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明細書 :アルコキシシリル基を含むシルセスキオキサン誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-189564 (P2019-189564A)
公開日 令和元年10月31日(2019.10.31)
発明の名称または考案の名称 アルコキシシリル基を含むシルセスキオキサン誘導体
国際特許分類 C07F   7/18        (2006.01)
C08G  77/48        (2006.01)
C08G  77/18        (2006.01)
FI C07F 7/18 CSPX
C08G 77/48
C08G 77/18
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2018-084946 (P2018-084946)
出願日 平成30年4月26日(2018.4.26)
発明者または考案者 【氏名】中 建介
【氏名】井本 裕顕
【氏名】リ レイナ
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H049
4J246
Fターム 4H049VN01
4H049VP09
4H049VQ88
4H049VR21
4H049VR43
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4H049VW02
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4J246FA071
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4J246FB051
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4J246FC161
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4J246HA11
4J246HA14
4J246HA26
4J246HA36
4J246HA63
要約 【課題】分子同士のカップリングが生じにくいアルコキシシリル基含有シルセスキオキサン誘導体の提供。
【解決手段】式(I)で表わされるシルセスキオキサン。
JP2019189564A_000013t.gif
(各R1;炭化水素基又はフッ化アルキル、各Y;-(CH2m-Si(OR23、-(CH2m-S-(CH2n-Si(OR23、-(CH2-S-(CH2n-Si(OR22CH3、または-Si-Z(CH32、mおよびn;1から4までの整数、各R2;メチルもしくはエチル)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)で表わされるシルセスキオキサン。
【化1】
JP2019189564A_000010t.gif
(式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Yは、各々独立に、-(CH2m -Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR22 CH3、または
-Si-Z(CH32であり、
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、
各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであり、
Zは、-(CH2p -Si(OR)3
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR32 CH3
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3であり、
pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、
sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、
各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルである。)
【請求項2】
各R1は、各々独立に、
【化2】
JP2019189564A_000011t.gif
であり、
各Yは、各々独立に、-(CH2m -Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23 、または
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR22 CH3であり、
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、
各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルである請求項1に記載のシルセスキオキサン。
【請求項3】
式(II)で表わされる請求項1に記載のシルセスキオキサン。
【化3】
JP2019189564A_000012t.gif
(式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Zは、各々独立に、-(CH2p -Si(OR33
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR33
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR32 CH3
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3であり、
式中、pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、
sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、
各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルである。)
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のシルセスキオキサンの重合体を含む光学的透明材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシリル基を含むシルセスキオキサン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機と無機のハイブリッド材料のナノビルディングブロックとして、かご型シルセスキオキサン(POSS)が着目されている。他方、フルオロアルキル化合物は化学的に安定で、耐熱性、耐薬品性、耐候性、耐酸性に優れ、また分子間凝集力が小さく、表面自由エネルギーが低いために、優れた撥水性、撥油性、非粘着性、防汚性を得ることができる。そして、含フッ素シランカップリング剤は分子中の含フッ素有機基が特性付与を担い、同一分子中の別の官能基が固体表面のヒドロキシル基と反応するように設計され、樹脂やガラス表面改質に利用されている。含フッ素かご型シルセスキオキサン化合物は、剛直でかさ高いサイコロ状の無機骨格に高密度に多数の含フッ素基が導入された構造であるため、短いパーフルオロアルキル鎖であっても分子運動性が抑えられ上記の性質がより強調される材料が得られる。このため、含フッ素かご型シルセスキオキサン化合物にアルコキシシリル基を導入したシランカップリング剤が開発され、強靭な塗膜への応用展開が行われている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の含フッ素シランカップリング剤中の上記の官能基は水溶液中でシラノール基であるため、カップリング剤同士の反応などにより、固体表面上に効果的に均一な含フッ素有機基のコーティングを施すことができない。
【0004】
また、含フッ素かご型シルセスキオキサン化合物へのアルコキシシリル基の導入は1官能に限られる(特許文献2)。この場合、含フッ素かご型シルセスキオキサン化合物の結晶性の高さから,高密度に含フッ素かご型シルセスキオキサン化合物を含むアモルファスな光学的透明材料を得ることは困難である。また、これらのアルコキシシリル基を導入したかご型シルセスキオキサン化合物は常温で固体であるため、ゾルゲル反応を進行させるためには共溶媒として有機溶剤が必須である。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2014-152246
【特許文献2】特開2007-15977
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、カップリング剤同士の反応が生じにくい、アルコキシシリル基を有するシルセスキオキサンを提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、常温で液体または半固体で、無溶媒でゾルゲル反応が進行するアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、シルセスキオキサン化合物に複数のアルコキシシランを反応させ、機能性新素材である不完全縮合型シルセスキオキサンシラン(Incompletely consdensed POSS, IC-POSS)カップリング剤の開発に成功した。この新規シランカップリング剤は、種々の有機溶媒に可溶であるとともに、常温で流動性があるため無溶媒でもゾルゲル反応が可能である。
【0009】
本発明によれば、以下の態様が提供される。
[1]式(I)で表わされるシルセスキオキサン。
【0010】
【化1】
JP2019189564A_000002t.gif

