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明細書 :エナミン化合物及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年1月16日(2020.1.16)
発明の名称または考案の名称 エナミン化合物及びその用途
国際特許分類 C07C 225/10        (2006.01)
C07C 221/00        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C07D 285/14        (2006.01)
C07D 265/38        (2006.01)
C07D 213/38        (2006.01)
C07D 513/04        (2006.01)
C07D 241/42        (2006.01)
C07D 209/82        (2006.01)
C07D 417/04        (2006.01)
C07D 417/14        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 225/10 CSP
C07C 221/00
C09K 11/06
C09K 11/06 620
C07D 285/14
C07D 265/38
C07D 213/38
C07D 513/04 325
C07D 241/42
C07D 209/82
C07D 417/04
C07D 417/14
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 49
出願番号 特願2019-503156 (P2019-503156)
国際出願番号 PCT/JP2018/008116
国際公開番号 WO2018/159834
国際出願日 平成30年3月2日(2018.3.2)
国際公開日 平成30年9月7日(2018.9.7)
優先権出願番号 2017039057
優先日 平成29年3月2日(2017.3.2)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】永島 英夫
【氏名】田原 淳士
【氏名】北原 いくみ
【氏名】國信 洋一郎
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000084、【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C036
4C055
4C056
4C063
4C072
4C204
4H006
4H039
Fターム 4C036AD04
4C036AD12
4C036AD27
4C036AD28
4C055AA01
4C055BA01
4C055CA01
4C055DA30
4C055DB10
4C055FA15
4C056AA02
4C056AB01
4C056AC03
4C056AD05
4C056AE03
4C056EA03
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4C056EC12
4C056ED01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC92
4C063DD67
4C063EE10
4C072AA01
4C072AA06
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC17
4C072EE13
4C072FF13
4C072GG01
4C072HH02
4C072JJ03
4C072UU10
4C204BB05
4C204BB09
4C204CB25
4C204EB01
4C204FB16
4C204GB01
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB92
4H006AC11
4H006AC13
4H006BA22
4H006BB11
4H006BC10
4H006BC19
4H006BE90
4H006BJ50
4H006BR30
4H039CA20
4H039CB20
4H039CD30
要約 新たな構造を有するドナーアクセプター型化合物及びその利用の提供。
一般式(1)
JP2018159834A1_000043t.gif
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを含有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物。
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】
JP2018159834A1_000036t.gif
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを含有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物。
【請求項2】
1が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基、ルイス酸残基、芳香族複素環式基及び-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)(ここで、A1は単結合、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し、R5は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R6及びR7は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、R6とR7が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基、置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し、R5とA1、又はR5とR6は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)で示される基から選ばれる基である請求項1記載のエナミン化合物。
【請求項3】
2が、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である請求項1又は2記載のエナミン化合物。
【請求項4】
2が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基である請求項1~3のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項5】
1が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、アルキル基が置換していてもよいカルボキサミド基、ジシアノエテニル基、少なくともヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基及び-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)(ここで、A1は置換基を有していてもよいヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基を示し、A1、R5、R6及びR7は請求項2と同じ意味を示す)で示される基から選ばれる基である請求項1~4のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項6】
Aが、置換基を有していてもよい炭素数6~18の2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよいアルキニレン基である請求項1~5のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項7】
2とA、又はR2とR3が、それぞれ一緒になって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を形成する請求項1~6のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項8】
置換基の少なくとも1個が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、アルキル基が置換していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基及びヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基から選ばれる電子求引性基である請求項7記載のエナミン化合物。
【請求項9】
3とR4又はR6とR7が一緒になって形成する置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基が、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基又はジヒドロフェナジニル基(この複素環式基には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、スルフィド基、アミノ基、ボリル基、シリル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキサミド基が置換していてもよい)である請求項1~8のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項10】
2とA又はR5とA1が一緒になって形成する環状構造が、インデニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾボローリル基又はベンゾシローリル基(これらの基には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はハロゲン原子が置換していてもよい)である請求項1~9のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項11】
2とR3又はR5とR6が一緒になって形成する環状構造が、次の式
【化2】
JP2018159834A1_000037t.gif
(ここで、Xは、O、S、NR11、BR12、C(R11)2又はSi(R122を示す。ここで、R11は水素原子又はアルキル基を示し、R12はアルキル基を示す)
(これらの環状構造には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、ホルミル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基又は芳香族複素環式基が置換していてもよい)で表される構造である請求項1~10のいずれかに記載のエナミン化合物。
【請求項12】
イリジウム錯体の存在下に、一般式(a)
【化3】
JP2018159834A1_000038t.gif
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、R3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるアミド化合物とヒドロシラン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】
JP2018159834A1_000039t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4及びAは前記と同じ)
で表されるエナミン化合物の製造法。
【請求項13】
イリジウム錯体が、次の一般式(3)
【化5】
JP2018159834A1_000040t.gif
(式中X2はハロゲン原子を示し、Y及びZは、それぞれ、フェニル基、フェノキシ基、ピロリル基、パーフルオロフェノキシ基又はパーフルオロアルコキシ基を示す)
で表される錯体である請求項12記載の製造法。
【請求項14】
電子供与基としてのエナミン構造と、エナミンと共役する位置に配置された電子求引性基を有することを特徴とするエナミン化合物を含有する蛍光発光剤組成物。
【請求項15】
一般式(1)
【化6】
JP2018159834A1_000041t.gif
(式中、R1は、電子求引性を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)。
で表されるエナミン化合物を含有する蛍光発光剤組成物。
【請求項16】
さらに、電子受容体を含有する請求項14又は15記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項17】
電子受容体が、カチオン供与体であることを特徴とする請求項16記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項18】
カチオン供与体がプロトン又はハロゲンカチオンである請求項17記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項19】
プロトンがブレンステッド酸である請求項18記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項20】
ハロゲンカチオンが、ハロゲン結合供与体である請求項18記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項21】
電子受容体がルイス酸である請求項16記載の蛍光発光剤組成物。
【請求項22】
電子供与基としてのエナミン構造と、エナミンと共役する位置に配置された電子求引性基を有することを特徴とするエナミン化合物を含有する光増感剤組成物。
【請求項23】
一般式(1)
【化7】
JP2018159834A1_000042t.gif
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物を含有する光増感剤組成物。
【請求項24】
さらに、電子受容体を含有する請求項22又は23記載の光増感剤組成物。
【請求項25】
電子受容体が、カチオン供与体である請求項24記載の光増感剤組成物。
【請求項26】
カチオン供与体がプロトンまたはハロゲンカチオンで請求項25記載の光増感剤組成物。
【請求項27】
プロトンがブレンステッド酸である請求項26記載の光増感剤組成物。
【請求項28】
ハロゲンカチオンが、ハロゲン結合供与体である請求項26記載の光増感剤組成物。
【請求項29】
電子受容体がルイス酸である請求項24記載の光増感剤組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電子求引性基を有するエナミン化合物並びにこれを含有する蛍光発光剤及び光増感剤に関する。
【背景技術】
【0002】
分子内に電子供与基であるドナーと電子求引基であるアクセプターとをπ共役構造を介して結合されている化合物は、可視領域に強い吸収帯を有することから、光増感太陽電池用色素として、また蛍光を生じることから蛍光色素等としての利用が期待され、多くの化合物が報告されている(特許文献1~3)。
【0003】
一方、エナミン構造を有する化合物の中には、電子写真感光体として、あるいは有機電界発光素子材料としての用途が期待されている化合物が知られている(特許文献4、5)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2012-144447号公報
【特許文献2】特開2013-193957号公報
【特許文献3】特開2010-65069号公報
【特許文献4】特開2006-269834号公報
【特許文献5】特開2014-2413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、種々の用途において従来のドナーアクセプター型化合物は、化学構造が複雑で、製造工程が長く、未だ実用化に至っていないのが現状である。
一方、従来知られているエナミン化合物は、アルデヒドとアミンから合成されるため、その化学構造には制限があり、多様な化学構造を有する化合物は報告されていない。
本発明の課題は、新たな構造を有するドナーアクセプター型化合物及びその利用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、金属錯体を用いた新たな化合物の合成について種々検討してきたところ、イリジウム錯体の存在下にアミド化合物にヒドロシラン化合物を反応させたところ、全く意外にも、電子求引性基が反応せず、アミド結合のみが選択的に還元され、エナミン構造をドナー部分とし、アクセプター部分としての電子求引性基を有する新規な化合物が容易に得られ、得られたエナミン化合物は、紫外光~可視光を吸収して強い蛍光を高効率で発光する特性を有し、蛍光発光剤や光増感剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔29〕を提供するものである。
【0008】
〔1〕一般式(1)
【0009】
【化1】
JP2018159834A1_000003t.gif

