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Specification :(In Japanese)遠心分離装置、液滴生成方法及びゲルビーズ

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-181381A
Date of publication of application Oct 24, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)遠心分離装置、液滴生成方法及びゲルビーズ
IPC (International Patent Classification) B04B   5/02        (2006.01)
B01J   2/04        (2006.01)
B01J  13/04        (2006.01)
B01J  13/14        (2006.01)
C08J   3/12        (2006.01)
C08J   3/24        (2006.01)
FI (File Index) B04B 5/02 A
B01J 2/04
B01J 13/04
B01J 13/14
C08J 3/12 101
C08J 3/24 Z
Number of claims or invention 11
Filing form OL
Total pages 15
Application Number P2018-076379
Date of filing Apr 11, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】尾上 弘晃
【氏名】倉科 佑太
Applicant (In Japanese)【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
Representative (In Japanese)【識別番号】100127384、【弁理士】、【氏名又は名称】坊野 康博
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4D057
4F070
4G004
4G005
F-term 4D057AB03
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4D057AC05
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4F070AA01
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4G005AA01
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4G005BA01
4G005BA20
4G005BB19
4G005CA07
4G005DB12Z
4G005DD05X
4G005DD07X
4G005DD37X
4G005EA03
4G005EA09
Abstract (In Japanese)【課題】材料選択の自由度を高めつつ、より簡便に微小なゲルビーズを生成すること。また、遠心分離される材料に対して遠心力による作用の他に加えることができる物理的な作用の種類を拡大すること。
【解決手段】液滴生成装置1は、遠心分離ユニット20と、電力供給部22aと、LED102a,102bとを備える。遠心分離ユニット20は、材料(2.5%(w/w)NaAlg水溶液と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液の混合溶液)を設置した回転体(ロータ22)を回転させることにより材料に遠心力を加える。電力供給部22aは、遠心分離ユニット20の回転体内に電力を供給する。LED102a,102bは、電力供給部22aによって供給された電力によって、遠心分離される材料に遠心力以外の付加的な物理的作用を加える。
【選択図】図2
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
材料を設置した回転体を回転させることにより前記材料に遠心力を加える遠心分離部と、
前記遠心分離部の前記回転体内に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部によって供給された電力によって、遠心分離される前記材料に遠心力以外の付加的な物理的作用を加える作用付加部と、
を備えることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項2】
前記遠心分離部は、刺激応答性材料を含む前記材料が充填された管状部材から前記材料の液滴を射出させ、
前記作用付加部は、射出された前記材料の液滴に、前記遠心力以外の付加的な物理的作用を加えて、前記液滴の状態を変化させることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離装置。
【請求項3】
前記作用付加部は、射出された前記材料の液滴に、前記遠心力以外の付加的な物理的作用を加えることにより、前記刺激応答性材料を硬化させ、前記刺激応答性材料を含むゲルビーズを生成することを特徴とする請求項2に記載の遠心分離装置。
【請求項4】
前記作用付加部は、前記電力供給部によって供給された電力によって、前記材料に光を照射することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項5】
前記作用付加部は、前記電力供給部によって供給された電力によって、前記材料の温度を変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項6】
前記作用付加部は、前記電力供給部によって供給された電力によって、前記材料に電磁力を加えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項7】
前記電力供給部は、前記回転体の回転軸の部分にスリップリングを備え、
前記回転体の外部から供給される電力を、前記スリップリングを介して前記回転体内に電力を供給することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項8】
前記電力供給部は、前記回転体内にバッテリを備え、
前記バッテリから供給される電力を、前記回転体内に供給することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項9】
前記電力供給部は、前記回転体側に電磁誘導のためのコイルを備え、
前記回転体の外部から前記コイルに印加された電磁力によって発生した電力によって、前記回転体内に電力を供給することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
【請求項10】
刺激応答性材料を含む材料が充填された管状部材を、回転体に設置して回転させることにより、遠心力によって前記管状部材から前記材料の液滴を射出させる遠心分離ステップと、
前記遠心分離ステップにおいて、前記回転体内に電力を供給する電力供給ステップと、
前記電力供給ステップにおいて供給された電力によって、射出された前記材料の液滴に、遠心力以外の付加的な物理的作用を加えて、前記液滴の状態を変化させる作用付加ステップと、
を含むことを特徴とする液滴生成方法。
【請求項11】
刺激応答性材料からなるゲルを核とし、前記刺激応答性材料よりも硬化が早い高分子材料を外殻とする構造を有することを特徴とするゲルビーズ。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離装置、液滴生成方法及びゲルビーズに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロゲルからなるマイクロゲルビーズ(微小なゲルビーズ)は水を含む高分子ネットワークで生成されており、温度応答性や光応答性等の高分子自身の多様な特性を活かしたまま、マイクロスケールの構造物を形成することができる。このようなマイクロゲルビーズは、ドラッグデリバリーや細胞培養、アクチュエータとして用いることができ、材料科学・ソフトロボティクス・生命科学・医療等への応用展開が可能となる。
