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明細書 :発泡金属成型用の型、発泡金属の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-188452 (P2019-188452A)
公開日 令和元年10月31日(2019.10.31)
発明の名称または考案の名称 発泡金属成型用の型、発泡金属の製造方法
国際特許分類 B22C   9/06        (2006.01)
B22D  29/00        (2006.01)
B22D  23/06        (2006.01)
B22C   1/00        (2006.01)
FI B22C 9/06 L
B22D 29/00 G
B22D 23/06
B22C 1/00 Z
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2018-086381 (P2018-086381)
出願日 平成30年4月27日(2018.4.27)
発明者または考案者 【氏名】半谷 禎彦
【氏名】天谷 賢児
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4E092
4E093
Fターム 4E092AA60
4E093NA10
4E093NB10
要約 【課題】容易に短時間で作製することができ、所望の形状に発泡金属を成型することができる発泡金属成型用の型を提供する。
【解決手段】針状の部材と、針状の部材が高さ調整可能に取り付けられた基盤から成り、針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されている発泡金属成型用の型を構成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
発泡金属を成型するための型であって、
針状の部材と、
前記針状の部材が高さ調整可能に取り付けられた基盤から成り、
前記針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されている
発泡金属成型用の型。
【請求項2】
発泡金属を製造する方法であって、
高さ調整可能に基盤に取り付けられた針状の部材の先端部の群により前記発泡金属の成型面が形成された型を用い、
金属に発泡剤が混合された前駆体を、前記型の内部に配置し、
その後に、前記前駆体を加熱することにより、前記前駆体を発泡させて、前記型により形状が制御された発泡金属を作製する
発泡金属の製造方法。
【請求項3】
前記型の前記針状の部材の柱状の部分も成型に用いる請求項2に記載の発泡金属の製造方法。
【請求項4】
前記型は、少なくとも一部が光を透過する材料により構成されている、請求項2に記載の発泡金属の製造方法。
【請求項5】
前記前駆体が発泡した後に、さらに別の成型用の型によりプレスして追加的に形状を付与する請求項2に記載の発泡金属の製造方法。
【請求項6】
製造すべき発泡金属の形状に対応する形状の物品を用いて、前記物品の型取りを行って、前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、
取得した前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータに基づいて、前記成型用の型の前記針状の部材の先端部の前記基盤からの高さを決定し、
決定した前記先端部の群により、前記成型面が形成された成型用の型を作製し、
作製した前記成型用の型を使用して発泡金属を作製する
請求項2に記載の発泡金属の製造方法。
【請求項7】
発注側に、第1のコンピュータを設け、
製造側に、第2のコンピュータを設け、
前記発注側において、前記物品の型取りを行って、前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、
取得した前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した前記物品の表面の形状のデータを、前記第1のコンピュータから前記第2のコンピュータに送信し、
前記製造側において、前記第2のコンピュータが受信したデータに基づいて、前記成型用の型の前記針状の部材の前記先端部の前記基盤からの高さを調整する
請求項6に記載の発泡金属の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡金属成型用の型、発泡金属の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡金属は、気孔を多く含むことにより、軽量であり、衝撃エネルギー吸収特性や消音特性に優れており、自動車、鉄道、航空宇宙、建築等、様々な分野で超軽量な多機能素材として注目されている(例えば、特許文献1~特許文献3を参照。)
【0003】
発泡金属を製造する方法として、従来は、例えば、原料となる金属に発泡剤が混合された前駆体を作製した後に、前駆体を電気炉等で加熱することにより、発泡剤の分解により発生したガスにより発泡させて気孔を形成していた。
また、前駆体を発泡させる工程では、発泡金属の成型のために金型が利用されていた(例えば、非特許文献1の図1(e)を参照)。
【0004】
また、例えば、特許文献4には、発泡金属等の発泡体を製造する方法として、鋳型内に配置した前駆体に対して、鋳型の外部から放射線を照射して加熱を行う方法も提案されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2007-61865号公報
【特許文献2】国際特許公開第2010/029864号明細書
【特許文献3】国際特許公開第2010/106883号明細書
【特許文献4】特表2006-521467号公報
【0006】

