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明細書 :伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよび伸縮性導電体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年10月24日(2019.10.24)
発明の名称または考案の名称 伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよび伸縮性導電体の製造方法
国際特許分類 H01B   1/22        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
C08L  21/00        (2006.01)
FI H01B 1/22 B
H01B 1/22 A
H01B 13/00 Z
C08L 21/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 27
出願番号 特願2018-556735 (P2018-556735)
国際出願番号 PCT/JP2017/044850
国際公開番号 WO2018/110632
国際出願日 平成29年12月14日(2017.12.14)
国際公開日 平成30年6月21日(2018.6.21)
優先権出願番号 2016242459
優先日 平成28年12月14日(2016.12.14)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】松久 直司
【氏名】染谷 隆夫
【氏名】井ノ上 大嗣
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100149548、【弁理士】、【氏名又は名称】松沼 泰史
【識別番号】100163496、【弁理士】、【氏名又は名称】荒 則彦
【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100147267、【弁理士】、【氏名又は名称】大槻 真紀子
審査請求 未請求
テーマコード 4J002
5G301
Fターム 4J002AC121
4J002BD122
4J002DA076
4J002DA077
4J002FA016
4J002FD116
4J002FD117
4J002FD312
4J002GJ02
4J002GQ02
5G301DA03
5G301DA47
5G301DD01
5G301DD08
5G301DE01
要約 本発明は、伸縮性に優れ、伸縮しても導電性の低下を生じ難い伸縮性導電体の提供を目的とする。
本発明は、エラストマーと2種類の導電粒子とを含み、前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であり、前記エラストマーの全体にわたり、前記導電粒子が分散されていることを特徴とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
エラストマーと、
2種類の導電粒子と、
を含み、
前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であり、
前記エラストマーの全体にわたり、前記ナノ粒子が分散されていることを特徴とする伸縮性導電体。
【請求項2】
前記エラストマーの全体にわたり、前記導電粒子が分散されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性導電体。
【請求項3】
前記エラストマーがフッ素系ゴムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伸縮性導電体。
【請求項4】
前記鱗片状粒子の粒径が0.2~50μmであり、
前記ナノ粒子の粒径が0.5~100nmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【請求項5】
前記鱗片状粒子のアスペクト比(厚みに対する長径との比)は2~100であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【請求項6】
前記エラストマーの質量組成比は、前記伸縮性導電体に対して10~50質量部%であり、
前記導電粒子の質量組成比は、前記伸縮性導電体に対して50~90質量部%であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【請求項7】
界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【請求項8】
前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項7に記載の伸縮性導電体。
【請求項9】
導電率が200S/cm以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【請求項10】
エラストマーと、
少なくとも2種類の導電粒子と、
有機溶媒と
を含み、
前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であることを特徴とする伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項11】
前記エラストマーがフッ素系ゴムであることを特徴とする請求項10に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項12】
前記鱗片状粒子の粒径が0.2~50μmであり、
前記ナノ粒子の粒径が0.5~100nmであることを特徴とする請求項10又は11に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項13】
前記鱗片状粒子のアスペクト比(厚みに対する長径との比)は2~100であることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項14】
界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項15】
前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項14に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項16】
前記エラストマーの質量組成比は、前記伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して10~50質量部%であり、
前記導電粒子の質量組成比は、前記伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して50~90質量部%であることを特徴とする請求項10~15のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
【請求項17】
請求項10~16の何れか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペーストを乾燥してなることを特徴とする伸縮性導電体。
【請求項18】
エラストマーと2種類の導電粒子とを含み、前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であり、前記エラストマーの全体にわたり、前記ナノ粒子が分散されている伸縮性導電体を製造する方法であって、
前記エラストマーと前記鱗片状粒子と有機溶媒とを混合して撹拌する工程を含むことを特徴とする伸縮性導電体の製造方法。
【請求項19】
前記エラストマーの全体にわたり、前記導電粒子が分散されていることを特徴とする請求項18に記載の伸縮性導電体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよび伸縮性導電体の製造方法に関する。
本願は、2016年12月14日に、日本に出願された特願2016-242459号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルエレクトロニクスはエレクトロニクスに機械的可撓性を実現するための技術であり、近年大きな注目を集めている。特に、フレキシブルエレクトロニクスは、ディスプレイ、太陽電池、センサ、アクチュエータなど大面積エレクトロニクスにとって、重要な価値をもたらすものと考えられている。
例えば、エレクトロニクスデバイスが大きくなればなるほど、携帯性や耐衝撃性のためにフレキシビリティーは不可欠である。フレキシブルエレクトロニクスを実現する上での難しさは、プラスティックフィルム上に優れた電気的特性と機械的特性をどのようにして両立するかである。
【0003】
