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明細書 :カリウムイオン電池用電解液、カリウムイオン電池、カリウムイオンキャパシタ用電解液、及び、カリウムイオンキャパシタ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年11月21日(2019.11.21)
発明の名称または考案の名称 カリウムイオン電池用電解液、カリウムイオン電池、カリウムイオンキャパシタ用電解液、及び、カリウムイオンキャパシタ
国際特許分類 H01M  10/0568      (2010.01)
H01M  10/0569      (2010.01)
H01M  10/054       (2010.01)
H01G  11/62        (2013.01)
H01G  11/60        (2013.01)
H01G  11/04        (2013.01)
FI H01M 10/0568
H01M 10/0569
H01M 10/054
H01G 11/62
H01G 11/60
H01G 11/04
国際予備審査の請求
全頁数 34
出願番号 特願2018-562454 (P2018-562454)
国際出願番号 PCT/JP2018/001621
国際公開番号 WO2018/135627
国際出願日 平成30年1月19日(2018.1.19)
国際公開日 平成30年7月26日(2018.7.26)
優先権出願番号 2017009526
優先日 平成29年1月23日(2017.1.23)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】駒場 慎一
【氏名】久保田 圭
【氏名】保坂 知宙
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 5E078
5H029
Fターム 5E078AA05
5E078AA07
5E078AA08
5E078AA15
5E078AB03
5E078AB07
5E078BA04
5E078BA17
5E078BA18
5E078BA27
5E078BA30
5E078BA42
5E078BA44
5E078BA52
5E078BA53
5E078BA62
5E078BA71
5E078BB21
5E078BB33
5E078CA06
5E078CA07
5E078CA10
5E078DA02
5E078DA03
5E078DA05
5E078DA08
5E078DA19
5E078DA20
5E078FA02
5E078FA12
5E078FA13
5E078LA06
5E078LA08
5H029AK01
5H029AL01
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ10
要約 不動態形成性に優れるカリウムイオン電池又はキャパシタが得られるカリウムイオン電池又はキャパシタ用電解液、及び、前記電解液を備えたカリウムイオン電池又はキャパシタの提供。
カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、を含有し、前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下であるカリウムイオン電池又はキャパシタ用電解液。
特許請求の範囲 【請求項1】
カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、
を含有し、
前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下である
カリウムイオン電池用電解液。
【請求項2】
前記カリウム塩化合物が、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドを含む請求項1に記載のカリウムイオン電池用電解液。
【請求項3】
前記溶媒が、エチレングリコールジメチルエーテルを含む請求項1又は請求項2に記載のカリウムイオン電池用電解液。
【請求項4】
前記カリウム塩化合物の濃度が、6.0mol/kg以上7.5mol/kg以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のカリウムイオン電池用電解液。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のカリウムイオン電池用電解液を備えるカリウムイオン電池。
【請求項6】
カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、
を含有し、
前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下である
カリウムイオンキャパシタ用電解液。
【請求項7】
前記カリウム塩化合物が、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドを含む請求項6に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
【請求項8】
前記溶媒が、エチレングリコールジメチルエーテルを含む請求項6又は請求項7に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
【請求項9】
前記カリウム塩化合物の濃度が、6.0mol/kg以上7.5mol/kg以下である請求項6~請求項8のいずれか1項に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
【請求項10】
請求項6~請求項9のいずれか1項に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液を備えるカリウムイオンキャパシタ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カリウムイオン電池用電解液、カリウムイオン電池、カリウムイオンキャパシタ用電解液、及び、カリウムイオンキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高エネルギー密度の二次電池として、非水電解質を使用し、例えばリチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解質二次電池が多く利用されている。
【0003】
このような非水電解質二次電池において、一般に正極としてニッケル酸リチウム(LiNiO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)等の層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が用いられ、負極としてリチウムの吸蔵及び放出が可能な炭素材料、リチウム金属、リチウム合金等が用いられている(例えば、特開2003-151549号公報参照)。
また、非水電解質二次電池の正極として、特表2015-515081号公報に記載されたものが知られている。
【0004】
充放電可能な電池である二次電池としては、高電圧で高エネルギー密度を達成できるリチウムイオン二次電池がこれまでのところ主として使用されているが、リチウムは、資源量が比較的限定されており、高価である。また、資源が南米に偏在しており、日本では全量を海外からの輸入に依存している。そこで、電池の低コスト化及び安定的な供給のために、リチウムイオン二次電池に代わるナトリウムイオン二次電池についても現在開発が進められている。しかし、原子量がリチウムよりも大きく、標準電極電位がリチウムよりも0.33V程高く、セル電圧も低くなることから、高エネルギー密度化しにくいという問題がある。
リチウムイオン電池に用いられる電解液としては、国際公開第2013/146714号又はY. Yamada and A. Yamada,“Review-Superconcentrated Electrolytes for Lithium Batteries”, Journal of The Electrochemical Society, 162, A2406-A2423 (2015)に記載されたものが知られている。
【0005】
最近では、リチウムイオン及びナトリウムイオンの代わりにカリウムイオンを利用した非水電解質二次電池の研究が始められている。
カリウムイオン二次電池を構成する電極活物質、特に正極活物質は、カリウムイオンの供給源とならなくてはならないため、構成元素としてカリウムを含むカリウム化合物である必要がある。現在のところ、カリウムイオン二次電池用の正極活物質としては、例えば、層状岩塩型構造を有する結晶K0.3MnOからなるもの(Christoph Vaalma, et al., Journal of The Electrochemical Society, 163(7), A1295-A1299 (2016)参照)やプルシアンブルー系材料結晶からなるもの(Ali Eftekhari, Journal of Power Souces, 126, 221-228 (2004)参照)等が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、不動態形成性に優れるカリウムイオン電池用電解液、及び、前記カリウムイオン電池用電解液を備えたカリウムイオン電池を提供することである。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、不動態形成性に優れるカリウムイオンキャパシタ用電解液、及び、前記カリウムイオンキャパシタ用電解液を備えたカリウムイオンキャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の<1>、<5>、<6>又は<10>に記載の手段により解決された。
<1> カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、を含有し、前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下であるカリウムイオン電池用電解液。
<2> 前記カリウム塩化合物が、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドを含む前記<1>に記載のカリウムイオン電池用電解液。
<3> 前記溶媒が、エチレングリコールジメチルエーテルを含む前記<1>又は<2>に記載のカリウムイオン電池用電解液。
<4> 前記カリウム塩化合物の濃度が、6.0mol/kg以上7.5mol/kg以下である前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のカリウムイオン電池用電解液。
<5> 前記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカリウムイオン電池用電解液を備えるカリウムイオン電池。
<6> カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、を含有し、前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下であるカリウムイオンキャパシタ用電解液。
<7> 前記カリウム塩化合物が、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドを含む前記<6>に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
<8> 前記溶媒が、エチレングリコールジメチルエーテルを含む前記<6>又は<7>に記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
<9> 前記カリウム塩化合物の濃度が、6.0mol/kg以上7.5mol/kg以下である前記<6>~<8>のいずれか1つに記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液。
<10> 前記<6>~<9>のいずれか1つに記載のカリウムイオンキャパシタ用電解液を備えるカリウムイオンキャパシタ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不動態形成性に優れるカリウムイオン電池用電解液、及び、前記カリウムイオン電池用電解液を備えたカリウムイオン電池を提供することができる。
また、本発明によれば、不動態形成性に優れるカリウムイオンキャパシタ用電解液、及び、前記カリウムイオンキャパシタ用電解液を備えたカリウムイオンキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るカリウムイオン電池10の一例を示す模式図である。
【図2】実施例1の電解液を使用した場合におけるサイクリックボルタンメトリー(CV)曲線を示す。
【図3】実施例1の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
【図4】実施例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図5】実施例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
【図6】実施例3の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図7】実施例3の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
【図8】比較例1の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図9】比較例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図10】KFSA/DME、及び、KTFSA/DMEについて、カリウム塩化合物の濃度とイオン電導度との関係を示す図である。
【図11】KFSA/DME、及び、KFSA/EC:PCについて、カリウム塩化合物の濃度とイオン電導度との関係を示す図である。
【図12】実施例4における15サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図13】比較例3における15サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図14】実施例5における30サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図15】実施例5の電解液を用いた場合のサイクル経過における放電容量の変化を表す図を示す。
【図16】実施例6における80サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図17】実施例6のコインセル(電解液)を用いた場合のサイクル経過における放電容量の変化を表す図を示す。
【図18】実施例7における20サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図19】実施例8における13サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図20】実施例9における8サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図21】実施例10の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
【図22】実施例11の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
【図23】実施例12の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図24】実施例13の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図25】実施例14の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図26】実施例15の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図27】実施例12における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図28】実施例13における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図29】実施例14における9サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図30】実施例15における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
【図31】実施例16の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
【図32】実施例13~16及び実施例3の電解液を用いた場合のサイクル経過におけるクーロン効率の変化を表す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本実施形態において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本実施形態において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。