ハイドロゲルマイクロビーズを生成する方法として、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載された方法が知られている。
非特許文献1には、マイクロ流路内でシリコーンオイル中にモノマーの液滴を流し、マイクロ流路の途中で紫外線を照射して光重合することで、様々な機能を有するマイクロゲルビーズを生成するデバイスが記載されている。
また、非特許文献2には、微細ガラス管とマイクロチューブを用いたデバイスを製作し、マイクロシリンジなどの送液用の機器を用いることなく、遠心分離機によりアルギン酸のゲルビーズをCaCl2に滴下することでマイクロゲルビーズを生成するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Md. Taifur Tahman, et al., “Monodisperse Polymeric Ionic Liquid Microgel Beads with Multiple Chemically Switchable Functionalities,” Langmuir, 29, 9535-9543 (2013).
【非特許文献2】K Maeda, et al., “Controlled Synthesis of 3D Multi-Compartmental Particles with Centrifuge-Based Microdroplet Formation from a Multi-Barrelled Capillary,” Adv. Mater., 24, 1340-1346 (2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の技術においては、マイクロ流路内でシリコーンオイルを用いてマイクロゲルビーズを生成している。このとき、マイクロゲルビーズを生成するための流路は比較的自由に構成することができるため、光重合等を用いることで様々な機能をマイクロゲルビーズに付加することができる可能性がある。しかしながら、非特許文献1に記載された技術では、マイクロゲルビーズはシリコーンオイル内に生成されるため、水溶液内で使用するにはマイクロゲルビーズを生成後に洗浄する必要があり、生成プロセスが複雑になるという問題がある。
また、非特許文献2に記載の技術においては、遠心分離機に微細ガラス管とマイクロチューブを用いることで、マイクロ流路を用いることなくCaCl2溶液内にマイクロゲルビーズを生成することができる。これにより、マイクロゲルビーズを生成後に洗浄するプロセス等を必要とせずに、水溶液中に簡便にマイクロゲルビーズを生成することが可能となる。しかしながら、非特許文献2に記載された技術においては、マイクロゲルビーズを遠心分離機内で生成することから、アルギン酸を主材として用いたマイクロゲルビーズのみしか生成することができず、マイクロゲルビーズに様々な機能を付与することが困難である。
なお、遠心分離機を用いて材料を処理する場合、遠心分離機のロータが高速回転することから、外部からロータ内部に物理的な作用を施すことは容易ではなく、従来の遠心分離機では、ロータ内部の材料に加えることができる物理的な作用が限られている。
このように、従来の技術においては、材料選択の自由度を高めつつ、簡便に微小なゲルビーズを生成することが困難であった。また、従来の技術においては、遠心分離される材料に対して遠心力による作用の他に加えることができる物理的な作用の種類が限られていた。
【0005】
本発明は、材料選択の自由度を高めつつ、より簡便に微小なゲルビーズを生成することを1つの目的とする。また、本発明は、遠心分離される材料に対して遠心力による作用の他に加えることができる物理的な作用の種類を拡大することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の遠心分離装置は、
材料を設置した回転体を回転させることにより前記材料に遠心力を加える遠心分離部と、
前記遠心分離部の前記回転体内に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部によって供給された電力によって、遠心分離される前記材料に遠心力以外の付加的な物理的作用を加える作用付加部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、材料選択の自由度を高めつつ、より簡便に微小なゲルビーズを生成することができる。また、本発明によれば、遠心分離される材料に対して遠心力による作用の他に加えることができる物理的な作用の種類を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る液滴生成装置の構成を示す模式図である。
【図2】電力供給部の構成例を示す模式図である。
【図3】試料容器の外観構成例を示す模式図である。
【図4】試料容器の内部構造例を示す模式図である。
【図5】遮蔽部材の構成を示す模式図である。
【図6】液滴生成装置によってマイクロゲルビーズを生成する工程を示すフローチャートである。
【図7】マイクロゲルビーズの生成状態を示す顕微鏡写真である。
【図8A】マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、外殻の断面積の測定結果を示す図である。
【図8B】マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、核の断面積の測定結果を示す図である。
【図8C】マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、外殻のフェレー径の測定結果を示す図である。
【図8D】マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、核のフェレー径の測定結果を示す図である。
【図8E】マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、マイクロゲルビーズの収縮率を示す図である。
【図9】実験1~3の各過程におけるマイクロゲルビーズに加熱を繰り返した状態を示す顕微鏡写真である。
【図10A】マイクロゲルビーズの収縮性を示す図であり、マイクロゲルビーズの断面積の測定結果を示す図である。
【図10B】マイクロゲルビーズの収縮性を測定した実験結果を示す図であり、マイクロゲルビーズのフェレー径の測定結果を示す図である。
【図10C】マイクロゲルビーズの収縮性を測定した実験結果を示す図であり、マイクロゲルビーズの外殻の収縮率、核の収縮率及びリアーゼ後の収縮率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[本発明の基本的概念]
本発明に係る液滴生成方法では、遠心分離による送液によって、光応答性ゲルを含む高分子材料で構成された液滴を生成する。例えば、遠心分離による送液によって、光応答性ゲルを核とし、外殻を高分子材料で構成された液滴を生成する。この場合、外殻の高分子材料として、核となる光応答性ゲルよりもネットワークの形成(硬化)が早い材料を用いることが好適である。
そして、生成された液滴に紫外線を照射することにより、光応答性ゲルを光重合(硬化)させる。光応答性ゲルを核とし、外殻を高分子材料で構成された上述の液滴の場合には、紫外線を照射することにより、外殻の高分子材料で形状が維持された状態の内部の光応答性ゲルが光重合(硬化)する。
これにより、材料をアルギン酸等に制約されることなく、微小なゲルビーズ(例えば、直径1~1000[μm]程度のマイクロゲルビーズ)を簡便に生成することができる。
このような液滴生成方法は、光応答性ゲルを含む高分子材料に広く適用することができる。上述のように、光応答性ゲルを核とし、外殻を高分子材料で構成された液滴とする場合には、核となる各種光応答性ゲルと、外殻となる各種高分子材料との種々の組み合わせに適用することが可能であり、外殻の高分子材料よりも核となる光応答性ゲルの分子の大きさが小さい場合に、特に有効である。
以下、本発明の一実施形態について具体的に説明する。