【0011】
(式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Yは、各々独立に、-(CH2m -Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR22 CH3、または
-Si-Z(CH32であり、
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、
各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであり、
Zは、-(CH2p -Si(OR)3
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR32 CH3
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3であり、
pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、
sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、
各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルである。)
[2]各R1は、各々独立に、
【0012】
【化2】
JP2019189564A_000003t.gif

【0013】
であり、
各Yは、各々独立に、-(CH2m -Si(OR23
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23 、または
-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR22 CH3であり、
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、
各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルである[1]に記載のシルセスキオキサン。
[3]式(II)で表わされる[1]に記載のシルセスキオキサン。
【0014】
【化3】
JP2019189564A_000004t.gif

【0015】
(式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Zは、各々独立に、-(CH2p -Si(OR33
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR33
-(CH2p -S-(CH2q-Si(OR32 CH3
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3であり、
式中、pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、
sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、
各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルである。)
[4][1]~[3]のいずれかに記載のシルセスキオキサンの重合体を含む光学的透明材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシルセスキオキサンによれば、表面改質剤を初めとするより均一なコーティングを提供することができる。また、有機溶媒を使用しなくてもゾルゲル反応を生じさせることができるため、光学的透明材料、高水蒸気バリア性材料等の種々の材料の製造に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1のIC-POSS (化合物1)の1H-NMR スペクトル。
【図2】実施例1のIC-POSS (化合物1)29 Si-NMR スペクトル。
【図3】実施例2のIC-POSS (化合物2)の1H-NMR スペクトル。
【図4】実施例2のIC-POSS (化合物2)の29 Si-NMR スペクトル。
【図5】実施例3のフッ素含有シルセスキオキサンから製造されたガラス状の透明材料の写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「常温」とは20℃を指す。

【0019】
本明細書において、「透明」とは、可視光領域の平均透過率が80%以上、好ましくは90%以上であることを意味する。

【0020】
本明細書において、「半透明」とは、可視光領域の平均透過率が80%未満であって、下地を完全に隠蔽しないことを意味し、好ましくは可視光領域の平均透過率が30%~70%である。

【0021】
本明細書において、「半固体」とは、液体と固体の両方の性質を合わせ持つ状態を指す。

【0022】
本発明のシルセスキオキサンは下記式(I)で表わされる。本発明のシルセスキオキサンはかご型シルセスキオキサン(POSS)の頂点が一つ欠損した構造を有する不完全縮合型シルセスキオキサンシラン(Incompletely consdensed POSS, IC-POSS)である。このため、ケイ素に結合している官能基が同じかご型シルセスキオキサンと比べて、同等の耐熱性を有するが、結晶性が低下する。

【0023】
本発明のシルセスキオキサンは、以下の式(I)で表わされる。

【0024】
【化4】
JP2019189564A_000005t.gif

【0025】
式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Yは、各々独立に、-(CH2m-Si(OR23 、-(CH2m-S-(CH2n-Si(OR23 、-(CH2m-S-(CH2n-Si(OR22 CH3、または-Si-Z(CH32であり、
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、
各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであり、
Zは、-(CH2p-Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR32 CH3
-(CH2s-O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s-O-CO(NH)-(CH2t-Si(OR32 CH3であり、
pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、
sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、
各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルである。

【0026】
1が炭化水素基である場合、R1は飽和炭化水素および不飽和炭化水素のいずれであってもよい。また、R1は、脂肪族非環式(つまり直鎖または分岐鎖の炭化水素基)、脂肪族環式(つまり脂環式の炭化水素基)、および芳香族であってもよく、非環式脂肪族および環式脂肪族は飽和および不飽和のいずれであってもよい。

【0027】
1が脂肪族非環式の場合、炭素数は1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。R1がアルキルの場合、R1としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル等が挙げられる。R1が脂肪族環式の場合、炭素数は1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。そのような脂肪族環式のR1としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。R1が芳香族炭化水素基である場合、炭素数は4~15であることが好ましく、5~8であることがより好ましい。そのような芳香族炭化水素基のR1としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。

