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明細書 :放射線治療装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年1月23日(2020.1.23)
発明の名称または考案の名称 放射線治療装置
国際特許分類 A61N   5/10        (2006.01)
FI A61N 5/10 M
A61N 5/10 P
国際予備審査の請求
全頁数 23
出願番号 特願2019-506003 (P2019-506003)
国際出願番号 PCT/JP2018/009499
国際公開番号 WO2018/168766
国際出願日 平成30年3月12日(2018.3.12)
国際公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
優先権出願番号 2017047982
優先日 平成29年3月14日(2017.3.14)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】藤井 孝明
【氏名】▲高▼尾 聖心
【氏名】宮本 直樹
【氏名】松浦 妙子
【氏名】梅垣 菊男
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001210、【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C082
Fターム 4C082AA01
4C082AC02
4C082AC04
4C082AE03
4C082AJ05
4C082AJ07
4C082AJ08
4C082AN04
4C082AN05
4C082AP07
4C082AP08
4C082AP13
要約 放射線治療装置に搭載された1台の透視X線装置において照射対象内で動く追跡対象物の3次元座標を様々な角度から撮影して取得した透視X線画像から算出することを可能とする。透視用X線発生装置およびX線平面検出器により取得したX線平面検出器における透視X線画像上の追跡対象物位置と透視用X線発生装置とを結んだ追跡対象物存在直線上で、かつ予め設定した追跡対象物の移動領域に含まれる線分情報を用いて追跡対象物の3次元座標を算出する(S104)。
特許請求の範囲 【請求項1】
照射対象を支持するためのカウチと、
カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、
ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、
透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、
透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、
を備え、
各透視X線画像上に投影された追跡対象物の像についての治療室座標系における3次元座標とX線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線上であって、予め設定した移動領域に含まれる座標を追跡対象物の3次元座標とする、
放射線治療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線治療装置であって、
各透視X線画像上に投影された追跡対象物の像についての治療室座標系における3次元座標とX線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線と、予め設定した追跡対象物の移動領域との2つの交点の中点を追跡対象物の3次元座標とする、
放射線治療装置。
【請求項3】
照射対象を支持するためのカウチと、
カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、
ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、
透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、
透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、
を備え、
事前に取得した呼吸位相毎の追跡対象物の位置を含む4次元CT画像上の各追跡対象物の位置を治療室座標系に置き換え、4次元CT画像上の各呼吸位相における追跡対象物の位置間を結んだ位相間移動直線と追跡対象物存在直線との交点または共通垂線をそれぞれ計算し、交点が存在する場合は前記交点を追跡対象物の3次元座標とし、交点が存在しない場合は共通垂線の長さが最も短くなる位相間移動直線上の共通垂線上の点を追跡対象物の3次元座標とする、
放射線治療装置。
【請求項4】
照射対象を支持するためのカウチと、
カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、
ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、
透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、
透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、
2対の動体追跡用X線発生装置と動体追跡用X線平面検出器とを含み、取得した透視X線画像上で追跡対象物を3次元追跡する3次元動体追跡装置と、
を備え、
