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明細書 :強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3158182号 (P3158182)
公開番号 特開2001-021538 (P2001-021538A)
登録日 平成13年2月16日(2001.2.16)
発行日 平成13年4月23日(2001.4.23)
公開日 平成13年1月26日(2001.1.26)
発明の名称または考案の名称 強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法
国際特許分類 G01N 27/72      
FI G01N 27/72
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願平11-189269 (P1999-189269)
出願日 平成11年7月2日(1999.7.2)
審査請求日 平成11年7月2日(1999.7.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】597122725
【氏名又は名称】岩手大学長
発明者または考案者 【氏名】高橋 正氣
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】加藤 隆夫
参考文献・文献 特開 平8-248004(JP,A)
特開 平1-269049(JP,A)
特開 平3-113384(JP,A)
調査した分野 G01N 27/72 - 27/90
特許請求の範囲 【請求項1】
強磁性構造材の経年による実質的な応力の変化を定量的に求めることにより、強磁性構造材の強度の経年劣化を非破壊で測定する方法において、
被測定強磁性構造材の帯磁率χc を所定の磁界強度Hで測定し、
前記帯磁率χc と前記磁界強度Hとから次式
c=χc 3
により帯磁率係数cを求め、材料の内部構造によって定まる既知の二つの定数aとbとを含む、実質的な引張応力σを求める次式
σ={log(c)-a}/b
に前記帯磁率係数cの値を代入して、前記被測定強磁性構造材における実質的な引張応力σを求め、
前記被測定強磁性構造材の前記実質的な引張応力σと前記強磁性構造材の初期状態での引張応力σ0 とを比較して、経年による強磁性構造材の実質的な応力の変化を求めることを特徴とする、強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法。

【請求項2】
前記初期状態での引張応力σ0 は、前記強磁性構造材に加わる力Fと、その力の方向に直角な、前記強磁性構造材の断面の面積Aとから次式
σ0 =F/A
により求めることを特徴とする、請求項1記載の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法。

【請求項3】
前記初期状態での引張応力σ0 は、前記二つの式
c=χc 3
σ={log(c)-a}/b
を用いて、前記実質的な引張応力σと同様にして求めることを特徴とする、請求項1記載の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、強磁性構造材またはそれを用いた強磁性構造体の経年による材料強度劣化を非破壊的に測定して定量的に求める方法に関するものである。

【0002】
【従来の技術】従来の一般的な非破壊検査方法は全て、亀裂の発生とその進展を調べることを目的としていた。その結果、現在の非破壊検査方法の発展の方向は、できる限り小さい亀裂の発生を発見することにあり、かかる従来の非破壊検査方法では、亀裂が発生する前の段階での非破壊検査は行うことができなかった。

【0003】
ところで、強磁性構造材またはそれを用いた強磁性構造体の経年による材料強度劣化を非破壊的に測定する方法として従来、被測定対象の強磁性構造材料または強磁性構造体の保磁力および飽和磁化領域における帯磁率を測定する方法も知られている。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる被測定対象の強磁性構造材料等の保磁力および飽和磁化領域における帯磁率を測定する従来の方法では、保磁力を正確に測定する必要性があることから、測定の際に、被測定対象の強磁性構造材料等を、磁気ヨーク或いは巻線を用いて磁気飽和の段階まで磁化したのちに、その被測定対象の強磁性構造材料等を、内部の磁束密度がゼロにまるまで減磁しなければならない。そのため、磁気飽和するまで磁化するのにその材料の保磁力よりもはるかに大きい起磁力を必要とすることから、大型の磁気ヨークを用いて励磁巻線に大きな励磁電流を流す必要がある。

【0005】
従って、そのような大型の磁気ヨークを有する測定装置や大容量の励磁用電源を必要とすることから、コストが嵩んでしまうという問題がある。さらに、大型の磁気ヨークを有する測定装置などにより測定系の重量が重くなってしまうとともに、その測定装置を設置するための場所も設けなければならないという問題がある。

