TOP > 国内特許検索 > 光応答性ヌクレオチドアナログ > 明細書

明細書 :光応答性ヌクレオチドアナログ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2021-020883 (P2021-020883A)
公開日 令和3年2月18日(2021.2.18)
発明の名称または考案の名称 光応答性ヌクレオチドアナログ
国際特許分類 C07H  19/16        (2006.01)
C07H  19/06        (2006.01)
FI C07H 19/16 CSP
C07H 19/06
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 37
出願番号 特願2019-140348 (P2019-140348)
出願日 令和元年7月30日(2019.7.30)
発明者または考案者 【氏名】藤本 健造
【氏名】石田 健太
出願人 【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110002332、【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
【識別番号】100127133、【弁理士】、【氏名又は名称】小板橋 浩之
審査請求 未請求
テーマコード 4C057
Fターム 4C057AA17
4C057BB02
4C057DD03
4C057LL10
4C057LL14
4C057LL17
4C057LL29
4C057LL40
要約 【課題】核酸の光反応技術に使用可能な新しい光反応性化合物を提供する。
【解決手段】リボース骨格において、1位に天然及び非天然の核酸塩基及びこれらが保護基によって修飾された修飾核酸塩基からなる群から選択された核酸塩基の一価基が結合し、かつ2位に単結合又はC1~C7のアルカンジイル基を介してシアノビニルカルバゾールが結合した人工ヌクレオシド並びに人工核酸。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
次の式Iで表される化合物:
(I)
JP2021020883A_000041t.gif(ただし、式Iにおいて、
X1は、次の式IIで表される基であり:
(II)
JP2021020883A_000042t.gif(ただし、式IIにおいて、
R21は、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子であり、
R22及びR23は、それぞれ独立して、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子であり、
R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基である。)

X2は、天然及び非天然の核酸塩基、及びこれらが保護基によって修飾された修飾核酸塩基からなる群から選択された核酸塩基の一価基であり、
Lは、単結合、又はC1~C7のアルカンジイル基であり、

R11は、-O-Q1基であり、
R12は、-O-Q2基であり、

1は、
水素原子;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、

2は、
水素原子;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。)。
【請求項2】
式IIで表される基が、次の式IIaで表される基である、請求項1に記載の化合物:
(IIa)
JP2021020883A_000043t.gif(ただし、式IIaにおいて、R21、R22、R23及びR24は、式IIにおいて上述した基である。)。
【請求項3】
式IにおけるX2が、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、又はウラシルである、請求項1~2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
式IにおけるR11及びR12が、水酸基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物からなる、人工ヌクレオシド。
【請求項5】
1及びQ2の少なくとも一方が、
該Q1又はQ2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物からなる、人工核酸。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性架橋剤。
【請求項7】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物を使用して、ピリミジン環を有する核酸塩基との間に光架橋を形成する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光架橋(光クロスリンク)能を有する光応答性ヌクレオチドアナログ(光応答性ヌクレオチド類似化合物)に関する。
【背景技術】
【0002】
分子生物学の分野の基本的な技術に、核酸の連結及び核酸の架橋がある。核酸の連結や架橋は、例えば、ハイブリダイゼーションと組みあわせて、遺伝子の導入や、塩基配列の検出のために使用され、あるいは、例えば、遺伝子発現の阻害に使用される。そのために、核酸の連結及び架橋の技術は、分子生物学の基礎研究だけではなく、例えば、医療分野における診断や治療、あるいは治療薬や診断薬等の開発や製造、工業及び農業分野における酵素や微生物等の開発や製造に使用される極めて重要な技術である。
【0003】
核酸の光反応技術として、5-シアノビニルデオキシウリジンを使用した光連結技術(特許文献1:特許第3753938号、特許文献2:特許第3753942号)、3-ビニルカルバゾール構造を塩基部位に持つ修飾ヌクレオシドを使用した光架橋技術(特許文献3:特許第4814904号、特許文献4:特許第4940311号)がある。
【0004】
3-cyanovinylcarbazole nucleoside (CNVK)はDNAやRNA中のピリミジン塩基と位置特異的に秒単位で可逆的に光架橋可能な分子である(非特許文献1:Org.Lett.,2008)。この光架橋反応を用いた応用例としてアンチセンス効果の光制御(非特許文献2:Biomater.Sci.,2014)やDNAに対するdouble duplex invasion(非特許文献3:Chem.Commun.,2017)などが報告されており核酸医薬品として利用可能な技術であることが報告されている。またDNA構造の安定化(非特許文献4:J.Chem.Technol.Biotechnol.,2014)も報告されており、医療分野だけでなく、ナノテクノロジーの分野への分野でも利用可能な技術であることが報告されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第3753938号公報
【特許文献2】特許第3753942号公報
【特許文献3】特許第4814904号公報
【特許文献4】特許第4940311号公報
【0006】

【非特許文献1】Yoshinaga Yoshimura,Kenzo Fujimoto,Ultrafast Reversible Photocrosslinking Reaction: Toward in Situ DNA Manipulation,Org.Lett.,2008, 10(15),3227
【非特許文献2】Takashi Sakamoto,Atsuo Shigeno,Yuichi Ohtaki,Kenzo Fujimoto,Photo-regulation of constitutive gene expression in living cells by using ultrafast photo-cross-linking oligonucleotides,Biomater.Sci.,2014,2,1154
【非特許文献3】Shigetaka Nakamura,Hayato Kawabata,Kenzo Fujimoto,Double duplex invasion of DNA induced by ultrafast photo-cross-linking using 3-cyanovinylcarbazole for antigene method,Chem.Commun.,2017,54,7616
【非特許文献4】Shigetaka Nakamura,Kenzo Fujimoto,Creation of DNA Array Structure Equipped with heat resistance by Ultrafast Photocrosslinking,J.Chem.Technol.Biotechnol.,2014,89,1086
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
核酸の光反応技術の重要性から、核酸の光反応技術に使用可能な新しい化合物が、さらに求められている。本発明の目的は、核酸の光反応技術に使用可能な新しい光反応性化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる光反応性化合物を鋭意探索してきたところ、ヌクレオシドの塩基部分は従来の核酸塩基の構造を維持したままで、糖骨格の2’位の炭素に対して、3-ビニルカルバゾール構造の基(X1)を、-O-L-の構造(ただし、X1は後述する基であり、Lは後述するリンカー部である)を介して結合した化合物が、このような核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となることを見いだして、本発明に到達した。
【0009】
このようにして得られた化合物は、ヌクレオシドの塩基部分が従来の核酸塩基の構造を備えていることから、従来の核酸塩基と同様に、対応する核酸塩基と水素結合を形成することができ、すなわち、いわゆる塩基対を形成することができる。
【0010】
これに対して、従来の3-ビニルカルバゾール構造を塩基部位に持つ修飾ヌクレオシドは、従来の核酸塩基の構造を塩基部分には備えていないから、いわゆる塩基対を形成することができない。すなわち、塩基対の形成能を有する点で、本発明の化合物は、従来の3-ビニルカルバゾール構造を塩基部位に持つ修飾ヌクレオシドに対して、有利である。
【0011】
本発明に係る化合物は、核酸塩基部分によって塩基対の形成能を有すると同時に、3-ビニルカルバゾール構造による光架橋性を有しているために、様々に修飾して多様な用途で使用することができる。本発明に係る化合物のこの特徴的な構造は、あたかも天然のヌクレオシドに光架橋性の基を追加した構造を有しているために、人工ヌクレオシド(ヌクレオシドアナログ)とすることができ、人工ヌクレオチド(ヌクレオチドアナログ)とすることができ、このような人工ヌクレオチドを配列中に含んだ人工核酸(修飾核酸)とすることができ、これらの製造のための中間体とすることができ、これらの合成のために使用される合成用試薬とすることができる。そして、このような人工核酸が、光反応によって架橋を形成すると、それは、二重らせんの一方の鎖からもう一方の鎖へと形成された光架橋(光クロスリンク)となるので、光反応性の核酸類は、所望の配列に特異的に反応可能な二重らせんの光クロスリンク剤として使用することができる。このように二重らせんを形成する場合に、本発明に係る化合物が塩基対の形成能を有することから、ミスマッチのない正確な相補鎖形成を実現することができる。
【0012】
なお、本発明に係る化合物は、光反応性の化合物であり、光照射によって光反応を開始するものであるが、それまで安定していた化合物が、光照射というシグナルに応答して反応を開始するという意味を強調して、光反応性を光応答性ということがある。
【0013】
したがって、本発明は次の(1)以下を含む。
(1)
次の式Iで表される化合物:
(I)
JP2021020883A_000002t.gif(ただし、式Iにおいて、
X1は、次の式IIで表される基であり:
(II)
JP2021020883A_000003t.gif(ただし、式IIにおいて、
R21は、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子であり、
R22及びR23は、それぞれ独立して、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子であり、
R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基である。)

