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Specification :(In Japanese)染色されたポリプロピレン繊維構造物およびそれを用いた衣料品

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6671729
Date of registration Mar 6, 2020
Date of issue Mar 25, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)染色されたポリプロピレン繊維構造物およびそれを用いた衣料品
IPC (International Patent Classification) D06P   3/79        (2006.01)
D06P   1/20        (2006.01)
A41D  31/00        (2019.01)
A41D  31/04        (2019.01)
A41D  31/24        (2019.01)
C09B   1/503       (2006.01)
FI (File Index) D06P 3/79 C
D06P 1/20
A41D 31/00 503H
A41D 31/04 G
A41D 31/24 100
C09B 1/503
Number of claims or invention 9
Total pages 18
Application Number P2018-559122
Date of filing Dec 21, 2017
International application number PCT/JP2017/045943
International publication number WO2018/123811
Date of international publication Jul 5, 2018
Application number of the priority 2016250746
Priority date Dec 26, 2016
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Dec 27, 2019
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
【識別番号】504368011
【氏名又は名称】有本化学工業株式会社
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】宮崎 慶輔
【氏名】古賀 孝一
【氏名】堀 照夫
【氏名】廣垣 和正
【氏名】田畑 功
Accelerated examination, or accelerated appeal examination (In Japanese)早期審査対象出願
Representative (In Japanese)【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
Examiner (In Japanese)【審査官】長部 喜幸
Document or reference (In Japanese)特公昭40-23030(JP,B1)
米国特許第3536735(US,A)
特公昭38-10741(JP,B1)
英国特許出願公開第973262(GB,A)
特開2001-226884(JP,A)
特許第3253649(JP,B2)
染色化学討論会講演要旨集,2006年,Vol.46,Pages 21-24
Coloration Technology,2012年,Vol.128, No.1,Pages 51-59
Coloration Technology,2012年,Vol.128, No.1,Pages 60-67
Field of search D06P 3/79
D06P 1/20
CAplus/REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】
JP0006671729B2_000013t.gif
(式中、R1はそれぞれ独立に、炭素数4~8の分岐アルキル基、および炭素数9~19のアリールアルキル基からなる群より選ばれる1種であり、nは1~3である。前記分岐アルキル基は第四級炭素原子を含み、前記アリールアルキル基のアルキル部分は第四級炭素原子を含む。)で表される赤色染料で超臨界二酸化炭素流体を染色媒体として用いて染色されていることを特徴とする染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項2】
nが2であることを特徴とする請求項1に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項3】
nが2であり、R1基が前記分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項4】
nが1であり、R1基が前記分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項5】
前記赤色染料が、1-アミノ-4-ヒドロキシ-2-[2,4-ビス(2-メチルプロパン-2-イル)フェノキシ]アントラセン-9,10-ジオンである請求項1に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項6】
前記赤色染料が、1-アミノ-4-ヒドロキシ-2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]アントラセン-9,10-ジオンである請求項1に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項7】
JIS L0849に従い測定した摩擦堅牢度が4-5級以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項8】
布であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の染色されたポリプロピレン繊維構造物を用いた衣料品。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、染色されたポリプロピレン繊維構造物およびそれを用いた衣料品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン樹脂はプロピレンを付加重合させた、結晶性の熱可塑性樹脂である。このポリプロピレン樹脂は石油精製時の廃ガスであるプロピレンを原料としているため廉価であり、水に浮くほどの低密度(0.90~0.92g/cm3)であるため軽量であり、吸水・吸湿性がほとんどない(公定水分率0.0%)ため速乾性である。さらに、ポリプロピレン樹脂は耐薬品性、耐擦過性、耐屈曲性、帯電防止性など、非常に多くの優れた特徴・特性を持っている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
ポリプロピレンは単純な分岐炭化水素の高分子であり、ペンダント基となるメチル基こそあるものの、染料との化学反応に有効な官能基を有していない。また、ポリプロピレンは結晶が比較的緻密で、極めて疎水性が高く、ほとんど水に膨潤されない。これらの理由により、従来の染色技法を用いたポリプロピレンの着色は極めて困難であるとされてきた。
【0004】
現在市場にある有色のポリプロピレン繊維構造物は、ポリマーチップの製造段階で顔料を添加した原液着色法(原着法)による原着糸がほとんどである。原着法は繊維製品の製造における最も初期の段階、すなわち、溶融紡糸時に色を決定しなければならないという不便さがあり、タイムリーな色の選択ができない。また、原着糸は異物である顔料を添加しているため、着色していないレギュラー糸に比べ製糸性が悪く、単糸繊度1dtex以下の細い糸を安定的に生産することができない。さらに、製造する糸の色を変更する場合、溶融紡糸装置内にある先の色の樹脂を次の色の樹脂で押し出して置換させねばならないので、大量の捨て樹脂と多くの時間が必要となる。採算性と市場価格を考慮すると、原着糸は1つの色を一定量以上生産しなければならず、おのずと色数が制限されてしまうことになる。
【0005】
合成樹脂としてのポリプロピレンはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンと並ぶ四大汎用合成樹脂の一つとして挙げられ、廉価な原料費と優れた特性を背景として非常に幅広い分野で用いられている(非特許文献3)。これとは対照的に、合成繊維としてのポリプロピレンの用途は非常に限定されている(非特許文献4)。これは、ポリプロピレンレギュラー糸が染色できないことに起因する色数の少なさ、そして、唯一有効な着色方法である原着法では単糸繊度が大きくならざるを得ないことなどが主な理由と考えられる。
【0006】
ポリプロピレン繊維を自在に染色する方法が実用化された場合、色数の制限がなくなり、単糸繊度の小さく(細い)廉価なレギュラー糸を着色することが可能となる。したがって、要求される意匠性が高いために、これまでポリプロピレン繊維が適用されてこなかった分野、例えば、車両内装材分野や衣料分野などにおいて、その特性を活かした新しい用途展開が期待される。
【0007】
1960年代に染料の分子構造の変更によってポリプロピレン繊維を水系で染色することが試みられており、特許文献1~5、非特許文献5にはポリプロピレン染色のための染料がいくつか挙げられている。さらに、非特許文献6~11に記載のポリプロピレン繊維の水系染色の研究によれば、ポリプロピレンのような非常に疎水性が高い繊維のための染料は、ポリエステル繊維のために慣用されている染料よりも極度に高い疎水性を有することが必要である。しかしながら、耐光、洗濯、摩擦、昇華等の各種堅牢度がすべて良好である染色したポリプロピレン繊維を水系染色でもたらすことが可能な染料はこれまでに見出されていない。
【0008】
水系染色に代わるポリプロピレン繊維の染色方法として、超臨界(流体)染色と呼ばれる、超臨界二酸化炭素(scCO2)を染色媒体として用いて染色する方法が既知である。例えば、特許文献6には、scCO2を用いて、ポリエステル繊維材料、ポリプロピレン繊維材料などの疎水性繊維材料を、様々な染料で染色することが開示されている。非特許文献12~17には、現在市場に流通しているポリエステル用染料でポリプロピレン繊維を超臨界染色で染色したことが記載されている。
【0009】
また、非特許文献18、19には、scCO2でポリプロピレン布を染色することが可能である特定の青色と黄色の染料が開示されており、これらの染料によって染色することにより、優れた染色堅牢度を有する染色ポリプロピレン繊維を提供できることが開示されている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特公昭38-10741号公報
【特許文献2】特公昭40-1277号公報
【特許文献3】特公昭41-3515号公報
【特許文献4】英国特許第872,882号明細書
【特許文献5】米国特許第3,536,735号明細書
【特許文献6】特許第3253649号公報
【0011】