コーンビームCT撮影中に取得した透視X線画像上に投影された追跡対象物の像の治療室座標系における3次元座標と、X線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線上であって、(i)3次元動体追跡装置により取得した治療室座標系内の追跡対象の3次元移動軌跡上にある点、(ii)3次元移動軌跡と、追跡対象物存在直線とが垂直に交わる共通垂線を算出し、最も共通垂線が短くなる3次元移動軌跡上にある点、(iii)3次元移動軌跡と、追跡対象物存在直線とが垂直に交わる共通垂線を算出し、最も共通垂線が短くなる追跡対象物存在直線上にある点、(iv)共通垂線長の中点、のいずれかを追跡対象の3次元座標とする、
放射線治療装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の放射線治療装置において、
各透視X線画像について得られた追跡対象物の3次元座標に基づいて、照射対象の呼吸位相を判定し、1つの呼吸位相の透視X線画像を選出し、その呼吸位相の透視X線画像から照射対象の3次元画像を再構成する、
放射線治療装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療において治療放射線の照射対象内で動く追跡対象物の3次元座標を様々な角度から撮影して取得した透視X線画像上の追跡対象物の2次元座標情報から算出することを可能とする放射線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
がんなどの患者にX線や荷電粒子などの放射線を患部に照射する放射線治療が知られている。この治療では近年、より正常組織への放射線の照射を抑え、患部に限局した治療を行うために治療直前の患者体内の解剖学的情報を取得して患部の位置およびその周辺の組織の情報を正確に把握する試みがなされている。治療直前の患者体内の解剖学的情報を取得するのに、放射線治療装置に備えられた様々な角度から放射線を患部に照射するための回転ガントリーに搭載された透視X線撮影装置を使用してコーンビームCT(CBCT)撮影するCBCT撮影装置が使用されている。前記CBCT撮影装置では患者を取り囲むようにガントリーを回転させながら透視X線を間欠的に撮影し、取得した透視X線画像を3次元再構成することで3次元画像を作成する。取得されたCBCT画像は治療計画時の患者CT画像と比較され、治療計画時と患部やその周辺の骨や臓器の位置が一致しているかどうかの判定および両位置が一致するように患者を位置合わせするために用いられる。なお、がんなどの患者の場合には患部とは主に治療対象となる腫瘍を意味する。
【0003】
患者体幹部に対する放射線治療では、治療対象となる腫瘍が呼吸により動く場合がある。そのような場合、腫瘍の動く範囲全体に放射線を照射する方法が考えられるが正常組織への放射線線量が増加してしまう。正常組織への放射線の線量付与を可能な限り避けて腫瘍に放射線を集中させるために、現在、腫瘍近傍に予め埋め込まれた追跡対象物(金属製のマーカ)を透視X線で撮影した画像上から位置計測し、透視X線画像上で視認困難な腫瘍の位置を追跡対象物の位置から推定し、追跡対象物が予め決めた呼吸の位相の位置にある時のみ腫瘍に放射線を照射することで正常組織への放射線照射を軽減した照射方法がとられる。一般的に人の呼吸位相の特徴として呼吸1周期中で動きが最も少なく滞在時間の長い位相は呼気位相であり、前述した放射線治療でもこの呼気位相に呼吸状態があるときに放射線を照射する方法が採用されている。そのため、放射線治療計画の立案に使用される治療計画CTは患者の呼気位相の状態を息止めなどにより作り出し、その状態で撮影した画像が使用される。
【0004】
前述した治療直前に撮影されるCBCTでは、腫瘍が体幹部に存在する場合は呼吸により腫瘍やその周辺の骨や臓器が動き、取得されるCBCT画像にブレが生じる。画像にブレが生じると動いている腫瘍や臓器の正確な場所が特定できず、治療計画CTとの比較ができない。この問題を解決するために患者の体表の動きを赤外線マーカで追跡する、もしくは体内の横隔膜の動きをCBCT撮影時の透視X線画像上で監視することで呼吸の位相を判定し、治療計画時と同じ呼吸位相の時に撮影された透視X線画像のみを用いて3次元再構成することで動きによるブレが起因の画質影響を軽減したCBCT画像を取得する手法がある。このようなCBCT画像を取得するための撮影技術は4次元CBCT(4D-CBCT)撮影技術と呼ばれ近年開発が進められている。しかし、先に述べた体表や横隔膜の動きと腫瘍の動きの相関にはずれが生じ得ることが報告されており、また横隔膜の場合は撮影部位によってCBCT撮影時の透視X線画像上に映らない場合もある。より、正確に患者の治療計画時と同じ呼吸位相の状態を知るには直接腫瘍もしくは近傍の追跡対象物の動きを3次元追跡することが望ましい。近年、特許文献1で記載されるように直交2軸の透視X線撮影装置を備えたCBCT撮影装置により体内の腫瘍近傍に埋め込まれた追跡対象物を3次元追跡することで腫瘍の3次元位置をCBCT撮影中に計測する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2015-29793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CBCT撮影中に追跡対象物の3次元の位置情報を取得するためには直交2軸の透視X線撮影装置を放射線治療装置のガントリーに搭載する必要がある。しかし、放射線治療装置によっては装置の小型化や軽量化、または導入した部屋のサイズによる制限のために装置構造に2台の透視X線撮影装置をガントリーに搭載することが難しい場合がある。また、市販されている放射線治療装置では1台のみの透視X線撮影装置をガントリーに搭載したものが一般的で、治療用のX線や荷電粒子の照射方向に対して90度回転した状態で備え付けられているため、仮に1台の透視X線を追加搭載するには大幅な改修が必要となる。