【非特許文献1】宇都宮登雄、塚田敦海、半谷禎彦,「金型利用によるポーラスアルミニウム部材の作製」,日本機械学会論文集A編,77,p.1017-1020,2011年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発泡金属の実用化には、低コスト化が課題となっており、製造工程の簡素化が求められている。
【0008】
従来の電気炉等を使用した雰囲気加熱では、金型も加熱されるため、その分、加熱のエネルギーのうち前駆体の加熱に利用されるエネルギーが少なくなることから、エネルギー利用効率が良くなかった。
また、発泡温度に温度を上昇させるまでに、時間がかかった。
そして、金型は不透明であるため、金型の内部の発泡の状態を観察することができなかった。また、電気炉の内部の観察も困難であった。
【0009】
一方、金型を利用しないで発泡させると、形状が制御されず、自由な形状で発泡金属が形成される。そのため、発泡金属を所望の形状とするためには、発泡した後に所望の形状にするための加工が必要になる。
しかしながら、発泡金属は気孔を有しているので、加工の際にかかる負荷によって変形してしまうことがあり、所望の形状に加工することが難しかった。
【0010】
光を照射して前駆体を加熱すれば、光が照射された範囲とその周辺のみが加熱されるので、エネルギーの利用効率が良く、雰囲気加熱よりも低いコストで加熱ができる。
しかし、発泡金属の成型に金型を利用すると、光が金型内へ透過しないので、前駆体に光を照射することができない。
また、金型や鋳型を利用しないで発泡させると、上述したように、所望の形状とするためには、発泡した後に加工が必要になるが、気孔を有するために加工の際に変形しやすく、所望の形状に加工することが難しくなる。
【0011】
さらにまた、上記特許文献4の場合、鋳型として、セラミックやガラス等の堅牢な透明材を使用しているため、細かい表面形状を作製することができず、所望の形状の発泡金属を製造することが難しい。
【0012】
上述した問題の解決のために、本発明においては、容易に短時間で作製することができ、所望の形状に発泡金属を成型することができる発泡金属成型用の型を提供するものである。また、所望の形状の発泡金属を製造することができる、発泡金属の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発泡金属成型用の型は、発泡金属を成型するための型であって、針状の部材と、針状の部材が高さ調整可能に取り付けられた基盤から成り、針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されているものである。
【0014】
本発明の発泡金属の製造方法は、高さ調整可能に基盤に取り付けられた針状の部材の先端部の群により発泡金属の成型面が形成された型を用い、金属に発泡剤が混合された前駆体を型の内部に配置し、その後に、前駆体を加熱することにより、前駆体を発泡させて、型により形状が制御された発泡金属を作製する。
【発明の効果】
【0015】
上述の本発明の発泡金属成型用の型の構成によれば、針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されているので、この型を用いて、所望の形状に発泡金属を成型することができる。
また、針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されているので、従来の金型と比較して、容易に短時間で型を作製することができる。
【0016】
上述の本発明の発泡金属の製造方法によれば、針状の部材の先端部の群により発泡金属の成型面が形成された型を用い、成型用の型によって発泡金属の形状を制御することにより、所望の形状の発泡金属を製造することができる。
また、前駆体に光を照射して前駆体を加熱する場合には、従来の金型を使用した場合と比較して、型による熱のロスが少なく、効率良く前駆体を加熱することができる。これにより、雰囲気加熱よりも低いコストで加熱することができ、比較的低いコストで発泡金属を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】A、B 本発明の第1の実施の形態を示す概略断面図である。
【図2】針状の部材の先端部の配置を示す平面図である。
【図3】発泡金属成型用の型の変形例を示す概略断面図である。
【図4】発泡金属成型用の型の変形例を示す概略断面図である。
【図5】発泡金属成型用の型の変形例を示す概略断面図である。
【図6】A、B 本発明の第2の実施の形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における型取りを説明する概略断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。