【非特許文献1】M Ahmed,Polypropylene fibers,science and technology(Amsterdam;New York:Elsevier Scientific Pub.Co.,1982).
【非特許文献2】J Akrman and J Prikryl,J.Appl.Polym.Sci.,62(1996)235.
【非特許文献3】P.Galli,S.Danesi and T.Simonazzi,Polym.Eng.Sci,24(1984),544.
【非特許文献4】山本洋,繊維学会誌,61(2005),319-321.
【非特許文献5】永井芳男,松尾昌季,有機合成化学協会誌,23(1)(1965),2-11.
【非特許文献6】Z H Cui,S F Zhang and J Z Yang,Chin.Chem.Lett.,18(2007)1145.
【非特許文献7】T Kim,J Jung,K Jang,S Yoon and M Kim,Fibers Polym.,10(2009)148.
【非特許文献8】T Kim,J Jung,S Son,S Yoon,M Kim and J S Bae,Fibers Polym.,9(2008)538.
【非特許文献9】T Kim,J Jung,S Yoon,M Kim and Y-A Son,J.Korean Soc.Dye.Finish.,19(2007)28.
【非特許文献10】T Kim,S Yoon,J Hong,H Kim and J Bae,J.Korean Soc.Dye.Finish.,18(2006)30.
【非特許文献11】S J Mangan,J Crouse and F Calogero,Text.Chem.Color.,21(1989)38.
【非特許文献12】W Oppermann,H Herlinger,D Fiebig and O Staudenmayer,Melliand Textilberichte-Int.Text.Rep.,77(1996)588.
【非特許文献13】E Bach,E Cleve and E Schollmeyer,J.Text.Inst.Part 1 Fiber Sci.Text.Tecnol.,89(1998)647.
【非特許文献14】E Bach,E Cleve and E Schollmeyer,J.Text.Inst.Part 1 Fiber Sci.Text.Tecnol.,89(1998)657.
【非特許文献15】D Knittel,W Saus and E Schollmeyer,Tech.Text.,38(1995)184.
【非特許文献16】S-K Liao,P-S Chang and Y-C Lin,J.Text.Eng.,46(2000)123.
【非特許文献17】S-K Liao,P-S Chang and Y-C Lin,J.Polym.Res.,7(2000)155.
【非特許文献18】K.Miyazaki et al.,Color.Technol.,128(2012),51-59.
【非特許文献19】K.Miyazaki et al.,Color.Technol.,128(2012),60-67.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、優れた染色堅牢度を有する染色ポリプロピレン繊維構造物を提供するための染料として、青色と黄色の染料は見出されている(非特許文献18、19参照)。しかしながら、自在な色彩を得るためには、減法混色三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)に近い色相(黄、赤、青)の染料が少なくとも各1種類ずつ必要であり、この三原色を構成する赤色の染料が未だ発見されていない。そのため、染料配合による自在な色調の染色はポリプロピレン繊維構造物で未だ実現できていない。
【0013】
さらに、特許文献6は、分散染料や油溶性染料等の中性の色素を包括的に開示し、染色の対象となる疎水性合成繊維も包括的に列挙しているに過ぎない。実際には、特許文献6に記載の染料を用いてポリプロピレン繊維構造物を染色しても、染料のほとんどは全く染着しないか、染着しても、染色されたポリプロピレン繊維構造物の染色堅牢度が著しく悪い。
【0014】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた染色堅牢度を有し、減法混色三原色を構成し得る赤色を示す染料で染色されたポリプロピレン繊維構造物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある態様は、下記一般式(1):
【化1】
JP0006671729B2_000002t.gif
(式中、R1はそれぞれ独立に、炭素数4~8の分岐アルキル基、および炭素数9~19のアリールアルキル基からなる群より選ばれる1種であり、nは1~3の整数である。前記分岐アルキル基は第四級炭素原子を含み、前記アリールアルキル基のアルキル部分は第四級炭素原子を含む。)で表される赤色染料で染色されていることを特徴とする染色されたポリプロピレン繊維構造物である。ここで、「第四級炭素原子」は、本明細書で使用するとき、4個の他の炭素原子に結合している炭素原子を意味する。
【0016】
上記一般式(1)中、nが2であってもよい。
【0017】
上記一般式(1)中、nが2であり、R1基がそれぞれ独立に前記分岐アルキル基であってもよい。また、上記一般式(1)中、nが1であり、R1基が前記分岐アルキル基であってもよい。
【0018】
また、上記染色されたポリプロピレン繊維構造物が布であってもよい。
【0019】
本発明の他の態様は、上記染色されたポリプロピレン繊維構造物を用いたことを特徴とする衣料品である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、優れた染色堅牢度および染色性を有する赤色染料で染色され、減法混色三原色の赤色を示し得る染色されたポリプロピレン繊維構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例における染色性試験に使用した装置を示す概略図である。
【図2】実施例における超臨界流体染色プロセスのための装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態にかかる染色されたポリプロピレン(PP)繊維構造物は、下記一般式(1):
【化2】
JP0006671729B2_000003t.gif
(式中、R1はそれぞれ独立に、炭素数4~8の分岐アルキル基、および炭素数9~19のアリールアルキル基からなる群より選ばれる1種であり、nは1~3の整数である。前記分岐アルキル基は第四級炭素原子を含み、前記アリールアルキル基のアルキル部分は第四級炭素原子を含む。)
で表される赤色染料で染色されていることを特徴とする。

