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Specification :(In Japanese)膵腫瘍摘出術後予後リスク判別法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-213473A
Date of publication of application Dec 19, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)膵腫瘍摘出術後予後リスク判別法
IPC (International Patent Classification) C12Q   1/6827      (2018.01)
C12N  15/12        (2006.01)
FI (File Index) C12Q 1/6827 Z
C12N 15/12
C12N 15/12 ZNA
Number of claims or invention 10
Filing form OL
Total pages 18
Application Number P2018-111885
Date of filing Jun 12, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】横山 勢也
【氏名】谷本 昭英
【氏名】東 美智代
Applicant (In Japanese)【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Representative (In Japanese)【識別番号】110002572、【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4B063
F-term 4B063QA17
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
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4B063QR62
4B063QS16
4B063QS25
4B063QX01
4B063QX02
Abstract (In Japanese)【課題】膵腫瘍の早期診断又は膵腫瘍の悪性度の規定に有効な膵腫瘍の予後判別方法を提供することを目的とする。
【解決手段】被験者由来の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定する第1工程と、前記被験者の膵腫瘍の予後を判別するために、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の前記癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定することで得られた測定値を教師とした機械学習モデルの判別式に、第1工程で得られた癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況の測定値を代入する第2工程とを含む、膵腫瘍の予後判別方法。
【選択図】なし
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
被験者由来の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定する第1工程と、
前記被験者の膵腫瘍の予後を判別するために、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の前記癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定することで得られた測定値を教師とした機械学習モデルの判別式に、第1工程で得られた癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況の測定値を代入する第2工程と、
を含む、膵腫瘍の予後判別方法。
【請求項2】
機械学習モデルが、サポートベクターマシーンモデル、ニューラルネットワークモデル、ランダムフォレストモデル及びディープラーニングモデルから成る群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
腫瘍組織及び非腫瘍組織が膵臓組織である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子から成る群より選択される1以上のムチンコアタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子セットである、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子を含む遺伝子セットである、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子から成る遺伝子セットである、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
MUC1遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号1に示される塩基配列から成る領域である、請求項4~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
MUC2遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号2に示される塩基配列から成る領域である、請求項4~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
MUC4遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号3に示される塩基配列から成る領域である、請求項4~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
膵腫瘍が膵癌又は膵管内乳頭粘液性腫瘍である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば膵腫瘍の摘出術後の予後における再発等の悪性度予測又はリスク予測法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本における癌死は年間37万人を超えており、死因の第1位である。また、癌の罹患数も年々増加しており、2017年には100万人を超えると予測されている。その中で、膵癌罹患数は39,800人であり、全体における割合は約4%で第7位の希少性の高い癌である。加えて、同年の膵癌での死亡者数はほぼ同数であり、年齢調整率を加味した場合でも、男女共に死亡者数が減少傾向でない癌である。5年相対生存率を他の癌と比較すると、膵癌は7.7%と極めて低く、難治性癌の代表といえる(2017年,国立がん研究センター試算)。
【0003】
膵癌は症状がほとんどないため発見が遅れ、手術ができるのは、患者全体の20~30%程度しかない。また、切除手術ができたとしても、5年生存率は20%程度と極めて低く、消化器系の癌の中では最も低い数字となっている。しかしながら、腫瘍径が1cm以下で発見された場合の5年生存率は、80.4%にも及ぶことが近年報告されている。
【0004】
膵癌の予後を改善するには、手術が可能な段階での早期発見、早期治療を目指すことが何よりも重要となる。膵癌は、腫瘍マーカー検査(CA19-9、CEA)でもはっきりとした上昇が見られず、上昇する割合は半分にも満たない状況となっている。加えて、超音波検査やCT検査による腫瘍径1cm以下の抽出率は決して高いとは言えず、超音波検査で17~70%、造影CT検査で35~75%とされている。
【0005】
従って、低侵襲性な体液検体や術後の摘出組織検体等の臨床検体を用いた、膵癌及び膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の「早期診断法」又は「悪性度を規定する方法」の確立が切望されている。
【0006】
近年、膵癌を含む種々の癌において、糖タンパク質であるムチン分子ファミリーの異常発現が確認され、増殖・浸潤転移・抗癌剤耐性・免疫機構回避等癌進展の各プロセスにおいて、癌の悪性度に関与することが報告されている(非特許文献1)。一方、本発明者等は、以下のように、早くからムチンに注目して研究を進め、様々な組織におけるムチン発現と悪性度との関係や、その発現機構を世界に先駆けて明らかにしてきた:
(1) 膵腫瘍の生物学的悪性度と一連のムチン抗原発現について詳細な分析を行い、前癌病変(PanIN)、膵癌(PDAC)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)におけるMUC1、MUC2、MUC4のムチン発現と悪性度との関連を世界に先駆けて明らかにしてきた。加えて、MUC1の細胞質内ドメインに対する新規抗体を開発した(特許文献1);
(2) 各ムチン遺伝子が各々のプロモーター領域のメチル化により、対象遺伝子の発現が制御されていることを見出した(非特許文献2);
(3) 従来のDNAメチル化検出限界を超える0.1%の解像度を有する新規高感度メチル化解析法の開発を行い報告した(特許文献2及び非特許文献3);
(4) 実際の膵液検体・組織検体を用いた新規メチル化解析法による解析において、その悪性度・予後とDNAメチル化の相関を明らかにし(非特許文献4及び5)、膵腫瘍の病型診断方法(特許文献3)として報告している。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第5660486号公報
【特許文献2】特許第5765586号公報
【特許文献3】特許第5866739号公報
【0008】