そのため、放射線治療装置のガントリーに搭載された1台のみの透視X線撮影装置で追跡対象物をCBCT撮影中に3次元追跡できる技術が求められる。通常1台のガントリー搭載型透視X線撮影では画像上に投影された追跡対象物の2次元情報しか取得できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、照射対象を支持するためのカウチと、カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、を備え、各透視X線画像上に投影された追跡対象物の像についての治療室座標系における3次元座標とX線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線上であって、予め設定した移動領域に含まれる座標を追跡対象物の3次元座標とする、放射線治療装置に関する。
【0008】
また、各透視X線画像上に投影された追跡対象物の像についての治療室座標系における3次元座標とX線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線と、予め設定した追跡対象物の移動領域との2つの交点の中点を追跡対象物の3次元座標とすることが好適である。
【0009】
また、本発明は、照射対象を支持するためのカウチと、カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、を備え、事前に取得した呼吸位相毎の追跡対象物の位置を含む4次元CT画像上の各追跡対象物の位置を治療室座標系に置き換え、4次元CT画像上の各呼吸位相における追跡対象物の位置間を結んだ位相間移動直線と追跡対象物存在直線との交点または共通垂線をそれぞれ計算し、交点が存在する場合は前記交点を追跡対象物の3次元座標とし、交点が存在しない場合は共通垂線の長さが最も短くなる位相間移動直線上の共通垂線上の点を追跡対象物の3次元座標とする、放射線治療装置に関する。
【0010】
また、本発明は、照射対象を支持するためのカウチと、カウチの照射対象に対して様々な角度から治療放射線を照射するために照射対象の周囲を移動可能なガントリーと、ガントリーに搭載され、照射対象の透視X線画像を取得するための透視用X線発生装置およびX線平面検出器と、透視用X線発生装置およびX線平面検出器を用いてコーンビームCT撮影を行い、コーンビームCT画像を取得するCBCT撮影装置と、透視X線画像の照射対象内に投影された追跡対象物を2次元追跡する2次元動体追跡装置と、2対の動体追跡用X線発生装置と動体追跡用X線平面検出器とを含み、取得した透視X線画像上で追跡対象物を3次元追跡する3次元動体追跡装置と、を備え、コーンビームCT撮影中に取得した透視X線画像上に投影された追跡対象物の像の治療室座標系における3次元座標と、X線発生装置の3次元座標とを結んで形成する追跡対象物存在直線上であって、(i)3次元動体追跡装置により取得した治療室座標系内の追跡対象の3次元移動軌跡上にある点、(ii)3次元移動軌跡と、追跡対象物存在直線とが垂直に交わる共通垂線を算出し、最も共通垂線が短くなる3次元移動軌跡上にある点、(iii)3次元移動軌跡と、追跡対象物存在直線とが垂直に交わる共通垂線を算出し、最も共通垂線が短くなる追跡対象物存在直線上にある点、(iv)共通垂線長の中点、のいずれかを追跡対象の3次元座標とする、放射線治療装置に関する。
【0011】
また、各透視X線画像について得られた追跡対象物の3次元座標に基づいて、照射対象の呼吸位相を判定し、1つの呼吸位相の透視X線画像を選出し、その呼吸位相の透視X線画像から照射対象の3次元画像を再構成することが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の1台の透視X線撮影装置によるCBCT撮影において、人体の呼吸などにより移動を行う追跡対象物に対して、従来に比べより高精度な位置認識が可能となることからCBCT撮影中の高精度な3次元追跡および高画質の4次元CBCT画像取得が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の放射線治療装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の制御システムの構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態の患者位置決めの流れを示す図である。
【図4】第1の実施形態の移動領域の設定方法を示す図である。
【図5】第1の実施形態の移動領域設定および拘束条件を用いた追跡対象物3次元座標算出方法を示す図である。
【図6】第1の実施形態の4DCT画像情報を用いた追跡対象物3次元座標算出方法を示す図である。
【図7】第2の実施形態の放射線治療装置の構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態の放射線治療装置の構成の側面を示す図である。
【図9】第2の実施形態の患者位置決めの流れを示す図である。
【図10】第2の実施形態の追跡対象物3次元座標算出方法を示す図である。
【図11】実験装置の一部を示す図である。
【図12】実施形態のシステムにより推定した追跡対象物位置の経時変化を示す図である。
【図13】実際の追跡対象物位置の経時変化を示す図である。
【図14】推定した追跡対象物位置の誤差についての経時変化を示す図である。
【図15】ゲート領域の位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の放射線治療装置の実施形態を、図面を用いて説明する。