エレクトロニクスデバイスの伸縮性は運動や荷重に伴い変形する構造体や生体に組み込むためのエレクトロニクスデバイスに必要な機能と考えられる。このような伸縮性を有したデバイスを実現するためには、デバイスを構成するトランジスタ等のアクティブな回路、抵抗やコンデンサ等のパッシブな回路がデバイスの変形に伴い、損傷を受けない構成であって、特性が変化しない構成とする必要がある。このような伸縮性デバイスの回路を構成するために好適な伸縮性導電体が開発されている。
【0004】
特許文献1には、界面活性剤を混合したエラストマーからなる伸縮部とこの伸縮部に分散配合された導電粒子とを備え、前記伸縮部の表層側に前記伸縮部の内部側よりも前記導電粒子が密に集合された導通部を備えた伸縮性導電体が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2015/119217号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている伸縮性導電体は、フッ素ゴムと導電粒子を備え、さらにフッ素系界面活性剤を添加した水系混合物を最適化することにより、伸縮性導電体の表層側に内部側よりも導電粒子が密に集合されたものである。得られた伸縮性導電体が優れた伸縮特性と導電性を備える。しかし、応用分野によって、導電粒子が均一に分散され、かつ同様の特性を備える伸縮性導電体が求められている。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、導電粒子を均一に分散しても、伸縮性に富み、伸張しても導電率の低下が少ない伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] エラストマーと、2種類の導電粒子と、を含み、前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であり、前記エラストマーの全体にわたり、前記ナノ粒子が分散されていることを特徴とする伸縮性導電体。
[2]前記エラストマーの全体にわたり、前記導電粒子が分散されていることを特徴とする[1]に記載の伸縮性導電体。
[3] 前記エラストマーがフッ素系ゴムであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の伸縮性導電体。
[4] 前記鱗片状粒子の粒径が0.2μm~50μmであり、前記ナノ粒子の粒径が0.5nm~100nmであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の伸縮性導電体。
[5] 前記鱗片状粒子のアスペクト比(厚みに対する長径との比)は2~100であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の伸縮性導電体。
[6] 前記エラストマーの質量組成比は、前記伸縮性導電体に対して10~50質量部%であり、前記導電粒子の質量組成比は、前記伸縮性導電体に対して50~90質量部%であることを特徴とする[1]~[5]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
[7] 界面活性剤をさらに含むことを特徴とする[1]~[6]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
[8] 前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることを特徴とする[7]に記載の伸縮性導電体。
[9]導電率が200S/cm以上であることを特徴とする[1]~[8]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体。
【0009】
[10] エラストマーと、少なくとも2種類の導電粒子と、有機溶媒とを含み、前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であることを特徴とする伸縮性導電体形成用ペースト。
[11] 前記エラストマーがフッ素系ゴムであることを特徴とする[10]に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[12] 前記鱗片状粒子の粒径が0.2μm~50μmであり、前記ナノ粒子の粒径が0.5nm~100nmであることを特徴とする[10]又は[11]に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[13] 前記鱗片状粒子のアスペクト比(厚みに対する長径との比)は2~100であることを特徴とする[10]~[12]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[14] 界面活性剤をさらに含むことを特徴とする[10]~[13]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[15] 前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることを特徴とする[14]に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[16] 前記エラストマーの質量組成比は、前記伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して10~50質量部%であり、前記導電粒子の質量組成比は、前記伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して50~90質量部%であることを特徴とする請求項[10]~[15]のいずれか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペースト。
[17] [10]~[16]の何れか1項に記載の伸縮性導電体形成用ペーストを乾燥してなることを特徴とする伸縮性導電体。
[18] エラストマーと2種類の導電粒子とを含み、前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であり、前記エラストマーの全体にわたり、前記ナノ粒子が分散されている伸縮性導電体を製造する方法であって、前記エラストマーと前記鱗片状粒子と有機溶媒とを混合して撹拌する工程を含むことを特徴とする伸縮性導電体の製造方法。
[19] 前記エラストマーの全体にわたり、前記導電粒子が分散されていることを特徴とする[18]に記載の伸縮性導電体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電体にナノ粒子、もしくは導電粒子を均一に分散されていても、伸縮性を有しながら導電率に優れた伸縮性導電体を提供できる。
運動や荷重に伴い変形する構造体や生体に組み込むエレクトロニクスに必要な伸縮性デバイスの回路を構成するために好適な伸縮性導電体を提供できる。
特に、本発明の一実施態様において、伸縮性導電体の各構成の配合量を最適化することにより、導電粒子を均一に分散しながら、300%前後の伸張時であっても、200S/cmを超える優れた特性の伸縮性導電体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明一実施態様の伸縮性導電体を説明するための模式図である。
【図2】実施例で得られた伸縮性導電体を評価する方法の一例の説明図である。
【図3】実施例において得られた伸縮性導電体試料の表面状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例において得られた伸縮性導電体試料の断面構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1において得られた伸縮性導電体試料の走査型電子顕微鏡写真(左)および画像処理後の図(右)である。
【図6】実施例2において得られた伸縮性導電体試料の走査型電子顕微鏡写真(左)および画像処理後の図(右)である。
【図7】実施例7において得られた伸縮性導電体試料の走査型電子顕微鏡写真(左)および画像処理後の図(右)である。
【図8】実施例17において得られた伸縮性導電体試料の走査型電子顕微鏡写真(左)および画像処理後の図(右)である。
【図9】実施例23において得られた伸縮性導電体試料におけるひずみ量と抵抗の相間関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよび伸縮性導電体形成用ペーストを用いた伸縮性導電体の製造方法について、詳細を説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために代表的な事例の一部を示しており、発明の範囲を限定するものではない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。

