TOP > 国内特許検索 > 車椅子 > 明細書

明細書 :車椅子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-170447 (P2019-170447A)
公開日 令和元年10月10日(2019.10.10)
発明の名称または考案の名称 車椅子
国際特許分類 A61G   5/04        (2013.01)
FI A61G 5/04 710
A61G 5/04 709
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2018-059444 (P2018-059444)
出願日 平成30年3月27日(2018.3.27)
発明者または考案者 【氏名】佐藤 理夫
【氏名】佐藤 優樹
出願人 【識別番号】505089614
【氏名又は名称】国立大学法人福島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000800、【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】段差を上るときの補助としてエアモータの動力を活用できる車椅子を提供する。
【解決手段】車椅子1は、車椅子1を走行させるための駆動輪2と、駆動輪2に付与するトルクを発生するエアモータ3と、エアモータ3に駆動用の圧縮エアを供給するエアタンク4と、圧縮エアの供給に供するエア供給路5と、エア供給路5の流路抵抗を切り替えるための流路抵抗切替手段5aとを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
車椅子を走行させるための駆動輪と、
前記駆動輪に付与するトルクを発生するエアモータと、
前記エアモータに駆動用の圧縮ガスを供給するガス供給手段と、
前記圧縮ガスの供給に供するガス供給路と、
前記ガス供給路の流路抵抗を切り替えるための流路抵抗切替手段とを備えることを特徴とする車椅子。
【請求項2】
前記流路抵抗切替手段は、
前記ガス供給路の途中において並列に設けられ、流路抵抗が異なる複数の管路と、
前記複数の管路のうちで前記圧縮ガスの供給に供するものを択一的に切り替える管路切替手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
【請求項3】
一方が前記ガス供給路に接続され、他方が大気に通じて、前記エアモータの吸気側が負圧になるのを抑制する逆止弁を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車椅子。
【請求項4】
前記逆止弁には、該逆止弁を閉塞する閉止バルブが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車椅子。
【請求項5】
前記駆動輪は、左右に1輪ずつ設けられており、
前記エアモータと各駆動輪との間には、該エアモータのトルクを2つに分割してそれぞれ左右の前記駆動輪に伝達する差動装置が設けられ、
前記差動装置と左右の前記駆動輪のうちの少なくとも一方との間のトルクの伝達は、フレキシブルシャフトを介して行われることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車椅子。
【請求項6】
車体フレームを構成するパイプフレームを備え、
前記ガス供給手段は、前記パイプフレーム内に設けられた前記圧縮ガス又は該圧縮ガスとなる液化ガスを収納した収納容器を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の車椅子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な操作により、エアモータで適切・効率よく補助する車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子で移動している際に、坂道を上る場合や、前方に障害物や段差がある場合には、平地等よりも駆動力が必要となるために、使用者の力のみで駆動するのが困難になる場合がある。
【0003】
このため、電動力で駆動を補助する技術が提案されており、通常は使用者の力、手動式で駆動する一方、坂道、起伏の大きな道、砂利道、段差など、使用者の力のみによる駆動が困難な場合に、電動力で駆動を補助することができる。
【0004】
また、充填時間が、バッテリーの充電時間よりも短時間ですむ、圧縮空気を駆動源とする車椅子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車椅子では、駆動源としてエアモータを2個使用しており、これらの間をクラッチで連結することにより双方の同期を改善し、直進性を確保している。しかしながら、上記特許文献1の車椅子は、駆動時間は1時間と短く、その性能は不十分であった。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2002-159537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、坂道や段差等を上るときの補助として簡便な操作で、かつ効率よくエアモータの駆動力を活用できる車椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車椅子は、
車椅子を走行させるための駆動輪と、
前記駆動輪に付与するトルクを発生するエアモータと、
前記エアモータに駆動用の圧縮ガスを供給するガス供給手段と、
前記圧縮ガスの供給に供するガス供給路と、