【0015】
「第1の実施形態」
以下、本発明の第1の実施形態(実施形態1)を図1乃至図6を用いて説明する。本発明はX線治療装置や陽子線治療装置などの放射線治療装置に適応することができる。第1実施形態では、X線を治療用放射線としたX線治療装置を例に説明する。

【0016】
図1は、実施形態に係る放射線治療装置1の概略構成を示す図である。放射線治療装置1は線形加速器2、重金属ターゲット3、コリメータ4、ガントリー5、透視用X線発生装置6、透視用X線平面検出器7、カウチ8を含む。

【0017】
放射線治療装置1は、図示しない電子線発生装置で発生させた電子を線形加速器2で加速し、重金属ターゲット3に衝突させることで治療用放射線(X線)を生成する。生成した治療用放射線はコリメータ4により治療患者の腫瘍に合わせた形状に成形される。線形加速器2、重金属ターゲット3、コリメータ4は、ガントリー5に取り付けられており、ガントリー5が照射対象9の周囲を回転することで、ここに取り付けられた線形加速器2、重金属ターゲット3、コリメータ4も照射対象9の周囲を回動し、コリメータ4からの治療放射線の照射対象9に対する照射方向が制御できる。ガントリー5で照射に適した角度に合わせた上で、治療放射線がカウチ8上に配置された照射対象9内の追跡対象物10に照射される。なお、がんなどの患者を治療する場合、カウチ8に支持される照射対象9は患者であり、追跡対象物10は腫瘍や、マーカなどの標的である。なお、カウチ8は、ガントリー5の中心付近を軸方向に移動可能であるとともに、照射対象9の3次元位置を制御することができる。すなわち、カウチ8によって照射対象9の3次元位置を調整し、ガントリー5によって、治療放射線の照射方向を調整することができる。

【0018】
また、照射対象9の両側には、透視用X線発生装置6と、透視用X線平面検出器7が照射対象9を両側から挟むように配置されている。従って、透視用X線発生装置6からのX線が照射対象9を透過して透視用X線平面検出器7に検出され、透過画像が得られる。また、透視用X線発生装置6と、透視用X線平面検出器7はガントリー5に取り付けられており、ガントリー5が回転することで、照射対象9に対するX線の透過方向を変更でき、カウチ8によって設定された照射対象9の縦方向位置における透過画像を周方向に回転しながら得ることができる。なお、透視用X線発生装置6と、透視用X線平面検出器7を結んだ直線は、治療放射線の照射方向に対し90度の方向になっている。

【0019】
本実施形態の放射線治療システムに備えられた制御システム50について、図2を用いて説明する。図2は制御システム50の制御ブロックを示す図である。

【0020】
制御システム50は、中央制御装置51、ガントリー制御装置52、照射制御装置53、透視X線撮影制御装置54、動体追跡装置55、CBCT撮影装置56、患者位置決め装置57、カウチ制御装置58を備えている。

【0021】
中央制御装置51は、ガントリー制御装置52、照射制御装置53、透視X線撮影制御装置54、動体追跡装置55、CBCT撮影装置56、患者位置決め装置57、カウチ制御装置58に接続され、これらとの間で必要な情報を送受信するとともに、制御システム50の各装置を制御する。

【0022】
ガントリー制御装置52は、ガントリー5に接続され、これをガントリー5が所望の角度になるように制御する。照射制御装置53は、線形加速器2、重金属ターゲット3、コリメータ4に接続され、これらを制御して所望の放射線の成形および治療放射線の出射許可を出す。

【0023】
透視X線撮影制御装置54は透視用X線発生装置6と透視用X線平面検出器7に接続され、これらを制御することで間欠的に透視X線撮影することで透視X線画像を取得する。

【0024】
動体追跡装置55は中央制御装置51を介して透視X線撮影制御装置54を制御して透視X線画像の取得が可能であり、また取得した透視X線画像を使用して照射対象9内の追跡対象物10の位置を認識し、間欠的に取得した透視X線画像上で追跡対象物10を追跡する。従って、この動体追跡装置55は2次元動体追跡装置である。ここでの追跡対象物10は腫瘍近傍に埋め込まれた金属製のマーカもしくは腫瘍そのものを表す。

【0025】
CBCT撮影装置56は、中央制御装置51を介してガントリー制御装置52、透視X線撮影制御装置54を制御することで、ガントリーを回転させながら透視X線撮影することでCBCT撮影を行い、CBCT用透視X線画像(コーンビーム用CT画像)を間欠的に取得し、それらを3次元再構成することでCBCT画像を生成する。

【0026】
患者位置決め装置57は、予め得られた治療計画CT画像とCBCT撮影装置56で生成したCBCT画像を使用して、治療計画CT時の患者位置と合わせるために必要な移動量を演算により求める。カウチ制御装置58はカウチ8と接続され、中央制御装置51を介して患者位置決め装置57で演算された移動量の結果を取得して、治療計画時の患者状態に合うようにカウチ8を制御する。

【0027】
~患者位置決めの流れ~
本実施形態における放射線治療装置を用いた患者位置決めの流れについて図3を用いて説明する。まず、カウチ8上に患者(照射対象9)を配置する(ステップS100)。続いて、CBCT撮影装置56は、ガントリー制御装置52、透視X線撮影制御装置54を制御することでCBCT透視X線撮影を開始し、様々なガントリー角度で取得したCBCT透視X線画像は透視X線撮影制御装置54から動体追跡装置55、CBCT撮影装置56に転送される。また、動体追跡装置55はCBCT透視X線画像上に投影された追跡対象物10の画像上での投影像(追跡対象物投影像11)の座標を逐次算出することで追跡対象物10を2次元追跡する(ステップS101)。

