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明細書 :固定具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年2月27日(2020.2.27)
発明の名称または考案の名称 固定具
国際特許分類 A61B  17/70        (2006.01)
FI A61B 17/70
国際予備審査の請求
全頁数 27
出願番号 特願2019-504559 (P2019-504559)
国際出願番号 PCT/JP2018/008247
国際公開番号 WO2018/164034
国際出願日 平成30年3月5日(2018.3.5)
国際公開日 平成30年9月13日(2018.9.13)
優先権出願番号 2017043240
優先日 平成29年3月7日(2017.3.7)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】寺田 英嗣
【氏名】牧野 浩二
【氏名】北野 雄大
【氏名】名取 智紘
出願人 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100097043、【弁理士】、【氏名又は名称】浅川 哲
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
Fターム 4C160LL24
4C160LL63
4C160LL66
要約 人体へのリスクが軽減でき、構造が簡易な骨の固定具を提供する。
固定具(10)は、骨の第一、第二装着部(24,26)にそれぞれ固定されたペディクルスクリュ(12,14)と、第一、第二振動部材(16,18)と、ロッド(20)を備える。第一振動部材(16)は、右ねじである第一ねじ(16a)を備え、振動可能にペディクルスクリュ(12)に固定されている。第二振動部材(18)は、左ねじである第二ねじ(18a)を備え、振動可能にペディクルスクリュ(14)に固定されている。ロッド(20)は、一端に第一ねじ(16a)と嵌合する第三ねじ(20a)を、他端に第二ねじ(18a)と嵌合する第四ねじ(20b)をそれぞれ備える。体外から発振された超音波を受けて第二振動部材(18)が振動しながら形状変化し、第二振動部材(18)に押圧されたロッド(20)が回転することによって、ペディクルスクリュ(12,14)間の距離、すなわち第一、第二装着部(24,26)の距離が増減する。
特許請求の範囲 【請求項1】
第一装着部に固定された第一支持部材と、
第二装着部に固定された第二支持部材と、
第一ねじを一端に備え、前記第一支持部材と前記第二支持部材との間にこの一端が配置されるように、前記第一支持部材に固定された第一連結部材と、
前記第一ねじの向きと反対向きの第二ねじを一端に備え、前記第一支持部材と前記第二支持部材との間にこの一端が配置されるように、前記第二支持部材に固定された第二連結部材と、
一端に前記第一ねじと嵌合する第三ねじを、他端に前記第二ねじと嵌合する第四ねじをそれぞれ備え、前記第一連結部材がこの一端に、前記第二連結部材がこの他端にそれぞれ嵌合され、振動波を受けて振動する振動部材と、
を有し、
外から発振された振動波を受けて前記振動部材が振動しながら形状変化し、前記第一連結部材および前記第二連結部材に押圧された前記振動部材が回転することによって、前記第一支持部材と前記第二支持部材の距離が増加または減少する固定具。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一装着部が脊椎のある椎骨であり、前記第二の装着部が前記脊椎の他の椎骨であり、前記外が体外である脊椎固定術に用いられる固定具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第一連結部材および前記第二連結部材が柱形状を備え、
前記第一ねじおよび前記第二ねじが、前記第一連結部材および前記第二連結部材の外表面にそれぞれ形成されており、
前記振動部材が筒形状を備え、前記第三ねじおよび前記第四ねじがこの筒の内表面に形成されている固定具。
【請求項4】
請求項3において、
前記第一ねじおよび前記第二ねじが、前記第一連結部材の中心軸からの距離が一定でない端部を有する突出部をそれぞれ備え、
外から発振された振動波を受けて前記振動部材が振動しながら形状変化し、前記第一連結部材および前記第二連結部材に押圧された前記振動部材が回転することによって、前記第一支持部材と前記第二支持部材の距離が増加する固定具。
【請求項5】
請求項4において、
前記第一ねじおよび前記第二ねじが、前記第一連結部材および前記第二連結部材の断面直径方向に突出した少なくとも一対の前記突出部をそれぞれ備える固定具。
【請求項6】
請求項5において、
前記第一ねじおよび前記第二ねじが、直交する二対の前記突出部をそれぞれ備える固定具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかにおいて、
前記振動部材と接触するように前記振動部材を覆い、外から発振された振動波で共振した振動を前記振動部材に伝達する振動増幅部材をさらに有する固定具。
【請求項8】
第一装着部に固定された第一支持部材と、
第二装着部に固定された第二支持部材と、
第一ねじを備え、振動可能に前記第一支持部材に固定され、振動波を受けて振動する第一振動部材と、
前記第一ねじの向きと反対向きの第二ねじを備え、振動可能に前記第二支持部材に固定され、振動波を受けて振動する第二振動部材と、
一端に前記第一ねじと嵌合する第三ねじを、他端に前記第二ねじと嵌合する第四ねじをそれぞれ備え、この一端が前記第一振動部材に、この他端が前記第二振動部材にそれぞれ嵌合された連結部材と、
を有し、
外から発振された振動波を受けて前記第一振動部材および前記第二振動部材の少なくとも一方が振動しながら形状変化し、前記第一振動部材および前記第二振動部材の少なくとも一方に押圧された前記連結部材が回転することによって、前記第一支持部材と前記第二支持部材の距離が増加または減少する固定具。
【請求項9】
請求項8において、
前記第一装着部が脊椎のある椎骨であり、前記第二装着部が前記脊椎の他の椎骨であり、前記外が体外である脊椎固定術に用いられる固定具。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記連結部材が柱形状を備え、
前記第一ねじおよび前記第二ねじが、前記連結部材の外表面に形成されており、
前記第一振動部材が筒形状を備え、前記第三ねじがこの筒の内表面に形成されており、
前記第二振動部材が筒形状を備え、前記第四ねじがこの筒の内表面に形成されている固定具。
【請求項11】
請求項10において、
前記第三ねじが、前記第一振動部材の中心軸からの距離が一定でない端部を有する突出部を備え、
前記第四ねじが、前記第二振動部材の中心軸からの距離が一定でない端部を有する突出部を備える固定具。
【請求項12】
請求項11において、
前記端部が斜めである固定具。
【請求項13】
請求項12において、
前記第三ねじおよび前記第四ねじが、前記第一振動部材および前記第二振動部材の断面直径方向で対向する少なくとも一対の前記突出部をそれぞれ備える固定具。
【請求項14】
請求項13において、
前記第三ねじおよび前記第四ねじが、直交する二対の前記突出部をそれぞれ備える固定具。
【請求項15】
請求項8から14のいずれかにおいて、
前記第一振動部材と接触するように設置され、外から発振された振動波で共振した振動を前記第一振動部材に伝達する第一振動増幅部材と、
前記第二振動部材と接触するように設置され、外から発振された振動波で共振した振動を前記第二振動部材に伝達する第二振動増幅部材と、
をさらに有する固定具。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかにおいて、
前記振動波が超音波である固定具。
【請求項17】
