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明細書 :電極用組成物、電極、その製造方法及び電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6811968号 (P6811968)
登録日 令和2年12月18日(2020.12.18)
発行日 令和3年1月13日(2021.1.13)
発明の名称または考案の名称 電極用組成物、電極、その製造方法及び電池
国際特許分類 H01M   4/02        (2006.01)
H01M   4/04        (2006.01)
H01M   4/62        (2006.01)
H01M   4/13        (2010.01)
H01M   4/139       (2010.01)
FI H01M 4/02 Z
H01M 4/04 A
H01M 4/62 Z
H01M 4/13
H01M 4/139
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2018-564652 (P2018-564652)
出願日 平成30年1月26日(2018.1.26)
国際出願番号 PCT/JP2018/002476
国際公開番号 WO2018/139580
国際公開日 平成30年8月2日(2018.8.2)
優先権出願番号 2017014066
優先日 平成29年1月30日(2017.1.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 令和元年12月19日(2019.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
【識別番号】515090628
【氏名又は名称】株式会社スリーダム
発明者または考案者 【氏名】金村聖志
【氏名】棟方裕一
【氏名】庄司真雄
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
審査官 【審査官】松嶋 秀忠
参考文献・文献 国際公開第2008/056585(WO,A1)
特開2009-193784(JP,A)
特開2002-367678(JP,A)
特表2016-500465(JP,A)
調査した分野 H01M 4/02-62
特許請求の範囲 【請求項1】
活物質、導電助剤、バインダー及びイオン伝導性物を含む電極用組成物であって
上記電極用組成物を用いて得られる電極において、上記導電助剤、上記バインダー及び上記イオン伝導性物は複合化されてコンポジット材を形成する成分であり、上記コンポジット材は上記活物質間に位置することとなる成分であり、
上記イオン伝導性物が、金属イオン系化合物を有する、溶媒和イオン伝導性物又はイオン伝導性溶体であり、
上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合が、重量比で、活物質:イオン伝導性物=1:0.01~0.3であり、
上記活物質と上記コンポジット材との配合割合は、上記活物質75~90重量部、上記コンポジット材10~25重量部で、且つ合計100重量部であり、
上記コンポジット材における、上記イオン伝導性物、上記バインダー及び上記導電助剤の配合割合は、重量比で、イオン伝導性物:バインダー:導電助剤=1:0.1~1.0:0.1~1.0であり、
上記電極用組成物を用いて形成された電極の示差走査熱量計(DSC)の測定において、電極内に存在するイオン伝導性物に由来する融点ピークが消失する、
ことを特徴とする2次電池用の電極用組成物。
【請求項2】
上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合が、重量比で、活物質:イオン伝導性物=1:0.04~0.25であることを特徴とする請求項1記載の2次電池用の電極用組成物。
【請求項3】
正極用組成物である、ことを特徴とする請求項1記載の2次電池用の電極用組成物。
【請求項4】
活物質、導電助剤、バインダー及びイオン伝導性物を含む電極用組成物を用いて形成された正極であって、
上記導電助剤、上記バインダー及び上記イオン伝導性物は複合化されてコンポジット材を形成しており、上記コンポジット材は上記活物質間に位置し、
上記イオン伝導性物が、金属イオン系化合物を有する、溶媒和イオン伝導性物又はイオン伝導性溶体であり、
上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合が、重量比で、活物質:イオン伝導性物=1:0.01~0.3であり、
上記活物質と上記コンポジット材との配合割合は、上記活物質75~90重量部、上記コンポジット材10~25重量部で、且つ合計100重量部であり、
上記コンポジット材における、上記イオン伝導性物、上記バインダー及び上記導電助剤の配合割合は、重量比で、イオン伝導性物:バインダー:導電助剤=1:0.1~1.0:0.1~1.0であり、
上記正極の示差走査熱量計(DSC)の測定において、正極内に存在するイオン伝導性物に由来する融点ピークが消失する、
ことを特徴とする正極。
【請求項5】
上記活物質が粉体状であり、上記コンポジット材が、粉体状の上記活物質を集合させた場合に膜全体に亘って形成される、活物質間に存在する空隙を埋めるように、少なくともすべての活物質の外面を覆って、コンポジット材を介して各活物質間を連結するように存在していることを特徴とする請求項4記載の2次電池用の正極。
【請求項6】
請求項1記載の電極用組成物を用いた電極の製造方法であって、
