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明細書 :水質浄化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-162614 (P2019-162614A)
公開日 令和元年9月26日(2019.9.26)
発明の名称または考案の名称 水質浄化方法
国際特許分類 C02F   3/10        (2006.01)
C02F   1/461       (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
FI C02F 3/10 Z
C02F 1/461 Z
B82Y 30/00
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2019-019502 (P2019-019502)
出願日 平成31年2月6日(2019.2.6)
優先権出願番号 2018048795
優先日 平成30年3月16日(2018.3.16)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】森 正和
【氏名】日比 慶久
出願人 【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001885、【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
審査請求 未請求
テーマコード 4D003
4D061
Fターム 4D003AA01
4D003AB01
4D003AB09
4D003CA10
4D003EA18
4D003EA22
4D003EA38
4D061DA02
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB04
4D061EB29
4D061EB33
4D061FA15
要約 【課題】高い比表面積を有すると共に当該比表面積を制御可能な炭素材を用いた水質浄化方法であって、浄化効率及び適用自由度の高い水質浄化方法を提供する。
【解決手段】炭素材を有する水質浄化材を汚濁水に浸漬させる水質浄化方法であって、炭素材は、平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmである炭素短繊維のみから構成され、当該炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体であること、を特徴とする水質浄化方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素材を有する水質浄化材を汚濁水に浸漬させる水質浄化方法であって、
前記炭素材は、平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmである炭素短繊維のみから構成され、前記炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体であること、
を特徴とする水質浄化方法。
【請求項2】
前記炭素短繊維の表面に直径が10~200nmの略円形の凹部が形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の水質浄化方法。
【請求項3】
前記炭素繊維三次元構造体の厚さが3mm以上であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の水質浄化方法。
【請求項4】
前記炭素短繊維の表面がグラフェン構造を有する炭素ナノ構造体によって被覆され、
前記炭素ナノ構造体に金属元素が含まれないこと、
を特徴とする請求項1~3のうちのいずれかに記載の水質浄化方法。
【請求項5】
前記炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノウォールであること、
を特徴とする請求項4に記載の水質浄化方法。
【請求項6】
前記炭素繊維三次元構造体がカーボンフェルトの表面に形成されていること、
を特徴とする請求項1~5のうちのいずれかに記載の水質浄化方法。
【請求項7】
前記炭素材が陰極となるように電圧を印加すること、
を特徴とする請求項1~6のうちのいずれかに記載の水質浄化方法。
【請求項8】
前記炭素繊維三次元構造体の内部の前記炭素繊維にも菌体を付着させること、
を特徴とする請求項1~7のうちのいずれかに記載の水質浄化方法。
【請求項9】
前記菌体に桿菌が含まれること、
を特徴とする請求項8に記載の水質浄化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は水質浄化方法に関し、より具体的には、炭素材を用いた水質浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川湖沼等の水質の低下から、水質浄化に対する要求が高まっている。ここで、水中における炭素材の表面は菌類、バクテリア、微生物等との親和性が高いことが知られており、炭素材を用いた水質浄化方法が注目されている。
【0003】
例えば、先行技術文献1(特開2009-195850号公報)では、処理対象水を浄化するための水質浄化ユニットであって、処理対象水の流入する水路または水槽に掛け渡される、当該水路または水槽に水質浄化ユニットを取り付けるための懸吊手段と、懸吊手段に吊るされる、主として炭素繊維よりなる微生物固定化担体と、微生物固定化担体の下部に取り付けられた錘と、を具える、水質浄化ユニット、が提案されている。
【0004】
上記先行技術文献1に記載の水質浄化ユニットでは、生物親和性の高い炭素繊維を主として用いた微生物固定化担体を接触材としているので、担体表面に微生物が付着し易く、水質浄化開始前の馴養期間を大幅に短縮することができる。また、微生物固定化担体を懸吊手段から錘を用いて吊り下げて水中に浸漬させる構造としており、担体の下部がユニットのフレーム等に固定されていないので、担体交換等のメンテナンス時のユニット引き上げが容易であり、メンテナンス性の向上、メンテナンス作業時の労力低減を図ることができる。更に、担体を上から吊るしているので、曝気をすることなく担体を伸ばした状態に保つことができ、好気処理および嫌気処理の双方に使用することができる。その上、この水質浄化ユニットは、懸吊手段を水路または水槽に掛け渡すだけで取り付けることができるので、容易に設置することができる、とされている。