【0023】
上記染料で染色されたポリプロピレン繊維構造物は、減法混色三原色の赤色を示すことができる。さらに、該染色されたポリプロピレン繊維構造物は、洗濯堅牢度、耐光堅牢度、昇華堅牢度のいずれも優れている。

【0024】
(染料)
本発明の染色されたポリプロピレン繊維構造物を構成する赤色染料は、上記一般式(1)で表される化合物である。減法混色三原色を構成し得る赤色にポリプロピレン繊維構造物を良好に染めることができ、かつ洗濯堅牢度、耐光堅牢度、昇華堅牢度のいずれも良好なものとするためには、上記一般式(1)中のR1がそれぞれ独立に、炭素数4~8の分岐アルキル基、および炭素数9~19のアリールアルキル基からなる群より選ばれる1種であり、nは1~3の整数であり、前記分岐アルキル基は第四級炭素原子を含み、前記アリールアルキル基中のアルキル部分は第四級炭素原子を含むことを要する。

【0025】
R1の上記アルキル基および上記アリールアルキル基中のアルキル部分が分岐状であり、かつ第四級炭素原子を含むことで、染色堅牢度がより優れた染料が得られる。さらに、上記一般式(1)で表される染料は固体であるため、取り扱いが容易で、染色の程度(色の濃淡)の微調整が可能であり、工業的生産に有利である。