【0010】
[液滴生成装置]
図1は、本実施形態に係る液滴生成装置1の構成を示す模式図である。
図1に示す液滴生成装置1は、本発明に係る遠心分離装置を微小なゲルビーズ(マイクロゲルビーズ)を生成するための装置として構成した例を示している。以下、p(NIPAM)を核とし、NaAlgを外殻とするマイクロゲルビーズを生成する場合を例として説明する。

【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る液滴生成装置1は、制御ユニット10と、遠心分離ユニット20とを備えている。
制御ユニット10は、PC(Personal Computer)またはPLC(Programamable Logic Controller)等の情報処理装置によって構成される。制御ユニット10は、遠心分離ユニット20における遠心分離動作の制御や、後述するLEDによる紫外光の照射の制御を実行する。

【0012】
遠心分離ユニット20は、筐体21と、ロータ22と、駆動用モータ23とを備えている。
筐体21は、ロータ22及び駆動用モータ23を収容するケース部材を構成している。本実施形態において、遠心分離ユニット20の主要な構成は筐体21内に設置され、遠心分離ユニット20と制御ユニット10とは、別体のユニットとして構成される。なお、制御ユニット10を遠心分離ユニット20と一体に構成することとしてもよい。
ロータ22は、遠心分離を行う試料を収容した遠沈管等の試料容器100が設置される回転体であり、遠心分離を行う場合に、駆動用モータ23によって回転される。
本実施形態において、ロータ22は、回転中にロータ22内に電力を供給可能な電力供給部22aを備えている。