【0019】
本発明の発泡金属成型用の型は、発泡金属を成型するための型であって、針状の部材と、針状の部材が高さ調整可能に取り付けられた基盤から成り、針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されている構成である。

【0020】
本発明の発泡金属の製造方法は、高さ調整可能に基盤に取り付けられた針状の部材の先端部の群により発泡金属の成型面が形成された型を用い、金属に発泡剤が混合された前駆体を、型の内部に配置し、その後に、前駆体に光を照射して加熱することにより、前駆体を発泡させて、型により形状が制御された発泡金属を作製する。

【0021】
本発明において、型を構成する針状の部材の材料としては、発泡した金属と接触しても変形しないように、原料の金属よりもさらに融点の高い材料で構成された部材を用いることが望ましい。
アルミニウムやアルミニウム合金等を発泡金属の原料とする場合には、銅やスチール等を針状の部材の材料として使用することができる。

【0022】
成型用の型を構成する針状の部材は、柱状の部分と先端部を有している。
先端部は、より好ましくは、柱状の部分の断面積よりも広い断面積で形成されている構成とする。
また、先端部は、釘や金属製ピンのように、柱状の部分と同じ材質で一体に形成されている構成であることが望ましいが、柱状の部分と異なる材質(例えば、異種の金属、非金属と金属)で柱状の部分に取り付けられている構成とすることも可能である。

【0023】
針状の部材のうち、先端部のみを成型に使用してもよい。
また、針状の部材の先端部だけでなく、柱状の部分も成型に使用してもよい。

【0024】
成型用の型を構成する針状の部材は、基盤に対して高さ調整可能に取り付けられている。
基盤は、平板状の基盤、もしくは、断面半円状や半球状等の曲面形状とされた基盤を用いることができる。
基盤に光を透過する材料を用いてもよく、その場合、基盤を通して前駆体に光を照射することも可能になる。
基盤への針状の部材の取り付け方法は、特に限定されない。そして、針状の部材の先端部の高さが、製造すべき発泡部材の表面形状に対応するように、それぞれの針状の部材の高さを調整して基盤に取り付ける。

【0025】
型は、1回の発泡毎に作製してもよいし、複数回の発泡で繰り返して使用するようにしてもよい。

【0026】
型の使用形態としては、好ましくは、従来の金型のように、所望の形状の発泡金属に合わせた形状の型を使用する形態とする。

【0027】
なお、針状の部材の先端部のみで型を構成する形態、型の一部を光が透過する材料(透明材)で構成して他の部分を針状の部材の先端部で構成する形態、のいずれも可能である。
後者の場合は、針状の部材の間から前駆体に光を照射することも可能であるが、特に型のうちの光が透過する材料の部分から前駆体に光を照射すれば、光が針状の部材で遮られることがないので、光の利用効率をさらに向上することができる。

【0028】
型の一部に用いる透明材としては、ガラス、サファイア、石英ガラス、水晶等を使用することが可能である。
この透明材は、発泡した金属と接触するので、発泡した金属と接触しても、分解や変形をしないような耐熱性を有する必要がある。そのため、原料の金属の融点によって、使用可能な透明材の範囲が異なる。
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛及びそれらの合金は、比較的融点が低いので、上述したガラス、サファイア、石英ガラス、水晶等、広い範囲の透明材を使用することができる。

【0029】
また、例えば、耐熱性を有する平板の上に前駆体を載置して、平板を下側の型として利用することができる。この場合、平板以外の型の部分から光を照射することができれば、平板は光を透過する材料ではなくてもよい。

【0030】
本発明では、針状の部材の先端部の群により発泡金属の成型面が形成された型を使用することから、型の針状の部材の隙間等から、発泡の状態を観察することが可能である。