【0028】
CBCT透視X線撮影が終了したらCBCT撮影装置56は取得した様々なガントリー角度でのCBCT透視X線画像を用いて3次元再構成画像(3次元画像)を作成する。一方で動体追跡装置55はCBCT透視X線画像上の追跡対象物10の2次元追跡を終了し、2次元追跡結果をCBCT撮影装置56に転送する(ステップS102)。

【0029】
次に、CBCT撮影装置56は作成した3次元再構成画像上に追跡対象物10の移動領域12を設定する(ステップS103)。移動領域12の設定方法の例として、追跡対象物10が金属製のマーカの場合には再構成画像上に生じる金属アーチファクトの形状やマーカ軌跡から手動もしくは自動で追跡対象物10が移動した3次元領域を抽出することで設定する。

【0030】
次に、前記移動領域12と拘束条件を用いて追跡対象物の3次元座標を算出する(ステップS104)。ここで、この3次元座標の算出について、図4および図5を用いて説明する。

【0031】
CBCT撮影装置56は、ガントリー5の各回転角度で取得されたCBCT透視X線画像において、図4に示す画像上の追跡対象物投影像11の2次元座標(xobj,yobj)を2次元の画像座標系(x,y)から3次元の治療室座標系(X,Y,Z)に変換する。すなわち、透視用X線平面検出器7の治療室座標系における位置はわかっているため、この位置に基づいて、透視用X線平面検出器7における画像上の追跡対象物投影像11の2次元座標を治療室座標系(X,Y,Z)の3次元座標に変換する。

【0032】
そして、図5で示すように、変換された追跡対象物投影像11の3次元座標(Xobj,Yobj,Zobj)と透視用X線発生装置6の3次元治療室座標系の座標(Xsrc,Ysrc,Zsrc)とで結ばれる直線を算出する。追跡対象物10が前記直線上に存在するためこの直線を追跡対象物存在直線13とする。追跡対象物存在直線13上かつ移動領域12に含まれる拘束条件を定めることで追跡対象物10の治療室座標系での存在領域を限定する。

【0033】
限定された前記存在領域内において追跡対象物10の存在位置を算出する方法の一例として、例えば図5に示すように追跡対象物存在直線13と移動領域12が交わる2点、つまり透視用X線発生装置側交点14(XsrcSide,YsrcSide,ZsrcSide)と透視用X線平面検出器側交点15(XimgSide,YimgSide,ZimgSide)の中点の座標((XsrcSide+XimgSide)/2,(YsrcSide+YimgSide)/2,(ZsrcSide+ZimgSide)/2)を求め、これを追跡対象物10の3次元座標とすることができる。

【0034】
以上、一連の処理を各ガントリー角度で取得されたCBCT透視X線画像に実施することで、CBCT透視X線画像取得時の追跡対象物10の3次元座標を算出する(ステップS104)。

【0035】
次に、ステップS104で取得した各CBCT透視X線画像の追跡対象物10の3次元座標情報から、追跡対象物10を呼吸位相毎に位相分割する(ステップS105)。すなわち、各回転角度で取得されたCBCT透視X線画像のそれぞれについて追跡対象物10の3次元座標が得られているため、撮影中における追跡対象物10の軌跡が得られる。追跡対象物10の軌跡から、呼吸位相が判定でき、各CBCT透視X線画像についての呼吸位相が決定できる。例えば、1回の呼吸の際の追跡対象物10の軌跡は、図6に示すような軌跡を形成するので、各CBCT透視X線画像上の追跡対象物10の位置に応じて位相分割が行える。

【0036】
そして、予め治療計画時点で定めた呼吸位相(例えば、呼気位相)にあるか否かを判定し、呼気位相にある時に撮影されたCBCT透視X線画像だけを選出する。選出した予め定めた呼吸位相にある、CBCT透視X線画像のみを用いて再度、再構成処理を実施する(ステップS106)。このようにして、治療計画時点に定めた呼吸位相(例えば呼気位相)と同じ位相のCBCT画像が作成される。

【0037】
ステップS106で作成した前記CBCT画像は患者位置決め装置57に送信され、患者位置決め装置57は受信した前記CBCT画像と治療計画CT画像を用いて演算処理することにより両画像が一致するための移動量を算出する。このようにして算出された移動量は、中央制御装置51を介してカウチ制御装置58に送信され、カウチ制御装置58はカウチ8を制御して前記移動量だけ動かす(ステップS107)。これによって、治療計画CT画像と一致するCBCT画像が得られる位置に患者(照射対象9)が位置決めされる。