【0005】
また、先行技術文献2(特開2012-130832号公報)では、20℃での水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.35での水蒸気吸着量が1.0cm/g以上であり、相対蒸気圧0.95での水蒸気吸着量と相対蒸気圧0.65での水蒸気吸着量の差が0.50cm/g以上であり、かつ、平均単繊維強度が5400~10000MPaの水浄化用炭素繊維、が提案されている。
【0006】
上記先行技術文献2に記載の水浄化用炭素繊維では、親水性が高いため、微生物や汚泥が固着しやすく、高い水質浄化能力を持ち、さらに水との摩擦や固着物の重さによっても繊維が切断されにくい水浄化用炭素繊維が提供される、とされている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2009-195850号公報
【特許文献2】特開2012-130832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の水質浄化ユニットに用いられている炭素繊維や上記特許文献2に記載の水浄化用炭素繊維では、水質浄化に資する比表面積が未だ十分とは言い難い。加えて、任意の三次元形状や比表面積に調整することが困難であり、多種多様な水質浄化ユニットに対して炭素材を最適化することができない。
【0009】
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、高い比表面積を有すると共に当該比表面積を制御可能な炭素材を用いた水質浄化方法であって、浄化効率及び適用自由度の高い水質浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく炭素材を用いた水質浄化方法について鋭意研究を重ねた結果、炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体を水質浄化材として用いること等が、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
即ち、本発明は、
炭素材を有する水質浄化材を汚濁水に浸漬させる水質浄化方法であって、
前記炭素材は、平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmである炭素短繊維のみから構成され、前記炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体であること、
を特徴とする水質浄化方法を提供する。
【0012】
炭素材の表面は電気的に(-)であることから、イオン化した物質を吸着する能力が高く、粘土鉱物等のイオン化したコロイドを吸着するために土粒子等の濁水から汚泥を多量に吸着し、水質浄化に効果を発揮する。加えて、炭素材表面は水質浄化に資する好気性微生物との親和性が高く、当該微生物の付着によって、窒素やリン等を効率的に除去することができる。なお、これらの効果は炭素材の比表面積と密接に関係しており、基本的に比表面積の増加に伴って高効率となる。また、必要に応じて水を電気分解させ、発生する酸素によって微生物をより活性化させることもできる。
【0013】
本発明の水質浄化方法に用いる炭素繊維三次元構造体は、バインダー等によって成形されたものではなく、炭素短繊維のみが三次元的に絡み合って構造体化されたものである。即ち、炭素以外の不純物が極めて少なく、水質浄化に及ぼす不純物の影響等を考慮する必要がない。加えて、不純物によって逆に水を汚染することもない。
【0014】
加えて、水質浄化後の炭素繊維三次元構造体は環境を汚染する心配がないことから、河川や湖沼の川底等に設置することにより、例えば、ヨシの生育場所にもなり、元来の自然環境に戻す場所にもなり得る。また、水質浄化後の炭素繊維三次元構造体を川底等に設置することにより、実質的に廃棄物が存在しないことになる。
【0015】
また、本発明の水浄化方法に用いる炭素繊維三次元構造体は、平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmの微細な炭素短繊維が複雑に絡み合った構造を有していることから、極めて大きな比表面積を有している。加えて、例えば、炭素繊維三次元構造体における炭素短繊維の密度を変化させることで、比表面積を容易に調整することができる。
【0016】
炭素繊維を用いた従来の水浄化方法は、炭素繊維の優れた生物親和性と低い負荷帯電を活用して生物を付着するものであり、バンドル状の炭素長繊維や、シート状に編み込んだ炭素長繊維等が利用されてきた。これに対し、平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmである炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体を用いることで、従来の炭素材と比較して、比表面積が大きくなっている。加えて、形状及びサイズの制御が容易であり、多種多様な水質浄化ユニットに対して炭素材を最適化することができる。
【0017】
また、本発明の水浄化方法に用いる炭素繊維三次元構造体は複雑な構造を有しており、従来の炭素材よりも微生物の付着数を増加させることができる。加えて、付着した微生物の付着耐久性も向上させることができる。
【0018】
本発明の水質浄化方法は、基本的に、炭素繊維三次元構造体に付着した微生物によって水を浄化するものであり、炭素繊維三次元構造体には多数の微生物が付着していることから、高い効率で水を浄化することができる。具体的には、微生物に接触する汚濁物質(微生物の餌となる有機物質)が浄化されることとなる。
【0019】
また、本発明の水質浄化方法では、炭素繊維三次元構造体に付着する微生物が多く、菌叢が多層になり、表面、中層、底面となるに従い、好気→通性嫌気→嫌気となることにより、窒素やリンの除去効果が高くなる。
【0020】
本発明の水質浄化方法においては、前記炭素短繊維の表面に直径が10~200nmの略円形の凹部が形成されていること、が好ましい。炭素短繊維の表面に微小な凹部を形成させることで、炭素繊維三次元構造体の比表面積を更に向上させることができる。加えて、炭素短繊維同士の相互作用を向上させることができ、炭素繊維三次元構造体の強度を向上させることができる。なお、微小な凹部を形成させる方法は特に限定されないが、例えば、炭素短繊維を適当な条件で酸化することにより形成することができる。