X2は、天然及び非天然の核酸塩基、及びこれらが保護基によって修飾された修飾核酸塩基からなる群から選択された核酸塩基の一価基であり、
Lは、単結合、又はC1~C7のアルカンジイル基であり、

R11は、-O-Q1基であり、
R12は、-O-Q2基であり、

1は、
水素原子;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、

2は、
水素原子;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。)。
(2)
式IIで表される基が、次の式IIaで表される基である、(1)に記載の化合物:
(IIa)
JP2021020883A_000004t.gif(ただし、式IIaにおいて、R21、R22、R23及びR24は、式IIにおいて上述した基である。)。
(3)
式IにおけるX2が、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、又はウラシルである、(1)~(2)のいずれかに記載の化合物。
(4)
式IにおけるR11及びR12が、水酸基である、(1)~(3)のいずれかに記載の化合物からなる、人工ヌクレオシド。
(5)
1及びQ2の少なくとも一方が、
該Q1又はQ2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸である、(1)~(3)のいずれかに記載の化合物からなる、人工核酸。
(6)
(1)~(5)のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性架橋剤。
(7)
(1)~(6)のいずれかに記載の化合物を使用して、ピリミジン環を有する核酸塩基との間に光架橋を形成する方法。
【0014】
本発明は、上記の化合物を使用して、該化合物とピリミジン環を有する核酸塩基との間に光架橋を形成する方法を含み、該光架橋の形成方法によって光架橋を製造する方法を含み、該光架橋によって架橋された光架橋体の製造方法を含む。上記の化合物が塩基配列中に含まれた修飾核酸と、ピリミジン環を有する核酸塩基が塩基配列中に含まれた修飾核酸との間で、光架橋が形成される場合において、上記光架橋によって架橋された光架橋体の製造方法は、光架橋された二本鎖核酸の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる新規な化合物を提供する。本発明による化合物は、ヌクレオシドの塩基部分が従来の核酸塩基の構造を備えていることから、従来の核酸塩基と同様に、対応する核酸塩基と水素結合を形成することができ、すなわち、いわゆる塩基対を形成することができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1-1】図1-1は、2’-CNVK-Cn-Aの合成のためのスキーム1の合成経路の前半を示す説明図である。
【図1-2】図1-2は、2’-CNVK-Cn-Aの合成のためのスキーム1の合成経路の後半を示す説明図である。
【図2】図2は、2’-CNVKを含むオリゴ核酸のMSスペクトルである。
【図3A】図3Aは、HPLC解析によって得られた、光照射0sec後(光照射前)のクロマトグラフである。
【図3B】図3Bは、HPLC解析によって得られた、光照射5sec後のクロマトグラフである。
【図4】図4に、光架橋産物のMSスペクトルである。
【図5-1】図5-1は、配列中の特定位置の塩基としてAを有する核酸による二重鎖の融解温度曲線のグラフである。
【図5-2】図5-2は、配列中の特定位置の塩基としてCNVKを有する核酸による二重鎖の融解温度曲線のグラフである。
【図5-3】図5-3は、配列中の特定位置の塩基として2’-CNVK-C6-Aを有する核酸による二重鎖の融解温度曲線のグラフである。
【図6-1】図6-1は、2’-CNVK-C6-Gの合成のためのスキーム2の合成経路の前半を示す説明図である。
【図6-2】図6-2は、2’-CNVK-C6-Gの合成のためのスキーム2の合成経路の後半を示す説明図である。
【図7-1】図7-1は、2’-CNVK-C6-Cの合成のためのスキーム3の合成経路の前半を示す説明図である。
【図7-2】図7-2は、2’-CNVK-C6-Cの合成のためのスキーム3の合成経路の後半を示す説明図である。
【図8-1】図8-1は、2’-CNVK-C6-Tの合成のためのスキーム4の合成経路の前半を示す説明図である。
【図8-2】図8-2は、2’-CNVK-C6-Tの合成のためのスキーム4の合成経路の後半を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
具体的な実施の形態をあげて、以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげる具体的な実施の形態に限定されるものではない。

【0018】
[化合物の構造]
本発明の化合物は、次の式Iで表される化合物を含む:
(I)
JP2021020883A_000005t.gif

【0019】
式Iにおいて、X1は、次の式IIで表される基である:
(II)
JP2021020883A_000006t.gif

【0020】
式IIにおいて、R21は、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子である。

【0021】
式IIにおいて、R22及びR23は、それぞれ独立して、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素原子である。

【0022】
好適な実施の態様において、アルコキシカルボニル基としては、例えばC2~C7、好ましくはC2~C6、C2~C5、C2~C4、さらに好ましくはC2~C3、特に好ましくはC2のものを使用できる。

【0023】
好適な実施の態様において、R21を、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、又はC2~C7のアルコキシカルボニル基とすることができ、R22及びR23を水素原子とすることができる。

