TOP > 国内特許検索 > 展開図作成装置、展開図データの作成方法、およびプログラム > 明細書

明細書 :展開図作成装置、展開図データの作成方法、およびプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6529025号 (P6529025)
公開番号 特開2016-170597 (P2016-170597A)
登録日 令和元年5月24日(2019.5.24)
発行日 令和元年6月12日(2019.6.12)
公開日 平成28年9月23日(2016.9.23)
発明の名称または考案の名称 展開図作成装置、展開図データの作成方法、およびプログラム
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
FI G06F 17/50 624K
請求項の数または発明の数 8
全頁数 15
出願番号 特願2015-049529 (P2015-049529)
出願日 平成27年3月12日(2015.3.12)
審査請求日 平成29年12月27日(2017.12.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
発明者または考案者 【氏名】萩原 一郎
【氏名】ホアン・タイ・タット・グエン
【氏名】ユウ ボウ
【氏名】タイ フゥン タオ
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108578、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 詔男
審査官 【審査官】田中 幸雄
参考文献・文献 特開2015-5289(JP,A)
特開2008-310745(JP,A)
調査した分野 G06F 17/50
特許請求の範囲 【請求項1】
三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得する展開図取得部と、
前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する切断部と
2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合する接合部と
を備える展開図作成装置。
【請求項2】
前記切断部が、内包点と輪郭線に接続される端点とを接続する折線を、輪郭線の対に変換する
請求項1に記載の展開図作成装置。
【請求項3】
前記接合部が、前記面要素に重複部分が生じないように前記展開図を接合する
請求項1または請求項2に記載の展開図作成装置。
【請求項4】
前記面要素に重複部分が生じないように前記展開図を接合することができない場合に、前記切断部が、2つの内包点を接続する折線および当該内包点と輪郭線とを接続する折線を、それぞれ輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の展開図作成装置。
【請求項5】
複数の内包点が複数の折線を介して接続される場合に、前記切断部が、当該複数の内包点に接続される最小の数の連続する折線と、当該内包点と前記輪郭線とを接続する折線とを、それぞれ輪郭線の対に変換する
請求項4に記載の展開図作成装置。
【請求項6】
前記面要素をノードとし、前記折線をリンクとする接続グラフを生成する接続グラフ生成部をさらに備え、
前記切断部が、前記接続グラフに閉路が存在する場合に、当該閉路を構成するリンクに対応する折線を、輪郭線の対に変換する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の展開図作成装置。
【請求項7】
展開図作成装置が、三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得するステップと、
前記展開図作成装置が、前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割するステップと
前記展開図作成装置が、2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合するステップと
を有する展開図データの作成方法。
【請求項8】
コンピュータを、
三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得する展開図取得部、
前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する切断部
2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合する接合部
として機能させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、展開図作成装置、展開図データの作成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、三次元構造物を再現するための展開図を作成する方法が開示されている。このような技術により生成された展開図に基づいて三次元構造物を再現するには、手作業による折り曲げおよび接着が必要とされる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2014-203366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
展開図に基づいて三次元構造物を再現するために、折り曲げおよび接着を機械に実行させることが求められている。しかしながら、展開図によっては、中割り折りやかぶせ折りなど、複数の折線を同時に折り曲げる作業が必要となる場合がある。このような複雑な動作を可能とする機械は高価であり、また複雑な制御を要する。また、展開図を複数に分割することによって、折り曲げの動作を容易にしても、接着箇所が増えたり、展開図の枚数が増えたりすることによってかえって複雑な動作が必要となるという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、複数の折線を同時に折り曲げることなしに三次元構造物を再現できる展開図を作成する展開図作成装置、展開図データの作成方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、展開図作成装置は、三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得する展開図取得部と、前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する切断部と、2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合する接合部とを備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る展開図作成装置は、前記切断部が、内包点と輪郭線に接続される端点とを接続する折線を、輪郭線の対に変換する。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る展開図作成装置は、前記接合部が、前記面要素に重複部分が生じないように前記展開図を接合する。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る展開図作成装置は、前記面要素に重複部分が生じないように前記展開図を接合することができない場合に、前記切断部が、2つの内包点を接続する折線および当該内包点と輪郭線とを接続する折線を、それぞれ輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様に係る展開図作成装置は、複数の内包点が複数の折線を介して接続される場合に、前記切断部が、当該複数の内包点に接続される最小の数の連続する折線と、当該内包点と前記輪郭線とを接続する折線とを、それぞれ輪郭線の対に変換する。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、第1から第5の何れかの態様に係る展開図作成装置は、前記面要素をノードとし、前記折線をリンクとする接続グラフを生成する接続グラフ生成部をさらに備え、前記切断部が、前記接続グラフに閉路が存在する場合に、当該閉路を構成するリンクに対応する折線を、輪郭線の対に変換する。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、展開図データの作成方法は、展開図作成装置が、三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得するステップと、前記展開図作成装置が、前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割するステップと、前記展開図作成装置が、2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合するステップとを有する。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、プログラムは、コンピュータを、三次元構造物の面を構成する複数の面要素が連なった面要素群の輪郭を示す輪郭線と、隣接する前記面要素の間を区切る折線とを含む展開図、および接合すべき輪郭線の対を示す情報を取得する展開図取得部、前記面要素の頂点であって輪郭線に接続されない点である内包点に接続する2つの折線を、輪郭線の対に変換することで前記展開図を分割する切断部、2つの前記展開図に含まれる前記輪郭線の対を1つの折線に変換することで前記展開図を接合する接合部として機能させる。