【0031】
針状の部材の配置は、先端部の群により発泡金属の成型面が形成された型によって発泡金属の成型ができる配置であれば、特に限定されない。
例えば、1つの方向において針状の部材を密に配置して、その方向に垂直な方向において針状の部材を疎に配置することが可能である。この場合、針状の部材を密に配置した方向と平行な方向から、光を型の内部の前駆体に照射することが可能である。

【0032】
針状の部材について、針状の部材の柱状の部分の太さ、針状の部材の間隔、針状の部材の先端部の大きさ、先端部の間隔、を適切な範囲内で選定する。
針状の部材の隙間から光を照射する場合には、柱状の部分が細いほど、また、針状の部材の間隔が広いほど、光の透過率が上がり、エネルギーの利用効率が上がる。
また、発泡金属の発泡によって針状の部材が変形することがなく、発泡金属の形状を制御するために、針状の部材の特に柱状の部分の強度は、ある程度以上必要である。
さらに、発泡金属が発泡中の柔らかい状態では表面張力があるため、針状の部材の先端部の間隔がある程度以下ならば、発泡金属がはみ出さないようにすることができる。先端部の間隔が広すぎると、先端部の間から発泡した発泡金属がはみ出してしまう。従って、先端部の間隔を、原料の発泡中の金属の表面張力の状態に応じて、許容されるはみ出し量によって適切な範囲内とする。

【0033】
本発明の製造方法において、前駆体を構成する、発泡金属の原料となる金属としては、金属元素単体、もしくは、合金を使用することができる。
例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛や亜鉛合金、銅や銅合金、鉄や鉄合金等が挙げられる。

【0034】
本発明の製造方法において、前駆体を構成し、金属と混合される発泡剤としては、従来、発泡金属の発泡用に使用されている、もしくは、発泡金属の発泡用として提案されている、各種の発泡剤を使用することができる。例えば、TiH(水素化チタン)、水素化ジルコニウムが挙げられる。
ただし、原料の金属の融点と合うように、発泡する温度が適切な範囲の発泡剤を選定することが望ましい。

【0035】
本発明の製造方法において、金属に発泡剤が混合されていれば、前駆体の作製方法は、特に限定されない。
例えば、金属粉末と発泡剤粉末を混合して固化成型する方法や、特許文献2や特許文献3に記載された、金属板に発泡剤粉末を摩擦攪拌ツールにより混合する方法等、各種の作製方法を適用して、前駆体を作製することが可能である。

【0036】
本発明の製造方法において、型の内部に配置する前駆体は、その数や配置が特に限定されるものではない。前駆体を1個のみ配置しても、複数個配置してもよい。
製造すべき発泡金属が比較的複雑な表面形状(凹部等)を有する場合等では、複数個の前駆体を適切な位置に配置することにより、その表面形状の発泡金属を型に沿ってより確実に製造することができる。

【0037】
本発明の製造方法において、前駆体に照射する光の光源としては、例えば、ハロゲンランプや赤外線ランプ等を使用することができる。
そして、前駆体を加熱して、前駆体に発泡金属を作製するのに十分なエネルギーを与えることができるように、光源の出力、光源の光の波長範囲、照射時間等の条件を選定する。

【0038】
なお、本発明の成型用の型により成型した後、一部について、すぐに別の成型用の型を用いてプレスを行って形状を付与することも可能である。例えば、型の上に前駆体を設置して加熱、発泡させた後、発泡した金属の上方から別の型でプレスすることにより発泡金属に形状付与するようにしてもよい。
これにより、製造すべき発泡金属が、針状の部材の先端部や柱状の部分だけでは作製が難しいような形状を一部分に有する場合でも、別の成型用の型を用いたプレスによりその部分の形状を付与することが可能になる。
なお、プレスのための成型用の型にも針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されているものを使うことができる。