【非特許文献1】Donald W. Kufe, Nature Reviews Cancer, 2009年, 9, pp. 874-885
【非特許文献2】Norishige Yamadaら, Cancer Research, 2008年, 68(8), pp. 2708-2716
【非特許文献3】Seiya Yokoyamaら, BMC Cancer, 2012年, 12:67
【非特許文献4】Seiya Yokoyamaら, PLoS One, 2014年, 9(4):e93760
【非特許文献5】Seiya Yokoyamaら, Oncotarget, 2016年, 7(27), pp. 42553-42565
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の実情に鑑み、膵腫瘍の早期診断又は膵腫瘍の悪性度の規定に有効な膵腫瘍の予後判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子のメチル化状況を解析し、機械学習により膵腫瘍の予後を予測できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)被験者由来の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定する第1工程と、前記被験者の膵腫瘍の予後を判別するために、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の前記癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定することで得られた測定値を教師とした機械学習モデルの判別式に、第1工程で得られた癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況の測定値を代入する第2工程とを含む、膵腫瘍の予後判別方法。
(2)機械学習モデルが、サポートベクターマシーンモデル、ニューラルネットワークモデル、ランダムフォレストモデル及びディープラーニングモデルから成る群より選択される、(1)記載の方法。
(3)腫瘍組織及び非腫瘍組織が膵臓組織である、(1)又は(2)記載の方法。
(4)癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子から成る群より選択される1以上のムチンコアタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子セットである、(1)~(3)のいずれか1記載の方法。
(5)癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子を含む遺伝子セットである、(1)~(3)のいずれか1記載の方法。
(6)癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子が、MUC1遺伝子、MUC2遺伝子及びMUC4遺伝子から成る遺伝子セットである、(1)~(3)のいずれか1記載の方法。
(7)MUC1遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号1に示される塩基配列から成る領域である、(4)~(6)のいずれか1記載の方法。
(8)MUC2遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号2に示される塩基配列から成る領域である、(4)~(7)のいずれか1記載の方法。
(9)MUC4遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域が、配列番号3に示される塩基配列から成る領域である、(4)~(8)のいずれか1記載の方法。
(10)膵腫瘍が膵癌又は膵管内乳頭粘液性腫瘍である、(1)~(9)のいずれか1記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膵腫瘍の予後を早期に診断・予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】被メチル化によってヒトムチンコアタンパク質1(MUC1)遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号4)を示す。
【図1B】被メチル化によってヒトMUC1遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号5;ただし、Bisulfite処理後のDNA配列であり、且つ非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する)を示す。
【図2A】被メチル化によってヒトムチンコアタンパク質2(MUC2)遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号6)を示す。
【図2B】被メチル化によってヒトMUC2遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号7;ただし、Bisulfite処理後のDNA配列であり、且つ非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する)を示す。
【図3A】被メチル化によってヒトムチンコアタンパク質4(MUC4)遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号8)を示す。
【図3B】被メチル化によってヒトMUC4遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号9;ただし、Bisulfite処理後のDNA配列であり、且つ非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する)を示す。
【図4】実施例1におけるサポートベクターマシーン(SVM)モデル構築を示す図である。
【図5】実施例2におけるSVMモデルによるリスク判別結果を示す図である。
【図6】実施例3における訓練データ(50例)のニューラルネットワーク(NNET)モデルによるリスク判別結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る膵腫瘍の予後判別方法(以下、「本方法」と称する)は、被験者由来の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定する第1工程と、当該被験者の膵腫瘍の予後を判別するために、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定することで得られた測定値を教師とした機械学習モデルの判別式に、第1工程で得られた癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況の測定値を代入する第2工程とを含む。換言すれば、本方法は、膵腫瘍の予後を判別するための評価方法、又は膵腫瘍の予後を判別するための情報を収集する方法とすることができる。