第一装着部に固定された第一支持部材と、
第二装着部に固定された第二支持部材と、
前記第一支持部材および前記第二支持部材に固定された支持部材間結合部材と、
を備え、
前記支持部材間結合部材は、
一つまたは複数の連結部材と、
振動波を受けて振動する一つまたは複数の振動部材と、
を有し、
少なくとも一つの前記連結部材および少なくとも一つの前記振動部材は互いに嵌合するねじとを具備し、
外から発振された振動波を受けて前記振動部材が振動しながら形状変化し、前記連結部材、または前記連結部材に押圧された前記振動部材が回転することによって、前記支持部材間結合部材が前記第一支持部材と前記第二支持部材の距離を可変とする固定具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、主に骨を固定する固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脊柱が湾曲したり、ねじれたりする脊柱側弯症を放置すると、内臓器官に重大な障害が発生するおそれがある。脊柱の湾曲やねじれを矯正するため、人体内部の脊椎に、金属シャフトなどの補助具を固定する脊椎固定術が行われている。この補助具は、脊柱側弯症の状態が改善されるまで、長期にわたって体内に固定される。したがって、患者の成長や治療状況に合わせて、補助具の長さを変更する必要がある。従来は、メスで患部を開いて補助具を交換していたため、患者の負担が大きかった。
【0003】
近年では、内視鏡などを使った低侵襲な補助具の長さの調整手法が提案されている。しかしながら、内視鏡手術のような負担の少ない手法でも切開が必要であるため、神経を覆う硬膜の破損や合併症などのリスクが存在する。若年性の疾患のように、補助具の長さの調整が複数回必要な場合には、許容しがたい大きなリスクとなる。このため、切開を行わずに補助具の長さを調整する手法が必要である。切開を必要としない非侵襲な補助具の長さの調整手法として、体外からの磁気照射により、体内の補助具を伸縮させる手法が知られている(非特許文献1)。このような磁気によって伸縮可能な補助具は、グローイングロッドなどとして諸外国で製品化され、使用されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Cheung KM, Cheung JP, Samartzis D, Mak KC, Wong YW, Cheung WY, Akbarnia BA, Luk KD: Magnetically controlled growing rods for severe spinal curvature in young children: a prospective case series, Vol.379, Issue 9830, pp.1967-1974, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気照射の人体への影響は未解明な点が多く、そのリスクが報告されている。このため、磁気照射によって伸縮可能な補助具は、リスクのコントロールが難しい。また、磁気照射によって伸縮可能な補助具は、例えば、ペースメーカーのように、磁気の影響を極力排除すべき装置との併用が難しい。また、現在製品化されている伸縮可能な補助具は、構造がとても複雑で、故障リスクが高くなっている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながら、人体へのリスクが軽減できる骨の固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の固定具は、第一装着部に固定された第一支持部材と、第二装着部に固定された第二支持部材と、第一ねじを一端に備え、第一支持部材と第二支持部材との間にこの一端が配置されるように、第一支持部材に固定された第一連結部材と、第一ねじの向きと反対向きの第二ねじを一端に備え、第一支持部材と第二支持部材との間にこの一端が配置されるように、第二支持部材に固定された第二連結部材と、一端に第一ねじと嵌合する第三ねじを、他端に第二ねじと嵌合する第四ねじをそれぞれ備え、第一連結部材がこの一端に、第二連結部材がこの他端にそれぞれ嵌合され、振動波を受けて振動する振動部材とを有している。この固定具は、外から発振された振動波を受けて振動部材が振動しながら形状変化し、第一連結部材および第二連結部材に押圧された振動部材が回転することによって、第一支持部材と第二支持部材の距離が増加または減少する。
【0008】
本発明の他の態様の固定具は、第一装着部に固定された第一支持部材と、第二装着部に固定された第二支持部材と、第一ねじを備え、振動可能に第一支持部材に固定され、振動波を受けて振動する第一振動部材と、第一ねじの向きと反対向きの第二ねじを備え、振動可能に第二支持部材に固定され、振動波を受けて振動する第二振動部材と、一端に第一ねじと嵌合する第三ねじを、他端に第二ねじと嵌合する第四ねじをそれぞれ備え、この一端が第一振動部材に、この他端が第二振動部材にそれぞれ嵌合された連結部材とを有している。この固定具は、外から発振された振動波を受けて第一振動部材および第二振動部材の少なくとも一方が振動しながら形状変化し、第一振動部材および第二振動部材の少なくとも一方に押圧された連結部材が回転することによって、第一支持部材と第二支持部材の距離が増加または減少する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の固定具は、医療現場での長期間の使用実績があり、低出力では人体に悪影響を与えない超音波等の振動波を利用して伸縮できるので、磁気を利用して伸縮させる固定具と比べて、人体へのリスクが軽減できる。また、本発明の固定具は、主にボルトやナットのような部材から構成することができるため、簡易な構造にでき、故障のリスクが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係る固定具の断面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る固定具の斜視図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る固定具の分解図。
【図4】本発明の第一実施形態に係る固定具の第一振動部材を示す図で、(a)は左からの斜視図、(b)は環状断面図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る固定具の第一振動部材の変形を説明するための断面図。
【図6】本発明の第一実施形態に係る固定具が伸びる機構を説明するための側面図。
【図7】本発明の第一実施形態に係る固定具が縮む機構を説明するための側面図。
【図8】本発明の第二実施形態に係る固定具の断面図。
【図9】本発明の第二実施形態に係る固定具の斜視図。
【図10】本発明の第二実施形態に係る固定具の分解図。
【図11】本発明の第二実施形態に係る固定具の振動部材の断面図。
【図12】本発明の第二実施形態に係る固定具のロッドを示す図で、(a)は右からの斜視図、(b)は右側面図。
【図13】本発明の第二実施形態に係る固定具が伸びる機構を説明するための断面図。
【図14】本発明の第二実施形態の変形例に係る固定具のロッドの右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の固定具について、脊椎固定術に用いる実施形態と、振動部材の動作を確認した実施例に基づいて、図面を参照しながら説明する。なお、図面は、固定具、固定具の構成部材、および固定具の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特にことわらない限り、本明細書では、便宜上、図1および図8に示す固定具の向きを基準に上下方向と左右方向を表す。なお、重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。