【0039】
型を構成するそれぞれの針状の部材の先端部の位置は、製造すべき発泡金属の寸法・形状と、針状の部材の配置(位置座標)から、求めることができる。
予め製造すべき発泡金属の寸法・形状が分かっている場合には、その寸法・形状(例えば、設計データ)を用いて、針状の部材の先端部の位置を決定する。
また、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品を用いて、この物品の型取りを行って、物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、取得した物品の寸法及び形状に関するデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さ(位置座標)を決定することができる。そして、決定した先端部の群により、発泡金属の成型面が形成された成型用の型を作製し、作製した成型用の型を使用して発泡金属を作製することができる。

【0040】
型取りする対象の物品としては、同一の寸法形状の発泡金属を複数個作製する場合における、既に製造した発泡金属、他の材質(緻密金属材、成型樹脂、3Dプリンターで作製したもの)で作製した模型、等が考えられる。
また、例えば、義手や義足を発泡金属で作製する場合には、ユーザーの他の手(指、掌、腕)や足(脚、足)を型取りすることができる。

【0041】
物品を型取りする方法としては、従来公知の方法を採用することができる。型取りの方法としては、石膏型等の型取り材を使用する方法と、型取りゲージ等の治具を使用する方法がある。後者の治具を使用する方法が短い時間で型取りできるので、本発明の発泡金属の製造方法には適している。

【0042】
例えば、治具を使用した型取りの方法として、一般的な市販の平板状の型取りゲージを使用して、一定位置毎に型取りする方法、複数個の型取りゲージを一定間隔で配置して型取りする方法が考えられる。

【0043】
また例えば、治具を使用した型取りの方法として、平板状の型取りゲージと同様の針状の部材を縦横に配置した構成の型取り治具を使用して、立体的に型取りする方法も考えられる。
なお、この立体的に型取りする方法を採用する場合、型取り治具の針状の部材と、発泡金属の成型用型の針状の部材を、全く同一の配置とすれば、型取り治具で型取りして取得した位置座標を、そのまま成型用型の針状の部材の先端部の位置座標に適用することができる。しかしながら、型取り治具の測定に基づいて得られた物品の表面形状から、成型用型の針状の部材の先端部の位置座標を求めることが可能であるので、型取り治具の針状の部材と、発泡金属の成型用型の針状の部材とは、全く同一の配置でなくても構わない。従って、型取り治具と成型用型において、それぞれ針状の部材の寸法・数・配置等を適切に選定することが望ましい。例えば、型取り治具では針状の部材を密に配置して、より精密に型取りを行い、成型用型では針状の部材を疎密の分布を有して部材の隙間から光を照射できる配置とすることができる。

【0044】
また、上述した型取り方法を適用して、発注側で型取りを行い、型取りで得られたデータを利用して、製造側で成型用の型を作製して、型を用いた発泡金属の製造を行うことが可能である。
即ち、発注側に第1のコンピュータを設け、製造側に第2のコンピュータを設ける。そして、発注側において、物品の型取りを行って、物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得する。さらに、取得した物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した物品の表面の形状のデータを、第1のコンピュータから第2のコンピュータに送信する。また、製造側において、第2のコンピュータが受信したデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さを調整して、成型用の型を作製する。そして、作製した成型用の型を使用して発泡金属を作製する。

【0045】
このようにして発泡金属の製造を行うことにより、発注側で型取りした物品に対応する寸法形状の発泡金属を製造側で製造することができる。そして、オーダーメイドで発泡金属を製造することが可能になる。
また、比較的短い時間で所望の寸法形状の発泡金属を製造することができる。

【0046】
続いて、図面を参照して、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
なお、本発明は、請求の範囲に規定された範囲内の任意の構成を採りうるものであり、以下の実施の形態や実施例の構成に限定されるものではない。

【0047】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1A及び図1Bの概略断面図に示す。
本実施の形態は、上下に針状の部材を延ばした成型用の型を使用する場合である。

