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明細書 :光照射装置、光通信システム、及び光照射方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第6679796号 (P6679796)
登録日 令和2年3月23日(2020.3.23)
発行日 令和2年4月15日(2020.4.15)
発明の名称または考案の名称 光照射装置、光通信システム、及び光照射方法
国際特許分類 H04B  10/114       (2013.01)
FI H04B 10/114
請求項の数または発明の数 8
全頁数 21
出願番号 特願2019-124935 (P2019-124935)
出願日 令和元年7月4日(2019.7.4)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 平成30年12月21日信州大学において開催された社団法人電子情報通信学会の平成30年度電子情報通信学会(IEICE)、信州大学Student Branch論文発表会で発表
審査請求日 令和元年7月24日(2019.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】笹森 文仁
【氏名】半田 志郎
【氏名】岡島 英男
【氏名】南澤 俊孝
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
審査官 【審査官】対馬 英明
参考文献・文献 特開2009-110818(JP,A)
特開2008-136138(JP,A)
特開2017-092859(JP,A)
特開2014-027643(JP,A)
特開2015-177195(JP,A)
特開2015-015693(JP,A)
特開2012-078323(JP,A)
特開2018-033977(JP,A)
米国特許出願公開第2019/0012896(US,A1)
調査した分野 H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
要約 【課題】光を利用した通信を行うことができ、かつ設置された位置における環境の状態を把握することができる光照射装置の提供。
【解決手段】設置された場所に関連する関連情報を利用者に提供するために、光を利用する光通信により、前記関連情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する光照射装置であって、前記対象情報の信号を含む前記光を発光する発光部と、前記設置された場所の環境情報を計測する計測部と、前記計測部が計測した前記環境情報を送信する通信部と、を有する光照射装置である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
設置された場所に関連する関連情報を利用者に提供するために、光を利用する光通信により、前記関連情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する光照射装置であって、
前記対象情報の信号を含む前記光を発光する発光部と、
前記設置された場所の環境情報を計測する計測部と、
前記計測部が計測した前記環境情報を送信する通信部と、
前記環境情報が前記設置された場所における照度の情報を含む場合、前記照度の情報に応じて、電源のON/OFFの切替え、及び、前記発光部から発光する前記光の光度の調節の少なくともいずれかを行う制御部と、
前記発光部、前記計測部、前記通信部及び前記制御部に補助電力を供給可能な補助電力供給手段と、を有し、
前記制御部が、停電と判定した場合に、前記関連情報に対応する対象情報の信号の代わりに、前記設置された場所からの避難に関する情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する制御を行うことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記環境情報が、前記設置された場所における、人の存否、照度、気圧、温度、湿度、二酸化炭素及び総揮発性有機化合物の少なくともいずれかの情報を含む請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、照度センサ、及び人感センサの少なくともいずれかを有する請求項1から2のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項4】
前記発光部がLEDを有し、可視光を利用する可視光通信に用いられる請求項1から3のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光照射装置と、
前記光照射装置から照射された対象情報の信号を含む光を受光する光通信端末と、
前記光照射装置が計測した環境情報を格納し、格納した前記環境情報に基づき、前記光照射装置が設置された場所における環境の状態の動態解析を行う情報処理装置と、を有し、
前記光照射装置と前記光通信端末との通信が、JEITA CP-1223の規格に準じる可視光ビーコンシステムを用いることを特徴とする光通信システム。
【請求項6】
前記情報処理装置が、複数の前記光照射装置から送信され、格納した前記環境情報に基づき、複数の前記光照射装置が設置された場所を含む範囲における環境の状態の動態解析を行う請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記情報処理装置が、前記光通信端末からの要求の回数を計数する請求項5から6のいずれかに記載の光通信システム。
【請求項8】
設置された場所に関連する関連情報を利用者に提供するために、光を利用する光通信により、前記関連情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する光照射方法であって、
前記対象情報の信号を含む前記光を発光する発光工程と、
前記設置された場所の環境情報を計測する計測工程と、
前記計測工程において計測した前記環境情報を送信する通信工程と、
前記環境情報が前記設置された場所における照度の情報を含む場合、前記照度の情報に応じて、電源のON/OFFの切替え、及び、発光部から発光する光の光度の調節の少なくともいずれかを行う制御工程と、
前記発光工程、前記計測工程、前記通信工程、及び前記制御工程に補助電力を供給する補助電力供給工程と、を含み、
前記制御工程において、停電と判定した場合に、前記関連情報に対応する対象情報の信号の代わりに、前記設置された場所からの避難に関する情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する制御を行うことを特徴とする光照射方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置、光通信システム、及び光照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身の回りに存在するLED等による光照射装置などの可視光源から簡単な情報やその可視光源に固有のID情報を放射送信させることにより、物の識別、位置情報の提供、各種案内システムなどに応用できる可視光通信システムが開発されている。
【0003】