【0013】
図2は、電力供給部22aの構成例を示す模式図である。
図2に示すように、ロータ22は、電力供給部22aとして、筐体21に対して回転可能に支持される回転軸の部分に、スリップリングからなる電力供給ラインを備えている。このような構成の場合、例えば、導電性材料からなる回転軸を筐体21側に設置し、導電性材料からなり、回転軸に接触しながら回転する接触子をロータ22側に設置することで、ロータ22内に電力を供給することが可能となる。なお、導電性材料からなる回転軸をロータ22側に設置し、導電性材料からなる接触子を筐体21側に備えることとしてもよい。
駆動用モータ23は、制御ユニット10の制御信号に従って、ロータ22を回転駆動する。本実施形態において、駆動用モータ23は、例えば、ロータ22内の遠沈管等の試料容器100に1500G程度の遠心力を付与するようにロータ22を回転駆動する。

【0014】
[試料容器の構成]
次に、本実施形態に係る液滴生成装置1で用いられる試料容器100について説明する。
図3は、試料容器100の外観構成例を示す模式図である。また、図4は、試料容器100の内部構造例を示す模式図である。なお、図4は、試料容器100の断面構造として内部構造を示している。
図3及び図4に示すように、本実施形態における試料容器100は、遠沈管を用いて構成され、マイクロチューブ101と、LED102a,102bと、キャップ103とを備えている。

【0015】
マイクロチューブ101は、試料容器100内に、試料容器100と同軸に固定された管状の容器である。
具体的には、図4に示すように、マイクロチューブ101は、内部にガラス管101aと、遮蔽部材101bとを備えている。

【0016】
ガラス管101aは、マイクロチューブ101内にマイクロチューブ101と同軸に固定されている。即ち、遠心力が加えられた場合に、マイクロチューブ101及びガラス管101aは、試料容器100に対して相対的に移動しない構成となっている。
また、ガラス管101a内には、2.5%(w/w)NaAlg水溶液(2.5%アルギン酸ナトリウム溶液)と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液(10%ポリN-イソプロピルアミド溶液)の混合溶液が充填され、遠心分離が行われた場合、ガラス管101aの射出口(遠心分離時に外周側となる開口部)から、2.5%(w/w)NaAlg水溶液(2.5%アルギン酸ナトリウム溶液)と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液(10%ポリN-イソプロピルアミド溶液)によって構成される液滴が射出される。この液滴は、ガラス管101aからの射出直後に、NaAlg水溶液がp(NIPAM)水溶液の周囲を覆う構造となる。即ち、ガラス管101aから射出された液滴は、p(NIPAM)水溶液の核をNaAlg水溶液の外殻が保護する構造となっている。
なお、マイクロチューブ101の管底には、CaCl2水溶液が貯留されている。このCaCl2水溶液の貯留槽は、ガラス管101aの射出口から射出された液滴を貯留する貯留部Pとなる。
遮蔽部材101bは、LED102a,102bの照射光からガラス管101aの射出口を遮蔽する。

【0017】
図5は、遮蔽部材101bの構成を示す模式図である。
図5に示すように、遮蔽部材101bは、ガラス管101aの射出口にLED102a,102bの照射光が照射されないよう遮蔽する構成となっている。
遮蔽部材101bにより、ガラス管101aの射出口において、LED102a,102bからの光でp(NIPAM)が硬化することを抑制できるため、ガラス管101aの詰まりが生じることを防止できる。

【0018】
LED102a,102bは、制御ユニット10の制御信号に従って、ガラス管101aの射出口から射出された液滴に紫外光(ここでは、波長325[nm]の深紫外光とする。)を照射する。
具体的には、LED102aは、ガラス管101aの射出口から射出され、空気中を移動している液滴に紫外光を照射する。また、LED102bは、貯留部P内に到達した液滴に紫外光を照射する。なお、ここでは、空気中を移動する液滴及び貯留部P内に到達した液滴の両方に紫外光を照射することとしたが、液滴を光硬化させることができれば、照射する紫外光の強さや照射方向(空気中で、対向する2方向から照射する等)を調整することにより、他の形態で紫外光を照射することとしてもよい。
LED102a,102bによって紫外光を照射された液滴は、p(NIPAM)の核をNaAlgの外殻が保護するマイクロゲルビーズの形態を安定して構成するものとなる。

【0019】
キャップ103は、試料容器100の開口部を塞ぐカバー部材である。また、キャップ103には、電力供給部22aから供給された電力をLED102a,102bに伝達するための導線を通す貫通穴が形成されている。

