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明細書 :アンテナ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-036094 (P2020-036094A)
公開日 令和2年3月5日(2020.3.5)
発明の名称または考案の名称 アンテナ装置
国際特許分類 H01Q  13/08        (2006.01)
H01Q   9/40        (2006.01)
H01Q   5/364       (2015.01)
FI H01Q 13/08
H01Q 9/40
H01Q 5/364
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2018-158573 (P2018-158573)
出願日 平成30年8月27日(2018.8.27)
発明者または考案者 【氏名】上田 哲也
【氏名】寺田 周平
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
審査請求 未請求
テーマコード 5J045
Fターム 5J045AA02
5J045AA03
5J045AA05
5J045DA08
5J045EA07
5J045HA03
要約 【課題】無指向性かつ低姿勢であり、複数の周波数で広帯域で動作するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】接地導体2は誘電体基板1の第1の面に形成される。複数のパッチ導体3は誘電体基板1の第2の面に形成され、第1の面積を有する。複数のパッチ導体4は誘電体基板1の第2の面に形成され、第1の面積よりも小さい第2の面積を有する。複数の接続素子7は各パッチ導体3を接地導体2に接続する。複数の接続素子8は各パッチ導体4を接地導体2に接続する。各パッチ導体3及び4は、誘電体基板1の第2の面における基準点Oの周りに交互に、かつ、互いの間にスリットSを有して配置される。各パッチ導体3及び4は基準点Oにおいて互いに接続される。各接続素子7は、基準点Oを中心として第1の半径r1を有する円周の上に設けられる。各接続素子8は、基準点Oを中心として第2の半径r2を有する円周の上に設けられる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに対向する第1及び第2の面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1の面に形成された接地導体と、
前記誘電体基板の第2の面に形成され、第1の面積を有する複数の第1のパッチ導体と、
前記誘電体基板の第2の面に形成され、前記第1の面積よりも小さい第2の面積を有する複数の第2のパッチ導体と、
前記誘電体基板を貫通するように形成され、前記複数の第1のパッチ導体を前記接地導体にそれぞれ接続する複数の第1の接続素子と、
前記誘電体基板を貫通するように形成され、前記複数の第2のパッチ導体を前記接地導体にそれぞれ接続する複数の第2の接続素子とを備え、
前記第1及び第2のパッチ導体は、前記誘電体基板の第2の面における基準点の周りに交互に、かつ、互いの間にスリットを有して配置され、前記第1及び第2のパッチ導体は、前記基準点において互いに接続され、
前記各第1の接続素子は、前記基準点を中心として第1の半径を有する円周の上に設けられ、
前記各第2の接続素子は、前記基準点を中心として、前記第1の半径とは異なる第2の半径を有する円周の上に設けられた、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の接続素子のうちの少なくとも一方は、前記第1又は第2のパッチ導体を前記接地導体に高周波的に接続する、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1の接続素子は、キャパシタを介さずに前記第1又は第2のパッチ導体を前記接地導体に接続するビア導体を備え、
前記第2の接続素子は、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備えた、