【0012】
上述のように、本発明は、骨を固定する固定具に関するものである。本発明の固定具の利用としては主に脊椎骨折の治療や脊柱の湾曲の矯正などで脊椎を固定するための固定具がある。以下の説明においては脊椎を固定する脊椎固定術に利用される形態を例として説明する。なお、脊椎や椎骨に限定されず他の骨の固定にも利用は可能である。

【0013】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る固定具10の断面図である。図2は、固定具10の斜視図である。図3は、固定具10の分解図である。固定具10は、第一支持部材であるペディクルスクリュ12と、第二支持部材であるペディクルスクリュ14と、第一振動部材16と、第二振動部材18と、柱形状を備える連結部材であるロッド20とを備えている。ペディクルスクリュ12は、チタン、チタン合金、またはコバルトクロム合金等の生体適合性に優れている金属から構成され、人体の脊椎22の椎骨24(第一装着部)にねじ止め固定されている。ペディクルスクリュ14も同様に、生体適合性に優れている金属から作製され、脊椎22の他の椎骨26(第二装着部)にねじ止め固定されている。

【0014】
第一振動部材16は、生体適合性に優れている金属から作製され、体外から発振された振動波を受けて振動する。なお、各実施形態では、振動波が超音波である場合を例に説明する。第一振動部材16は、外径が約6mmで長さが約3mmの筒形状を備え、右ねじの第一ねじ16aがこの筒の内表面に形成されているナット状部材である。第一振動部材16は、振動可能にペディクルスクリュ12に固定されている。具体的には、図1に示すように、第一振動部材16の開口部がペディクルスクリュ14の方を向くように、第一振動部材16がペディクルスクリュ12に載せられ、第一振動増幅部材28を介して、生体適合性に優れている金属から作製されたロッド固定具30で上から固定されている。このとき、第一振動部材16が容易に移動しないように、かつ超音波を受けてその場で振動できるような強さで固定されている。

【0015】
第二振動部材18は、生体適合性に優れている金属から作製され、体外から発振された超音波を受けて振動する。第二振動部材18は、外径が約6mmで長さが約3mmの筒形状を備え、第一ねじ16aの向きと反対向きの左ねじの第二ねじ18aがこの筒の内表面に形成されているナット状部材である。すなわち、内表面に形成されているねじの向きを除いて、第二振動部材18の形状は、第一振動部材16の形状と同じである。なお、第一ねじ16aが左ねじで、第二ねじ18aが右ねじであってもよい。