【0011】
(カリウムイオン電池用電解液、及び、カリウムイオンキャパシタ用電解液)
本実施形態に係るカリウムイオン電池又はカリウムイオンキャパシタ用電解液(以下、「本実施形態に係る電解液」ともいう。)は、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物と、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒と、を含有し、前記カリウム塩化合物の濃度が、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下である。
また、本実施形態に係る電解液は、カリウムイオン電池又はカリウムイオンキャパシタにおける電解液として好適に用いられる。

【0012】
前述したように、リチウムは、資源量が比較的限定されており、高価である。また、資源が南米に偏在しており、例えば、日本では全量を海外からの輸入に依存している。
一方、カリウムは、海水にも地殻にも豊富に含まれるため、安定した資源となり、低コスト化を図ることもできる。
具体的には、2012年における全世界のリチウム生産量は、純分換算で34,970tであり、カリウム生産量は、純分換算で27,146tである。
また、リチウムイオン電池の場合にはリチウムがアルミニウム等、多くの金属と合金を作るため、負極の基板に高価な銅を使わざるを得なかったが、カリウムはアルミニウムと合金を作らず、銅の代わりに安価なアルミニウムを負極基板に使えることも大きなコスト低減の利点となる。
カリウムイオン電池やカリウムイオンキャパシタを構成する電解液は、正極-負極間のカリウムイオンを介した電子の輸送を担うため、構成元素としてカリウムを含むカリウム化合物を含有している必要がある。

