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明細書 :液状色素を含む組成物、膜、その製造方法、化学センサー、液状色素、液状色素の製造方法、簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキット、並びに薄膜発光材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年1月9日(2020.1.9)
発明の名称または考案の名称 液状色素を含む組成物、膜、その製造方法、化学センサー、液状色素、液状色素の製造方法、簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキット、並びに薄膜発光材料
国際特許分類 C09B  69/02        (2006.01)
C09B  67/20        (2006.01)
C09B  67/44        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C08L 101/00        (2006.01)
C08K   5/19        (2006.01)
C08K   5/3415      (2006.01)
C08K   5/3445      (2006.01)
C08K   5/3432      (2006.01)
C08K   5/49        (2006.01)
C08K   5/36        (2006.01)
C08K   5/3435      (2006.01)
G01N  31/22        (2006.01)
C09B  57/02        (2006.01)
C09B  11/06        (2006.01)
C09B  57/00        (2006.01)
C09B  11/28        (2006.01)
FI C09B 69/02 CSP
C09B 67/20 F
C09B 67/20 A
C09B 67/44 A
C09K 11/06
C09K 11/06 660
C08L 101/00
C08K 5/19
C08K 5/3415
C08K 5/3445
C08K 5/3432
C08K 5/49
C08K 5/36
C08K 5/3435
G01N 31/22 122
C09B 57/02 A
C09B 11/06
C09B 57/00 Z
C09B 11/28 J
国際予備審査の請求
全頁数 32
出願番号 特願2018-568663 (P2018-568663)
国際出願番号 PCT/JP2018/005910
国際公開番号 WO2018/151311
国際出願日 平成30年2月20日(2018.2.20)
国際公開日 平成30年8月23日(2018.8.23)
優先権出願番号 2017028789
2017199086
優先日 平成29年2月20日(2017.2.20)
平成29年10月13日(2017.10.13)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】久本 秀明
出願人 【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
個別代理人の代理人 【識別番号】100106518、【弁理士】、【氏名又は名称】松谷 道子
【識別番号】100132252、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 環
【識別番号】100138885、【弁理士】、【氏名又は名称】福政 充睦
審査請求 未請求
テーマコード 2G042
4J002
Fターム 2G042AA01
2G042BB18
2G042FA11
4J002AB011
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BD031
4J002BE021
4J002BG061
4J002CF071
4J002EU027
4J002EU047
4J002EU077
4J002EU117
4J002EU127
4J002EV297
4J002EW177
4J002FD096
4J002GB04
要約 本発明は、例えば、センサー分野における使用において、高速で応答することが可能であり、その上、高い感度で発色でき、変色可能な液状色素含有組成物を提供することを課題とする。
本発明は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、およびバインダー樹脂を含む、液状色素含有組成物を提供する。さらに、本発明は、液状色素含有組成物、それを含む膜、その製造方法、それを含む化学センサー、液状色素、液状色素の製造方法、液状色素を含む簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキット、並びに液状色素を含む薄膜発光材料を提供する。
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む、液状色素含有組成物。
【請求項2】
前記色素アニオンが、少なくとも2個の酸素原子を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記色素アニオンは、炭素数1~20の炭化水素基を有し、
前記色素アニオンを形成する色素は、アゾ色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、トリフェニルメタン系色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド色素、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド色素、オリゴフェニレン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、フタレイン系色素、ジシアノメチレン系色素、キナクリドン系色素、ペリレン系、キノフタロン系色素、オキサジン系色素、ポリメチン系色素、有機金属錯体系色素、フォトクロミック色素、アントラセン、ルブレン、ジフェニルテトラセン、ジフェニルアントラセンおよびキサンテン系色素から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イオン液体カチオンが、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、スルホニウム系カチオン、およびピペリジニウム系カチオンから成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記バインダー樹脂が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート、セルロース系樹脂およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含み、
変色可逆性を有する、膜。
【請求項7】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む組成物を、
乾燥膜厚が0.1~5.0μmとなるように塗布することを含む、
膜の製造方法。
【請求項8】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む、液状色素を含む、化学センサー。
【請求項9】
さらに、バインダー樹脂を含む、請求項8に記載の化学センサー。
【請求項10】
イオンセンサー、ガスセンサーおよびバイオセンサーから選択される請求項8または9に記載の化学センサー。
【請求項11】
アニオン選択性を有するイオンセンサーである、請求項10に記載の化学センサー。
【請求項12】
酵素バイオセンサーおよびタンパク質センサーから選択される前記バイオセンサーである、請求項10に記載の化学センサー。
【請求項13】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含み、
前記色素アニオンが疎水性である、液状色素。
【請求項14】
請求項13に記載の色素アニオンとイオン液体カチオンとを含む液状色素の製造方法であって、色素アニオンを形成し得る色素とイオン液体カチオンを形成し得るイオン液体とを、溶媒を介して接触させることを含み、水系溶媒を除去することを含み得る、液状色素の製造方法。
【請求項15】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含み、
簡易検査用創薬デバイス、簡易検査用創薬キット、簡易検査用診断分析デバイスおよび簡易検査用診断分析キットからなる群から選択される、簡易検査用デバイスまたはキット。
【請求項16】
電解質、生理活性物質およびタンパク質から選択される少なくとも1種の検出に用いる、請求項15に記載の簡易検査用デバイスまたはキット。
【請求項17】
炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む、
薄膜発光材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液状色素を含む組成物、膜、その製造方法、その液状色素を含む化学センサー、液状色素、液状色素の製造方法、その液状色素を含む簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキット、並びに薄膜発光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
色素は、様々な用途で用いられており、例えば、センサー用途においては、創薬、診断に用いる分析用デバイスとして用いられている。また、色素を含む薄膜は、例えば、分析技術の分野において、注目されている。
【0003】
非特許文献1には、例えば、血液中の塩素を検出するための蛍光色素を含むセンサーが開示されている。非特許文献2には、色素をイオン液体溶媒に溶解させ、その溶解物とポリ塩化ビニル(PVC)とを混合した組成物から形成したアニオンセンサーが開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】S. Tan.他 Reversible optical sensing membrane for the determination of chloride in serum. Analytica Chimica Acta, 255 (1991) 35-44.
【非特許文献2】Zhu J.W.他 Applications of hydrophobic room temperature ionic liquids in ion-selective optodes. Sensor. Actuator. B-Chem. 2011;159:256-260
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
色素は、固体粉末状であるため、通常、溶剤または膜形成樹脂等を用いて希釈または溶解して、利用される。色素を溶剤等で希釈または溶解すると、その用途に応じて要求される色素濃度を満たさないことが多く、例えば、色素濃度を上げる、膜厚を増やす等の対策が必要である。
非特許文献1および2において開示された技術を含め、例えば、センサー用途において、センサーの感度を高めるために、色素濃度を上げる、膜厚を増やす等の必要がある。
しかし、固体粉末状の色素の溶解度には限界があり、センサーの感度を高めることは容易でない。また、膜厚が増加すると、色素の拡散距離が増加し、応答速度が遅くなるという問題が生じている。
このため、例えば、センサー用途において、高感度で、かつ応答速度が速いセンサーが求められている。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、例えば、センサー、デバイス、キットなどの分野における使用において、高速で応答することが可能であり、その上、高い感度で発色および/または変色可能な液状色素を提供することを目的とする。さらに、本発明は、液状色素を含む組成物、膜、その製造方法、その液状色素を含む化学センサー、液状色素の製造方法、その液状色素を含む簡易検査用創薬および/または診断分析デバイスまたはキット、並びに薄膜発光材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本明細書は下記態様を提供する。
[1]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む、液状色素含有組成物。
[2]前記色素アニオンが、少なくとも2個の酸素原子を有する、[1]に記載の組成物。
[3]前記色素アニオンは、炭素数1~20の炭化水素基を有し、
前記色素アニオンを形成する色素は、アゾ色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、トリフェニルメタン系色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド色素、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド色素、オリゴフェニレン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、フタレイン系色素、ジシアノメチレン系色素、キナクリドン系色素、ペリレン系、キノフタロン系色素、オキサジン系色素、ポリメチン系色素、有機金属錯体系色素、フォトクロミック色素、アントラセン、ルブレン、ジフェニルテトラセン、ジフェニルアントラセンおよびキサンテン系色素から成る群から選択される少なくとも1つである、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記イオン液体カチオンが、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、スルホニウム系カチオン、およびピペリジニウム系カチオンから成る群から選択される少なくとも1つである、[1]~[3]のいずれか1に記載の組成物。
[5]前記バインダー樹脂が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート、セルロース系樹脂およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか1に記載の組成物。
[6]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含み、
変色可逆性を有する、膜。
[7]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む組成物を、
乾燥膜厚が0.1~5.0μmとなるように塗布することを含む、
膜の製造方法。
[8]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む、液状色素を含む、化学センサー。
[9]さらに、バインダー樹脂を含む、[8]に記載の化学センサー。
[10]イオンセンサー、ガスセンサー、バイオセンサーから選択される[8]または[9]に記載の化学センサー。
[11]アニオン選択性を有するイオンセンサーである、[10]に記載の化学センサー。
[12]酵素バイオセンサーおよびタンパク質センサーから選択される前記バイオセンサーである、[10]に記載の化学センサー。
[13]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含み、前記色素アニオンが疎水性である、液状色素。
[14]前記[13]に記載の色素アニオンとイオン液体カチオンとを含む液状色素の製造方法であって、色素アニオンを形成し得る色素とイオン液体カチオンを形成し得るイオン液体とを、溶媒を介して接触させることを含み、水系溶媒を除去することを含み得る、液状色素の製造方法。
[15]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含み、
簡易検査用創薬デバイス、簡易検査用創薬キット、簡易検査用診断分析デバイスおよび簡易検査用診断分析キットからなる群から選択される、簡易検査用デバイスまたはキット。
[16]電解質、生理活性物質およびタンパク質から選択される少なくとも1種の検出に用いる、[15]に記載の簡易検査用デバイスまたはキット。
[17]炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、および
バインダー樹脂を含む、
薄膜発光材料。
また、液状色素に含まれる色素アニオンは、少なくとも2個の酸素原子を有してもよく、炭素数1~20の炭化水素基を有してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液状色素は、液状で使用でき、溶剤等による希釈、溶解などを行わなくてもよい。さらに、高い感度を示し、高速に発色、変色可能な色素である。また、本発明の液状色素を含む組成物は、高い感度を示し、高速に発色および/または変色可能な膜、化学センサーなどの製造に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、PVC含量が10重量%である膜の、フローセル中における膜外観を示す図である。
【図2】図2は、[P66614]2 [NP]を含む膜における応答時間と、PVC濃度の関係とを示す図である。
【図3】図3は、色素における変色応答の機構を示す概略図である。
【図4】図4(a)は、得られた薄い膜に、1M HCl、1M NaOH水溶液を交互に接触させた際の変色の可逆性を示す図である。図4(b)は、得られた薄い膜に、1M HCl、1M NaOH水溶液に接触させた1回目の吸収スペクトルと、12回目の吸収スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、薄膜に各種アニオンを含む緩衝溶液を接触させた際の変色挙動を示す。
【図6】図6(a)は、実施例で得られた[P66614]2[NP]を含む薄膜に関するコントラスト評価の結果である。図6(b)は、色素を溶媒に単に溶解させて製膜した従来型の膜に関するコントラスト評価の結果である。
【図7】図7は、本発明における液状色素を含む膜(可視光にて観察)および、紫外線ランプ照射時の膜外観である。
【図8】図8(a)は、[P66614][4ME12a]を用いた膜の変色の可逆性を示す図であり、図8(b)は、その応答時間を示す図であり、図8(c)は、その膜の塩化物イオンセンサーとしての光学応答を示す図である。
【図9】図9(a)は、[4ME12a]を溶解させて形成した従来型の膜における可逆性に関する図である。図9(b)は、応答時間を示す図である。
【図10】図10は、[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む可塑化PVC膜の外観写真である。
【図11】図11は、[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む、可塑化PVC膜の可逆応答性を示す図である。
【図12】図12は、[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む、可塑化PVCの各種イオン(カチオン)に対する変色応答挙動を示す図である。
【図13】図13は、[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の外観写真である。
【図14】図14は、[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜のスペクトル変化とその際の色変化を示す写真である。
【図15】図15は、[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の各種アニオンへの応答挙動を示す図である。
【図16】図16は、[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の可逆応答性と応答時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(液状色素)
ある態様において、本発明は、色素アニオンと、イオン液体カチオンとを含む、液状色素に関する。より詳細には、本発明の実施形態の液状色素は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む。
例えば、後述する本発明の実施形態の液状色素含有組成物は、前記液状色素とバインダー樹脂とを含む。
本明細書において、液状とは、室温(25℃)、1atmで流動性を有することを意味する。すなわち、本発明の液状色素は、溶剤等を用いて希釈したり溶解したりすることなく、流動性を有しているので、そのままの状態で使用できる。
一方、要求される色素濃度を満たすために、溶剤などで希釈して用いてもよく、樹脂中に分散させて使用してもよい。
このような態様においても、本発明の色素は液状であるので、均一に分散できる。