前記ガス供給路の流路抵抗を切り替えるための流路抵抗切替手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、ガス供給手段から圧縮ガスをエアモータに供給することにより、エアモータが出力するトルクを駆動輪に付与し、車椅子の走行に供することができる。その際に、流路抵抗切替手段によりガス供給路の流路抵抗を切り替えることにより、エアモータの回転数-トルク特性を変更することができる。
【0009】
したがって、変更し得る回転数-トルク特性を適切に設定することにより、段差を乗り超えるのに適した特性に変更したり、斜面を上るのに適した特性に変更したりして、簡便な操作でエアモータから効率よく適切な補助駆動力を得ることができる。
【0010】
例えば、段差を上るときには、ガス供給路の流路抵抗を大きい値に切り替えることによって、エアモータの回転数-トルク特性を、回転数が上がると直ちにトルクが小さくなる特性に変更する。かかる流路抵抗の切替えを行っておくことにより、エアモータは低い回転速度で大きいトルクを発生するので、支障なく段差を上ることができる。また、上り終えて平坦面の走行速度に戻ったときには、使用者が操作せずとも、エアモータの回転数—トルク特性に従って、自動的にエアモータのトルクが速やかに減少するので、予期しない車椅子の暴走を抑制することができる。
【0011】
一方、坂を上る場合には、例えば、ガス供給路の流路抵抗を小さい値に切り替えることによって、エアモータの回転数-トルク特性を、回転数が多少上がってもトルクをある程度高く維持できる特性に変更する。かかる流路抵抗の切替えを行っておくことにより、ある程度のトルクを駆動輪に付与しながら、車椅子を進行させることができる。
【0012】
車椅子で段差に正対したり、坂の上り下りの際には、車椅子の使用者は、車椅子の制御等のために両手でしっかりとハンドリムを制御しなければならないため、補助駆動力の手による操作は困難である。しかし、本発明によれば、最初に回転数—トルク特性を設定すれば、その後は操作することなく、自動的に、かつ適切な大きさの補助駆動力が付与される、つまり、簡便な操作のみで、効率よく適切な補助駆動力を活用することができる。
【0013】
第2発明に係る車椅子は、第1発明において、
前記流路抵抗切替手段は、
前記ガス供給路の途中において並列に設けられ、流路抵抗が異なる複数の管路と、
前記複数の管路のうちで前記圧縮ガスの供給に供するものを択一的に切り替える管路切替手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2発明によれば、流路抵抗が異なる複数の管路と、管路切替手段を設けるだけで、流路抵抗切替手段を容易に構成することができる。
【0015】
第3発明に係る車椅子は、第1又は第2発明において、一方が前記ガス供給路に接続され、他方が大気に通じて、前記エアモータの吸気側が負圧になるのを抑制する逆止弁を有することを特徴とする。
【0016】
第3発明によれば、エアモータの吸気側が負圧(大気圧以下)になり、真空ポンプ状態になって、車椅子の進行方向に対応する向きと逆向きのトルクを発生する場合もあり得るが、この逆向きのトルクの発生を、逆止弁により軽減させることができる。
【0017】
第4発明に係る車椅子は、第3発明において、前記逆止弁には、該逆止弁を閉塞する閉止バルブが設けられていることを特徴とする。
【0018】
第4発明によれば、坂を下る場合などにおいて、閉止バルブによって逆止弁を閉じた状態とし、流路抵抗切替手段でガス供給路の流路抵抗を適切に設定することにより、エアモータの吸気側を負圧状態にすることができる。これにより、車椅子の進行方向に対応する向きと逆向きのトルクをエアモータに発生させ、エンジンブレーキのような効果を得ることができる。
【0019】
第5発明に係る車椅子は、第1~第4発明において、
前記駆動輪は、左右に1輪ずつ設けられており、
前記エアモータと各駆動輪との間には、該エアモータのトルクを2つに分割してそれぞれ左右の前記駆動輪に伝達する差動装置が設けられ、
前記差動装置と左右の前記駆動輪のうちの少なくとも一方との間のトルクの伝達は、フレキシブルシャフトを介して行われることを特徴とする。
【0020】
第5発明によれば、差動装置と駆動輪との間にフレキシブルシャフトが介在するので、差動装置の機能を利用しながら、エアモータや差動装置を、限られた車椅子上のスペースにおいて、高い自由度で支障なく配置することができる。
【0021】
第6発明に係る車椅子は、第1~第5発明において、
車体フレームを構成するパイプフレームを備え、
前記ガス供給手段は、前記パイプフレーム内に設けられた前記圧縮ガス又は該圧縮ガスとなる液化ガスの収納容器を備えることを特徴とする。
【0022】
第6発明によれば、収納容器をすべてパイプフレームの外部に設ける場合に比べて、ガス供給手段を設置するスペースを縮小又は実質的に不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る車椅子の側面図である。
【図2】図1の車椅子の背面図である。
【図3】図1の車椅子のエア供給路を示す模式図である。
【図4】図1の車椅子のエアモータの回転数-トルク特性を示す図である。
【図5】図1の車椅子を折り畳んだ状態を後ろ側から見た様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車椅子の側面図である。図1に示すように、この車椅子1は、車椅子1を走行させるための2つの駆動輪2と、駆動輪2に付与されるトルクを発生するエアモータ3と、エアモータ3に供給する圧縮空気が収納された収納容器としてのエアタンク4とを備える。