活物質とバインダーとを混合して第1混合物を得る第1混合工程と、上記第1混合物にイオン伝導性物を添加して混合し、第2混合物を得る第2混合工程と、を具備する、ことを特徴とする電極の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の極を具備することを特徴とする電池。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用組成物、電極、その製造方法及び電池に関し、さらに詳細には、良好な電気化学特性を有し、全固体電池の電極として適した電極、その製造方法、当該電極用組成物並びにこの電極を用いた電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池等の2次電池は、長寿命・高効率・高容量であり、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの電源に利用されている。近年安全性等の観点から電解質も固体とした全固体型の電池の開発が進んでおり、それに応じて全固体型の電池に適した電極の開発が行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、電極材料の欠落や表面のひび割れを抑制しながら大面積化および薄膜化が可能で、かつ、イオン伝導性に優れた電極シートとして、シート状の多孔性基材と、粘着剤と、電極材料と、を備え、粘着剤は、少なくとも多孔性基材の空隙を囲む骨格部表面に付着し、電極材料は、固体電解質材料および電極活物質を含み、多孔性基材の空隙の内部に充填されているものが提案されている。
また、特許文献2には、導電性が高く、電池の内部抵抗低減、入出力特性を改善するために、活物質と金属源化合物を混合分散して、熱分解、気相還元、又は、液相還元、或いはそれらを組み合わせた化学的反応により金属粒子が活物質表面に析出した電極材料が提案されている。
また、特許文献3には、高分子固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池において、電池抵抗の経時的な増加を抑制しサイクル寿命を向上させ、同時に内部抵抗の低減を行うことにより放電負荷特性も向上させ、電池の信頼性を高めるために、高分子固体電解質を用い、活物質、導電助材、高分子固体電解質、バインダー等の電極構成材料に固体電解質粉末を添加し、電極合材に対して、高分子固体電解質および無機固体電解質粉末が占める割合を体積分率で50%未満とする電極を用いた電池が提案されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2015-153459号公報
【特許文献2】特開2010-244727号公報
【特許文献3】特開2009-94029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来提案されている電極では、未だ良好なイオン伝導経路の形成ができておらず、全固体型電池において十分に要求されている程度の電池特性を発揮できていないのが現状である。
従って本発明の目的は、良好なイオン伝導経路の形成ができ、全固体型電池において十分に要求されている程度の電池特性を発揮できる電極、その製造方法、当該電極を製造するための電極用組成物、この電極を用いた電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解消するために鋭意検討した結果、特定のイオン液体を用いることにより上記課題を解消し得ることを知見し、更に検討を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の各発明を提供するものである。
1.活物質、バインダー及びイオン伝導性物を含み、
上記イオン伝導性物が、金属イオン系化合物を有する、溶媒和イオン伝導性物又はイオン伝導性溶体である、
ことを特徴とする2次電池用の電極用組成物。
2.上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合が、重量比で、活物質:イオン伝導性物=1:0.01~0.3である、
ことを特徴とする1記載の2次電池用の電極用組成物。
3.活物質と、導電性助剤と、バインダー及びイオン伝導性物が複合化されてなるコンポジット材とを具備することを特徴とする電極。
4.上記コンポジット材が電極の厚み方向全体に亘って、上記活物質及び上記導電性助剤と混合された状態で存在していることを特徴とする3記載の電極。
5.1記載の電極用組成物を用いた電極の製造方法であって、
活物質とバインダーとを混合して第1混合物を得る第1混合工程と、
上記第1混合物にイオン伝導性物を添加して混合し、第2混合物を得る第2混合工程と、を具備する、
ことを特徴とする電極の製造方法。
6.3又は4記載の電極を、正極又は負極の少なくともいずれか一方として具備することを特徴とする電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電極は、良好なイオン伝導経路の形成ができ、全固体型電池において十分に要求されている程度の良好な電池特性を発揮できるものである。また、従来の塗工技術を用いて固体電解質上に電極層を形成できるので製造面においても大きなメリットがあるものである。