【0015】
膵腫瘍としては、例えば膵癌及び膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が挙げられる。
被験者由来の検体試料としては、例えば膵腫瘍の摘出術後組織検体、病理診断余剰検体、細胞診余剰検体、血液検体、体液検体等の臨床検体が挙げられる。

【0016】
また、腫瘍組織(好ましくは、膵臓組織(すなわち、膵腫瘍組織))由来の検体試料であることが既知の検体試料としては、例えば、腫瘍の摘出術後の組織検体より熟練の病理医がマクロで腫瘍部を切除したサンプル、針生検により採取された腫瘍組織・細胞、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を薄切しレーザーマイクロダイセクションを用いて腫瘍部のみを回収した検体、膵腫瘍患者由来の胆汁や膵液・血液などの体液検体等が挙げられる。

【0017】
さらに、非腫瘍組織(好ましくは、非腫瘍の膵臓組織)由来の検体試料であることが既知の検体試料としては、例えば腫瘍の摘出術後の組織検体より熟練の病理医がマクロで非腫瘍部を切除したサンプル、針生検により採取された非腫瘍組織・細胞、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を薄切しレーザーマイクロダイセクションを用いて非腫瘍部のみを回収した検体、非腫瘍患者由来の胆汁や膵液・血液などの体液検体等が挙げられる。

【0018】
癌遺伝子としては、例えばムチンコアタンパク質(MUC)をコードする遺伝子(又はムチン遺伝子とも称される)、Gsαタンパク質をコードする遺伝子、Rabファミリータンパク質をコードする遺伝子、癌幹細胞に関与するCD44をコードする遺伝子、免疫チェックポイントタンパク質PD-1のリガンドをコードする遺伝子、及びこれらの組合せが挙げられる。特に、MUCをコードする遺伝子としては、例えばMUC1遺伝子、MUC2遺伝子、MUC4遺伝子及びこれらのうち2種又は3種全ての組合せが挙げられる。

【0019】
一方、癌抑制遺伝子としては、例えば、転写因子であるP53やBRCAファミリーをコードする遺伝子、サイクリン依存性キナーゼ阻害であるP16をコードする遺伝子、SMADファミリータンパク質をコードする遺伝子の組合せが挙げられる。加えて、細胞接着に関与するカドヘリンやカテニンをコードする遺伝子、及びこれらの組合せが挙げられる。

