないように、ハニカム構造をしている。

【0026】
外パイプ2と内パイプ3との間には、第1流路L1が形成され、内パイプ3の内側には、第2流路L2が形成される。第1流路L1と第2流路L2とは、両端で連通する。磁性流体は、第1流路および第2流路を循環する。

【0027】
磁性流体は、磁性粒子およびベース液を含む。磁性流体は、さらに、ベース液よりも低沸点の低沸点溶媒を含んでもよい。磁性粒子は、常温域において温度上昇に伴い磁化が減少する性質をもつ。このため、磁性流体も、常温域において温度上昇に伴い磁化が減少する性質をもつ。

【0028】
磁性粒子は、マンガン亜鉛フェライトが好ましい。マンガン亜鉛フェライトは、常温域における磁化が大きく、磁化の温度依存性が高く、組成の制御によりキュリー温度を調整できる。磁性粒子は、マンガン亜鉛フェライトの代わりに、またはマンガン亜鉛フェライトに加えて、酸化鉄系微粒子、スピネルフェライト、またはγ-ヘマタイトを含んでもよい。

【0029】
ベース液は、例えば、炭化水素系オイル、フッ素系オイル、水等を用いることができる。磁性粒子としてマンガン亜鉛フェライトを用いる場合、ベース液は、炭化水素系オイルのケロシンを用いることが好ましい。

【0030】
低沸点溶媒は、炭化水素化合物(例えば、ヘキサン)が好ましい。低沸点溶媒は、ベース液よりも低沸点を有し、ベース液中に安定して分散されるのであれば、ヘキサン以外の炭化水素化合物を用いてもよいし、炭化水素化合物以外のものを用いてもよい。

【0031】
本実施形態では、磁性粒子としてマンガン亜鉛フェライト、ベース液としてケロシン、低沸点溶媒としてヘキサンを用いる。ケロシン(マンガン亜鉛フェライトを含む。)が80wt%で、ヘキサンが20wt%である。

【0032】
加熱手段4は、外パイプ2の一端側の外周を加熱して外パイプ2内に加熱領域を形成する。本実施形態では、加熱手段4は、外パイプ2の一端側の外周全体に設けられたヒーターと、当該ヒーターの加熱領域および加熱温度を制御する制御装置と、を含む。加熱手段4は、当該加熱手段4が設けられた領域のうち、任意の領域を選択的に加熱することができる。言い換えれば、加熱手段4は、加熱領域と非加熱領域との境界を、ヒーターが設けられた範囲内で外パイプ2の軸方向に任意に移動させることができる。

【0033】
冷却手段5は、外パイプ2の他端側の外周を冷却して外パイプ2内に冷却領域を形成する。本実施形態では、冷却手段5は、ポンプを含む水冷装置(図示略)から供給される冷却水を利用して、外パイプ2の他端側の外周全体を冷却する水冷式の冷却手段である。なお、冷却手段5は、空冷式のものでもよい。

【0034】
磁場印加手段6は、詳細は後述するが、第1流路L1および第2流路L2を循環する磁性流体に磁場を印加する。磁場印加手段6は、永久磁石(本実施形態では、ネオジウム磁石)を複数個(本実施形態では、8個)連結したものを用いている。ネオジウム磁石は、一端側にN極を有し、他端側にS極を有するものを用いている。

【0035】
断熱手段7は、内パイプ3の内側から外側への熱移動および内パイプ3の外側から内側への熱移動、言い換えれば、内パイプ3を介する第1流路L1-第2流路L2間の熱移動を防ぐ。断熱手段7は、本実施形態ではグラスウールを用いているが、セラミックでもよいし、真空層でもよい。

【0036】
図3(A)に、ヒートパイプ1の加熱部の断面図を示す。図3(B)に、ヒートパイプ1の加熱部における磁場分布(1)および(2)を示す。磁場分布(1)は、ヒートパイプ1の第1流路L1の中心位置(軸(1))で測定したものであり、磁場分布(2)は、ヒートパイプ1の第2流路L2の中心位置(軸(2))で測定したものである。

【0037】
同図に示すように、円筒形の磁場印加手段6は、両端の2箇所で磁場が最大になる。このため、温度の境界(加熱領域と非加熱領域との境界)を磁場印加手段6の一端または他端に一致させることで、磁性流体を循環させるための駆動力が得られる。

【0038】
図4(A)に、加熱領域と非加熱領域との境界B1を磁場印加手段6の一端に一致させたときの磁性流体の流れを示す。図4(A)では、加熱手段4は、外パイプ2の一端(蓋部2a)から磁場印加手段6の一端までの領域(B1の左側領域)を加熱して、当該領域に加熱領域を形成する。

【0039】
加熱領域(B1の左側領域)では、磁性流体の磁化は外パイプ2の外周面に近づくほど減少し、磁性流体に働く磁気体積力(磁化と磁場勾配の積)も外パイプ2の外周面に近づくほど減少する。一方、非加熱領域(B1の右側領域)では、磁気体積力はほとんど変化しない。また、境界B2の両側の磁気体積力は、ほとんど変化することなく、釣り合っている。

【0040】
このため、図4(A)では、主に、第1流路L1における境界B1の両側の磁気体積力の差分が、磁性流体を循環させるための駆動力となる。すなわち、磁性流体は、第1流路L1を外パイプ2の他端から一端に向かって流れ、第2流路L2を内パイプ3の一端から他端に向かって流れる。