また、本発明の電極の製造方法によれば、上記の本発明の電極を簡易且つ簡便に製造することができる。特に従来の電極製造技術を応用することが可能であり、既に確立された量産技術を活用して量産に供することが可能である。また、従来技術のように、実用的な厚みを有する電極作製が困難である、高温での熱処理が必要である、あるいはメカニカルミリングや超音波撹拌などの工程が必要であるという問題点がなく、製造プロセスが簡便で実用性が高い。
本発明の電極用組成物は、上述の本発明の電極を得ることができるものであり、本発明の電池は上述の本発明の電極を用いたものであるため良好な電池特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の電極の内部構造を模式的に示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の電極におけるコンポジット材の複合状態を示す写真(図面代用写真)である。
【図3】図3は、本発明の電池の1実施形態を模式的に示す内部透視側面図である。
【図4】図4は、実施例で得られた電極を示す断面SEM写真である。
【図5】図5は、インピーダンスの測定結果を示すチャートである。
【図6】図6は、充放電測定結果を示すチャートであり、(a)は比較対象例のチャート、(b)は本発明品のチャートである。
【図7】図7は、実施例1で得られた電極のDSCチャートである。
【図8】図8(a)は、実施例2で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図9】図9(a)は、実施例3で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図10】図10(a)は、実施例4で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図11】図11(a)は、実施例5で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図12】図12(a)は、実施例5で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図13】図13(a)は、実施例5で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図14】図14は、参考例の例1で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートである。
【図15】図15(a)は、参考例の例2で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【図16】図16(a)は、参考例の例4~6及び実施例1~3で得られた電極の充放電測定結果を示すチャートである。
【図17】図17(a)は、参考例3で得られた電極のインピーダンスの測定結果を示すチャートであり、(b)は、充放電測定結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
〔電極用組成物〕
本発明の2次電池用の電極用組成物は、活物質、バインダー及びイオン伝導性物を含み、
上記イオン伝導性物が、金属イオン系化合物を有する、溶媒和イオン伝導性物又はイオン伝導性溶体である、ことを特徴とする。
以下さらに詳細に説明する。

【0010】
<活物質>
本発明の電極用組成物は、正極用の組成物としてもまた負極用の組成物としても用いるものである。そのため上記活物質としては、正極活物質又は負極活物質のいずれも用いることができる。
上記正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiFeO、LiCo、LiNi、LiMn、LiFe、三元系(Ni-Mn-Co、Ni-Co-Alなど)のリチウム複合酸化物、LiCoPO、LiMnPO、LiFePO、LiFePOF、LiVPOF、LiFeSiO、LiMnSiO、LiFeBO、LiMnBO、硫黄、V、MgO等の酸化物材料等を挙げることができる。
上記負極活物質としては、炭素、チタン酸リチウム(LiTi12)ケイ素、スズ、アルミ、チタン、ゲルマニウム、または鉄を含むものが挙げられる。例えば、グラファイト、ハードカーボン、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、スズ化合物、ケイ素とアルミの合金、ケイ素とスズの合金、ケイ素とチタンの合金、アルミとスズの合金、スズとチタンの合金などが挙げられる。
上記活物質の平均粒子径は特に制限されないが、塗工による正極層形成を想定していることを踏まえると0.05~10μmであるのが好ましく、スラリー調製のための分散性を考慮すると0.1~3μmであるのがさらに好ましい。
上記平均粒子径は以下のようにして測定することができる。
走査型電子顕微鏡による測定:走査型電子顕微鏡を用いて撮影した粒子像から粒子径を測長し、平均値を計算する。
粒子径測定装置による測定:動的光散乱法やレーザー回折法などにより、レーザー光を利用して粒子径を測定する。

【0011】
<バインダー>
上記バインダーは、特に制限されず、以下の高分子化合物を挙げることができる。中でもPTFE以外の、金属リチウムに対して安定な高分子化合物が好ましく、更に上記活物質に対する相溶性があまり良くない高分子化合物が更に好ましい。このような高分子化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルポリマー系、ポリイミド系等を好ましく挙げることができる。これらの高分子化合物は最表面のみは金属リチウムと反応するもののそれ以上は反応せずに最表面のみで反応が終了するため好ましい。