【0026】
第四級炭素原子を含む上記分岐アルキル基の例としては、2-メチルプロパン-2-イル(tert-ブチル)基、2-メチルブタン-2-イル(tert-アミル)基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル(tert-オクチル)基、2-メチルヘプタン-2-イル基が挙げられる。これらのうち、染色の際の残留染料がより少なく、染色堅牢度がより優れていることから、2-メチルプロパン-2-イル基、2-メチルブタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が好ましい。

【0027】
第四級炭素原子を含む上記アリールアルキル基の例としては、2-フェニルプロパン-2-イル(クミル)基、2-フェニルブタン-2-イル基、2-(o-トルイル)プロパン-2-イル基、1,1-ジフェニルプロピル基、1,1,1-トリフェニルメチル基(トリチル基)が挙げられる。なお、上記アリールアルキル基の炭素数は9または10が好ましい。

【0028】
n=2または3である場合、2つまたは3つのR1はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。

【0029】
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であってもよい。
【化3】
JP0006671729B2_000004t.gif
式中、R2~R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数4~8の分岐アルキル基、および炭素数9~19のアリールアルキル基からなる群より選ばれる1種である。前記分岐アルキル基は第四級炭素原子を含み、前記アリールアルキル基のアルキル部分は第四級炭素原子を含み、R2~R4のうち少なくとも1つが前記分岐アルキル基または前記アリールアルキル基である。

【0030】
染色堅牢度をより向上させることができることから、フェノキシ基上の置換基の数は2個であること、すなわち、上記一般式(1)中、nが2であることが好ましい。また、同様の理由により、上記一般式(2)中、R2~R4のうち2つがそれぞれ独立に前記分岐アルキル基または前記アリールアルキル基であり、残りの1つが水素原子であることが好ましい。

【0031】
染色した際の残留染料がより少なく、染色の程度を再現性よく調整できることから、R1が前記分岐アルキル基であり、nが1または2であることが好ましい。また、同様の理由により、上記一般式(2)中、R2~R4がそれぞれ独立に水素原子または前記分岐アルキル基であり、かつR2~R4のうち1つまたは2つが前記分岐アルキル基であることが好ましい。特に、染色堅牢度がより優れたものとなり、染色の際の残留染料がより少なくなることから、上記一般式(1)中、R1が前記分岐アルキル基であり、nが2であることがより好ましい。同様の理由により、上記一般式(2)中、R2~R4のうち2つがそれぞれ独立に前記分岐アルキル基であり、残りの1つが水素原子であることがより好ましい。

【0032】
本発明の特に好ましい実施形態では、上記染料は、上記一般式(1)のR1が2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基であり、nが1であり、フェノキシ基の4位にR1が存在する化合物、または上記一般式(1)のR1が2-メチルプロパン-2-イル基もしくは2-メチルブタン-2-イル基であり、nが2であり、フェノキシ基の2位および4位にR1が存在する化合物である。これらの化合物は、優れた染色堅牢度と染色性を有し、特に染色の際に染料が残留せず、再現性よく染色の色をコントロールすることが可能である。

【0033】
上記一般式(1)で表される赤色染料は、ポリプロピレン繊維構造物を染めることが可能な青色染料と黄色染料、特に、非特許文献3、4にそれぞれ記載されている青色染料と黄色染料と共に用いることによって、ポリプロピレン繊維構造物を自在な色調に染色することができる。

【0034】
上記一般式(1)で表される染料は公知であり、当業者に既知の方法に従って製造できる。例えば、Dyes and Pigments,95,2012,201-205に記載されているような公知の条件下で、市販の1-アミノ-2-ブロモ-4-ヒドロキシアントラセン-9,10-ジオンと市販の分岐アルキル基またはアリールアルキル基で置換されたフェノールとを反応させることによって製造できる。

【0035】
(ポリプロピレン繊維構造物)
本発明におけるポリプロピレン繊維構造物はポリプロピレン繊維を含む。ここで、ポリプロピレン繊維はポリプロピレン樹脂を含む限り、特に限定されない。ポリプロピレン樹脂単独から構成される繊維を用いてポリプロピレン繊維構造物を形成してもよく、またはポリプロピレン樹脂に他のポリマー成分を配合および/または接合し調製した繊維を用いてポリプロピレン繊維構造物を形成してもよい。

【0036】
上記ポリプロピレン繊維から、当分野にて既知の方法に従って、様々な形態のポリプロピレン繊維構造物を製造することができる。ポリプロピレン繊維構造物の形態としては、例えば、糸状構造物(フィラメント糸、紡績糸、スリット糸、スプリット糸等)、綿(わた)状構造物、紐状構造物、布状構造物(織物、編物、不織布、フェルト、タフト等)およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また、市販のポリプロピレン繊維構造物も使用することができる。また、ポリプロピレン繊維にポリエステルなどの他の繊維を混紡および/または混繊して繊維構造物を製造してもよい。