【発明の効果】
【0015】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、展開図作成装置は、複数の折線を同時に折り曲げることなしに三次元構造物を再現できる展開図データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態に係る展開図作成装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】展開図データの第1の例を示す図である。
【図3】接続グラフの第1の例を示す図である。
【図4】一実施形態に係る展開図データの作成方法を示すフローチャートである。
【図5】展開図の第2の例を示す図である。
【図6】接続グラフの第2の例を示す図である。
【図7】接続グラフの第3の例を示す図である。
【図8】展開図の第3の例を示す図である。
【図9】一実施形態に係る展開図作成装置によって出力される展開図の例を示す図である。
【図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、一実施形態に係る展開図作成装置の構成を示す概略ブロック図である。
展開図作成装置1は、展開図取得部101、展開図記憶部102、グラフ生成部103、グラフ記憶部104、グラフ処理部105、切断部106、接合部107、出力部108を備える。

【0018】
展開図取得部101は、三次元構造物を再現するための展開図データを取得する。展開図取得部101は、例えば、特許文献1に記載の技術に基づいて生成した展開図データを取得する。なお、展開図データの取得方法は特に限定されない。
図2は、展開図データの第1の例を示す図である。
展開図データ2は、展開図21と接合対応情報22とを有する。展開図21は、三次元構造物が有する全ての面要素211を二次元平面上に表した図面である。面要素とは、三次元構造物の表面をメッシュ分割した際のメッシュ1つ分のことを指す。メッシュの形状としては3角形、4角形、5角形、6角形等が挙げられるが特に限定されない。展開図21は、面要素211、折線212、輪郭線213、およびのりしろ面214を有する。折線212は、展開図21において隣接する面要素211の間を区切る線である。折線212は、当該線に沿って折り曲げられることにより、三次元構造物の稜線を形成する。なお、折線212は、三角ポリゴンモデルにおいて、n角形(nは4以上の整数)の平面を三角形の領域に区切るための線であっても良い。このような折線212は折り曲げられないため、三次元構造物の稜線を形成しない。また、折線212は山折りをするための折線、谷折りをするための折線のいずれでもよく、再現する三次元構造物の形状に合わせて適宜選択できる。輪郭線213は、面要素211が連なった面要素群の輪郭を示す線である。輪郭線213は、対応する他の輪郭線213と接合することにより、三次元構造物の稜線を形成する。つまり、面要素211は、折線212または輪郭線213によって囲まれた領域である。のりしろ面214は、輪郭線213を介して面要素211に隣接して設けられる面である。のりしろ面214は、対応する輪郭線213どうしを接合する接着剤を塗布するために設けられる。
図2に示す展開図21には、4つの面要素211(a1)~(a4)、3つの折線212(a1)~(a3)、6つの輪郭線213(a1)~(a6)、および3つののりしろ面214(a1)~(a3)が含まれる。面要素211、折線212、輪郭線213およびのりしろ面214に付された丸括弧内の符号は、各要素を特定するための識別子である。面要素211(a1)は、折線212(a1)、輪郭線213(a1)および輪郭線213(a2)に囲まれる面である。面要素211(a2)は、折線212(a1)、折線212(a2)および折線212(a3)に囲まれる面である。面要素211(a3)は、折線212(a2)、輪郭線213(a3)および輪郭線213(a4)に囲まれる面である。面要素211(a4)は、折線212(a3)、輪郭線213(a5)および輪郭線213(a6)に囲まれる面である。のりしろ面214(a1)は、輪郭線213(a1)を介して面要素211(a1)に隣接して設けられる。のりしろ面214(a2)は、輪郭線213(a4)を介して面要素211(a3)に隣接して設けられる。のりしろ面214(a3)は、輪郭線213(a5)を介して面要素211(a4)に隣接して設けられる。
接合対応情報22は、三次元構造物を再現するために接合する必要がある輪郭線213の対を関連付けた情報である。当該輪郭線213の対は、1つの稜線を形成する。
図2に示す接合対応情報22は、輪郭線213(a1)と輪郭線213(a3)の対、輪郭線213(a2)と輪郭線213(a5)の対、および輪郭線213(a4)と輪郭線213(a6)の対を関連付けた情報である。
展開図記憶部102は、展開図取得部101が取得した展開図データ2を記憶する。