具体的には、博物館や美術館などの施設において展示物の説明を行う可視光通信システムへの応用が考えられている。例えば、QRコード(登録商標)や画像認識を用いたシステムなどでは、混雑している場合や車椅子を利用されている方には、展示物の説明を受けるためにカメラでQRコードやその展示物を撮影することが困難な場合がある。この点、可視光通信は、その展示物の近傍に設置されている光照射装置からID情報を含む可視光を受光するだけで、各展示物に応じたコンテンツを取得できるため、その展示物の説明を容易に受けることができるという利点を有する。
【0004】
このような利点を有する可視光通信を行うことができる光照射装置が提案されており例えば、高速大容量の可視光通信を行うことができるバックライト装置を用いた可視光通信送信機が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0005】
このように、通信量などに着目した光照射装置についての提案が見られるが、場所が特定された各展示物の近傍に設置され、博物館や美術館などの施設のいたるところに点在しているという光照射装置の利点を活かしたいという要望がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2012-10269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光を利用した通信を行うことができ、かつ設置された位置における環境の状態を把握することができる光照射装置、光通信システム、及び光照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 設置された場所に関連する関連情報を利用者に提供するために、光を利用する光通信により、前記関連情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する光照射装置であって、前記対象情報の信号を含む前記光を発光する発光部と、前記設置された場所の環境情報を計測する計測部と、前記計測部が計測した前記環境情報を送信する通信部と、を有することを特徴とする光照射装置である。
【0009】
前記<1>に記載の光照射装置においては、例えば、博物館や美術館などの展示物の近傍に光照射装置が設置されている場合には、その展示物に関連する関連情報に対応する対象情報の信号を含む光、即ちその展示物を説明するコンテンツに対応するID情報の信号を含む光を照射する。これにより、光照射装置は、光通信端末に、ID情報に対応するその展示物を説明するコンテンツを情報処理装置から取得させ、光通信端末を携帯している利用者(入館者)に対し、コンテンツを出力させることができる。また、光照射装置は、設置された位置における環境情報を計測する計測部と、環境情報を送信する通信部とを有することにより、光照射装置が設置されている位置、即ちその展示物が展示されている位置における環境の状態を定量的に把握することができるビッグデータを構築することができる。
なお、環境情報はIoT(Internet of the Things)情報ともいえる。
【0010】
<2> 前記環境情報が、前記設置された場所における、人の存否、照度、気圧、温度、湿度、二酸化炭素及び総揮発性有機化合物の少なくともいずれかの情報を含む前記<1>に記載の光照射装置である。
【0011】
前記<2>に記載の光照射装置においては、例えば、環境情報が人の存否の情報を含む場合には、人の存否の情報により各展示物における混雑の程度を定量的に把握することができる。つまり、人の存否の情報を得るために、人感センサを用いることにより、人気の展示物であれば途切れることなく人の存在が検知され、不人気の展示物であれば人の存在を検知する頻度が少なくなることが定量的に把握できることから、入館者の動態解析を行うことができる。さらに、各展示物に対する定量的な混雑の程度を把握できることにより、人気の展示物を見やすくするため、あるいは不人気な展示物を注目されやすくするために展示位置やレイアウトを変更する指標とすることができる。
また、環境情報が気圧、温度、湿度などの情報を含んでいると、気圧、温度、湿度などの情報に基づき、館内の空調装置を動作させることにより入館者に対し快適な環境を提供することができる。
さらに、環境情報が二酸化炭素や総揮発性有機化合物の濃度情報を含んでいると、館内の空気の品質を確認することができる。あるいは、環境情報が二酸化炭素の情報を含んでいると、館内の人の混雑状態や、館内で火災が発生している場所を特定しやすくなる。
なお、環境情報が照度の情報を含む場合には、以下の<3>のようにすることができる。
【0012】
<3> 前記環境情報が前記照度の情報を含む場合、前記照度の情報に応じて、電源のON/OFFの切替え、及び、前記発光部から発光する前記光の光度の調節の少なくともいずれかを行う制御部を更に有する前記<2>のいずれかに記載の光照射装置である。
【0013】
前記<3>に記載の光照射装置においては、環境情報が照度の情報を含む場合には、開館時に館内が明るくなることを検知して、光照射装置を自動的に立ち上げるようにしてもよい。あるいは、光照射装置が設置されている位置が外窓に面している場合、ID情報を含む光にとって外窓から入り込む太陽光はノイズになるため、計測した照度が高ければ発光部から発光する光の強度を高くするようにしてもよい。
【0014】
<4> 前記発光部、前記計測部、前記通信部及び前記制御部に補助電力を供給可能なバッテリーを更に有し、前記制御部が、停電と判定した場合に、前記関連情報に対応する対象情報の信号の代わりに、前記設置された場所からの避難に関する情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する制御を行う前記<3>に記載の光照射装置である。
【0015】
前記<4>に記載の光照射装置においては、館内のコンセントから主電力が供給されている場合には、地震や火災などの災害により停電になったときでも、バッテリーから発光部に補助電力を供給することができ、館内に光を照射することができる。これにより、館内が真っ暗にならず、入館者は館外に安全に避難することができる。このとき、光照射装置においては、コンテンツに対応するID情報の信号の代わりに、設置された場所からの避難に関する情報に対応するID情報の信号を含む光を照射する制御を行う制御部を有し、かつ計測部、通信部及び制御部にも補助電力が供給されることにより、入館者に対し避難経路を案内することができ、より安全に入館者を避難させることができる。さらに、計測部により、人の存否や温度などの環境情報を取得できることから、館内のどの場所に人が存在しているのか、あるいは火災が発生しているのかを把握して、救出活動や消火活動を迅速に行うことができるため、災害による被害を小さくできる。
【0016】
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光照射装置と、前記光照射装置から照射された対象情報の信号を含む光を受光し、前記対象情報に対応する関連情報を取得して出力する光通信端末と、前記光通信端末からの要求により前記対象情報に対応する関連情報を前記光通信端末に前記関連情報を送信するとともに、前記光照射装置が計測した環境情報を格納し、格納した前記環境情報に基づき、前記光照射装置が設置された場所における環境の状態の動態解析を行う情報処理装置と、を有することを特徴とする光通信システムである。