【0010】
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物。
【0011】
〔2〕R1が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基、ルイス酸残基、芳香族複素環式基及び-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)(ここで、A1は単結合、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し、R5は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R6及びR7は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、R6とR7が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し、R5とA1、又はR5とR6は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)で示される基から選ばれる基である〔1〕記載のエナミン化合物。
〔3〕R2が、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である〔1〕又は〔2〕記載のエナミン化合物。
〔4〕R2が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔5〕R1が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、アルキル基が置換していてもよいカルボキサミド基、ジシアノエテニル基、少なくともヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基及び-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)(ここで、A1は置換基を有していてもよいヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基を示し、R5、R6及びR7は請求項2と同じ意味を示す)で示される基から選ばれる基である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔6〕Aが、置換基を有していてもよい炭素数6~18の2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよいアルキニレン基である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔7〕R2とA、又はR2とR3が、それぞれ一緒になって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を形成する〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔8〕置換基の少なくとも1個が、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、アルキル基が置換していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基及びヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基から選ばれる電子求引性基である〔7〕記載のエナミン化合物。
〔9〕R3とR4又はR6とR7が一緒になって形成する置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基が、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基又はジヒドロフェナジニル基(この複素環式基には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、スルフィド基、アミノ基、ボリル基、シリル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキサミド基が置換していてもよい)である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔10〕R2とA又はR5とA1が一緒になって形成する環状構造が、インデニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾボローリル基又はベンゾシローリル基(これらの基には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はハロゲン原子が置換していてもよい)である〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔11〕R2とR3又はR5とR6が一緒になって形成する環状構造が、次の式
【0012】
【化2】
JP2018159834A1_000004t.gif

【0013】
(ここで、Xは、O、S、NR11、BR12、C(R11)2又はSi(R122を示す。ここで、R11は水素原子又はアルキル基を示し、R12はアルキル基を示す)
(これらの環状構造には、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、ホルミル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基又は芳香族複素環式基が置換していてもよい)で表される構造である〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のエナミン化合物。
〔12〕イリジウム錯体の存在下に、一般式(a)
【0014】
【化3】
JP2018159834A1_000005t.gif

【0015】
(式中、R1は、電子求引性を有する基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、R3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるアミド化合物とヒドロシラン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0016】
【化4】
JP2018159834A1_000006t.gif

【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4及びAは前記と同じ)
で表されるエナミン化合物の製造法。
〔13〕イリジウム錯体が、次の一般式(3)
【0018】
【化5】
JP2018159834A1_000007t.gif

【0019】
(式中X2はハロゲン原子を示し、Y及びZは、それぞれ、フェニル基、フェノキシ基、ピロリル基、パーフルオロフェノキシ基又はパーフルオロアルコキシ基を示す)
で表される錯体である〔12〕記載の製造法。
〔14〕電子供与基としてのエナミン構造と、エナミンと共役する位置に配置された電子求引性基を有することを特徴とするエナミン化合物を含有する蛍光発光剤組成物。
〔15〕一般式(1)
【0020】
【化6】
JP2018159834A1_000008t.gif

【0021】
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物を含有する蛍光発光剤組成物。
〔16〕さらに、電子受容体を含有する〔14〕又は〔15〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔17〕電子受容体が、カチオン供与体であることを特徴とする〔16〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔18〕カチオン供与体がプロトン又はハロゲンカチオンである〔17〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔19〕プロトンがブレンステッド酸である〔18〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔20〕ハロゲンカチオンが、ハロゲン結合供与体である〔18〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔21〕電子受容体がルイス酸である〔16〕記載の蛍光発光剤組成物。
〔22〕電子供与基としてのエナミン構造と、エナミンと共役する位置に配置された電子求引性基を有することを特徴とするエナミン化合物を含有する光増感剤組成物。
〔23〕一般式(1)
【化7】
JP2018159834A1_000009t.gif
(式中、R1は、電子求引性基を示し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示し;
2は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
3及びR4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、あるいはR3とR4が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示し;
2とA、又はR2とR3は、それぞれ一緒になって、環状構造を形成してもよい)
で表されるエナミン化合物を含有する光増感剤組成物。
〔24〕さらに、電子受容体を含有する〔22〕又は〔23〕記載の光増感剤組成物。
〔25〕電子受容体が、カチオン供与体である〔24〕記載の光増感剤組成物。
〔26〕カチオン供与体がプロトンまたはハロゲンカチオンで〔25〕記載の光増感剤組成物。
〔27〕プロトンがブレンステッド酸である〔26〕記載の光増感剤組成物。
〔28〕ハロゲンカチオンが、ハロゲン結合供与体である〔26〕記載の光増感剤組成物。
〔29〕電子受容体がルイス酸である〔24〕記載の光増感剤組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明の方法によれば、電子求引性基が反応せず、アミド結合のみが選択的に還元されるため、アミド化合物を原料として、種々の電子求引性基を有する化合物が容易に製造できる。本発明のエナミン化合物は、消光基とされるニトロ基を有するエナミン化合物であっても優れた蛍光発光性を示し、ヘキサンのような脂溶性条件でも蛍光を発光し、また赤色発光も可能であり、かつ量子収率も高いので、蛍光発光剤、光増感剤として有用である。このような光増感効果を考慮すれば、本発明のエナミン化合物は、蛍光プローブだけでなく、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機EL、さらに非線形光学材料(光波長の変換,光の増幅,光強度に応じた屈折率変化の機能)等への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】化合物(III)の紫外可視吸収スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図2】化合物(III)の蛍光スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図3】本発明の化合物と類似の化合物発光の量子収率を示す。
【図4】化合物(IV)の紫外可視吸収スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図5】化合物(IV)の蛍光スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図6】化合物(VIII)の紫外可視吸収スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図7】化合物(VIII)の蛍光スペクトル(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF溶媒中、1.0×10-5M)を示す。
【図8】化合物(III)、(XI)、(XII)、(XIII)および試薬C、D、Eを添加した際の紫外可視吸収スペクトル(塩化メチレン溶媒中、1.0×10-4M)を示す。 実線:添加剤あり。点線:添加剤なし。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のエナミン化合物は、電子供与基としてのエナミン構造と、エナミンと共役する位置に配置された電子求引性基を有することを特徴とする。本発明のエナミン化合物中には、エナミン構造を1個または2個以上有する。エナミンである電子供与基と電子吸引基の間には、電子供与基と電子吸引基が共役するための共役構造を存在させる。共役構造の長さ、共役構造の置換基の種類や数によって蛍光を発するための電子エネルギー準位を調節することができる。共役構造は、蛍光波長や蛍光強度を調節する点から各エナミン構造に隣接していることが好ましく、少なくとも1つの共役構造は2価であることがより好ましい。

【0025】
本発明のエナミン化合物の具体例は、一般式(1)で表され、R1に電子求引性基を有することを特徴とする。

【0026】
1で示される電子求引性基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基、ルイス酸残基、芳香族複素環式基及び-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)(ここで、A1、R5、R6及びR7は前記と同じ意味を示す)で示される基から選ばれる基が挙げられる。

