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明細書 :1脚式受動走行ロボットの設計方法、1脚式受動走行ロボット、多脚式受動走行ロボット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-209412 (P2019-209412A)
公開日 令和元年12月12日(2019.12.12)
発明の名称または考案の名称 1脚式受動走行ロボットの設計方法、1脚式受動走行ロボット、多脚式受動走行ロボット
国際特許分類 B25J   5/00        (2006.01)
FI B25J 5/00 Z
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-106511 (P2018-106511)
出願日 平成30年6月1日(2018.6.1)
発明者または考案者 【氏名】永瀬 純也
出願人 【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121337、【弁理士】、【氏名又は名称】藤河 恒生
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
Fターム 3C707CS08
3C707WA12
3C707WM04
要約 【課題】1脚式受動走行ロボットのモデルを用いて走行を継続することが可能な1脚式受動走行ロボットを設計する設計方法を提供する。
【解決手段】この1脚式受動走行ロボットの設計方法は、胴体部2と脚部3を備え、重心位置を関節部4として関節部4において胴体部2に脚部3の上端部が回動可能に接続され、関節部4における胴体部2と脚部3の間の角度に応じた復元力を有する第1バネ体5が設けられ、脚部3には圧縮に応じた復元力を有する第2バネ体6が設けられた1脚式受動走行ロボットのモデル1がコンピュータ内に記憶されており、1脚式受動走行ロボットのモデル1によるコンピュータ内でのシミュレーションに基づいて設計を行う1脚式受動走行ロボットの設計方法であって、着地時、地面Gに接している状態、空中に有る状態の関係式を満たすシミュレーションを行うと、安定なリミットサイクルが発現するようにできる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
胴体部と脚部を備え、重心位置を関節部として該関節部において前記胴体部に前記脚部の上端部が回動可能に接続され、前記関節部における前記胴体部と前記脚部の間の角度に応じた復元力を有する第1バネ体が設けられ、前記脚部には圧縮に応じた復元力を有する第2バネ体が設けられた1脚式受動走行ロボットのモデルがコンピュータ内に記憶されており、該1脚式受動走行ロボットのモデルによる前記コンピュータ内でのシミュレーションに基づいて設計を行う1脚式受動走行ロボットの設計方法であって、
着地直後の前記脚部の角度の変化の速度の導出に前記脚部の慣性モーメントとともに前記胴体部の慣性モーメントを含む計算式を用いたシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする1脚式受動走行ロボットの設計方法。
【請求項2】
請求項1に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法において、
mを前記胴体部と前記脚部を含めた全重量、rを前記脚部の自然長、Jを前記胴体部の慣性モーメント、Jを前記脚部の慣性モーメントとし、
前記脚部の鉛直方向からの角度をθ、前記胴体部の水平方向からの角度をφ、前記脚部の長さをr、前記関節部の水平方向の位置をx、前記関節部の鉛直方向の位置をyとすると、