【0021】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素繊維三次元構造体の厚さが3mm以上であること、が好ましい。炭素繊維三次元構造体の厚さを3mm以上とすることで、水質浄化に寄与する十分な数の微生物を確実に付着させることができる。
【0022】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素短繊維の表面がグラフェン構造を有する炭素ナノ構造体によって被覆され、前記炭素ナノ構造体に金属元素が含まれないこと、が好ましい。炭素短繊維の表面をグラフェン構造とすることで、構造をより複雑化させることができ、比表面積をより大きくすることができる。加えて、炭素短繊維同士の相互作用を向上させることができ、炭素繊維三次元構造体の強度を向上させることができる。また、炭素ナノ構造体に金属元素が含まれないことで、当該金属元素による水質汚染等を考慮する必要がない。
【0023】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノウォールであること、が好ましい。炭素短繊維の表面をカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノウォールとすることで、構造を更に複雑化させることができ、比表面積を更に大きくすることができる。加えて、炭素短繊維同士の相互作用をより向上させることができ、炭素繊維三次元構造体の強度をより向上させることができる。
【0024】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素繊維三次元構造体がカーボンフェルトの表面に形成されていること、が好ましい。炭素繊維三次元構造体がカーボンフェルトの表面に形成されていることで、炭素材全体の強度を向上させることができることに加え、取扱いが容易となる。
【0025】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素材が陰極となるように電圧を印加すること、が好ましい。炭素材が陰極となるように電圧を印加し、炭素短繊維に電気を流すことによって、水の電気分解の現象を活用することができる。具体的には、炭素短繊維の表面に活性化された酸素が生成され、菌類、バクテリア及び微生物等がより活性化される。
【0026】
また、炭素短繊維の表面が電気的に(-)であるため、イオン化した物質を吸着する能力が非常に高くなる。その結果、粘土鉱物等のイオン化されたコロイドを吸着することから、土粒子等の濁水から汚泥を多量に吸着し、濁水の透明度を高くすることができる。
【0027】
また、本発明の水質浄化方法においては、前記炭素繊維三次元構造体の内部の前記炭素繊維にも菌体を付着させること、が好ましい。例えば、炭素材を有する水質浄化材として炭素繊維を単純に編み込んだシート等を用いると、水質浄化に資する菌体を水質浄化材の表面にしか付着させることができない。これに対し、炭素繊維三次元構造体は平均長さ及び平均直径がそれぞれ100~3000μm及び5~15μmの微細な炭素短繊維が複雑に絡み合った構造を有しており、菌体が付着しやすいことから、水質浄化に資する菌体が炭素材の表面だけではなく三次元構造体内部の炭素繊維にも付着して菌同士がネットワークを形成し、構造体内部を埋め尽くした状況とすることができる。その結果、菌体の数が飛躍的に増加し、極めて効率的に水質浄化を行うことができる。また、表面に付着した菌体は構造体から剥離しやすいが、内部に付着した菌体は良好に担持されるため、外力が印加さる環境等においても水質浄化効率を維持することができる。
【0028】
更に、本発明の水質浄化方法においては、前記菌体に桿菌が含まれること、が好ましい。例えば、炭素材を有する水質浄化材としてカーボンフェルト等を用いた場合、球菌が付着することが多い。これに対し、理由は必ずしも明らかにはなっていないが、炭素繊維三次元構造体には桿菌を効率的に付着させることができる。球菌の場合と比較して、桿菌の付着には足場となる基材の距離が短いことが必要となるが、炭素繊維三次元構造体は炭素短繊維が複雑に絡み合い、隣接する炭素短繊維同士の距離や接点の距離が短いことから、桿菌が好適に付着するものと考えられる。桿菌は水質浄化に好ましいとされており、炭素繊維三次元構造体を用いることで効果的に水質浄化することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高い比表面積を有すると共に当該比表面積を制御可能な炭素材を用いた水質浄化方法であって、浄化効率及び適用自由度の高い水質浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の水質浄化方法で用いる炭素繊維三次元構造体の概略外観図である。
【図2】炭素ナノ構造体によって表面被覆した炭素短繊維4の概略断面図である。
【図3】炭素繊維三次元構造体2の製造方法の工程図である。
【図4】炭素短繊維4に表面改質を施す状況の一例を示す模式図である。
【図5】表面処理前の炭素短繊維のSEM写真である。
【図6】表面処理後の炭素短繊維のSEM写真である。
【図7】炭素繊維三次元構造体の側面写真である。
【図8】水質浄化装置の外観写真である。
【図9】水質浄化装置Aの上方からの外観写真である。
【図10】水質浄化装置Bの上方からの外観写真である。
【図11】水質浄化試験に用いた浄化槽内部の配置図である。
【図12】水質浄化試験開始から3日経過後の各浄化槽の外観写真である。
【図13】水質浄化試験開始から9日経過後の各浄化槽の外観写真である。
【図14】水質浄化試験開始から14日経過後の各浄化槽の外観写真である。
【図15】水質浄化装置Aの炭素繊維三次元構造体のSEM写真である。
【図16】水質浄化装置BのカーボンフェルトのSEM写真である。
【図17】水質浄化装置Aの炭素繊維三次元構造体のSEM写真である(1000倍)。
【図18】水質浄化装置Aの炭素繊維三次元構造体のSEM写真である(1500倍)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の水質浄化方法の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の一実施形態を示すに過ぎず、これらによって本発明が限定されるものではなく、また、重複する説明は省略することがある。