請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の接続素子のそれぞれは、互いに直列に接続されたキャパシタ及びインダクタを備えた、
請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2の半径は前記第1の半径よりも小さい、
請求項1~4のうちの1つに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2の半径は前記第1の半径よりも大きい、
請求項1~4のうちの1つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は、
前記誘電体基板の第2の面において、前記第1及び第2のパッチ導体を包囲するように、かつ、前記第1及び第2のパッチ導体のエッジに容量結合するように形成されたループ導体と、
前記ループ導体に設けられた給電点とをさらに備えた、
請求項1~6のうちの1つに記載のアンテナ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、平板構造を有するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無指向性のアンテナ装置としてダイポールアンテナ及びモノポールアンテナなどが知られているが、これらは、接地面に対する垂直方向の寸法が大きい。一方、低姿勢のアンテナ装置としてパッチアンテナが知られているが、これは、接地面に対して垂直な主ビーム方向を有し、無指向性のアンテナ装置としては動作しない。
【0003】
無指向性かつ低姿勢のアンテナ装置として、マッシュルームアンテナが知られている。マッシュルームアンテナは、互いに平行な接地導体及びパッチ導体と、それらを互いに接続するビア導体とを備える。マッシュルームアンテナは、接地導体及びパッチ導体の間の静電容量と、ビア導体のインダクタンスとの並列共振動作により、接地導体に沿った水平面内で無指向性の放射を実現する。
【0004】
従来のマッシュルームアンテナは狭帯域かつ単一周波数で動作する。従って、より広帯域で、かつ複数の周波数で動作するアンテナ装置が求められる。
【0005】
特許文献1及び非特許文献1は、平板状の導体部材である地板と、地板と対向するように所定の間隔をおいて平行に設置された平板状の導体部材であるパッチ部と、パッチ部と地板とを電気的に接続する複数の短絡部と、パッチ部の外縁部と所定の間隔を有するように、地板と平行な平面内に配置されたループ状の導体部材であるループ部と、を備えるアンテナ装置を開示している。給電線と電気的に接続する給電点は、ループ部に設けられる。パッチ部の面積は、所定の対象周波数において短絡部が提供するインダクタンスと並列共振を生じさせる静電容量を形成する面積となっている。このアンテナ装置は、従来のマッシュルームアンテナよりも広帯域で動作することができる。
【0006】
また、特許文献2及び非特許文献2は、平板状の導体部材である地板と、地板と対向するように所定の間隔をおいて平行に設置された平板状の導体部材であるパッチ部と、パッチ部と地板とを電気的に接続するための複数の第1導電素子と、パッチ部と地板とを電気的に接続するための複数の第2導電素子と、を備えるアンテナ装置を開示している。複数の第1導電素子は、パッチ部の中心であるパッチ中心点からの距離が所定の第1距離となる円周上に実質的に等間隔で配置されている。複数の第2導電素子は、パッチ部の中心からの距離が第1距離よりも大きい第2距離となる円周上に実質的に等間隔で配置されている。パッチ部から第2導電素子を通って地板へ流れる電流経路上には所定の静電容量を提供する容量性素子が設けられている。このアンテナ装置は、第1周波数の電波と、第1周波数よりも高い第2周波数の電波のそれぞれを送信又は受信することができる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2017-153032号公報
【特許文献2】特願2017-189879号
【0008】