【0024】
式IIにおいて、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基である。

【0025】
ハロゲン原子としては、例えばBr、Cl、F、Iの原子をあげることができる。

【0026】
フッ化メチル基としては、例えば-CH2F、-CHF2、-CF3をあげることができる。

【0027】
フッ化エチル基としては、例えば-CH2-CH2F、-CH2-CHF2、-CH2-CF3、-CHF-CH3、-CHF-CH2F、-CHF-CHF2、-CHF-CF3、-CF2-CH3、-CF2-CH2F、-CF2-CHF2、-CF2-CF3をあげることができる。

【0028】
C1~C3のアルキルスルファニル基としては、例えば-CH2-SH基、-CH2-CH2-SH基、-CH(SH)-CH3基、-CH2-CH2-CH2-SH基、-CH2-CH(SH)-CH3基、-CH(SH)-CH2-CH3基をあげることができる。

【0029】
好適な実施の態様において、R24及びR25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、-NH2基、-OH基、又は-CH3基とすることができ、好ましくは、水素原子とすることができる。

【0030】
好適な実施の態様において、R24を上述の基とすると同時にR25を水素原子とすることができる。

【0031】
好適な実施の態様において、R24及びR25は、それぞれ独立に、式IIの左端の六員環において、窒素原子の結合する炭素原子をC1位と付番して、六員環の炭素原子を時計回りに順にC2位、C3位、C4位、C5位、C6位と付番した場合に、C2位、C3位、C4位、C5位のいずれかの位置の炭素原子の置換基とすることができる。

【0032】
好適な実施の態様において、R24及びR25は、それぞれC3位及びC4位の置換基とすることができる。

【0033】
好適な実施の態様において、R24をC3位の置換基とすると同時に、R25をC4位の水素原子とすることができる。この場合には、式IIで表される基は、後述する式IIaで表される基となる。

【0034】
式Iにおいて、X2は、天然及び非天然の核酸塩基、及びこれらが保護基によって修飾された修飾核酸塩基からなる群から選択された核酸塩基の一価基である。天然の核酸塩基としては、例えばアデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、イノシン、及びメチルシトシンをあげることができ、好ましくはアデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシルをあげることができる。非天然の核酸塩基としては、例えば2-アミノプリン及びニトロインドールをあげることができる。保護基によって修飾された修飾核酸塩基とは、核酸塩基のアミノ基が公知の保護基によって修飾された修飾核酸塩基をいう。アミノ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、フェノキシアセチル基、及びイソプロピルフェノキシアセチル基をあげることができる。

【0035】
好適な実施の態様において、式Iにおいて、X2の天然の核酸塩基の一価基として、以下に示す基から選択された基及びこれらが保護基によって修飾された基を用いることができる:
(A)
JP2021020883A_000007t.gif

【0036】
(G)
JP2021020883A_000008t.gif

【0037】
(T)
JP2021020883A_000009t.gif

【0038】
(C)
JP2021020883A_000010t.gif

【0039】
(U)
JP2021020883A_000011t.gif

【0040】
式Iにおいて、Lは、リンカー部を表し、例えば、単結合、又はC1~C7のアルカンジイル基とすることができる。Lが単結合である場合とは、Lと結合するOとX1とが単結合で結合している状態を言う。

【0041】
アルカンジイル基としては、例えばC1~C7、好ましくはC2~C6のものを使用でき、特に好ましくはペンチル基及びヘキシル基とすることができる。

【0042】
式Iにおいて、R11は、-O-Q1基である。

【0043】
1は、
水素原子;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基とすることができる。

【0044】
好適な実施の態様において、Q1は、水素原子とすることができる。

【0045】
好適な実施の態様において、Q1は、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。

【0046】
好適な実施の態様において、Q1は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、ジメトキシトリチル基、トリチル基、モノメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基とすることができ、特に好ましくはジメトキシトリチル基とすることができる。

【0047】
式Iにおいて、R12は、-O-Q2基である。

【0048】
2は、
水素原子;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基とすることができる。

【0049】
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基は、次の構造を有しており、
JP2021020883A_000012t.gif 上記ジアルキル基となるR基とR’基は、それぞれC1~C4のアルキル基とすることができる。このような2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基として、例えば、2-シアノエチル-N,N-ジメチルホスホロアミダイト基、2-シアノエチル-N,N-ジエチルホスホロアミダイト基、2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト基をあげることができる。

【0050】
メチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
JP2021020883A_000013t.gif 上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1~C4のアルキル基とすることができる。

【0051】
エチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
JP2021020883A_000014t.gif 上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1~C4のアルキル基とすることができる。

【0052】
オキサザホスホリジン基は、次の構造を有しており、
JP2021020883A_000015t.gif
上記の構造において、水素原子がC1~C4のアルキル基によって置換された置換体も含む。

【0053】
チオホスファイト基は、次の構造を有しており、
JP2021020883A_000016t.gif 上記の構造において、水素原子がC1~C4のアルキル基によって置換された置換体も含む。

【0054】
-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのTEA塩は、それぞれのトリエチルアミン(TEA)の塩である。

【0055】
-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのDBU塩は、それぞれのジアザビシクロウンデセン(DBU)の塩である。

【0056】
好適な実施の態様において、Q2は、水素原子とすることができる。

【0057】
好適な実施の態様において、Q2は、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。

【0058】
好適な実施の態様において、Q2は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基とすることができ、特に好ましくは2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト基とすることができる。

【0059】
好適な実施の態様において、式IIで表される基を、次の式IIaで表される基とすることができる:
(IIa)
JP2021020883A_000017t.gif

【0060】
好適な実施の態様において、式IIaにおいて、R21、R22、R23及びR24は、式IIにおいて上述した基とすることができる。

【0061】
[ヌクレオシドアナログ(人工ヌクレオシド)]
好適な実施の態様において、式Iにおいて、R11は、-O-Q1基として、Q1を水素原子とすることができ、すなわちR11を水酸基とすることができ、同時にR12は、-O-Q2基として、Q2を水素原子とすることができ、すなわちR12を水酸基とすることができる。この場合に式Iの化合物は、次の式Iaで表されるヌクレオシドアナログ(人工ヌクレオシド)である:
(Ia)
JP2021020883A_000018t.gif

【0062】
好適な実施の態様において、式Iaにおいて、X1、X2及びLは、式Iにおいて上述した基とすることができる。

【0063】
すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光反応性ヌクレオチドアナログ(光反応性人工ヌクレオチド)とすることができる。

【0064】
[ヌクレオチドアナログ(人工ヌクレオチド)]
好適な実施の態様において、式Iにおいて、Q1を、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基とすることができ、Q2を、水素原子とすることができる。この構造は、式Iaで表されるヌクレオチドアナログ(人工ヌクレオチド)にリン酸基が付加されたヌクレオチドアナログ(人工ヌクレオチド)となる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光反応性ヌクレオチドアナログ(光反応性人工ヌクレオチド)とすることができる。