【0011】
ここで、本発明の液状色素と、従来から用いられてきた、色素を単に溶剤等に溶解させた溶解物との違いについて、説明する。
本発明の液状色素は、色素のアニオンとイオン液体のカチオンとを有する物質である。通常、固体粉末状で得られる色素を液状にしたものである。
すなわち、本発明では、色素自体が液状であるため、希釈、溶解等をすることなく、色素を使用できる。
一方、通常の固体粉末状の色素を単に溶剤等に溶解させた溶解物の場合、色素を一旦希釈するなどして用いる必要がある。固体粉末状の色素の溶解度には限界上限があるので、本発明の液状色素とは異なり、所望の機能をもたらすためには、溶解物中の色素濃度を高くしなければならない場合がある。さらに、本発明の液状色素と比べて、溶解物中の色素は析出しやすく、用途においては、溶解物を容易に使用できない。

【0012】
上述したように、本発明の液状色素は流動性を有しているので、例えば、バインダー樹脂に対して高い分散性を示すことができる。このため、例えば、液状色素とバインダー樹脂とを含む組成物から膜を形成した場合、色素が均一に分散し、色素の析出がないまたはほとんど生じない膜が得られる。また、色素の析出等により起こり得る膜の崩壊を抑制できる。
さらに、本発明の液状色素であれば、バインダー樹脂に対して高い分散性を示すことができるので、例えば、乾燥膜厚が0.1~5.0μm、好ましくは0.1~3.0μm、より好ましくは0.1~2.0μm、例えば、0.1~1.5μmである超薄膜を形成でき、その上、色素が均一に分散した膜を得ることができる。
ある態様においては、例えば、センサー用途においては、薄膜中に、十分量の色素を含むことができる。
さらに、例えば、センサー用途に本発明の液状色素を用いる場合、高感度の発色、変色を実現できる。また、薄膜化しても十分な感度が得られることから、薄膜のメリットである高速応答も得られる。
ある態様においては、本発明の液状色素を含む膜は、フローセル内においても安定して使用でき、その上、高精度な測定を行える。また、色素は液状であるので、セル内部への色素の析出を抑制できる。色素の析出を抑制できると、フローセル内に析出、固着した色素により生じ得るスペクトルへの悪影響を大幅に低減できる。