【0019】
グラフ生成部103は、展開図取得部101が取得した展開図データ2に基づいて接続グラフを生成する。
図3は、接続グラフの第1の例を示す図である。図3に示す接続グラフ30は、図2に示す展開図データ2に対応するものである。
接続グラフ30は、面要素211に対応するノード301と、折線212に対応するリンク302とを有する無向グラフである。
図3に示す接続グラフ30には、4つのノード301(a1)~(a4)および3つのリンク302(a1)~(a3)が含まれる。ノード301およびリンク302に付された丸括弧内の符号は、各要素を特定するための識別子である。ノード301(a1)は、面要素211(a1)に対応するノードである。ノード301(a2)は、面要素211(a2)に対応するノードである。ノード301(a3)は、面要素211(a3)に対応するノードである。ノード301(a4)は、面要素211(a4)に対応するノードである。リンク302(a1)は、折線212(a1)に対応するリンクであり、ノード301(a1)とノード301(a2)を接続する。リンク302(a2)は、折線212(a2)に対応するリンクであり、ノード301(a2)とノード301(a3)を接続する。リンク302(a3)は、折線212(a3)に対応するリンクであり、ノード301(a2)とノード301(a4)を接続する。

【0020】
グラフ記憶部104は、グラフ生成部103が生成した接続グラフ30を記憶する。
グラフ処理部105は、グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30を木構造に変換する処理を行う。
切断部106は、展開図記憶部102が記憶する展開図21に含まれる内包点に接続する折線212を、輪郭線213の対に変換する。これにより、1つの展開図21を複数の展開図21に分割することができる。内包点とは、面要素211の頂点であって輪郭線213に接続されない点である。
接合部107は、展開図記憶部102が記憶する接合対応情報22が示す輪郭線213の対を、折線212に変換する。これにより、複数の展開図21を1つの展開図21に接合することができる。
出力部108は、展開図記憶部102が記憶する展開図データ2を出力する。例えば、出力部108が展開図データ2を印刷機に出力することで、所定のシートに展開図データ2を印刷することができる。また例えば、出力部108が展開図データ2をレーザカッターなどの切断装置に出力することで、展開図データ2に基づいてシートを切断することができる。シートの例としては、紙、金属箔、プラスチックシートなどの折り曲げ可能なシートが挙げられる。

【0021】
次に、本実施形態に係る展開図作成装置1の動作を説明する。
図4は、一実施形態に係る展開図データの作成方法を示すフローチャートである。
展開図作成装置1の展開図取得部101は、利用者または外部装置からの入力により、展開図データ2を取得する(ステップS1)。展開図取得部101は、取得した展開図データ2を展開図記憶部102に記録する(ステップS2)。
次に、グラフ生成部103は、展開図取得部101が取得した展開図データ2に基づいて、面要素211をノード301とし、折線212をリンク302とする接続グラフ30を生成する(ステップS3)。グラフ生成部103は、生成した接続グラフ30をグラフ記憶部104に記録する(ステップS4)。