【0025】
エアタンク4は、エアモータ3に駆動用の圧縮ガスとしての圧縮空気を供給するガス供給手段を構成する。エアタンク4からエアモータ3への圧縮空気の供給は、ガス供給路としてのエア供給路5を介して行われる。

【0026】
また、車椅子1は、車体フレームを構成するパイプフレーム6を備える。2つの駆動輪2の各回転軸2aは、使用者が座るシート7の両側において、パイプフレーム6により回転自在に支持される。各駆動輪2の外側には、使用者自身が駆動輪2を回すためのハンドリム2bが設けられる。各駆動輪2の外側のタイヤの部分と対応する回転軸2aとの間は、一部を図示したスポーク2cにより結合されている。

【0027】
エアモータ3としては、例えば、パイプフレーム6に沿って実装し易いベーン型のものが使用できる。ピストン型のエアモータを用いてもよい。また、エアモータ3には、適切な減速比を有するプラネタリギヤなどの減速機構が組み込まれている。エアモータ3と各駆動輪2との間には、エアモータ3のトルクを2つに分割してそれぞれ左右の駆動輪2の回転軸2aに伝達する差動装置8が設けられる。

【0028】
エアタンク4としては、例えば、25リットル程度の容量を有するものが使用できる。エアタンク4又はエア供給路5には、エアタンク4からエアモータ3に圧縮空気を供給するか否かを切り替えるための切替バルブ10が設けられる。エア供給路5には、エア供給路5の流路抵抗を切り替えるための流路抵抗切替手段5aが設けられる。

【0029】
図2は、車椅子1の背面側を示す。図2に示すように、差動装置8により2つに分配されるエアモータ3のトルクのうちの一方は、直接一方の駆動輪2の回転軸2aに伝達され、他方のトルクは、フレキシブルシャフト9を経由して、他方の駆動輪2の回転軸2aに伝達される。

【0030】
図3は、エアタンク4からエアモータ3に圧縮空気を供給するためのエア供給路5を模式的に示す。図3に示すように、流路抵抗切替手段5aは、エア供給路5の途中に並列に設けられた流路抵抗が異なる複数の管路11a~11dと、管路11a~11dのうちの圧縮空気の供給に使用する管路を選択して切り替える管路切替手段12とを備える。

【0031】
管路11a~11dは、径が異なることにより流路抵抗が相互に異なっている。すなわち、管路11a、11b、11c、11dの順に径が大きく(すなわち流路抵抗が小さく)なっており、管路11dは、有意な流路抵抗を生じない程度に大きい径を有する。管路切替手段12は、例えば流路切替バルブなどを用いて構成することができる。

【0032】
エア供給路5又はエアタンク4には、エアタンク4からエアモータ3に圧縮空気を供給するか否かを切り替えるための切替バルブ10が設けられる。

【0033】
エア供給路5における管路切替手段12とエアモータ3との間には、一方がエア供給路5に接続され、他方が大気に通じ、エアモータ3の吸気側が負圧になるのを抑制する逆止弁13が設けられる。逆止弁13には、逆止弁13を閉塞状態に維持する閉止バルブ14が設けられている。

【0034】
図1に戻り、パイプフレーム6の使用者が操作し易い位置に、管路切替手段12や閉止バルブ14、切替バルブ10を操作するための操作部15が設けられる。操作部15と、管路切替手段12や閉止バルブ14、切替バルブ10との間は、ワイヤにより接続され、このワイヤを経て、操作部15の操作内容が、管路切替手段12や閉止バルブ14、切替バルブ10に反映されるように構成される。

【0035】
その他、車椅子1は、通常の車椅子が装備するキャスタ16、フットレスト17、バックサポート18などを備える。また、パイプフレーム6には、車椅子1の折畳みを可能とするクロスバー19が設けられる。