【0013】
本発明における、色素アニオンとイオン液体カチオンとを有する液状色素は、イオン交換率は、40%以上であってもよい。イオン交換率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、とりわけ好ましくは80%以上である。ある態様においては、イオン交換率は90%~100%である。
イオン交換率とは、液状色素に含まれるイオン液体カチオン1モルに対する色素アニオンの割合を示すモル比(百分率)である。イオン交換率の測定は、既知の方法を用いることができる。

【0014】
イオン交換率がこのような範囲内であることにより、常温において、液状色素は安定した状態で存在できる。さらに、発色、変色などの際においても、液状色素は安定した状態で存在し得るので、例えば、センサー用途に本発明の液状色素を用いる場合、高感度の発色、変色を実現できる。また、薄膜化しても十分な感度が得られることから、薄膜のメリットである高速応答も得られる。このような効果を有することにより、従来のセンサーのように、色素濃度を高くする必要がなく、およびセンサーの膜厚を増やす必要がない。

【0015】
本発明の液状色素は、イオン液体カチオンと色素アニオンがイオン結合したものであると推定される。イオン液体カチオンと色素アニオンは、任意の価数を有することができる。例えば、イオン液体カチオンが1価のカチオンであり、色素アニオンが1価のアニオンである場合、イオン液体カチオンの出発物質であるイオン液体に由来するプロトン数と、色素アニオンの出発物質である色素に由来するプロトン数とを比較すると、液状色素における、イオン液体部位:色素部位=1:0.1~1:1の範囲内であり得、例えば、イオン液体部位:色素部位=1:0.5~1:1の範囲内であり得、より好ましくは、イオン液体部位:色素部位=1:0.8~1:1の範囲内である。
イオン液体カチオンの出発物質であるイオン液体に由来するプロトン数と、色素アニオンの出発物質である色素に由来するプロトン数との比較は、一般的に核磁気共鳴分析(NMR)法を用いて行うことができる。また、公知の方法、例えば、質量分析法、イオンビーム法などを用いてもよい。
ある態様において、イオン液体カチオンが1価のカチオンであり、色素アニオンが2価のアニオンである場合、イオン液体カチオンの出発物質であるイオン液体に由来するプロトン数と、色素アニオンの出発物質である色素に由来するプロトン数とを比較すると、液状色素における、イオン液体部位:色素部位=2:0.1~2:1の範囲内であり得、例えば、イオン液体部位:色素部位=2:0.5~2:1の範囲内であり得、より好ましくは、イオン液体部位:色素部位=2:0.6~1:1の範囲内である。プロトン数の比較は、上述したような公知の方法を用いて行える。
イオン液体部位と色素部位との関係が、上記のような範囲内であることにより、常温において、液状色素は安定した状態で存在し得る。さらに、発色、変色などの際においても、液状色素は安定した状態で存在し得る。例えば、センサー用途に本発明の液状色素を用いる場合、高速での応答ができ、その上、高感度の発色、変色を実現できる。

【0016】
本発明においては、上記態様に限定されず、色素アニオンが様々な価数を有する場合においても、好ましくは、液状色素における液体部位と色素部位の関係は、当量な関係を示し得る。

【0017】
(色素アニオン)
本発明における色素アニオンの炭素数は5~50、好ましくは8~40、例えば、10~35である。ここで、色素アニオンの炭素数は、色素アニオンの出発物質となる色素の骨格に含まれる炭素を意味する。このため、後述する、炭素数1~20の炭化水素基(例えばアルキル基)などの置換基に存在する炭素数は、色素アニオンの炭素数に含まれない。ここで、本発明において炭化水素基は、炭素原子と水素原子のみから構成される。

【0018】
本発明における色素アニオンは、色素分子(以下、色素ともいう)から、水素イオンとして電離し得る水素原子を一個以上除いた残りの原子または原子団からなる陰イオンを意味する。
色素アニオンは、好ましくは、1~5価のアニオンであり、好ましくは1~3価のアニオンである。例えば、色素アニオンは1価のアニオンであり、別の態様では、色素アニオンは2価のアニオンである。
ある態様においては、色素アニオンと組合せるイオン液体カチオンの価数に応じて、色素アニオンの価数を選択できる。

【0019】
ある態様において、色素アニオンは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される少なくとも1個の原子、好ましくは少なくとも2個の原子を有してもよい。ある態様において、少なくとも2個の原子は、同一の原子であり、特に、酸素原子である。ある態様において、色素アニオンは、少なくとも3個の酸素原子を有してもよい。
このような原子を有することにより、イオン液体カチオンとの結合性が良好になり、イオン交換率が高い液状色素を得ることができる。また、色素の有する性質、例えば、変色性、発色性を良好に発揮できる。
色素アニオンが、酸素原子、窒素原子および硫黄原子を有する態様は、色素内で、例えば、二重結合により炭素原子と結合している態様、炭素基と結合している態様を挙げられる。ある態様において、色素アニオンは、少なくとも2個の酸素原子を有し、好ましくは、色素は、分子中に、エステル結合およびエーテル結合の少なくとも1つを有する。

【0020】
ある態様において、色素アニオンは、少なくとも1個の酸素イオン(O)、ハロゲンイオン(X)、酢酸イオン(CHCOO)、硝酸イオン(NO)、硫酸水素イオン(HSO)、硫酸イオン(SO2-)を有し得る。
好ましくは、色素アニオンは、少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個の酸素イオンを有する。色素アニオンが酸素イオンを有することにより、イオン液体カチオンとの結合により、本発明の液状色素は、常温であっても安定した状態で液状であることができる。
ある態様において、色素アニオンは、上述した少なくとも2個の酸素原子とは別に、少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個の酸素イオンを有する。酸素イオンは、通常、酸素アニオンである。
このような態様においては、例えば、色素アニオンは少なくとも2個の酸素原子と、少なくとも1個の酸素イオンを有する。このような色素アニオンを有する液状色素は、色素の有する発色性、変色性を損なうことなく、その上、常温であっても安定した状態で液状であることができる。

【0021】
ある態様において、色素アニオンは、炭素数1~20の炭化水素基、特に、アルキル基を有し得る。好ましくは、色素アニオンは、炭素数2~20、より好ましくは炭素数5~20、特に好ましくは炭素数5~15の炭化水素基、特に、アルキル基を有し得る。
また、炭化水素基の数は、限定されないが、例えば、色素アニオン中、1~3個の炭化水素基を有してもよく、炭化水素基は、適宜分岐していてもよい。
色素アニオンがこのような炭素数を有する炭化水素基を有することにより、イオン液体カチオンと色素アニオンの結合がより安定した液状色素を得ることができる。
例えば、イオン液体カチオンの出発物質であるイオン液体に由来するプロトン数と、色素アニオンの出発物質である色素に由来するプロトン数との比率を、理想的な比率の1:1に近づけることができ、本発明の液状色素は、常温であっても、より安定した状態で液体であることができる。
また、色素アニオンが有する炭化水素基長を選択することにより、本発明の液状色素の粘性を調整できる。例えば、センサー用途に本発明の液状色素を用いる場合、要求される応答感度、応答速度に応じて、色素アニオンが有する炭化水素基長を選択できる。
さらに、例えば、液状色素をセンサー用途に使用する場合、高い感度と高速応答性をもたらし得る。
また、色素アニオンは、上記した炭化水素基を有することにより、色素アニオンは疎水性を示し得る。疎水性を示すことにより、色素アニオンは水に溶解しにくくなる。例えば、イオンセンサーに本発明の液状色素を用いる場合、何回測定しても色素が水溶液側に溶け出しにくいので、応答の長期安定性を向上できる。このように、本発明の液状色素を含むことにより、可逆応答の長期安定性に優れたセンサーを作製できる。