【0020】
メチル化度検出の標的配列(標的領域)である癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域は、癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側上流に位置する非翻訳領域(UTR)であり、特に癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子のプロモーター領域を含む領域である。さらに、癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域は、プロモーター領域等の5'非翻訳領域と当該5'非翻訳領域に隣接する翻訳領域(コーディング領域)とを含む領域である。

【0021】
癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子のプロモーター領域又は当該プロモーター領域と翻訳領域とを含む領域に存在する1以上(1又は複数)のCpG部位を、メチル化度を検出すべき標的配列とすることができる。ここで、CpG部位とは、5'-シトシン-グアニン-3'(5'-CG-3')のジヌクレオチドを意味する。2以上のCpG部位を標的配列とする場合には、各CpG部位を個別に、又は2以上のCpG部位を含む領域を標的配列としてもよい。

【0022】
図1~3は、それぞれ被メチル化によってヒトMUC1、MUC2及びMUC4遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列を示す。図1~3において、(TIS)は転写開始部位(transcription initiation site)を示し、四角で囲こまれたCGは被メチル部位(CpG部位)を示し、太い四角で囲まれたCGは、ヒトMUC遺伝子の発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)を示す。また、図1B、図2B及び図3Bにおいて、イタリックのTは、Bisulfite処理により非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示したものである。なお、転写開始部位(TIS)以降の塩基配列は、翻訳領域(コーディング領域)である。

【0023】
図1Aは、被メチル化によってヒトMUC1遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号4)を示す。図1Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号5)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図1において、下記の参考例で説明する第2プライマーセットに相当するPrimer 1-3とPrimer 1-4との間の領域(配列番号1)は、CpG部位(又はCpGアイランド)172-181を有する(Norishige Yamada, Yukari Nishida, Hideaki Tsutsumida, Tomofumi Hamada, Masamichi Goto, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2008) MUC1 expression is regulated by DNA methylation and histone H3-K9 modification in cancer cells. Cancer Res., 68(8): 2708-16と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC1遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流2,753bp)より順にナンバリングされている)。

【0024】
図2Aは、被メチル化によってヒトMUC2遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号6)を示す。図2Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号7)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図2において、下記の参考例で説明する第2プライマーセットに相当するPrimer 2-3とPrimer 2-4との間の領域(配列番号2)は、CpG部位37-43を有する(Norishige Yamada, Tomofumi Hamada, Masamichi Goto, Hideaki Tsutsumida, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2006) MUC2 expression is regulated by histone H3 modification and DNA methylation in pancreatic cancer. Int. J. Cancer, 119(8): 1850-7と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC2遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流1,989bp)より順にナンバリングされている)。

【0025】
図3Aは、被メチル化によってヒトMUC4遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号8)を示す。図3Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号9)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図3において、下記の参考例で説明する第2プライマーセットに相当するPrimer 4-3とPrimer 4-4との間の領域(配列番号3)は、CpG部位108-118を有する(Norishige Yamada, Yukari Nishida, Hideaki Tsutsumida, Masamichi Goto, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2009) Promoter CpG methylation in cancer cells contributes to regulation of MUC4. Br. J. Cancer, 100 (2): 344-51と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC4遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流3,622bp)より順にナンバリングされている)。

【0026】
本方法では、例えば癌遺伝子であるヒトMUC1、MUC2及びMUC4遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域として、上述のそれぞれ第2プライマーセットのプライマー間の配列(すなわち、配列番号1~3に示される塩基配列)に存在する1以上(1又は複数)のCpG部位(特に、ヒトMUC遺伝子の発現に関与する被メチル化部位)を、メチル化度を検出すべき標的配列とすることができ、特に、ヒトMUC遺伝子の発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)を全て含む、配列番号1~3に示される塩基配列又は当該塩基配列を含む領域を、メチル化度を検出すべき標的配列とすることが好ましい。