上記バインダーの重量平均分子量は1,000~1,000,000であるのが好ましく、分散度は10~50%であるのが好ましい。

【0012】
<イオン伝導性物>
上記イオン伝導性物は、金属イオン系化合物を有する、溶媒和イオン伝導性物又はイオン伝導性溶体である。
・溶媒和イオン伝導性物
上記溶媒和イオン伝導性物は、溶媒、気体等の溶質と上記金属イオン系化合物とを混合してなる、ゲル状物、液体又は気体、好ましくは溶媒和イオン伝導性液体であり、錯形成状態が壊れると溶媒が蒸発するものである。
上記溶媒和イオン伝導性物としての上記溶媒和イオン伝導性液体を構成する上記溶媒としては下記化学式に示すトリグライム(G3)又はテトラグライム(G4)、ペンタグライム(G5)等を挙げることができる。
また上記金属イオン系化合物における金属としては、リチウム、マグネシウム、ナトリウムなどを挙げることができ、該金属イオン系化合物としては、下記化学式に示すLiN(SOCF(別名「LiTFSA」)、LiN(SOF)(別名「LiFSA」)、Mg(N(SOCF(別名「Mg(TFSA)」)、NaN(SOCF(別名「NaTFSA」)、NaPF等を挙げることができる。
そして、上記溶媒和イオン伝導性物として好ましい上記溶媒和イオン伝導性液体は、下記化学式に示すように、塩とこれを構成するカチオンまたはアニオンに強く配位する溶媒とからなるイオン液体であり、例えば下記化学式に示す[Li(G3)][TFSA](上記G3とLiTFSAとの混合物をこのように示す。以下同様である)、[Li(G4)][TFSA]、[Li(G3)][FSA]、[Li(G4)][FSA]、[Mg(G3)][TFSA]、[Na(G5)][TFSA]等を挙げることができる。上記溶媒和イオン伝導性液体における上記溶媒と上記イオン化合物とは等モルで配合するのが好ましい。
【化1】
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上記溶媒和イオン溶液は、イオン液体類似の性質を有し、Liの電場効果によるグライム等の溶媒の酸化安定性が増加し、構成イオンの弱配位性による性能が発揮されると共に、溶媒活量が低いことに由来する特異な電極反応を提示する等の利点がある。

【0013】
・イオン伝導性溶体
上記イオン伝導性溶体は、溶媒とイオンとが錯体を形成してなるものである。この際用いられる溶媒としては、非プロトン性有機溶媒又はイオン液体を挙げることができる。上記非プロトン性有機溶媒としては、N-メチルピロリドン、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、アセトニトリル(AN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、メチルスルホラン等を挙げることができ、使用に際してはこれらの単独溶媒もしくは2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
上記イオン液体として、カチオン種としてイミダゾリウム系(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(BMI)、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム(DMPI)等)、アンモニウム系(N-ブチル-N,N,N-トリメチルアンモニウム([N1114)、N,N,N,N-テトラエチルアンモニウム([N2222)、N,N,N,N-テトラブチルアンモニウム([N4444)等)、ピリジニウム系(ブチルピリジニウム(BP)、1-ブチル-3-メチルピリジニウム等)、ピロリジニウム系(1-ブチル-1-メチルピロリジニウム(BMP)、1-エチル-1-メチルピロリジニウム等)、ピペリジニウム系(1-メチル-1-プロピルピペリジニウム(PP13)等)、ホスホニウム系(テトラブチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム)、モルホリニウム系(4-(2-エトキシエチル)-4-メチルモルホリニウム等)等が挙げられ、アニオン種としては、PF、BF、AsF、CHCOO、CHSO、N(CN)、NO、ClO、Cl、Br、I、トリフルオロメチルスルホネート([TfO])、トリフルオロアセテート([TFA])、(SOF)(FSA)、(SOCF(TFSA)等が挙げられる。これらのイオン液体の使用に際しては、これらの単独溶媒若しくは2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
イオン源であるイオン化合物としてはLiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCl、LiF、LiTFSA、LiFSA、LiCFSO等を挙げることができる。ここで溶媒に対するイオン化合物のモル濃度は0.5~5mol/Lで、好ましくは1~2mol/Lである。
具体的なイオン伝導性溶液を例示すると以下のものを挙げることができる。
非プロトン性有機溶媒を用いたものとして、1mol/Lの濃度でLiPFを上記の非プロトン性有機溶媒、具体的には(PC単独溶媒、ECとDECとの混合溶媒(ECとDECとの混合比は体積比で1:1、1:2、3:7の3種類が採用できる)、ECとEMCとの混合溶媒(ECとEMCとの混合比は体積比で1:1、3:7の2種類が採用できる)、ECとPCとの混合溶媒(ECとPCとの混合比は体積比で1:1、3:7の2種類が採用できる)、ECとDMCとDECとの混合溶媒(ECとDMCとDECとの混合比は体積比で1:1:1)、又はECとPCとEMCとの混合溶媒(ECとPCとEMCとの混合比は体積比で1:1:1))に溶解させたイオン伝導性溶液;