着地時における前記θ、φ、rの変化は、下記(式1)、(式2)、(式3)に示す関係式を満たすシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする1脚式受動走行ロボットの設計方法。
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【請求項3】
請求項2に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法において、
重力加速度をg、前記第1バネ体のばね定数をK、前記第2バネ体のばね定数をKとし、
地面に接している状態における前記θ、φ、rの変化は、下記(式4)、(式5)、(式6)に示す関係式を満たし、
空中に有る状態における前記θ、φ、x、yの変化は、下記(式7)、(式8)、(式9)、(式10)に示す関係式を満たすシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする1脚式受動走行ロボットの設計方法。
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【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法を用いて設計されたことを特徴とする1脚式受動走行ロボット。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法を用いて設計されたことを特徴とする多脚式受動走行ロボット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、1脚式受動走行ロボットの設計方法及びそれを用いて設計された1脚式受動走行ロボット又は多脚式受動走行ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、脚を有しそれでもって移動する脚式移動ロボットが広く知られている。脚式移動ロボットの中で最も広く知られているのは、センサとアクチュエータと電子制御装置を備え、電子制御装置がセンサの検知情報に基づいてアクチュエータを電子制御することにより、脚を動作させ移動を継続するものである(例えば、特許文献1など)。これに対し、センサとアクチュエータと電子制御装置を備えずとも、移動を継続できる脚式受動歩行ロボットが提案されている(例えば、特許文献2など)。脚式受動歩行ロボットは、安定なリミットサイクルが存在するモデルによって適切に設計すれば歩行を継続することが可能である(例えば、非特許文献1など)。安定なリミットサイクルとは、歩行の状態の継続的な遷移からなる閉じた軌道であり、仮にその軌道の近傍に何らかの外力で離れたとしても再び閉じた軌道に収束する現象(引き込み現象)を起こすものである。
【0003】
この脚式受動歩行ロボットに対し、1脚でもって移動(言い換えれば、走行)する1脚式受動走行ロボットが研究されている(例えば、非特許文献2、3、4など)。非特許文献2~4では、胴体部、それに回動可能に接続され脚部、胴体部と脚部の間の角度に応じた復元力を有するねじりバネ体、脚部において圧縮に応じた復元力を有する圧縮バネ体、が設けられた1脚式受動走行ロボットのモデルが用いられている。非特許文献2、3では、このモデルが地面に接している状態(stance phase)と空中に有る状態(flight phase)での各部の関係式を立ててシミュレーションを行っている。また、非特許文献4では、このモデルが地面に接している状態と空中に有る状態での各部の関係式に加え、着地時(touchdown phase)での各部の関係式を立ててシミュレーションを行っている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平5-337849号公報
【特許文献2】国際公開WO2006/132330号公報
【0005】