【0028】
1がフッ化アルキルである場合、R1の炭素数は、溶媒への溶解性を考慮すると、1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。また、R1は直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。R1のアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル等が挙げられる。R1のフッ素の数は1個、2個、3個、4個、5個、又はそれより多くてもよい。直鎖のR1の例として、-CH2CH2CF3、-CH2CH2CF2CF3、-CH2CH2CF2CF2CF3 、-CH2CH2CF2CF2CF2CF3、-CH2CH2CF2CF2CF2CF2 CF3、-CH2CH2CF2CF2CF2CF2CF2CF3、分岐鎖のR1の例として-CH2CH2CF(CF32、-CH2CH(CF3)CF2CF3、-CH(CF3) CH2CF2CF3、-CH2C(CF32CF3、-C(CF32CH2CF3-CH2CH2CF2CF(CF32、-CH2CH2CF(CF3)CF2CF3、-CH2CH2C(CF32CF3等が挙げられる。

【0029】
1はパーフルオロアルキル(R1の炭素に結合する官能基がすべてフッ素)であることができる。そのようなR1の例としては、-CF3、-CF2CF3、-CF2CF2CF3、-CF(CF3) 2、-CF2CF2CF2CF3、- CF2CF(CF32、-C(CF3)3、-(CF2)4CF3、-(CF22CF(CF32、-CF2C(CF3) 3、-CF(CF3)CF2CF2CF3、-(CF2)5CF3、-(CF2)3CF(CF3)2、-(CF2)4CF(CF32、-(CF2)7CF3、-(CF2)5CF(CF32、-(CF2 )6CF(CF32、-(CF2)9CF3等が挙げられる。

【0030】
1がフッ化アルキルである場合、シルセスキオキサンは、フッ化アルキル基を有する不完全縮合型シルセスキオキサンシランカップリング剤となる。かかる新規シランカップリング剤は、種々の有機溶媒に可溶であるとともに、常温で流動性があるため無溶媒でもゾルゲル反応が可能である。また、かかる新規シランカップリング剤は、優れた撥水性、撥油性、防汚性、耐熱性、低屈折率を備えているため、塗膜(コーティング)、樹脂またはガラス表面の改質、光学的透明材料等の用途に好適に用いることができる。

【0031】
1は、各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR1はすべて同じであることが好ましい。

【0032】
各Yは、各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR1はすべて同じであることが好ましい。

【0033】
Yが-(CH2m -Si(OR23 である場合、mは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0034】
Yが-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23である場合、mは1、2、3または4であり、かつnは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2であり、かつnは1、2、3または4である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0035】
Yが-(CH2m -S-(CH2n -Si(OR22 CH3である場合、mは1、2、3または4であり、かつnは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2であり、かつnは1、2、3または4である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0036】
Yが-Si-Z(CH32である場合、Zは、-(CH2p-Si(OR33 、-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR33 、-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR32 CH3、-(CH2s-O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t-Si(OR32 CH3である。

【0037】
Zが-(CH2p-Si(OR33である場合、pは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2である。各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルであることができる。R3は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR3はすべて同じであることが好ましい。

【0038】
Zが-(CH2p -S-(CH2q -Si(OR33である場合、pは1、2、3または4であり、かつqは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2であり、かつqは1、2、3または4である。各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルであることができる。R3は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR3はすべて同じであることが好ましい。

【0039】
Zが-(CH2p-S-(CH2q-Si(OR32 CH3である場合、pは1、2、3または4であり、かつqは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2であり、かつqは1、2、3または4である。各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルであることができる。R3は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR3はすべて同じであることが好ましい。

【0040】
Zが-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33である場合、sは1、2、3、4、5または6であり、かつtは1、2、3、4、5または6であり、好ましくはsは1、2、3、または4であり、かつtは1、2、3、または4である。各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルであることができる。R3は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR3はすべて同じであることが好ましい。

【0041】
Zが-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3である場合、sは1、2、3、4、5または6であり、かつtは1、2、3、4、5または6であり、好ましくはsは1、2、3、または4であり、かつtは1、2、3、または4である。各R3は、各々独立に、メチルまたはエチルであることができる。R3は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR3はすべて同じであることが好ましい。

【0042】
本発明のシルセスキオキサンは、好ましくは常温で液体または半固体である。このため、有機溶媒を使用せずとも、無溶媒でゾルゲル反応を進行させることができる。

【0043】
また、本発明のシルセスキオキサンは、好ましくは透明または半透明である。このため、光学的透明材料等の透明性または半透明性が要求される用途に好適に使用することができる。