【0016】
第一ねじ16aと第二ねじ18aは、一般的ならせん状の雌ねじとは異なる特殊な形状を備える雌ねじである。第一ねじ16aと第二ねじ18aの詳しい構造については後述する。第二振動部材18は、第一振動部材16と同様に、容易に移動せずにその場で振動できるような強さで、第二振動増幅部材32を介して、生体適合性に優れている金属から作製されたロッド固定具34でペディクルスクリュ14に固定されている。ロッド固定具30,34は、図示するようなねじ(第五ねじ、第六ねじ)としてもよい。

【0017】
ロッド20は、生体適合性に優れている金属から作製され、ねじが両端に形成されている。すなわち、ロッド20は、第一ねじ16aと嵌合する第三ねじ20aを一端の外表面に備えており、第二ねじ18aと嵌合する第四ねじ20bを他端の外表面に備えている。第三ねじ20aと第四ねじ20bは、一般的ならせん状の雄ねじである。そして、固定具10では、この一端が第一振動部材16に、この他端が第二振動部材18にそれぞれ弱く接触するように嵌合されている。

【0018】
第一振動部材16および第二振動部材18の少なくとも一方は、超音波発振器などによって体外から発振された超音波を受けて振動する。詳細は後述するが、第一振動部材16および第二振動部材18の少なくとも一方のこの振動により、ロッド20が回転する。このロッド20の回転方向によって、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の距離が増加または減少する。こうして、患者の成長や症状に合わせて、椎骨24と椎骨26の距離が調整できる。

【0019】
上述したように、本実施形態では、固定具10が第一振動増幅部材28と第二振動増幅部材32をさらに備えている。第一振動増幅部材28および第二振動増幅部材32は、生体適合性に優れている金属から作製され、縦が約10mm、横が約6mm、厚さが約0.6mmの板状部材で、体外から発振された超音波で共振する固有振動数を有している。第一振動増幅部材28は、第一振動部材16と接触するように、第二振動増幅部材32は、第二振動部材18と接触するようにそれぞれ設置されている。具体的には、第一振動増幅部材28は、第一振動部材16上に置かれ、その場で振動できるように上からロッド固定具30で固定されている。同様に、第二振動増幅部材32は、第二振動部材18上に置かれ、その場で振動できるように上からロッド固定具34で固定されている。なお、第一振動増幅部材28と第二振動増幅部材32とは必ずしも必須ではなく、これらがなくとも十分な振動が伝わる場合は、省略することも可能である。

【0020】
第一振動増幅部材28は、体外から発振された超音波で共振した振動を第一振動部材16に伝達する。同様に、第二振動増幅部材32は、体外から発振された超音波で共振した振動を第二振動部材18に伝達する。すなわち、体外から発振された超音波は人体組織40によって減衰するが、第一振動増幅部材28が超音波で共振して、振動を増幅して第一振動部材16に伝える。同様に、第二振動増幅部材32は、超音波で共振して、振動を増幅して第二振動部材18に伝える。第一振動部材16または第二振動部材18は、第一振動増幅部材28または第二振動増幅部材32から伝えられた振動により、ロッド20を回転させる。第一振動部材16および第二振動部材18がロッド20を回転させる機構は後述する。

【0021】
図4は第一振動部材16を示している。図4(a)は図1の左方向からの斜視図で、図4(b)は第一振動部材16を開口と平行に切断したときの図1の左方向からの断面図である。図4(b)に示すように、第一ねじ16aは、第一振動部材16の中心軸16cからの距離が一定でない端部16e,16f,16g,16hをそれぞれ有する4つの突出部16j,16k,16m,16nを備えている。第一振動部材16が振動するとき、主に端部16eのうち中心軸16cから最短の位置で、突出部16jが第三ねじ20aを押圧してロッド20を回転させる。端部16f,16g,16hについても同様である。

【0022】
図4(b)において、4つの突出部16j,16k,16m,16nは同じ形状を有している。すなわち、第一振動部材16の筒内壁には、周方向に沿って、突出部16j,16k,16m,16nと、同じ形状を有する4つの円弧部16r,16s,16t,16uが45°ごとに繰り返して設けられている。なお、突出部の数量には特に制限がない。本実施形態では、第一ねじ16aが4つの突出部16j,16k,16m,16nを備えているが、第一ねじ16aは、第一振動部材16の断面直径方向で対向する少なくとも一対の突出部16j,16mを備えていてもよい。本実施形態のように、第一ねじ16aは、直交する少なくとも二対の突出部16j,16mおよび突出部16k,16nを備えていることが好ましい。

【0023】
また、本実施形態のように、端部16e,16f,16g,16hが斜めであることが好ましい。第一振動部材16の振動を効率よくロッド20の回転に変換できるからである。ここで、端部16eが斜めであるとは、図4(b)に示すような環状断面図で、中心軸16cと端部16eの中心を結ぶ直線Pと直交する直線Qに対して端部16eが斜めであるこという。端部16f,16g,16hが斜めであることも同様に規定できる。図4(b)において、直線Qと端部16eがなす角θの角度は約8°である。本実施形態のように、全ての端部16e,16f,16g,16hが斜めであることが好ましいが、本実施形態とは異なり、第一振動部材16の少なくとも一部の突出部の端部が斜めでなくてもよい。

【0024】
図5は、第一振動部材16の振動による形状変化の様子を示している。図5(a)は、振動によって、開口に向かって上下方向に収縮しているときの第一振動部材16の断面図である。図5(b)は、振動によって、開口に向かって左右方向に収縮しているときの第一振動部材16の断面図である。体外から発振された超音波を受けて、第一振動部材16は様々な方向に振動する。