【0022】
色素アニオンの基となる色素の具体例として、光吸収性の色素、光放射性(蛍光性)色素、光誘起分極性の色素、光導電性の色素、可逆変化性の色素および化学反応性の色素を挙げることができる。
例えば、本発明の液状色素を、センサー用途において用いる場合、上述の機能を有する色素のうち、好ましくは、可逆変化または化学反応などにより変色性を示す色素、および蛍光発色性を有する色素等の光放射性の色素を選択できる。

【0023】
可逆変化または化学反応などにより変色性を示す色素は、例えば、色調が可逆的かつ明確に変化し、その色調変化を視認により、または光学的な読取装置等によって確認できるものである。さらに、色素は、経時的に色調変化するものであってもよく、即時に色調変化するものであってもよい。

【0024】
蛍光発色色素は、例えば、可視光領域(380~750nm)で視認されず、紫外線(380nm未満)により励起されて可視光領域に発光波長を有する色素が挙げられる。

【0025】
色素アニオンを形成する色素の具体例として、アゾ色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、トリフェニルメタン系色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド色素、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド色素、オリゴフェニレン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、フタレイン系色素、ジシアノメチレン系色素、キナクリドン系色素、ペリレン系、キノフタロン系色素、オキサジン系色素、ポリメチン系色素、有機金属錯体系色素、フォトクロミック色素、アントラセン、ルブレン、ジフェニルテトラセン、ジフェニルアントラセン、キサンテン系色素等を挙げることができる。

【0026】
好ましくは、クマリン系色素、フタレイン系色素、およびキサンテン系色素である。クマリン系色素、フタレイン系色素およびキサンテン系色素は、少なくとも2個の酸素原子を有し得る。さらに、所望により、クマリン系色素、フタレイン系色素およびキサンテン系色素は、炭素数1~20の炭化水素基を有してもよい。
本発明においては、このような色素に基づく色素アニオンであることにより、液状色素は、色素の有する発色性、変色性を損なうことなく、その上、常温であっても安定した状態で液状であることができる。

【0027】
ある態様において、色素は、下記式(I-a)で表されるナフトールフタレイン(フタレイン系色素)であってもよく、色素アニオンは、下記式(I-b)で表される2価のナフトールフタレインアニオンであり得る。ナフトールフタレインおよびナフトールフタレインアニオンは、要求され感度、応答速度などに応じて置換基を有してもよい。例えば、炭素数1~20の炭化水素基を有してもよい。

【0028】
【化1】
JP2018151311A1_000003t.gif

【0029】
【化2】
JP2018151311A1_000004t.gif

【0030】
なお、本発明においては、上記した構造に限定されず、同様の構造を有し得る態様も含まれる。

【0031】
ある態様において、色素は、下記式(II-a)で表されるクマリン系色素であってよく、色素アニオンは、下記式(II-b)で表される、1価のクマリン系アニオンであり得る。クマリン系色素およびそのアニオンは、目的に応じて、更に置換基を有してもよい。例えば、炭素数1~20の炭化水素基、特に、アルキル基を有してもよい。

【0032】
【化3】
JP2018151311A1_000005t.gif
[式中、Rは、炭素数1~20の炭化水素基を示す。]

【0033】
好ましくは、Rは、炭素数5~20の炭化水素基、より好ましくは、炭素数5~15の炭化水素基である。

【0034】
【化4】
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[式中、Rは、炭素数1~20の炭化水素基を示す。]

【0035】
好ましくは、Rは、炭素数5~20の炭化水素基、より好ましくは、炭素数5~15の炭化水素基である。
なお、本発明においては、上記した構造に限定されず、同様の構造を有し得る態様も含まれる。

【0036】
ある態様において、色素アニオンを形成する色素として、ビス(4-オクチルフェニル)リン酸(HDOPP)系の色素であってよい。また、色素アニオンを形成する色素として、フルオレセイン系の色素を含んでもよい。これらの色素は、適宜、炭化水素基を導入した誘導体であってもよい。

【0037】
(イオン液体カチオン)
本発明におけるイオン液体は、炭素数6~60のイオン液体であり、好ましくは炭素数15~60、より好ましくは、炭素数15~55である。

【0038】
イオン液体は、イオン液体あるいは常温溶融塩とも呼ばれ、アニオンとカチオンから構成されている電解質であり、常温で液体の状態を保つ物質である。
イオン液体の粘度は、常温で融体である限り特に制限されないが、好ましくは1~200mPa・sである。

【0039】
本発明において、イオン液体カチオンとは、イオン液体からアニオンを取り除いたものであり、イオン液体を構成するカチオンそのものを意味する。

【0040】
上述のように、イオン液体カチオンは、イオン液体を形成するカチオンそのものであることができる。イオン液体を形成するカチオンとしては、例えば、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、スルホニウム系カチオン、およびピペリジニウム系カチオンを挙げることができる。
好ましくは、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンである。
さらに好ましくは、イオン液体を形成するカチオン、すなわち、イオン液体カチオンは、ホスホニウム系カチオンである。

【0041】
イオン液体を形成するアニオンとしては、Cl、Br、I、NCO、CHCOO、BF、PF、AlCl、AlCl、ClO、NO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、CSO、(CSO、(CFSO)(CFCO)N等を使用することができる。

【0042】
以下に本発明におけるイオン液体カチオンの出発物質として利用可能なイオン液体を例示する。しかし、これらに限定して解釈されるべきではない。
ピラゾリウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、
1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。

【0043】
ピロリジニウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム テトラフルオロボラート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。

【0044】
アンモニウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、
トリエチルペンチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウム ブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチルジメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート、トリメチルプロピル ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジエチルメチル(2-メトキシエチル)アンモニウム ヘキサフルオロホスファート、ジエチルメチル(2-メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。

【0045】
イミダゾリウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスファート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム テトラフルオロボラート、1,3-ジメチルイミダゾリウム クロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウム ジメチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヨージド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム p-トルエンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム エチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム 2-(2-メトキシエトキシ)エチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム ヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム テトラクロロフェラート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボラート、1-エチル-2,3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム クロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。

【0046】
ピリジニウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、
1-エチルピリジニウム クロリド、1-エチルピリジニウム ブロミド、1-ブチルピリジニウム クロリド、1-ブチルピリジニウム ブロミド、1-ブチルピリジニウム ヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルピリジニウム エチルスルファート、1-ブチル-4-メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスファート、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウム エチルスルファート等が挙げられる。

【0047】
ホスホニウム系カチオンを含むイオン液体の具体例としては、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム クロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウム ブロミド、テトラブチルホスホニウム ブロミド、トリブチル(2-メトキシエチル)ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。

【0048】
例えば、本発明のイオン液体カチオンが、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムのハロゲン化物由来のカチオンである場合、本発明に係るイオン液体カチオンは、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム(下記式(III-a))となる。

【0049】
【化5】
JP2018151311A1_000007t.gif

【0050】
ある態様において、ホスホニウム系カチオンを含むイオン液体カチオンは、一般式、
(Rで示すことができる。式中、Rは、それぞれ同一または異なって、炭素数1~20の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数6~20の炭化水素基、特に、アルキル基である。

【0051】
本発明において、色素アニオンとイオン液体カチオンの組合せは、適宜選択できる。
ある態様において、色素アニオンは、クマリン系色素アニオンおよびフタレイン系色素アニオンから選択される少なくとも1つである。
ある態様において、クマリン系色素アニオンおよびフタレイン系色素アニオンは、少なくとも2個の酸素原子を有し得る。
さらに、所望により、クマリン系色素アニオンおよびフタレイン系色素アニオンは、炭素数1~20の炭化水素基、特に、アルキル基を有してもよい。
ある態様において、色素アニオンは、上記式(I-b)で表されるナフトールフタレインアニオンであり、イオン液体カチオンは、上記式(III-a)で表されるトリヘキシルテトラデシルホスホニウムであり得る。
ある態様において、色素アニオンは、上記式(II-b)で表される、クマリン系アニオンであり、イオン液体カチオンは、上記式(III-a)で表されるトリヘキシルテトラデシルホスホニウムである。
このような組合せであることにより、液状色素は、色素の有する発色性、変色性を損なうことなく、その上、常温であっても安定した状態で液状であることができる。
さらに、このような組合せを有する液状色素を含む、膜、イオンセンサーなどは、高い感度を示し、その上、高速応答性を有し得る。