【0017】
前記<5>に記載の光通信システムにおいて、例えば、博物館や美術館などの展示物が展示されている天井に光照射装置が設置されている場合には、その展示物に関連する関連情報に対応するID情報の信号を含む光、即ちその展示物を説明するコンテンツに対応するID情報の信号を含む光を照射する。光通信端末は、ID情報に対応するその展示物を説明するコンテンツを情報処理装置から取得し、光通信端末を携帯している入館者に対し、コンテンツを出力することができる。また、光照射装置は、設置された位置における環境情報を計測する計測部と、環境情報を情報処理装置に送信する通信部とを有することにより、その展示物が展示されている位置における環境の状態を定量的に把握することができるビッグデータを情報処理装置に構築することができる。さらに、情報処理装置は、構築したビッグデータに基づき、光照射装置が設置された場所における環境の状態の動態解析を、人工知能などにより統計的に行うことができる。
【0018】
<6> 前記情報処理装置が、複数の前記光照射装置から送信され、格納した前記環境情報に基づき、複数の前記光照射装置が設置された場所を含む範囲における環境の状態の動態解析を行う前記<5>に記載の光通信システムである。
【0019】
前記<6>に記載の光通信システムにおいて、情報処理装置は、複数の光照射装置から送信された環境情報に基づき、複数の光照射装置が設置された場所を含む範囲である館内の環境について、環境の状態の動態解析を人工知能などにより統計的に行うことができる。
【0020】
<7> 前記情報処理装置が、前記光通信端末からの要求の回数を計数する前記<5>から<6>のいずれかに記載の光通信システムである。
【0021】
前記<7>に記載の光通信システムにおいて、情報処理装置が、光通信端末からの要求の回数、即ち対象情報に対応するコンテンツの送信要求の回数を計数することにより、その光照射装置が設置された位置の展示物を鑑賞しに来た人の人数を計数できる。これにより、この光通信システムでは、人の存否のみを検知できる人感センサでは把握できなかった人数を把握することができる。なお、入館者全員に光通信端末を携帯させることで、より正確な人数を計数することができる。
【0022】
<8> 設置された場所に関連する関連情報を入館者に提供するために、光を利用する光通信により前記関連情報に対応する対象情報の信号を送信する光照射方法であって、前記対象情報の信号を含む前記光を発光する発光工程と、前記設置された場所の環境情報を計測する計測工程と、前記計測工程において計測した前記環境情報を送信する通信工程と、を含むことを特徴とする光照射方法である。
【0023】
前記<8>に記載の光照射方法においては、前記<1>に記載の光照射装置と同様に、例えば、博物館や美術館などの展示物の近傍に光照射装置が設置されている場合には、その展示物に関連する関連情報に対応する対象情報の信号を含む光、即ちその展示物を説明するコンテンツに対応するID情報の信号を含む光を照射する。これにより、光照射装置は、光通信端末に、ID情報に対応するその展示物を説明するコンテンツを情報処理装置から取得させ、光通信端末を携帯している利用者(入館者)に対し、コンテンツを出力させることができる。また、光照射装置は、設置された位置における環境情報を計測する計測部と、環境情報を送信する通信部とを有することにより、光照射装置が設置されている位置、即ちその展示物が展示されている位置における環境の状態を定量的に把握することができるビッグデータを構築することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、光を利用した通信を行うことができ、かつ設置された位置における環境の状態を把握することができる光照射装置、光通信システム、及び光照射方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本実施形態における光通信システムを示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態における光照射装置の概略図である。
【図3A】図3Aは、本実施形態における光照射装置の前部の概略図である。
【図3B】図3Bは、本実施形態における光照射装置の後部の概略図である。
【図4A】図4Aは、本実施形態における光照射装置のハードウェアを示すブロック図である。
【図4B】図4Bは、本実施形態における光照射装置の機能を示すブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態の光通信システムが扱うデータフレームを示す説明図である。
【図6A】図6Aは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の一例を示す説明図である。
【図6B】図6Bは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の他の一例を示す説明図である。
【図6C】図6Cは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の他の一例を示す説明図である。
【図6D】図6Dは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の他の一例を示す説明図である。
【図6E】図6Eは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の他の一例を示す説明図である。
【図7A】図7Aは、本実施形態における光照射装置がID情報の信号を含む光を照射する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7B】図7Bは、本実施形態において、光照射装置が環境情報を取得して情報処理装置に送信する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7C】図7Cは、本実施形態において、光照射装置が環境情報を取得して情報処理装置に送信する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8A】図8Aは、本実施形態における光通信端末の概略図である。
【図8B】図8Bは、本実施形態における光通信端末のハードウェアを示すブロック図である。
【図8C】図8Cは、本実施形態における光通信端末の機能を示すブロック図である。
【図9A】図9Aは、受光部が受光した光が対象情報の信号を含むか否かを判定し、光が対象情報の信号を含むと判定した場合に、光から検出した対象情報を情報処理装置に送信する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9B】図9Bは、受光部が受光した光が対象情報の信号を含むか否かを判定し、光が対象情報の信号を含むと判定した場合に、光から検出した対象情報を情報処理装置に送信する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は、この実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態では、博物館や美術館などの施設において展示物の説明を行う光通信システムについて説明する。