【0013】
(伸縮性導電体)
本発明の伸縮性導電体は、エラストマーと2種類の導電粒子とを含む。2種類の導電粒子は、鱗片状粒子とナノ粒子であり、前記ナノ粒子がエラストマーの全体にわたり、分散されていることを特徴とする。また、前記導電粒子がエラストマーの全体にわたり、分散されていることが好ましい。

【0014】
<エラストマー>
本発明の伸縮性導電体に含まれているエラストマーは、架橋ゴムあるいは熱可塑性エラストマーの中から選択すればよい。例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等が挙げられる。伸縮性、化学的安定性、導電性粒子との配合性などの観点から、エラストマーがフッ素ゴムであることが好ましい。フッ素ゴムとは、分子内にフッ素原子を有するエラストマーであって、例えば三フッ化塩化エチレンとビニリデンフルオライドとの共重合体などが用いられる。

【0015】
フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VDF)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)からなる2元系材料、或いはビニリデンフルオライド(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)からなる3元系材料を好ましく用いることができる。この2元系又は3元系材料は、フッ素系ゴムの中でも特に化学的安定性が高く、本発明に最適なエラストマーである。
具体的なフッ素ゴムとしては、例えば、ダイキン社製の2元系フッ素ゴムG8002L、G8002、G802、G801、G8001などが挙げられる。また、ダイキン社製の3元系フッ素ゴムG603BP、G621BP、G901、G912、LT-302、LT-303L、LT-304、GBR-6002、GBRXなどが挙げられる。

【0016】
<導電粒子>
本発明の伸縮性導電体に含まれている導電粒子は少なくとも鱗片状粒子とナノ粒子を含む。導電粒子の材料としては、金属金、金属白金、金属銀、金属銅、炭素等が挙げられる。鱗片状粒子とナノ粒子の材料は、同じでも異なってもよい。純銀は全ての既知の金属の中で、導電率が最も高いから、導電粒子が金属銀の粒子であることが好ましい。「金属銀の粒子(銀粒子、銀フレーク(後述)、銀ナノ粒子(後述))」とは、実質的に純粋な銀であってもよく、例えば、少なくとも95重量%が銀であってもよく、または他の例では、少なくとも97重量%または98重量%が銀であってもよい。例えば、銀と、Au、Cu、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、V、Mn、Fe、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Cd、Ta、Re、Os、Ir、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Pb、Bi、Si、As、Hg、Sm、Eu、Th、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含んでいてもよい。例えば、金属銀の鱗片状粒子と金属銀のナノ粒子、金属銀の鱗片状粒子と金属金のナノ粒子、金属銀の鱗片状粒子と炭素ナノ粒子、黒鉛の鱗片状粒子と金属銀のナノ粒子、黒鉛の鱗片状粒子と炭素ナノ粒子等の組み合わせが挙げられる。

【0017】
<鱗片状粒子>
鱗片状粒子は、薄片、即ちフレークの形状にする粒子である。
好ましく用いられる鱗片状導電粒子としては、各種市販品が挙げられ、例えば、SigmaAldrich社製「銀フレーク」(製品番号327077-50G、サイズ10μm、純度99.9%)が入手可能である。

【0018】
鱗片状導電粒子の平均粒径は、0.2μm~50μmであることが好ましく、1μm~30μmであることがより好ましく、2μm~20μmであることが更に好ましい。平均粒径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA-920」)を用い、鱗片状導電粒子を溶解しない媒体に分散させて測定した数平均粒子径として規定することができる。