【0022】
次に、グラフ処理部105は、グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30に閉路が存在するか否かを判定する(ステップS5)。閉路とは、リンク302を介してノード301たどった場合に、始点のノード301と終点のノード301が一致する経路である。なお、接続グラフ30のリンク302は折線212に対応するため、接続グラフ30に閉路が存在するということは、展開図21に内包点が存在することと等しい。

【0023】
図5は、展開図の第2の例を示す図である。
図5に示す展開図21には、6つの面要素211(b1)~(b6)と、6つの折線212(b1)~(b6)とが含まれる。面要素211(b1)と面要素211(b2)の間には、折線212(b1)が設けられる。面要素211(b2)と面要素211(b3)の間には、折線212(b2)が設けられる。面要素211(b3)と面要素211(b4)の間には、折線212(b3)が設けられる。面要素211(b4)と面要素211(b5)の間には、折線212(b4)が設けられる。面要素211(b5)と面要素211(b6)の間には、折線212(b5)が設けられる。面要素211(b6)と面要素211(b1)の間には、折線212(b6)が設けられる。
このような展開図21において、折線212(b1)~(b6)は、共通する端点Pを有する。図5に示すように、端点Pは、輪郭線213に接しない内包点である。

【0024】
図6は、接続グラフの第2の例を示す図である。
図5に示す展開図21の変換により、図6に示す接続グラフ30が生成される。図6に示す接続グラフ30には、6つのノード301(b1)~(b6)と、6つのリンク302(b1)~(b6)とが含まれる。リンク302(b1)は、ノード301(b1)とノード301(b2)とを接続する。リンク302(b2)は、ノード301(b2)とノード301(b3)とを接続する。リンク302(b3)は、ノード301(b3)とノード301(b4)とを接続する。リンク302(b4)は、ノード301(b4)とノード301(b5)とを接続する。リンク302(b5)は、ノード301(b5)とノード301(b6)とを接続する。リンク302(b6)は、ノード301(b6)とノード301(b1)とを接続する。つまり、図6に示す接続グラフ30は、リンク302(b1)~(b6)からなる閉路を有する。当該閉路は、図5に示す端点Pに対応する。

【0025】
接続グラフ30に閉路が存在する場合(ステップS5:YES)、グラフ処理部105は、閉路を形成する任意のノード301を1つ選択し、当該ノード301に接続するリンク302のうち当該閉路を形成するものを切断する(ステップS6)。これにより、グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30は2つの接続グラフ30に分割される。なお、本実施形態に係る接合部107は、任意のノード301を選択するが、これに限られない。例えば他の実施形態では、所定の優先順位に従ってノード301を選択しても良い。優先順位の例としては、当該ノード301から閉路の外側へ伸びる経路の長さ(木構造における木の高さ)が短いほど高い優先順位や、当該ノード301に対応する面要素211の面積が小さいほど高い優先順位などが挙げられる。当該優先順位が高いほど、後述の展開図21の接合処理において、重複部分が生じる確率が低い。重複部分とは、展開図21を平面上に置いて、当該平面に垂直な方向から展開図21を観察した場合に、2つ以上の面要素211の一部、2つ以上のりしろ面214の一部、または面要素211とのりしろ面214の一部が重なる部分である。
なお、共通のリンク302を有する閉路群が存在する場合、グラフ処理部105は、当該閉路群の輪郭の頂点に相当するノード301を1つ選択し、当該ノード301に接続するリンク302のうち当該閉路群の輪郭を形成するものを切断する。閉路群の輪郭の頂点に相当しないノード301は、全ての頂点を内包点とする面要素211に相当する。このような面要素211は、輪郭線213を有しないため、当該面要素211を分割した場合、後述する展開図21の接合処理において展開図21を接合することができない。