【0052】
(液状色素の製造方法)
本発明は、さらに、色素アニオンとイオン液体カチオンとを含む液状色素の製造方法であって、色素アニオンを形成し得る色素と、イオン液体カチオンを形成し得るイオン液体とを接触させることを含む製造方法を提供する。
ある態様において、液状色素の製造方法は、色素アニオンを形成し得る色素とイオン液体カチオンを形成し得るイオン液体とを、溶媒を介して接触させ(溶媒の存在下接触させ)、溶媒、例えば、水等の水系溶媒を除去し得ることを含む。また、所望により、液状色素の調製時に生成し得る塩、例えば、ナトリウムイオン、塩化物イオンなどを除去してもよい。

【0053】
例えば、イオン液体カチオンの基になるイオン液体と、色素アニオンの基になる色素を、適当な溶媒を介して(溶媒の存在下)、10℃~40℃、好ましくは15℃~35℃の温度、より好ましくは常温20℃~25℃で、0.5~24時間、好ましくは0.5~20時間、より好ましくは0.5~15時間撹拌し、有機相から溶媒を留去することにより、本発明における液状色素を製造できる。
例えば、色素アニオンが上記した炭化水素基、好ましくは、上記したアルキル基を有することにより、色素アニオンは疎水性を示し得る。疎水性を示すことにより、色素アニオンは水に溶解しにくくなり、色素は、より高い確率で有機相に存在し得る。これにより、色素アニオンとイオン液体カチオンの反応をより効率的に行える。
なお、用いることができる溶媒は、イオン液体および色素と反応しないものであり、本発明の液状色素を得られるものであれば、適宜選択できる。例えば、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
また、有機相の洗浄、残留水分の除去などは、公知の方法を用いることができる。
水の除去についても、公知の方法を用いることができる。例えば、脱水剤による乾燥により除去でき、これにより、本発明の液状色素に含まれる色素アニオンを形成し得る原料色素と、イオン液体カチオンを形成し得るイオン液体との結合を破壊すること無く、水を除去できる。

【0054】
本発明の製造方法によると、色素アニオンを形成し得る原料色素と、イオン液体カチオンを形成し得るイオン液体とを、ほぼ当量で結合させることが可能である。

【0055】
ある態様においては、色素に炭素数1~20の炭化水素基を結合させた後、炭化水素基含有色素とイオン液体とを反応させ、液状色素を形成してもよい。色素とイオン液体の組合せなどに応じて、色素に炭化水素基を導入することにより、色素とイオン液体とを、ほぼ当量でイオン結合させることができる。
更に、液状色素を製造した後、バインダー樹脂と混合することにより、液状色素含有組成物を製造できる。この際、本発明の液状色素であれば、溶剤等を用いて更に希釈したり溶解したりすることなく、流動性を有しているので、そのままの状態で使用できる。このような態様においても、本発明の色素は液状であるので、組成物中で均一に分散できる。

【0056】
(液状色素含有組成物)
本発明は、さらに、本発明に係る液状色素と、バインダー樹脂とを含む液状色素含有組成物を提供する。組成物は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素、およびバインダー樹脂を含む、液状色素含有組成物である。また、前記組成物において、色素アニオンは、少なくとも2個の酸素原子を有し得る。別の態様では、色素アニオンは、炭素数1~20の炭化水素基を有し得る。ある態様において、イオン液体カチオンは、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、スルホニウム系カチオン、およびピペリジニウム系カチオンから成る群から選択される少なくとも1つであり得る。
本発明の組成物は、上記した本発明に係る液状色素とバインダー樹脂とが均一に分散するので、例えば、製膜した際、色素の析出を抑制でき、均一な薄膜を形成できる。
なお、組成物は、その目的および用途などに応じて、本発明に係る液状色素に加えて、既知の材料を有してもよい。また、既知の材料の配合量は、本発明に係る液状色素の機能を損なわない範囲で、適宜調整できる。

【0057】
バインダー樹脂は、本発明の液状色素含有組成物を得ることができ、液状色素の機能を阻害しない限り、適宜選択できる。バインダー樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種である。特に好ましくは、バインダー樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、PMMA、ポリスチレン、セルロース系樹脂から選択される少なくとも1種である。

【0058】
本発明の液状色素含有組成物を得られる限り、液状色素とバインダー樹脂の配合比は、特に限定されない。例えば、液状色素とバインダー樹脂の合計重量を100重量%とした場合、バインダー樹脂の含有量は、好ましくは5~20重量%、より好ましくは、7~15重量%である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、例えば、膜を、可逆性を有するセンサーとして使用する場合、測定回数が増加しても、色素が析出しにくく、安定した膜を形成できる。さらに、膜を可逆的センサーとして使用する場合、早い応答時間を保持でき得る。

【0059】
(可逆性を有する膜)
本発明は、さらに、液状色素と、バインダー樹脂とを含む膜であって、液状色素は、上記した本発明にかかる液状色素であり、可逆性を有する膜を提供する。膜に含まれる液状色素は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む。なお、「液状色素」および「バインダー樹脂」などについて、上述の本明細書の記載を参照できる。
ここで、可逆性を有する膜とは、例えば、膜に塩基性水溶液を接触させると、発色し、酸性水溶液を接触させると、塩基性水溶液を接触させる前の状態を示す膜であってもよい。同様に、特定の化学物質の有無に応じて、変色と元の色に戻ることを繰り返すことができる膜であってもよい。さらに、塩基性水溶液の塩基成分濃度に応じて、色彩が変化する態様であってもよい。本明細書においては、可逆的に変色する膜を、変色可逆性を有する膜と称する場合がある。変色には、色変化が生じることに加え、蛍光発色することも含む。

【0060】
本発明の液状色素を含む、可逆性を有する膜は、高い可逆性を示すことができる。また、膜に接触させるイオンに対して、選択的に応答することが可能である。このため、本発明における膜であれば、様々なイオンが存在する溶液から、特定の物質、例えばイオンが低濃度で含まれる場合であっても、所望の物質を検出できる。さらに、色素が可逆性を有する場合、膜も高い可逆性を示すことができる。

【0061】
可逆性を有する膜の膜厚は、例えば0.1~5.0μmであり、好ましくは0.1~4.0μmであり、より好ましくは0.1~3.0μmであり、とりわけ好ましくは0.1~2.0μmである。
ある態様においては、本発明の液状色素とバインダー樹脂を含む薄膜発光材料が提供され、例えば、薄膜発光材料の膜厚は、0.1μm以上1.0μm以下、好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。本発明の液状色素を含むことで、薄膜発光材料をこのように極めて薄くでき、かつ、高感度の発色、変色を実現できる薄膜発光材料を得ることができる。また、薄膜発光材料は、変色可逆性を有してもよい。
本発明に係る液状色素を用いることにより、薄膜化が可能となる。更に、例えば、膜をセンサー用途に用いる場合、薄膜化しても十分な感度が得られ、色素の拡散距離を短くでき、応答速度を高くすることが可能となる。その上、高感度の発色、変色を実現できる。
また、可逆性を有する膜の膜厚を薄くできるので、特定の物質、例えばイオンが低濃度で含まれる場合であっても、所望の物質を高い感度および高速に検出でき、その上、繰り返し使用することができる。