【0013】
本実施形態に係る電解液は、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下という高濃度で特定のカリウム塩化合物を含有し、かつ特定の溶媒を含有することにより、集電体、活物質等への不動態形成性に優れる。不動態形成性に優れることにより、例えば、集電体としてアルミニウム基材を用いた場合、アルミニウム基材の表面において不動態を容易に形成し、アルミニウムの腐食抑制性に優れる。
また、本実施形態に係る電解液は、1.5mol/kg以上12.0mol/kg以下という高濃度で特定のカリウム塩化合物を含有し、かつ特定の溶媒を含有することにより、前記に加え、電解質(カリウム塩化合物)が高濃度であってもイオン伝導度が高く、また、黒鉛への電解液の共挿入が抑制されたカリウムイオン電池又はカリウムイオンキャパシタが得られる。
なお、黒鉛への電解液の共挿入とは、黒鉛の層間にカリウムイオンが挿入したとき、電解液が同時に黒鉛層間に共挿入し、分解される現象であり、前記共挿入を抑制することにより、黒鉛電極及び電解液の劣化が抑制される。

【0014】
<カリウム塩化合物>
本実施形態に係る電解液は、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド及びカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種のカリウム塩化合物を含む。
カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(KTFSA、Potassium bis(trifluoromethanesulfonyl)amide)は、下記に示す化合物である。

【0015】
【化1】
JP2018135627A1_000003t.gif

【0016】
また、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(KFSA、Potassium bis(fluorosulfonyl)amide)は、下記に示す化合物である。

【0017】
【化2】
JP2018135627A1_000004t.gif

【0018】
本実施形態に係る電解液は、不動態形成性、イオン伝導度、及び、黒鉛への電解液の共挿入抑制の観点から、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドを含有することが好ましい。

【0019】
本実施形態に係る電解液における前記カリウム塩化合物の濃度は、不動態形成性の観点から、3.0mol/kg以上10.5mol/kg以下であることが好ましく、5.0mol/kg以上9.0mol/kg以下であることがより好ましく、6.0mol/kg以上7.5mol/kg以下であることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る電解液における前記カリウム塩化合物の濃度は、イオン伝導度の観点から、1.8mol/kg以上3.5mol/kg以下であることが好ましく、2.0mol/kg以上3.0mol/kg以下であることがより好ましい。
更に、本実施形態に係る電解液における前記カリウム塩化合物の濃度は、電池特性及び不動態形成性の観点から、6.0mol/kg以上12.0mol/kg以下であることが好ましい。
本実施形態に係る電解液に含有されるカリウム塩化合物は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよいが、1種単独であることが好ましい。

【0020】
<溶媒>
本実施形態に係る電解液は、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒を含有する。
また、本実施形態に係る電解液に含有される溶媒のうち、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒の割合は、不動態形成性、イオン伝導度、及び、黒鉛への電解液の共挿入抑制の観点から、電解液に含有される溶媒の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、99質量%以上であることが最も好ましい。

【0021】
本実施形態に係る溶媒は、不動態形成性、イオン伝導度、及び、黒鉛への電解液の共挿入抑制の観点から、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましく、エチレングリコールジメチルエーテルを含有することがより好ましい。
また、電池特性、特にクーロン効率の観点からは、本実施形態に係る溶媒は、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びペンタエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒であることが好ましく、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒であることがより好ましい。
前記溶媒は、脱水剤で脱水を行った後に精留を行ったものを使用してもよい。
脱水剤としては、例えば、モレキュラーシーブス、芒硝、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。
また、精留を行わずに脱水剤による脱水のみを行った溶媒を使用してもよい。

【0022】
本実施形態に係る電解液に含有される溶媒は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態に係る電解液に含有される溶媒の含有量は、特に制限はなく、前記カリウム塩化合物の濃度範囲を満たす量であることが好ましい。

【0023】
<その他の成分>
本実施形態に係る電解液は、前記カリウム塩化合物及び前記溶媒以外に、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)等が挙げられる。
また、他の成分としては、前記した以外の溶媒、過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤等が挙げられる。

【0024】
(カリウムイオン電池)
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、本実施形態に係るカリウムイオン電池用電解液を備えるカリウムイオン電池である。
また、本実施形態に係るカリウムイオン電池は、カリウムイオン二次電池として好適に用いることができる。
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、本実施形態に係るカリウムイオン電池用電解液、正極、及び、負極を備えることが好ましく、本実施形態に係るカリウムイオン電池用電解液、正極、負極、及び、セパレータを備えることがより好ましい。
また、本実施形態に係るカリウムイオン電池は、電極の集電体やケース等としてアルミニウム部材を少なくとも有することが好ましい。

【0025】
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、電池ケース、スペーサー、ガスケット、及び、スプリング他、構造材料等の要素についても従来リチウムイオン電池並びにナトリウムイオン電池で使用される公知の各種材料を使用することができ、特に制限はない。
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、前記電池要素を用いて公知の方法に従って組み立てればよい。この場合、電池形状についても特に制限されることはなく、例えば円筒状、角型、コイン型等種々の形状、サイズを適宜採用することができる。

【0026】
<正極>
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、正極を備えることが好ましい。
正極は、カリウムイオン電池用正極活物質を含むことが好ましい。また、正極は、カリウムイオン電池用正極活物質以外の他の化合物を含んでいてもよい。
他の化合物としては、特に制限はなく、電池の正極の作製に用いられる公知の添加剤を用いることができる。具体的には、導電助剤、結着剤、集電体等が挙げられる。
また、正極は、耐久性及び成形性の観点から、カリウムイオン電池用正極活物質、導電助剤、及び、結着剤を含むことが好ましい。
正極の形状及び大きさは、特に制限はなく、使用する電池の形状及び大きさに合わせ、所望の形状及び大きさとすることができる。
正極は、カリウムイオン電池における出力及び充放電容量の観点から、カリウムイオン電池用正極活物質を、カリウムイオン電池用正極の全質量に対し、10質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことが更に好ましく、70質量%以上含むことが特に好ましい。