【0027】
(光通信システム)
図1は、本実施形態における光通信システムを示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態における光通信システム10は、光照射装置100a~100nと、光通信端末200と、情報処理装置300とを有する。
情報処理装置300は、環境情報データベース310と、可視光IDデータベース320と、テンプレートデータベース330と、コンテンツデータベース340とを有する。

【0028】
光照射装置100a~100nは、ネットワークN1を介して情報処理装置300の環境情報データベース310とそれぞれ通信可能に接続されている。
光通信端末200は、ネットワークN2を介して情報処理装置300の可視光IDデータベース320、テンプレートデータベース330及びコンテンツデータベース340とそれぞれ通信可能に接続されている。
なお、本実施形態では、ネットワークN1とネットワークN2は別個のものとしたが、これに限ることなく、同一のネットワークとしてもよい。また、各データベースは、単一の情報処理装置、コンピュータなどに搭載されていてもよく、複数の情報処理装置、コンピュータなどに搭載されていてもよい。

【0029】
本実施形態における光通信システム10は、展示物を鑑賞する入館者が持つ光通信端末200に対し、各展示物の設置場所にそれぞれ配置されている光照射装置100a~100nのいずれかから、その展示物に対応付けられた対象情報としてのID情報の信号を含む光が照射されると、光通信端末200が対象情報としてのID情報の信号を検出する。光通信端末200は、可視光IDデータベース320から、ID情報に応じたテンプレートURL及びコンテンツURLを取得すると、テンプレートデータベース330からテンプレートURLに対応するテンプレートを取得し、コンテンツデータベース340からコンテンツURLに対応するコンテンツを取得する。
光通信端末200は、取得したテンプレート及びコンテンツを画像や音声などにより出力する。
このようにして、本実施形態における光通信システム10は、展示物を鑑賞する入館者に対し、その展示物の説明を行うことができる。

【0030】
また、光照射装置100a~100nは、それぞれ設置された場所における、前記環境情報が、前記設置された場所における、人の存否、照度、気圧、温度及び湿度の少なくともいずれかの情報を含む情報を環境情報として計測し、更に計測した時刻と対応付けて情報処理装置300に送信する。
なお、本実施形態では、光照射装置100a~100nを複数としたが、これに限ることなく、単数としてもよい。

【0031】
次に、光照射装置100a~100nについての説明を行う。
なお、光照射装置100a~100nは、いずれも機能及びハードウェアが同様であるため、光照射装置100a~100nのいずれか1つ(以下、光照射装置100と称する)について説明する。

【0032】
(光照射装置及び光照射方法)
本発明の光照射装置は、発光部と、計測部と、通信部とを有し、更に必要に応じてその他の部を有するようにしてもよい。
本発明の光照射方法は、発光工程と、計測工程と、通信工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含むようにしてもよい。
本発明の光照射方法は、本発明の光照射装置により好適に行うことができ、発光工程は発光部により好適に行うことができ、計測工程は計測部により好適に行うことができ、通信工程は通信部により好適に行うことができることから、本発明の光照射装置における実施形態の説明を通して本発明の光照射方法の詳細についても明らかにする。

【0033】
図2は、本実施形態における光照射装置の概略図である。
図2に示すように、光照射装置100は、各展示物の近傍にそれぞれ配置され、ID情報の信号を含む光を照射可能な装置である。即ち、光照射装置100は、設置された場所に関連する関連情報を入館者に提供するために、光を利用する光通信により、関連情報に対応するID情報の信号を含む光を照射する。
この光照射装置100は、図2に示すように円筒形であり、円形の底面の一方(前部)には、人感センサ131aと、その周りに6個のLED122とが配置されている。また、光照射装置100の側面に設けられた開口部には、照度センサ131bが配置されている。
なお、本実施形態では、光照射装置100がLED122を有するようにしたが、これに限ることはなく、ID情報の信号を含む光を照射できるものであればよい。

【0034】
図3Aは、本実施形態における光照射装置の前部の概略図である。
図3Aに示すように、光照射装置100の前部には、中心に配置されている人感センサ131aを挟んでそれぞれ対向する、一対のLED122aと、一対のLED122bと、一対のLED122cと、が配置されている。

【0035】
各LED122(122a~122c)は、その展示物に対応付けられた対象情報としてのID情報の信号を含む光を照射するための光源である。光照射装置100は、1つの光照射装置100から複数のID情報の信号を含む光を照射できるように、一対のLED毎を制御することができる。
人感センサ131aは、赤外線や超音波などにより人の存否を検知するためのセンサである。

【0036】
図3Bは、本実施形態における光照射装置の後部の概略図である。
図3Bに示すように、光照射装置100の後部には、気圧・温度・湿度センサボード136と、デバッグポート137と、電源ジャック138とが設けられている。

【0037】
気圧・温度・湿度センサボード136は、気圧センサ、温度センサ及び湿度センサを備え、各センサの出力が後述する通信手段140に接続されている。
デバッグポート137は、光照射装置100を動作させるプログラムの書込みや設定などのために用いられる。
電源ジャック138は、光照射装置100の後部の中心に配置され、光照射装置100に電源を供給するための端子である。

【0038】
図4Aは、本実施形態における光照射装置のハードウェアを示すブロック図である。
図4Aに示すように、光照射装置100は、制御手段110と、発光手段120と、計測手段130と、通信手段140と、電力供給手段150とを有する。

【0039】
<制御手段>
制御手段110は、発光手段120、通信手段140及び電力供給手段150にそれぞれ通信可能に接続されており、各手段を制御する。
また、制御手段110は、CPU(Central Processing Unit)であり、光照射装置100全体の動作を制御する。

【0040】
<発光手段>
発光手段120は、LEDドライバ121a~121cと、LED122a~122cとを有する。
LEDドライバ121a~121cは、LED122a~122cを定電流駆動させて発光させるための回路である。
なお、本実施形態では、光照射装置100はLEDを発光させるようにしたが、これに限ることはなく、光を照射できるものであればよい。

【0041】
<計測手段>
計測手段130は、人感センサ131aと、照度センサ131bと、気圧センサ131cと、温度センサ131dと、湿度センサ131eとを有する。各センサが計測した環境情報としての、人の存否、照度、気圧、温度及び湿度の情報は、制御手段110により収集され、計測した時刻に対応付けられて通信手段140から情報処理装置300に送信される。
なお、本実施形態では、環境情報を人の存否、照度、気圧、温度及び湿度の情報としたが、これに限ることなく、例えば、人の存否、照度、気圧、温度及び湿度の少なくともいずれかの情報であればよく、また他の情報が含まれていてもよい。他の情報としては、例えば、二酸化炭素、総揮発性有機化合物(TVOC;Total Volatile Organic Compounds)などの情報が挙げられる。二酸化炭素、総揮発性有機化合物などは、例えば、二酸化炭素センサ、ガスセンサなどを用いて計測することができる。二酸化炭素相当物(eCO)及び金属酸化物(MOX)レベルを含む総揮発性有機化合物を感知するガスセンサの市販品としては、例えば、空気品質センサモジュール(スイッチサイエンス社)などが挙げられる。