【非特許文献1】Tetsuya Ueda et al., "Enhancement of Bandwidth for Low-Profile Omnidirectional Zeroth-Order Resonant Antennas", Proceedings of 2016 International Symposium on Antennas and Propagation (ISAP), pp. 18-19, October 2016.
【非特許文献2】Shuhei Terada et al, "Dual-band Mushroom Antenna with Two Concentric Circles Composite Vias", Proceedings of the 2018 IEEE AP-S International Symposium on Antennas and Propagation (APS/URSI2018), pp. 653-654, July 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び非特許文献1のアンテナ装置は、従来のマッシュルームアンテナよりも広帯域で動作することができるが、単一周波数のみで動作する。
【0010】
特許文献2及び非特許文献2のアンテナ装置は、2つの周波数で動作することができるが、いずれの周波数で動作するときも狭い動作帯域を有する。
【0011】
本発明の目的は、無指向性かつ低姿勢のアンテナ装置であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係るアンテナ装置は、
互いに対向する第1及び第2の面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1の面に形成された接地導体と、
前記誘電体基板の第2の面に形成され、第1の面積を有する複数の第1のパッチ導体と、
前記誘電体基板の第2の面に形成され、前記第1の面積よりも小さい第2の面積を有する複数の第2のパッチ導体と、
前記誘電体基板を貫通するように形成され、前記複数の第1のパッチ導体を前記接地導体にそれぞれ接続する複数の第1の接続素子と、
前記誘電体基板を貫通するように形成され、前記複数の第2のパッチ導体を前記接地導体にそれぞれ接続する複数の第2の接続素子とを備え、
前記第1及び第2のパッチ導体は、前記誘電体基板の第2の面における基準点の周りに交互に、かつ、互いの間にスリットを有して配置され、前記第1及び第2のパッチ導体は、前記基準点において互いに接続され、
前記各第1の接続素子は、前記基準点を中心として第1の半径を有する円周の上に設けられ、
前記各第2の接続素子は、前記基準点を中心として、前記第1の半径とは異なる第2の半径を有する円周の上に設けられる。
【0013】
本発明の第2の態様に係るアンテナ装置は、第1の態様に係るアンテナ装置において、
前記第1及び第2の接続素子のうちの少なくとも一方は、前記第1又は第2のパッチ導体を前記接地導体に高周波的に接続する。
【0014】
本発明の第3の態様に係るアンテナ装置は、第1又は2の態様に係るアンテナ装置において、
前記第1の接続素子は、キャパシタを介さずに前記第1又は第2のパッチ導体を前記接地導体に接続するビア導体を備え、
前記第2の接続素子は、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備えた。
【0015】
本発明の第4の態様に係るアンテナ装置は、第1又は2の態様に係るアンテナ装置において、
前記第1及び第2の接続素子のそれぞれは、互いに直列に接続されたキャパシタ及びインダクタを備える。
【0016】
本発明の第5の態様に係るアンテナ装置は、第1~第4のうちの1つの態様に係るアンテナ装置において、
前記第2の半径は前記第1の半径よりも小さい。
【0017】
本発明の第6の態様に係るアンテナ装置は、第1~第4のうちの1つの態様に係るアンテナ装置において、
前記第2の半径は前記第1の半径よりも大きい。
【0018】
本発明の第7の態様に係るアンテナ装置は、第1~第6のうちの1つの態様に係るアンテナ装置において、
前記アンテナ装置は、
前記誘電体基板の第2の面において、前記第1及び第2のパッチ導体を包囲するように、かつ、前記第1及び第2のパッチ導体のエッジに容量結合するように形成されたループ導体と、
前記ループ導体に設けられた給電点とをさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係るアンテナ装置は、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係るアンテナ装置10の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置10の構成を示す平面図である。
【図3】図2のパッチ導体3,4及びループ導体5の構成を示す一部拡大図である。
【図4】図2の接続素子7の構成を示す断面図である。
【図5】図2の接続素子8の構成を示す断面図である。
【図6】比較例に係るアンテナ装置110の構成を示す平面図である。
【図7】図6のA-A’線における断面図を示し、図6のアンテナ装置110が低周波数帯域で動作するときの電流経路を示す図である。
【図8】比較例の第1の変形例に係るアンテナ装置110Aの構成を示す平面図である。
【図9】図6のアンテナ装置110が高周波数帯域で動作するとき、アンテナ装置110に生じる磁界を示す平面図である。
【図10】比較例の第2の変形例に係るアンテナ装置110Bの構成を示す平面図である。
【図11】図1のアンテナ装置10及び図6のアンテナ装置110が低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図12】図1のアンテナ装置10及び図6のアンテナ装置110が高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図13】図1のアンテナ装置10が低周波数帯域で動作するときの指向特性を示すグラフである。
【図14】図1のアンテナ装置10が高周波数帯域で動作するときの指向特性を示すグラフである。
【図15】第2の実施形態に係るアンテナ装置10Aの構成を示す平面図である。
【図16】第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bの構成を示す平面図である。
【図17】第4の実施形態に係るアンテナ装置10Cの構成を示す平面図である。
【図18】図17のアンテナ装置10Cが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図19】図17のアンテナ装置10Cが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図20】第5の実施形態に係るアンテナ装置10Dの構成を示す平面図である。
【図21】図20のアンテナ装置10Dが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図22】図20のアンテナ装置10Dが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図23】第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eの構成を示す平面図である。
【図24】図23のアンテナ装置10Eが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図25】図23のアンテナ装置10Eが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。
【図26】第7の実施形態に係るアンテナ装置10Fの構成を示す平面図である。
【図27】第8の実施形態に係るアンテナ装置10Gの構成を示す平面図である。
【図28】第9の実施形態に係るアンテナ装置10Hの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係るアンテナ装置について説明する。各図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。