【0025】
このとき、第一振動部材16は振動しながら形状変化し、突出部16j,16k,16m,16nが第三ねじ20aに強く接触しながら、ロッド20が開口に向かって左回転するように押圧する。例えば、図5(a)に示すように、第一振動部材16が振動して上下方向に収縮しているとき、突出部16jが第三ねじ20aの頂上より左側の位置を反時計方向に押圧し、突出部16mが第三ねじ20aの底部より右側の位置を反時計方向に押圧する。このため、第一振動部材16に押圧されたロッド20は左回転する。

【0026】
また、例えば、図5(b)に示すように、第一振動部材16が振動して左右方向に収縮しているとき、突出部16kが第三ねじ20aの右部より上側の位置を反時計方向に押圧し、突出部16nが第三ねじ20aの左部より下側の位置を反時計方向に押圧する。このため、第一振動部材16に押圧されたロッド20は左回転する。図示しないが、第二振動部材18も同様に、体外から発振された超音波を受けて、振動しながら形状変化し、突出部が第四ねじ20bに強く接触しながらロッド20を押圧する。ただし、第四ねじ20bの向きは第三ねじ20aの向きと反対なので、第二振動部材18に押圧されたロッド20は、図1の左から見て右回転する。

【0027】
図1と図6を参照しながら、固定具10が伸びる機構について詳しく説明する。図6は、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の間の距離が増加する、すなわち固定具10が伸びる機構を示している。第二振動部材18の上方であって体外からの超音波を固定具10が受けると、固定具10全体が微細振動する。その後、第二振動増幅部材32が超音波で共振して、第二振動部材18の振動が特に増幅する。このとき、第二ねじ18aが第四ねじ20bに強く接触する。そして、左ねじである第四ねじ20bが、第二ねじ18aに沿って図6の矢印の向きに右回転して、ペディクルスクリュ14が右方向に移動する。

【0028】
一方、ロッド20が図6の矢印の向きに回転すると、右ねじである第三ねじ20aが第一ねじ16aに沿って左回転して、ペディクルスクリュ12が左方向に移動する。こうして、第二振動部材18が振動して図6の矢印の向きにロッド20が回転するような超音波を第二振動部材18に加振すると、固定具10が伸びる。換言すると、超音波を与えると図6の矢印の向きにロッド20が回転するように、第二振動部材18および第二振動増幅部材32の材質、形状、および大きさ等を設定すればよい。

【0029】
図1と図7を参照しながら、固定具10が縮む機構について詳しく説明する。図7は、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の間の距離が減少する、すなわち固定具10が縮む機構を示している。第一振動部材16の上方であって体外からの超音波を固定具10が受けると、固定具10全体が微細振動する。その後、第一振動増幅部材28が超音波で共振して、第一振動部材16の振動が特に増幅する。このとき、第一ねじ16aが第三ねじ20aに強く接触する。そして、右ねじである第三ねじ20aが、第一ねじ16aに沿って図7の矢印の向きに回転して、ペディクルスクリュ12が右方向に移動する。

【0030】
一方、ロッド20が図7の矢印の向きに回転すると、左ねじである第四ねじ20bが第二ねじ18aに沿って左回転して、ペディクルスクリュ14が左方向に移動する。こうして、第一振動部材16が振動して図7の矢印の向きにロッド20が回転するような超音波を第一振動部材16に加振すると、固定具10が縮む。換言すると、超音波を与えると図7の矢印の向きにロッド20が回転するように、第一振動部材16および第一振動増幅部材28の材質、形状、および大きさ等を設定すればよい。

【0031】
なお、体外から発振された超音波は人体組織40によって減衰するので、例えば第二振動部材18の上方の体外から発振された超音波によって、第一振動部材16と第一振動増幅部材28はほとんど振動しない。第一振動部材16と第一振動増幅部材28が仮に振動したとしても、第二振動部材18と第二振動増幅部材32の振動の方が強いので、ロッド20は図6に示すように回転し、固定具10が伸びる。また、超音波の周波数や超音波を加振する位置等を調整することによって、ロッド20の回転方向を制御することもできる。また上記説明において第一装着部、第二装着部をそれぞれ椎骨24,26として説明したが、本発明はこれらに限定することなく種々の骨に利用可能である。

【0032】
(第二の実施形態)
図8は、本発明の第二の実施形態に係る固定具50の断面図である。図9は、固定具50の斜視図である。図10は、固定具50の分解図である。固定具50は、第一支持部材であるペディクルスクリュ12と、第二支持部材であるペディクルスクリュ14と、柱形状を備える第一連結部材であるロッド52と、柱形状を備える第二連結部材であるロッド54と、振動部材56とを備えている。ペディクルスクリュ12,14は第一の実施形態と同様、例えば椎骨24,26(第一、第二装着部)にそれぞれ装着される。なお、装着部はこれらの場所に限られないことは第一の実施形態と同様である

【0033】
ロッド52は、右ねじである第一ねじ52aを一端の外表面に備えている。そして、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14との間に、ロッド52のこの一端が配置されるように、ロッド52がペディクルスクリュ12にロッド固定具30で固定されている。ロッド54は、第一ねじ52aの向きと反対向きの左ねじである第二ねじ54aを一端の外表面に備えている。本実施形態では、第二ねじ54aの向きが第一ねじ52aの向きと反対であり、第二ねじ54aと第一ねじ52aのそれぞれの形状は対称である。