【0027】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、アルカノイル基が挙げられる。具体的には、C1-6アルカノイル基が挙げられる。
炭化水素オキシカルボニル基としては、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基等が挙げられる。具体的にはフェニルC1-6アルキルオキシカルボニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C6-12アリーロキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルボキサミド基としては、アルキル基を有していてもよいカルボキサミド基が挙げられ、具体的にはカルボキサミド基、N-アルキルカルボキサミド基、N,N-ジアルキルカルボキサミド基が挙げられる。
ジシアノエテニル基としては、(CN)2C=CH-基が挙げられる。
ルイス酸残基としては、ピナコールボリル基、カテコールボリル基、ジアリールボリル基等が挙げられる。
芳香族複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する単環又は縮合環の芳香族複素環式基が挙げられる。具体的には、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアジン、キノキサリン、シノリン、プラジン、キナゾリン、キノリン、イソキノリン、チアゾロチアゾール、オキサゾロオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、フルオレン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、カルバゾール基等由来の基が挙げられる。このうち、含窒素芳香族複素環式基が好ましく、-C=N-結合を2個以上有する芳香族複素環式基がより好ましく、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、キノキサリン、チアゾロチアゾール、オキサゾロオキサゾール由来の基が特に好ましい。

【0028】
1が、-A1-C(R5)=CH-N(R6)(R7)で示される基であるエナミン化合物は、以下の構造を有する。

【0029】
【化8】
JP2018159834A1_000010t.gif

【0030】
(式中、A、A1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記と同じ)

【0031】
この化合物(1-a)は、エナミン構造のドナーを2個有し、A及びA1中にアクセプターをする化合物の例である。

【0032】
A及びA1は、それぞれ、単結合、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい2価の不飽和脂肪族炭化水素基を示す。ただし、A及びA1の両方が同時に単結合とはならない。このうち、炭素数6~18の2価の芳香族炭化水素基、酸素原子若しくは硫黄原子を有する芳香族複素環式基、アルケニレン基、アルキニレン基が好ましい(1又は2以上の置換基が置換していてもよい)。
A及びA1の芳香族炭化水素基、芳香族複素環式基又は不飽和脂肪族炭化水素基の置換基は、1又は2以上、好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個である。これらの置換基が2個以上の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(1)において、R1がA1-C(R6)=CH-N(R6)(R7)以外の基の場合には、A上の置換基は電子求引性基であっても電子供与性基であってもよい。電子供与性基としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
式(1)において、R1が-A1-C(R6)=CH-N(R6)(R7)である場合には、A及びA1上の置換基の少なくとも1個は、電子求引基であることが好ましい。このような電子求引性基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、炭化水素オキシカルボニル基、アルキル基が置換していてもよいカルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基及びヘテロ原子を1~4個有する芳香族複素環式基から選ばれる電子求引性基であることがより好ましい。
2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフタレニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、インデニレン基、フルオレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ナフタセニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、コロネリネン基等が挙げられる。2価の芳香族複素環式基としては、チエニレン基、フラニレン基、ボローレン基(ボラシクロペンタジエニレン基)、シローレン基(シラシクロペンタジエニレン基)等が挙げられる。アルケニレン基、アルキニレン基としては、ビニレン基、ジ(ビニレン)基、アセチレン基、ジ(アセチレン)基等が挙げられる。これらの基には、1又は2以上の電子求引性基が置換していてもよい。

【0033】
2及びR5は、それぞれ、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基としては、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基が挙げられる。これらの炭化水素基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、スルフィド基、アミノ基、ボリル基、シリル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基等が挙げられる。

【0034】
3、R4、R6及びR7は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を示すか、R3とR4又はR6又とR7が一緒になって、置換基を有していてもよい窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基又は置換基を有していてもよい三環系芳香族複素環式基を示す。このうち、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子の1~4個を有する芳香族複素環式基が好ましい。
ここで芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリフェニル基、アントラセニル基等が好ましい。芳香族複素環式基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、ベンゾフラニル基、キノリル基、等が挙げられる。芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基に置換し得る基としては、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルフィド基、アミノ基、ボリル基、シリル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基等が挙げられる。

【0035】
またR3又はR4で示される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基の例としては、-R3-N(R10)-CH=C(R9)-A2-R8(R3は炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R8は前記R1と同じ基を示し、A2は前記Aと同じ意味を示し、R9は前記R2と同じ意味を示し、R10は前記R7と同じ意味を示す)で示される基が挙げられる。また、R8、R9、R10及びA2の具体例としては、前記R2、R3、R4及びAと同じものが挙げられる。R3又はR4が、この式で表される基を示すエナミン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。

【0036】
【化9】
JP2018159834A1_000011t.gif

【0037】
3とR4又はR6とR7が一緒になって形成する窒素原子を2個以上又は窒素原子と酸素原子若しくは硫黄原子とを有する二環系芳香族複素環式基としては、プリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾチアジニル基等が挙げられる。

【0038】
3とR4又はR6とR7が一緒になって形成する三環系の芳香族複素環式基としては、R3とR4又はR6とR7に隣接する窒素原子を含む三環系の芳香族複素環式基であり、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、ジヒドロフェナジニル基等が挙げられる。この複素環式基に置換し得る基としては、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルフィド基、アミノ基、ボリル基、シリル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基等が挙げられる。

【0039】
2とA又はR5とA1が一緒になって形成する環状構造としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基が挙げられる。これらの環としては、インデニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾボローリル基、ベンゾシローリル基が挙げられる。これらの基に置換し得る基としては、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。

【0040】
2とR3又はR5とR6が一緒になって形成する環状構造としては、置換基を有していてもよい複素環式基が挙げられる。この環の例としては、次の基が挙げられる。

【0041】
【化10】
JP2018159834A1_000012t.gif

【0042】
(ここで、Xは、O、S、NR11、BR12、C(R11)2又はSi(R122を示す。ここで、R11は水素原子又はアルキル基を示し、R12はアルキル基を示す)
これらの環状構造に置換し得る基としては、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基の他、電子求引性基、例えばハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基、パーフルオロアルキル基、ジシアノエテニル基、芳香族複素環式基が挙げられる。

【0043】
ここでR2とA、R2とR3、R3とR4が一緒になって環を形成した化合物の具体例を示す。

【0044】
【化11】
JP2018159834A1_000013t.gif

【0045】
また、本発明のエナミン化合物には、幾何異性体、シス-トランス異性体、及び光学異性体が含まれる。

【0046】
本発明のエナミン化合物(1)は、例えば、イリジウム錯体の存在下に、一般式(a)

【0047】
【化12】
JP2018159834A1_000014t.gif

【0048】
(式中、R1、A、R2、R3及びR4は前記と同じ)
で示されるアミド化合物とヒドロシラン化合物を反応させることにより製造できる。

【0049】
原料であるアミド化合物(a)は、例えば次式に従って製造される。

【0050】
【化13】
JP2018159834A1_000015t.gif

【0051】
(式中、X1は脱離基、好ましくはハロゲン原子を示し、A、R1、R2、R3及びR4は前記と同じ)

【0052】
すなわち、式(b)の化合物と式(c)の化合物とをパラジウム触媒を用いてクロスカップリングさせることにより式(a)のアミド化合物が製造できる。

【0053】
クロスカップリング反応は、例えば式(c)のアミド化合物にブチルリチウム等の塩基を反応させ、次いで塩化亜鉛、塩化アルミニウム等を反応させた後に、パラジウム触媒の存在下に式(b)のハロゲン化物を反応させればよい。

【0054】
式(a)のアミド化合物と反応させるヒドロシラン化合物としては、ヒドロシラン(SiH)基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えばテトラメチルジシロキサン(Me2HSiOSiHMe2)、オクタメチルテトラシロキサンMe3SiOSiHMeOSiHMeOSiMe3、ポリメチルヒドロシロキサン(MeHSiO)n等が用いられる。

【0055】
イリジウム錯体としては、次の一般式(3)

【0056】
【化14】
JP2018159834A1_000016t.gif

【0057】
(式中、X2はハロゲン原子を示し、Y及びZは、それぞれ、フェニル基、フェノキシ基、ピロリル基、パーフルオロフェノキシ基又はパーフルオロアルコキシ基を示す)
で表される錯体が挙げられる。