【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】この発明は、上記課題を有利に解決した強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法を提供するものであり、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法は、強磁性構造材の経年による実質的な応力の変化を定量的に求めることにより、強磁性構造材の強度の経年劣化を非破壊で測定する方法において、被測定強磁性構造材の帯磁率χc を所定の磁界強度Hで測定し、前記帯磁率χc と前記磁界強度Hとから次式
c=χc 3 ・・・(1)
により帯磁率係数cを求め、材料の内部構造によって定まる既知の二つの定数aとbとを含む、実質的な引張応力σを求める次式
σ={log(c)-a}/b ・・・(2)
に前記帯磁率係数cの値を代入して、前記被測定強磁性構造材における実質的な引張応力σを求め、前記被測定強磁性構造材の前記実質的な引張応力σと前記強磁性構造材の初期状態での引張応力σ0 とを比較して、経年による強磁性構造材の実質的な応力の変化を求めることを特徴とするものである。

【0007】
この発明の原理を、実際に行った試験データをもとにして説明する。鉄鋼材料の機械的性質と磁気的性質の相関関係を明らかにするため、単結晶純鉄、多結晶純鉄そして低合金鋼A533B の試験材料をそれぞれ用いて、引張試験とヒステリシス磁化特性試験とを、図1に示す形状の試料でそれぞれ行った。なお、図1(a)は引張試験用試料の形状、(b) ,(c) はヒステリシス磁化特性試験用試料の形状であり、(b) は、多結晶純鉄および低合金鋼A533B に、(c) は単結晶純鉄にそれぞれ用いている。また表1は、試験に用いた低合金鋼A533B の化学組成を示すものである。

【0008】
【表1】
JP0003158182B2_000002t.gif【0009】図2~図4は、引張試験の試験データより得られた応力-ひずみ特性を例示した図であり、図2は単結晶純鉄の試験結果を示しており、このときの変形速度(伸び率)は1.5%/分である。図3は多結晶純鉄の試験結果を示しておりこのときの変形速度(伸び率)は1.2%/分である。図4は低合金鋼A533B の試験結果を示しておりこのときの変形速度(伸び率)は1.2%/分である。

【0010】
図5および図6は、応力負荷を与えた状態でのヒステリシス磁化特性試験により得られた磁化曲線を示した説明図である。ここで、図5は単結晶純鉄の応力負荷(0MPa,55MPa,115MPa)による変形に伴うヒステリシス磁化特性の変化を示しており、図6は低合金鋼A533B の応力負荷(0MPa,550MPa,663MPa) による変形に伴うヒステリシス磁化特性の変化を示している。なお、上記応力負荷の値は、先に引張試験を行った結果をもとにして、0MPa、破断直前の応力、およびそれらの間の応力を選んでいる。

【0011】
図5および図6に示すような磁化曲線の傾きから、保磁力以上の磁界強度Hにおける帯磁率χc を求めることができる。図7は、図6に示す応力負荷663MPaにおける低合金鋼A533B の磁化曲線から求めた、保磁力以上の磁界強度Hでの帯磁率χc と磁界強度Hとの関係を示す説明図である。また、図8は、図7に示す応力負荷663MPaにおける低合金鋼A533B の磁界強度Hおよび帯磁率χc について、磁界強度Hの対数log Hと帯磁率χc の対数log χc との関係を示す説明図である。一方、図9は、応力負荷115MPaにおける単結晶純鉄について磁界強度Hの対数log Hと帯磁率χc の対数log χc との関係を示す説明図である。

【0012】
上記図8および図9から、
log χc =-3logH+A ・・・(3)
なる関係式が得られる。ここでAは定数である。この式から
χc =c/H3 ・・・(4)
という関係が得られ、この式は先に述べた(1) 式
c=χc 3
に変形できる。