【0019】
導電粒子の形状は、例えば走査型電子顕微鏡(Scanning Electron
Microscope:SEM)観察から解析することができる。ここで、導電粒子の形状についての定義の一例を記載する。
導電粒子に外接する直方体のうち最小の体積をもつ直方体(外接直方体)の最も長い辺を長径L、次に長い辺を短径B、最も短い辺を厚さTとして(B>Tとする)、導電粒子の形状をアスペクト比L/Tで定義する。
本発明の伸縮性導電体に含まれている鱗片状導電粒子とは、L/Tが2よりも大きく、100よりも小さい導電粒子である。

【0020】
鱗片状導電粒子の長径(L)は1μm~50μmであることが好ましく、2.5μm~25μmであることがより好ましく、5μm~15μmであることが更に好ましい。

【0021】
鱗片状導電粒子の長径(L)が厚さ(T)に対するアスペクト比(L/T)は2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましい。鱗片状導電粒子の厚さ(T)は、例えば、0.2μm~10μmであることが好ましく、0.5μm~5μmであることがより好ましく、1μm~5μmであること更に好ましい。

【0022】
鱗片状導電粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

【0023】
<ナノ粒子>
本発明の伸縮性導電体に含まれているナノ粒子の好ましい例は、銀ナノ粒子である。ナノ粒子の形状としては、従来公知の形状とすることができ、例えば、略球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状及び針状等を挙げることができる。また、略球状とは、球状に近似できる略球状の他、真球も含むものである。

【0024】
ナノ粒子の平均粒径が0.5nm~100nmであることが好ましく、0.5nm~50nmであることがより好ましく、0.5nm~25nmであることが更に好ましく、0.5nm~10nmであることが特に好ましい。

【0025】
ナノ粒子の平均粒径は、例えば、散乱式粒度分析計(日機装株式会社製、マイクロトラックシリーズ)等により動的光散乱法(DLS)で測定される平均粒径、或いは、伸縮性導電体の表面又は断面SEM写真から測定される平均粒径である。

【0026】
本発明の伸縮性導電体は、フッ素ゴム等のエラストマーの全体にわたり、銀ナノ粒子などのナノ粒子が分散されている。本発明の伸縮性導電体は、好ましくフッ素ゴム等のエラストマーの全体にわたり、銀フレークなどの鱗片状粒子が分散されている。銀ナノ粒子などのナノ粒子は、この銀フレーク粒子間のフッ素ゴムに分散されて安定に存在することができれば、特に限定されない。

【0027】
本発明の伸縮性導電体に含まれているナノ粒子は、伸縮性導電体を製造する工程において、鱗片状粒子から由来するものであってもよい。銀フレークと銀ナノ粒子とを含む本発明の一例の伸縮性導電体の場合、銀ナノ粒子は、伸縮性導電体を製造する工程において、銀フレークから由来するものであってもよい。銀フレークから由来の場合、銀ナノ粒子は、本発明の伸縮性導電体に安定に分散され、伸縮性導電体の伸長等の変形をする際、通常、フッ素ゴムで隔離されている銀ナノ粒子が導通経路を形成し、伸縮性導電体の導電性に寄与することができる。

【0028】
また、本発明の一例の伸縮性導電体に含まれている銀ナノ粒子は、公知の銀塗料組成物(銀インク、銀ペースト)の用途で使用されている銀ナノ粒子を用いてよい。塗料組成物を用いて従来の導電体を製造する場合、例えば、低温焼結により銀ナノ粒子表面の有機安定剤を除し、銀ナノ粒子同士を導通する工程がある。本発明の伸縮性導電体を製造する際、例えば、有機安定剤で被覆されている銀ナノ粒子が本発明の伸縮性導電体に存在しても、銀ナノ粒子間、銀ナノ粒子間と銀フレークとの間において、電気的導通がなく、伸縮性導電体の導電性への寄与は少ない。そのため、有機安定剤を用いて安定化した銀ナノ粒子組成物を原料として使用する場合、伸縮性導電体に分散された銀ナノ粒子表面は、少なくとも一部にその有機安定剤が剥離されていることが好ましい。

【0029】
本発明の伸縮性導電体に含まれている導電粒子は、鱗片状の粒子とナノ粒子以外に、カーボンナノチューブやグラフェン等のその他の導電粒子を含んでもよい。

【0030】
<界面活性剤>
本発明の伸縮性導電体は更に界面活性剤を含んでもよい。本発明の伸縮性導電体に含まれている界面活性剤は、伸縮性導電体のエラストマーの全体にわたり、導電粒子を分散することができれば、特に限定されない。また、本発明の伸縮性導電体に含まれている界面活性剤は、水を含まない界面活性剤であることが好ましい。「水を含まない界面活性剤」とは、実質的に水を含まないという意味である。その界面活性剤の含水量は、例えば、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。