【0032】
(1)水質浄化方法
本発明は、炭素材を有する水質浄化材を汚濁水に浸漬させる水質浄化方法であって、炭素材に炭素短繊維同士が三次元的に絡み合った炭素繊維三次元構造体を用いることを特徴としている。

【0033】
図1に本発明の水質浄化方法で用いる炭素繊維三次元構造体の概略外観図を示す。炭素繊維三次元構造体2は、炭素短繊維4同士が三次元的に互いに絡み合って三次元構造体化したものである。基材6の表面に炭素短繊維4を吹き付けることで製造することができるが、基材6と炭素繊維三次元構造体2とは製造後に切り離してもよい。また、基材6をカーボンフェルトとすることで、そのまま炭素材として用いることができる。

【0034】
炭素短繊維4の平均長さ及び平均直径はそれぞれ100~3000μm及び5~15μmであり、炭素短繊維4の表面に直径が10~200nmの略円形の凹部が形成されていることが好ましい。

【0035】
また、炭素繊維三次元構造体2の厚さは3mm以上であることが好ましい。バンドル状の炭素長繊維を編み込む態様ではなく、炭素短繊維4同士を3次元的に絡み合わせることで構造体化(厚膜化)することは極めて困難であるが、炭素繊維三次元構造体2においては、例えば、炭素短繊維4の表面に凹部を形成させることで炭素短繊維4同士の絡み合いによる結合が容易となり、炭素繊維三次元構造体2の厚さを3mm以上とすることができる。

【0036】
炭素短繊維4を炭素ナノ構造体によって表面被覆した場合の炭素短繊維4の概略断面図を図2に示す。炭素短繊維4の表面には炭素ナノ構造体20が密に形成しており、炭素短繊維4の表面の全域を被覆した状態となっている。ここで、炭素ナノ構造体20は炭素短繊維4の表面近傍のCによって形成されていることから、炭素短繊維4と炭素ナノ構造体20は比較的良好な密着性を有している。

【0037】
炭素ナノ構造体20はナノメートルオーダーの大きさを有する炭素構造体であり、基本的にグラフェン構造を有している。炭素ナノ構造体20は特に限定されず、例えば、カーボンナノチューブ(単層又は多層)やグラフェンが数枚積層したカーボンナノウォールを挙げることができる。また、炭素ナノ構造体20は酸化されていてもよく、例えば、酸化された炭素ナノ構造体20としては、酸化グラフェンを挙げることができる。

【0038】
また、炭素ナノ構造体20には金属元素が含まれていない。一般的に、気相法では金属粒子を触媒として炭素ナノ構造体が形成されるが、炭素ナノ構造体20は、炭素短繊維4の表面近傍のCの切断及び再結合によって形成したものであり、金属元素は含まれていない。即ち、金属元素を内包する炭素ナノ構造体と比較して、優れた導電性等を有している。

【0039】
本発明の水質浄化方法においては、炭素繊維三次元構造体2を有する水質浄化材を汚濁水に浸漬させればよい。また必要に応じて、炭素繊維三次元構造体2が陰極となるように電圧を印加することが好ましい。炭素繊維三次元構造体2が陰極となるように電圧を印加し、炭素短繊維4に電気を流すことによって、水の電気分解の現象を活用することができる。具体的には、炭素短繊維4の表面に活性化された酸素が生成され、菌類、バクテリア及び微生物等がより活性化される。