【0013】
ここにおけるcは、当該強磁性構造材中に含まれる転位やその他の欠陥および結晶粒界状態によって定まる材料パラメータであり、これを帯磁率係数と呼ぶことにする。なお、この帯磁率係数cは、強い磁界強度で単結晶材料を測定した場合に成り立つことは従来から知られていたが、本願の発明者の実験により低い磁界強度で測定した単結晶純鉄や多結晶純鉄や低合金鋼についても成り立つことが判明した。

【0014】
このようにして、ヒステリシス磁化特性試験で得られたヒステリシス磁化特性から、上記に示す(1) 式
c=χc 3
により、保磁力以上の磁界強度におけるそれぞれの材料の帯磁率係数cを求め、応力負荷σに対して、その帯磁率係数cの対数log(c)をプロットすると、図10のようになる。なお、単結晶純鉄については▲(黒三角)、多結晶純鉄については●(黒丸)、低合金鋼については◆(黒菱形)でそれぞれプロットしている。すなわち、応力負荷σと帯磁率係数cとの関係は次式
σ={log(c)-a}/b ・・・(5)
なる一つの関係式であらわすことができることが、本願発明者の研究により判明した。ここで、a,bは材料の結晶構造によって定まる定数であり、試験に用いた単結晶純鉄、多結晶純鉄および低合金鋼A533B は共に体心立方(BBC) 構造を有しており、鉄原子が主な成分であることから、図10に示すように、一つの関係式((5) 式)に載ることと推定される。

【0015】
従って、応力負荷が不明の状態でも、ヒステリシス磁化特性試験によって帯磁率係数cを求めて、上記(5) 式にその帯磁率係数cの値を代入することで、その応力負荷σを求めることができ、この応力負荷σは機械強度パラメータとなる。

【0016】
帯磁率係数cは、磁気ヨークまたは巻線を用いて非破壊的にヒステリシス磁化特性を測定することで求めることができ、かかる場合、帯磁率の測定で足りることから磁界強度Hが従来より大幅に低くて済み、ひいては、磁化に要する励磁電流が、従来の保磁力を求める測定の場合よりも大幅に小さいもので足りる。

【0017】
それゆえ、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法によれば、被測定強磁性構造材の帯磁率χc を所定の磁界強度Hで測定し、前記帯磁率χc と前記磁界強度Hとから次式
c=χc 3
を求めてこれを帯磁率係数cとし、材料の内部構造によって定まる既知の二つの定数aとbとを含む、実質的な引張応力σを求める次式
σ={log(c)-a}/b
に前記帯磁率係数cの値を代入して、前記被測定強磁性構造材における実質的な引張応力σを求め、前記被測定強磁性構造材の前記実質的な引張応力σと前記強磁性構造材の初期状態での引張応力σ0 とを比較することで、経年による強磁性構造材の応力の変化を定量的に求めることができる。

【0018】
すなわち、構造材が長期間に亘って応力負荷状態にあると、内部欠陥や転位の増加等によりその構造材中で内力を負担し得る微少部分が減少し、実質的な応力負荷が増加する。この発明の方法は、その実質的な応力負荷の増加を従来よりも極めて低い磁界強度で正確に測定し得て、材料の経年劣化を非破壊で測定することができるものである。

【0019】
しかも、保磁力を求めてその保磁力と実質的な引張応力との関係から経年劣化を評価する従来の方法では求まる引張応力の最小値と最大値との間におよそ数倍~数十倍程度の変化があるのに止まり、その数値範囲が狭かったのに対し、この発明の、実質的な引張応力σと帯磁率係数cとの関係から経年劣化を評価する方法では、上記図10に示されているように、求まる実質的な引張応力σの最小値と最大値の間におよそ3000倍の変化があった。このことから、経年劣化を評価するための実質的な引張応力を求める感度が良くなることが分かった。

【0020】
なお、変形応力と転位密度との間には簡単な関係があることが従来から知られているので、実質的な引張応力が判明すればその引張応力から転位密度を概算することができ、ひいては、劣化の一つのパラメータである転位密度を非破壊的に求めることができる。