【0027】
以下、本方法の各工程を説明する。
1.被験者由来の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子のメチル化状況を測定する第1工程
本工程では、被験者由来の検体試料において、癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化度を検出する。メチル化度の検出(又は測定)は、従来において知られるメチル化を検出する方法であってよく、例えば特定領域におけるメチル化DNAの検出では、重亜硫酸塩(Bisulfite)処理による塩基置換反応を行い、DNAの配列を決定する。当該塩基置換反応では、非メチル化シトシンが重亜硫酸ナトリウムと反応して、ウラシルへと変換される。メチル化シトシンは重亜硫酸ナトリウムと反応しないので、原理上全てのシトシンのメチル化状態を塩基の違いとして検出できる。従来におけるメチル化の検出方法としては、例えばPCRを使用したメチル化特異的PCR(MSP)法、定量的PCRを使用したReal-time MSP法、TAクローニングを使用したBisulfite-sequencing法、質量分析を使用したMassARRAY法、核酸取り込み時のピロリン酸放出をモニターするパイロシークエンス法、次世代シークエンサーによるアンプリコン解析等が挙げられる。さらに、重亜硫酸塩反応を必要としないICON-prove法やPacbioを用いたロングシークエンス法も開発されている。さらに、DNAメチル化パターン又は連続性を検出できるMSE(Methylation Specific Electrophoresis)法がある。MSE法は、(a)DNAを重亜硫酸塩処理に供する工程、(b)標的領域の外側の領域に対応する第1プライマーセットを用いて重亜硫酸塩処理後のDNAを第1のPCRに供する工程、(c)標的領域に対応する第2プライマーセットを用いて第1のPCR後の増幅DNAを第2のPCRに供する工程、(d)第2のPCR後の増幅DNAを変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)に供する工程を含む方法である(特許第5765586号公報及び特許第5866739号公報)。MSE法や次世代シークエンサー、Pacbioによる解析は、従来法であるBisulfite-sequencing法と比較すると大幅な時間短縮を行うことができる。

【0028】
例えばMSE法におけるDGGE後のゲルの写真におけるバンドの発光強度をImage J等の画像処理ソフトウェアにより数値化し、統計解析ソフトウェア(例えば、統計解析ソフト「R」)により統計処理を行う。具体的には、癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子のメチル化状況の測定値は、メチル化陽性を示す合成遺伝子の測定値を100、メチル化陰性を示す合成遺伝子の測定値を0とし測定間の誤差を二点補正する。

【0029】
2.被験者の膵腫瘍の予後を判別するために、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定することで得られた測定値を教師とした機械学習モデルの判別式に、第1工程で得られた癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況の測定値を代入する第2工程
本工程では、先ず、第1工程と同様に、腫瘍組織由来の検体試料であること又は非腫瘍組織由来の検体試料であることが既知の複数の検体試料中の癌遺伝子及び/又は癌抑制遺伝子の5'側非翻訳領域又は5'側非翻訳領域と翻訳領域とを含む領域のメチル化状況を測定し、当該測定値を教師サンプルとした機械学習モデルの判別式を作成する。

【0030】
機械学習モデルとしては、例えばサポートベクターマシーン(以下、「SVM」と称する)モデル、ニューラルネットワーク(以下、「NNET」と称する)モデル、ランダムフォレストモデル、ディープラーニングモデル等が挙げられる。