【0038】
このようにして、患者位置決めは終了となる。患者位置決めが終了した後、治療計画に基づく放射線治療が開始される。

【0039】
~効果~
本実施形態により、照射対象9内にある追跡対象物10の治療室座標系での3次元位置がCBCT透視X線撮影中に取得でき、追跡対象物10の3次元位置情報を使用することで、呼吸位相を判定してCBCT透視X線画像を選出することができる。これによって、従来の手法であった腹部の動きや横隔膜の動きから、再構成したときよりも、呼吸位相の選出精度を向上することができる。このため、治療計画CT画像により近く正確なCBCT画像を作成できることから患者位置決め精度向上に貢献することができる。

【0040】
~変形例~
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部をほかの実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、ほかの構成の追加、削除、置換をすることも可能である。

【0041】
例えば、本実施形態では治療用放射線をX線とした例で記載したが、陽子線や炭素線と言った荷電粒子を用いた装置においても同様に適用できる。

【0042】
また、移動領域12の設定方法についても2点間の中点を算出する以外にも治療計画CT画像の情報から手動もしくは自動で移動領域12を設定する方法を用いて算出することも可能である。また、治療計画時に4次元CT画像(4DCT画像)を事前に取得している場合は、図6を用いて説明する方法を用いることで、ステップS103とステップS104での処理の一部を省略して3次元座標を算出することも可能である。なお、4DCT撮影技術は、上述したように、患者の体表の動きや横隔膜の動き監視することで呼吸の位相を判定するものである。

【0043】
図6において、P位相0(吸気)は4DCT画像における位相0(吸気)の時のCT画像上の追跡対象位置を3次元の治療室座標系に置き換えた座標である。座標の置き換えは例えば、CBCT撮影前に患者正面と側面の透視X線画像を取得して追跡対象物の呼気位相の治療室座標系での3次元座標を取得すれば、それに4DCT画像の位相5(呼気)のCT画像の追跡対象物3次元座標を合わせるように変換すればその他の位相のCT画像上の3次元座標も呼気位相に対する相対的な座標として治療室座標系に置き換えられる。

【0044】
次に、追跡対象物の位相間の座標を線分で結ぶことで位相間移動直線17がLphase2-3として作成できる。これは4DCT画像が10位相分ある場合は9本の位相間移動直線17が治療室座標系で作成できることを意味する。9本の位相間移動直線17と(ステップS104)と同様に求めた追跡対象物存在直線13とで交わる点(交点)が存在する場合は、前記交点の治療室座標系での3次元座標を求めるべき3次元座標とすることができる。前記交点が存在しない場合は以下の方法に従い3次元座標を算出する。

【0045】
追跡対象物存在直線13と位相間移動直線17とが垂直に交わる直線CL phase2-3を位相間共通垂線18として作成する。位相間共通垂線18は位相間移動直線17毎に作成されるため9本の位相間移動直線17がある場合は9本の位相間共通垂線18が作成される。次に作成した位相間共通垂線18の長さ(共通垂線長)をそれぞれ求め、最も短い位相間共通垂線18の中点の座標を求めるべき追跡対象物の3次元座標として算出する。
なお、追跡対象物存在直線13上に追跡対象物10が存在することを優先して、最も位相間共通垂線18が短くなる位置における位相間共通垂線18と追跡対象物存在直線13の交点(最も共通垂線が短くなる追跡対象物存在直線上にある点)を追跡対象物10の3次元座標とすることも好適である。

【0046】
以上の方法を用いることで、より正確に治療室座標系での追跡対象物3次元座標を算出することができる。

【0047】
「第2の実施形態」
以下、本発明の第2の実施形態(実施形態2)を図7乃至図10を用いて説明する。実施形態2では実施形態1で示したX線治療装置や陽子線治療装置などの放射線治療装置に、照射対象9内の追跡対象物10の存在位置を3次元で計算できる動体追跡用透視X線撮影制御装置を加えた放射線治療装置を対象とする。前記放射線治療装置において患者位置決め直前に動体追跡用透視X線撮影制御装置を用いて照射対象9を間欠的に撮影することで取得した追跡対象物10の3次元移動情報を用いることでCBCT撮影中に取得した透視画像上の追跡対象物10の3次元位置を算出する。

【0048】
本実施形態でも実施形態1と同様、X線治療装置を例に説明する。まず、動体追跡用透視X線撮影制御装置は図7に示すように図1で示した放射線治療装置1の設置部屋内(治療室内)の床下および天井に動体追跡用X線発生装置60と動体追跡用X線平面検出器61が2対配置された装置であり、前記2対の装置により間欠的に透視X線画像を撮影して取得した画像上から追跡対象物10の3次元位置を算出することで、経時的に追跡対象物10を追跡する。図8は図7の放射線治療装置1の機器構成の配置を把握し易くするために側面から記した図である。図7では図1との記載の重複を避けるため一部記載を省略しているが装置構成としては図1で示す全て構成機器を含むものとする。