【0022】
第1の実施形態.
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置10の構成を示す斜視図である。図2は、図1のアンテナ装置10の構成を示す平面図である。図3は、図2のパッチ導体3,4及びループ導体5の構成を示す一部拡大図である。

【0023】
アンテナ装置10は、誘電体基板1、接地導体2、複数のパッチ導体3、複数のパッチ導体4、ループ導体5、給電線路6、複数の接続素子7、及び複数の接続素子8を備える。

【0024】
誘電体基板1は、互いに対向する下面(図1の-Z側の面)及び上面(図1の+Z側の面)を有する。本明細書では、誘電体基板1の下面を「第1の面」ともいい、誘電体基板1の上面を「第2の面」ともいう。

【0025】
接地導体2は、誘電体基板1の下面に形成される。

【0026】
各パッチ導体3及び4は、誘電体基板1の上面に形成される。各パッチ導体3は第1の面積をそれぞれ有し、各パッチ導体4は、第1の面積よりも小さい第2の面積をそれぞれ有する。各パッチ導体3及び4は、誘電体基板1の上面における基準点Oの周りに交互に、かつ、互いの間にスリットS(図3を参照)を有して配置される。各パッチ導体3及び4は、それらの中心において互いに電気的に接続される。本明細書では、各パッチ導体3を「第1のパッチ導体」ともいい、各パッチ導体4を「第2のパッチ導体」ともいう。第1の実施形態の例では、アンテナ装置10が4つのパッチ導体3及び4つのパッチ導体4を備える場合を示す。また、第1の実施形態の例では、各パッチ導体3及び4が二等辺三角形である場合を示す。

【0027】
ループ導体5は、誘電体基板1の上面において、各パッチ導体3及び4を包囲するように、かつ、各パッチ導体3及び4のエッジに容量結合するように形成される。ループ導体5はストリップ導体として形成される。ループ導体5の一点は、キャパシタCfを介して給電線路6に接続される。給電線路6は、誘電体基板1の上に形成されたストリップ導体と、接地導体2とを備えるマイクロストリップ線路である。従って、キャパシタCfを介して給電線路6に接続されたループ導体5の一点は、アンテナ装置10の給電点として機能する。

【0028】
各接続素子7及び8は、誘電体基板1を貫通するように形成される。各1つのパッチ導体3は、少なくとも1つの接続素子7を介して接地導体2に接続される。各1つのパッチ導体4は、少なくとも1つの接続素子8を介して接地導体2に接続される。本明細書では、各接続素子7を「第1の接続素子」ともいい、各接続素子8を「第2の接続素子」ともいう。各接続素子7は、基準点Oを中心として第1の半径r1を有する円周の上に設けられ、各接続素子8は、基準点Oを中心として、第1の半径r1とは異なる第2の半径r2を有する円周の上に設けられる。第1の実施形態の例では、各接続素子8が設けられた円周の半径r2が、各接続素子7が設けられた円周の半径r1よりも小さい場合を示す。

【0029】
図4は、図2の接続素子7の構成を示す断面図である。図5は、図2の接続素子8の構成を示す断面図である。第1の実施形態の例では、各接続素子7は、キャパシタを介さずにパッチ導体3を接地導体2に接続するビア導体を備え、各接続素子8は、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備える。各接続素子7のビア導体はインダクタンスL1を有する。また、各接続素子8のビア導体はインダクタンスL2を有する。また、図5の例では、接続素子8のビア導体の下端が接地導体2に接続され、接続素子8のビア導体の上端がパッチ導体4に対して所定距離を有するように形成され、これにより、ビア導体とパッチ導体4との間に静電容量C2が形成される。各接続素子8は、インダクタンスL2及び静電容量C2からなる直列LC共振回路を形成する。