【0062】
本発明は、さらに、液状色素と、バインダー樹脂とを含む膜の製造方法を提供する。
ある態様においては、乾燥膜厚が例えば、0.1~5.0μmの範囲、好ましくは0.1~4.0μm、より好ましくは0.1~3.0μm、とりわけ好ましくは0.1~2.0μmとなるように、本発明における組成物を塗布することを含む。また、液状色素は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む。
膜は、例えば、スピンコーターを用いて形成できる。本発明における液状色素を含むことにより、上記範囲の膜厚を有する薄膜を形成できる。
本発明によると、このような薄膜であっても、色素を均一に分散させることができる。さらに、色素を析出させることなく膜形成が可能である。さらに、従来は得られることのできなかった、高濃度で色素が存在する膜を形成でき、薄膜でありながら、応答時間の短縮と高感度のセンサーを提供できる。
その上、このような範囲に膜厚を有するので、本発明の製造方法により形成された膜は、高い可逆性を有し、高速応答および高感度変色が可能である。

【0063】
さらに、本発明の膜は、用いる樹脂の特性により様々な性質を有し得る。本発明に係る液状色素を含む膜であれば、色素に起因する膜の崩壊が生じにくく、例えば、曲面に沿った膜など、任意の形状の膜を形成できる。また、均一に色素が分散し、強度に優れた膜を形成でき、例えば、フローセル中においても使用できる。また、良好な平滑性を有し得る。

【0064】
(用途)
本発明の液状色素は、様々な用途に適用できる。ある態様において、本発明の液状色素を含み、バインダー樹脂を含む液状色素含有組成物は、膜状の化学センサー、例えば、イオンセンサー、ガスセンサー、バイオセンサー等に適用できる。また、液状色素は、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む。
ある態様においては、化学センサーは、アニオン選択性を有するイオンセンサーであってもよく、酵素バイオセンサーおよびタンパク質センサーから選択されるバイオセンサーであってもよい。
例えば、特定のイオン種の存在により変色、蛍光性を示すイオンセンサーとして適用できる。本発明の液状色素を含むイオンセンサーであれば、高い可逆性を有し、高速応答および高感度変色が可能である。ある態様においては、イオンセンサーは、アニオン選択性を示す。また、例えば、特定のイオン濃度の上昇に伴い、色の濃淡、色調が変化するイオンセンサーを提供できる。
なお、化学センサー、例えば、イオンセンサー、ガスセンサー、バイオセンサー等は、本発明に係る液状色素を含み、更に、バインダー樹脂を含んでもよい。また、「液状色素」および「バインダー樹脂」などについて、上述の本明細書の記載を参照できる。

【0065】
例えば、本発明に係る膜は、SCN、ハロゲンイオン、例えば、BrおよびCl、SO2-などのイオン選択性を有することができる。ある態様においては、SCN>Br>Cl>SO2-の順で選択性を有することができる。例えば、アニオンセンサーである場合、アニオンの疎水性の序列に従い応答できる。