【非特許文献1】T.McGeer,“Passive Dynamic Walking”,The Int.J.of Robotics Research,vol.9,no.2,pp.62-82,1990
【非特許文献2】C.M.Thompson and M.H.Raibert, “Passive Dynamic Running”, Experimental Robotics I, pp.74-83, Springer, 1989
【非特許文献3】Bao Lei et al. “Stability analysis of quasi-periodic hopping of a passive one-legged robot with compliant hip joint” Proceeding of 2014, IEEE ICMA, pp.623-628, 2014
【非特許文献4】S.Hyon et al. “Delayed Feedback Control of One-Legged Passive Running Robot”, Proceedings of SICE 2004 Annual Conference, pp. 949-954, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献2~4においては、1脚式受動走行ロボットのモデルを用いた安定なリミットサイクルの存在が見いだされておらず、走行を継続することが可能な1脚式受動走行ロボットが実現不可能という結論になっている。
【0007】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、1脚式受動走行ロボットのモデルを用いて走行を継続することが可能な1脚式受動走行ロボットを設計する設計方法を提供し、また、それを用いて設計される1脚式受動走行ロボット及び多脚式受動走行ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法は、胴体部と脚部を備え、重心位置を関節部として該関節部において前記胴体部に前記脚部の上端部が回動可能に接続され、前記関節部における前記胴体部と前記脚部の間の角度に応じた復元力を有する第1バネ体が設けられ、前記脚部には圧縮に応じた復元力を有する第2バネ体が設けられた1脚式受動走行ロボットのモデルがコンピュータ内に記憶されており、該1脚式受動走行ロボットのモデルによる前記コンピュータ内でのシミュレーションに基づいて設計を行う1脚式受動走行ロボットの設計方法であって、着地直後の前記脚部の角度の変化の速度の導出に前記脚部の慣性モーメントとともに前記胴体部の慣性モーメントを含む計算式を用いたシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法は、請求項1に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法において、mを前記胴体部と前記脚部を含めた全重量、rを前記脚部の自然長、Jを前記胴体部の慣性モーメント、Jを前記脚部の慣性モーメントとし、前記脚部の鉛直方向からの角度をθ、前記胴体部の水平方向からの角度をφ、前記脚部の長さをr、前記関節部の水平方向の位置をx、前記関節部の鉛直方向の位置をyとすると、着地時における前記θ、φ、rの変化は、下記(式1)、(式2)、(式3)に示す関係式を満たすシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする。
JP2019209412A_000003t.gifJP2019209412A_000004t.gifJP2019209412A_000005t.gif
【0010】
請求項3に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法は、請求項2に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法において、重力加速度をg、前記第1バネ体のばね定数をK、前記第2バネ体のばね定数をKとし、地面に接している状態における前記θ、φ、rの変化は、下記(式4)、(式5)、(式6)に示す関係式を満たし、空中に有る状態における前記θ、φ、x、yの変化は、下記(式7)、(式8)、(式9)、(式10)に示す関係式を満たすシミュレーションに基づいて設計することを特徴とする。
JP2019209412A_000006t.gifJP2019209412A_000007t.gifJP2019209412A_000008t.gifJP2019209412A_000009t.gifJP2019209412A_000010t.gifJP2019209412A_000011t.gifJP2019209412A_000012t.gif
【0011】
請求項4に記載の1脚式受動走行ロボットは、請求項1~3のいずれか1項に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法を用いて設計されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の多脚式受動走行ロボットは、請求項1~3のいずれか1項に記載の1脚式受動走行ロボットの設計方法を用いて設計されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1脚式受動走行ロボットの設計方法によれば、1脚式受動走行ロボットのモデルを用いて、走行を継続することが可能な1脚式受動走行ロボットを設計することが可能になる。また、本発明の1脚式受動走行ロボット及び多脚式受動走行ロボットによれば、走行を継続することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る1脚式受動走行ロボットのモデルを示す模式図であって、(a)が自然体の状態、(b)が胴体部と脚部が回動した状態を示すものである。
【図2】同上の1脚式受動走行ロボットのモデルの走行動作を示す模式図であって、(a)~(g)は各状態を示すものである。
【図3】同上の1脚式受動走行ロボットのモデルを用いたシミュレーションによる走行動作を示す模式図である。
【図4】同上の1脚式受動走行ロボットのモデルを用いたシミュレーションによるリミットサイクルを示す図であって、(a)はリミットサイクル内の値を初期値としたもの、(b)はリミットサイクルの近傍の値を初期値としたものである。
【図5】同上の1脚式受動走行ロボットのモデルを用いて設計した1脚式受動走行ロボットの例の外観図であって、(a)が左側面図(正面図における左側の質量部の近傍を省略した左側面図)、(b)が正面図である。
【図6】図5で示した1脚式受動走行ロボットの例での実験結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る1脚式受動走行ロボットの設計方法を用いて設計される1脚式受動走行ロボットのモデル1は、図1(a)、(b)に示すように胴体部2と1個の脚部3を備えるものである。脚部3の上端部は、関節部4において、胴体部2に回動可能に接続されている。1脚式受動走行ロボットのモデル1は、自然体(外力を受けていないときの姿勢)では、図1(a)に示すように胴体部2と脚部3は直交している。なお、図1(a)における符号3aは、脚部3の下端部を示している。