【0048】
図1Aに示すように、平板状の基盤3に多数の針状の部材1が取り付けられており、この平板状の基盤3を上側と下側の合計2枚設けて、成型用の型が構成されている。
それぞれの基盤3に設けられた針状の部材1は、上方向と下方向に延びている。
針状の部材1は、細い柱状の部分と、柱状の部分よりも太く形成された先端部2とから構成されている。
それぞれの針状の部材1の先端部2の群によって、成型用の型が構成されている。

【0049】
成型用の型の内部に、1個の前駆体11が配置されている。
なお、図1Aでは、型の内部に前駆体11を1個のみ配置しているが、2個以上配置しても構わない。

【0050】
前駆体11は、金属に発泡剤が混合された構成である。金属や発泡剤としては、それぞれ前述した各種の材料を使用することができる。

【0051】
ここで、針状の部材1の先端部2の配置の例を、図2の平面図に示す。
図2に示すように、先端部2が、横方向(x軸方向)及び縦方向(y軸方向)に多数配置されている。そして、先端部2は、横方向(x軸方向)には疎に配置され、縦方向(y軸方向)には密に配置されている。
このように、方向によって疎と密に先端部2を配置することにより、縦方向の密な配置によって発泡金属の表面形状を設定すると共に、横方向の疎な配置により、針状の部材1の柱状の部分の隙間から縦方向(y軸方向)に光Lを照射することができる。
この場合の先端部2の横方向(x軸方向)の間隔は、先端部2の間に形成される発泡金属のはみ出し量が許容範囲となるようにする。
なお、針状の部材1の配置が密で前駆体11に直接光が届かない場合でも、針状の部材1が金属等の熱伝導性を有する材質でできている場合には、基盤3が光照射により加熱され、針状の部材1にその熱が伝わり針状の部材1からの放熱で前駆体11を加熱することができる。また、そのような型であれば従来のように電気炉に入れて加熱してもよいことは言うまでもない。

【0052】
本実施の形態の構成では、図2の平面図に示した光Lのように、針状の部材1の隙間から、前駆体11に光を照射することができる。そして、例えば、図1Aの紙面に垂直な方向から、前駆体11に光を照射することができる。
また特に、平板状の基盤3を、光を透過する構成とした場合には、上又は下の少なくとも1つの方向から、平板状の基盤3を通して、前駆体11に光を照射することが可能である。

【0053】
成型用の型を作製して、図1Aに示すように型の内部に前駆体11を配置して、その後、前駆体11に対して光を照射して、前駆体11を加熱させて発泡させる。発泡した前駆体11は、膨張して発泡金属となる。
これにより、図1Bに示すように、針状の部材1の先端部2の群によって構成された型の内部に沿って、型に対応した寸法形状の発泡金属12が製造される。

【0054】
なお、図1や図2において、針状の部材1は1つの方向において等間隔に配置されていたが、針状の部材1の間隔は等間隔でなくてもよい。発泡金属12の形状に対応して、間隔を変えても構わない。例えば、図1A及び図1Bの構成を、製造すべき発泡金属12の傾斜の大きい部分に対して、その他の部分よりも針状の部材1を密に配置した構成に変形することにより、傾斜の大きい部分もより精度良く形成することが可能である。

【0055】
また、図1A及び図1Bでは針状の部材1の先端部2のみで成型用の型を構成していたが、成型用の型の一部に、針状の部材1の柱状の部分を利用してもよい。例えば、針状の部材1の柱状の部分を利用して、発泡金属12の鉛直面(上下方向に平行な面)を形成することが可能である。

【0056】
(変形例)
本発明の第1の実施の形態に対する変形例を、図3~図5の概略断面図にそれぞれ示す。
これらの変形例は、針状の部材1を取り付ける基盤の数や形状を変えた構成である。

【0057】
図3に示す変形例は、基盤を上下だけでなく、横にも設けた構成である。
図3に示すように、針状の部材1を取り付ける平板状の基盤3を、上側と下側の他に、横(右側と左側)にも設けて、合計4枚の平板状の基盤3を配置して、成型用の型を構成している。針状の部材1は、それぞれの平板状の基盤3の面に対して垂直な方向に延びている。