【0037】
(染色されたポリプロピレン繊維構造物の製造方法)
本発明の染色されたポリプロピレン繊維構造物は、超臨界二酸化炭素流体を用いて、上記一般式(1)で表される染料で上記ポリプロピレン繊維構造物を染色することによって製造できる。超臨界二酸化炭素流体を媒体としてポリプロピレン繊維構造物を染色する方法は、当業者に既知である。例えば、非特許文献3、4に記載されている超臨界二酸化炭素流体による染色法に従って、ポリプロピレン繊維構造物の染色を行うことができる。

【0038】
上記一般式(1)で表される染料で染色されたポリプロピレン繊維構造物は減法混色三原色の赤色を呈することができる。なお、「減法混色三原色の赤色」の範囲は当分野において周知であり、色の三属性(色相、明度、彩度)のうち色相(H値)で赤として許される範囲すべてを指す。色知覚の属性のうち、色相を尺度化した色相H(JIS Z8721:1993)が10RPを中心として10Pから10Rの範囲である。また、上記一般式(1)で表される染料と、例えば、非特許文献3、4にそれぞれ記載されている青色染料と黄色染料とを組み合わせてポリプロピレン繊維構造物を染色して、染色されたポリプロピレン繊維構造物を製造してもよい。この場合、ポリプロピレン繊維構造物を自在な色調に染色することができる。

【0039】
(染色されたポリプロピレン繊維構造物の用途)
本発明の染色されたポリプロピレン繊維構造物の用途としては特に限定されないが、例えば、衣服、下着、帽子、靴下、手袋、スポーツ用衣料等の衣料品、座席シート等の車両内装材、カーペット、カーテン、マット、ソファーカバー、クッションカバー等のインテリア用品などが挙げられる。本発明の染色された繊維構造物は、自在な色調を表現できることから、衣料品に好適に用いることができる。