【0058】
式(a)のアミド化合物とヒドロシラン化合物との反応は、少量のイリジウム錯体の存在下、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、塩化メチレン等の溶媒中、不活性ガス雰囲気下で15~50℃で30分~10時間反応を行えばよい。

【0059】
本発明のエナミン化合物(1)は、エナミン構造をドナー部分とし、電子求引性基をアクセプター部分とするドナー-アクセプター化合物であり、紫外光~可視光を吸収し蛍光発光を生じる。その蛍光発光特性は、消光基とされる安定なニトロ基を有する化合物でさえも強い蛍光を生じる。また、本発明エナミン化合物の蛍光発光は、ヘキサン等の脂溶性媒体中でも生じるとともに、溶媒の極性の変化によって蛍光の色調が変化するという蛍光ソルバトクロミズム現象を示す。さらに、本発明エナミン化合物(1)の蛍光発光の量子収率は、極めて高く、より長波長側である赤色発光も可能である。従って、本発明エナミン化合物(1)は、種々の分野における蛍光発光剤、光増感剤として有用である。当該応用分野としては、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機EL、生体分子の蛍光プローブ、さらに非線形光学材料(光波長の変換、光の増幅、光強度に応じた屈折率変化の機能等)、多光子吸収材料等が挙げられる。特に、生体分子の蛍光プローブにおいては、生体膜プローブ、抗原抗体反応の検出用プローブ、部位特異的塩基配列検出用プローブ等として有用である。

【0060】
本発明のエナミン化合物(1)を蛍光発光剤や光増感剤として用いる場合には、当該エナミン化合物(1)のみを用いてもよいが、これらの用途に適した形態、例えばエナミン化合物(1)を含有する組成物の形態で用いることができる。当該組成物には、エナミン化合物(1)の他、電子受容体や溶剤、その他用途に応じて必要な物質を含むことが出来る。
電子受容体は、電子対を受け入れ可能な空軌道を有し、当該エナミン化合物(1)と相互作用してエナミン化合物から電子対を受け取り複合体を形成する。電子受容体としては、ルイス酸のほか、カチオン種が挙げられる。カチオン種は、プロトンやハロゲンカチオンに代表される。通常、プロトンはブレンステッド酸により提供され、ハロゲンカチオンは、ハロゲン結合供与体により提供される。またエナミンなどの電子供与体と反応すると電荷移動錯体を形成するテトラシアノエチレンやキノン類なども電子受容体として挙げることができる。

【0061】
ハロゲンカチオンは電子対を受け入れる空軌道を有し、エナミン化合物と相互作用して電子対を受け入れ、複合体を形成することができる。さらに、ハロゲン同士が結合した化合物I-Clの場合、電気陰性度の差が大きいためI(δ+)-Cl(δ-)に分極し、ヨウ素上に電子対を受け入れる空軌道が生じた状態となるためエナミン化合物と複合体を形成する。また、I-C6F5は、Fの電気陰性度が大きいためベンゼン環上の電子密度が低くなり、ヨウ素上に存在する非共有電子対がベンゼン環上の電子密度を補てんするように動き、ヨウ素が正に強く分極した共鳴構造により安定化する。この構造においても、同様に電子対を受け入れる空軌道を有することからエナミン化合物と複合体を形成する。さらに、ヨードイミダゾリニウム塩の場合は、PF6アニオンとイミダゾールカチオンの塩を作ることから安定であり、イミダゾール環上の電子密度を補てんするように動き、ヨウ素が正に強く分極した共鳴構造により安定化する。ヨウ素上には電子対を受け入れる空軌道が形成されるためエナミン化合物の不対電子と複合体を形成する。