【0040】
ここで、水質浄化に資する菌体は炭素短繊維4の表面に付着する。当該菌体が炭素繊維三次元構造体2の表面近傍に存在する炭素短繊維4の表面だけではなく、炭素繊維三次元構造体2の内部に存在する炭素短繊維4の表面にも付着して菌同士がネットワークを形成し、炭素繊維三次元構造体2の内部を埋め尽くした状況とすることができる。その結果、菌体の数が飛躍的に増加し、極めて効率的に水質浄化を行うことができる。

【0041】
また、炭素短繊維4の表面に付着する菌体には桿菌が含まれ、桿菌は球菌と比較して水質浄化能力が高いとされていることから、炭素繊維三次元構造体2を用いることで効果的に水質浄化することができる。炭素繊維三次元構造体2は炭素短繊維4が複雑に絡み合い、隣接する炭素短繊維4同士の距離や接点の距離が短いことから、桿菌が好適に付着するものと考えられる。

【0042】
また、炭素短繊維4の表面が電気的に(-)であるため、イオン化した物質を吸着する能力が非常に高くなる。その結果、粘土鉱物等のイオン化されたコロイドを吸着することから、土粒子等の濁水から汚泥を多量に吸着し、濁水の透明度を高くすることができる。

【0043】
なお、炭素繊維三次元構造体2を水質浄化材として用いることで、水質浄化の高効率化を図ることができるため、水質浄化ユニットを小型化することができる。その結果、狭い範囲にも水処理設備を設けることができ、震災時等に切望される小型排水処理施設を設けることも可能となる。

【0044】
(2)炭素繊維三次元構造体2の製造方法
図3に炭素繊維三次元構造体2の製造方法の工程図を示す。炭素繊維三次元構造体2の製造方法は、炭素短繊維4に対して熱処理及び/又は液相酸化法を用いた表面処理を施し、吹付用炭素短繊維を得る第一工程(S01)と、エアロゾルデポジション法を用いて吹付用炭素短繊維を基材に吹き付ける第二工程(S02)と、を有している。以下、これらの各工程について詳しく説明する。

【0045】
(2-1)炭素短繊維への前処理工程(S01:第一工程)
第一工程(S01)は、炭素短繊維4に対して熱処理及び/又は液相酸化法を用いた表面処理を施し、吹付用炭素短繊維を得るための工程である。

【0046】
炭素短繊維4は長さが3cm以下の繊維を意味し、1cm以下であることが好ましく、100~3000μmであることがより好ましい。また、炭素短繊維4の直径は5~15μmである。

【0047】
更に、炭素短繊維4の平均長さは100~3000μmである。炭素短繊維4の平均長さを100μm以上とすることで炭素短繊維4同士が互いに三次元的に絡み合って効率的に三次元構造体化することができる。また、平均長さを3000μm以下とすることで、炭素短繊維4の局所的な凝集を抑制することができると共に、三次元的に連続する絡み合いを実現することができ、均質な三次元構造体を形成することができる。

【0048】
熱処理は炭素短繊維4の表面に多数の微小な凹部を形成させるための処理であり、当該凹部が形成される限りにおいて処理条件は特に限定されないが、熱処理を酸素含有雰囲気下とし、熱処理温度を500~700℃とすることが好ましく、熱処理温度を550~650℃とすることがより好ましい。当該熱処理によって炭素短繊維4の表面が適度に酸化され、所望する凹部を効率的に形成させることができる。ここで、処理温度を500℃以上とすることで炭素短繊維4表面の酸化を進行させることができ、700℃以下とすることで急激な酸化による炭素短繊維4の損傷を抑制することができる。

【0049】
なお、当該熱処理は、一般的な電気炉を用いることで実施することができる。酸素含有雰囲気は大気であってもよいが、例えば、アルゴンに適量の酸素を混合して雰囲気中の酸素含有量を調整することで、炭素短繊維4表面の酸化の進行を制御することができる。

【0050】
また、第一工程(S01)における液相酸化法を用いた表面処理には、硝酸処理、過酸化水素水や次亜塩素酸ソーダでの高温酸化処理(50~80℃)、及び電解質(硫酸、苛性ソーダ、硫酸アンモニウム、食塩等)での電解酸化処理方法等を用いることができ、特に、硝酸を用いた表面処理を施すことが好ましい。当該条件で炭素短繊維4の表面処理を行うことで、炭素短繊維4表面の電荷分布をランダム化することができる。当該電荷分布によって炭素短繊維4同士が適度に絡み合うことにより、効率的に三次元構造体化を進めることができる。