【0040】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0041】
(材料)
試験に使用した染料1~26の化学構造を下表1に示す。また、染料1~23、25、26については、これらに対応する特許文献6に記載の構造式と置換基も併せて下表1に示す。
【表1-1】
JP0006671729B2_000005t.gif
【表1-2】
JP0006671729B2_000006t.gif
【表1-3】
JP0006671729B2_000007t.gif
【表1-4】
JP0006671729B2_000008t.gif
【表1-5】
JP0006671729B2_000009t.gif
【表1-6】
JP0006671729B2_000010t.gif
【実施例】
【0042】
染料1~5、7、8、12、14、15、24、25、26は、試作合成品として有本化学工業(株)から入手した。染料9は製品名KP Plast Blue Gとして、染料21は製品名KP Plast Yellow HRとして、染料22は製品名KP Plast Yellow 2HRとして、染料23は製品名KP Plast Brilliant Red MGとして、紀和化学工業(株)から入手した。染料6は製品名Kayaset Red Bとして、染料10は製品名Kayaset Blue FRとして、染料11は製品名Kayaset Red 168として、日本化薬(株)から入手した。染料13、染料16、染料20は、それぞれ、ハンツマン・ジャパン(株)製のTeratop Pink 3G、Terasil Pink 2GLA、Terasil Blue BGEから抽出単離した。染料17は、日本化薬(株)製Kayalon Polyester Blue EBL-Eから抽出した。染料18、染料19は、それぞれ、ダイスタージャパン(株)製Dianix Blue GL-FS、Dianix Blue AM-77から抽出単離した。
【実施例】
【0043】
2種類のポリプロピレン布を、三菱レイヨン(株)から入手した。1つは、110dtex/36filamentsのポリプロピレン繊維糸からなり、丸編みラボ機で編まれたものである(ポリプロピレン布No.1)。この編地のループ密度は粗く(ウェール20/2.54cm;コース32/2.54cm)、そのため、マグネチックスターラーの弱い撹拌力で容易に均染できた。残りの1つは、染色堅牢度を測定するための密な二段ニット(ポリプロピレン布No.2;250g/m2;190dtex/48firamentsの糸;ウェール2×33/2.54cm;コース2×34/2.54cm)であった。この二段ニットを、ソーダ灰(工業用グレード,2g/dm3)、1g/dm3界面活性剤(Daisurf MOL-315;第一工業製薬(株))、0.5g/dm3キレート剤(Sizol FX-20;第一工業製薬(株))を用いて、液流染色機にて、水系で80℃で精練した。その後、ポリプロピレン布No.2を遠心脱水し、切開したものを前処理として130℃でヒートセットした。
【実施例】
【0044】
木綿糸(30/綿番手)を、クロバー(株)から購入した。染色プロセスにおいて、超臨界流体を拡散させ、ポリプロピレン布を包むために3種の綿布を使用した。1種は、ガーゼ構造を有し(綿布No.1:縦糸30本/2.54cm,横糸30本/2.54cm)、第2のものは、片面フランネル構造を有していた(綿布No.2)。これらの布はピップフジモト(株)から購入した。第3のものは、平織構造を有し(綿布No.3:縦糸45本/2.54cm,横糸45本/2.54cm;製品名「山東晒」)、(株)長谷川綿行から購入した。
【実施例】
【0045】
液体二酸化炭素(>99.5%)を、宇野酸素(株)から入手した。試薬グレードのアセトンを、ナカライテスク(株)から購入した。
【実施例】
【0046】
上記染料1~26を用いて、下記の方法に従ってポリプロピレン布の染色試験を行った。
【実施例】
【0047】
(染色性試験)
染色性試験に使用した装置を図1に示す。染色性試験装置100は、液体CO2ボンベ101、停止弁102、107、110、121、ニードル弁103、送液ポンプ106(冷却器104と高圧ポンプ105から構成)、安全弁108、圧力ゲージ109、磁気撹拌恒温空気浴槽119(予熱器111、染色槽112、フィルター116、マグネチックスターラー117、恒温空気浴槽118から構成)、温度ゲージ120、半自動背圧制御弁124(背圧制御弁122、加熱器123から構成)から構成される。磁気撹拌恒温空気浴槽119は、日本分光(株)製の温度制御オーブン内の50cm3ステンレススチール槽のセット(SCF-Sro型)を流用した。送液ポンプ106は、日本分光(株)製の二酸化炭素送液ポンプ(SCF-Sro型)を用いた。半自動背圧制御弁124は、日本分光(株)製の半自動背圧制御弁(SCF-Bpg/M型)を用いた。
【実施例】
【0048】
ガラス繊維フィルター(2×2cm;ADVANTEC GA-55;アドバンテック東洋株式会社製)を用いて、各染料(約3mg)を次のように保持した。最初に、フィルターの1枚をアセトンに浸漬し、次いで、染料を残りのフィルター上に置き、これを浸漬したフィルターで覆った。アセトンは、2枚のフィルターを容易に積層するために使用した。次に、これらを室温で乾燥して、アセトンを除去した。撹拌子115、ポリプロピレン布No.1(約1.0g)114、2枚のフィルター間に挟んだ染料113を、順に染色槽112に入れ、染色槽112を密封した。染色槽112内の空気を大気圧で二酸化炭素に置き換えた。
【実施例】
【0049】
恒温空気浴槽118内の温度が所定の温度(120℃)に達した後、二酸化炭素送液ポンプ106によって、二酸化炭素圧力25MPaまで染色槽112を加圧し、染色温度(120℃)まで再加熱した。背圧制御弁122によって、染色性試験装置系内の二酸化炭素の圧力を25MPaに制御し、染浴をマグネチックスターラーで撹拌した。60分後、撹拌を維持しながら、背圧制御弁122によって、染色槽112を徐々に大気圧まで減圧した。