【0027】
-カリウムイオン電池用正極活物質-
本実施形態に用いられるカリウムイオン電池用正極活物質としては、特に制限はなく、公知のカリウムイオン電池用正極活物質を用いることができる。
カリウムイオン電池用正極活物質として、具体的には、K[Fe(CN)のカリウム塩(M=Fe、Mn、Co、Ni、Cr又はCuを表し、xは0以上2以下の数を表し、yは0.5以上1.5以下の数を表し、zは0.5以上1.5以下の数を表す。)、KFeSOF、リン酸鉄カリウム化合物、リン酸バナジウムカリウム化合物、活性炭、α-FePO、K0.3MnO、無水ペリレン等が挙げられる。

【0028】
カリウムイオン電池用正極活物質の形状は、特に制限はなく、所望の形状であればよいが、正極形成時の分散性の観点から、粒子状の正極活物質であることが好ましい。
カリウムイオン電池用正極活物質の形状が粒子状である場合、本実施形態に係るカリウムイオン電池用正極活物質の算術平均粒径は、分散性及び正極の耐久性の観点から、10nm~200μmであることが好ましく、50nm~100μmであることがより好ましく、100nm~80μmであることが更に好ましく、200nm~50μmであることが特に好ましい。
粒子の算術平均粒径の測定方法は、例えば、(株)堀場製作所製HORIBA Laser Scattering Particle Size Distribution Analyzer LA-950を使用し、分散媒:水、使用レーザー波長:650nm及び405nmで好適に測定することができる。
また、後述する正極においては、正極内部の正極活物質を溶剤等を使用して、又は、物理的に分離し、測定することができる。

【0029】
-導電助剤-
本実施形態に用いられる正極は、カリウムイオン電池用正極活物質を、所望の形状に成形し、正極としてそのまま用いてもよいが、正極のレート特性(出力)を向上させるために、導電助剤を更に含むことが好ましい。
本実施形態に用いられる導電助剤としては、カーボンブラック類、黒鉛類、カーボンナノチューブ(CNT)、気相成長炭素繊維(VGCF)等の炭素が好ましく挙げられる。
カーボンブラック類としては、アセチレンブラック、オイルファーネス、ケッチェンブラック等が挙げられる。中でも、導電性の観点から、アセチレンブラック及びケッチェンブラックよりなる群から選ばれた少なくとも1種の導電助剤であることが好ましく、アセチレンブラック又はケッチェンブラックであることがより好ましい。
導電助剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
正極活物質と導電助剤との混合比は、特に制限はないが、正極における導電助剤の含有量は、正極に含まれる正極活物質の全質量に対し、1質量%~80質量%であることが好ましく、2質量%~60質量%であることがより好ましく、5質量%~50質量%であることが更に好ましく、5質量%~25質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、より高出力の正極が得られ、また、正極の耐久性に優れる。

【0030】
導電助剤と正極活物質との混合方法としては、正極活物質を、不活性ガス雰囲気下で導電助剤と共に混合することにより、正極活物質を導電助剤によりコートすることができる。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等を用いることができ、アルゴンガスを好適に用いることができる。
また、導電助剤と正極活物質とを混合する際に、乾式ボールミルや、少量の水等の分散媒を加えたビーズミル等の粉砕分散処理をしてもよい。粉砕分散処理をすることにより導電助剤と正極活物質との密着性及び分散性を高め、電極密度を上げることができる。

【0031】
-結着剤-
本実施形態に用いられる正極は、成形性の観点から、結着剤を更に含むことが好ましい。
結着剤としては、特に制限はなく、公知の結着剤を用いることができ、高分子化合物が挙げられ、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリアミドイミドなど)、グルタミン酸、及び、セルロースエーテル等が好ましく挙げられる。
結着剤として具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、その水素添加物、シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-α-オレフィン(炭素数2~12)共重合体、グルタミン酸、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。

【0032】
電極密度を高くするという観点から、結着剤として用いられる化合物の比重は、1.2g/cmより大きいことが好ましい。
また、電極密度を高くし、かつ接着力を高める点から、結着剤の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが更に好ましい。上限は特にないが、200万以下であることが好ましい。

【0033】
結着剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
正極活物質と結着剤との混合比は、特に制限はないが、正極における結着剤の含有量は、正極に含まれる正極活物質の全質量に対し、0.5質量%~30質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、2質量%~15質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、成形性及び耐久性に優れる。

【0034】
正極活物質と導電助剤と結着剤とを含む正極の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、正極活物質と導電助剤と結着剤とを混合して加圧成形を行ってもよいし、また、後述するスラリーを調製して正極を形成する方法であってもよい。

【0035】
-集電体-
本実施形態に用いられる正極は、集電体を更に含むことが好ましい。
集電体としては、ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)等の導電性の材料を用いた箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタル等が挙げられる。メッシュの目開き、線径、メッシュ数等は特に限定されず、従来公知のものを使用できる。
集電体の形状は、特に制限はなく、所望の正極の形状に合わせて選択すればよい。例えば、箔状、板状等が挙げられる。
集電体としては、中でも、アルミニウム集電体が好ましい。