【0062】
【化15】
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【0063】
ブレンステッド酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸等のスルホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、tert-ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸等のホスホン酸、ジメルチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジイソオクチルホスフィン酸等のホスフィン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、BF3、BBr3、B(NMe23、トリス(ピロリジノ)ボラン、トリス(メシチル)ボラン、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、アルピンボラン、トリフェニルボラン、B(C653、AlCl3、FeCl3、FeBr3、ZnCl2、InCl3、TiCl4、金属トリフラート塩が挙げられる。ハロゲン結合供与体は、ハロゲン供与体自身の構造により生じる空軌道にエナミンやフェニルピリジンなどのルイス塩基官能基の不対電子を受容することができる。具体的には、パーフルオロヨードベンゼン、ハロゲン分子、ハロゲンカチオン、パーフルオロヨードアルカン、N-ハロゲノジカルボン酸イミド、1,2,3-トリアゾリニウム-5-ハライド、N,N-ジアルキルイミダゾリニウム-2-ハライド、2-ハロゲノイソインドリル-1,3-ジオン、2-ハロゲノベンゾ〔d〕イソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド、2-ハロゲノ-5-ニトロイソインドリル-1,3-ジオン、2-ハロゲノ-3,4-ジメチルチアゾール-3-ニウム トリフルオロスルホナート等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0065】
イリジウム錯体の合成は、シュレンクテクニックまたはグローブボックスを用いてすべての操作を不活性ガス雰囲気下で行い、遷移金属化合物の調整に用いた溶媒は、全て公知の方法で脱酸素、脱水を行った後に用いた。
エナミン化合物の合成反応アミド化合物とヒドロシランの反応および溶媒精製は、全て不活性ガス雰囲気下で行い、各種反応に用いた溶媒等は、全て予め公知の方法で脱酸素、脱水を行った後に用いた。
1H、13C、31P、19F-NMRの測定は日本電子(株)製JNM-ECA600、JNM-ECA400を、IR測定は日本分光(株)製FT/IR-550を、元素分析はPerkin Elmer製2400II/CHNを用いてそれぞれ行った。吸収スペクトルは日本分光(株)製V-570型分光光度計を用い、1cm四方の石英容器を使用して透過光を測定した。蛍光スペクトルは日立(株)製F-4500型蛍光分光光度計を使用して測定した。サンプルは1cm四方の全透明SQセルを用いて反射光を測定した。
なお、以下に示す構造式は慣用的な表現法に従って水素原子を省略している。また、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。
【実施例】
【0066】
(1)イリジウム錯体の合成
[実施例1]イリジウム錯体Aの合成
【実施例】
【0067】
【化16】
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【実施例】
【0068】
50mLシュレンク反応管に、攪拌子、[Ir(COD)Cl]2 100mg(0.15mmol)及びトリフェニルホスフィン 158mg(0.60mmol)を量り取り、アルゴン置換を3回行った。反応容器を-78℃に冷却した状態で脱水THF5mLを加え、-78℃のまま1時間撹拌した。その後、液体窒素を用いて溶液を凍結し、減圧下で脱気する操作を3回行った。反応容器を再度-78℃に戻し、容器内をCO(1atm)で置換した。その後、-78℃および室温で1時間ずつ撹拌を行った。減圧下で溶媒を留去し、得られた黄色固体を脱水ヘキサンで洗浄した(5mL×3回)。その後減圧乾燥することで、イリジウム錯体IrCl(CO)(PPh32(A)を黄色の固体として得た(171mg、収率73%)。得られた化合物は、1H-NMR、31P-NMR、IRスペクトルにより同定した。
【実施例】
【0069】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ7.38-7.72(m,30H,Ph)31P-NMR(CDCl3,243MHz):δ-24.73(s)
IR(KBr pellet):ν=1953(CO)cm-1
【実施例】
【0070】
[実施例2]イリジウム錯体Bの合成
【実施例】
【0071】
【化17】
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【実施例】
【0072】
50mLシュレンク反応管に攪拌子を加え、グローブボックス内で[Ir(COD)Cl]2 100mg(0.15mmol)及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスファイト 345mg(0.60mmol)を量り取った。反応容器を-78℃に冷却した状態で脱水THF5mLを加え、-78℃のまま1時間撹拌した。その後、液体窒素を用いて溶液を凍結し、減圧下で脱気する操作を3回行った。反応容器を再度-78℃に戻し、容器内をCO(1atm)で置換した。その後、-78℃で1時間撹拌した後、-78℃のまま減圧下で溶媒を留去した。得られた黄色固体を脱水THF1mLを用いて濾過し、濾液を濃縮後、脱水ペンタン20mLに溶解させ-30℃で24時間静置することにより、イリジウム錯体IrCl(CO){P(OC6532(B)を黄色針状結晶として得た(178mg、収率84%)。得られた化合物は、13C-NMR、19F-NMR、31P-NMR、IRスペクトル、元素分析により同定し、単結晶X線構造解析によりその構造を確認した。
【実施例】
【0073】
13C{19F}-NMR(CDCl3,151MHz):δ125.0(ipso-65),138.1(C65),140.0(C65),141.0(C65),165.1(CO)
19F-NMR(CDCl3,565MHz):δ-161.7(dd,JF-F=20.7Hz,m-C65),-156.7(t,JF-F=20.7Hz,p-C65),-151.8(d,JF-F=20.7Hz,o-C65
31P-NMR(CDCl3,243MHz):δ108.0(s)
IR(KBr pellet):ν=2052(CO)cm-1
Anal.Calcd for C377302ClIr:C,31.39;H,0.00 Found:C,31.56;H,0.12
【実施例】
【0074】
(2)イリジウム錯体を用いたアミド化合物とヒドロシランの反応
【実施例】
【0075】
【化18】
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【実施例】
【0076】
[実施例3]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-アセチルフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(I;R1=COMe,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-アセチルフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド165mg(0.5mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体A(2.0mg,0.0025mmol)を溶解させた脱水トルエン1mL溶液からマイクロシリンジを用いて0.5mL取り出して加えた。その後、反応容器に脱水トルエン4mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、0℃で脱水ペンタンを加え5分間撹拌し、再度減圧下で溶媒を留去すると黄色の固体が得られた。得られた黄色の固体を再度グローブボックス内へ持ち込み、脱水ペンタン5mLに溶解し、バイアル管に移して冷蔵庫内にて12時間静置し、生じた黄色固体を濾取することで、目的物(I)を得た(20mg,単離収率13%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー1として表1に示す。
【実施例】
【0077】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ2.55(s,3H,CH3),5.58(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),7.07(d,JH-H=7.8Hz,4H,o-PhN),7.13(t,JH-H=7.8Hz,2H,p-PhN),7.24(d,JH-H=8.7Hz,2H,o-Ph),7.38(dd,JH-H=7.8Hz,4H,m-PhN),7.58(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),7.82(d,JH-H=8.7Hz,2H,m-Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):26.5,107.2,118.0,124.1,124.8,129.2,129.8,133.5,136.1,143.9,145.0,197.4
IR(KBr pellet):ν=1662(CO)cm-1
m.p.:115-116℃
HRMS(EI)calcd for C2219NO:313.1467,Found:313.1466.
【実施例】
【0078】
[実施例4]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-シアノフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(II;R1=CN,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-シアノフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド156mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(3.5mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて1時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、110℃で1時間加熱し、得られた黄色固体を脱水ペンタン5mLで洗浄することで、目的物(II)を黄色固体として得た(107mg,0.70mmol,単離収率40%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー2として表1に示す。
【実施例】
【0079】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.52(d,JH-H=14.2Hz,1H,-C=CH-),7.11(d,JH-H=7.3Hz,4H,o-PhN),7.19(t,JH-H=7.3Hz,2H,p-PhN),7.22(d,JH-H=8.7Hz,2H,o-Ph),7.38(dd,JH-H=7.3Hz,4H,m-PhN),7.47(d,JH-H=8.7Hz,2H,m-Ph),7.53(d,JH-H=14.2Hz,1H,-CH=C-).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):106.3,107.0,119.9,124.1,124.44,125.0,129.9,132.5,136.6,143.6,144.8.
IR(KBr pellet):ν=1583(CO)cm-1
m.p.:113-114℃
HRMS(EI)calcd for C21162:296.1313,Found:296.1313.
【実施例】
【0080】
[実施例5]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-ニトロフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(III;R1=NO2,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-ニトロフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド166mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(3.5mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて6時間撹拌を行った。6時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、得られた赤色粘性固体を脱水ペンタン5mLに溶解させ-30℃で12時間静置することで、目的物(III)を赤色固体として得た(97mg,0.31mmol,単離収率61%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー3として表1に示す。
【実施例】
【0081】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.60(d,JH-H=13.5Hz,1H,-C=CH-),7.11(d,JH-H=7.7Hz,4H,o-PhN),7.22(t,JH-H=7.7Hz,2H,p-PhN),7.30(d,JH-H=8.7Hz,2H,o-Ph),7.43(dd,JH-H=7.7Hz,4H,m-PhN),7.67(d,JH-H=13.5Hz,1H,-CH=C-),8.10(d,JH-H=8.7Hz,2H,m-Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):105.9,124.0,124.2,124.5,125.3,129.5,129.9,137.6,144.4,144.7.
IR(KBr pellet):ν=1575cm-1
m.p.:150-151℃
HRMS(EI)calcd for C201622:316.1212,Found:316.1211.
【実施例】
【0082】