【0031】
SVMは超平面と呼ばれる境界面を決定し、該境界面を用いてデータを分類する判別式を決定する。NNETは人の神経回路を模倣し人工ニューラルネットワークを構築し非線形判別分析を実行する。ランダムフォレストは決定木を弱学習器とする集団学習アルゴリズムであり、トレーニングデータによって学習した多数の決定木を使用する。ディープラーニングは4層以上の深層ニューラルネットを用いる。これらの機械学習モデルを用いて、分類すべき群分け情報が既知のデータセットの特定のデータ項目を説明変数、分類すべき群分けを目的変数として、該データセットを既知の群分けに正しく分類する判別式を構築する。出力形式としては、予後不良もしくは予後良好の2値判別を行う。もしくはその割合・確率を算出する。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
〔参考例〕ムチン遺伝子のメチル化解析
以下の実施例では、特許第5866739号公報の記載に準じて、組織検体試料において、MUC1、MUC2及びMUC4遺伝子プロモーター又は当該プロモーターと隣接する翻訳領域上の発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)のメチル化解析をMSE法にて行った。
【実施例】
【0034】
1.MSE法を用いたMUC1遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)のメチル化解析
MSE法を使用して、ヒトMUC1遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)を解析した。図1Aは、被メチル化によってヒトMUC1遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号4)を示す。図1Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号5)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図1において、下記で説明するPrimer 1-3とPrimer 1-4との間の領域(配列番号1)は、CpG部位172-181を有し、当該CpG部位を含む領域を標的領域とする。なお、論文(Norishige Yamada, Yukari Nishida, Hideaki Tsutsumida, Tomofumi Hamada, Masamichi Goto, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2008) MUC1 expression is regulated by DNA methylation and histone H3-K9 modification in cancer cells. Cancer Res., 68(8): 2708-16)と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC1遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流2,753bp)より順にナンバリングされている。
【実施例】
【0035】
組織検体試料からDNAを、DNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN社製)を使用して抽出した。
次いで、EpiTect Bisulfite Kits(QIAGEN社製)を使用して、抽出したDNAをBisulfite処理に供した。
【実施例】
【0036】
Bisulfite処理後のDNAを、以下のプライマーを使用したPCRに供した。
プライマーセット(小文字の塩基配列はGC clampである):
Primer 1-1: 5'-AAAGGGGGAGGTTAGTTGGA-3'(配列番号10);
Primer 1-2: 5'-AAACAACCCACTCCCCACCT-3'(配列番号11);
Primer 1-3:
5'-cgcccgccgcgcgcggcgggcggggcgggggcacggggggAAGAGGTAGGAGGTAGGGGA-3'(配列番号12);
Primer 1-4: 5'-AAAACAAAACAAATTCAAAC-3'(配列番号13)。
【実施例】
【0037】
各PCRは、図1に示すように、1st PCRは上記Primer 1-1とPrimer 1-2を用いて、2nd PCR(nested PCR)は上記Primer 1-3とPrimer 1-4を用いて行った。ポリメラーゼは、AmpliTaq Gold(登録商標)Fast PCR Master Mix(Applied Biosystem社製)を使用した。PCR条件及び温度設定を下記表1に示す。
【実施例】
【0038】
【表1】
JP2019213473A_000002t.gif
【実施例】
【0039】
次いで、下記表2に示すDGGEゲル条件下の変性剤濃度勾配ゲルを使用し、2nd PCR後の反応液をDGGEに供した。なお、電気泳動条件は、泳動槽温度:60℃、定電圧:230V、泳動時間:300分であった。電気泳動槽は、Dcodeシステム(BIO-RAD社製)を使用した。
【実施例】
【0040】
【表2】
JP2019213473A_000003t.gif
【実施例】
【0041】