【0036】
集電体に正極を形成する方法としては、特に制限はないが、正極活物質と導電助剤と結着剤と有機溶媒又は水とを混合させて正極活物質スラリーを調製し、集電体に塗工する方法が例示できる。有機溶剤としては、N,N-ジメチルアミノプロピリアミン、ジエチルトリアミン等のアミン系;エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のエーテル系;メチルエチルケトン等のケトン系;酢酸メチル等のエステル系、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
調製したスラリーを例えば、集電体上に塗工し、乾燥後プレスする等して固着することにより正極が製造される。スラリーを集電体上に塗工する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等を挙げることができる。

【0037】
<負極>
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、負極を備えることが好ましい。
本実施形態に用いられる負極は、負極活物質を含むものであればよく、例えば、負極活物質からなるものや、集電体とその集電体の表面に形成された負極活物質層とを有し、負極活物質層が負極活物質及び結着剤を含むものが挙げられる。
前記集電体としては、特に制限はなく、正極において前述した集電体を好適に用いることができる。中でも、アルミニウム集電体が好ましい。
負極の形状及び大きさは、特に制限はなく、使用する電池の形状及び大きさに合わせ、所望の形状及び大きさとすることができる。

【0038】
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、ハードカーボン、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素材料、KTi(PO、P、Sn、Sb、MXene(複合原子層物質)などが挙げられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は、粒子状の凝集体等のいずれでもよい。ここで炭素材料は、導電助剤としての役割を果たす場合もある。
中でも、黒鉛、又は、ハードカーボンが好ましく、黒鉛がより好ましい。
また、負極活物質としては、カリウム金属も好適に用いることができる。
更に、負極としては、国際公開第2016/059907号に記載の負極も好適に用いることができる。

【0039】
本実施形態における黒鉛とは、黒鉛系炭素材料のことをいう。
黒鉛系炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等が挙げられる。天然黒鉛としては、例えば鱗片状黒鉛、塊状黒鉛等が使用可能である。人造黒鉛としては、例えば、塊状黒鉛、気相成長黒鉛、鱗片状黒鉛、繊維状黒鉛等が使用可能である。これらの中でも、充填密度が高い等の理由で、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛が好ましい。また、2種以上の黒鉛が併用されてもよい。
黒鉛の平均粒子径は、上限値として30μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmが更に好ましく、下限値として0.5μmが好ましく、1μmがより好ましく、2μmが更に好ましい。黒鉛の平均粒子径は、電子顕微鏡観察の方法により測定する値である。
黒鉛としては、また、面間隔d(002)が3.354~3.370Å(オングストローム、1Å=0.1nm)であり、結晶子サイズLcが150Å以上であるもの等が挙げられる。
また、本実施形態におけるハードカーボンは、2,000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料であり、難黒鉛化炭素とも呼ばれる。ハードカーボンとしては、炭素繊維の製造過程の中間生成物である不融化糸を1,000℃~1,400℃程度で炭化した炭素繊維、有機化合物を150℃~300℃程度で空気酸化した後、1,000℃~1,400℃程度で炭化した炭素材料等が例示できる。ハードカーボンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により製造されたハードカーボンを使用することができる。
ハードカーボンの平均粒径、真密度、(002)面の面間隔等は特に限定されず、適宜好ましいものを選択して実施することができる。

【0040】
負極活物質は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
負極活物質層中の負極活物質の含有量は特に限定されないが、80~95質量%であることが好ましい。

【0041】
<セパレータ>
本実施形態に係るカリウムイオン電池は、セパレータを更に備えることが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを物理的に隔絶して、内部短絡を防止する役割を果たす。
セパレータは、多孔質材料からなり、その空隙には電解質が含浸され、電池反応を確保するために、イオン透過性(特に、少なくともカリウムイオン透過性)を有する。
セパレータとしては、例えば、樹脂製の多孔膜の他、不織布などが使用できる。セパレータは、多孔膜の層又は不織布の層だけで形成してもよく、組成や形態の異なる複数の層の積層体で形成してもよい。積層体としては、組成の異なる複数の樹脂多孔層を有する積層体、多孔膜の層と不織布の層とを有する積層体などが例示できる。

【0042】
セパレータの材質は、電池の使用温度、電解質の組成などを考慮して選択できる。
多孔膜及び不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂;ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイドケトンなどのポリフェニレンサルファイド樹脂;芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂など)などのポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂などが例示できる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。
セパレータは、ガラス、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種の材質を含むセパレータであることが好ましい。中でも、セパレータとしては、ガラスフィルター(ガラス濾紙)がより好ましく挙げられる。
また、セパレータは、無機フィラーを含んでもよい。
無機フィラーとしては、セラミックス(シリカ、アルミナ、ゼオライト、チタニアなど)、タルク、マイカ、ウォラストナイトなどが例示できる。無機フィラーは、粒子状又は繊維状が好ましい。
セパレータ中の無機フィラーの含有量は、10質量%~90質量%であることが好ましく、20質量%~80質量%であることがより好ましい。
セパレータの形状や大きさは、特に限定されず、所望の電池の形状等に合わせて適宜選択すればよい。