【0020】
[動作]
次に、液滴生成装置1の動作を説明する。
図6は、液滴生成装置1によってマイクロゲルビーズを生成する工程(マイクロゲルビーズ生成工程)を示すフローチャートである。
初めに、ガラス管101aに2.5%(w/w)NaAlg水溶液(2.5%アルギン酸ナトリウム溶液)と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液(10%ポリN-イソプロピルアミド溶液)の混合溶液を充填する(工程S1)。

【0021】
そして、このガラス管101aをマイクロチューブ101内にセットし、さらにマイクロチューブ101を試料容器100内にセットする。このとき、マイクロチューブ101の管底には、CaCl2水溶液が貯留される(工程S2)。
次に、試料容器100を遠心分離ユニット20のロータ22にセットする(工程S3)。

【0022】
続いて、制御ユニット10において、遠心分離ユニット20の遠心力や処理時間、及び、紫外線の照射に関する設定等を行う(工程S4)。なお、本実施形態においては、LED102a,102bそれぞれを間欠的に駆動制御(例えば、PWM制御)することにより、目的とする光量の紫外線を液滴に照射するものとする。
そして、制御ユニット10において、遠心分離ユニット10の回転及びLED102a,102bの駆動制御の実行を指示する(工程S5)。

【0023】
すると、遠心分離ユニット20のロータ22が回転し、試料容器100内において、ガラス管101aからp(NIPAM)水溶液を核とし、NaAlg水溶液が外殻となった液滴が射出される(工程S6)。
このとき、ロータ22の電力供給部22aを介して、ロータ22の外部からロータ22の内部にあるLED102a,102bに電力が供給される(工程S7)。

【0024】
そして、電力を供給されたLED102aは、ガラス管101aの射出直後の空気中にある液滴に対して、紫外光を照射する(工程S8)。
これにより、空気中を移動する液滴において、p(NIPAM)の光重合が進行し、空気中において液滴が硬化する。

【0025】
また、空気中で硬化が進行した液滴は、貯留部PにおいてCaCl2水溶液中に貯留される(工程S9)。
このとき、電力供給部22aを介して電力を供給されたLED102bは、貯留部P内に貯留された液滴に対して、紫外光を照射する(工程S10)。
これにより、貯留部Pに貯留された液滴において、p(NIPAM)の光重合が進行し、貯留部P内において液滴が硬化する。

【0026】
このような処理の結果、貯留部Pに貯留された液滴は、硬化したp(NIPAM)を核とし、外殻をNaAlgで構成されたマイクロゲルビーズとなる。

【0027】
[効果]
2.5%(w/w)NaAlg水溶液と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液の混合溶液をガラス管101a内に充填した上、マイクロチューブ101内に設置し、遠心分離(1500G)を行った。その際、紫外線の照射には狭域型LED(照射範囲の角度が約6度)と広域型LED(照射範囲の角度が約数十度)の2種類をLED102a,102bとして用いた。
また、NaAlg水溶液とp(NIPAM)水溶液の混合比を3:1、1:1、1:3として実験を行った。

【0028】
図7は、マイクロゲルビーズの生成状態を示す顕微鏡写真である。
また、図8A~図8Eは、マイクロゲルビーズの大きさを示す図であり、図8Aは外殻の断面積の測定結果を示す図、図8Bは核の断面積の測定結果を示す図、図8Cは外殻のフェレー径の測定結果を示す図、図8Dは核のフェレー径の測定結果を示す図、図8Eはマイクロゲルビーズの収縮率を示す図である。なお、図8A~図8Eのサンプル数は50個である。
なお、図7の実験では、回転数1000[rpm]、遠心時間120[s]、UV照射時間120[s]として、ガラス管101aから射出された液滴に紫外線を照射した例を示している。また、紫外線の照射パターンは、Duty比を100[%]、50[%]、0[%]とした。Duty比100[%]とは、継続的な紫外線の照射であり、Duty比50[%]とは、紫外線を10[ms]中、5[ms]点灯し、5[ms]消灯することで、擬似的に半分の光量の紫外線を照射するものである。また、Duty比0[%]とは、ガラス管101aから液滴を射出する際には紫外線を照射せず、CaCl2水溶液中に貯留された後に紫外線を照射するものである。
図7及び図8A~図8Eを参照すると、Duty比が100[%]の場合に比べ、Duty比が50[%]の場合には、マイクロゲルビーズが生成されるものの、核が小さくなると共に、熱応答により収縮する度合いが低下していることがわかる。また、Duty比が0[%]の場合には、核が形成されていないことがわかる。
また、図7及び図8A~図8Eを参照すると、加熱後(ここでは50[℃]で10分間加熱した)のマイクロゲルビーズはDuty比100[%]の場合も50[%]の場合も、核が熱応答により収縮していることがわかる。