【0036】
図4は、エアモータ3のおおよその回転数(回転速度)-トルク特性を示す。図4中のグラフ曲線20aは、管路切替手段12により管路11aを選択したときの特性を示す。同様に、グラフ曲線20bは管路11b、グラフ曲線20cは管路11c、グラフ曲線20dは管路11dを選択したときの特性を示す。

【0037】
なお、上記の「流路抵抗」とは、管路を流れるエアに働く抵抗のうちの管路の形態(形状、長さ、径、摩擦係数など)が寄与する部分を意味しており、「流路抵抗を切り替える」とは、この管路の形態を切り替えることを意味している。

【0038】
図4に示すように、管路11aを選択した場合には、回転数が遅いときに大きいトルクが得られるが、回転数が速くなると速やかにトルクが低下し、負の値に移行する。これは、管路11aの流路抵抗が大きいので、回転数の増加に応じて管路11aを流れるエアに働く抵抗が飛躍的に大きくなるからである。

【0039】
一方、管路11bを選択した場合には、管路11aを選択した場合に比べて、回転数の増加に対するトルクの低下は緩やかである。同様に、管路11cを選択した場合はトルクの低下はさらに緩やかになる。管路11dを選択した場合には、有意な流路抵抗の増加がないので、実質的にトルクが負になることは無い。

【0040】
この構成において、平坦な路面を走行する場合等、補助駆動力を要しない時には、使用者は、操作部15の操作により切替バルブ10を閉状態(すなわち圧縮空気を供給しない状態)、逆止弁13の閉止バルブ14を開状態に設定し、ハンドリム2bにより車椅子1を走行させることができる。

【0041】
この状態において、エアモータ3の吸気側が負圧となることは逆止弁13により抑制されるので、該吸気側が負圧となって走行方向に対応する向きと逆向きのトルクがエアモータ3に生じ、走行性が損なわれることは無い。

【0042】
走行方向に段差が出現した場合には、使用者は、その手前で操作部15を操作することにより、管路切替手段12で管路11aを選択し、かつ切替バルブ10を開状態(すなわち圧縮空気を供給する状態)に切り替える。

【0043】
このとき、車椅子1は、速度が低いか又はほぼ停止した状態であるため、この操作後、エアモータ3は、大きいトルクの出力を開始する。ただし、圧縮空気は管路11aを経由してエアモータ3に到達するので、該操作後、やや間をおいてから該トルク(アシスト力)の出力が開始される。この間に、使用者は両手でハンドリム2bを把持し、駆動輪2に段差を乗り越えるように力を加え始めることができる。

【0044】
このとき、エアモータ3のトルク(アシスト力)が使用者の力に重畳され、すなわち、使用者が段差部を乗り越えるのをアシストする。したがって、使用者は、容易に段差を乗り越えることができる。

【0045】
段差を乗り越えた後、エアモータ3は、図4中のグラフ曲線20aで示されるように、出力トルクが速やかに低下する。このため、エアモータ3は、大きいトルクによって車椅子1を暴走させることは無い。したがって、使用者は、余裕をもって操作部15により切替バルブ10を閉状態に切り替えて、ハンドリム2bのみによる車椅子1の走行を継続することができる。

【0046】
一方、下り坂に差し掛かった場合には、操作部15で逆止弁13の閉止バルブ14を閉状態とすることにより、エアモータ3の吸気側が負圧状態となることによるエンジンブレーキ的な制動作用を利用し、下り坂を安全な速度で降りてゆくことができる。

【0047】
このとき、操作部15で管路11a、11b又は11cを適宜切り替えることにより、下り坂の勾配に適した制動特性を利用することができる。例えば、勾配が急で速度を低くする必要がある場合には管路11aが選択され、勾配が中程度で中程度の速度で走行する場合には管路11bが選択され、勾配が緩やかで比較的速い速度で下る場合には管路11cが選択される。また、必要に応じて切替バルブ10を閉状態に切り替えることにより、圧縮空気を消費することなく最大の制動力を得るようにしてもよい。

【0048】
他方、上り坂に差し掛かった場合には、操作部15により切替バルブ10を開状態とし、エアモータ3のトルク(アシスト力)を利用して上り坂を楽に上ってゆくことができる。すなわち、図4におけるエアモータ3の特性のうちの、トルクが正(進行方向のトルク)の部分の特性が利用される。