[実施例6]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)フェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(IV;R1=ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)-フェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド211mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(3.5mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、得られた赤色粘性固体を脱水ペンタン5mLに溶解させ-30℃で12時間静置することで、目的物(IV)を赤色固体として得た(89mg,0.21mmol,単離収率42%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー4として表1に示す。
【実施例】
【0083】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.69(d,JH-H=14.3Hz,1H,-C=CH-),7.14-7.17(m,6H,Ph),7.36-7.39(m,6H,Ph),7.50(d,JH-H=14.3Hz,1H,-CH=C-),7.67(t,JH-H=8.2Hz,2H,Ph),7.85(d,JH-H=8.2Hz,2H,Ph),7.96(d,JH-H=8.2Hz,1H,Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):102.3,111.5,112.3,114.6,114.9,115.2,117.0,119.0,119.1,122.5,122.9,123.1,126.5,131.7,140.1
IR(KBr pellet):ν=1632,1588cm-1
m.p.:134-135℃
HRMS(EI)calcd for C26193S:405.1300,Found:405.1300.
【実施例】
【0084】
[実施例7]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4’-ニトロ-(1,1’-ビフェニル)-4-イル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(V;R1=Ph-NO2,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4’-ニトロ-(1,1’-ビフェニル)-4-イル-N,N-ジフェニルアセトアミド204mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(3.5mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて3時間撹拌を行った。3時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、得られた赤色粘性固体を脱水ペンタン5mLに溶解させ-30℃で12時間静置することで、目的物(V)を赤色固体として得た(115mg,0.26mmol,単離収率59%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー5として表1に示す。
【実施例】
【0085】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.62(d,JH-H=14.2Hz,1H,-C=CH-),7.11-7.19(m,6H,Ph),7.31(d,JH-H=8.2Hz,2H,Ph),7.35(dd,JH-H=7.7Hz,4H,m-Ph),7.49-7.54(m,3H,Ph,-CH=C-),7.72(d,JH-H=8.8Hz,2H,Ph),8.27(d,JH-H=8.8Hz,2H,Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):107.7,117.9,121.1,124.0,125.1,127.1,127.7,127.9,128.1,129.5,129.8,130.6,134.8,142.3,142.5,145.2
IR(KBr pellet):ν=1586,1552cm-1
m.p.:194-195℃
HRMS(EI)calcd for C262022:392.1525,Found:392.1525.
【実施例】
【0086】
[実施例8]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-ニトロフェニル)-2-メチルビニル)-N,N-ジフェニルアミン(VI;R1=NO2,R2=Me,NAr2=NPh2)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-ニトロフェニル-N,N-ジフェニルプロパンアミド693mg(2.0mmol)およびイリジウム錯体B(14.0mg,0.01mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン2mLおよび内部標準試薬としてアニソール(216μl,2.0mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(712μl,4.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて30分撹拌を行った。30分後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、脱水トルエン2mLを加え、100℃で30分加熱し、再度減圧乾燥した。得られた赤色の粘性液体をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン、ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて2回精製を行い、目的物(VI)を赤色固体として得た(383mg、1.16mmol,単離収率58%)。なお、生成物は、トランス体:シス体=95:5の混合物であった。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー6として表1に示す。
【実施例】
【0087】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ1.68(d,JH-H=1.4Hz,3H,-CH=CMe-)6.82(q,JH-H=1.4Hz,1H,-C=CMe-),7.06-7.14(m,6H,Ph),7.33(t,JH-H=7.3Hz,4H,Ph),7.55(d,JH-H=7.3Hz,2H,Ph),8.16(d,JH-H=7.3Hz,2H,Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):16.0,121.0,122.7,123.6,123.9,125.3,129.4,134.4,145.7,146.2,149.1
IR(KBr pellet):ν=1581cm-1
m.p.:120-121℃
HRMS(EI)calcd for C211822:330.1368,Found:330.1364.
【実施例】
【0088】
[実施例9]イリジウム錯体Bを用いた10-(2-(4-ニトロフェニル)-ビニル)-10H-フェノキサジン(VII;R1=NO2,R2=H,NAr2=10H-Phenoxazinyl)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、10-(4-ニトロフェニル)-フェノキサジン-10H-イルアセトアミド173mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(3.5mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン1mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて1時間撹拌を行った。1時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、80℃で30分加熱し、得られた赤色の粘性液体を脱水ペンタン10mLに溶解させ、-30℃で12時間静置することで、赤色結晶を得た。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン、ヘキサン/酢酸エチル=49:1)にて3回精製を行い、目的物(VII)を赤色固体として得た(66mg、0.20mmol,単離収率40%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー7として表1に示す。
【実施例】
【0089】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ6.55(d,JH-H=14.6Hz,1H,-C=CH-)7.00-7.12(m,6H,Ph),7.27(dd,JH-H=8.3Hz,2H,Ph),7.34(d,JH-H=8.7Hz,2H,Ph),7.37(d,JH-H=14.6Hz,2H,-CH=C-),8.13(d,JH-H=8.7Hz,2H,Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):105.1,117.3,119.1,124.0,124.5,124.6,125.4,131.6,134.5,145.0,145.3,149.3
IR(KBr pellet):ν=1579cm-1
m.p.:178-179℃
HRMS(EI)calcd for C201423:330.1004,Found:330.1004.
【実施例】
【0090】
【表1】
JP2018159834A1_000021t.gif
【実施例】
【0091】
【化19】
JP2018159834A1_000022t.gif
【実施例】
【0092】
[実施例10]イリジウム錯体Bを用いたN,N’-((1E,1’E)-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4,7-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(エテン-2,1-ジイル))ビス(N-フェニルアニリン)(VIII)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、2,2’-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4,7-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(N,N’-ジフェニルアセトアミド)353mg(0.5mmol)およびイリジウム錯体B(7.1mg,0.005mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン7mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて4時間撹拌を行った。4時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、80℃で30分加熱し、得られた赤色の粘性液体を脱水ペンタン10mLに溶解させ、-30℃で12時間静置することで、目的物(VII)を赤色結晶として得た(400mg、0.45mmol,単離収率89%)。得られた生成物は1H-NMR,13C-NMR,IR,HR-MS,および融点測定を行い同定した。
【実施例】
【0093】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.70(d,JH-H=14.2Hz,2H,-C=CH-),7.14-7.20(m,12H,Ph),7.30-7.42(m,12H,Ph),7.50(d,JH-H=14.2Hz,1H,-CH=C-),7.75(s,2H,Ph),7.90(d,JH-H=8.2Hz,4H,Ph).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):108.7,121.1,123.9,124.3,124.7,127.5,129.5,129.7,134.3,138.6,145.4,154.3
IR(KBr pellet):ν=1631,1589cm-1
m.p.:227-228℃
HRMS(EI)calcd for C46344S:674.2504,Found:674.2504.
【実施例】
【0094】
(3)エナミン化合物(I)~(VIII)の蛍光特性
紫外可視吸収スペクトルは1×10-5M、蛍光スペクトルは1×10-5Mの濃度でそれぞれ測定した。溶液の調製は、以下のように行った。化合物(I)~(VIII)を極性の異なる溶媒(ヘキサン、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF)にそれぞれ溶解させて1×10-4Mの溶液を作成した。1×10-4Mの溶液1mLを10mLメスフラスコにガスタイトシリンジ(1mL)を用いてそれぞれ量り取り、メスフラスコ標線まで対応する溶媒を追加して、1×10-5Mの溶液とした。1×10-5Mの溶液を同様の手法で1×10-6M溶液へと希釈した。蛍光量子収率の測定は浜松ホトニクス製の絶対PL量子収率測定装置を用いて1×10-5Mで測定した。各種溶媒中における(I)~(VIII)の最大吸収波長(λabs)、モル吸光係数(ε)、励起波長(λex)、最大蛍光波長(λf)、及び蛍光量子収率(Φ)の値をまとめて「表2」に記載した。また、化合物(III)の吸収スペクトルを図1、蛍光スペクトルを図2、類似構造の比較物性を図3に示した。また、化合物(IV)の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを「図4」および「図5」に示した。また、化合物(VIII)の吸収スペクトルを「図6」、蛍光スペクトルを「図7」に示した。
表2、及び図1と図2、図4と図5、図6と図7からも明らかなように、本発明のエナミン化合物は、溶媒の種類(極性)により最大吸収波長λabs、最大蛍光波長λfが変化(シフト)、すなわち、発光色が変化する「ソルバトクロミズム(Solvatochromism)」特性を示すことがわかる。
例えば、本発明の化合物(III)の吸収スペクトル(図1)と蛍光スペクトル(図2)をみると、溶媒の極性が大(hexane→toluene→THF→CHCl3→CH2Cl2→DMF)となるに従い、最大吸収波長λabs、最大蛍光波長λfが顕著に長波長シフトし、また、目視で確認できるレベルの蛍光強度を有している。溶媒がhexaneとDMFの場合の蛍光スペクトルを比較すると、最大蛍光波長λf(nm)のシフト量は117 nmと極めて大きいことがわかる。
これらの挙動は、化合物(IV)および化合物(VIII)においても同様に認められ、本発明の化合物が極めて顕著なソルバトクロミズム特性を示すことが見出された。このように、本発明の化合物は幅広い可視光領域での強い吸収・発光を可能とするものであり、生体組織透過性の高い橙色領域(595nm~610nm)や赤色波長域(610nm~750nm)での発光に好適であり、生体プローブやセンサー等への適用も可能である。なお、本発明の化合物は分子設計により、さらに長波長側の近赤外領域での発光も可能ならしめるものである。
【実施例】
【0095】
【表2】
JP2018159834A1_000023t.gif