1mol/Lの濃度でLiBFを上記の非プロトン性有機溶媒、具体的には(PC単独溶媒、ECとDECとの混合溶媒(EC:DECとの混合比は体積比で1:1)、ECとDMCとの混合溶媒(ECとDMCとの混合比は体積比で1:1)、ECとEMCとの混合溶媒(ECとEMCとの混合比は体積比で1:3)、又はECとPCとの混合溶媒(ECとPCとの混合比は体積比で1:1))に溶解させたイオン伝導性溶液;
1mol/Lの濃度でLiCFSOを上記の非プロトン性有機溶媒、具体的には(PC単独溶媒、又はECとDECとの混合溶媒(ECとDECとの混合比は体積比で1:1);
1mol/Lの濃度でLiTFSAを上記の非プロトン性有機溶媒、具体的には(PC単独溶媒、ECとDECとの混合溶媒(ECとDECとの混合比は体積比で1:1)、ECとDMCとの混合溶媒(ECとDMCとの混合比は体積比で1:1)、ECとDMCとの混合溶媒(ECとDMCとの混合比は体積比で1:1)、又はECとEMCとの混合溶媒(ECとEMCとの混合比は体積比で3:7))に溶解させたイオン伝導性溶液;
2mol/Lの濃度でLiTFSAを上記の非プロトン性有機溶媒、具体的には(ECとDMCとの混合溶媒(ECとDMCとの混合比は体積比で1:1))に溶解させたイオン伝導性溶液等。
イオン液体を用いたものとして、1mol/Lの濃度でLiTFSAをイオン液体、具体的にはBMI/TFSA、BMP/TFSA、BMP/BF、BMP/PF、EMI/Cl、PP13/TFSA、N1114/TFSA(モル比:1/1)等、任意のイオン源と、任意のアニオンとカチオンを組み合わせたイオン液体を用いたイオン伝導性溶液。

【0014】
<他の成分>
本発明の電極用組成物には上述の各成分の他に通常この種の電極用組成物に用いられる成分、例えば導電助剤等を適宜用いることができる。導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、黒鉛等の導電性カーボンブラックを好ましく用いることができる。

【0015】
<配合割合>
上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合は、重量比で、活物質:イオン伝導性物=1:0.01~0.3であるのが好ましく、1:0.04~0.25であるのがさらに好ましい。
上記イオン伝導性物の配合割合が0.01未満であると、十分なイオン伝達経路の形成ができない場合があり、0.3を超えると、後述するコンポジット材が液体化して電極の固体化が困難となるため上記範囲内とするのが好ましい。
また、上記イオン伝導性物の上記活物質に対する配合割合は、容量に換算した場合の容量比も電池特性を十分に発揮する上で重要であり、容量比(両者の体積比)で、活物質:イオン伝導性物=1:0.02~2.0であるのが好ましく、1:0.1~1.3であるのがさらに好ましい。
また、上記バインダーの上記活物質に対する配合割合は、重量比で、活物質:バインダー=1:0.01~0.1であるのが好ましく、1:0.03~0.07であるのがさらに好ましい。
また、上記導電助剤の上記活物質に対する配合割合が、重量比で、活物質:導電助剤=1:0.01~0.1であるのが好ましく、1:0.03~0.07であるのがさらに好ましい。
上記配合割合が、上記範囲外であると所望の効果を得ることができないので上述の範囲内とするのが好ましい。
本発明の電極用組成物は、後述する本発明の電極とするなどして使用することができる。

【0016】
〔電極〕
本発明の電極は、正極又は負極であり、活物質と、導電性助剤と、バインダー及びイオン伝導性物が複合化されてなるコンポジット材とを具備する。即ち活物質として正極活物質を用いた場合には正極となり、負極活物質を用いた場合には負極となる。
ここで上記活物質、上記導電性助剤、上記バインダー及び上記イオン伝導性物はそれぞれ上述の電極用組成物において説明したものと同じであるので、説明を省略する。すなわち、本発明の電極は好ましくは上述の本発明の電極用組成物より得られるものである。

【0017】
本実施形態の電極について図1を参照して説明する。
図1に示すように本実施形態の電極1は、活物質10と各活物質10間に位置するコンポジット材20とからなる。
本実施形態においてコンポジット材20は、イオン伝導性物とバインダーと導電助剤とが複合化されてなるものであり、化学的に変化はしていないが物性的には各構成成分の発揮する物性からは変性しているものであって、イオン伝導性物とバインダーと導電助剤との相互作用により単なる各成分の物性ではなくコンポジット材特有の物性を有する(物性の変化)があるものである。このようなコンポジット材が存在することにより、単にイオン伝導性物を有する以上のイオン伝導性を示し、その結果電気化学特性も向上する。
たとえば、示差走査熱量計(DSC)において、電極内に存在するイオン伝導性物に由来する融点ピークが消失する。即ち、本発明の電極は、示差走査熱量計(DSC)において、電極内に存在するイオン伝導性物に由来する融点ピークが消失するものである。
このようにコンポジット材が形成されて物性が変化する理由は定かではないが、イオン伝導性物がバインダーに取り込まれて複合化されることによりイオン伝導性物に何らかの形態変化が生じているものと考えられる。
このような形態変化はたとえば以下のようにして確認することができる。