【0065】
[修飾核酸]
好適な実施の態様において、Q1を、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸として、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光反応性人工ヌクレオチドアナログが配列中に取り込まれた修飾核酸又は修飾オリゴヌクレオチドとすることができる。本発明において、このように調整された光反応性修飾核酸と光反応性修飾オリゴヌクレオチドをまとめて光反応性修飾核酸ということがある。

【0066】
本発明に係る修飾核酸において、特徴的な構造を備えた光反応性人工ヌクレオチドアナログが配列中の末端に位置していてもよく、この場合にはQ1又はQ2のいずれかの側のみがQ1又はQ2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結される修飾ヌクレオチド又は修飾核酸となる。また、上記の核酸に代えてペプチド核酸を用いて、特徴的な構造を備えた光反応性人工ヌクレオチドアナログが配列中に取り込まれた光反応性修飾ペプチド核酸とすることができる。

【0067】
[化合物の構造]
本発明に係る化合物は、式Iで表される骨格構造を備えており、天然のヌクレオシド又はヌクレオチドであれば、リボースの2’位の炭素に対して水酸基が結合しているところを、この2’位のCに結合した水酸基に代えて、-O-L-X1基が結合した構造を備えている。この-O-L-X1基中のX1基は、あまりに巨大であり、一見すると、このような位置に配置して、何らかの有益な効果が生じることは、全く予想できなかった。むしろ、式IにおけるX2基が、例えばA、T、C、Gといった天然核酸塩基である場合に、その天然核酸塩基が水素結合によって塩基対を形成しようとした場合に、巨大なX1基の存在が立体障害となって、塩基対形成の妨げになることが予想された。ところが、このX1基がリンカー部Lを介して、式Iで表される構造として結合すると、意外なことに、X2基として配置された核酸塩基による塩基対形成を全く妨げないことがわかった。さらに、リンカー部Lを介して、式Iで表される構造として結合したX1基は、光反応性を発揮できることがわかった。

【0068】
そして、式Iに係る化合物が、1本鎖の修飾核酸として形成されると、これと相補的な1本鎖の核酸と二重らせんを形成することができること、この二重らせんの形成は、X2基として配置された核酸塩基による塩基対形成を含めて安定化されて、配列特異的に形成されること、二重らせんの形成は-O-L-X1基によって妨げられることがないことがわかった。さらにこのように二重らせんを形成した場合に、式Iで表される構造として結合したX1基は、光反応性を発揮して、二重らせんの形成の相手方である相補的な1本鎖の核酸の配列中の特定の塩基と、光反応によって架橋を形成できること、すなわち、修飾核酸と相補的な核酸との間に、光架橋を形成できることがわかった。

【0069】
[修飾核酸製造用試薬]
好適な実施の態様において、Q1を、上述の保護基とすることができ、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸、あるいは上述の保護基、とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、光反応性修飾核酸の製造用試薬(合成用試薬)とすることができる。

【0070】
好適な実施の態様において、Q1を、上述の保護基とすることができ、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基、あるいは上述の保護基、とすることができる。よく知られているように、このような構造を備えた化合物は、核酸合成用のモノマーとして使用することができ、公知のDNA合成装置によって使用可能な試薬とすることができ、例えばホスホロアミダイト法、及びH-ホスホネート法によって使用可能な修飾核酸合成用試薬(修飾核酸合成用モノマー)とすることができる。

【0071】
また、Q1を、上述の保護基として、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とした構造はいわゆるモノマーとは言えない構造となっており、修飾核酸と言える構造となっている。このような場合には、そこから合成して鎖長を伸長するための製造用試薬(合成用試薬)として使用することができる。

【0072】
[光反応性架橋剤]
本発明に係る化合物は、X1基部分が光反応によって架橋を形成することができる。本発明に係る化合物を、1本鎖の修飾核酸として形成すると、これと相補的な1本鎖の核酸と二重らせんを形成することができ、X1基部分が光反応によって架橋を形成することができ、結果として、二重らせんの一方の鎖からもう一方の鎖へと形成された鎖間の光架橋(光クロスリンク)を形成することができる。すなわち、本発明に係る化合物は、光反応性架橋剤として使用することができる。

【0073】
[光架橋の形成]
本発明に係る化合物を修飾核酸とした場合に、この本発明に係る修飾核酸を1本鎖核酸として使用すると、これと相補的な1本鎖核酸とハイブリダイズして二重らせんを形成することができる。二重らせんの形成にあたって、式I中のX2基部分に対して、相補鎖中において塩基対を形成すべき位置にある核酸塩基については、公知の塩基対形成が正確に生じるような核酸塩基が選択される。言い換えれば、高い特異性を持って、正確な相補鎖が選択される。形成された二重らせんに光照射を行うと、二重らせんを形成する核酸鎖の間に、光反応によって架橋を形成することができる。この光架橋は、修飾核酸中のX1基部分と、相手方となる相補鎖の塩基配列中の特定位置の核酸塩基との間に生じる。X1基部分の相手方となって光架橋される相補鎖中の核酸塩基を、被光架橋核酸塩基ということがある。相補鎖の塩基配列中における被光架橋核酸塩基の位置は、修飾核酸の塩基配列中においてX2基部分を有するヌクレオシドアナログの位置から1塩基分だけ5’末端側に位置する核酸塩基に対して塩基対を形成する位置である。言い換えれば、この光架橋は、X2基部分に対して、相補鎖中において塩基対を形成すべき位置にある核酸塩基から、相補鎖の塩基配列中で1塩基分だけ3’末端側に位置する核酸塩基と、X1基部分との間に形成される。

【0074】
[光架橋の塩基特異性]
本発明において、X1基部分が光架橋を形成可能である相手方の塩基は、ピリミジン環を有する塩基である。一方で、ピラノカルバゾール構造は、プリン環を有する塩基とは光架橋を形成しない。すなわち、本発明に係る光架橋性の化合物は、X1基部分の相手方として、天然の核酸塩基としては、シトシン、ウラシル、及びチミンに対して光架橋を形成し、一方で、グアニン及びアデニンに対しては光架橋を形成しないという、特異性を有している。

【0075】
[光反応性架橋剤の配列選択性]
好適な実施の態様において、本発明に係る化合物を、光反応性修飾核酸(光架橋性修飾核酸)とした場合に、修飾核酸と相補的な塩基配列を有する配列とハイブリダイズさせて二重らせんを形成させた後に、光架橋させることができる。これによって、目的とする特定の配列に対してのみ光クロスリンク反応(光架橋反応)を行わせることができる。この配列選択性は、式IにおけるX2基部分も含めて塩基対形成を要することによって、非常に高いものとなっている。すなわち、本発明に係る光反応性架橋剤は、非常に高い塩基配列選択性を、所望に応じて配列設計して、付与することができる。