【実施例】
【0096】
(4)イリジウム錯体を用いたアミド化合物とヒドロシランの反応
【実施例】
【0097】
【化20】
JP2018159834A1_000024t.gif
【実施例】
【0098】
[実施例11]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-(ジメシチルボリル)フェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(IX;R1=B(mesityl)2,R2=H,NAr2=NPh2)の合成
3回以上脱気/Ar置換した20mLシュレンク管に、基質アミドに対して[Ir]=0.5mol%になるよう希釈調整した脱水トルエン0.5mLと、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)をH-Si換算で4.0mmol(0.266g)入れ、室温で30分攪拌し均一溶液を調整した。その後、基質アミド1.0mmolを添加し、室温で1時間反応させた。反応後、形成した不溶性ケイ素樹脂より、ジエチルエーテルで抽出しながら、綿ろ過に通し、細かい不溶性ケイ素樹脂を除去した。抽出した反応溶液から減圧により溶媒を留去することで、目的の化合物(IX)を得た(単離収率70%)。得られた生成物は1H-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー8として表3に示す。
【実施例】
【0099】
1H-NMR(CDCl3,270MHz):δ2.03(s,12H,CH3),2.30(s,6H,CH3),5.59(d,JH-H=13.9Hz,1H,-C=CH-),6.81(s,4H,mesityl),7.05-7.45(m,14H,Ph),7.55(d,JH-H=13.9Hz,1H,-CH=C-).
IR(KBr pellet):ν=1584cm-1
m.p.:95-97℃
HRMS(FAB)calcd for C3838NB:519.3097,Found:519.3106.
【実施例】
【0100】
[実施例12]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-(ジメシチルボリル)フェニル)-ビニル)-N,N-ビス(p-メトキシフェニル)アミン(X;R1=B(mesityl)2,R2=H,NAr2=N(p-MeOC642)の合成
3回以上脱気/Ar置換した20mLシュレンク管に、基質アミドに対して[Ir]=0.5 mol%になるよう希釈調整した脱水トルエン0.5mLと、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)をH-Si換算で4.0mmol(0.266g)入れ、室温で30分攪拌し均一溶液を調整した。その後、基質アミド1.0mmolを添加し、室温で1時間反応させた。反応後、形成した不溶性ケイ素樹脂より、ジエチルエーテルで抽出しながら、綿ろ過に通し、細かい不溶性ケイ素樹脂を除去した。抽出した反応溶液から減圧により溶媒を留去することで、目的の化合物(X)を得た(単離収率62%)。得られた生成物は1H-NMR、13C-NMR、IR、HR-MS、および融点測定を行い同定した。これらの結果をエントリー9として表3に示す。
【実施例】
【0101】
1H-NMR(CDCl3,270MHz):δ2.03(s,12H,CH3),2.30(s,6H,CH3),3.81(s,6H,OCH3),5.49(d,JH-H=14.0Hz,1H,-C=CH-),6.81(s,4H,mesityl),6.88(d,JH-H=8.7Hz,4H,Ar),7.03(d,JH-H=8.7Hz,4H,Ar),7.13(d,JH-H=7.7Hz,4H,Ar),7.38(d,JH-H=7.7Hz,4H,Ar),7.49(d,JH-H=14.0Hz,1H,-CH=C-).
13C{1H}-NMR(CDCl3,100MHz):δ21.3,23.5,55.6,106.3,114.9,123.4,125.2,125.4,128.1,128.3,129.1,136.4,137.9,138.2,138.7,140.9,141.5,142.0,1143.0,156.6
IR(KBr pellet):ν=1585cm-1
m.p.:100-103℃
HRMS(FAB)calcd for C4042NO2B:579.3309,Found:579.3310.
【実施例】
【0102】
【表3】
JP2018159834A1_000025t.gif
【実施例】
【0103】
(5)エナミン化合物(IX)~(X)の蛍光物性
紫外可視吸収スペクトルは1×10-5M、蛍光スペクトルは1×10-5Mの濃度でそれぞれ測定した。溶液の調製は、以下のように行った。化合物(IX)~(X)を極性の異なる溶媒(シクロヘキサン、エタノール)にそれぞれ溶解させて1×10-4Mの溶液を作成した。1×10-4Mの溶液1mLを10mLメスフラスコにガスタイトシリンジ(1mL)を用いてそれぞれ量り取り、メスフラスコ標線まで対応する溶媒を追加して、1×10-5Mの溶液とした。1×10-5Mの溶液を同様の手法で1×10-6M溶液へと希釈した。蛍光量子収率の測定は1×10-5Mで測定した。各種溶媒中における(IX)~(X)の最大吸収波長(λabs)、モル吸光係数(ε)、励起波長(λex)、最大蛍光波長(λf)、及び蛍光量子収率(Φ)の値をまとめて「表4」に記載した。
【実施例】
【0104】
【表4】
JP2018159834A1_000026t.gif
【実施例】
【0105】
(6)DFT計算によるエナミン化合物の吸収波長のシミュレーション
計算にはGaussian09rev.cソフトウェアを用いた。対象分子の構造最適化においては、汎関数にB3LYPを、基底関数に6-31G**を採用した。吸光波長は構造最適化によって得られた分子構造について、TD計算によって算出した。TD計算については、汎関数にB3LYPを、基底関数に6-31G**を採用した。
計算によって得られた吸光波長、HOMO、LUMOのエネルギー(eV)、およびHOMO-LUMO間のエネルギー差(eV)を表5に記載した。R1はアクセプター部位、R2はエナミン上の置換基、NAr2はドナー部位をそれぞれ表す。
【実施例】
【0106】
【表5】
JP2018159834A1_000027t.gif
【実施例】
【0107】
(イリジウム錯体を用いたアミド化合物とヒドロシランの反応)
【実施例】
【0108】
【化21】
JP2018159834A1_000028t.gif
【実施例】
【0109】
[実施例13]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-フルオロフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XI;R1=F,A=1,4-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-フルオロフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド152mg(0.5mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体A(0.2mg,0.25μmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は97%であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで白色の固体として目的物(XI)を得た(132mg,単離収率91%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー1として表6に示す。
【実施例】
【0110】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.57(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),6.93(t,JH-H=7.8Hz,2H,p-PhN),7.09-7.16(8H,o-PhN,F-Ph),7.32(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),7.35(dd,JH-H=7.8Hz,4H,m-PhN).
【実施例】
【0111】
[実施例14]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-クロロフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XII;R1=Cl,A=1,4-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-クロロフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド161mg(0.5mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体A(0.2mg,0.25μmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は95%であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで白色の固体として目的物(XII)を得た(109mg,単離収率71%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー2として表6に示す。
【実施例】
【0112】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.53(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),7.09-7.19(10H,o-PhN,p-PhN,Cl-Ph),7.35(dd,JH-H=7.8Hz,4H,m-PhN),7.36(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-).
【実施例】
【0113】
[実施例15]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-ブロモフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XIII;R1=Cl,A=1,4-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-ブロモフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド183mg(0.5mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体B(0.2mg,0.15μmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(177μl,1.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで白色の固体として目的物(XIII)を得た(144mg,単離収率82%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー3として表6に示す。
【実施例】
【0114】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.50(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),7.08-7.16(8H,o-PhN,p-PhN,Br-Ph),7.33(dd,JH-H=7.8Hz,4H,m-PhN),7.35(d,JH-H=7.8Hz,2H,Br-Ph),7.38(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-).
【実施例】
【0115】
[実施例16]イリジウム錯体Aを用いたN-(2-(4-ホルミルフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XIV;R1=CHO,A=1,4-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-ホルミルフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド315mg(1.0mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体A(78μg,0.10μmol)、脱水トルエン5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(108μl,1.0mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(353μl,2.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で室温にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで白色粘性固体として目的物(XIV)を得た(242mg,単離収率81%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー4として表6に示す。
【実施例】
【0116】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.81(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),7.23(d,JH-H=7.6Hz,4H,o-PhN),7.25(d,JH-H=8.2Hz,2H,CHO-Ph),7.36-7.46(6H,m-PhN,p-PhN),7.86(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),8.06(d,JH-H=8.2Hz,2H,CHO-Ph),10.11(s,1H,CO).
【実施例】
【0117】
[実施例17]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(3-ニトロフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XV;R1=NO2,A=1,3-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、3-ニトロフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド332mg(1.0mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体B(7.1mg,0.005mmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(108μl,1.0mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(353μl,2.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで橙色固体として目的物(XV)を得た(285mg,単離収率90%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー5として表6に示す。