【0041】
図4(B)に、加熱領域と非加熱領域との境界B2を磁場印加手段6の他端に一致させたときの磁性流体の流れを示す。図4(B)では、加熱手段4は、磁場印加手段6の他端から外パイプ2の他端に向かってのびる所定の領域(B2の右側領域)を加熱して、当該領域に加熱領域を形成する。

【0042】
加熱領域(B2の右側領域)では、第1流路L1において、磁性流体の磁化が減少し、磁性流体に働く磁気体積力(磁化と磁場勾配の積)が減少する。一方、第2流路L2においては、断熱手段7の効果により、磁気体積力はほとんど変化しない。また、非加熱領域(B2の左側領域)では、磁気体積力はほとんど変化しない。当然ながら、境界B1の両側の磁気体積力は、ほとんど変化することなく、釣り合っている。

【0043】
このため、図4(B)では、主に、第1流路L1における境界B2の両側の磁気体積力の差分が、磁性流体を循環させるための駆動力となる。すなわち、磁性流体は、第1流路L1を外パイプ2の一端から他端に向かって流れ、第2流路L2を内パイプ3の他端から一端に向かって流れる。

【0044】
結局、本実施形態に係るヒートパイプ1によれば、作動流体として磁性流体を用いており、さらに加熱手段4および磁場印加手段6によって磁性流体に駆動力を与えるので、熱輸送距離を長くすることが可能になる。より具体的には、本実施形態に係るヒートパイプ1によれば、磁性流体に磁場を印加することで、駆動力としての磁気圧が得られるため、磁場強度と磁場勾配を大きくすることで、磁気圧が大きくなり、静水圧や表面張力によらず、10m以上(例えば、10~20m)の長距離輸送が可能となる。

【0045】
以上、本発明に係るヒートパイプの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。

【0046】
本発明の外パイプは、一端および他端を有するのであれば、大きさや形状等は適宜変更できる。内パイプは、一端が外パイプの一端側に位置し、他端が外パイプの他端側に位置するように、外パイプ内に配置されているのであれば、大きさや形状等は適宜変更できる。すわなち、本発明の外パイプおよび内パイプは、外パイプと内パイプとの間に形成された第1流路と内パイプの内側に形成された第2流路とが両端で連通する二重管構造であれば、適宜構成を変更できる。

【0047】
本発明の加熱手段は、外パイプの一端側外周の任意の領域を加熱して、外パイプ内に加熱領域を形成するのであれば、適宜構成を変更できる。例えば、熱風を当てることで、外パイプの一端側の外周を加熱するように構成されていてもよい。

【0048】
上記実施形態の加熱手段4は、温度の境界(加熱領域と非加熱領域との境界)を磁場印加手段6の一端または他端に一致させるように、外パイプ2の一端側外周を加熱しているが、磁性流体に駆動力を与えるのであれば、温度の境界と磁場印加手段6の一端または他端とは、多少ずれていてもよい。

【0049】
本発明の磁場印加手段は、内パイプの一端部に設けられ、第1流路および第2流路に磁場を印加するのであれば、適宜構成を変更できる。

【0050】
例えば、本発明の磁場印加手段は、図5(A)に示すように、一端側に第1極性(例えば、N極)を有し、他端側に第2極性(例えば、S極)を有する1つの永久磁石6Aで構成されていてもよい。

【0051】
本発明の磁場印加手段は、図5(B)に示すように、一方側部分(例えば、上側部分)の内側および他方側部分(例えば、下側部分)の外側に第1極性(例えば、N極)を有し、他方側部分の内側および一方側部分の外側に第2極性(例えば、S極)を有する少なくとも1つの永久磁石6Bで構成されていてもよい。

【0052】
本発明の磁場印加手段は、図6に示すように、永久磁石6の外側に設けられた電磁石6Cおよび電磁石6Cを制御する制御装置(図示略)を含んでいてもよい。永久磁石6と電磁石6Cを併用することで、永久磁石6の磁場を電磁石6Cの磁場で強めたり、弱めたりすることが可能になる。なお、電磁石6Cは、永久磁石6の内側に設けられていてもよいし、円筒形以外の形状でもよい。電磁石6Cを制御する制御装置は、例えば、外パイプ2の外側に配置される。

【0053】
本発明の磁性流体は、温度上昇に伴い磁化が減少する磁性粒子およびベース液を含み、外パイプ内に封入されて第1流路および第2流路を循環するのであれば、適宜構成を変更できる。

【0054】
上記実施形態の冷却手段5は、省略することができる。しかしながら、熱輸送距離を長くするという観点では、冷却手段5を設けた方が好ましい。また、冷却手段5を設けた場合、加熱部と同様に、冷却部にも磁場印加手段を設けることができる。この構成によれば、温度の境界(冷却領域と非冷却領域との境界)を冷却部における磁場印加手段の一端または他端に一致させることで、磁性流体を循環させるための駆動力が得られる。その結果、熱輸送距離をさらに長くすることが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
1 ヒートパイプ
2 外パイプ
3 内パイプ
31 第1パイプ
32 第2パイプ
4 加熱手段
5 冷却手段
6 磁場印加手段
7 断熱手段
8 支持部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5