【0044】
一実施形態において、各R1は、各々独立に、

【0045】
【化5】
JP2019189564A_000006t.gif

【0046】
であり、各Yは、各々独立に、-(CH2m-Si(OR23 、-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23 、または-(CH2 m-S-(CH2 n-Si(OR22 CH3である。

【0047】
mおよびnは、各々独立に、1から4までの整数であり、各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルである。

【0048】
Yが-(CH2m -Si(OR23 である場合、mは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0049】
Yが-(CH2m -S-(CH2n-Si(OR23である場合、mは1、2、3または4であり、かつnは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2であり、かつnは1、2、3または4である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0050】
Yが-(CH2m -S-(CH2n -Si(OR22 CH3である場合、mは1、2、3または4であり、かつnは1、2、3または4であり、好ましくはmは1または2であり、かつnは1、2、3または4である。各R2は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。R2は各々異なっていてもよいし、少なくとも一部が同じであってもよいし、すべて同じであってもよいが、製造容易性の点でR2はすべて同じであることが好ましい。

【0051】
このような構成によれば、常温で液体または半固体で、無溶媒でゾルゲル反応が進行するアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサンが提供される。

【0052】
別の実施形態において、本発明のシルセスキオキサンは、式(II)で表わされる。

【0053】
【化6】
JP2019189564A_000007t.gif

【0054】
式中、各R1は、各々独立に、炭化水素基またはフッ化アルキルを示し、
各Zは、各々独立に、-(CH2p -Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q -Si(OR33
-(CH2p-S-(CH2q -Si(OR32 CH3
-(CH2s-O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33、または
-(CH2s-O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3であり、
式中、pおよびqは、各々独立に、1から4までの整数であり、sおよびtは、各々独立に、1から6までの整数であり、各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルである。

【0055】
各Zが、各々独立に、-(CH2p -Si(OR33 である場合、pは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2である。各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。

【0056】
各Zが、各々独立に、-(CH2p -S-(CH2q -Si(OR33 である場合、pは1、2、3または4であり、かつqは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2であり、かつqは1、2、3または4である。各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。

【0057】
各Zが、各々独立に、-(CH2p -S-(CH2q -Si(OR32 CH3である場合、pは1、2、3または4であり、かつqは1、2、3または4であり、好ましくはpは1または2であり、かつqは1、2、3または4である。各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。

【0058】
各Zが、各々独立に、-(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR33である場合、sは1、2、3、4、5または6であり、かつtは1、2、3、4、5または6であり、好ましくはsは1、2、3、または4であり、かつtは1、2、3、または4である。各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。

【0059】
各Zが、各々独立に、 -(CH2s -O-CO(NH)-(CH2t -Si(OR32 CH3である場合、sは1、2、3、4、5または6であり、かつtは1、2、3、4、5または6であり、好ましくはsは1、2、3、または4であり、かつtは1、2、3、または4である。各R3は、各々独立に、メチルもしくはエチルであることができる。

【0060】
3については上述した通りである。

【0061】
このような構成によれば、常温で液体または半固体で、無溶媒でゾルゲル反応が進行するアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサンが提供される。

【0062】
本発明はまた、本発明の上記シルセスキオキサンの製造方法を包含する。

【0063】
本発明者らは、不完全縮合型シルセスキオキサンに、アルコキシシランを反応させることにより、上記の式(I)のシルセスキオキサンを製造することに成功した。不完全縮合型シルセスキオキサンとは、公知のものを用いてもよい。

【0064】
一実施形態において、式(I)のシルセスキオキサンは、不完全縮合型シルセスキオキサンの欠損した頂点付近の3つのSiに結合されたビニル基と、アルコキシシランのアルコキシシリル基とは反対側の端部のチオール基との結合により合成される。

【0065】
別の実施形態において、式(I)のシルセスキオキサンは、
不完全縮合型シルセスキオキサンに反応させるアルコキシシランは、不完全縮合型シルセスキオキサンの欠損した頂点付近の3つのSiの各Siとそれに結合された水素基とにより形成されたSi-Hと、アルコキシシランのアルコキシシリル基とは反対側の端部のビニル基との結合により合成される。

【0066】
本発明の上記シルセスキオキサンの製造方法によれば、高い収率でシルセスキオキサンの製造することができる。収率は好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは78%以上である。

【0067】
本発明はまた、本発明の上記シルセスキオキサンの重合体を含む光学的透明材料を包含する。

【0068】
本発明の光学的透明材料の屈折率は限定されないが、好ましくは1.2~1.5であり、より好ましくは1.25~1.35である。本発明の光学的透明材料は低屈折率を達成することができる。