【実施例】
【0118】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.51(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),6.77(dd,JH-H=7.3Hz,1H,NO2Ph),6.87(d,JH-H=8.2Hz,1H,NO2Ph),6.98(d,JH-H=7.6Hz,4H,o-PhN),7.00(t,JH-H=7.6Hz,2H,p-PhN),7.16(dd,JH-H=7.3,8.2Hz,4H,m-PhN),7.30(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),7.75(d,JH-H=8.2Hz,1H,NO2Ph),7.97(s,1H,NO2Ph).
【実施例】
【0119】
[実施例18]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(2-ニトロフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XVI;R1=NO2,A=1,2-C64,R3=R4=Ph)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、2-ニトロフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド332mg(1.0mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体B(7.1mg,0.005mmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(108μl,1.0mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(353μl,2.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで赤色粘性固体として目的物(XVI)を得た(266mg,単離収率84%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー6として表6に示す。
【実施例】
【0120】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ6.53(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),6.65(dd,JH-H=7.3Hz,1H,NO2Ph),6.96-7.03(7H,o-PhN,p-PhN,NO2Ph),7.13-7.18(5H,m-PhN,NO2Ph),7.31(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),7.65(d,JH-H=9.2Hz,1H,NO2Ph).
【実施例】
【0121】
[実施例19]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-ニトロフェニル)-ビニル)-N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミン(XVII;R1=NO2,A=1,4-C64,R3=R4=(4-MeO)C64)の合成
20mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-ニトロフェニル-N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アセトアミド392mg(1.0mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、イリジウム錯体B(7.1mg,0.005mmol)、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(108μl,1.0mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(353μl,2.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで濃赤色固体として目的物(XVII)を得た(237mg,単離収率63%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー7として表6に示す。
【実施例】
【0122】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ3.83(s,6H,OMe),5.86(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),6.91(d,JH-H=8.7Hz,4H,ArN),7.04(d,JH-H=8.7Hz,4H,ArN),7.19(d,JH-H=8.7Hz,2H,NO2Ph),7.55(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),8.05(d,JH-H=8.7Hz,2H,NO2Ph).
【実施例】
【0123】
[実施例20]イリジウム錯体Bを用いたN-(2-(4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)チオフェニル)-ビニル)-N,N-ジフェニルアミン(XVIII;R1=ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル,A=2,5-SC42,R3=R4=Ph)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)-チオフェニル-N,N-ジフェニルアセトアミド428mg(1.0mmol)およびイリジウム錯体B(7.1mg,0.0025mmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(108μl,1.0mmol)を加え、その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(353μl,2.0mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて2時間撹拌を行った。2時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで濃赤色固体として目的物(XVIII)を得た(288mg,単離収率70%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。これらの結果をエントリー8として表6に示す。
【実施例】
【0124】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.77(d,JH-H=13.7Hz,1H,-C=CH-),6.74(d,JH-H=3.7Hz,1H,SC42),7.13(d,JH-H=8.7Hz,4H,o-PhN),7.17(t,JH-H=7.3Hz,2H,p-PhN),7.38(dd,JH-H=8.7,7.3Hz,4H,m-PhN),7.45(d,JH-H=13.7Hz,1H,-CH=C-),7.57(dd,JH-H=6.7,8.7Hz,1H,ベンゾチアジアゾール-4-イル),7.74(d,JH-H=6.7Hz,1H,ベンゾチアジアゾール-4-イル),7.83(d,JH-H=8.7Hz,1H,ベンゾチアジアゾール-4-イル),7.98(d,JH-H=3.7Hz,1H,SC42).
【実施例】
【0125】
【表6】
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【実施例】
【0126】
【化22】
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【実施例】
【0127】
[実施例21]イリジウム錯体Bを用いたN,N’-((1E,1’E)-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4,7-ジイルビス(4,1-チオフェニレン))ビス(エテン-2,1-ジイル))ビス(N-フェニルアニリン)(XIX)の合成
10mLのナスフラスコに撹拌子を入れ、2,2’-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4,7-ジイルビス(4,1-チオフェニレン))ビス(N,N’-ジフェニルアセトアミド)71.8mg(0.1mmol)およびイリジウム錯体B(0.7mg,0.5μmol)を量り取り、三方コックを取り付けた。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、脱水トルエン0.5mLおよび内部標準試薬としてアニソール(54μl,0.5mmol)を加え、5分間撹拌し均一溶液とした後、1H-NMR測定を行った。その後、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(36μl,0.1mmol)を加え、密閉してグローブボックスから取り出し、不活性ガス雰囲気下で30℃にて4時間撹拌を行った。4時間後の1H-NMR測定から、原料のアミドの転化率は99%以上であった。溶媒留去後、-78℃で脱水ペンタンを用いて洗浄し、再度減圧下で乾燥することで濃赤色固体として目的物(XIX)を得た(41mg,単離収率60%)。得られた生成物は1H-NMR測定を行い同定した。
【実施例】
【0128】
1H-NMR(CDCl3,400MHz):δ5.78(d,JH-H=13.7Hz,2H,-C=CH-),6.72(d,JH-H=3.7Hz,2H,SC42),7.13(d,JH-H=8.7Hz,8H,o-PhN),7.17(t,JH-H=7.3Hz,4H,p-PhN),7.38(dd,JH-H=8.7,7.3Hz,8H,m-PhN),7.45(d,JH-H=13.7Hz,2H,-CH=C-),7.74(s,2H,ベンゾチアジアゾール-4-イル),7.96(d,JH-H=3.7Hz,2H,SC42).
【実施例】
【0129】
(エナミン化合物(XI)~(XIX)の紫外可視光吸収および蛍光物性)
[実施例22]紫外可視吸収スペクトルは1×10-5M、蛍光スペクトルは1×10-5Mの濃度でそれぞれ測定した。各測定は日本分光製の紫外可視吸収波長測定装置および蛍光発光波長測定装置を用いた。溶液の調製は、以下のように行った。化合物(XI)~(XIX)を極性の異なる溶媒(ヘキサン、トルエン、THF)にそれぞれ溶解させて1×10-4Mの溶液を作成した。1×10-4Mの溶液1mLを10mLメスフラスコにガスタイトシリンジ(1mL)を用いてそれぞれ量り取り、メスフラスコ標線まで対応する溶媒を追加して、1×10-5Mの溶液とした。各種溶媒中における(XI)~(XIX)の最大吸収波長(λabs)、モル吸光係数(ε)、励起波長(λex)、最大蛍光波長(λf)、及び蛍光量子収率(Φ)の値をまとめて(表7)に記載した。
【実施例】
【0130】
【表7】
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【実施例】
【0131】
(エナミン化合物への試薬添加による溶液発光)
【実施例】
【0132】
【化23】
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【実施例】
【0133】
[実施例23]5mLスクリュー管に撹拌子を入れ、エナミン化合物(III)または(XI)または(XII)または(XIII)、をそれぞれ0.01mmolずつ量り取った。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、溶媒として脱水塩化メチレン(1mL)、試薬として2-ヨード-1,3-ジメチル-1Hイミダゾール-3-イウムトリフルオロメタンスルホネートC(3.7mg,0.01mmol)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランD(5.1mg,0.01mmol)またはp-トルエンスルホン酸一水和物E(1.9mg,0.01mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応後、溶液を暗室にて365nmのUVランプに照射したところ、いずれのエナミンも添加剤がない場合は溶液発光を示さない(表1、表6を参照)ところが、試薬C、D、Eを添加したすべての系において、目視での溶液発光を確認した。その後、溶液を10-4Mまで希釈し、UVスペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。UVスペクトルについては添加剤の有無によってシグナルの変化が観察されたが、蛍光スペクトルにおいてはいずれも有意なシグナルが得られなかった。以上の12サンプルの結果を表8にまとめた。また12サンプルに関するUVスペクトルを図8に示した。
【実施例】
【0134】
【表8】
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【実施例】
【0135】
(エナミン化合物への試薬添加による固体発光)
【実施例】
【0136】
【化24】
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【実施例】
【0137】
[実施例24]5mLスクリュー管に撹拌子を入れ、エナミン化合物(III)または(XI)または(XII)または(XIII)、をそれぞれ0.01mmolずつ量り取った。反応容器をグローブボックスへ持ち込み、溶媒として脱水塩化メチレン(1mL)、試薬として2-ヨード-1,3-ジメチル-1Hイミダゾール-3-イウムトリフルオロメタンスルホネートC(3.7mg,0.01mmol)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランD(5.1mg,0.01mmol)またはp-トルエンスルホン酸一水和物(1.9mg,0.01mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、それぞれ粘性固体を得た。得られた固体を暗室にて365nmのUVランプに照射したところ、いずれのエナミンも添加剤がない場合は固体発光を示さないが、試薬C、D、Eを添加したいくつかの系において、目視での固体発光を確認した。特に強度が強かった4サンプルについては、浜松ホトニクス製の蛍光測定装置を用いて、固体発光の吸収波長および蛍光波長を測定した。以上の12サンプルの結果を表9にまとめた。
【実施例】
【0138】
【表9】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7