【0049】
本実施形態の放射線治療システムに備えられた制御システム50については、実施形態1で説明した図2と同様に説明できるが、変更点として実施形態1では透視X線撮影制御装置54に接続される機器に2対の動体追跡用X線発生装置60a、60b、動体追跡用X線平面検出器61a、61bを追加する。透視X線撮影制御装置54は前記2対の装置を制御することで間欠的に透視X線撮影することで2つの動体追跡用X線平面検出器61それぞれから透視X線画像を取得し、動体追跡装置55は前記2つの透視X線画像を読み込み間欠的に撮影された透視X線画像上の追跡対象物10の2次元座標をそれぞれ求め、ガントリー角度に応じて計算処理することで治療室座標系における追跡対象物10の経時的な3次元座標を算出する。すなわち、この実施形態の動体追跡装置55は2次元動体追跡装置だけでなく、追跡対象物10の3次元追跡を行う3次元動体追跡装置としても動作する。その他の機器構成の制御は実施形態で説明した通りである。

【0050】
~患者位置決めの流れ~
本実施形態における放射線治療装置を用いた患者位置決めの流れについて図9を用いて説明する。まず、カウチ8上に照射対象9を配置する(ステップS200)。

【0051】
続いて、動体追跡装置55は透視X線撮影制御装置を制御することで2対の動体追跡用X線発生装置60a、60b、動体追跡用X線平面検出器61a、61bから間欠的に透視X線画像を十数秒から数十秒程度撮影し、取得した2つの透視X線画像から追跡対象物10の治療室座標系での3次元座標を算出する。得られ前記3次元座標は時間的に繋げた追跡対象物移動軌跡62の情報として動体追跡装置55内に保存する(ステップS201)。

【0052】
次に、CBCT撮影装置56はガントリー制御装置52、透視X線撮影制御装置54を制御することでCBCT透視X線撮影を開始し、様々なガントリー角度で取得したCBCT透視X線画像は透視X線撮影制御装置54から動体追跡装置55、CBCT撮影装置56に転送され、動体追跡装置55は前記CBCT透視X線画像上に投影された追跡対象物10の画像上の座標を算出することで追跡対象物10を2次元追跡する(ステップS202)。

【0053】
次に、CBCT撮影装置56は動体追跡装置55に保存された追跡対象物移動軌跡62の情報を呼び出し、前記追跡対象物移動軌跡62の情報とステップS201で得られた追跡対象物10の2次元情報から追跡対象物の3次元座標を算出する。図10に示すように、追跡対象物移動軌跡62と実施形態1で定義した追跡対象物存在直線13とが交わる点(交点)が存在する場合はその交点を求める追跡対象物10の3次元座標とする。前記交点が存在しない場合は追跡対象物移動軌跡62および追跡対象物存在直線13と垂直に交わる軌跡間共通垂線63を作成し、追跡対象物移動軌跡62内で最も軌跡間共通垂線63が短くなる位置を探索する。最も軌跡間共通垂線63が短くなる位置における軌跡間共通垂線63の中点の3次元座標を求める追跡対象物10の3次元座標とできる(ステップS203)。

【0054】
なお、追跡対象物存在直線13上に追跡対象物10が存在することを優先して、最も軌跡間共通垂線63が短くなる位置における軌跡間共通垂線63と追跡対象物存在直線の交点(最も共通垂線が短くなる追跡対象物存在直線上にある点)を追跡対象物10の3次元座標とすることも好適である。

【0055】
全てのCBCT透視X線撮影が終了したらCBCT撮影装置56は取得した透視X線画像をCBCT撮影装置56内に保存する(ステップS204)。

【0056】
次に、CBCT撮影装置56はステップS203で取得した3次元座標情報から追跡対象物10が予め治療計画時点で定めた呼吸位相にあるか否かを判定し、前記呼吸位相にある時に撮影されたCBCT透視X線画像だけを選出する(ステップS205)。

【0057】
ステップS205で選出されたCBCT透視X線画像のみを用いて再度、再構成処理を実施することで治療計画時点に定めた呼吸位相と同じ位相のCBCT画像を作成する(ステップS206)。ステップS206で作成した前記CBCT画像は患者位置決め装置57に送信され、患者位置決め装置57は受信した前記CBCT画像と治療計画CT画像を用いて演算処理することにより両画像が一致するための移動量を算出する、算出された移動量は、中央制御装置51を介してカウチ制御装置58に送信され、カウチ制御装置58はカウチ8を制御して前記移動量だけ動かす(ステップS207)。以上の流れが終了すると患者位置決めは終了となる。患者位置決めが終了した後、放射線治療が開始される。