【0058】
第1の実施の形態では、2枚の平板状の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2で、発泡金属12の表面全体を形成していた。本変形例の場合には、発泡金属12の表面を、上下の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2と、左右の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2とで、分担している。

【0059】
本変形例の構成では、紙面に垂直な方向から、前駆体11に光を照射することができる。また特に、平板状の基盤3を光を透過する構成とした場合には、上下左右の少なくとも1つの方向から、平板状の基盤3を通して、前駆体11に光を照射することが可能である。

【0060】
なお、平板状の基盤3が光を透過する構成である場合に、さらに図3の手前側と奥側にも平板状の基盤3と針状の部材1を配置して、合計6枚の基盤を配置することも可能である。

【0061】
図4に示す変形例は、基盤を上下左右だけでなく、斜め方向にも設けた構成である。
図4に示すように、針状の部材1を取り付ける平板状の基盤3を、上下左右の他に、斜め方向(右上、右下、左上、左下)にも設けて、合計8枚の平板状の基盤3を配置して、成型用の型を構成している。針状の部材1は、それぞれの平板状の基盤3の面に対して垂直な方向に延びている。
本変形例の場合には、発泡金属12の表面を、8枚の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2で分担している。

【0062】
本変形例の構成では、紙面に垂直な方向から、前駆体11に光を照射することができる。また、特に平板状の基盤3を、光を透過する構成とした場合には、上下左右の少なくとも1つの方向から、平板状の基盤3を通して、前駆体11に光を照射することが可能である。

【0063】
図5に示す例は、基盤を断面半円状として、上下に基盤を設けた構成である。
図5に示すように、針状の部材1を取り付ける基盤として、断面半円状の基盤4を用いて、基盤4に垂直に針状の部材1を取り付けて、中心部から針状の部材1が放射状に延びるようにして、成型用の型を構成している。
断面半円状の基盤4は、2枚を接合すると円筒状になる構成である。

【0064】
本変形例の構成では、紙面に垂直な方向から、前駆体11に光を照射することができる。また特に、断面半円状の基盤4を光を透過する構成とした場合には、断面半円状の基盤4を通して、前駆体11に光を照射することが可能である。

【0065】
なお、基盤に光を透過する材料を用いた場合には、図5の断面半円状の基盤4の代わりに、半球状の基盤を2枚設けて、それぞれの半球状の基盤に針状の部材1を取り付けた構成とすることも可能である。

【0066】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図6A及び図6Bの概略断面図に示す。
本実施の形態は、成型用の型の一部を、光が透過する材料(透明材)で構成した場合である。

【0067】
図6Aに示すように、針状の部材1を取り付ける平板状の基盤3を上下2枚設けて、さらに左側に、光が透過する材料(透明材)で形成された透明板5を設けている。
そして、2枚の平板状の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2の群と、透明板5の表面とによって、成型用の型を構成している。

【0068】
図6Aでは、型の内部に前駆体11を2個配置している。なお、型の内部に配置する前駆体11の数は、図6Aの2個に限定されない。

【0069】
本実施の形態の構成では、針状の部材1の隙間から、例えば、図6Aの紙面に垂直な方向から、前駆体11に光を照射することができる。
また、本実施の形態では、左側に透明板5を設けているので、左側から透明板5を通して前駆体11に光を照射することができる。

【0070】
成型用の型を作製して、図6Aに示すように型の内部に前駆体11を配置して、その後、前駆体11に対して光を照射して、前駆体11を加熱させて発泡させる。発泡した前駆体11は、膨張して発泡金属となる。
これにより、図6Bに示すように、針状の部材1の先端部2の群及び透明板5によって構成された型の内部に沿って、型に対応した寸法形状の発泡金属12が製造される。