【0016】
また、1脚式受動走行ロボットのモデル1は、関節部4における胴体部2と脚部3の間の角度に応じた復元力を有する第1バネ体5を備えている。第1バネ体5は、1脚式受動走行ロボットのモデル1を用いて設計する後述する1脚式受動走行ロボット10に示すように、通常は、線形ねじりバネ体(図5(a)参照)が用いられる。

【0017】
また、脚部3は、圧縮に応じた復元力を有する第2バネ体6を備えている。第2バネ体6は、モデル1を用いて設計する後述する1脚式受動走行ロボット10に示すように、通常は、線形圧縮バネ体(図5(a)、(b)参照)が用いられる。

【0018】
1脚式受動走行ロボットのモデル1は、上述した構造以外の詳細な構造は特に限定されるものではなく、また、形状も特に限定されるものではない。

【0019】
1脚式受動走行ロボットのモデル1は、図2(a)~(g)に示すように、空中に有る状態(flight phase)から着地時(touchdown phase)を経て地面Gに接している状態(stance phase)に遷移し、脚部3が第2バネ体6の圧縮に応じた復元力、つまり弾性力を用いて、地面Gに接している状態から空中に有る状態に遷移する。なお、図2(a)~(g)においては、モデル1が右方向に走行している状態を示しており、(a)及び(d)~(g)は空中に有る状態、(b)は着地時(及び地面Gに接している状態)、(c)は地面Gに接している状態を示している、

【0020】
本発明の実施形態に係る1脚式受動走行ロボットの設計方法は、1脚式受動走行ロボットのモデル1がコンピュータ内に記憶されており、このモデルによるコンピュータ内でのシミュレーションに基づいて設計を行うものである。

【0021】
1脚式受動走行ロボットのモデル1は、胴体部2と脚部3を含めた全重量をm、脚部3の長さr(図1参照)の自然長(第2バネ体6が圧縮していないときの長さ)をr、胴体部2の慣性モーメントをJ、脚部3の慣性モーメントをJ、第1バネ体5のばね定数をK、第2バネ体6のばね定数をKとすると、着地時、地面Gに接している状態、空中に有る状態、のそれぞれにおいて、後述する関係式を満たすように動作する。ここで、胴体部2と脚部3を合わせた全重量の重心位置は関節部4に有るとする。第1バネ体5と第2バネ体6は、無重量であり無損失(エネルギー無損失)であるとする。着地時に脚部3の下端部3aと地面Gの間では、滑りが発生せず、かつ、非弾性衝突を起こすとする。

【0022】
以下、図1に示したように、脚部3の鉛直方向からの角度をθ、胴体部2の水平方向からの角度をφ、脚部3の長さをr、関節部4の水平方向の位置をx、関節部4の鉛直方向の位置をyとして、着地時、地面Gに接している状態、空中に有る状態を順に説明する。

【0023】
着地時においては、着地直前と着地直後との間の脚部3の長さ方向の運動量保存則及び接地点まわりの全角運動量保存則より、着地直後の状態(添え字ので示す。)と着地直前の状態(添え字ので示す。)は、θ、φ、rの変化の速度(各文字の頭上ので示す。)を用いて、下記(式1)、(式2)、(式3)に示す関係式で表す。
【数1】
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【数2】
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【数3】
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【0024】
ここで、特に着目すべきは、着地直後のθの変化の速度の導出に、脚部3の慣性モーメントJとともに胴体部2の慣性モーメントJを含む計算式を用いていることである。

【0025】
このように(式1)~(式3)の関係式で表されたようにして着地した後は、地面Gに接している状態となる。地面Gに接している状態と後に詳述する空中に有る状態は、非特許文献2~4において既知となっている下記の(式4)~(式10)に示す関係式を用いる。すなわち、地面Gに接している状態は、θ、φ、rの変化の速度(各文字の頭上ので示す。)及び加速度(各文字の頭上の・・で示す。)を用いて、下記(式4)、(式5)、(式6)に示す関係式で表す。なお、gは重力加速度である。
【数4】
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【数5】
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【数6】
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【0026】
空中に有る状態は、θ、φ、x、yの変化の加速度(各文字の頭上の・・で示す。)を用いて、下記(式7)、(式8)、(式9)、(式10)に示す関係式で表す。
【数7】
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【数8】
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【数9】
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【数10】
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【0027】
以上説明した着地時、地面Gに接している状態、空中に有る状態の関係式(式1)~(式10)を満たすシミュレーションを行うと、特定の物理パラメータ(m、r、J、J、K、K)で、安定なリミットサイクルが発現するようにできる。例えば、表1に示すように物理パラメータを設定すると、図3に示すように走行した。図3は、右に向かって走行している1脚式受動走行ロボットのモデル1の幾つかの瞬間の姿勢を重ねて示している。座標の原点は、地面G上に設けている。また、図3の1脚式受動走行ロボットのモデル1は、第1バネ体5と第2バネ体6を省略して示している。図3により、1脚式受動走行ロボットのモデル1は、走行が継続できることが分かる。
【表1】
JP2019209412A_000023t.gif