【0042】
<通信手段>
通信手段140は、各センサが計測したデータを無線通信により情報処理装置300に送信する。
無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-Fi(登録商標;Wireless Fidelity)などが挙げられる。

【0043】
<電力供給手段>
電力供給手段150は、差込プラグ151aと、AC(Alternating Current)アダプタ151bと、バッテリー151cと、電力制御回路151dとを有する。

【0044】
差込プラグ151aは、電気コンセントに差し込まれることにより、電気コンセントから交流電力をACアダプタ151bに導入する。

【0045】
ACアダプタ151bは、差込プラグ151aを通じて供給された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を電力制御回路151dに供給する。

【0046】
バッテリー151cは、ニッケル水素電池であり、ACアダプタ151bからの直流電力を電力制御回路151dから供給され、充電される。また、バッテリー151cは、光照射装置100の動作時において、停電などによりACアダプタ151bからの直流電力の供給が停止した場合には、制御部115の指示により、直流電力を電力制御部152dに供給する。
なお、本実施形態では、バッテリー151cをニッケル水素電池としたが、これに限ることはなく、例えば、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池等の一次電池、リチウムイオン二次電池やニッケルカドミウム蓄電池等の二次電池などとしてもよい。

【0047】
電力制御回路151dは、ACアダプタ151bあるいはバッテリー151cから供給された直流電力を、制御手段110、発光手段120、計測手段130及び通信手段140に供給する。

【0048】
図4Bは、本実施形態における光照射装置の機能を示すブロック図である。
図4Bに示すように、光照射装置100は、制御部115と、発光部125と、計測部135と、通信部145と、電力供給部155とを有する。
以下、図4Bの機能を示すブロック図について、図4Aのハードウェアを示すブロック図を参照しながら各部について説明する。

【0049】
<制御部>
制御部115は、発光部125、計測部135及び通信部145とそれぞれ通信可能に接続されており、各部を制御する。
また、制御部115は、各種プログラムを実行し、光照射装置100全体の動作を制御する。

【0050】
<発光部>
発光部125は、制御部115からの指示に基づき、LEDドライバ121a~121c及びLED122a~122cを用いて、ID情報の信号を含む光を発光する。

【0051】
<計測部>
計測部135は、人感センサ131a、照度センサ131b、気圧センサ131c、温度センサ131d及び湿度センサ131eを用いて、光照射装置100が設置された場所の環境情報を計測する。これにより、博物館や美術館などの施設のいたるところに点在している光照射装置100a~100nは、全館の環境情報を計測することができる。

【0052】
計測部135が計測した人の存否の情報により、各展示物における混雑の程度を定量的に把握することができる。つまり、人の存否の情報を得るために、人感センサを用いることにより、人気の展示物であれば途切れることなく人の存在が検知され、不人気の展示物であれば人の存在を検知する頻度が少なくなることが定量的に把握できることから、入館者の動態解析を行うことができる。さらに、各展示物に対する定量的な混雑の程度を把握できることにより、人気の展示物を見やすくするため、あるいは不人気な展示物を注目されやすくするために展示位置やレイアウトを変更する指標とすることができる。

【0053】
また、計測部135が計測した気圧、温度、湿度などの情報に基づき、館内の空調装置を動作させることにより入館者に対し快適な環境を提供することができる。

【0054】
さらに、計測部135が計測した照度の情報に応じて、制御部115は、光照射装置100における電源のON/OFFの切替え、及び、発光部125から発光する光の光度の調節の少なくともいずれかを行うようにしてもよい。
具体的には、開館時に館内が明るくなることを検知して、光照射装置100を自動的に立ち上げるようにしてもよい。あるいは、光照射装置100が設置されている位置が外窓に面している場合、ID情報を含む光にとって外窓から入り込む太陽光はノイズになるため、計測した照度が高ければ発光部125から発光する光の強度を高くするようにしてもよい。なお、光の光度の調節は、図6A~図6Cのように印加電流値を変化させることで実現できる。

【0055】
<通信部>
通信部145は、制御部115からの指示に基づき、計測部135が計測した環境情報を無線通信で情報処理装置300に送信する。
このように、博物館や美術館などの施設のいたるところに点在している光照射装置100a~100nの各通信部145が環境情報を情報処理装置300に送信することにより、各展示物が展示されているそれぞれ位置における環境の状態を定量的に把握することができるビッグデータを構築することができる。また、ほぼリアルタイムで各通信部145が環境情報を情報処理装置300に送信することにより、そのときの全館における環境の状態を定量的に把握し、各展示物で混雑している場所をディスプレイなどで表示することができるため、スムーズに鑑賞できる経路に入館者を誘導することができる。さらに、既に館内に設置されている防犯カメラなどの画像と得られたビッグデータを撮影時間及び計測時間で対応付けてもよく、これにより混雑の程度や照度・温度などが変化した原因を確認することが容易になる。
なお、本実施形態では、各センサが計測したデータを無線通信で送信するようにしたが、これに限ることはなく、各センサが計測したデータを有線通信で送信するようにしてもよい。

【0056】
<電力供給部>
電力供給部155は、交流電力導入部152aと、交流直流変換部152bと、補助電力供給部152cと、電力制御部152dとを有する。
交流電力導入部152aは、差込プラグ151aにより、電気コンセントから供給される交流電力を交流直流変換部152bに導入する。

【0057】
交流直流変換部152bは、ACアダプタ151bにより、交流電力導入部152aを通じて導入された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を電力制御部152dに供給する。

【0058】
補助電力供給部152cは、交流直流変換部152bからの直流電力を電力制御部152dから供給され、充電される。また、補助電力供給部152cは、光照射装置100の動作時において、停電などにより交流直流変換部152bからの直流電力の供給が停止した場合には、電力制御部152dの指示により、直流電力を電力制御部152dに供給する。これにより、光照射装置100への電力供給を中断させないようにすることができる。