【0034】
そして、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14との間に、ロッド54のこの一端が配置されるように、ロッド54がペディクルスクリュ14にロッド固定具34で固定されている。すなわち、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14との間で、ロッド52の第一ねじ52aが形成された一端と、ロッド54の第二ねじ54aが形成された一端とが対向するように、ロッド52がペディクルスクリュ12に、ロッド54がペディクルスクリュ14に、それぞれ固定されている。

【0035】
第一ねじ52aと第二ねじ54aは、一般的ならせん状のねじとは異なる特殊な形状を備えるねじである。第一ねじ52aと第二ねじ54aの詳しい構造は後述する。ロッド52の他端は、平滑表面であってもよいし、ねじを形成して、複数の固定具50を直列に連結できるようにしてもよい。複数の固定具50が直列に連結できれば、脊椎22の大部分に固定具50が適用できる。このため、それぞれの椎骨に対応して固定具50の距離が調整でき、安全に効率よく脊椎22の治療や矯正が行える。

【0036】
図11は、振動部材56を長手に二分割したときの断面図である。振動部材56は、生体適合性に優れている金属から作製され、体外から発振された超音波を受けて振動するナット状部材である。図11に示すように、振動部材56は筒形状を備え、この筒の一端の内表面に第一ねじ52aと嵌合する第三ねじ56aを、この筒の他端の内表面に第二ねじ54aと嵌合する第四ねじ56bをそれぞれ備えている。第三ねじ56aと第四ねじ56bは、一般的ならせん状のねじである。振動部材56の一端にロッド52が、振動部材56の他端にロッド54がそれぞれ嵌合されている。

【0037】
なお、本実施形態の第一ねじ52a、第二ねじ54a、第三ねじ56a、および第四ねじ56bの構造に代えて、ロッド52,54の一端がそれぞれ筒形状を有し、これらの筒の内表面に第一ねじと第二ねじがそれぞれ形成され、振動部材56が柱形状を有し、振動部材56の両端の外表面に第三ねじと第四ねじがそれぞれ形成されていてもよい。そして、体外から発振された超音波を受けて振動部材56が振動しながら形状変化し、ロッド52,54に押圧された振動部材56が回転することによって、ロッド52とロッド54の距離が増加または減少する。

【0038】
本実施形態では、固定具50は、筒状の振動増幅部材58をさらに備えている。振動増幅部材58は、生体適合性に優れている金属から作製され、長さが約40mm、外径が約8mm、厚さが約1mmの筒状部材で、体外から発振された超音波で共振する固有振動数を有している。振動増幅部材58は、振動部材56と接触するように、振動部材56を覆っている。具体的には、振動部材56の外側に振動増幅部材58が装着されている。

【0039】
振動増幅部材58が振動部材56を覆っているので、振動部材56、第一ねじ52a、および第二ねじ54a等に人体組織40が癒着しにくい。振動増幅部材58は、体外から発振された超音波で共振した振動を振動部材56に伝達する。すなわち、体外から発振された超音波は人体組織40によって減衰するが、振動増幅部材58が超音波で共振して、振動を増幅して振動部材56に伝える。振動部材56は、振動増幅部材58から伝えられた振動によって回転する。

【0040】
図12はロッド52を示している。図12(a)は図8の右からの斜視図であり、図12(b)は右側面図である。図12(b)に示すように、第一ねじ52aは、端部52e,52f,52g,52hをそれぞれ有する4つの突出部52j,52k,52m,52nを備えている。振動部材56が振動すると、第三ねじ56aが、突出部52j,52k,52m,52nの端部52e,52f,52g,52hをそれぞれ押圧し、その反作用で振動部材56が回転する。

【0041】
図12(b)に示すように、本実施形態では、4つの突出部52j,52k,52m,52nが同じ形状を有している。突出部52j,52k,52m,52nは、第一ねじ52aの周方向に沿って45°間隔で繰り返し設けられている。なお、突出部の数量には特に制限がない。本実施形態では、第一ねじ52aが4つの突出部52j,52k,52m,52nを備えているが、第一ねじ52aは、ロッド52の中心軸52cと直交する断面の直径方向で対向する少なくとも一対の突出部52j,52mを備えていてもよい。本実施形態のように、第一ねじ52aが、直交する少なくとも二対の突出部52j,52mおよび突出部52k,52nを備えていることが好ましい。

【0042】
図8、図12、および図13を参照しながら、固定具50が伸びる機構について詳しく説明する。図13は、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の間の距離が増加する、すなわち固定具50が伸びる機構を示している。まず、図13(a)に示すように、ペディクルスクリュ12の上方であって体外からの超音波を固定具50が受けると、固定具50全体が微細振動する。その後、振動増幅部材58が超音波で共振して、振動部材56の振動が特に増幅する。このとき、第三ねじ56aが第一ねじ52aに、第四ねじ56bが第二ねじ52bにそれぞれ強く接触する。