【0043】
本実施形態に係るカリウムイオン電池の一例としては、図1に示すカリウムイオン電池が挙げられるが、これに限定されないことは言うまでもない。
図1は、本実施形態に係るカリウムイオン電池10の一例を示す模式図である。
図1に示すカリウムイオン電池10は、コイン型電池であり、負極側から順に、負極側の電池ケース12、ガスケット14、負極16、セパレータ18、正極20、スペーサー22、スプリング24、及び、正極側の電池ケース26を重ね、電池ケース12及び電池ケース26を嵌め合わせて形成される。
セパレータ18には、本実施形態に係る電解液(不図示)が含浸されている。

【0044】
(カリウムイオンキャパシタ)
本実施形態に係るカリウムイオンキャパシタは、本実施形態に係るカリウムイオンキャパシタ用電解液を備える。
また、本実施形態に係るカリウムイオンキャパシタは、電解液として本実施形態に係るカリウムイオンキャパシタ用電解液を用い、リチウムイオンの代りにカリウムイオンを用いること以外、例えば、従来のリチウムイオンキャパシタと同様の構成で基本的に作製することができる。
また、前記カリウムイオン電池において、前述した各構成部材についても、本実施形態に係るカリウムイオンキャパシタに好適に用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1~3、並びに、比較例1及び2)
以下に示すカリウム塩化合物、及び、溶媒を、以下に示すカリウム塩化合物の濃度となるように混合することにより、各電解液を作製した。
実施例1:6.5mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(6.5mol/kgKFSA/DME)
実施例2:6mol/kgのカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(6mol/kgKTFSA/DME)
実施例3:10mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:プロピレンカーボネート(体積比1:1)溶液(10mol/kgKFSA/EC:PC)
比較例1:1mol/dm(1mol/L又は1moldm-3とも記載できる。)のカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(体積比1:1)溶液(1mol/dmKFSA/EC:DEC)
比較例2:1mol/dmのカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(体積比1:1)溶液(1mol/dmKTFSA/EC:DEC)
【実施例】
【0047】
使用した化合物の詳細を以下に示す。
カリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(KFSA):関東化学(株)製又はSOLVIONIC SA社製
カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(KTFSA):関東化学(株)製
エチレングリコールジメチルエーテル(DME):キシダ化学(株)製
エチレンカーボネート(EC):キシダ化学(株)製
プロピレンカーボネート(PC):キシダ化学(株)製
ジエチルカーボネート(DEC):キシダ化学(株)製
【実施例】
【0048】
<不動態形成性(アルミニウム腐食性)評価>
-サイクリックボルタンメトリー(CV)測定-
得られた各電解液を使用し、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。
CV測定は、得られた各電解液をそれぞれ使用し、作用電極にアルミニウム箔、カウンター電極にカリウム金属(アルドリッチ社製)を使用し、スキャンレート0.5mV/s、電圧の掃引範囲を2.0V~4.0V、4.3V、4.6V又は4.9Vでそれぞれ測定した。また、実施例3においては、2.0V~5.2Vでも電圧を掃引した。
CV測定において、アルミニウムの腐食に伴い、酸化電流が生じるため、測定される電流密度が小さいほど、アルミニウムの腐食抑制性に優れ、不動態形成性に優れる。
評価結果を図2~図9に示す。
なお、図2~図9における縦軸は、電流密度(Current density、単位:mA/cm)を表し、横軸は、カリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表す。
【実施例】
【0049】
図2は、実施例1の電解液を使用した場合におけるサイクリックボルタンメトリー(CV)曲線を示す。
図3は、実施例1の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
図4は、実施例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
図5は、実施例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
図6は、実施例3の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
図7は、実施例3の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
図8は、比較例1の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
図9は、比較例2の電解液を使用した場合におけるCV曲線を示す。
図2~図7に示すように、本実施形態に係る電解液は、アルミニウムの腐食抑制性に優れ、不動態形成性に優れる。
一方、図8及び図9に示すように、比較例1及び2の電解液は、アルミニウムの腐食が大きく見られ、不動態形成性に劣るものであった。
【実施例】
【0050】
(参考例1)
<イオン電導度の測定>
カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(KFSA/DME)、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(KTFSA/DME)、及び、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:プロピレンカーボネート(体積比1:1)溶液(KFSA/EC:PC)について、各カリウム塩化合物の濃度を変化させイオン電導度を測定した。
イオン電導度の測定方法は、ニッコー・ハンセン(株)製のEutech CON2700を用いて室温で測定した。
また、プロピレンカーボネートは、キシダ化学(株)製のものを用いた。
測定結果を図10及び図11に示す。なお、図10及び図11の縦軸は、イオン電導度(Ionic conductivity、単位:mScm-1)を表し、横軸は、カリウムイオン化合物の濃度(Molality、単位:molkg-1)を表す。
【実施例】
【0051】
図10は、KFSA/DME、及び、KTFSA/DMEについて、カリウム塩化合物の濃度とイオン電導度との関係を示す図である。
図11は、KFSA/DME、及び、KFSA/EC:PCについて、カリウム塩化合物の濃度とイオン電導度との関係を示す図である。
図10及び図11に示すように、カリウムイオン化合物の濃度が2mol/kg前後において極大値をとり、また、従来の電解液ではイオン電導度が低くなる傾向にある高濃度領域(3mol/kg以上)であっても、イオン電導度が高い値を示しており、本実施形態に係る電解液は、イオン電導度にも優れる。
【実施例】
【0052】
(実施例4、及び、比較例3)
<正極の作製>
KFeSOFと、ケッチェンブラック(KB、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)と、PVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂、(株)クレハ製W#1100)とを80:10:10の質量比で混合後、アルミニウム箔(宝泉(株)製、厚さ0.017mm)上に塗布したもの作製し、正極とした。アルミニウム箔を含まない正極の形状は、直径10mm、厚さ0.03mm~0.04mmの円筒形状とした。また、アルミニウム箔を含まない正極の質量は、1mg~3mgであった。