【0051】
(2-2)基材への吹付工程(S02:第二工程)
第二工程(S02)は、第一工程(S01)において熱処理及び/又は液相酸化法を用いた表面処理を施した炭素短繊維4をエアロゾルデポジション法により基材に吹き付ける工程である。

【0052】
第二工程(S02)で用いるエアロゾルデポジション法は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知のエアロゾルデポジション法を広く使用することができるが、基材に炭素短繊維4を50~200m/secの速度で吹き付けることが好ましい。吹付速度を50m/sec以上とすることで炭素短繊維4同士を十分に絡み合わせることができ、200m/sec以下とすることで炭素短繊維4の局所的な凝集を抑制することができる。

【0053】
なお、エアロゾルデポジション法の一般的な態様は、吹付装置を用いて炭素短繊維4を基材に吹き付けるものである。吹付装置はキャリアガスとともに炭素短繊維4を噴射ノズルから噴き出すものであり、基材と吹付装置とは、減圧可能としたチャンバ内で吹付装置の噴射ノズルを基材に向けて配置される。ここで、例えば、チャンバ内を1000Pa以下の減圧環境とすることで、基材へ炭素短繊維4を吹き付けることができる。

【0054】
また、噴射ノズルは、炭素短繊維4の吹き付け方向を基材の面方向と直交する方向とし、当該基材をX-Yテーブル等の移動手段によって炭素短繊維4の吹き付け方向と直交する方向に移動可能させ、スキャニングを行うことで、面状の炭素繊維三次元構造体2を製造することができる。なお、噴射ノズルを移動させることでスキャニングを行い、炭素短繊維4を基材に面状に吹き付けてもよい。

【0055】
また、基材6は従来公知の種々の基材を用いることができるが、フェルト等の不織布を用いることが好ましい。基材6に不織布を用いた場合、吹き付けられた炭素短繊維4は当該不織布の空隙部分に刺し込まれると共に、不織布の繊維と炭素短繊維4とが互いに絡み合って強固に接合することから、三次元構造体を効率的に製造することができる。

【0056】
(3)炭素短繊維4の表面改質方法(炭素ナノ構造体20の生成方法)
炭素短繊維4の表面には、炭素ナノ構造体20を形成させることが好ましい。以下、炭素ナノ構造体20の形成方法について詳しく説明する。

【0057】
炭素短繊維4に表面改質を施す状況の一例を模式的に図4に示す。マイクロ波発生装置32にガラス管34が挿入され、アルミナボート36に入れられた炭素短繊維4がガラス管34の内部に配置されている。また、ガラス管34にはガス流入口40及びガス流出口42が設けられ、ガラス管34の内部はガス雰囲気となっている。

【0058】
炭素ナノ構造体20は、炭素短繊維4をマイクロ加熱するのみでは生成されず、ガスプラズマを利用することが必要である。炭素短繊維4がマイクロ波加熱されると同時にガラス管34の内部に存在するガスの発光過程で発生する紫外線によって、炭素短繊維4の表面近傍のC=C結合が切断される結果、炭素短繊維4の表面にグラフェン構造を有する炭素ナノ構造体20(カーボンナノチューブ、グラフェン及び酸化グラフェン等)が密に形成される。

【0059】
ガスの発光過程で発生する紫外線によって炭素短繊維4の表面のC=C結合が切断される限りにおいて、ガラス管34に充填又は流通させるガスの種類は限定されないが、空気、アルゴン、ヘリウム、窒素及び二酸化炭素のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。これらのガスは1種で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。空気、アルゴン、ヘリウム、窒素及び二酸化炭素のいずれかにマイクロ波を照射することで、炭素短繊維4表面近傍のC=C結合の切断に寄与する紫外線を効率的に発生させることができる。

【0060】
ガラス管34内部のガス圧力やガス流量は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、所望する炭素短繊維4の表面状態に応じて適宜調整すればよいが、ガラス管34内部の総圧を1000Pa未満とすることが好ましい。ガラス管34内部を1000Paとしてマイクロ波を照射することで、炭素短繊維4表面近傍のC=C結合の切断に寄与する紫外線を効率的に発生させることができる。

【0061】
マイクロ波はマイクロ波発生装置32によって発生させ、炭素短繊維4及びガラス管34内部のガスに照射する。ここで、マイクロ波とは、波長が100μm~1mの範囲内であり、周波数が30MHz~3THzの電磁波を意味する。マイクロ波発生装置32としては、例えば、汎用の電子レンジを用いることができる。