【0029】
次に、10%(w/w)p(NIPAM)水溶液からマイクロゲルビーズを生成し(実験1)、生成されたマイクロゲルビーズをセルストレーナ(メッシュサイズ100[μm])で収集した後(実験2)、NaAlgリアーゼに浸漬してアルギン酸の外殻を除去した(実験3)。
図9は、実験1~3の各過程におけるマイクロゲルビーズに加熱を繰り返した状態を示す顕微鏡写真である。
また、図10A~図10Cは、マイクロゲルビーズの収縮性を示す図であり、図10Aはマイクロゲルビーズの断面積の測定結果を示す図、図10Bはマイクロゲルビーズのフェレー径の測定結果を示す図、図10Cはマイクロゲルビーズの外殻の収縮率、核の収縮率及びリアーゼ後の収縮率を示す図である。なお、図10A及び図10Bのサンプル数は50個、図10Cのサンプル数は3個である。
図9及び図10A~図10Cを参照すると、実験1で生成されたマイクロゲルビーズ、実験2で収集されたマイクロゲルビーズ、及び、実験3で外殻を除去されたマイクロゲルビーズ(リアーゼ後のマイクロゲルビーズ)のいずれも、加熱・冷却を繰り返しても、熱応答により収縮性を有するものとなっている。
また、実験1で生成されたマイクロゲルビーズと、実験3でアルギン酸の外殻を除去したマイクロゲルビーズ(リアーゼ後のマイクロゲルビーズ)とを比較すると、アルギン酸をリアーゼで除去したマイクロゲルビーズの方が、熱応答により収縮する度合いが高まっていることがわかる。

【0030】
[変形例1]
上述の実施形態において、電力供給部22aは、筐体21に対して回転可能に支持される回転軸の部分にスリップリングを備えるものとして説明したが、これに限られない。
例えば、電力供給部22aは、電磁力を用いてロータ22内部に電力を供給する構成とすることができる。この場合、筐体21とロータ22とにコイルを対向させて配置することにより、これらのコイル間で電磁誘導を生じさせることにより、ロータ22内部に電力を供給することができる。
また、例えば、電力供給部22aは、光発電を用いてロータ22内部に電力を供給する構成とすることができる。この場合、ロータ22の外部からロータ22内部に設置された光発電素子に光を照射し、光発電素子によって発電された電力をロータ22内部に供給することができる。
また、例えば、電力供給部22aは、ロータ22内に小型バッテリ(ボタン電池あるいは小型のキャパシタ等)を設置し、この小型バッテリからロータ22内部に電力を供給することができる。
なお、上記の各変形例において、ロータ22内部に素子等の物体を設置する場合、回転中心に対して対称に配置することで、遠心分離時の回転を安定させることができる。

【0031】
以上のように、本実施形態に係る液滴生成装置1は、遠心分離ユニット20と、電力供給部22aと、LED102a,102bとを備える。
遠心分離ユニット20は、材料(2.5%(w/w)NaAlg水溶液と10%(w/w)p(NIPAM)水溶液の混合溶液)を設置した回転体(ロータ22)を回転させることにより材料に遠心力を加える。
電力供給部22aは、遠心分離ユニット20の回転体内に電力を供給する。
LED102a,102bは、電力供給部22aによって供給された電力によって、遠心分離される材料に遠心力以外の付加的な物理的作用を加える。
これにより、遠心分離によって遠心力を加えられている材料に、回転体内に供給された電力によって、遠心分離される材料に遠心力以外の付加的な物理的作用を加えることができる。
したがって、遠心分離される材料に対して遠心力による作用の他に加えることができる物理的な作用の種類を拡大することができる。また、液滴生成装置1を用いて、ゲルビーズを生成することにより、材料選択の自由度を高めつつ、より簡便に微小なゲルビーズ(マイクロゲルビーズ)を生成することができる。