【実施例】
【0053】
<充放電測定>
充放電測定は、電解液に下記電解液を使用し、正極に前記で作製した正極、負極にカリウム金属(アルドリッチ社製)、セパレータ(ガラス濾紙、アドバンテック東洋(株)製)、SUS-Alクラッド電池ケース及びポリプロピレン製ガスケット(宝泉(株)製CR2032)、スペーサー(材質:SUS、直径16mm×高さ0.5mm、宝泉(株)製)、及び、スプリング(材質:SUS、内径10mm、高さ2.0mm、厚さ0.25mm、宝泉(株)製ワッシャー)を用いて作製したコインセルにて行った。
電解液の使用量は、セパレータが電解液で十分満たされる量(0.15mL~0.3mL)を使用した。
なお、実施例4においては、電解液として、6.5mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(6.5mol/kgKFSA/DME)を使用し、比較例3においては、1mol/dmのヘキサフルオロリン酸カリウム塩のエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(体積比1:1)溶液(1mol/dmKPF/EC:PC)を使用した。
【実施例】
【0054】
充放電条件は、充放電電流密度を定電流モードに設定し、室温(25℃)にて測定を行った。電流密度を13mA/gに設定し、充電電圧を4.5Vまで定電流充電を行った。充電後、充電電圧を4.5V、放電終止電圧が2.0Vになるまで定電流放電を繰り返し行った。
【実施例】
【0055】
図12に、実施例4における15サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
また、図13に、比較例3における15サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図12及び図13の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
図12に示すように、本実施形態に係る電解液は、高電位電極を使用した場合においても電池特性に優れる。
【実施例】
【0056】
(実施例5)
<黒鉛電極の作製>
粘度調整溶剤である水に、結着剤としてのポリアクリル酸ナトリウム塩(PANa、キシダ化学(株)製、分子量200万~600万)を10質量部添加し、更に、負極活物質としての黒鉛(SECカーボン(株)製SNO3、粒子径約3μm)を90質量部添加し、乳鉢で混合撹拌して、負極合剤スラリーを得た。
得られた負極合剤スラリーを、負極集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、150℃の真空乾燥機内で乾燥させ、電極シートを得た。この電極シートを電極打ち抜き機で直径10mmの円形に打ち抜いたものを黒鉛電極として用いた。
【実施例】
【0057】
<黒鉛電極を使用した場合の充放電測定>
電解液として、6.5mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(6.5mol/kgKFSA/DME)を使用し、また、負極として、前記で得られた黒鉛電極を使用した以外は、実施例3と同様にしてコインセルを作製した。
【実施例】
【0058】
充放電条件は、充電電流密度を定電流モード、放電電流密度を定電流-定電圧モードに設定し、室温(25℃)にて測定を行った。電流密度を25mA/gに設定し、充電電圧を2.0Vまで定電流充電を行った。充電後、放電終止電圧が0.002Vになるまで定電流放電を行い、0.002Vにおいて5時間定電圧放電を行い、充放電を繰り返し行った。
【実施例】
【0059】
図14に、実施例5における30サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図14の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
更に、図15には、実施例5の電解液を用いた場合のサイクル経過における放電容量の変化を表す図を示す。
なお、図15の縦軸は、放電容量(Capacity、単位:mAh/g)及びクーロン効率(Coulombic efficiency)を表し、横軸はサイクル数(Cycle Number)を表す。
図14及び図15に示すように、本実施形態に係る電解液は、黒鉛電極を使用した場合においても電池特性に優れ、また、充放電を繰り返しても充放電容量が劣化しにくいカリウムイオン電池が得られる。
【実施例】
【0060】
(実施例6)
KFeSOFの代わりに、KMn[Fe(CN)]を用いた以外は、実施例4と同様にして、コインセルを作製した。また、充電電圧を4.35Vとした以外は、実施例4と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0061】
図16に、実施例6における80サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図16の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
更に、図17には、実施例6のコインセル(電解液)を用いた場合のサイクル経過における放電容量の変化を表す図を示す。
なお、図17の縦軸は、放電容量(Capacity、単位:mAh/g)及びクーロン効率(Coulombic efficiency)を表し、横軸はサイクル数(Cycle Number)を表す。
図16及び図17に示すように、本実施形態に係る電解液は、黒鉛電極を使用した場合においても電池特性に優れ、また、充放電を繰り返しても充放電容量が劣化しにくいカリウムイオン電池が得られる。
【実施例】
【0062】
(実施例7)
KFeSOFの代わりに、KVPOFを用いた以外は、実施例4と同様にして、正極を作製した。また、電解液として、10mol/kgの6.5mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:プロピレンカーボネート(体積比1:1)溶液(10mol/kgKFSA/EC:PC)を用いた以外は、実施例4と同様にして、コインセルを作製した。更に、充電電圧を5.0Vとした以外は、実施例4と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0063】
図18に、実施例7における20サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図18の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
図18に示すように、本実施形態に係る電解液は、高電位電極を使用した場合においても電池特性に優れる。
【実施例】
【0064】
(実施例8)
電解液として、10mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:プロピレンカーボネート(体積比1:1)溶液(10mol/kgKFSA/EC:PC)を用いた以外は、実施例4と同様にして、コインセルを作製した。また、実施例4と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0065】
図19に、実施例8における13サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図19の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
図19に示すように、本実施形態に係る電解液は、高電位電極を使用した場合においても電池特性に優れる。
【実施例】
【0066】
(実施例9)