【0021】
この発明の方法は、単結晶の強磁性構造材だけでなく、多結晶の強磁性構造材や低合金鋼にも適用することができる。ゆえに、この発明の方法により、亀裂が発生する前段階での転位密度及びその分布の変化を非破壊的に検査でき、なおかつ、小型の磁気ヨークと小容量の励磁電源で非破壊測定が可能な、高感度の強磁性構造材強度の経年劣化非破壊測定方法を提供することができる。

【0022】
なお、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法では、前記初期状態での引張応力σ0 は、前記強磁性構造材に加わる力Fと、その力の方向に直角な、前記強磁性構造材の断面の面積Aとから次式
σ0 =F/A ・・・(6)
により求めても良く、このようにすれば、前記強磁性構造材に加わっている外力や内力の値が分かる場合に、上記(6) 式からσ0 を容易に計算できる。

【0023】
また、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法では、前記初期状態での引張応力σ0 は、前記(1) 式および(2) 式を用いて、前記実質的な引張応力σと同様にして求めても良く、このようにすれば、前記強磁性構造材に加わっている外力や内力の値が分からない場合であっても、前記初期状態での実質的な引張応力σ0 を容易に求めることができる。

【0024】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施例の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。図11は、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法の第一実施例を示す説明図である。図中符号1は、何らかの外力や内力が加わっている、強磁性構造材によって構成された被測定強磁性構造体、2は励磁曲線、3は磁束検出巻線、4はそれらの巻線が巻かれた磁気ヨークであり、ここでは、図11に示すように、励磁巻線2と磁束検出巻線3とを直接巻けない形状の被測定強磁性構造体1に対し、励磁巻線2と磁束検出巻線3とを有する磁気ヨーク4を密着させ、磁気閉回路5を形成する。6は、上記励磁曲線2と磁束検出巻線3とが接続されたヒステリシス磁化特性測定装置であり、このヒステリシス磁化特性測定装置6には、一般の市販品を用いることができる。また7は、この実施例を実施した結果として、ヒステリシス磁化特性測定装置6に表示される、被測定強磁性構造体1のヒステリシス磁化特性である。

【0025】
この実施例の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法によれば、ヒステリシス磁化特性測定装置6より励磁巻線2に励磁電流が供給され、このとき磁束検出巻線3に誘起した電圧が、ヒステリシス磁化特性測定装置6に導かれて増幅積分され、その結果ヒステリシス磁化特性7が得られる。この実施例では、帯磁率χc が求められれば良いので、従来方法の実施のために飽和磁化まで磁化させて測定するのに必要な磁界強度Hがおよそ1000~2000Oe であるのに対して、50Oe 程度の極めて低い磁界強度Hで測定を行えば足りる。

【0026】
上述した極めて低い磁界強度Hでの測定により得られたヒステリシス磁化特性7は、被測定強磁性構造体1の内部での3次元的磁路の広がりや反磁界係数の影響による誤差を含んだものである。ゆえに、この誤差を除去したヒステリシス磁化特性を得るための補正係数を求める必要があるが、この補正係数は、既知の静磁界解析手法を用いた計算機実験あるいは実測定体系を模擬したモックアップ実験により前もって求めておくことができる。

【0027】
上述のようにして求めた低い磁界強度Hでの擬似的ヒステリシス磁化特性により求めた帯磁率χc と磁界強度Hとの値を次式、
c=χc 3 ・・・(1)
に代入することで帯磁率係数cの値が求められる。そして次式、
σ={log(c)-a}/b ・・・(2)
に、先に求めた帯磁率係数cの値を代入することで、何らかの外力や内力が加わっている被測定強磁性構造体1の内部の実質的な引張応力σを求めることができる。