すなわち、バインダーとしてPVDFに対し、重量比で20倍量のイオン伝導性物として[Li(G4)][FSA]を混合し、静置させることで、バインダーがゲル化する様子を観察する。すると、[Li(G4)][FSA]は、図2に示すように、バインダーがゲル化して膨潤した状態(図2のAで示す部分)となった。このことからイオン伝導性物を加えることにより、イオン伝導性物がバインダーに対して親和性高く複合化していることがわかる。このように複合化していることがDSC曲線の融点ピークの要因であると考えられる。
本発明の電極において、上記活物質と上記コンポジット材(本実施形態においては上記導電助剤、上記バインダー及び上記イオン伝導性物の複合化物)との配合割合は、上記活物質60~95重量部、上記コンポジット材5~40重量部で、且つ合計100重量部であるのが好ましく、上記活物質75~90重量部、上記コンポジット材10~25重量部で、且つ合計100重量部であるのがさらに好ましい。
ここで、上記コンポジット材における、上記イオン伝導性物、上記バインダー及び上記導電助剤の配合割合は、重量比で、イオン伝導性物:バインダー:導電助剤=1:0.05~10:0.05~10であるのが好ましく、1:0.1~1.0:0.1~1.0であるのがさらに好ましい。

【0018】
また、図1に示すように、本実施形態の電極においては、上記コンポジット材が電極の厚み方向全体に亘って、上記活物質と混合された状態で存在している。ここで「厚み方向全体に亘って」とは、粉体粉体状の活物質を集合させた場合に膜全体に亘って形成される、活物質間に存在する空隙を埋めるように、少なくともすべての活物質の外面を覆って、コンポジット材を介して各活物質間を連結するように存在することを意味する。また、コンポジット材の存在比率は、配合割合と用いる活物質の粒径により決定される。
本実施形態の電極の厚さは10~400μmであるのが好ましい。また形状は特に制限されず種々形態とすることができる。
また、本発明の電極には上述の各成分の他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で通常この種の電極に用いられる添加剤成分を適宜添加することができる。

【0019】
<製造方法>
本発明の電極の製造方法は、上述の本発明の電極用組成物を用いた電極の製造方法であって、
活物質とバインダーとを混合して第1混合物を得る第1混合工程と、
上記第1混合物にイオン伝導性物を添加して混合し、第2混合物を得る第2混合工程と、を行うことにより実施することができる。
(第1混合工程)
上記第1混合工程は、上記活物質と上記バインダーとを混合する工程であり、好ましくはさらに上記導電助剤も混合する工程である。ここで混合手法は特に制限されるものではなく、種々の手法で混合することができる。混合に際しては、温度は常温~60℃の範囲内で行うことができ、撹拌速度は400~3000rpmとすることができ、混合時間は5~60分とすることができる。
(第2混合工程)
上記第2混合工程は、上記第1混合工程で得られた上記第1混合物にイオン伝導性物を添加して混合し、第2混合物を得る工程である。ここで混合手法は特に制限されるものではなく、種々の手法で混合することができる。混合に際しては、温度は常温~60℃の範囲内で行うことができ、撹拌速度は400~3000rpmとすることができ、混合時間は5~60分とすることができる。
(その他の工程)
本発明においては、上述の第1及び2混合工程を行った後に通常スラリーを得ることとなるため、スラリーを所定形状に成形し乾燥する工程を行ってもよい。また第2混合工程の前に上記の第1混合工程で得られた上記第1混合物に溶媒を添加して混合することもできる。この際用いる溶媒としては上述の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。
この他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で通常電極を製造する際に用いられるその他の工程を適宜採用することができる。

【0020】
<作用効果>
本実施形態の電極は、図1に示すように、たとえば本発明の電極を正極として用いた場合、電極1中の活物質と各活物質を連結するように各活物質10間に位置するコンポジット材20とがイオン伝導経路を形成しており、図1の矢印方向にイオンが伝達されて、イオンが固体電解質200へと移動する。このように活物質10とコンポジット材20のいずれもイオン伝導性が高く、電極1内全体をイオンが流通できるようになっているので、イオンの流通が良好であると共に固体電解質200表面と接触する面全面にイオン伝導経路が形成されているため固体電解質へのイオン伝導性が高い。そのため高い電池特性が発揮される。

【0021】
<使用方法・電池>
本発明の電極は、2次電池、例えばリチウムイオン電池、好ましくは全固体型の電池の電極として使用することができる。すなわち、本発明の電池は、上述の本発明の電極を正極及び/又は負極として用いてなるものである。
たとえば、図3に示す構成の電池100である。即ち、電池100は、正極110、負極120及び両者間に位置する電解質膜130とからなり、各種デバイス140に連結されて使用されるものである。そして、電池100は、その正極110、負極120のいずれか一方又は両方が上述の本発明の電極からなる。
電解質膜130やその他の電池構造や他の電池構成部材については、通常公知の電池部材を特に制限なく採用することができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【実施例】
【0023】
〔実施例1〕