【0071】
なお、本実施の形態では、成型用の型を構成する透明材として、透明板5を用いたが、透明材は透明板5のような平板状に限定されるものではなく、その他の形状の透明材を使用することも可能である。例えば、表面が曲面形状である透明材も使用することができ、そのような透明材により、曲面形状を発泡金属に付与することができる。
また、針状の部材や基盤を透明材で構成してもよい。

【0072】
(第3の実施の形態)
続いて、本発明の第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品を用いて、物品の型取りを行う場合である。

【0073】
図7に断面図を示すように、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品21に、2つの型取り用の治具22,23を押し当てて、物品21の型取りを行う。
型取り用の治具22,23は、物品21に当接させて型取りを行うための多数の部材で構成されている。なお、図7では、可視化のために、型取り用の治具22,23の部材を棒状に表現しているが、細い針状の部材を使用しても構わない。

【0074】
より精密に型取りを行うために、型取り用の治具22,23の部材は、なるべく密に配置されていることが好ましい。

【0075】
型取り用の治具22,23は、平板状であっても、立体状であっても、型取りを行うことが可能である。
ただし、治具22,23を平板状とする場合には、位置を変えて型取りを行うか、複数個の治具22,23を平行に並べて型取りを行う。

【0076】
物品21の型取りを行うことにより、物品21の表面形状のデータが得られる。
この物品21の表面形状のデータに基づいて、成型用の型を構成する、針状の部材の先端部の基盤からの高さ(位置座標)を決定することができる。即ち、物品21の表面形状のデータと、針状の部材の位置とから、それぞれの針状の部材の先端部の位置座標を求めることができる。
そして、決定した針状の部材の先端部の群により成型用の型を作製して、成型用の型の内部に配置した前駆体に光を照射して加熱することにより、発泡金属を製造することができる。
なお、型取り用の治具22,23を成型用の型と同じ材質の細い針状の部材と基盤で構成すれば、針状の部材を物品21に当接させた後、基盤に固定して、これを成型用の型として利用してもよい。

【0077】
(第4の実施の形態)
続いて、本発明の第4の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、発注側で物品に対する型取りを行って得たデータを製造側に送信し、製造側で型を作製して、型による発泡金属の製造を行う場合である。

【0078】
本発明の第4の実施の形態のブロック図を、図8に示す。
図8に示すように、発注側110と製造側120に、それぞれコンピュータ111,121が設けられている。
そして、これらのコンピュータ111,121の間で、データの送受信が行われる。

【0079】
発注側110には、第1のコンピュータ111が設けられている。
製造側120には、第2のコンピュータ121、製造装置122が設けられている。製造装置122は、発泡金属を製造する。

【0080】
第1のコンピュータ111と第2のコンピュータ121の間は、データの送信及びデータの受信が行えるように構成する。
有線による接続、無線による接続、インターネット等のネットワークを介した接続、等様々な構成が考えられる。

【0081】
発注側110では、図示しないが、ユーザーの発注に対応して、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品の型取りを行う。型取りを行うことにより、物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得する。
そして、第1のコンピュータ111は、物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した物品の形状のデータを、図8中矢印Tで示すように、送信する。

【0082】
製造側120では、第2のコンピュータ121が、図8中矢印Rで示すように、第1のコンピュータ111から送信されたデータを受信する。
第2のコンピュータ121が受信したデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さを調整して、成型用の型を作製する。
そして、作製した成型用の型を使用して、製造装置122において、発泡金属を製造する。

【0083】
このようにして、発注側で型取りした物品に対応する寸法形状の発泡金属を製造することができる。そして、オーダーメイドで発泡金属を製造することが可能になる。
また、比較的短い時間で所望の寸法形状の発泡金属を製造することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 針状の部材、2 先端部、3 平板状の基盤、4 断面半円状の基盤、5 透明板、11 前駆体、12 発泡金属、21 物品、22,23 型取り用の治具、110 発注側、111 第1のコンピュータ、120 製造側、121 第2のコンピュータ、122 製造装置、T 送信、R 受信
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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