【0031】
本発明の伸縮性導電体に含まれている界面活性剤は、例えば、非イオン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
非イオン界面活性剤の例としては、第一工業製薬株式会社製のノイゲン(登録商標)TDS-30、TDS-70、TDS-120が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKF-6048が挙げられる。フッ素系界面活性剤の例としては、例えば、AGCセイミケミカル製のS386、3M(登録商標)製のFC-4430、FC-4432が挙げられる。
これらの界面活性剤は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
好ましい界面活性剤の例はフッ素系界面活性剤である。例えば、AGCセイミケミカル製のS386が好ましい。

【0032】
<伸縮性導電体の組成>
本発明の伸縮性導電体におけるエラストマーの質量組成比は、伸縮性導電体に対して10~50質量部%であることが好ましく、15~45質量部%であることがより好ましく、20~40質量部%であることが更に好ましい。
本発明の伸縮性導電体における導電粒子の質量組成比は、伸縮性導電体に対して50~90質量部%であることが好ましく、55~85質量部%であることがより好ましく、60~80質量部%であることが更に好ましい。
伸縮性導電体に界面活性剤が含まれている場合、本発明の伸縮性導電体における界面活性剤の質量組成比は、伸縮性導電体に対して0.1~10質量部%であることが好ましく、0.5~6質量部%であることがより好ましく、1~3質量部%であることが更に好ましい。
伸縮性導電体に含まれている導電性ナノ粒子の量は、例えば、伸縮性導電体の表面又は断面を300,000倍の走査型電子顕微鏡で撮影し、得られた写真で評価することができる。導電性鱗片状粒子を含まない領域において、例えば、200nm×200nmの矩形範囲でナノ粒子の専有面積を算出し、ナノ粒子の専有率=ナノ粒子の専有面積/200nm×200nmで、ナノ粒子の量を評価することができる。
ナノ粒子の専有率が0.5%~30%であることが好ましく、1.0%~25%であることがより好ましく、5.0%~20%であることが更に好ましく、10.0%~15%であることが特に好ましい。ナノ粒子の専有率が0.5%以下の場合、ナノ粒子の導電率に対する効果が発揮できなく、ナノ粒子の専有率が30%を超える場合、伸縮性導電体の伸縮性を損なう。

【0033】
<伸縮性導電体の評価>
本発明の伸縮性導電体は、用途によって伸長率0%での導電率が10S/cm以上或いは50S/cm以上であれば使用可能である。伸長率0%での導電率が100S/cm以上であることが好ましく、200S/cm以上であることがより好ましく、1000S/cm以上であることが更に好ましい。
各ひずみ(伸長率)%での導電率の測定方法は、後述の測定方法で測定することができる。
用途によって伸長率50%での導電率が100S/cm以上であれば使用可能である。
伸長率50%での導電率が100S/cm以上であることが好ましく、200S/cm以上であることがより好ましく、350S/cm以上であることが更に好ましく、550S/cm以上であることが特に好ましい。
伸長率300%での導電率が100S/cm以上であることが好ましく、200S/cm以上であることがより好ましく、300S/cm以上であることが更に好ましく、400S/cm以上であることが特に好ましい。

【0034】
(伸縮性導電体形成用ペースト)
本発明の伸縮性導電体形成用ペーストは、エラストマーと少なくとも2種類の導電粒子と有機溶媒とを含む。前記2種類の導電粒子が鱗片状粒子とナノ粒子であることを特徴とする。本発明の伸縮性導電体形成用ペーストは更に界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明の伸縮性導電体形成用ペーストに含まれているエラストマー、導電粒子、及び界面活性剤は、上記伸縮性導電体に含まれているエラストマー、導電粒子、及び界面活性剤と同じ物でもよい。或いは、本発明の伸縮性導電体形成用ペーストを一定の条件で乾燥・硬化して本発明の伸縮性導電体を形成する過程において、上述伸縮性導電体に含まれているエラストマー、導電粒子、及び界面活性剤に変更できる原料であってもよい。例えば、本発明の伸縮性導電体形成用ペーストに含まれているエラストマーは、上述ゴムポリマーの前駆体、プレポリマー、或いはモノマーを含んでもよい。

【0035】
<有機溶媒>
本発明の伸縮性導電体形成用ペーストに含まれている有機溶媒は、エラストマーを溶解できれば、特に限定されない。例えば、フッ素ゴムを含む場合、4—メチル-2—ペンタノン(メチルイソブチルケトン)、エチルアセテート、ブチルアセテート、ヘキシルアセテート、イソホロン等を溶媒とすることができる、印刷工程及び乾燥工程の作業性を考慮した場合、メチルイソブチルケトン溶媒が好ましい。