【実施例】
【0050】
処理したポリプロピレン布を染色槽112から取り出した。次に、染料が繊維内部に拡散することなく繊維表面に析出していた場合、染色した布を室温のアセトンに30秒間浸漬させて、染色した布の表面上に析出した染料を除去した。浸した布を取り出し、室温で乾燥してアセトンを除去した。染色能について、結果を下記の通りに分類した。
○:よく染まる
△:淡く染まる
×:全く染まらないまたはわずかに汚染
【実施例】
【0051】
さらに、2枚のフィルターの間に残存する染料の有無を確認した。また、染色槽112の内壁に析出した染料の有無も確認した。フィルターに残ったものと内壁に析出したものとをあわせた槽内残留染料について、結果を下記の通りに分類した。
◎:残留なし
○:残留微量(目視で粉末が確認できる)
△:残留多い
×:ほぼ全量残留
【実施例】
【0052】
(超臨界流体染色プロセス)
染色性が優れる(すなわち、染色能が良好で槽内残留染料が少ない)染料については染色堅牢度を評価するための染色布を作成した。ポリプロピレン布No.2を、20×150cmに切断し、重さを量った(約75g)。綿布No.1、2および3を、それぞれ、20×100cm、20×75cm、20×35cmに切断した。最初に、綿布No.1および2を順番に、パンチ穴(直径3mm、穴数/面積1.87/cm2、有効幅190mm)を有するステンレススチールシリンダー(幅220mm;外径30mm、内径26mm)に巻いた。ポリプロピレン布No.2染色に対するパンチ穴の直接的な影響を避けるために、これらの布をアンダークロスとして用いた。アンダークロスは、流体がパンチング穴から直線的に通過することを避け、被染物により均一に流れるようにした。次いで、ポリプロピレン布No.2および綿布No.3を順番に巻いた。綿布No.3は、槽からの放射熱によりポリプロピレン布が縮むのを防いだ。巻き上げたロールは端を綿糸で緩く縛ることで固定した。
【実施例】
【0053】
超臨界流体染色のための装置を図2に示す。超臨界流体染色装置200は、液体CO2ボンベ201、フィルター202、冷却ジャケット203、高圧ポンプ204、予熱器205、圧力ゲージ206~208、磁気駆動部209、DCモータ210、安全弁211、212、冷却器213、停止弁214~218、ニードル弁219、加熱器220から構成される。布試料を巻き付けたシリンダー221を高圧ステンレススチール槽222(容積2230cm3)に入れた。紙ワイプ(KimWipes S-200、日本製紙クレシア株式会社製)で包んだ染料223(ポリプロピレン被染物の質量の0.3%:すなわち0.3%omf)を、槽222内のシリンダー221の上の流体通路に置いた。
【実施例】
【0054】
槽222の弁を閉じ、120℃に加熱した。染色温度に達した後、液体二酸化炭素(1.13kg)を、ポンプ204によって、冷却ジャケット203を介して槽222に流した。二酸化炭素流体を、槽222の底部に取り付けたステンレススチールのインペラ224と磁気駆動部209で循環させた。磁気駆動部209の回転速度は750rpmであった。流体の流れ方向は、シリンダー221の内側から外側であった。
【実施例】
【0055】
温度、圧力循環速度がある一定の値(すなわち、120℃、25MPa、750rpm)に達した後、これらの条件を60分間維持して、ポリプロピレン布を染色した。放出速度を制御し、15分間かけて圧力を25MPaから大気圧へ低下させた。循環は、槽内圧がほぼ臨界圧(8.0~7.4MPa)に低下するまで続けた。その後、染色したポリプロピレン布を槽222から取り出した。ポリプロピレン布No.2を用いた場合の染色能および槽内残留染料は、ポリプロピレン布No.1を用いた染色性試験の結果と同等であった。
【実施例】
【0056】
循環を継続して緩やかに放圧する操作によりポリプロピレン布の表面上に析出した染料は除去される。したがって、大過剰とならない染料濃度であれば、後の洗浄プロセスが不要となる。染料が表面析出すると異常に低い性能を示す傾向にある摩擦堅牢度(JIS L0849、II型、添付白布:綿)は、この放圧操作により正常となる。本発明の実施例では、乾摩擦、湿摩擦いずれも4-5級から5級を示した。ポリプロピレン布No.2を用いた場合の染色能および槽内残留染料は、ポリプロピレン布No.1を用いた染色性試験の結果と同等であった。
【実施例】
【0057】
(洗濯堅牢度)
洗濯堅牢度試験を、多繊交織布(交織1号:JIS L0803:2005;綿、ナイロン、アセテート、毛糸、レーヨン、アクリル、絹およびポリエステルで織られた布)を使用して、JIS L0844:2005 A-2法(ISO 105-C02:1989 試験2に基づく)によって実施した。多繊交織布の汚染では、最も汚染された部分の評価を示した。また、布への汚染だけでなく、試験液の汚染も、ISO 105-D01:1994を参照して評価した。試験液の汚染の評価では、容器内に残存する試験液を濾紙に通過させた。濾過した試験液の汚染の着色を、汚染評価用のグレースケールでの透過光を用いて、白色カードの前に置いたガラス製試験管(直径25mm)内で、未使用の試験液のものと比較した。
【実施例】
【0058】
(耐光堅牢度)
染色したポリプロピレン布の耐光堅牢度を、JIS L0842(第3露光法)に準拠し、評価した。耐光堅牢度試験を、紫外線カーボンアーク灯光を用いて、3級および/または4級について第3露光法で実施した。
【実施例】
【0059】
(昇華堅牢度)
染色したポリプロピレン布の昇華堅牢度を、JIS L0854に準拠し、添付白布にはナイロン(単一繊維布(I)7号:JIS L0803:2005)を用いて評価した。
【実施例】
【0060】
(測色)