【0026】
図7は、接続グラフの第3の例を示す図である。
ここで、共通のリンク302を有する閉路群の例を挙げる。図7に示す接続グラフ30には、10個のノード301(c1)~(c10)と、12個のリンク302(c1)~(c12)とが含まれる。図7に示す接続グラフ30は、リンク302(c1)、リンク302(c2)、リンク302(c3)、リンク302(c10)およびリンク302(c11)からなる閉路と、リンク302(c4)、リンク302(c5)、リンク302(c6)、リンク302(c11)およびリンク302(c12)からなる閉路と、リンク302(c7)、リンク302(c8)、リンク302(c9)、リンク302(c10)およびリンク302(c12)からなる閉路とを有する。これらの閉路は、共通のリンク302を有する閉路群を構成する。

【0027】
図8は、展開図の第3の例を示す図である。
図7に示す接続グラフ30は、図8に示す展開図21に相当するものである。図8に示す展開図21には、10個の面要素211(c1)~(c10)と、13個の折線212(c1)~(c13)と、8個の輪郭線213(c1)~(c8)とが含まれる。ここで、当該閉路群の輪郭を形成しないリンク302(c10)~(c12)に相当する折線212(c10)~(c12)は、いずれもが2つの内包点を接続する折線212である。ここで、図8に示すように、閉路群の輪郭の頂点に相当しないノード301(c10)に相当する面要素211(c10)は、全ての頂点P1~P3が内包点となっている。当該面要素211を切断することで展開図21を分割しても、輪郭線213に接続することができない。

【0028】
次に、切断部106は、グラフ処理部105が切断したリンク302に対応する折線212を輪郭線213の対に変換する(ステップS7)。つまり、切断部106は、展開図記憶部102が記憶する展開図21を2つの展開図21に分割し、展開図記憶部102が記憶する接合対応情報22に、折線212から変換した輪郭線213の対を追加する。なお、グラフ処理部105が切断したリンク302に対応する折線212は、内包点と輪郭線213に接続される端点とを接続する折線212となる。

【0029】
次に、接合部107は、展開図記憶部102が記憶する接合対応情報22を参照し、分割された2つの展開図21それぞれに分かれて存在する輪郭線213の対であって、ステップS7で変換されたものでないものを特定する(ステップS8)。次に、接合部107は、特定した輪郭線213の対を折線212に変換した場合に、面要素211に重複部分が生じるか否かを判定する(ステップS9)。つまり接合部107は、特定した輪郭線213の対の折線212への変換を検討する。面要素211に重複部分が生じない場合(ステップS9:NO)、接合部107は、特定した輪郭線213の対を折線212に変換し、展開図記憶部102が記憶する展開図データ2を更新する(ステップS10)。つまり、接合部107は、切断部106により分割された2つの展開図21を1つの展開図21に接合し、展開図記憶部102が記憶する接合対応情報22から、折線212に変換した輪郭線213の対を削除する。このとき接合部107は、折線212に変換した輪郭線213に隣接するのりしろ面214を削除し、切断部106が変換した輪郭線213の対の一方に隣接するのりしろ面214を追加する。
次に、グラフ処理部105は、接合部107が変換した折線212によって区画される2つの面要素211に対応する2つのノード301を、新たなリンク302で接続し、グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30を更新する(ステップS11)。つまりグラフ処理部105は、接続グラフ30に、接合部107が変換した折線212に対応するリンク302を追加する。そして展開図作成装置1は、ステップS5に戻り、更新された接続グラフ30について、閉路の有無の判定を行う。

【0030】
他方、特定した輪郭線213の対を折線212に変換することで面要素211に重複部分が生じる場合(ステップS9:YES)、接合部107は、分割された2つの展開図21それぞれに分かれて存在する輪郭線213の対のうち、折線212への変換が未検討であるものが存在するか否かを判定する(ステップS12)。折線212への変換を検討していない輪郭線213の対がある場合(ステップS12:YES)、ステップS8に戻り、当該輪郭線213の対について折線212への変換を検討する。つまり、接合部107は、面要素211に重複部分が生じないように、展開図21を接合する。他方、全ての輪郭線213の対について折線212への変換を検討した場合(ステップS12:NO)、グラフ処理部105は、ステップS6におけるリンク302の切断を取り消す(ステップS13)。つまり、グラフ処理部105は、ステップS6でリンク302が切断された2つのノード301を、再度リンク302で接続する。