【0036】
本発明の伸縮性導電体形成用ペーストは、水を含まないことが好ましい。「水を含まない」とは、実質的に水を含まない意味であり、不純物として少量な水を含でもよい。本発明の伸縮性導電体形成用ペーストの含水質量比は、0.5%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、500ppm以下であることが更に好ましい。
伸縮性導電体形成用ペーストに含まれている水が多いと、形成した伸縮性導電体は、導電性粒子の分散性が悪くなり、優れた導電性と伸縮特性が得られない。

【0037】
伸縮性導電体形成用ペーストにおけるエラストマーの質量組成比は、伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して10~50質量部%であることが好ましく、15~45質量部%であることがより好ましく、20~40質量部%であることが更に好ましい。
伸縮性導電体形成用ペーストにおける導電粒子の質量組成比は、伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して50~90質量部%であることが好ましく、55~85質量部%であることがより好ましく、60~80質量部%であることが更に好ましい。
界面活性剤を含む場合、伸縮性導電体形成用ペーストにおける界面活性剤の質量組成比は、伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対して0.1~10質量部%であることが好ましく、0.5~6質量部%であることがより好ましく、1~3質量部%であることが更に好ましい。

【0038】
(伸縮性導電体の製造方法)
本発明の一実施形態の伸縮性導電体の製造方法は、エラストマーと前記導電性鱗片状粒子と有機溶媒とを混合して伸縮性導電体形成用ペーストを製造する工程と、伸縮性導電体形成用ペーストを成膜・乾燥して導電体を形成する工程とを含むことを特徴とする。界面活性剤を含む場合の本発明の伸縮性導電体の製造方法は、エラストマーと導電粒子と界面活性剤と有機溶媒とを混合して伸縮性導電体形成用ペーストを製造する工程と、伸縮性導電体形成用ペーストを成膜・乾燥して導電体を形成する工程とを含むことを特徴とする。
フッ素ゴム、導電性粒子、界面活性剤、有機溶媒の配合順については導電性粒子を分散することができれば特に限定されない。例えば、フッ素ゴムを有機溶媒に混合してから、導電性粒子を添加し、そして界面活性剤を添加する方法が好ましい。一例としては、初めに、塊状で入手されるフッ素ゴムをペレット状に細かく分断する。次に、ペレット状のフッ素ゴムと、導電性材料とを計量し、フッ素ゴムを良好に溶かす4-メチル-2-ペンタノン溶媒に混ぜて、撹拌によりフッ素ゴムを溶解させ、同時に導電性材料を溶液中に均質に分散させる。そして、フッ素系界面活性剤を入れて更に混合することにより、伸縮性導電体形成用ペーストを製造する。

【0039】
各成分を混合する場合の比率は、一例として、伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分が80.4質量%、4-メチル-2-ペンタノン溶媒が19.6質量%、伸縮性導電体形成用ペーストの非揮発成分に対するフッ素ゴム、銀フレーク、フッ素系界面活性剤はそれぞれ、24.4質量%、73.2質量%、2.4質量%である。

【0040】
得られた伸縮性導電体形成用ペーストを用いて、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、ディスペンサー、インクジェットなどの印刷法により伸縮性のある導電性パターンを形成することができる。また、伸縮性導電体形成用ペーストを塗布する基材としては、ポリマー、ゴム、繊維など必要とされる伸縮性の度合いに応じて各種材料を用いることができる。また、伸縮性導電体形成用ペーストを基材に塗布して後述の方法で乾燥した後、伸縮性導電体を保護しその耐久性を高める目的で、基材と同種材料または異種材料により伸縮性導電体が挟まれた構造とすることができる。

【0041】
乾燥方法について特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。
乾燥条件は、伸縮性導電体形成用ペーストの濃度(非揮発成分組成比)、使用する有機溶媒の沸点、形成する伸縮性導電体の形状、1回に乾燥するサンプルの量などに依存するが、例えば、第1乾燥工程の温度より10~70℃高い第2乾燥工程を含む方法が挙げられる。第1乾燥工程の温度より30~60℃高い第2乾燥工程を含む方法がより好ましい。第1乾燥工程の温度が30~120℃のであることが好ましく、50~100℃であることがより好ましく、60~90℃であることが更に好ましい。第2乾燥工程の温度は、80℃~150℃の範囲が好ましく、100℃~140℃であることより好ましい。乾燥温度が50~100℃であり、乾燥時間が0.5~2時間である第1乾燥工程と乾燥温度が100℃~140℃範囲であり、乾燥時間が0.5~2時間である第2乾燥工程を含む乾燥方法が好適である。一例としては、80℃1時間で乾燥した後、120℃1時間でさらに乾燥する方法が挙げられる。