活物質としてコバルト酸リチウムを92重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部、及びバインダーとしてポリビニリデンジフルオライド(PVDF、商品名「PVDF粉末」、キシダ化学社製))を4重量部、混合器内に投入し、常温で2000rpmにて10分間混合を行い(第1混合工程)、第1混合物を得た。
得られた混合物に、N-メチルピロリドンを24重量部添加し10分間混合した後、イオン伝導性物として[Li(G4)][FSA]を5重量部添加して上記の第1混合工程と同様の条件で10分間混合し、第2混合物としての正極形成用のスラリーを得た(第2混合工程)。
得られた正極形成用のスラリーを直径12mmのLi6.25Al0.25LaZr12(AlドープLLZ)固体電解質ペレット上の直径8mmの範囲に塗付し、さらに80℃、24時間の真空乾燥により、図1に示す構成の正極を得た。得られた正極の断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)を図4に示す。
図4に示すように、図中Bで示す正極層と図中Cで示すLi6.25Al0.25LaZr12(AlドープLLZ)固体電解質層とが積層されていた。得られた正極(図4に示す正極層)の質量は約4mgであり、コバルト酸リチウムのみの質量に換算すると約3.5mgであった。正極層の厚さはおよそ30μmであった。また、流動性は示さないものであった。
得られた正極を用いて図3に示す電池を製造した。
得られた電池を用いて電池特性を以下の通り測定した。また、比較対象として、イオン伝導性物を用いずに正極を製造して、同様に測定を行った。
(電池特性)
・インピーダンス測定
測定装置として、バイオロジック(Bio-Logic SAS(フランス))社製、商品名「SP-200」 高性能電気化学測定システムを用い、周波数範囲0.1~3,000,000Hz、温度60℃、印加電圧50mVの測定条件にてインピーダンスの測定を行った。その結果を図5に示す。
測定の結果、[Li(G4)][FSA]を添加していない比較対象(図中Dで示すライン)は、ナイキストプロットに描かれたコバルト酸リチウムとAlドープLLZ固体電解質ペレットの界面抵抗に起因する円弧は数十万Ωを示した。それに対して[Li(G4)][FSA]を添加した本発明品の場合(図中Eで示すライン)は、その円弧は約800Ωを示し、[Li(G4)][FSA]を添加することによる界面抵抗の大幅な低下を示していることがわかる。
・充放電測定
測定装置として北斗電工株式会社製、電池充放電装置、商品名「HJシリーズ(HJ1001SD8)」を用い、電流10μA(電流密度20μA/cm)での定電流測定、カットオフ電圧3.0~4.2V、温度60℃の設定条件で充放電測定を行った。その結果を図6に示す。
測定の結果、図6(a)に示す[Li(G4)][FSA]を添加していない比較対象では、充電開始後、数秒でカットオフ電圧4.2Vに到達し、充電することができなかった。ゆえに、放電もできなかった。一方、図6(b)に示す[Li(G4)][FSA]を添加した本発明品の場合は、初期充電曲線が描かれ、曲線にはプラトーが現れた。初期充電容量は約150mAh/gであった。その後の初期放電曲線についてもプラトーが現れ、125mAh/gの初期放電容量を示した。2サイクル目以降は、初期サイクルよりも容量が低下しているものの、充放電は問題なく行われた。
・DSC測定
〔示差走査熱量計(DSC)測定〕
電極内に存在する[Li(G4)][FSA]の融点ピークを確認することで電極内において[Li(G4)][FSA]が如何にして存在するのかを確認した。
測定は、示差走査熱量計として、商品名「DSC-60」島津製作所社製を用いて測定した。測定温度範囲は-50から100℃付近までであり、また、計測時の加熱速度は5℃/分とした。その結果を図7に示す。この結果から明らかなように、[Li(G4)][FSA]の融点由来のピークが見られないことを確認した。このことから本発明の電極では、[Li(G4)][FSA]がそのままの状態で存在しておらず、活物質と、導電性助剤と、バインダー及びイオン伝導性物が複合化されてなるコンポジット材として存在していることがわかる。
【実施例】
【0024】
〔実施例2〕
[Li(G4)][FSA]の添加量を10重量部とした以外は実施例1と同様にして、正極を得、電池特性を測定した。電極の組成はLiCoO2 : AB : PVDF : [Li(G4)][FSA] = 92:4:4:10(重量比)であった。その結果を図8に示す。図8に示す結果から明らかなように実施例1で得られた電極と同様に優れた電池特性を示すことがわかった。
〔実施例3〕
[Li(G4)][FSA]の添加量を20重量部とした以外は実施例1と同様にして、正極を得、電池特性を測定した。電極の組成はLiCoO2 : AB : PVDF : [Li(G4)][FSA] = 92:4:4:20 (重量比)であった。その結果を図9に示す。図9に示す結果から明らかなように実施例1で得られた電極と同様に優れた電池特性を示すことがわかった。
〔実施例4〕
[Li(G4)][FSA]に変えて[Li(G3)][FSA]を用いた以外は実施例1と同様にして正極を得、電池特性を測定した。電極の組成はLiCoO2 : AB : PVDF : [Li(G3)][FSA] =92:4:4:5(重量比)であった。その結果を図10に示す。図10に示す結果から明らかなように実施例1で得られた電極と同様に優れた電池特性を示すことがわかった。
〔実施例5〕