【0031】
次に、グラフ処理部105は、閉路を構成するノード301のうち、リンク302の切断が未検討の他のノード301が存在するか否かを判定する(ステップS14)。リンク302の切断を検討していない他のノード301が存在する場合(ステップ14:YES)、グラフ処理部105は、ステップS6に戻り当該ノード301に接続されるリンク302の切断を検討する。
他方、閉路を構成する全てのノード301について、リンク302の切断を検討した場合(ステップS14:NO)、グラフ処理部105は、当該閉路が、共通のリンク302を有する閉路群であるか否かを判定する(ステップS15)。当該閉路が共通のリンク302を有する閉路群でない場合(ステップS15:NO)、グラフ処理部105は、当該閉路を構成する任意のノード301に接続するリンク302のうち当該閉路を構成するものを切断する(ステップS16)。これにより、グラフ処理部105は、1つの接続グラフ30を2つの接続グラフ30に分割する。

【0032】
他方、当該閉路が共通のリンク302を有する閉路群である場合(ステップS15:YES)、グラフ処理部105は、当該閉路群を構成する各閉路をノードとし、閉路に共通のリンク302をリンクとする閉路グラフを作成する(ステップS17)。つまり、閉路グラフのノードは、展開図21の内包点に対応し、閉路グラフのリンクは、内包点どうしを接続する折線212に対応する。次に、グラフ処理部105は、閉路グラフの最大数のノードを辿ることができる最小の経路(リンクの組み合わせ)を探索する(ステップS18)。閉路グラフの最大数のノードを辿ることができる最小の経路が複数ある場合、グラフ処理部105は、任意の経路を選択する。なお、他の実施形態では、グラフ処理部105は、閉路グラフの各リンクに、当該リンクに対応する折線212の長さに相当する重みを与え、重みの和が最小となる経路を探索しても良い。

【0033】
次に、グラフ処理部105は、接続グラフ30のリンク302のうち、探索された経路に対応するリンク302と、当該経路の始点に接続するリンク302と、当該経路の始点に接続するリンク302とを切断し(ステップS19)、グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30を更新する。これにより、グラフ処理部105は、できる限り多くの閉路を解消するように接続グラフ30を分割することができる。
例えば、図7に示す接続グラフ30および図8に示す展開図21に基づいて生成される閉路グラフは、内包点P1~P3をノードとし、P1とP3を接続するリンク302(c10)、P1とP2を接続するリンク302(c11)、およびP2とP3を接続するリンク302(c12)をリンクとするグラフである。当該閉路グラフの最大数のノードを辿ることができる経路としては、リンク302(c11)に相当するリンクとリンク302(c12)に相当するリンクとを辿る経路が挙げられる。この場合、グラフ処理部105は、ステップS19において、経路に対応するリンク302(c11)およびリンク302(c12)と、経路の始点に接続するリンク302(c3)と、経路の終点に接続するリンク302(c7)とを切断する。これにより、グラフ処理部105は、図7に示す接続グラフ30から閉路をなくすことができる。

【0034】
ステップS16またはステップS19で接続グラフ30が分割されると、切断部106は、グラフ処理部105が切断したリンク302に対応する折線212を、輪郭線213の対に変換し(ステップS20)、展開図記憶部102が記憶する展開図データ2を更新する。これにより、切断部106は、1つの展開図21を2つの展開図21に分割することができる。このとき、分割された展開図21における内包点の数は、分割された接続グラフ30の閉路の数と同じ数になる。なお、接続グラフ30が閉路をできる限り少なくするように分割されているため、ステップS20の処理は、内包点の数をできる限り少なくするように展開図21を分割することと等価である。展開図作成装置1は、展開図21および接続グラフ30を分割すると、ステップS5に戻り、各接続グラフ30について、閉路の有無の判定を行う。

【0035】
グラフ記憶部104が記憶する接続グラフ30に閉路が存在しない場合(ステップS5:NO)、すなわち接続グラフ30が木構造になっている場合、出力部108は、展開図記憶部102が記憶する展開図データ2を出力し(ステップS21)、処理を終了する。これにより、展開図作成装置1は、内包点のない展開図21、すなわち全ての折線212の端点が輪郭線213に接する展開図21を出力することができる。