2.MSE法を用いたMUC2遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)のメチル化解析
MSE法を使用して、ヒトMUC2遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)を解析した。図2Aは、被メチル化によってヒトMUC2遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号6)を示す。図2Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号7)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図2において、下記で説明するPrimer 2-3とPrimer 2-4との間の領域(配列番号2)は、CpG部位37-43を有し、当該CpG部位を含む領域を標的領域とする。なお、論文(Norishige Yamada, Tomofumi Hamada, Masamichi Goto, Hideaki Tsutsumida, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2006) MUC2 expression is regulated by histone H3 modification and DNA methylation in pancreatic cancer. Int. J. Cancer, 119(8): 1850-7)と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC2遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流1,989bp)より順にナンバリングされている。
【実施例】
【0042】
上記第1節と同様にして、組織検体試料からDNAをDNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN社製)を使用して抽出した後、EpiTect Bisulfite Kits(QIAGEN社製)を使用して、抽出したDNAをBisulfite処理に供した。
【実施例】
【0043】
Bisulfite処理後のDNAを、以下のプライマーを使用したPCRに供した。
プライマーセット(小文字の塩基配列はGC clampである):
Primer 2-1: 5'-TTTGGGGTTAGGTTTGGAAG-3'(配列番号14);
Primer 2-2: 5'-ACCTTCTTCAAAATAAAACAACC-3'(配列番号15);
Primer 2-3:
5'-cgcccgccgcgcgcggcgggcggggcgggggcacggggggTTTTAGAGTTTGGGTTTTAG-3'(配列番号16);
Primer 2-4: 5'-TAACCTAAATACCAACACACA-3'(配列番号17)。
【実施例】
【0044】
各PCRは図2に示すように、1st PCRは上記Primer 2-1とPrimer 2-2を用いて、2nd PCR(nested PCR)は上記Primer 2-3とPrimer 2-4を用いて行った。ポリメラーゼは、AmpliTaq Gold(登録商標)Fast PCR Master Mix(Applied Biosystem社製)を使用した。PCR条件及び温度設定を下記表3に示す。
【実施例】
【0045】
【表3】
JP2019213473A_000004t.gif
【実施例】
【0046】
次いで、下記表4に示すDGGEゲル条件下の変性剤濃度勾配ゲルを使用し、2nd PCR後の反応液をDGGEに供した。なお、電気泳動条件及び電気泳動槽は、上記第1節と同様であった。
【実施例】
【0047】
【表4】
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【実施例】
【0048】
3.MSE法を用いたMUC4遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)のメチル化解析
MSE法を使用して、ヒトMUC4遺伝子プロモーターの発現に関与する被メチル化部位(CpG部位)を解析した。図3Aは、被メチル化によってヒトMUC4遺伝子の発現を調節するプロモーター領域の配列及び隣接する翻訳領域の配列(配列番号8)を示す。図3Bは、当該配列のBisulfite処理後のDNA配列(配列番号9)を示し、非メチル化シトシンから変換されたウラシルをチミンで表示する。図3において、下記で説明するPrimer 4-3とPrimer 4-4との間の領域(配列番号3)は、CpG部位108-118を有し、当該CpG部位を含む領域を標的領域とする。なお、論文(Norishige Yamada, Yukari Nishida, Hideaki Tsutsumida, Masamichi Goto, Michiyo Higashi, Mitsuharu Nomoto and Suguru Yonezawa (2009) Promoter CpG methylation in cancer cells contributes to regulation of MUC4. Br. J. Cancer, 100 (2): 344-51)と同様に、CpG部位の番号は、ヒトMUC4遺伝子の推定プロモーター上流(当該遺伝子の転写開始点より上流3,622bp)より順にナンバリングされている。