【0066】
本発明の液状色素は、簡易検査用創薬・診断分析デバイス、キットに使用できる。例えば、電解質、生理活性物質およびタンパク質などの検出に使用できる。
さらに、本発明の液状色素は、超薄膜発光材料などの、薄膜にも使用できる。
例えば、簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキットは、炭素数5~50の色素アニオンと、炭素数6~60のイオン液体カチオンとを含む液状色素を含み、バインダー樹脂を含んでもよい。ここで、「液状色素」および「バインダー樹脂」等について、本明細書の記載を参照できる。
ここで、上記簡易検査用(創薬および/または診断分析)デバイスまたはキットは、簡易検査用創薬デバイス、簡易検査用創薬キット、簡易検査用診断分析デバイスおよび簡易検査用診断分析キットを含む。
ある態様において、簡易検査用創薬および/または診断分析デバイスまたはキットは、電解質、生理活性物質およびタンパク質から選択される少なくとも1種の検出に用いることができる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中「部」および「%」は、ことわりのない限り重量基準による。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
(液状分子の合成-1)
液状色素分子[P66614]2[NP]の合成
1002mgのトリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド(P66614 Br)を50mLの塩化メチレンに溶解し、755.8mgのナフトールフタレイン(NP)を含む水溶液1M NaOH水溶液10mLと接触させ、常温(25℃)にて約12時間、撹拌した。
その後、水相を捨て、新たに純水を加えて撹拌する操作を3回繰り返し、有機相を洗浄した。
次いで、有機相をとり、そこに適量の無水硫酸ナトリウムを加えて残存している水分を取り除いた。
固体の無水硫酸ナトリウムを濾別し、有機相の溶媒を留去し、液状色素([P66614] 2 [NP])を得た。
核磁気共鳴分析(NMR)のデータから、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム[P66614]由来のアルキルプロトン数とナフトールフタレイン[NP]由来のプロトン数を比較したところ、その比率は、当量で反応した場合の比率の2:1に対し、約2:0.7であった。このため、極めて高い比率で、色素アニオンとイオン液体カチオンがイオン結合した液状色素([P66614] 2 [NP])を得ることができた。なお、イオン交換率は、約70%であった。
この実施例における化学反応の概略を、以下の式に示す。
【実施例】
【0069】
【化6】
JP2018151311A1_000008t.gif
【実施例】
【0070】
(実施例2)
(液状分子の合成-2)
液状色素分子[P66614] [4ME12a]の合成
152mgのトリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド(P66614 Cl)および炭素数12の炭化水素基を導入したクマリン誘導体(4ME12a)109mgを150mLのクロロホルムに溶解し、NaOH水溶液を加えて振とうした。その後、水相を捨て、純水を加えて再度振とうし、有機相の洗浄を2回行った。有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムを加え、残留水分を除去した。固体の硫酸ナトリウムを濾別し、有機相の溶媒を留去し、液状の色素([P66614] [4ME12a])を得た。
核磁気共鳴分析(NMR)のデータから、P66614 由来のアルキルプロトン数と4ME12a由来のプロトン数を比較したところ、その比率は、当量で反応した場合の比率である1:1であった。この実施例における化学反応の概略を、以下の式に示す。
【実施例】
【0071】
【化7】
JP2018151311A1_000009t.gif
【実施例】
【0072】
(実施例3)
[P66614]2 [NP]を用いた可塑化PVC膜の作製
ポリ塩化ビニル(PVC)と、実施例1で調製した[P66614]2 [NP]の合計重量が100mgとなるように組成を変化させ、液状色素を含む組成物を調製した。
得られた組成物を、溶媒となるテトラヒドロフラン(THF)450mgに溶解させた。プラスチック基板上に溶解物を滴下し、スピンコーターを用いて膜材を均一展開し、THFを蒸発させ、厚さ約2.0~3.0μmの薄膜を作製した。このような工程を経て、本発明の液状色素を含む膜を形成した。
【実施例】
【0073】
得られた様々な膜の一例として、PVC含量が10重量%である膜におけるフローセル中の外観図を、図1に示す。図1に示されるように、青色に着色した、膜は、平滑であり、割れなどが生じていない。また、膜の色彩もムラが無く、均一である。このように、本発明による液状色素を含むことにより、例えば、フローセル中においても均一で安定した膜を形成できる。
【実施例】
【0074】
(実施例3-2)
[P66614]2 [NP]を用いた可塑化PVC膜における膜性能の評価
(膜外観)
実施例1で得られた[P66614]2 [NP]を含み、PVC含量が5重量%、10重量%および20重量%である膜を、フローセルにセットし、塩化物イオンの水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を交互に接触させ、プロトンと塩化物イオンの協同抽出モデルに基づく変色挙動を評価した。
例えば、PVC含量が10重量%である膜について12回測定をおこなったところ、[P66614]2 [NP]の流出は観察されなかった。よって、本発明の液状色素を含む膜は、膜強度が高く、その上、色素の流出を抑制できることが判る。
【実施例】
【0075】
(応答時間)
また、実施例1で得られた[P66614]2 [NP]を含み、PVC含量が5重量%、10重量%および20重量%のいずれの膜においても、応答時間が短い膜を得ることができた。応答時間と、PVC濃度の関係を示す結果を、図2に示す。図2において、応答時間のデータの横軸は時間、縦軸は全色素中の脱プロトン化色素の割合をとっている。
また、色素分子の変色応答の機構は図3に示すように、プロトンとアニオン(塩化物イオン)の協同抽出に基づいている。
【実施例】
【0076】
(可逆応答性評価)
PVC10mgと、実施例1で得られた[P66614]2[NP]90mgとを、THF 1500mgに溶解させ、スピンコーターを用いて薄膜を作製した(膜厚約500nm)。
図4(a)は、得られた薄い膜に、1M HCl、1M NaOH水溶液を交互に接触させた際の変色の可逆性を示す図である。図4(a)によると、本発明の液状色素を含む薄膜は、高い可逆性を有していることが判る。
図4(b)は、得られた薄い膜に、1M HCl、1M NaOH水溶液に接触させた1回目の吸収スペクトルと、12回目の吸収スペクトルを示す図である。ここで、図4(b)において、370nm付近と670nm付近とにピークを有する曲線は、膜を1M NaOH水溶液に接触させたときを示す曲線であり、前記ピークを有する曲線と比べて、ほぼ平坦な曲線は、膜を1M HClに接触させたときを示す曲線である。また、それぞれの局線において、実線は1回目のスペクトルを示し、破線は12回目のスペクトルを示す。この図からも明らかなように、1回目の吸収スペクトルと、12回目の吸収スペクトルは、1MNaOH水溶液に接触させたときも、1M HClに接触させたときも、両方とも、ほぼ一致しており、本発明の液状色素を含む薄膜は、高い可逆性を有していることが判る。
【実施例】
【0077】
(各種イオン(アニオン)に対する変色応答挙動)
PVC10mgと、実施例1で得られた[P66614]2[NP]90mgとを、THF 1500mgに溶解させ、スピンコーターを用いて薄膜を作製した(膜厚約500nm)。
その膜に、各種アニオン(Cl-、Br-、SCN-、SO2-)を含む50mMホウ酸-NaOH緩衝溶液(pH10)を接触させた。
図5は、薄膜に各種アニオンを含む緩衝溶液を接触させた際の変色挙動を示す。この図から明らかなように、[P66614]2[NP]を含む薄膜においては、特にSCN-に対し、低い濃度から応答していることが分かる。また、SCN>Br>Cl>SO2-の順で選択性を有することが分かる。
【実施例】
【0078】
(薄膜化によるコントラスト評価)
PVC10mgと、実施例1で得られた[P66614]2[NP]90mgとを、THF 1500mgに溶解させ、スピンコーターを用いて薄膜を作製した(膜厚約500nm)。
塩化物イオン(Cl-)濃度への変色応答は、膜をフラットベッドスキャナーに載せ、カラーモードでスキャン画像を取得した。
図6(a)は、実施例1で得られた[P66614]2[NP]を含む薄膜に関するコントラスト評価の結果である。図6(a)において、左(NaOH)側は深い青であり、右(HCl)側は浅い黄色である。また、10-4から10に向かって、グラデーションのように、段階的に浅い黄色に変化している。このように、本発明による液状色素を含むことにより、塩化物イオン濃度の上昇とともに深い青が浅い黄色へと段階的に変化していることが分かり、変色も明確に区別することができる。
【実施例】
【0079】
(比較例1)
一方、コントラスト評価に関する比較対象として、炭素数18のアルキル基を有するナフトールフタレイン(18-NP)を合成し、固体状の色素を溶解させて形成する従来型の膜を作製した。
具体的には、18-NP 5mg、PVC30mg、膜溶媒としてニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)を60mg、テトラドデシルアンモニウムブロミド5mgを、1500mgのTHFに溶解し、スピンコート法で膜を作製した。膜厚は、約500nm程度である。
図6(b)は、色素を溶媒に単に溶解させて製膜した従来型の膜に関するコントラスト評価の結果である。
その結果、従来型の膜では元々の青色が薄く、10-4から10の間においても、変色もはっきりはわからない程度である。この場合、色素濃度は約6倍以上になっており、液状色素の優位性がわかる。
【実施例】
【0080】
(実施例4-1)
[4ME12a]を用いた可塑化PVC膜の作製
実施例2で得られた[P66614] [4ME12a]を46.3mg、ポリ塩化ビニル(PVC)5.2mgを、THF1035mgに溶解させた。
プラスチック基板上にその液体を滴下し、スピンコーターを用いて膜材を均一展開し、かつTHFを蒸発させ、厚み500nm程度の薄膜を作製した。
図7は、作製した膜(可視光にて観察)および、紫外線ランプ照射時の膜外観である。
可視光にて観察した膜は、ほぼ無色透明であり、均一な薄膜である。さらに、紫外線ランプ照射時の膜は、鮮やかな蛍光色(青色)を発している。
紫外線ランプ照射時の膜外観から明らかなように、本発明の液状色素を含む膜は、溶質の析出なく、均一に薄膜が作製されていることがわかる。また、極薄い膜であるにも拘らず、非常に強い発蛍光を示すこともわかる。
【実施例】
【0081】
(実施例4-2)
[P66614] [4ME12a]を用いた可塑化PVC膜のイオン(アニオン)に対する変色応答挙動
実施例(4-1)で作製した膜に1M HCl水溶液、1M NaOH水溶液を交互に接触させた際の変色の可逆性を、図8に示す。
図8(a)は、[P66614][4ME12a]を用いた膜の変色の可逆性を示す図であり、図8(b)は、その応答時間を示す図であり、図8(c)は、その膜の塩化物イオンセンサーとしての光学応答を示す図である。