【0059】
電力制御部152dは、制御部115の指示により、光照射装置100の動作時において、交流直流変換部152bからの直流電力の供給が停止したか否かを判定することができる。電力制御部152dは、交流直流変換部152bからの直流電力の供給が停止したと判定した場合には、バッテリー151cからの直流電力を、制御部115、発光部125、計測部135及び通信部145に供給する。これにより、光照射装置100は、停電時であっても照明として用いることができる。

【0060】
本実施形態の光通信システム10では、光照射装置100a~100nのいずれかと光通信端末200との通信に、JEITA CP-1223の規格に準ずる可視光ビーコンシステムを用いる。このため、光照射装置100a~100nは、図5に示すように、6ビットのプリアンブルと1バイトのフレームタイプからなるスタート部と、16バイトのID情報のデータからなる情報部(ペイロード)と、2バイトのチェック用のCRC(周期冗長コード)からなる終端部とを配するフレーム構造のデータを光通信端末200に送信する。

【0061】
本実施形態の符号化方式としては、4PPM(Pulse Position Modulation)符号方式を用いる。4PPM符号方式は、シンボル時間として定義される一定の時間を4つのスロットに等分し、1シンボル時間に1つのスロット幅のパルスを許容し、そのパルスの存在スロット時間位置に割り当てた情報を送信する。1バイトは4シンボルからなり、その1シンボルは4スロットからなる。この4スロットのうち1スロットだけが必ず光る(ON)ようなシンボルとしているため、4スロットが全て光ることがないように、あるいは全て光らないことがないようにして、人の目に光のちらつきを感じさせないようにしている。
なお、本実施形態の光通信システム10では、JEITA CP-1223の規格に準ずる可視光ビーコンシステムを用いるとしたが、これに限ることはなく、他の規格でもよく、可視光ではなく赤外線などを用いたものでもよい。また、本実施形態では、対象情報としてID情報としたが、これに限ることはない。

【0062】
図6A~図6Eは、本実施形態における光通信システムが扱うデータ信号の一例を示す説明図である。
図6Aでは、LED122に印加する印加電流信号のHighレベル電流値を10mAとし、Lowレベル電流値を0mAとし、振幅レベルを10mAとしている。図6Bでは、例えば、光照射装置100が設置された位置が図6Aよりも暗い場合、光照射装置100を照明としても有効に用いるために、図6Aで示した印加電流信号に+10mAのバイアスを加えている。図6Cでは、例えば、光照射装置100が設置された位置が図6Aよりも、ノイズとしての太陽光が差し込んで明るい場合や照射光自体にノイズが多い場合には、これらのノイズの影響を受けにくくするために、図6Aで示した印加電流信号の振幅レベルを20mAとして大きくしている。
なお、光照射装置100を単なる照明として使用する場合には、図6Cに示すように、印加電流値を20mA一定として信号成分を重畳させないようにすることができる。また、光照射装置100を単なる照明としても使用しない場合には、図6Eに示すように、印加電流値を0mA一定として消費電力を抑制することができる。

【0063】
次に、光照射装置100がID情報の信号を含む光を照射する処理の流れを、図7Aに示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。

【0064】
図7Aに示すように、まず、制御部115は、フレームを更新するか否かを判定し(S101)、フレームを更新すると判定するとCRC計算を行い(S102)、F=0としてFを初期化する(S103)。制御部115は、フレームを更新しないと判定すると、CRCの演算を行わずにF=0としてFを初期化する(S103)。

【0065】
続いて、制御部115は、プリアンブルデータを出力すると(S104)、フレームを更新するか否かを判定する(S105)。制御部115は、フレームを更新すると判定すると、フレームを更新して(S106)、フレームデータを出力する(S107)。制御部115は、フレームを更新しないと判定すると、処理をS101に戻す。
このように、制御部115は、ID情報の信号を含む光を照射する処理を行う。

【0066】
次に、光照射装置100が環境情報を取得して情報処理装置300に送信する処理の流れを、図7B及び図7Cに示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。

【0067】
まず、図7Bに示すように、制御部115は、T=0としてTを初期化し(S201)、タイマを確認し、次式、T>Tintを満たすか否かを判定する(S202)。制御部115は、次式、T>Tintを満たしていると判定すると、人感センサ131a、照度センサ131b、気圧センサ131c、温度センサ131d及び湿度センサ131eで環境情報の計測を行い(S203~S207)、処理を図7CのS208に移行する。なお、制御部115は、次式、T>Tintを満たしていないと判定すると、T>Tintを満たすまで待機する。

【0068】
次に、S203~S207で各センサにより環境情報の計測をさせた制御部115は、図7Cに示すように、R=0としてRを初期化し(S208)、情報処理装置300に環境情報を送信する(S209)。

【0069】
続いて、制御部115は、情報処理装置300が応答しているか否かを判定し(S210)、情報処理装置300が応答していると判定すると、T=0としてTを初期化し(S212)、処理をS202に戻す。また、制御部115は、情報処理装置300が応答していないと判定すると、次式、R=R+1の演算を行い、R=3になったか否かを判定し(S211)、情報処理装置300が応答するまで情報処理装置300に環境情報を送信する処理を3回繰り返す。制御部115は、環境情報を送信する処理を3回繰り返しても情報処理装置300が応答しないと判定すると、T=0としてTを初期化し(S212)、処理をS202に戻す。