【0049】
このとき、操作部15により管路11a、11b、11c又は11dを適宜切り替えることにより、走行速度や要望するアシスト力に応じた特性を利用することができる。例えば、比較的速い速度で大きいアシスト力を得て上りたい場合には管路11dが選択され、それほど速い速度や大きいアシスト力が必要でない場合には、管路11bや11cが選択される。

【0050】
このように走行状況に応じて切替バルブ10の開閉や、圧縮空気の供給に使用する管路11a~11d、逆止弁13の閉止バルブ14の開閉を切り替えながら、エアモータ3の機能や特性を適切に利用し、車椅子1の快適な走行が行われる。

【0051】
以上のように、本実施形態の車椅子1によれば、エアモータ3により駆動輪2に回転トルクを付与し、エアモータ3へのエア供給路5の流路抵抗を切り替えることができるようにしている。これにより、段差を容易かつ安全に乗り越えたり、下り坂をエアモータ3のエンジンブレーキ的な作用により安全に下ったり、上り坂を適切なアシスト力を得ながら上ったりすることができる。また、圧縮空気の適切・効率的な使用が可能となるため、1回の充填あたりの駆動時間を大幅に伸ばすことができる。

【0052】
また、流路抵抗切替手段5aを、流路抵抗が異なる管路11a~11dと、管路切替手段12により構成したので、流路抵抗切替手段5aを容易に構成することができる。

【0053】
また、エア供給路5上に大気に通じた逆止弁13を設けたので、エアモータ3に進行方向と逆向きのトルクが発生するのを抑制することができる。また、この逆止弁13に閉止バルブ14を設けたので、エアモータ3のエンジンブレーキ的な効果を利用することができる。

【0054】
また、エアモータ3と各駆動輪2との間に差動装置8を設け、差動装置8から駆動輪2へのトルクの伝達を、フレキシブルシャフト9を経由して行うようにしたので、車椅子1上に、エアモータ3や差動装置8などを高い自由度で配置することができる。

【0055】
以上、本願発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、エアモータ3に供給するエアが充填されるエアタンクは、パイプフレーム6内に設けてもよい。これによれば、エアタンクをパイプフレーム6の外部に設ける場合に比べて、エアタンクを設置するスペースを縮小又は実質的に不要とすることができる。

【0056】
また、エアモータ3を2つ設けて、各エアモータ3により各駆動輪2にそれぞれトルクを付与するようにしてもよい。

【0057】
この場合、各エアモータ3からの各駆動輪2へのトルクの伝達は、回転軸2a側ではなく、各駆動輪2のタイヤ側に、摩擦力により行うようにしてもよい。これは、例えば、各エアモータ3の出力軸が対応するタイヤに垂直な位置関係となるように各エアモータ3を配置し、各エアモータ3の出力軸に、対応するタイヤに接触してトルクを直接伝達するローラを設けることにより実現することができる。

【0058】
また、ハンドリム2bを設けずに、エアモータ3のみよって車椅子を駆動するようにしてもよい。この場合も、管路切替手段12で管路11a~11dを適宜切り替えることより、段差を容易に乗り越えたり、坂道を容易に走行したりすることができる。

【0059】
また、エアモータ3から駆動輪2への動力の伝達を許容する接続状態と該伝達を遮断する切断状態とに切り替えられるクラッチ、又は該エアモータから該駆動輪への動力の伝達を許容し、逆方向への動力の伝達を遮断するワンウエイクラッチを備えてもよい。

【0060】
また、エアタンク4の圧縮空気を使い果たした場合には、応急的に、液化二酸化炭素カートリッジなどの液化ガスを収納した収納容器をエア供給路5に接続し、ガス供給手段として利用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…車椅子、2…駆動輪、2a…回転軸、2b…ハンドリム、3…エアモータ、4…エアタンク、5…エア供給路(ガス供給路)、5a…流路抵抗切替手段、6…パイプフレーム、7…シート、8…差動装置、9…フレキシブルシャフト、10…切替バルブ、11a~11d…管路、12…管路切替手段、13…逆止弁、14…閉止バルブ、15…操作部、16…キャスタ、17…フットレスト、18…バックサポート、19…クロスバー、20a~20d…グラフ曲線。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4