【実施例】
【0049】
上記第1節と同様にして、組織検体試料からDNAをDNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN社製)を使用して抽出した後、EpiTect Bisulfite Kits(QIAGEN社製)を使用して、抽出したDNAをBisulfite処理に供した。
【実施例】
【0050】
Bisulfite処理後のDNAを、以下のプライマーを使用したPCRに供した。
プライマーセット(小文字の塩基配列はGC clampである):
Primer 4-1: 5'-TAGTGGGGTGGGGTTGA-3'(配列番号18);
Primer 4-2: 5'-AAACACCCAAAAAACCC-3'(配列番号19);
Primer 4-3:
5'-cgcccgccgcgcgcggcgggcggggcgggggcacggggggAGGAGAGAAAAGGGTGATTA-3'(配列番号20);
Primer 4-4: 5'-ACCCAAAAAACCCTCCTCCA-3'(配列番号21)。
【実施例】
【0051】
各PCRは図3に示すように、1st PCRは上記Primer 4-1とPrimer 4-2を用いて、2nd PCR(nested PCR)は上記Primer 4-3とPrimer 4-4を用いて行った。ポリメラーゼは、AmpliTaq Gold(登録商標)Fast PCR Master Mix(Applied Biosystem社製)を使用した。PCR条件及び温度設定を下記表5に示す。
【実施例】
【0052】
【表5】
JP2019213473A_000006t.gif
【実施例】
【0053】
次いで、下記表6に示すDGGEゲル条件下の変性剤濃度勾配ゲルを使用し、2nd PCR後の反応液をDGGEに供した。なお、電気泳動条件及び電気泳動槽は、上記第1節と同様であった。
【実施例】
【0054】
【表6】
JP2019213473A_000007t.gif
【実施例】
【0055】
4.MSE法のゲルの写真におけるバンドの発光強度に基づく統計解析
MSE法のDGGE後のゲルの写真におけるバンドの発光強度をImage Jにより数値化し、統計解析ソフト「R」により統計処理を行った。
【実施例】
【0056】
〔実施例1〕SVMモデル構築
1.材料及び方法
癌部84検体と、対応する症例を含む非癌部135検体におけるムチン遺伝子(MUC1、MUC2及びMUC4遺伝子から成る遺伝子セット)のDNAメチル化度を解析し、その予後情報(不・良の閾値を5カ月とし二値に分類した)を加えて訓練データとし、予後の不・良を二値判別するモデルを構築した。判別モデルは交差検定によりパラメーターを調整した。
【実施例】
【0057】
2.結果及び考察
図4に示すように、早期ステージにおいて、モデルにより不良と判別された群は有意に予後不良であり、そのハザードレシオは腫瘍部において14.54、非腫瘍部において9.86と非常に高い角度で有意に予後不良群の鑑別が可能であった。同様に、進行ステージにおいてもモデルにより不良と判別された群は有意に予後不良であり、そのハザードレシオは腫瘍部において13.97、非腫瘍部において10.44と高精度に予後不良群のスクリーニングが可能であった。
【実施例】
【0058】
〔実施例2〕SVMモデルによるリスク判別
1.材料及び方法
膵管内乳頭粘液産生腫瘍(IPMN)部20検体と、対応する症例を含む非腫瘍部29検体におけるムチン遺伝子のメチル化解析結果を、実施例1において構築したSVMモデルを用いて予後の良・不の二値判別を行った。
【実施例】
【0059】
2.結果及び考察
実施例1において構築したSVMモデルによるテスト検体群として20例のIPMN:膵管内乳頭粘液性腫瘍(非癌)を解析し、リスク予測を行った。図5に示すように、モデルにより不良と判別された群は有意に予後不良であり、テスト群においても有意に予後不良群のスクリーニングが可能であった。
【実施例】
【0060】
〔実施例3〕NNETモデルによるリスク判別
1.材料及び方法
ランダムに膵癌検体25症例、非癌部検体25症例を選択し、ムチン遺伝子(MUC1、MUC2及びMUC4遺伝子から成る遺伝子セット)のDNAメチル化度を解析し、その予後情報(不・良の閾値を5カ月とし二値に分類した)を用いて予後の不・良を二値判別する判別器をニューラルネットワークにより構築した。判別モデルは交差検定によりパラメーターを調整した。
【実施例】
【0061】
2.結果及び考察
テスト検体群として膵癌検体81症例、非癌部検体140症例を解析し、予後リスク予測を行った。図6に示すように、単一モデルによる判別で、モデルにより良好と判別された群は有意に予後良好であり、そのハザードレシオは腫瘍部において0.363、非腫瘍部において0.356であり、腫瘍部・非腫瘍部ともハイリスク群のスクリーニングを行うことが可能であった。
Drawing
(In Japanese)【図1A】
0
(In Japanese)【図1B】
1
(In Japanese)【図2A】
2
(In Japanese)【図2B】
3
(In Japanese)【図3A】
4
(In Japanese)【図3B】
5
(In Japanese)【図4】
6
(In Japanese)【図5】
7
(In Japanese)【図6】
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