【0076】
従来から光架橋素子として知られる3-cyanovinylcarbazole nucleoside(CNVK)は、分子内に水素結合を組むことができる構造を分子内に持たないため、DNAあるいはRNA二重鎖中で対面塩基と水素結合を組むことができないものであった。そのために、CNVKの対面塩基はアデニン、グアニン、シトシン、チミン(ウラシル)いずれであってもその一塩基3’側のピリミジン塩基と光架橋する。このCNVKの性質は、ある意味で非常に有用な性質であるが、その一方で、CNVKの対面塩基の情報が無視されるため、正確な光架橋を行うという観点からは、不利な性質であった。例えば、光架橋の正確さが低下すると、非標的のDNAやRNAをターゲットとするリスクが高まり、オフターゲット効果など毒性発現につながる可能性がある。このような性質を備えるCNVKに対して、本発明に係る光架橋素子である2’-CNVKのシリーズは、天然の核酸と同様に糖部1’位にアデニン、グアニン、シトシン、チミン(ウラシル)などの塩基部を保持しているため、対面塩基と水素結合を組むことができる。そして、対面塩基と水素結合を組むことによって高い特異性を発揮ししつつ、糖部2’位に有している3-cyanovinylcarbazoleによって光架橋を行うことができるので、正確な光架橋を行うという観点から、非常に有利である。

【0077】
[光反応の条件]
好適な実施の態様において、光架橋のための光反応として、以下の条件を使用することができる。例えば、光架橋のために照射される光は、一般に350~380nmの範囲、好ましくは360~370nmの範囲、さらに好ましくは366nmの波長を含む光が好ましく、特に好ましくは、366nmの単波長のレーザー光である。光照射時間は、数秒間、例えば、1~9秒間、1~7秒間、1~5秒間の時間の光照射によって、光反応を進行させて光架橋を形成することができる。そして、光反応であることから、溶媒等についても、水溶液、緩衝液、生理的pHや塩濃度の使用を含めて、種々の条件を広く使用することができる。

【0078】
[修飾核酸合成用モノマー及び修飾核酸の合成]
好適な実施の態様において、後述するスキーム1、スキーム2、スキーム3、及びスキーム4に記載の手法、あるいは当業者に公知の手法を使用して、リボースの2’位の炭素に水酸基を備えたヌクレオシド(例えば後述するスキーム1の化合物1)から、本発明に係る修飾核酸を得るための合成用モノマー(製造用試薬)(例えば後述するスキーム1の化合物5、化合物6、化合物7、化合物8)を得ることができる。