【0070】
<光通信端末>
光通信端末200は、図1に示すように、片手で持ち運びが可能な小型の装置であり、受光素子210を有する。光通信端末200は、ID情報の信号を含む光を照射する光照射装置100a~100nのいずれかから光を受光素子210により受光し、受光した光がID情報を含むか否かを判定する制御を行い、ID情報を検出する。検出するID情報は各展示物と対応しており、光通信端末200は、ネットワークN2を介して、検出したID情報を情報処理装置300に送信する。
光通信端末200は、情報処理装置300からID情報に対応するコンテンツを受信し、入館者に対しコンテンツの音声を出力する。
つまり、光通信端末200は、光照射装置100から照射されたID情報の信号を含む光を受光し、ID情報に対応するコンテンツを取得し、入館者に対し出力する。
なお、本実施形態では、説明を簡単にするため光通信端末200を単数としているが、これに限ることなく、複数としてもよい。

【0071】
図8Aは、本実施形態における光通信端末の概略図である。
図8Aに示すように、光通信端末200は、受光素子210と、スピーカ230と、発光素子240と、設定ボタン250と、電源スイッチ260と、イヤホンジャック270と、液晶ディスプレイ280と、USB端子290とを有する。

【0072】
受光素子210は、本実施形態ではフォトダイオードであり、光通信端末200の正面最上部及び上面に配置され、可視光を受光する。受光素子210は、後述する受光部211を動作させるために用いられる。

【0073】
スピーカ230は、光通信端末200の正面下部に配置され、コンテンツを音声で出力することができる。

【0074】
発光素子240は、光通信端末200の上面に配置され、本実施形態ではLED(Light Emitting Diode)であり、光により通信可能なデバイスに情報を送信することができる。発光素子240は、後述する投光部242を動作させるために用いられる。

【0075】
設定ボタン250は、光通信端末200の正面中央に配置され、コンテンツの音声の言語を選択することができるため、多言語対応とすることができる。また、設定ボタン250は、光通信端末200を動作させるためのプログラムを設定する際に用いられる。

【0076】
電源スイッチ260は、光通信端末200の右側面に配置され、スライドさせることにより、光通信端末200の電源をON/OFFすることができる。

【0077】
イヤホンジャック270は、光通信端末200の左側面に配置され、コンテンツの音声をスピーカ230からではなくイヤホンで出力したいときに、イヤホンの端子が挿入される。

【0078】
液晶ディスプレイ280は、光通信端末200の正面上部に配置され、光通信端末200を動作させるためのプログラムの設定を確認する際に用いられる。

【0079】
USB端子290は、光通信端末200の端面に配置されており、USBメモリが着脱可能である。USBメモリにテンプレートデータやコンテンツデータを保存させておくと、情報処理装置300とのデータの送受信を行わずに処理することができる。

【0080】
図8Bは、本実施形態における光通信端末のハードウェアを示すブロック図である。
図8Bに示すように、MPU220は、図8Aで示した各部と接続されている。
MPU220は、プロセッサの一種であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。MPU220は、図示しない記憶手段などが記憶するファームウェアなどを実行することにより、種々の機能を実現する。具体的には、図8Cの点線で示したように、MPU220は、A/D変換部221、制御部222、タイマ部223、及びI/F部224の機能を実現する。なお、MPU220は、光通信端末200全体の制御を行うために用いられる。

【0081】
図8Cは、本実施形態における光通信端末の機能を示すブロック図である。
図8Cに示すように、光通信端末200は、受光部211で受光した可視光を電気信号に変換し、変換した電気信号を増幅部212のアナログ回路で増幅する。次に、光通信端末200は、増幅させた電気信号をA/D変換部221でサンプリングする。そして、制御部222は、JEITA CP-1223の規格に従ってファームウェアでサンプリング後の電気信号を復調する。このとき、制御部222は、タイマ部223と、ファームウェアを記憶する記憶部251とにより、サンプリング後の電気信号を復調する。その後、制御部222は、復調した信号をUSB通信部231により情報処理装置300に送信する。
言い換えると、制御部222は、受光部211が受光した可視光がID情報の信号を含むか否かを判定し、受光部211で受光した可視光がID情報の信号を含むと判定した場合に、可視光から検出したID情報を情報処理装置300に送信する制御を行う。

【0082】
次に、受光部211が受光した可視光がID情報の信号を含むか否かを判定し、可視光がID情報の信号を含むと判定した場合に、ID情報を情報処理装置300に送信する処理の流れを、図9A及び図9Bに示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。

【0083】
図9Aに示すように、まず、制御部222は、各変数の初期化を行う(D=0,F=0,N=0,P=0)(S301)。ここで、Dは信号のエッジの検出フラグ、Fはプリアンブルの検出フラグ、Nはフレーム番号(データのバイト数)、Pはシンボル数を意味する。
次に、光通信端末200は、受光部211で受光した可視光を電気信号に変換し、変換した電気信号を増幅部212のアナログ回路で増幅して、A/D変換部221でサンプリングする(S302)。

【0084】
制御部222は、A/D変換部221でサンプリングした方形波の信号において、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するために微分処理する(S303)。なお、以下では、エッジを検出するために微分処理した信号を「エッジ検出した信号」と称することもある。制御部222は、エッジ検出した信号において、エッジの変化に基づいてID情報の信号を検出するために、正側にピークがあればD=1とし(S304、S305)、負側にピークがあればD=0とする(S306、S307)。なお、正側及び負側のいずれにもピークがなければ処理をS302に戻す。

【0085】
制御部222は、エッジ検出した信号において正側及び負側のいずれかにピークを検出すると、プリアンブルがすでに検出されているか否かを判定する(S308)。制御部222は、プリアンブルがすでに検出されていると判定すると処理を図9Bに示すS312に移行し、プリアンブルが検出されていないと判定すると、エッジ検出した信号がプリアンブルであるか否かを判定する(S309)。制御部222は、エッジ検出した信号がプリアンブルであると判定するとF=1とし(S310)、エッジ検出した信号がプリアンブルでないと判定するとF=0として(S311)、処理をS302に戻す。