[Li(G4)][FSA]に変えて1 mol dm-3 LiTFSA / EMI-TFSAを用いた以外は実施例1と同様にして正極を得、電池特性を測定した。電極の組成はLiCoO2 : AB : PVDF : 1 mol dm-3 LiTFSA / EMI-TFSA =92:4:4:5(重量比)であった。その結果を図11に示す。図11に示す結果から明らかなように優れた電池特性を示すことがわかった。
また、より高い充放電容量を得るために配合比率をLiCoO2 : AB : PVDF : 1 mol dm-3 LiTFSA / EMI-TFSA(電解液) =92:4:4:10(重量比)、LiCoO2 : AB : PVDF : 1 mol dm-3 LiTFSA / EMI-TFSA =92:4:4:20(重量比)として、同様に正極を得、電位特性を測定した。電解液配合比が10のものを図12に、20のものを図13にそれぞれ示す。このように電解液の添加量を増やすことにより放電容量も高くなり、特に電池の正極としての特性が高くなることがわかる。
ここで、「1 mol dm-3 LiTFSA / EMI-TFSA」とは、EMI-TFSA(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドにLiTFSAを1 mol dm-3溶かした電解液である。
【実施例】
【0025】
〔参考例1〕
活物質とイオン伝導性物(電解液)との配合割合を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして正極を得、電池特性を測定した。
例1:活物質(LiCoO2 ):イオン伝導性物 [Li(G4)][FSA] =1:0.0054
例2:活物質(LiCoO2 ):イオン伝導性物[Li(G4)][FSA] =1:0.54
インピーダンスと充放電とを実施例1と同様に測定したが、充放電はできなかった。例1におけるインピーダンス測定結果(充放電前の結果、60℃、1000Hz)を図14に示す。図14に示すように、界面形成効果はあるといえるものの、充放電はできず、2次電池用の正極として使用できるものではなかった。
また、例2についても、実施例1と同様にインピーダンス測定(充放電前の結果、60℃、1000Hz)と充放電結果(60℃、10μA)を行った。その結果を図15に示す。その結果、図15の(b)から明らかなように、実施例1と同じイオン伝導性物を用いているにもかかわらず実施例1よりも容量が著しく低下している。このことから、上述のイオン伝導性物の配合比率を超える場合に電池特性が低下することがわかる。
例2において、充放電容量が低下した理由は定かではないが、液体状のイオン伝導性物[Li(G4)][FSA]の体積%が63%もあり、アセチレンブラックやLiCoO2の粒子が[Li(G4)][FSA]中に分散し、充放電に関与できなくなってしまったことで、容量の低下につながったと考えられる。すなわち、イオン伝導性物の配合比が多くなることにより容量が下がるのだと考えられる。
〔参考例2〕
配合比を以下の通りにした以外は実施例1~3と同様にして正極を得、実施例1と同様にして充放電容量を測定した。その結果を図16に示す。
LiCoO2 :アセチレンブラック: PVDF : [Li(G4)][FSA]
= 92 : 4 : 4 : 1(例4)
= 92 : 4 : 4 : 3(例5)
= 92 : 4 : 4 : 5 (実施例1)
= 92 : 4 : 4 : 10(実施例2)
= 92 : 4 : 4 : 20(実施例3)
= 92 : 4 : 4 : 50(例6)
図16に示す結果から明らかなように、組成比は重要であり、例4~6のように、好ましい範囲外の場合には十分な電池特性が得られないことがわかる。
なお、図16中の白い四角□は、測定された放電容量(mAh単位)をLiCoO2のみの重量(g単位)(バインダー、導電助剤、イオン伝導性物を含まない重量)で割り算して得られた比容量(mAh/g単位)である。この比容量により、活物質(LiCoO2)をどれだけ効率よく利用できているかがわかる。そのため、LiCoO2の理論容量(137 mAh/g)と比べて評価するべく、結果を図16に示す。
一方、黒い四角◆は、測定された放電容量(mAh単位)をLiCoO2、バインダー、導電助剤、イオン伝導性物の総量(g単位)で割り算して得られた比容量(mAh/g単位)である。この比容量により、実際の電池において正極を構成する材料全体としての比容量を把握することができる。
図16に示すように、□でも◆でもイオン伝導性物の添加量に対する比容量の増減の傾向に変化がなく、実際の電池における正極材料の比容量も十分に要求されるほどの高い性能を有することがわかる。
〔参考例3〕
配合比を以下の通りにした以外は実施例1と同様にして正極を得、実施例1と同様にしてインピーダンスと充放電とを測定した。その結果を図17に示す。
・ LiCoO2 :アセチレンブラック: PVDF : [Li(G4)][FSA]= 92 : 4 : 4 : 35(例4)〔活物質(LiCoO2 ):イオン伝導性物 [Li(G4)][FSA] =1:0.38〕
図17(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、界面形成能は認められるものの、放電容量が不十分であり、実施例1等に比して効果の劣るものであった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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