【0079】
本発明に係る修飾核酸の合成用モノマーの構造は上述した通りであり、これを、ホスホロアミダイト法、及びH-ホスホネート法等の公知の手法における核酸合成試薬として使用すれば、ヌクレオチドアナログ(人工ヌクレオチド)が配列中に取り込まれた修飾核酸又は修飾オリゴヌクレオチドを得ることができる。このように、本発明に係る修飾核酸合成モノマーは、ホスホロアミダイト法、及びH-ホスホネート法等の公知の手法において核酸合成試薬として使用できる点で、優れたものである。
【実施例】
【0080】
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0081】
[ヌクレオシドアナログ(光反応性素子)の合成:2’-CNVK-Cn-Aの合成]
スキーム1に示す合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)、すなわち、2’-CNVK-Cn-Aを合成し、さらに修飾核酸合成モノマーの合成を行った。スキーム1の合成経路を図1(図1-1及び図1-2)に示す。
【実施例】
【0082】
[化合物2の合成]
化合物1(3.0g,8.1mmol)をピリジン(80mL)に溶かした。氷冷下でTIPDSCl(2.8mL,8.9mmol)を加え室温で3.5h撹拌した。その後、Ac2O(890uL,8.9mmol)を加え、室温で13h撹拌した。反応終了後、水(10mL)を加え5min撹拌した。溶媒を留去し、AcOEtで抽出しsat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=2:3)を行い、化合物2を得た(2.8g,4.2mmol,53%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) δ1.02 ~ 1.11(m, 28H), 2.18(s, 3H), 4.07(m, 2H) 4.16(d, 1H, J = 7.9 Hz), 5.05 ~ 5.08(m, 1H), 5.81(d, 1H, J = 5.2 Hz), 6.09(s, 1H), 7.44 ~ 7.62 (m, 3H), 8.02(d, 2H, J = 7.2 Hz), 8.19(s, 1H), 8.76(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C31H45N5NaO7Si2 [M + Na]+ = 678.2755。Found 678.2742。
【実施例】
【0083】
JP2021020883A_000019t.gif
【実施例】
【0084】
[化合物3の合成]
化合物2(3.87g,5.9mmol)をTHF(50mL)に溶かした。次にAcOH(880uL,15.3mmol)、1M TBAF(14.7mL,14.7mmol)を加え、室温で3h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去した後、CHCl3で抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物3を得た(2.2g,5.4mmol,92%):
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ2.19(s, 3H), 3.66 ~ 3.79 (m, 2H), 4.20 (s, 1H) 4.16(d, 1H, J = 5.7 Hz), 5.05 ~ 5.08(m, 2H), 5.81(d, 1H, J = 5.2 Hz), 6.09(s, 1H), 7.44 ~ 7.62 (m, 3H), 8.11(d, 2H, J = 7.3 Hz), 8.81(s, 2H), 11.32(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C19H19N5NaO6 [M + Na]+ = 436.1233。Found 436.1226。
【実施例】
【0085】
JP2021020883A_000020t.gif
【実施例】
【0086】
[化合物4の合成]
化合物3(1.58g,3.82mmol)をCH3CN(40mL)に溶かした。DHP(3.5mL,38.6mmol)、p-TsOH(72mg,0.42mmol)をこの順で加え、室温で4h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtを加え、sat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、MeOH(20mL)、28%NH3 aq(20mL)を加え、室温で2h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=95:5)を行い、化合物4を得た(526mg,0.98mmol,25%):
SALDI-MS : Calc’d for C27H33N5NaO7 [M + Na]+ = 562.2278。Found 562.2270。
【実施例】
【0087】
JP2021020883A_000021t.gif
【実施例】
【0088】
[化合物5の合成]
1-bromo-4-3-cyanovinylcarbazole(148mg,0.42mmol)をDMF(1mL)に溶かした。60%NaH(17mg,0.42mmol)、NaI(63mg,0.42mmol)を加え、室温で10min撹拌した。化合物4(150mg,0.28mmol)をDMF(2mL)に溶かしたものを加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、CH3OH(3mL)に溶かした。次に、p-TsOH(145mg,0.84mmol)を加え、室温で8h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物5を得た(33mg,0.05mmol,18%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) δ1.62 (t, 2H, J = 8.8 Hz), 1.93 (t, 2H, J = 8.8 Hz), 3.47 ~ 3.52 (m, 4H), 3.84 (d, 2H, J = 12.8 Hz), 4.00 (d, 2H, J = 4.2 Hz), 4.10 (d, 1H, J = 2.7 Hz), 4.29 (t, 2H, J = 6.8 Hz),4.84 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 5.66 (d, 1H, J = 7.1 Hz), 5.74 (d, 1H, J = 16.5 Hz), 7.34 ~ 7.49 (m, 8H), 7.60 ~ 8.10 (m, 4H), 8.58(s, 1H), 9.12(s, 1H),
ESI-MS : Calc’d for C36H33N7NaO5 [M + Na]+ = 666.2441。Found 666.2452。
【実施例】
【0089】
JP2021020883A_000022t.gif
【実施例】
【0090】
化合物4から化合物5への合成で使用した1-bromo-4-3-cyanovinylcarbazoleの構造を、以下に拡大して示す。
【実施例】
【0091】
JP2021020883A_000023t.gif
【実施例】
【0092】
[化合物6の合成]
1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazole(1.1g,2.9mmol)をDMF(5mL)に溶かした。60%NaH(430mg,2.9mmol)、NaI(115mg,2.9mmol)を加え、室温で10min撹拌した。化合物4(515mg,0.96mmol)をDMF(5mL)に溶かしたものを加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、CH3OH(10mL)に溶かした。次に、p-TsOH(552mg,2.9mmol)を加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物6を得た(244mg,0.36mmol,38%):
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ1.20 ~ 1.56 (m, 8H), 3.63 ~ 3.75 (m, 2H), 4.01 ~ 4.10 (m, 2H) 4.39 (s, 1H), 4.48 (t, 2H, J = 7.1 Hz), 4.83 (d, 2H, J = 5.2 Hz) 5.24 (s, 2H), 5.57 (d, 1H, J = 6.3 Hz), 6.09 (d, 1H, J = 5.9 Hz), 6.45 (d, 1H, J = 16.6 Hz), 7.32 (t, 1H, J = 7.4 Hz), 7.56 ~ 7.85 (m, 8H), 8.08 ~ 8.22 (m, 3H), 8.54(s, 1H), 8.81(d, 1H, J = 17.1 Hz),11.27(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C38H37N7NaO5 [M + Na]+ = 694.2754。Found 694.2842。
【実施例】
【0093】
JP2021020883A_000024t.gif
【実施例】
【0094】
化合物4から化合物6への合成で使用した1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazoleの構造を、以下に拡大して示す。
【実施例】
【0095】
JP2021020883A_000025t.gif
【実施例】
【0096】
[化合物7の合成]
化合物6(75mg,0.11mmol)をピリジン(1.0mL)に溶かした。DMAP(2mg,0.01mmol)、DMTrCl(41mg,0.12mmol)を加え、室温で5h撹拌した。反応終了後水を加え、反応終了後溶媒を留去し、CHCl3で抽出し、sat.NaHCO3 aq、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後トルエンで共沸し、最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=97:3 to 95:5)を行い、化合物7を得た(60mg,0.06mmol,55%):
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ1.29 ~ 1.51 (m, 8H), 3.72 ~ 3.77 (m, 8H), 4.14 ~ 4.20 (m, 2H), 4.41 ~ 4.48 (m, 2H), 4.39 (s, 1H), 4.97 (d, 2H, J = 5.3 Hz), 4.83 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 5.61 (d, 1H, J = 5.8 Hz), 6.08 (d, 1H, J = 4.6 Hz), 6.44 (d, 1H, J = 16.6 Hz), 6.85 ~ 6.89 (m, 6H), 7.24 ~ 7.39 (m, 10H), 7.61 ~ 8.19 (m, 8H), 8.64(s, 1H), 8.72(s, 1H), 11.28(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C59H55N7NaO7 [M + Na]+ = 996.4061。Found 996.4245。
【実施例】
【0097】
JP2021020883A_000026t.gif
【実施例】
【0098】
[化合物8の合成]
化合物7(60mg,0.06mmol)をCH2Cl2(1mL)に溶かした。0.25M Tetrazole(500uL,0.12mmol)、(iPr2N)2PO(CH22CN(40uL,0.12mmol)を加え、室温で3h撹拌した。反応終了後、CH2Cl2で抽出し、sat.NaHCO3 aq、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=2:3)を行い、化合物8を得た(35mg,0.03mmol,50%)。