【0028】
ここで、上記(2) 式に含まれているa,bは、材料の内部構造によって定まる定数であるが、被測定強磁性構造体1について、それらの定数a,bを被測定強磁性構造体1と同種の材料のテストピースで前もって求めておき、それらの定数を用いて上記(2) 式を図示すると、帯磁率係数c引張応力σとの関係が、図12に示す校正直線8のようになる。この校正直線8から、上述の測定で求めた帯磁率係数cに対応する、実質的な引張応力σが容易に求められる。

【0029】
ところで、被測定強磁性構造体1について経年劣化の程度の基準となる、その強磁性構造体1の初期状態での引張応力σ0 を求めておく必要があるが、初期状態での引張応力σ0 は、被強磁性構造体1に加わっている力の方向および大きさが分かる場合、その力Fと、その力の方向に直角な、前記強磁性構造体の断面の面積Aとから次式
σ0 =F/A ・・・(3)
により求められる。

【0030】
この一方、その被強磁性構造体1に加わっている力の方向および大きさが分からない場合には、上記(1) 式および(2) 式を用いて、実質的な引張応力σと同様にして、初期状態での引張応力σ0 を求めておく。

【0031】
上記で求めた実質的な引張応力σと、被測定構造体1の初期状態での引張応力σ0 とを比較するために、実質的な引張応力σと被測定構造体1の初期状態での引張応力σ0 との差δを求めると、このδは被測定構造体の経年による機械強度の劣化の程度を示すパラメータとなることから、強磁性構造体の経年による劣化の程度を非破壊的に測定できる。

【0032】
従って、この実施例の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法によれば、従来よりも極めて低い磁界強度Hでの測定により得られた擬似的なヒステリシス磁化曲線から帯磁率係数cを計算し、図12に例示する如き引張応力と帯磁率係数との関係を示す校正直線8から、帯磁率係数cの値に対応する実質的な引張応力σの大きさを非破壊で正確に求めることができ、経年劣化した材料とその材料の初期状態とを比較することで、強磁性構造材の経年劣化の程度を非破壊的に測定できる。それゆえこの実施例の方法によれば、単結晶の強磁性構造材だけでなく多結晶の強磁性構造材や低合金鋼にも適用できることから、原子炉圧力容器等、強磁性構造材で製造される全ての構造物の経年劣化の程度を、亀裂が発生する前段階での転位密度及びその分布の変化から非破壊的に正確に検査でき、なおかつ、小型の磁気ヨークと小容量の励磁電源を具える簡単な装置で測定することができる。

【0033】
図13は、この発明の強磁性構造材の強度の経年劣化の非破壊測定方法の第二実施例を示す説明図である。この実施例では、第一実施例と異なり、何らかの外力や内力が加わっている被測定構造体1が、励磁巻線2と磁束検出巻線3とを直接巻ける形状を有していることから、その被測定構造体1に、励磁巻線2と磁束検出巻線3とが直接巻かれている。ここでも、ヒステリシス磁化特性測定装置6には、先の第一実施例と同様に、一般の市販品を用いることができる。また9は、この実施例を実施した結果として、ヒステリシス磁化特性測定装置6に表示されるヒステリシス磁化特性である。

【0034】
この実施例では、先の第一の実施例と同様にして、極めて低い磁界強度Hでの測定により得られたヒステリシス磁化特性9から、帯磁率係数cの値を求め、その帯磁率係数cの値から実質的な引張応力σを求める。そしてその被測定構造体1の初期状態での引張応力σ0 と実質的な引張応力σとの差δを求めることで、実質的な引張応力σと、被測定構造体1の初期状態での引張応力σ0 とを比較することで、強磁性構造体の経年による劣化の程度を非破壊的に測定することができる。

【0035】
この実施例の方法によれば、先の実施例と同様に強磁性構造体の経年による劣化を非破壊測定でき、しかも磁気ヨークを使用しなくてすむことから、装置の単純化及び軽量化を図ることができる。

【0036】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例では構造体について測定したが、構造体用の構造材についても測定し得ることはいうまでもない。また、この発明の方法の各工程を実施する手段を組合わせて、経年劣化測定装置を構成することもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図11】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図13】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図12】
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