【0036】
ここで、本実施形態によって出力される展開図21によって、複数の折線212を同時に折り曲げることなしに三次元構造物を再現することができる理由を説明する。
図5には、内包点Pを有する展開図21の例が挙げられている。図5に示す展開図21に従って三次元構造物を作成する場合、折線212(b5)を折り曲げる際、内包点Pを中心に、折線212(b1)~(b6)を同時に折り曲げる必要がある。これは、内包点Pを頂点に有する面要素211が、複数のルーチンから変形を受けるためである。例えば、面要素211(b1)を折線212(b1)、に沿って折り曲げると、面要素211(b2)が変形する。当該変形は、折線212(b2)を介して面要素211(b3)へ影響する。同様に、当該変形は、面要素211(b4)、面要素211(b5)、および面要素211(b6)に影響する。他方、面要素211(b1)を折線212(b6)、に沿って折り曲げると、面要素211(b6)が変形する。このように、面要素211(b6)は、2つのルーチンから変形を受ける。また、図5に示す展開図21は、1つの折線212を折り曲げる際に、シートの一端から他端までを折り曲げると、折線212のない部分までも折り曲げられてしまう可能性がある。例えば、折線212(b4)に沿ってシートの一端から他端までを折り曲げると、折線212のない面要素211(b1)までもが折り曲げられてしまう。

【0037】
図9は、一実施形態に係る展開図作成装置によって出力される展開図の例を示す図である。
図9に示す展開図21には、内包点が存在しない。つまり、全ての折線212の両端が輪郭線213に接続される。したがって、全ての面要素211が1つのルーチンからのみ変形を受けるため、図9に示す展開図21に従って三次元構造物を作成する場合、全ての折線212を、シートの一端から他端まで折り曲げることができる。

【0038】
したがって、本実施形態に係る作成方法によって作成された展開図21を用いることで、2つのアームを有する工作機械の単純な制御によって三次元構造物を作成することができる。具体的には、以下の手順で三次元構造物を作成することが出来る。
まず、工作機械の第1のアームは、展開図21の輪郭線213に沿って切り取られたシートを折線212に沿って押さえる。次に、工作機械の第2のアームは、第1のアームによって押さえられたシートを、折線212に沿って折り曲げる。このとき、折線212の両端は輪郭線213に接続されるため、第2のアームは、シートの一端から他端までを折線212に沿ってスライドさせることで、シートを折線212に沿って折り曲げることができる。以降、工作機械は、上記動作を全ての折線212について繰り返し実行する。このように、工作機械は、単純な制御によって、三次元構造物を作成することができる。なお、工作機械の構造は、2つのアームを有するものに限られない。

【0039】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る展開図21は、のりしろ面214を含むが、これに限られない。例えば、他の実施形態において、シートに十分な厚みがあり切断面に接着剤を塗布できる場合、およびテープなどの接着面を有する接着手段を用いる場合、切断面を合わせるようにシートを接合するため、展開図21にはのりしろ面214が含まれなくても良い。この場合、展開図作成装置1は、ステップS7~S20の手順により展開図21を変形させなくても良い。つまり、展開図作成装置1は、内包点に接続する折線212を輪郭線213の対に変換するだけでも、複数の折線212を同時に折り曲げることなしに三次元構造物を再現することができる展開図21を作成することができる。つまり、本実施形態に係るステップS7~S20の手順は、のりしろ面214を設けるための余白を得るためになされるものである。
なお、他の実施形態に係る展開図作成装置1は、接合部107を機能させずに(ステップS10およびステップS11を実行せずに)、複数の展開図21に対応する展開図データを出力しても良い。この場合、展開図21の数は最小にはならないものの、展開図作成装置1は、複数の折線212を同時に折り曲げることなしに三次元構造物を再現することができる展開図21を作成することができる。

【0040】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の展開図作成装置1は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。

【0041】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。

【0042】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 展開図作成装置
101 展開図取得部
102 展開図記憶部
103 グラフ生成部
104 グラフ記憶部
105 グラフ処理部
106 切断部
107 接合部
108 出力部
2 展開図データ
21 展開図
22 接合対応情報
211 面要素
212 折線
213 輪郭線
214 のりしろ面
30 接続グラフ
301 ノード
302 リンク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9