【0069】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0070】
実施例1
トリス(ジメチルビニルシロキシ)ヘプタトリフルオロプロピル不完全POSS(0.112g, 0.084 mmol)と2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) (0.0007 g, 0.0038 mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF)(0.75 ml)溶液に、窒素雰囲気下で3-メルカトプロピルトリメトキシラン(0.23 ml, 1.26 mmol)を加えた。反応溶液を80℃で6時間反応後、減圧下で揮発性分を留去した。得られた残渣をHPLCで精製することで、無色半固体状の生成物1を収率78%で得た(0.0903g, 0.047 mmol) (図1,2)。
【実施例】
【0071】
1H-HMR (in CDCl3, 400MHz): δ 3.58-3.54 (m, 27H, -Si-(O-CH3)3); 2.26-2.51 (m, 12H, Si(CH3)2-CH2-CH2-S-CH2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3); 2.10-2.09, (m, 14H, Si-CH2-CH2-CF3); 1.70-1.68 (m, 6H, Si(CH3)2-CH2-CH2-S-CH2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3); 0.97-0.72 (m, 26H, Si(CH3)2-CH2-CH2-S-CH2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3, Si-CH2-CH2-CF3); 0.21-0.17 (m, 18H, Si(CH3)2-CH2-CH2-S-CH2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3) ppm.
29Si-HMR (in CDCl3, 80MHz): δ 11.17, -42.36, -66.25, -68.13, -69.31 ppm.
【実施例】
【0072】
【化7】
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【実施例】
【0073】
実施例2
トリス(ジメチルビニルシロキシ)ヘプタトリフルオロプロピル不完全POSS (0.199g, 0.160 mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(0.89 ml)溶液に、窒素雰囲気下でビニルトリメトキシシラン(0.077 ml, 0.719 mmol)と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体キシレン溶液 (0.1 M )(0.015 ml, 1.60×10-3 mmol)を加えて50℃で6時間反応させた。反応終了後、減圧下で揮発性分を留去した。得られた残渣をHPLCで精製することで、無色液状の生成物2を収率78%で得た(図3,4)。
【実施例】
【0074】
1H-HMR (in CDCl3, 400MHz): δ 3.58-3.57 (m, 27H, Si(CH3)2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3); 2.13-2.06, (m, 14H, Si-CH2-CH2-CF3); 1.08-0.79 (m, 14H, Si-CH2-CH2-CF3); 0.62-0.52 (m, 12H, Si(CH3)2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3); 0.19-0.14 (m, 18H, Si(CH3)2-CH2-CH2-Si-(O-CH3)3) ppm.
29Si-HMR (in CDCl3, 80MHz): δ 13.05, 13.01, 12.43, -66.28, -68.26, -69.49, -69.55, -69.61 ppm.
【実施例】
【0075】
【化8】
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【実施例】
【0076】
実施例3.フッ素含有シルセスキオキサン重合体の透過率測定
実施例2のシルセスキオキサン(0.20 g, 0.059 mmol)にH20(0.02 ml)とテトラヒドロフラン(0.2 ml)を加え、1M塩酸水溶液1滴を加えた後、室温で1時間激しく攪拌した。得られたゾルをポリプロピレン製ビーカーに入れ、一晩室温で放置後、70℃で3時間縮合反応を行った。その結果、光学的透明なガラス体が得られた(図5)。
【実施例】
【0077】
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【実施例】
【0078】
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
【実施例】
【0079】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によるシルセスキオキサンは、フッ素含有シルセスキオキサンを含め、目的に応じたシルセスキオキサンを得ることができる。特に、本発明のシルセスキオキサンがフッ素を有する場合、剛直でかさ高いサイコロ状の無機骨格に高密度に多数の含フッ素基が導入された構造であるため、短いパーフルオロアルキル鎖であっても分子運動性が抑えられ、優れた耐候性、撥水性、撥油性、非粘着性、防汚性を示す。このため、本発明によるシルセスキオキサンは、例えば、耐傷性および/または耐熱性に優れたコーティング、耐候性、撥水性、撥油性、非粘着性、および/または防汚性に優れた表面改質剤、耐熱性に優れた低屈折率な紫外線透過性及び/又は可視光透過性の光学的透明材料(ガラス代替材)、低屈折率を有するシルセスキオキサン透明材料、撥水性材料(特に高水蒸気バリア性材料)、撥油性材料、防汚剤、低誘電率層間絶縁膜等の電子材料、ポリマー光ファイバーのクラッド材等の光通信材料、反射防止膜等の光学部材等の用途も想定される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4