【0030】
各接続素子8が静電容量C2を含むことにより、各パッチ導体4は、各接続素子8を介して接地導体2に対して高周波的に接続される。

【0031】
図5のように形成される静電容量C2に代えて、接続素子8のビア導体の上端をパッチ導体4に接続し、接続素子8のビア導体の下端を接地導体2に対して所定距離を有するように形成し、これにより、ビア導体と接地導体2との間に静電容量を形成してもよい。それに代わって、パッチ導体4に接続されたビア導体の下端と、接地導体2に接続されたもう1つのビア導体の上端との間に静電容量を形成してもよい。また、接続素子8のビア導体、パッチ導体4、及び/又は接地導体2の間に形成される静電容量に代えて、チップキャパシタを用いてもよい。

【0032】
図1に示すように、給電線路6はさらに無線通信回路20に接続される。無線通信回路20からアンテナ装置10に無線信号が供給されるとき、無線信号は、給電線路6及びキャパシタCfを介してループ導体5に流れる。次いで、無線信号は、ループ導体5と各パッチ導体3及び4との間の容量結合を介して、ループ導体5から各パッチ導体3及び4に流れる。これにより、アンテナ装置10は無線信号を送信する。受信時も、アンテナ装置10は送信時と同様に動作する。

【0033】
次に、第1の実施形態に係るアンテナ装置10が2つの周波数帯域で動作することについて説明する。

【0034】
マッシュルームアンテナでは、接地導体及びパッチ導体の間の静電容量と、ビア導体のインダクタンスとによって、その静電容量及びインダクタンスに応じた周波数において並列共振を生じる。接地導体とパッチ導体との間に形成される静電容量は、パッチ導体の面積に応じて、また、接地導体及びパッチ導体の距離に応じて決まる。また、ビア導体のインダクタンスは、ビア導体の直径に応じて決まる。従って、例えば、パッチ導体の面積及びビア導体の直径を調整することで、マッシュルームアンテナを所望の周波数帯域で動作させことができる。

【0035】
アンテナ装置10は、相対的に低い周波数帯域である低周波数帯域では、より大きなパッチ導体3(第1のパッチ導体)と、それに接続された接続素子7(第1の接続素子)とを主たる電流経路として動作する。一方、アンテナ装置10は、相対的に高い周波数帯域である高周波数帯域では、より小さなパッチ導体4(第2のパッチ導体)と、それに接続された接続素子8(第2の接続素子)とを主たる電流経路として動作する。

【0036】
まず、低周波数帯域において、各パッチ導体3及び各接続素子7を主たる電流経路としてアンテナ装置10が動作する場合について説明する。各接続素子7に電流が流れるとき、半径r1を有する円周の上に実質的に等間隔で配置されている複数の接続素子7は、半径r1を有する1つの円柱導体として動作する。この円柱導体は、半径r1に応じたインダクタンスを提供する。電流は主として円柱導体の側面に沿って流れ、その内部の領域には電磁界はほとんど進入しない。各パッチ導体3及び4は、スリットSにより、互いに電気的に切り離されている。従って、各パッチ導体3及び各接続素子7を主たる電流経路としてアンテナ装置10が動作する場合、半径r2を有する円周の上に配置された各接続素子8の存在を無視することができる。円柱導体の内部には電磁界が進入しないので、各パッチ導体3の領域全体のうち、半径r1を有する円周よりも外側の領域が、接地導体2との間における静電容量の形成に寄与する。従って、この場合、アンテナ装置10は、半径r1を有する円柱導体のインダクタンスと、半径r1を有する円周よりも外側における各パッチ導体3の領域が接地導体2とともに形成する静電容量との並列共振回路として動作する。