【0062】
炭素短繊維4の表面改質に用いるマイクロ波の出力については特に限定されず、炭素短繊維4の挿入量(処理量)、処理速度及び所望の表面状態等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10mgの炭素短繊維4を処理する場合は10W~1000Wとすることが好ましく、100W~800Wとすることがより好ましい。

【0063】
マイクロ波の照射時間についても特に限定されず、炭素短繊維4の挿入量(処理量)、処理速度及び所望の表面状態等に応じて適宜調整すればよいが、10秒~10分とすることが好ましく、1分~5分とすることがより好ましい。処理時間を10秒~10分の範囲で長くすると、炭素短繊維4の表面に形成される炭素ナノ構造体20の生成量が増加して密度が高くなるが、処理時間を10分以上とすると炭素短繊維4の損傷が大きくなることに加えて、生成した炭素ナノ構造体20も損傷してしまう場合がある。

【0064】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。

【0065】
以下、実施例において本発明の水質浄化方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
1.炭素繊維三次元構造体の製造
炭素短繊維としてPAN系の炭素短繊維(東レ株式会社製,トレカMLD-300)を使用した。当該炭素短繊維の平均長さは130μmであり、平均繊維径は7μmである。
【実施例】
【0067】
当該炭素短繊維を80℃の硝酸に10時間浸漬させ、表面処理を施した(第一工程)。表面処理前後の炭素短繊維のSEM写真を図5及び図6にそれぞれ示す。硝酸による表面処理によって炭素短繊維の直径は変化しておらず、表面が清浄化されている様子が確認できる。
【実施例】
【0068】
表面処理後の炭素短繊維を50g秤量し、エアロゾルデポジション法を用いてカーボンフェルト基材に吹き付けた(第二工程)。ここで、エアロゾルデポジションはキャリアガスにNガスを用い、0.5~1.5L/minの流量で内径10mmの円管ノズルから炭素短繊維を吹き出し、10~40Pa程度に減圧したチャンバ内の基材に対して3~5分間吹き付けた。なお、噴射ノズルの先端から基材までの距離は15mmとし、噴射ノズルは基材に対して垂直に配置した。
【実施例】
【0069】
基板上に厚さ8mmの炭素繊維三次元構造体を形成させた場合の側面写真を図7に示す。バインダー等を用いることなく、炭素短繊維同士が絡み合うことで複雑な三次元構造が形成されている。なお、水質浄化試験の水質浄化材としては、カーボンフェルト基材の表面に3~4mm厚の炭素繊維三次元構造体を形成した電極を用いた。
【実施例】
【0070】
電極の製造に関して、より具体的には、基材となるカーボンフェルト(e-4-1 日本カーボン製,GF-20,A4サイズ,見かけの厚さ2mm)を幅20mm、長さ100mmの短冊状に切断し、短冊状にしたカーボンフェルト表面に幅10mm、長さ80~90mm、高さ3~4mmの炭素繊維三次元構造体を形成させた。
【実施例】
【0071】
また、当該短冊状の試料を12枚作製した後、カーボンフェルト側面同士を貼り合わせ、幅240mm、長さ100mmの電極とした。なお、比較として、カーボンフェルトを同様にして短冊状に切断し、側面を接着剤で張り合わせることで同じ大きさ及び形状の比較電極を作製した。
【実施例】
【0072】
2.水質浄化試験
図8に示す3つの水質浄化装置を用い、水質浄化試験を行った。なお、水質浄化装置Aの電極(水質浄化材)には炭素繊維三次元構造体を形成させたカーボンフェルトを用い、水質浄化装置Bの電極(水質浄化材)にはカーボンフェルトのみを用いた。なお、水質浄化装置Cには電極(水質浄化材)を配置せず、ブランクとして評価した。水質浄化装置A及びBの上方からの外観写真を図9及び図10にそれぞれ示す。また、水質浄化試験に用いた浄化槽内部の配置図を図11に示す。
【実施例】
【0073】
水質浄化試験は極めて簡便であり、上記の電極(水質浄化材)を配置した浄化槽に人工的に着色した人工廃水を給水し、エアバブリングを行った状態で任意の時間放置し、浄化槽中の人工廃水の透明度を評価した。
【実施例】
【0074】
具体的には、人口廃水の供給量が24L/8時間となるように、定量ポンプを用いて50ml/分の給水速度で給水した。また、人工廃水と炭素繊維3次元構造体が接触するように、エアバブリングを施して浄化槽内で乱流を生じさせた。浄化槽の容量は24Lであることから、流入した人工廃水は浄化槽内において8時間滞留後に排出されることになる。なお、一般的な廃水処理場における汚水の滞留時間が8~12時間であることから、8時間の滞留時間を設定した。また、汚れ-=濁り-=色度(透明度)という観点から、汚水は透明度が低くなることから、透明度によって浄化能力の差異を評価した。