電解液として、10mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレンカーボネート:プロピレンカーボネート(体積比1:1)溶液(10mol/kgKFSA/EC:PC)を用いた以外は、実施例5と同様にして、コインセルを作製した。また、実施例5と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0067】
図20に、実施例9における8サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図20の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
図20に示すように、本実施形態に係る電解液は、高電位電極を使用した場合においても電池特性に優れる。
【実施例】
【0068】
(実施例10及び11)
電解液として、実施例10では2mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(2mol/kgKFSA/DME)、又は、実施例11では4mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(4mol/kgKFSA/DME)を用いた以外は、実施例1と同様にして、不動態形成性(アルミニウム腐食性)評価を行った。
評価結果を図21及び図22に示す。
なお、図21及び図22における縦軸は、電流密度(Current density、単位:mA/cm)を表し、横軸は、カリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表す。
【実施例】
【0069】
図21は、実施例10の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
図22は、実施例11の電解液を使用した場合におけるCV曲線の拡大図を示す。
図3、図21及び図22を比較し、図21では、4.9Vまで電圧を掃引した場合に、わずかなアルミニウムの酸化によるピークが観測された。一方、図3及び図22では、当該酸化ピークは観測されなかった。
よって、本実施形態に係る電解液は、特定の濃度以上で不動態形成に優れると考えられる。
【実施例】
【0070】
(実施例12~15)
以下に示すカリウム塩化合物、及び、溶媒を、以下に示すカリウム塩化合物の濃度となるように混合することにより、各電解液を作製した。
実施例12:7.0mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(7mKFSA/DME)
実施例13:3.7mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(KFSA:G2=1:2(モル比))
実施例14:5.6mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのトリエチレングリコールジメチルエーテル溶液(KFSA:G3=1:1(モル比))
実施例15:4.5mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミド:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(モル比1:1)のテトラエチレングリコールジメチルエーテル溶液(KFSA:KTFSA:G4=1:1:2(モル比))
【実施例】
【0071】
前述した以外の使用した化合物の詳細を以下に示す。
ジエチレングリコールジメチルエーテル(G2):キシダ化学(株)製
トリエチレングリコールジメチルエーテル(G3):キシダ化学(株)製
テトラエチレングリコールジメチルエーテル(G4):キシダ化学(株)製
【実施例】
【0072】
得られた各電解液を使用し、実施例1と同様にして、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。
評価結果を図23~図26に示す。
なお、図23~図26における縦軸は、電流密度(Current density、単位:μA/cm)を表し、横軸は、カリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表す。
図23~図26に示すように、本実施形態に係る電解液は、アルミニウムの腐食抑制性に優れ、不動態形成性に優れる。
【実施例】
【0073】
得られた各電解液を使用し、実施例6と同様にして、コインセルを作製した。また、充電電圧を4.35Vとした以外は、実施例4と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0074】
図27に、実施例12における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
図28に、実施例13における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
図29に、実施例14における9サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
図30に、実施例15における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図27~図30の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
図27~図30に示すように、本実施形態に係る電解液は、電池特性に優れ、また、充放電を繰り返しても充放電容量が劣化しにくいカリウムイオン電池が得られる。
【実施例】
【0075】
(実施例16)
以下に示すカリウム塩化合物、及び、溶媒を、以下に示すカリウム塩化合物の濃度となるように混合することにより、各電解液を作製した。
実施例16:2.0mol/kgのカリウムビス(フルオロスルホニル)アミドのエチレングリコールジメチルエーテル溶液(2mKFSA/DME)
【実施例】
【0076】
得られた実施例16又は比較例3の電解液を使用し、実施例6と同様にして、コインセルを作製した。また、充電電圧を4.35Vとした以外は、実施例4と同様にして、充放電測定を行った。
【実施例】
【0077】
図31に、実施例16における10サイクル目までの充放電プロファイルを示す。
なお、図31の充放電プロファイルの縦軸は使用したカリウム金属の標準単極電位を基準とした電位(Voltage、単位:V(V vs. K/K))を表し、横軸は容量(Capacity、単位:mAh/g)を表す。
【実施例】
【0078】
更に、図32には、実施例13~16及び比較例3の電解液を用いた場合のサイクル経過におけるクーロン効率の変化を表す図を示す。
なお、図32の縦軸は、クーロン効率(Coulombic efficiency)を表し、横軸はサイクル数(Cycle Number)を表す。
図32に示すように、本実施形態に係る電解液は、電池特性に優れ、また、充放電を繰り返しても充放電容量が劣化しにくいカリウムイオン電池が得られる。
また、図32に示すように、溶媒として、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒、特に、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒を用いた場合、本実施形態に係る電解液は、電池特性により優れる。
【実施例】
【0079】
2017年1月23日に出願された日本国特許出願第2017-9526号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0080】
10:カリウムイオン電池、12:電池ケース(負極側)、14:ガスケット、16:負極、18:セパレータ、20:正極、22:スペーサー、24:スプリング、26:電池ケース(正極側)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
31