【0037】
次に、高周波数帯域において、各パッチ導体4及び各接続素子8を主たる電流経路としてアンテナ装置10が動作する場合について説明する。各接続素子8に電流が流れるとき、半径r2を有する円周の上に実質的に等間隔で配置されている複数の接続素子8は、半径r2を有する円柱導体として動作する。この円柱導体は、半径r2に応じたインダクタンスを提供する。電流は主として半径r2の円柱導体の側面に沿って流れ、その内側の領域には電磁界はほとんど進入しない。円柱導体の内部には電磁界が進入しないので、各パッチ導体4の領域全体のうち、半径r2を有する円周よりも外側の領域が、接地導体2との間における静電容量の形成に寄与する。さらに、各接続素子8は、静電容量C2及びインダクタンスL2の直列共振回路として動作する。従って、この場合、アンテナ装置10は、半径r2を有する円柱導体のインダクタンスと、静電容量C2及びインダクタンスL2の直列共振回路と、半径r2を有する円周よりも外側における各パッチ導体4の領域が接地導体2とともに形成する静電容量との並列共振回路として動作する。

【0038】
以上説明したように、各パッチ導体4及び各接続素子8を主たる電流経路としてアンテナ装置10が動作する際の共振周波数は、各パッチ導体3及び各接続素子7を主たる電流経路としてアンテナ装置10が動作する際の共振周波数よりも高くなる。また、各共振周波数は、各構成要素のインダクタンス及び/又は静電容量を調整することによって所望値に設定することができる。

【0039】
このように、第1の実施形態に係るアンテナ装置10によれば、低周波数帯域と高周波数帯域とで異なる電流経路が形成される。その結果、1つのアンテナ装置10を用いて、低周波数帯域の電波と高周波数帯域の電波をそれぞれ送受信することができる。

【0040】
次に、第1の実施形態に係るアンテナ装置10が従来よりも広帯域で動作することについて説明する。

【0041】
図6は、比較例に係るアンテナ装置110の構成を示す平面図である。図7は、図6のA-A’線における断面図を示し、図6のアンテナ装置110が低周波数帯域で動作するときの電流経路を示す図である。

【0042】
アンテナ装置110は、誘電体基板101、接地導体102、単一のパッチ導体103、給電線路106、複数の接続素子107、及び複数の接続素子108を備える。誘電体基板101は、互いに対向する下面及び上面を有する。接地導体102は、誘電体基板101の下面に形成される。パッチ導体103は、誘電体基板1の上面に形成される。給電線路106は、キャパシタCfを介してパッチ導体103に接続される。各接続素子107及び108は、誘電体基板101を貫通するように形成される。各接続素子107は、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備え(図5を参照)、各接続素子108は、キャパシタを介さずにパッチ導体103を接地導体102に接続するビア導体を備える(図4を参照)。パッチ導体103は、各接続素子107及び108を介して接地導体2に接続される。各接続素子107は、基準点Oを中心として第1の半径を有する円周の上に設けられ、各接続素子108は、基準点Oを中心として、第1の半径より小さい第2の半径を有する円周の上に設けられる。

【0043】
図7は、図6のアンテナ装置110が低周波数帯域で動作するとき、各接続素子108を主たる電流経路としてアンテナ装置110が動作する場合を示す。図7において、白い矢印が電流経路を示す。この場合、パッチ導体103を介して各接続素子107に逆流電流が流れ、これにより、アンテナ装置110の利得が低下する。

【0044】
図8は、比較例の第1の変形例に係るアンテナ装置110Aの構成を示す平面図である。本願の発明者は、逆流電流に起因する利得の低下を防止するために、図8の構成が有効であることを発見した。アンテナ装置110Aは、図6の単一のパッチ導体103に代えて、中心を通る直線状のスリットにより放射状に分割された複数のパッチ導体103Aを備える。これらのパッチ導体103Aは、接続素子107を介して接地導体102に接続された第1のパッチ導体103Aと、接続素子108を介して接地導体102に接続された第2のパッチ導体103Aとを含み、各第1のパッチ導体103A及び各第2のパッチ導体103Aは、基準点Oの周りに交互に配置される。従って、各1つのパッチ導体103Aは、第1の半径を有する円周の上に設けられた接続素子107と、第2の半径を有する円周の上に設けられた接続素子108とのうちの一方のみに接続されるので、図7に示すような逆流電流は生じない。