【実施例】
【0075】
水質浄化試験開始から3日経過後の各浄化槽の外観写真を図12に示す。炭素繊維三次元構造体を用いた水質浄化装置Aでは、その他と比較して透明度が高くなっており、優れた浄化能を有していることが分かる。また、炭素繊維三次元構造体の表面には、菌叢に起因する白色物質の付着が確認された。
【実施例】
【0076】
より具体的には、水質浄化装置Aの浄化槽ではエアーストーンの全体が確認できる程度に透明度が高くなっているが、水質浄化装置B及びCの浄化槽では、エアーストーンの前方の一部分のみしか視認できない。人工廃水は着色されており、浄化に伴って透明になっていくことから、水質浄化槽Aでの浄化能力が高いことが確認された。
【実施例】
【0077】
水質浄化試験開始から9日経過後及び14日経過後の各浄化槽の外観写真を図13及び図14にそれぞれ示す。いずれの場合においても、透明度は水質浄化装置A→水質浄化装置B→水質浄化装置Cの順に高くなっており、本発明の水質浄化方法の優位性が明確に確認された。
【実施例】
【0078】
水質浄化開始から1日経過後、15日経過後及び16日経過後における、水質浄化装置A、水質浄化装置B、水質浄化装置Cの濁度の変化を表1、表2及び表3にそれぞれ示す。なお、各表に示した値(濁度)の単位は日本工業規格で規定された「度」であり、水1L中に微粒子の粉末(カオリン)1mgが十分攪拌された状態の濁り具合が1度となる。ここで、濁度の測定には携帯用濁度計TB250WLを用い、3回の測定を行って平均値を求めた。水質浄化開始から1日経過後は水質浄化装置A及び水質浄化装置Bの濁度は変わらないものの、15日経過後及び16日経過後では、水質浄化装置Aの人工汚水の濁度が最も低い値を示している.当該結果より、炭素繊維三次元構造体はカーボンフェルトよりも水質浄化に関して優位であることが分かる。
【実施例】
【0079】
【表1】
JP2019162614A_000002t.gif
【実施例】
【0080】
【表2】
JP2019162614A_000003t.gif
【実施例】
【0081】
【表3】
JP2019162614A_000004t.gif
【実施例】
【0082】
水質浄化開始から16日経過後における、水質浄化装置Aの炭素繊維三次元構造体及び水質浄化装置BのカーボンフェルトのSEM写真を図15及び図16にそれぞれ示す。なお、炭素繊維三次元構造体及びカーボンフェルトは凍結乾燥させた後、低真空環境下でSEM観察を行った。炭素繊維三次元構造体においては、水質浄化に資する菌体が炭素材の表面だけではなく三次元構造体内部の炭素繊維にも付着して菌同士がネットワークを形成し、構造体内部を埋め尽くした状況となっていることが確認できる。一方で、カーボンフェルトの場合は菌体がカーボンフェルトの表面のみに付着しており、内部への付着は認められない。また、カーボンフェルトの表面から剥離した領域が観察される。
【実施例】
【0083】
また、水質浄化開始から16日経過後における水質浄化装置Aの炭素繊維三次元構造体に関して、付着した菌の種類を確認するために、より高倍率でのSEM観察を行った。1000倍でのSEM写真及び1500倍でのSEM写真を図17及び図18にそれぞれ示す。各SEM写真において、桿菌の付着が観察された(写真中に丸で囲った領域)。
【実施例】
【0084】
桿菌は棒状又は円筒形の細菌であり、桿菌のなかで細長いものは長桿菌、短くて球菌に近いものは短桿菌と称呼される。また、桿菌には両端が切断されたように切り立ったものや、丸みを帯びたものが存在する。図17及び図18のSEM写真では、円筒形の細長い長桿菌(粘着物質内に存在する半透明状の細長い楕円形のもの)が炭素繊維上に確認される。なお、桿菌は炭素繊維表面上で増殖し、粘着物質を出してネットワークを形成して炭素繊維三次元構造体の内部を含む炭素繊維全体を被覆する。
【符号の説明】
【0085】
2・・・炭素繊維三次元構造体、
4・・・炭素短繊維、
6・・・基材、
20・・・炭素ナノ構造体、
32・・・マイクロ波発生装置、
34・・・ガラス管、
36・・・アルミナボート、
40・・・ガス流入口、
42・・・ガス流出口。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
12
【図14】
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【図15】
14
【図16】
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【図17】
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【図18】
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