具体的には、図8(a)によると、本発明の液状色素を有する膜は、HCl接触時には塩化物イオン(Cl-)とプロトンが協同抽出されるために吸光度が下がり、NaOH接触時には、逆に塩化物イオンとプロトンが膜相から水相に放出されるために吸光度が上がっている。交互にそのプロセスを繰り返すと高い可逆性が得られている。この際の応答時間は図8(b)からも分かるように約1.5秒程度である。液状色素を用いた場合には吸光度差が約0.6となることが分かる。図8(c)は、pHを7.4に固定して、塩化物イオン濃度を振ったときの吸光度応答を、全色素中の脱プロトン色素分子の割合(α)で表記したものである。約0.001M~1M程度の塩化物イオン濃度に応答して吸光度が変化していることが分かる。本発明の液状色素を有する膜は、幅広い濃度の対象物に対して、応答性を示すことができ、非常に高感度であることが分かる。
【実施例】
【0082】
(比較例2)
固体状の色素[4ME12a]を溶解させて形成する従来型の膜を作製した。具体的には、[4ME12a]3mg、PVC30mg、膜溶媒としてフタル酸ジオクチル(DOP)を60mg、テトラドデシルアンモニウムブロミド7mgを、1000mgのTHFに溶解し、スピンコート法で膜を作製した。膜厚は、約500nmであった。
図9(a)は、[4ME12a]を溶解させて形成した従来型の膜における可逆性に関する図である。図9(b)は、応答時間を示す図である。
得られた吸光度差は、従来法ではHCl接触時とNaOH接触時の吸光度差が0.17程度であった。また、応答時間は約10秒であった。
【実施例】
【0083】
したがって、本発明における液状色素を含む膜であれば、固体状の色素を溶解させて形成する従来の膜と比べて、約7倍の高速化が実現できた。さらに、吸光度差も、約3.5倍の高感度化が達成できた。
【実施例】
【0084】
(実施例5-1)
(液状色素分子の合成-3)
液状色素分子[P66614] [HDOPP]の合成
113mgのトリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド(P66614 Cl)と110mgのビス(4-オクチルフェニル)リン酸カルシウム塩(HDOPPCa)を75mLの塩化メチレンに溶解し、純水で2回、1MのHCl水溶液で2回、1MのNaOH水溶液で2回、有機相の洗浄を行った。有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムを加え、残留水分を除去した。固体の硫酸ナトリウムを濾別し、有機相の溶媒を留去し、液状の色素分子([P66614][HDOPP])を得た。
核磁気共鳴分析(NMR)のデータから、P66614 由来のアルキルプロトン数とHDOPP由来のプロトン数を比較したところ、その比率は、当量で反応した場合の比率である1:1であった。この実施例における化学反応の概略を、以下の式に示す。
【実施例】
【0085】
【化8】
JP2018151311A1_000010t.gif
【実施例】
【0086】
(実施例5-2)
液状色素分子[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む可塑化PVC膜の作製
100mgのHDOPPCaおよび、既知材料の1-(ドデシル)-4-[(3’,5’-ジブチル-4’-オキソシクロヘキサ-2’,5’-ジエニリデン)エチリデン]-1,4-ジヒドロピリジン(KD-M7)100mgを、2300mgのTHFに溶解した溶液を調製し、実施例(5-1)で調製した[P66614][HDOPP]95.7mgを加えた。
混合溶液中で得られた液状の色素は、[P66614][HDOPP][KD-M7]である。
【実施例】
【0087】
上記工程で得られた混合溶液に、ポリ塩化ビニル(PVC)約33mgを溶解させ、プラスチック基板上に溶解物を滴下し、スピンコーターを用いて膜材を均一展開し、THFを蒸発させ、厚さ約0.9μmの薄膜を作製した。このような工程を経て、本発明の液状色素を含むPVC膜を形成した。得られた可塑化PVC膜の外観を、図10に示す。図に示されるように、得られた膜は、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、深い青色を呈している。
【実施例】
【0088】
(実施例5-3)
[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む、可塑化PVC膜の可逆応答性評価
実施例5-2で作製したPVC膜に、1M HPO、1M NaOH水溶液を交互に接触させた際の変色の可逆性を、図11に示す。図11において、右上に示される膜は、図10で示した膜と同一で有り、深い青色を呈している。一方、右下に示される膜は、浅い黄色を示しており、これらの膜は明らかに色彩が異なっている。このように、図11によると、PVC膜は高い色変化の可逆性を有していることが分かる。1M HPO、1M NaOH水溶液を交互に接触させることを10回繰り返して測定した際の標準偏差は0.31%であり、極めて高い可逆性であることがわかる。
【実施例】
【0089】
(実施例5-4)
[P66614][HDOPP][KD-M7]を含む、可塑化PVCの各種イオン(カチオン)に対する変色応答挙動
実施例5-2で作製したPVC膜に、各種カチオン(Ca2+, Na, K)を含む50mMホウ酸-NaOH緩衝溶液(pH10)を接触させた際の変色挙動を図12に示す。特にCa2+に対して選択的に応答していることが分かる。
【実施例】
【0090】
(実施例6-1)
液状色素分子[P66614][12-FL]の合成
100mgのトリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド(P66614 Cl)および炭素数12の炭化水素基をフルオレセインのカルボキシル基に導入したフルオレセイン誘導体(12-FL)96mgを100mLのクロロホルムに溶解し、飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて振とうした。その後、水相を捨て、純水を加えて再度振とうし、有機相の洗浄を2回行った。有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムを加え、残留水分を除去した。固体の硫酸ナトリウムを濾別し、有機相の溶媒を留去し、液状の色素([P66614][12-FL])を得た。
核磁気共鳴分析(NMR)のデータから、P66614 由来のアルキルプロトン数と12-FL由来のプロトン数を比較したところ、その比率は、当量で反応した場合の比率である1:1であった。この実施例における化学反応の概略を、以下の式に示す。
【実施例】
【0091】
【化9】
JP2018151311A1_000011t.gif
【実施例】
【0092】
(実施例6-2)
[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の作製
ポリ塩化ビニル(PVC)10mgと、実施例(6-1)で調製した[P66614][12-FL]90mgを、溶媒となるテトラヒドロフラン(THF)1600mgに溶解させた。プラスチック基板上に溶解物を滴下し、スピンコーターを用いて膜材を均一展開し、THFを蒸発させ、厚さ約0.14μm程度の薄膜を作製した。得られた可塑化PVC膜の外観を、図13に示す。図13に示される膜は、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、深いピンク色を呈する。
【実施例】
【0093】
(実施例6-3)
[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜のスペクトル変化
実施例(6-2)で作製した膜にNaOH水溶液、pH7.4のリン酸緩衝液、10-4M~1Mの塩化物イオンを含む緩衝液および塩酸水溶液を接触させた際のスペクトル変化とその際の色変化の写真を、図14に示す。図14の左上に示す膜は、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、浅い黄色を呈している。一方、右上に示す膜は、図13で示した膜と同一であり、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、深いピンク色を呈する。
このように、膜厚が140nmしかないにもかかわらず、極めて視認性の良い色変化を示していることがわかる。単位膜厚あたりの吸光度変化は膜厚100nmあたり約0.5となった。
この結果は、吸光感度に優れている[P66614][4ME12a]を用いた実施例と比較して、約4.2倍、更に吸光感度が向上していた。また、黄色から赤への変色であることから、視認性もより優れていた。
【実施例】
【0094】
(実施例6-4)
[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の各種アニオンへの応答
実施例(6-2)で作製した薄膜に各種アニオンを含む緩衝溶液を接触させた際の変色挙動を、図15に示す。この図から明らかなように、[P66614][12-FL]を含む薄膜においても、他の実施例と同様に、特にSCN-に対し、低い濃度から応答していることが分かる。また、SCN->Br->Cl->SO2-の順で選択性を有することが分かる。
【実施例】
【0095】
(実施例6-5)
[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の可逆応答性と応答時間
図16は、[P66614][12-FL]を含む可塑化PVC膜の可逆応答性と応答時間を示す。図16の右図において、左上に示す膜は、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、深いピンク色を呈する。一方、右下に示す膜は、薄膜であり、均一な表面を有し、崩壊、欠損などが生じていない。さらに、浅い黄色を呈している。
[P66614][12-FL]を用いた可塑化PVC膜は、他の実施例と同様に、HCl接触時には塩化物イオン(Cl-)とプロトンが協同抽出されるために吸光度が下がり、NaOH接触時には、逆に塩化物イオンとプロトンが膜相から水相に放出されるために吸光度が上がっている。交互にそのプロセスを繰り返すと高い可逆性が得られている(RSD値:0.24%(n=5))。この際の応答時間は図16からも分かるように約0.6秒程度である。
この結果は、迅速応答性においても優れている[P66614][4ME12a]を用いた実施例と比較して、約2.5倍の速度向上であり、迅速応答性が更に格段に向上していることが分かる。
【実施例】
【0096】
[P66614][12-FL]における色素分子のアルキル直鎖の長さが可逆応答性に与える効果
色素分子のアルキル直鎖の炭素数が6個である液状色素を、実施例(6-1)と同様の操作で合成し、実施例(6-2)と同様の方法で可塑化PVC膜を作製した。
得られた種々の薄膜に実施例(6-5)と同様にHCl、NaOH水溶液を接触させ、可逆応答性を実施例(6-5)と同様に測定した。
その結果、何れの薄膜においても、高い可逆応答性を示した。また、複数回のサイクルにも使用できる良好な可逆応答性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば、センサー分野における使用において、高速で応答することが可能であり、その上、高い感度で発色、変色可能な色素を提供する。さらに、本発明は、液状色素の製造方法、液状色素を含む組成物、液状色素を含む膜、その製造方法および液状色素を含むイオンセンサーを提供する。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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