【0043】
そして、その反作用で、第三ねじ56aが第一ねじ52aに、第四ねじ56bが第二ねじ52bにそれぞれ押圧されて、図13(b)の回転を示す矢印の向きに振動部材56が回転する。すなわち、第三ねじ56aが右ねじである第一ねじ52aに対して左回転し、第四ねじ56bが左ねじである第二ねじ54aに対して右回転する。こうして、図13(b)の移動を示す矢印のように、ペディクルスクリュ12が左方向に、ペディクルスクリュ14が右方向にそれぞれ移動する。

【0044】
換言すると、超音波を与えると図13(b)の回転を示す矢印の向きに振動部材56が回転するように、振動部材56、第一ねじ52a、および第二ねじ54の材質、形状、および大きさ等を設定すればよい。なお、超音波の周波数や超音波を加振する位置等を調整することによって、図13(b)の回転を示す矢印の向きと反対の向きに振動部材56を回転させることができる。この場合、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の間の距離が減少する、すなわち固定具50が縮む。

【0045】
図14は、第二の実施形態のロッド52の変形例に係るロッド62の右側面を示している。なお、本変形例の第一連結部材に形成された第一ねじ62aおよび第二連結部材に形成された第二ねじの形状が、第二の実施形態の第一ねじおよび第二ねじの形状と異なるだけで、本変形例の固定具の他の部材は、第二の実施形態の固定具の他の部材と同じである。本変形例では、第一ねじ62aおよび第二ねじが、ペディクルスクリュ12とペディクルスクリュ14の距離を増加するのに適した形状をしている。脊椎固定術用の固定具は、体内で伸ばして使用することが多いので、固定具の縮む機能を重視せずに、効率的に固定具を伸ばしたいときに、本変形例のロッド62が採用できる。

【0046】
図14に示すように、ロッド62の第一ねじ62aは、ロッド62の中心軸62cからの距離が一定でない端部62e,62f,62g,62hをそれぞれ有する4つの突出部62j,62k,62m,62nを備えている。振動部材56が振動するとき、ロッド62の突出部62j,62k,62m,62nの端部62e,62f,62g,62hのうち、中心軸62cからそれぞれの最長の位置を第三ねじ56aが強く押圧し、その反作用で振動部材56が、図14の矢印の向きである反時計回りに回転する。

【0047】
図14に示すように、本変形例では、4つの突出部62j,62k,62m,62nが同じ形状を有している。すなわち、第一ねじ62aの周方向に沿って、突出部62j,62k,62m,62nが90°ごとに繰り返し設けられている。端部62e,62f,62g,62hは斜めであってもよい。端部52eが斜めであるとは、図4に示す端部16eのときと同様に、端部52eの中央と中心軸62cを通る直径と直交する直線に対して端部62eが斜めであるこという。端部62f,62g,62hが斜めであることも同様に規定できる。

【0048】
本変形例では、振動部材56が振動すると、第三ねじ56aが第一ねじ62aの所定の位置で、第四ねじが第二ねじの所定の位置でそれぞれ強く接触する。このため、その反作用で、第三ねじ66aが第一ねじ52aに、第四ねじが第二ねじにそれぞれ強く押圧されて、振動部材56が図14の矢印の向きである反時計回りに回転しやすい。こうして、第三ねじ56aが右ねじである第一ねじ52aに対して左回転し、第四ねじ56bが左ねじである第二ねじに対して右回転する。そして、ペディクルスクリュ12が左方向に、ペディクルスクリュ14が右方向にそれぞれ移動し、固定具が伸びる。

【0049】
本発明は、上述の第一および第二の実施形態において説明したような実施の形態に限ることなく種々の実施形態を取ることができる。本発明は、第一装着部に固定された第一支持部材と第二装着部に固定された第二支持部材とに固定された支持部材間結合部材を備え、この支持部材間結合部材が振動部材と連結部材とを具備し、外から発振された振動波を受けて振動部材が振動しながら形状変化し、その形状変化によって振動部材が回転し、第一支持部材と第二支持部材の距離を可変と(増加または減少)する固定具と捉えることができる。

【0050】
また、本発明は、図1および図8に示したような二対の互いに嵌合するねじ(第一ねじと第三ねじ、第二ねじと第四ねじ)を必ずしも必要とはしない。場合によっては一対の互いに嵌合するねじ(第一ねじと第三ねじ)としてもよい。一対の互いに嵌合するねじのみとする場合は、例えば他方(第二ねじと第四ねじを嵌合させる部分)は2重リングとして回転のみを許容する構成に置き換えることができる。

【0051】
したがって、本発明の一形態においては、本発明の固定具は、第一装着部に固定された第一支持部材と第二装着部に固定された第二支持部材とこの第一支持部材および第二支持部材に固定された支持部材間結合部材とを備え、支持部材間結合部材は、一つまたは複数の連結部材と振動波を受けて振動する一つまたは複数の振動部材とを有し、少なくとも一つの前記連結部材および少なくとも一つの前記振動部材は互いに嵌合するねじを備え、外から発振された振動波を受けて前記振動部材が振動しながら形状変化し、連結部材に押圧された振動部材が回転することによって、支持部材間結合部材が第一支持部材と第二支持部材の距離を可変とするように構成されている。