【0028】
また、図4(a)は、図3に示した走行時において、脚部3の鉛直方向からの角度θ(横軸)に対するその角度の変化の速度(縦軸)を示したものである。図4(a)より、脚部3の遷移は、安定なリミットサイクル(閉じた軌道)となっていることが確認できる。

【0029】
また、図4(b)は、図4(a)のリミットサイクルから離してその近傍に初期値を与えた場合の様子を示している。図4(b)より、軌道は発散せずに、リミットサイクルに収束する現象(引き込み現象)が確認できる。

【0030】
このようにして、安定なリミットサイクルが発現するように適切な設計がされれば、1脚式受動走行ロボットのモデル1を用いて設計した1脚式受動走行ロボット10は、空中に有る状態、着地時、地面Gに接している状態、を繰り返すことで、走行を継続することが可能であり、特に、下りの走行では、空気抵抗や地面Gとの摩擦等によりエネルギーを損失しても、位置エネルギー(又は重力)によって補填して、走行を継続することが可能である。

【0031】
図5(a)、(b)に、1脚式受動走行ロボットのモデル1を用いて設計した1脚式受動走行ロボット10を示す。図5の1脚式受動走行ロボット10においては、モデル1の各部に対応する部分は、モデル1と同じ符号を用いている。また、図5(b)に示す1脚式受動走行ロボット10の胴体部2は、左右に大きな質量の質量部21、21’を有しているものであるが、胴体部2と脚部3の詳細な構造及び形状が特に限定されるものではないことは、モデル1で述べたのと同様である。また、図5(a)に示す第1バネ体(線形ねじりバネ体)5は、2個が関節部4の軸体41に巻かれて設けられており、それぞれについて一端部5a(図5(b)参照)が胴体部2に接続されもう他端部5b(図5(b)参照)が脚部3に接続されている。第1バネ体5は、1個又は3個以上とすることも可能である。

【0032】
1脚式受動走行ロボット10を用いて行った実験は以下の通りである。走行環境は、下りの階段とした.実験では、最初に、適当な位置から離して自由落下させた。実験は、40回行い、最大で5段の走行(跳躍)を確認した。この時の走行の様子を図6に示す。図6は、瞬時を写した複数枚の写真(写真a~写真j)を重ね合わせた写真である。図6における写真jでは、向こう側の側壁に衝突したために走行が終わっているが、側壁への衝突がなければ、更に走行が継続したものと推察される。

【0033】
以上、本発明の実施形態に係る1脚式受動走行ロボットの設計方法及びそれを用いて設計した1脚式受動走行ロボットについて説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での様々な設計変更が可能である。例えば、(式4)~(式10)は上記のように既知ものではあるが、これが仮に改良された場合でも、(式1)~(式3)を用いることができる。また、本発明の実施形態に係る1脚式受動走行ロボットの設計方法は、これによって各々の脚が設計される多脚式受動走行ロボットに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 1脚式受動走行ロボットのモデル
10 1脚式受動走行ロボット
2 胴体部
21、21’ 胴体部の質量部
3 脚部
3a 脚部の下端部
4 関節部
41 関節部の軸体
5 第1バネ体
5a 第1バネ体の一端部
5b 第1バネ体の他端部
6 第2バネ体
G 地面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5