【実施例】
【0099】
JP2021020883A_000027t.gif
【実施例】
【0100】
[2’-CNVK-C6-Aを含むオリゴ核酸の合成]
オリゴ合成機を用いて次の配列(5’-CCAAXAACC-3’,X=2’-CNVK-C6-A)を合成した。反応終了後、28%アンモニア水(1mL)を用いて、30min切り出しを行い(2回)、その後65℃で4h脱保護を行った。その後、スピードバックで溶媒を留去し、精製水200uLに溶かし、HPLCによって精製を行った。その後MALDI-TOF-MSによる解析を行い目的物の同定を行った。2’-CNVKを含むオリゴ核酸のMSスペクトルを図2に示す。
Calc’d for [M + H]+ = 2976.683。Found 2976.573
【実施例】
【0101】
[2’-CNVK-C6-Aを含むオリゴ核酸の光架橋検討]
[光架橋反応]
100μM ODN1(5’-CCAA2’-CNVKAACC-3’)、100μM ODN2(5’-GGTTTTTGG-3’)、200μM deoxyuridine、100mM NaClを含む50mMカコジル酸buffer(pH7.4)をアニーリングし、4℃で静置した。その後、UV-LED(OmniCure,LX405-S)を用いて366nmの光照射を4℃で5sec行った。
【実施例】
【0102】
[HPLC解析]
架橋サンプル50μLをHPLCで解析した。解析には50mMギ酸アンモニウムとアセトニトリルを用い、分析開始時ギ酸アンモニウム98%、30分時点でギ酸アンモニウム70%、アセトニトリル30%になるように直線的に溶媒比率を変化させた。流速1.0mL/min、カラム温度60℃、検出波長は260nmで分析を行った。
【実施例】
【0103】
図3A及び図3BにHPLC解析によって得られた、光照射前後のHPLCクロマトグラムを示す。図3Aは光照射0sec後(光照射前)のクロマトグラフであり、図3Bは光照射5sec後のクロマトグラフである。光照射5s後、16分に見られるODN2のピークと27分に見られるODN1のピークが消失し、19分に新たにピークが現れた。このピークを分取し、MALDI-TOF-MSによる解析を行い目的物の同定を行った:
Calc’d for [M + H]+ = 5751.1675。Found = 5753.5033。
【実施例】
【0104】
図4に、光架橋産物のMSスペクトルを示す。
【実施例】
【0105】
[2’-CNVK-C6-Aを含むオリゴ核酸の対面塩基認識能評価]
5μM二本鎖、100mM NaClを含む50mMカコジル酸buffer(pH7.4)を調製し、85℃から4℃まで1℃/minで降温し、それぞれの温度での260nmの吸光度を測定した。得られた結果を図5(図5-1、図5-2、図5-3)に示す。図5(図5-1、図5-2、図5-3)において各グラフの横軸は、温度(摂氏)であり、縦軸は吸光度である。
【実施例】
【0106】
図5(図5-1、図5-2、図5-3)の融解温度曲線からそれぞれのTm値を求めた。表1にその結果を示す。
【表1】
JP2021020883A_000028t.gif
【実施例】
【0107】
図5(図5-1、図5-2、図5-3)及び表1の結果から、今回開発した2’-CNVK-C6-Aは、従来のCNVKと比較し対面塩基認識能を有していることが確認できた。
【実施例】
【0108】
[ヌクレオシドアナログ(光反応性素子)の合成:2’-CNVK-Cn-Gの合成]
スキーム2に示す合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)、すなわち、2’-CNVK-C6-Gを合成し、さらに修飾核酸合成モノマーの合成を行った。スキーム2の合成経路を図6(図6-1及び図6-2)に示す。
【実施例】
【0109】
[化合物10の合成]
化合物9(1.0g,2.8mmol)をピリジン(28mL)に溶かした。氷冷下でTIPDSCl(1.1mL,3.4mmol)を加え室温で5h撹拌した。その後、DMAP(34mg,0.28mmol)、Ac2O(530uL,5.6mmol)を加え、室温で16h撹拌した。反応終了後、水(5mL)を加え5min撹拌した。溶媒を留去し、AcOEtで抽出しsat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:2)を行い、化合物10を得た(1.6g,2.5mmol,89%)。:
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3)δ1.00 ~ 1.07(m, 28H), 1.25 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.15(s, 3H), 2.60 (t, 1H, J = 6.9 Hz), 4.00 ~ 4.03 (m, 2H) 4.15(d, 1H, J = 13.0 Hz), 4.62 ~ 4.65(m, 1H), 5.59(d, 1H, J = 5.1 Hz), 5.87(s, 1H), 7.90 (s, 1H), 8.41(s, 1H), 12.02(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C28H47N5NaO8Si2 [M + Na]+ = 660.2861。Found 660.2853。
【実施例】
【0110】
JP2021020883A_000029t.gif
【実施例】
【0111】
[化合物11の合成]
化合物10(1.6g,2.5mmol)をTHF(25mL)に溶かした。次にAcOH(430uL,7.5mmol)、1M TBAF(7.5mL,7.5mmol)を加え、室温で2h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去した後、CHCl3で抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物11を得た(800mg,2.0mmol,80%)。:
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6)δ1.18 (d, 6H, J = 6.8 Hz), 1.34 ~ 1.40 (m ,1H), 1.62 (d, 1H, J = 7.4 Hz), 2.16(s, 3H), 2.83 (t, 1H, J = 6.9 Hz), 3.22 (t, 1H, J = 8.3 Hz), 3.63 ~ 3.73 (m, 2H), 4.76 ~ 4.80(m, 1H), 5.31(d, 1H, J = 4.0 Hz), 5.86(d, 1H, J = 7.2 Hz), 8.34(s, 1H),11.75 (s, 1H), 12.16(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C16H21N5NaO7 [M + Na]+ = 418.1339。Found 418.1333。
【実施例】
【0112】
JP2021020883A_000030t.gif
【実施例】
【0113】
[化合物12の合成]
化合物11(800mg,2.0mmol)をCH3CN(20mL)に溶かした。DHP(2.5mL,27mmol)、p-TsOH(40mg,0.20mmol)をこの順で加え、室温で20h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtを加え、sat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、MeOH(10mL)、28%NH3 aq(10mL)を加え、室温で4h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=95:5)を行い、化合物12を得た(526mg,0.98mmol,49%):
SALDI-MS : Calc’d for C24H35N5NaO8 [M + Na]+ = 544.2383。Found 544.2378。
【実施例】
【0114】
JP2021020883A_000031t.gif
【実施例】
【0115】
[化合物13の合成]
1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazole(342mg,0.90mmol)をDMF(3mL)に溶かした。60%NaH(110mg,0.90mmol)、NaI(135mg,0.90mmol)を加え、室温で10min撹拌した。化合物12(313mg,0.60mmol)をDMF(3mL)に溶かしたものを加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、CH3OH(6mL)に溶かした。次に、p-TsOH(310mg,1.8mmol)を加え、室温で6h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物13を得た(55mg,0.08mmol,14%):
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ1.20 ~ 1.56 (m, 18H), 2.83 (t, 1H, J = 6.9 Hz), 3.26 ~ 3.65 (m, 6H), 3.84 ~ 4.20 (m, 6H), 5.58 ~ 5.76 (m, 2H), 7.14 ~ 7.44 (m, 6H), 7.94 ~ 8.00 (m, 3H), 9.52 (s, 1H), 11.97(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C33H44BrN5NaO7 [M + Na]+ = 724.2322。Found 724.2319。
【実施例】
【0116】
JP2021020883A_000032t.gif
【実施例】
【0117】
化合物12から化合物13への合成で使用した1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazoleの構造の拡大図は、既に上述して示した通りである。
【実施例】
【0118】
[ヌクレオシドアナログ(光反応性素子)の合成:2’-CNVK-Cn-Cの合成]
スキーム3に示す合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)、すなわち、2’-CNVK-C6-Cを合成し、さらに修飾核酸合成モノマーの合成を行った。スキーム3の合成経路を図7(図7-1及び図7-2)に示す。
【実施例】
【0119】
[化合物15の合成]
化合物14(1.0g,2.9mmol)をピリジン(29mL)に溶かした。氷冷下でTIPDSCl(1.0mL,8.9mmol)を加え室温で6.0h撹拌した。その後、Ac2O(547uL,5.8mmol)を加え、室温で8.0h撹拌した。反応終了後、水(10mL)を加え5min撹拌した。溶媒を留去し、AcOEtで抽出しsat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:3)を行い、化合物15を得た(1.4.g,2.2mmol,74%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3)δ1.00 ~ 1.11(m, 28H), 2.15(s, 3H), 3.98 ~ 4.12 (m, 2H), 4.27 ~ 4.36(m, 2H), 5.47(d, 1H, J = 4.6 Hz), 5.95(s, 1H), 7.49 ~ 7.63 (m, 4H), 7.89 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 8.24 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 8.72(s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C31H45N5NaO7Si2 [M + Na]+ = 654.2643。Found 654.2634。
【実施例】
【0120】