【0052】
例えば、図1に示す第一の実施形態においては、本発明の固定具10は、椎骨24(第一装着部)に固定されたペディクルスクリュ12(第一支持部材)と椎骨26(第二装着部)に固定されたペディクルスクリュ14(第二支持部材)とペディクルスクリュ12,14に固定された支持部材間結合部材とを備え、この支持部材間結合部材は、ロッド20(連結部材)と、振動波を受けて振動する第一振動部材16、第二振動部材18(振動部材)とを有し、ロッド20(連結部材)および第一振動部材16は互いに嵌合するねじ(20aと16a)を備え、外から発振された振動波を受けて第一振動部材16が振動しながら形状変化し、ロッド20(連結部材)が回転することによって、この支持部材間結合部材がペディクルスクリュ12(第一支持部材)とペディクルスクリュ14(第二支持部材)の距離を可変とするように構成されている。つまり支持部材間結合部材が、第一振動部材16、第二振動部材18(振動部材)とロッド20(連結部材)とから構成されている。そして支持部材間結合部材が振動波によって支持部材間の距離を可変とする。

【0053】
同様に、図8に示す第二の実施の形態においては、本発明の固定具50は、椎骨24(第一装着部)に固定されたペディクルスクリュ12(第一支持部材)と、椎骨26(第二装着部)に固定されたペディクルスクリュ14(第二支持部材)と、ペディクルスクリュ12,14に固定された支持部材間結合部材とを備え、この支持部材間結合部材は、ロッド52,54(連結部材)と、振動波を受けて振動する振動部材56(振動部材)とを有し、ロッド52,54(連結部材)および振動部材56は互いに嵌合するねじ(52aと56a)を備え、外から発振された振動波を受けて振動部材56が振動しながら形状変化し、ロッド52,54(連結部材)に押圧された振動部材56が回転することによって、この支持部材間結合部材がペディクルスクリュ12(第一支持部材)とペディクルスクリュ14(第二支持部材)の距離を可変とするように構成されている。そして支持部材間結合部材が振動波によって支持部材間の距離を可変とする。

【0054】
本発明では、振動部材(16,56)に形成された第一ねじ(16a,52a)とそれに嵌合する連結部材(20,52)に形成された第三ねじ(20a、56a)とが支持部材間可変機構を構成しているとも捉えられる。振動波によって振動部材(16,56)が振動しながら形状変化し、連結部材(20,52)、または連結部材(20,52)に押圧された前記振動部材が回転することによって、連結部材(20,52)と振動部材(16,56)の位置関係を変動させることにより、結果として支持部材間の距離を可変とする。また、同様に振動部材(18,56)に形成された第二ねじとそれに嵌合する連結部材(20,54)に形成された第四ねじ(20b、54a)とが支持部材間可変機構を構成しているとも捉えられる。
【実施例】
【0055】
図1の左側面が正面となるように基台に固定したペディクルスクリュ12に、第一振動部材16を載せ、第一振動部材16上に第一振動増幅部材28をさらに載せ、上面が円形であるロッド固定具30をペディクルスクリュ12に装着して、第一振動部材16と第一振動増幅部材28をペディクルスクリュ12に固定した。そして、第一振動部材16に市販のボルトを嵌合した。基台の正面を斜め上方に向け、第一振動部材16の正面と水平面のなす角度が約100°となるように基台を傾けた状態にした。
【実施例】
【0056】
この状態で、超音波ウェルダ(精電舎株式会社、SONOPET-302S)の発振部の先端をロッド固定具30の上面に接触させて、周波数28.2~28.8kHzの超音波をロッド固定具30に加振して、ボルトの回転方向と角速度をカメラを用いて観測した。本実施例では、発振部の先端がロッド固定具30の上面に接触する位置を変えた複数の加振実験を行った。ロッド固定具30の上面の右奥に加振したときは、角速度の平均値が7.02〔rad/s〕、分散値が2.30〔(rad/s)〕でボルトが左回転した。
【実施例】
【0057】
一方、ロッド固定具30の上面の右手前に加振したときは、角速度の平均値が4.37〔rad/s〕、分散値が4.42〔(rad/s)〕でボルトが右回転した。また、ロッド固定具30の上面の右奥と右手前の中間である右中央に加振したときは、角速度の平均値が2.67〔rad/s〕、分散値が1.73〔(rad/s)〕でボルトが右回転した。なお、ロッド固定具30の上面の左側に加振したときは、ボルトの回転方向が定まらなかった。これらの結果から、超音波を加振する位置を調整することによって、ボルトの回転方向を制御できることもわかった。
【符号の説明】
【0058】
10,50 固定具
12 ペディクルスクリュ
14 ペディクルスクリュ
16 第一振動部材
16a 第一ねじ
16c 中心軸
16e,16f,16g,16h 端部
16j,16k,16m,16n 突出部
16r,16s,16t,16u 円弧部
18 第二振動部材
18a 第二ねじ
20 ロッド
20a 第三ねじ
20b 第四ねじ
22 脊椎
24,26 椎骨
28 第一振動増幅部材
30,34 ロッド固定具
32 第二振動増幅部材
40 人体組織
52 ロッド
52a 第一ねじ
52c 中心軸
52e,52f,52g,52h 端部
52j,52k,52m,52n 突出部
54 ロッド
54a 第二ねじ
56 振動部材
56a 第三ねじ
56b 第四ねじ
58 振動増幅部材
62 ロッド
62c 中心軸
62e,62f,62g,62h 端部
62j,62k,62m,62n 突出部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13