【0042】
<伸縮性導電体の構造>
以上のように優れた伸縮性を示す導体を得ることができる要因として本発明者は以下に説明する現象が作用していると推定している。

【0043】
図1に示す断面構造の伸縮性導電体10において、銀ナノ粒子11と銀フレーク12は全体にわたり分散されている。本発明の一実施態様の図4のSEMの断面写真に示すように、銀フレークの間に銀ナノ粒子が観測された。伸縮性導電体形成用ペーストには、特に銀ナノ粒子は添加せずに、銀フレークのみを添加した。その銀ナノ粒子は、伸縮性導電体形成用ペーストを調整する工程などにおいて、銀フレークから由来したものである。特許文献1と異なり、ペーストには水が含まれていないため、銀フレーク由来の銀ナノ粒子が銀フレークと凝集することなく、安定な分散状態に存在することができる。銀フレークの表面を界面活性剤によって改質し、銀フレークとフッ素ゴムとの界面の結合力が強くなり、大きな伸張に耐える構造になっている。また、伸縮性導電体が伸びる場合、近くの銀ナノ粒子が凝集し、導通経路が増える効果があると推定できる。
【実施例】
【0044】
「実施例1」
配合後の総量が100質量部として、フッ素ゴム(G8001:ダイキン工業株式会社製商品名)19.6質量部を原料として用い、4-メチル-2-ペンタノン19.6質量部と平均粒径10μm以下の銀フレーク(SigmaAldrich社製「銀フレーク」、製品番号327077-50G)を58.8質量部で混合し、混合物をマグネチックスターラーにて12時間攪拌混合し、インク状の混合物を得た。この混合物にフッ素系界面活性剤(S386、AGCセイミケミカル株式会社製)を2質量部添加してマグネチックスターラーにて12時間攪拌混合し、伸縮性導電体形成用ペーストを得た。
伸縮性導電体形成用ペーストの配合量を表1に示す。
【実施例】
【0045】
伸縮性導電体形成用ペーストを用い、スクリーン印刷法により厚さ20μmのポリウレタンフィルム上にパターンを形成し、80℃で1時間乾燥した後、120℃1時間で更に乾燥した。その結果、長さ3cm、幅500μm、厚さ20μm~30μmの伸縮性導電体(図2の伸縮性導電体21)を得た。
伸縮性導電体の配合量を表1に示す。
【実施例】
【0046】
【表1】
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<伸縮性導電体の伸縮性と導電率評価>
作製した伸縮性導電体の試験体について、短冊状の伸張性樹脂フィルム20の長さ方向に伸張力を作用させながら(速さ:15mm/分)4端子法でひずみ(伸び率0%、50%、100%、150%、200%、250%、300%)に対する導電率を測定した。
得られた各伸び率での導電率の値に加えて、導電性が失われた場合は×、失われていない場合は〇とした結果を表1に示す。表1に示すように、300%前後のひずみを負荷しても806S/cmを超える導電率が得られた。
【実施例】
【0047】
伸縮性導電体の評価結果を表1に示す。
【実施例】
【0048】
<伸縮性導電体のSEM観察>
実施例1の伸縮性導電体について、表面及び横断面を走査型電子顕微鏡で撮影した結果をそれぞれ図3と図4に示す。
【実施例】
【0049】
図3(a)、図4(a)に示す低倍率走査型電子顕微鏡写真では、導電性粒子が均一に分散されていることが分かる。また、図3(c)、図4(c)に示す高倍率走査型電子顕微鏡写真では銀フレーク間に銀ナノ粒子が観測された。
【実施例】
【0050】
<ナノ粒子の専有率の測定>
図5は、評価対象の走査型電子顕微鏡写真及びその走査型電子顕微鏡写真の一部の画像処理後のデータである。
走査型電子顕微鏡写真の撮影方法:
走査型電子顕微鏡写真装置名: Hitachi S-4800
測定条件:
W距離: 5 mm
加速電圧:3kV,
倍率: 300,000倍
観測場所:サンプル表面
走査型電子顕微鏡写真の画像処理方法:
使用ソフトウェア:Fiji Image J
処理手法:高速フーリエ変換(FFT)、画像の二値化、
処理面積:200nm×200nm
カウント対象ナノ粒子の最小面積:10nm
図5から算出した本実施例の解析結果を表2に示す。
表1において、実施例1のナノ粒子の存在量を「多」とし、それから少なくなるにつれて「中」、「少」とし、ナノ粒子が認められないものを「無」として評価した。
「多」:ナノ粒子の専有率>5%
「中」:ナノ粒子の専有率0.5%~5%
「少」:ナノ粒子の専有率<0.5%
「無」:ナノ粒子を観察できない
【実施例】
【0051】
【表2】
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【実施例】
【0052】
「実施例2」~「実施例6」
実施例1で用いたのと同じエラストマー、導電粒子、界面活性剤を配合成分とし、表1に示した配合量を用いて伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。
それらの試験体を実施例1と同様な方法で評価した結果を表1と2、図6に示す。