染色されたポリプロピレン布の測色には、分光測色計(CM-600d:コニカミノルタジャパン(株)製)を用いた。分光反射率の測定条件は、無蛍光白色紙上に試料を4枚重ねにし、測定径φ8mm、観察条件2°視野、観察光源D65、測定波長範囲400~700nm、測定波長間隔10nm、正反射光を除く(SCE:Specular Component Exclude)とした。分光反射率からCIE1976Labに準拠してL、a、bの値を求めた。さらに、JIS Z8721:1993に準拠して、D65光源における色相Hを求めた。
【実施例】
【0061】
(実施例1~6、比較例1~20)
染料1~26を使用した実施例1~6、比較例1~20のそれぞれの試験結果を表2に示す。ポリプロピレン布の良好な染色が確認できた実施例1~6、比較例1~3、比較例6、7、19、20については、染色堅牢度の評価も行った。なお、比較例3は、染色に用いた染料5がタール状であり、秤量が困難であったため、洗濯堅牢度、昇華堅牢度は評価しなかった。また、実施例1~6、比較例1、2、20の染色されたポリプロピレン布の測色を行った。その結果を表3に示す。
【表2】
JP0006671729B2_000011t.gif
【表3】
JP0006671729B2_000012t.gif
【実施例】
【0062】
表2に示されるように、実施例1~6の染色されたポリプロピレン布は、優れた染色性と優れた染色堅牢度の両方を示した。これに対して、比較例1、2、20では、染色能は良好であったが槽内残留染料が多く、洗濯堅牢度と昇華堅牢度の汚染が劣っていた、比較例4、5、8~18では、ポリプロピレン布が染料によって良好に染色されなかった。比較例6、7、19は良好な染色性を示したが、比較例6では洗濯堅牢度と耐光堅牢度の両方が不良であり、比較例7では洗濯堅牢度が不良であり、比較例19では耐光堅牢度が不良であった。
【実施例】
【0063】
上述した染色試験の結果から、特許文献6に記載の代表的な染料に相当する染料1~23のうち、ポリプロピレン布を良好に染色できたのは、染料1~8、11、12、25(実施例1~5、比較例1~3、6、7、実施例6)に過ぎず、超臨界二酸化炭素によってもポリプロピレン布を染色できなかった染料が多かったことが理解できる。一方、非特許文献19に記載の代表的な染料(1,4-ビス(オクチルアミノ)-アントラキノン)の位置異性体に相当する染料24(比較例19)は、染色性は良好であったが、耐光堅牢度が悪かった。単に置換位置を換えることで目的とする色相にした染料では染色性、染色堅牢度のすべてを良好なものとすることができないことが理解できる。また、実施例1~6と、比較例1~3、6、7、8~11、19、20との比較から、染色性(染色能、槽内残留染料)、染色堅牢度(洗濯堅牢度、耐光堅牢度、昇華堅牢度)のすべてを良好なものとするためには、染料の化学構造は、上記一般式(1)で示されるように、アントラキノン環の1位の置換基がアミノ基、2位の置換基が第四級炭素を含む分岐アルキル基またはアリールアルキル基で置換されたフェノキシ基、4位の置換基がヒドロキシル基であることを要することが示された。
【実施例】
【0064】
また、実施例1~6で使用した染料はすべて固体であるのに対して、上記一般式(1)中、R2が炭素数9の直鎖アルキル基であるものに相当する染料8(比較例3)はタール状であり、染色の程度(色の濃淡)を制御できず、工業生産に向かない。
【実施例】
【0065】
表3に示されるように、実施例1~6の染色されたポリプロピレン布はいずれも減法混色三原色の赤色を示した。上記一般式(1)中のフェノキシ基上の置換基が分岐アルキル基である染料1、2、4、20を用いた実施例1、2、4、6では槽内残留染料がより少なかった。特に、上記一般式(1)のR1が2-メチルブタン-2-イル基であり、n=2であり、フェノキシ基の2位および4位にR1が存在する染料4を用いた実施例4、上記一般式(1)のR1が2-メチルプロパン-2-イル基であり、n=2であり、フェノキシ基の2位および4位にR1が存在する染料25を用いた実施例6では、染色の際に痕跡量の染料が紙ワイプ上のシミとして槽内に残留したのみであり、これは、使用した染料のほぼすべてが繊維に吸着されたことを示す。加えて、実施例4、6では、洗濯堅牢度、耐光堅牢度、昇華堅牢度のいずれも優れていた。
【実施例】
【0066】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、衣服、下着、帽子、靴下、手袋、スポーツ用衣料等の衣料品、座席シート等の車両内装材、カーペット、カーテン、マット、ソファーカバー、クッションカバー等のインテリア用品などに利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 染色性試験に使用した装置、 101 液体CO2ボンベ、 102 停止弁、 103 ニードル弁、 104 冷却器、 105 高圧ポンプ、 106 送液ポンプ、 107 停止弁、 108 安全弁、 109 圧力ゲージ、 110 停止弁、 111 予熱器、 112 染色槽、 116 フィルター、 117 マグネチックスターラー、 118 恒温空気浴槽、 119 磁気撹拌恒温空気浴槽、 120 温度ゲージ、 121 停止弁、 122 背圧制御弁、 123 加熱器、 124 半自動背圧制御弁、 200 超臨界流体染色装置、 201 液体CO2ボンベ、 202 フィルター、 203 冷却ジャケット、 204 高圧ポンプ、 205 予熱器、 206,207,208 圧力ゲージ、 209 磁気駆動部、 210 DCモータ、 211,212 安全弁、 213 冷却器、 214,215,216,217,218 停止弁、 219 ニードル弁、 220 加熱器、 221 シリンダー、 222 高圧ステンレススチール槽、223 紙ワイプで包んだ染料、224 インペラ。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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