【0086】
次に、制御部222は、プリアンブルがすでに検出されていると判定すると、4PPM信号の最初の4ビットを取得できたか否かを判定する(S312)。制御部222は、最初の4ビットを取得できたと判定すると、エッジ検出した信号を4PPM信号に変換してP番目のシンボルに保存し(S313)、4PPM変換できていないと判定すると、処理を図4AのS302に戻す。

【0087】
制御部222は、エッジ検出した信号を4PPM信号に変換してP番目のシンボルに保存すると、P=P+1の演算を行い、P=4であるか否かを判定する(S314)。制御部222は、P=4であると判定すると、4シンボル(1バイト)完了であるとしてP=0としてPを初期化し(S315)、P=4でないと判定すると、処理を図4AのS302に戻す。

【0088】
制御部222は、P=0としてPを初期化すると、フレームのN番目に得られたバイトを保存して(S316)、N=N+1の演算を行い、N=19であるか否かを判定する(S317)。制御部222は、N=19であると判定すると、フレームの最後であるとしてN=0としてNを初期化し(S318)、N=19でないと判定すると、処理を図4AのS302に戻す。

【0089】
制御部222は、N=0としてNを初期化するとCRCの演算を行い、終端部のCRCと一致するか否かを判定する(S319)。制御部222は、一致すると判定すると、情報処理装置300にデータを送信し(S320)、処理を図4AのS302に戻す。また、制御部222は、一致しないと判定すると、処理を図4AのS302に戻す。
このように、光通信端末200は、受光部211が受光した可視光がID情報の信号を含むか否かを判定し、可視光がID情報の信号を含むと判定した場合に、ID情報を情報処理装置300に送信する。

【0090】
<情報処理装置>
情報処理装置300は、光通信端末200からの要求によりID情報に対応するコンテンツを光通信端末200に送信する。情報処理装置300は、図1に示すように、環境情報データベース310と、可視光IDデータベース320と、テンプレートデータベース330と、コンテンツデータベース340とを有する。

【0091】
情報処理装置300は、光通信端末200からの要求により、可視光IDデータベース320から、ID情報に応じたテンプレートURL及びコンテンツURLを光通信端末200に送信する。次に、情報処理装置300は、光通信端末200からの要求により、テンプレートデータベース330からテンプレートURLに対応するテンプレートを送信し、コンテンツデータベース340からコンテンツURLに対応するコンテンツを送信する。
このとき、情報処理装置300は、光通信端末200からの要求の回数を計数することにより、光照射装置100が設置された位置の展示物を鑑賞しに来た人の人数を計数できるため、人の存否のみを検知できる人感センサでは把握できなかった人数を把握することができる。なお、入館者全員に光通信端末200を携帯させることで、より正確な人数を計数することができる。

【0092】
また、情報処理装置300は、光照射装置100が計測した環境情報を受信して格納する。これにより、情報処理装置300は、各展示物が展示されている位置における環境の状態を定量的に把握することができるビッグデータを構築することができる。

【0093】
また、情報処理装置300は、1以上の光照射装置100から送信され、格納した環境情報に基づき、1以上の光照射装置100が設置された場所を含む範囲における環境の状態を動態解析する。さらに、各展示物に対する定量的な混雑の程度を把握できることにより、人気の展示物を見やすくするため、あるいは不人気な展示物を注目されやすくするために展示位置やレイアウトを変更する指標とすることができる。

【0094】
なお、情報処理装置300は、本実施形態ではサーバであり、各データベースを構築、編集及び管理することができる。

【0095】
以上では、博物館や美術館などの施設において展示物の説明を行う光通信システムについて説明したが、光照射装置の電力制御部が停電と判定した場合に、コンテンツに対応するID情報の信号の代わりに、設置された場所からの避難に関する情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する制御を行うこともできる。

【0096】
具体的には、光照射装置は、館内のコンセントから主電力が供給されている場合には、地震や火災などの災害により停電になったときでも、バッテリーから発光部に補助電力を供給することができ、館内に光を照射することができる。これにより、館内が真っ暗にならず、入館者は館外に安全に避難することができる。さらにこのとき、光照射装置においては、制御部が、コンテンツに対応するID情報の信号の代わりに、設置された場所からの避難経路などを示すID情報の信号を含む光を照射する制御を行い、かつ計測部、通信部及び制御部にもバッテリーから補助電力が供給されるので、入館者に対し避難経路を案内することができ、より安全に入館者を避難させることができる。さらに、計測部により、人の存否や温度などの環境情報を取得できることから、館内のどの場所に人が存在しているのか、あるいは火災が発生しているのかを把握して、救出活動や消火活動を迅速に行うことができるため、災害による被害を小さくできる。

【0097】
以上説明したように、本発明の光照射装置は、設置された場所に関連する関連情報を入館者に提供するために、光を利用する光通信により、関連情報に対応する対象情報の信号を含む光を照射する光照射装置であって、対象情報の信号を含む光を発光する発光部と、設置された場所の環境情報を計測する計測部と、計測部が計測した環境情報を送信する通信部と、を有する。
これにより、本発明の光照射装置は、光を利用した通信を行うことができ、かつ設置された位置における環境の状態を把握することができる。

【0098】
また、本発明の光通信システムは、例えば、本実施形態で示したように、博物館や美術館などの施設において展示物の説明を行うシステムに応用することができる。
【符号の説明】
【0099】
10 光通信システム
100 光照射装置
115 制御部
125 発光部
135 計測部
145 通信部
155 電力供給部
200 光通信端末
211 受光部
300 情報処理装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4A】
4
【図4B】
5
【図5】
6
【図6A】
7
【図6B】
8
【図6C】
9
【図6D】
10
【図6E】
11
【図7A】
12
【図7B】
13
【図7C】
14
【図8A】
15
【図8B】
16
【図8C】
17
【図9A】
18
【図9B】
19