【実施例】
【0053】
「実施例7」~「実施例14」
実施例1で用いたのと同じ導電粒子、界面活性剤を配合成分とし、表3に示したエラストマーを用いて伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。それらのエラストマーのうち、フッ素ゴムとしては、実施例1のG8001に替えてG801、G802、G8002L、GBRX(いずれもダイキン工業株式会社商品名)のいずれかを用い、フッ素ゴム以外として、エピクロルヒドリンゴムのHydrin C2000L、アクリロニトリルブタジエンゴムのNipol 1042、アクリルゴムのNipol AR12(いずれも日本ゼオン株式会社商品名)を用いた。
それらの試験体を実施例1と同様な方法で評価した結果を表2と3、図7に示す。
【実施例】
【0054】
【表3】
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【実施例】
【0055】
「実施例15」~「実施例21」
実施例1で用いたのと同じエラストマー、導電粒子を配合成分とし、表4に示した界面活性剤を用いて伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。それらの界面活性剤として、実施例1のS386に替えて、フッ素系界面活性剤のZonyl FS-300(デュポン社商品名)、FC4430、FC4432(いずれも3M社商品名)、非イオン界面活性剤のTRITON-X100(Sigma-Aldrich社販売)、TDS-30、TDS-70、TDS-120(第一工業製薬株式会社商品名)のいずれかを用いた。
それらの試験体を実施例1と同様な方法で評価した結果を表2と4、図8に示す。
【実施例】
【0056】
【表4】
JP2018110632A1_000006t.gif
【実施例】
【0057】
「実施例22」
実施例1で用いたのと同じエラストマー、導電粒子、界面活性剤を配合成分とし、表5に示した有機溶媒を用いて伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。
それらの試験体を実施例1と同様な方法で評価した結果を表5に示す。
【実施例】
【0058】
【表5】
JP2018110632A1_000007t.gif
【実施例】
【0059】
「実施例23」
実施例1と同様な方法で伸縮性導電体形成用ペーストを作成した。それを用いて、125μm厚のポリイミドシャドーマスクを用いたステンシル印刷法を用いて、何のパターンのない20μm厚のポリウレタン(5mm幅、35mm長)上に、0.5mm幅、35mm長に印刷した以外は、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。評価用の4端子電極の距離が最初30mmになるようにサンプルを固定して評価した以外は、実施例1と同様な方法でひずみ(伸び率0%~450%)に対する導電率を測定した。結果を図9に示す。
【実施例】
【0060】
「比較例1」~「比較例5」
実施例1で用いたのと同じエラストマー、界面活性剤を配合成分とし、表5に示した導電粒子を用いて伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。用いる銀粉としては、実施例1の銀フレーク(SigmaAldrich社製)に替えて、球状粉であるAG-202(昭栄化学工業株式会社製)、円形銀粉のQ08S-2、MD40A(三井金属鉱業株式会社製)のいずれかを用いて、伸縮性導電体形成用ペーストを作成し、それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。
それらの試験体を実施例1と同様な方法で評価した結果を表5に示す。
【実施例】
【0061】
「比較例6」
配合後の総量が100質量部として、フッ素ゴム(G801:ダイキン工業株式会社製商品名)19.9質量部を原料として用い、水8.6質量部と4-メチル-2-ペンタノン28.6質量部と平均粒径10μm以下の銀フレーク(SigmaAldrich社製「銀フレーク」、製品番号327077-50G)42.9質量部とを混合し、混合物をマグネチックスターラーにて12時間攪拌混合し、インク状の混合物を得た。この混合物に非イオン界面活性剤のTRITON-X100(Sigma-Aldrich社販売)5.7質量部を混合してマグネチックスターラーにて12時間攪拌混合し、伸縮性導電体用ペーストを得た。それを用いて、実施例1と同様な方法で伸縮性導電体の試験体を作製した。
それらの試験体を実施例1と同様に評価し、その評価結果を表5に示す。
【符号の説明】
【0062】
10…伸縮性導電体、
11…銀ナノ粒子(ナノ粒子導電粒子)、
12…銀フレーク粒子(鱗片状導電粒子)、
20…伸張性樹脂フィルム、
21…伸縮性導電体、
22…矩形状の足場片。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8