JP2021020883A_000033t.gif
【実施例】
【0121】
[化合物16の合成]
化合物15(1.36g,2.2mmol)をTHF(22mL)に溶かした。次にAcOH(370uL,6.6mmol)、1M TBAF(6.6mL,6.6mmol)を加え、室温で15h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去した後、CHCl3で抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物16を得た(725mg,1.8mmol,80%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) : δ2.13 (s, 3H), 3.89 ~ 4.02 (m, 4H), 4.27 (s, 1H), 4.54 ~ 4.58 (m, 1H), 4.69 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 5.32 (t, 1H, J = 4.6 Hz), 5.37 (d, 1H, J = 4.6 Hz), 6.00 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 7.39 ~ 7.53 (m, 4H), 7.86 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 8.57 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 8.89 (d, 1H, J = 7.5 Hz),
SALDI-MS : Calc’d for C18H19N3NaO7 [M + Na]+ = 412.1121。Found 412.332。
【実施例】
【0122】
JP2021020883A_000034t.gif
【実施例】
【0123】
[化合物17の合成]
化合物16(1.0g,2.6mmol)をCH3CN(26mL)に溶かした。DHP(2.4mL,26mmol)、p-TsOH(44mg,0.26mmol)をこの順で加え、室温で8h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtを加え、sat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、MeOH(13mL)、28%NH3 aq(13mL)を加え、室温で4h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=95:5)を行い、化合物17を得た(600mg,1.1mmol,45%):
SALDI-MS : Calc’d for C26H33N3NaO8 [M + Na]+ = 538.2165。Found 538.2160。
【実施例】
【0124】
JP2021020883A_000035t.gif
【実施例】
【0125】
[化合物18の合成]
1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazoleをDMF(3mL)に溶かした。60%NaH(27mg,0.68mmol)、NaI(102mg,0.68mmol)を加え、室温で10min撹拌した。化合物17(233mg,0.45mmol)をDMF(4mL)に溶かしたものを加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、CH3OH(7mL)に溶かした。次に、p-TsOH(232mg,1.35mmol)を加え、室温で6h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物18を得た(47mg,0.07mmol,16%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) δ1.25 ~ 1.45 (m, 8H), 3.35 ~ 3.45 (m, 2H), 3.62 ~ 3.78 (m, 2H), 3.80 ~ 4.19 (m, 3H), 5.62 ~ 5.74 (m, 2H), 7.15 ~ 7.44 (m, 10H), 7.74 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.95 ~ 8.00 (m, 3H),
SALDI-MS : Calc’d for C33H44BrN5NaO7 [M + Na]+ = 724.2322。Found 724.2319。
【実施例】
【0126】
JP2021020883A_000036t.gif
【実施例】
【0127】
化合物17から化合物18への合成で使用した1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazoleの構造の拡大図は、既に上述して示した通りである。
【実施例】
【0128】
[ヌクレオシドアナログ(光反応性素子)の合成:2’-CNVK-Cn-Tの合成]
スキーム4に示す合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)、すなわち、2’-CNVK-C6-Tを合成し、さらに修飾核酸合成モノマーの合成を行った。スキーム4の合成経路を図8(図8-1及び図8-2)に示す。
【実施例】
【0129】
[化合物20の合成]
化合物19(2.0g,5.4mmol)をピリジン(54mL)に溶かした。氷冷下でTIPDSCl(1.9mL,5.9mmol)を加え室温で9h撹拌した。その後、Ac2O(1.0mL,10.8mmol)を加え、室温で4h撹拌した。反応終了後、水(10mL)を加え5min撹拌した。溶媒を留去し、AcOEtで抽出しsat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:3)を行い、化合物20を得た(1.28g,2.3mmol,42%)
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) δ0.95 ~ 1.05(m, 28H), 1.87(s, 3H), 2.10(s, 3H),3.92 ~ 3.97 (m, 2H), 4.17 (d, 1H, J = 12.4 Hz), 4.33 ~ 4.37(m, 1H), 5.36 (d, 1H, J = 5.3 Hz), 5.83(s, 1H), 7.34 (s, 1H), 9.78 (s, 1H),
SALDI-MS : Calc’d for C24H42N2NaO8Si2 [M + Na]+ = 565.2377。Found 565.2371。
【実施例】
【0130】
JP2021020883A_000037t.gif
【実施例】
【0131】
[化合物21の合成]
化合物20(2.7g,4.9mmol)をTHF(50mL)に溶かした。次にAcOH(700uL,14.7mmol)、1M TBAF(14.7mL,14.7mmol)を加え、室温で1h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去した後、CHCl3で抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:0 to 95:5)を行い、化合物21を得た(1.4g,4.7mmol,96%):
1H-NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ1.84(s, 3H), 2.15(s, 3H), 3.66 (d, 2H, J = 9.1 Hz), 4.06 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 4.33 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 5.17 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 5.35 (s, 1H), 5.74 (d, 1H, J = 5.9 Hz), 5.87 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 7.78 (s, 1H), 11.43 (s, 1H)
SALDI-MS : Calc’d for C12H16N2NaO7 [M + Na]+ = 323.0855。Found 323.0851。
【実施例】
【0132】
JP2021020883A_000038t.gif
【実施例】
【0133】
[化合物22の合成]
化合物21(500mg,1.6mmol)をCH3CN(16mL)に溶かした。DHP(1.4mL,16.0mmol)、p-TsOH(27mg,0.16mmol)をこの順で加え、室温で3.5h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtを加え、sat.NaHCO3 aq(2回)とBrineでwashし、Na2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、MeOH(8mL)、28%NH3 aq(8mL)を加え、室温で2h撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=95:5)を行い、化合物22を得た(400mg,0.94mmol,59%):
SALDI-MS : Calc’d for C20H30N2NaO8 [M + Na]+ = 449.1900。Found 449.1894。
【実施例】
【0134】
JP2021020883A_000039t.gif
【実施例】
【0135】
[化合物23の合成]
1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazole(137mg,0.36mmol)をDMF(2mL)に溶かした。60%NaH(15mg,0.36mmol)、NaI(54mg,0.36mmol)を加え、室温で10min撹拌した。化合物22(100mg,0.24mmol)をDMF(2mL)に溶かしたものを加え、室温で4h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。その後、溶媒を留去し、CH3OH(4mL)に溶かした。次に、p-TsOH(124mg,0.72mmol)を加え、室温で6h撹拌した。反応終了後水を加え、AcOEtで抽出し、水、Brineでwash、そしてNa2SO4で有機層を乾燥させた。最後にカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100% to 95:5)を行い、化合物23を得た(27mg,0.05mmol,20%):
1H-NMR: (400 MHz, CDCl3) δ1.20 ~ 1.56 (m, 11H), 3.41 ~ 3.65 (m, 2H), 3.89 ~ 4.05 (m, 2H), 4.17 ~ 4.22 (m, 2H), 5.62 ~ 5.74 (m, 2H), 5.79 (d, 1H, J = 16.5 Hz), 7.20 ~ 7.50 (m, 8H), 7.99 ~ 8.07 (m, 1H),,
SALDI-MS : Calc’d for C33H44BrN5NaO7 [M + Na]+ = 724.2322。Found 724.2319。
【実施例】
【0136】
JP2021020883A_000040t.gif
【実施例】
【0137】
化合物12から化合物13への合成で使用した1-bromo-6-3-cyanovinylcarbazoleの構造の拡大図は、既に上述して示した通りである。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる新規な化合物を提供する。本発明は産業上有用な発明である。
図面
【図1-1】
0
【図1-2】
1
【図2】
2
【図3A】
3
【図3B】
4
【図4】
5
【図5-1】
6
【図5-2】
7
【図5-3】
8
【図6-1】
9
【図6-2】
10
【図7-1】
11
【図7-2】
12
【図8-1】
13
【図8-2】
14