【0032】
遠心分離ユニット20は、刺激応答性材料を含む材料が充填された管状部材(ガラス管101a)から材料の液滴を射出させる。
LED102a,102bは、射出された材料の液滴に、遠心力以外の付加的な物理的作用を加えて、液滴の状態を変化させる。
これにより、管状部材から射出された空気中の液滴に対して、遠心力以外の付加的な物理的作用を加え、液滴の状態を変化させることができる。
したがって、管状部材から射出された直後の液滴の形状を保持させ易くすることができる。

【0033】
LED102a,102bは、射出された材料の液滴に、遠心力以外の付加的な物理的作用を加えることにより、刺激応答性材料を硬化させ、刺激応答性材料を含むゲルビーズを生成する。
これにより、材料選択の自由度を高めつつ、より簡便に微小なゲルビーズ(マイクロゲルビーズ)を生成することができる。

【0034】
LED102a,102bは、電力供給部22aによって供給された電力によって、材料に光を照射する。
これにより、遠心分離による遠心力の作用に加えて、光応答性材料を含む液滴に光による作用を加えることができる。

【0035】
電力供給部22aによって供給された電力によって、材料の温度を変化させることとしてもよい。
これにより、遠心分離による遠心力の作用に加えて、温度応答性材料を含む液滴に温度による作用を加えることができる。

【0036】
電力供給部22aによって供給された電力によって、材料に電磁力を加えることとしてもよい。
これにより、遠心分離による遠心力の作用に加えて、材料に電磁力による作用を加えることができる。

【0037】
電力供給部22aは、回転体の回転軸の部分にスリップリングを備える。
電力供給部22aは、回転体の外部から供給される電力を、スリップリングを介して回転体内に電力を供給する。
これにより、回転体の外部から容易に制御可能な形態で、回転体の内部に電力を供給することが可能となる。

【0038】
電力供給部22aは、回転体内にバッテリを備える。
そして、バッテリから供給される電力を、回転体内に供給する。
これにより、外部からの電力供給機構を備えることなく、回転体内において電力を供給することが可能となる。

【0039】
電力供給部22aは、回転体側に電磁誘導のためのコイルを備える。
そして、回転体の外部からコイルに印加された電磁力によって発生した電力によって、回転体内に電力を供給する。
これにより、簡単な構成で、回転体の外部から回転体内に電力を供給することが可能となる。

【0040】
なお、本発明は、本発明の効果を奏する範囲で変形、改良等を適宜行うことができ、上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の実施形態において、ガラス管101aから射出された液滴は、p(NIPAM)水溶液の核をNaAlg水溶液の外殻が保護する構造であるものとして説明したが、これに限られない。即ち、遠心分離によって生成される液滴が核と外殻とに分離するものに限らず、遠心分離によって生成される液滴が光応答性材料を含み、光の照射により光重合(硬化)するものであれば、本発明を適用することが可能である。
また、例えば、上述の実施形態において、光応答性材料として、p(NIPAM)を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、ポリエチレングリコール等、光応答性を有する各種の材料に対して、本発明を適用することができる。

【0041】
また、上述の実施形態において、光応答性材料からなるマイクロゲルビーズを生成する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、光応答性材料以外にも、温度(熱)、力、電磁波等の各種刺激に応答する刺激応答性材料を用いることができる。この場合、遠心分離ユニット20のロータ22内において、電力供給部22aを介して給電された電力を用いて、材料に応じた刺激を物理的な作用として加えることができる。これにより、各種刺激応答性材料を用いたマイクロビーズを簡便に生成することができる。

【0042】
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述の実施形態における制御のための処理は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれにより実行させることも可能である。
即ち、上述の処理を実行できる機能が液滴生成装置1に備えられていればよく、この機能を実現するためにどのような機能構成及びハードウェア構成とするかは上述の例に限定されない。

【0043】
なお、上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。即ち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることができる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 液滴生成装置、10 制御ユニット、20 遠心分離ユニット、21 筐体、22 ロータ、22a 電力供給部、23 駆動用モータ、100 試料容器、101 マイクロチューブ、101a ガラス管、101b 遮蔽部材、102a,102b LED、103 キャップ
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8A】
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(In Japanese)【図8B】
8
(In Japanese)【図8C】
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(In Japanese)【図8D】
10
(In Japanese)【図8E】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10A】
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(In Japanese)【図10B】
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(In Japanese)【図10C】
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