【0058】
~効果~
本実施形態によりCBCT撮影直前に得られた追跡対象物10の3次元移動軌跡情報を基に照射対象9内にある追跡対象物10の治療室座標系3次元位置をCBCT透視X線撮影中に取得できる。これにより実施形態1に記載の方法よりもより正確に前記3次元位置情報が算出可能となる。結果として従来の手法であった腹部の動きや横隔膜の動きから呼吸位相を判定してCBCT透視X線画像を選出、再構成したときよりも、呼吸位相の選出精度を向上させることで治療計画CT画像により近く正確なCBCT画像を作成して使用できるため患者位置決め精度向上に貢献することができる。

【0059】
~変形例~
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部をほかの実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、ほかの構成の追加、削除、置換をすることも可能である。

【0060】
例えば、本実施形態では治療用放射線をX線とした例で記載したが、陽子線や炭素線と言った荷電粒子を用いた装置においても同様に適用できる。また、前記2対の動体追跡用X線発生装置60と動体追跡用X線平面検出器61は床下および天井どちらに配置することも可能であり、またガントリー5の回転角度によって動体追跡用透視X線の撮影範囲がガントリー5の構造物と重なる状況が生まれることを避けるために2対以上の装置を床下および天井に配置する、もしくは前記2対の装置の配置が状況に応じて変わるように各装置を装置室内で移動させることも可能である。さらに前記2対の装置をガントリー5に搭載することも可能である。ただしこの場合、CBCTは1対の撮影装置でしか撮影できないものとする。

【0061】
~実験例~
図11に示す胸部動体ファントム70を用い、実験を行った。胸部動体ファントム70は、その一部に頭尾方向(Y方向)の長穴をあけ、ここに腫瘍モデル72および金マーカ74を埋め込んだ挿入ロッド76を移動可能に挿入している。挿入ロッド76はアクチュエータ(図示せず)によってZ方向に往復動可能である。従って、腫瘍モデル72および金マーカ74が胸部動体ファントム70に対し、Y方向に往復動する。そして、このような胸部動体ファントム70とアクチュエータを左右方向(X方向)および腹背(Z方向)に2次元移動することで、腫瘍モデル72および金マーカ74が3次元移動する。

【0062】
このような胸部動体ファントム70を図1に示す放射線治療装置1のカウチ8に設置して、腫瘍モデル72、金マーカ74を三次元移動した。そして、透視用X線発生装置6からのX線を胸部動体ファントム70に照射し、透視用X線平面検出器7で、金マーカ74の2次元位置を検出した。そして、上述の第2の実施形態で説明した手法(軌跡間共通垂線と追跡対象物存在直線の交点を追跡対象物(金マーカ74)の3次元座標とした)で、金マーカ74の3次元位置を特定した。

【0063】
ここで、腫瘍モデル72の直径を10mm、金マーカ74の直径を2mmとした。また、X,Y,Z方向の動きの波形をすべてcosθ、周期4秒、振幅をY:±10mm、X:±5mm、Z:±1.5mmとした。

【0064】
図12には、上記手法で推定した金マーカ74の3次元座標の時間変化を示す。また、図13には、実際の動き情報に基づく金マーカ74の位置の時間変化を示す。そして、図14には、図12の推定値と図13の実際の位置の差を示す。このように、図12に示した本実施形態による金マーカ74の推定位置は、実際の位置との誤差が1mm以内と小さく、本実施形態の手法によって、高精度の位置検出が行えることが分かった。

【0065】
図15には、検出した追跡対象物の位置の経時変化を示してあり、治療放射線の照射が行われるゲート領域を直方体で示してある。検出した位置により、腫瘍がゲート領域に入った時に、治療放射線を照射することで、腫瘍に対し治療放射線を照射することができ、適切な放射線治療を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1:放射線治療装置、2:線形加速器、3:重金属ターゲット、4:コリメータ、5:ガントリー、6:透視用X線発生装置、7:透視用X線平面検出器、8:カウチ、9:照射対象、10:追跡対象物、11:追跡対象物投影像、12:移動領域、13:追跡対象物存在直線、14:透視用X線発生装置側交点、15:透視用X線平面検出器側交点、16:4DCT画像上の追跡対象物座標を治療室座標系に置き換えた点P位相5(呼気)、17:位相間移動直線Lphase2-3、18:位相間共通垂線CLphase2-3、50:制御システム、51:ガントリー制御システム、52:照射制御システム、53:動体追跡装置、54:透視X線撮影制御装置、55:CBCT再構成装置、56:患者位置決め装置、57:カウチ制御装置、60a, 60b:動体追跡用X線発生装置、61a, 61b:動体追跡用X線平面検出器、62:追跡対象物移動軌跡、63:軌跡間共通垂線。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
13
【図15】
14