【0045】
図9は、図6のアンテナ装置110が高周波数帯域で動作するとき、アンテナ装置110に生じる磁界を示す平面図である。図9において、白い矢印が磁束の流れを示す。磁界の位相差に起因して、パッチ導体103の面に対して垂直方向への放射利得が増大し、それに応じて、パッチ導体103に沿った水平面内での放射利得が低下する。

【0046】
図10は、比較例の第2の変形例に係るアンテナ装置110Bの構成を示す平面図である。本願の発明者は、磁界の位相差に起因する利得の低下を防止するために、図10の構成が有効であることを発見した。アンテナ装置110は、図6の単一のパッチ導体103に代えて、複数のパッチ導体103B及び複数のパッチ導体103Cを備える。各パッチ導体103Bは第1の面積をそれぞれ有し、各パッチ導体103Cは、第1の面積よりも小さい第2の面積をそれぞれ有する。各パッチ導体103B及び103Cは、誘電体基板1の上面における基準点Oの周りに交互に配置される。また、各パッチ導体103Bは、接続素子107を介して接地導体102に接続され、各パッチ導体103Cは、接続素子108を介して接地導体102に接続される。アンテナ装置110Bが高周波数帯域で動作するとき、各パッチ導体103Cは波長に対して最適なサイズを有するので、図9に示すような磁界の位相差を解消することができる。従って、アンテナ装置110Bによれば、パッチ導体103の面に対して垂直方向への放射利得の増大を生じにくくし、それに応じて、パッチ導体103に沿った水平面内での放射利得の低下を生じにくくすることができる。

【0047】
図1のアンテナ装置10は、図8の構成及び図10の構成の組み合わせである。これにより、放射利得の低下を生じにくくすることができる。従って、図1のアンテナ装置10は、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0048】
次に、図11~図14を参照して、第1の実施形態に係るアンテナ装置10のシミュレーション結果について説明する。

【0049】
シミュレーションでは、以下のパラメータを設定した。

【0050】
誘電体基板1の寸法:x1×y1×t=75.3×75.3×1.6mm
誘電体基板1の比誘電率:2.2
誘電正接:tanδ=0.0009
各パッチ導体3の互いに等しい2辺の長さ:A1=24mm
各パッチ導体3の互いに等しい2辺に挟まれた角度:φ1=45度
各パッチ導体4の互いに等しい2辺の長さ:A2=18mm
各パッチ導体4の互いに等しい2辺に挟まれた角度:φ2=45度
各接続素子7が設けられた円周の半径:r1=10.5mm
各接続素子8が設けられた円周の半径:r2=10mm
スリットSの幅:0.5mm
ループ導体5の幅:wh=0.1mm
ループ導体5から各パッチ導体3及び4への距離:wg=0.2mm
接地導体2、各パッチ導体3及び4、ループ導体5の材料:銅
キャパシタCfの容量:0.6又は1.4pF
各接続素子8の静電容量C2:6pF
各接続素子7の半径:r3=0.5mm
各接続素子8の半径:r4=0.5mm

【0051】
図11は、図1のアンテナ装置10及び図6のアンテナ装置110が低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。図12は、図1のアンテナ装置10及び図6のアンテナ装置110が高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。

【0052】
本明細書では、「低周波数帯域」は2.5~3GHzを示し、「高周波数帯域」は4~4.5GHzを示すものとする。

【0053】
図6のアンテナ装置110(比較例)が低周波数帯域で動作するとき、反射損失が-6dB以下になる比帯域幅は1.04%であり、利得が-3dBi以上になる比帯域幅は0.95%であった。一方、図1のアンテナ装置10(実施例)が低周波数帯域で動作するとき、反射損失が-6dB以下になる比帯域幅は3.19%であり、利得が-3dBi以上になる比帯域幅は2.49%であった。

【0054】
図6のアンテナ装置110(比較例)が高周波数帯域で動作するとき、反射損失が-6dB以下になる比帯域幅は1.70%であり、利得が-3dBi以上になる比帯域幅は0%であった。一方、図1のアンテナ装置10(実施例)が高周波数帯域で動作するとき、反射損失が-6dB以下になる比帯域幅は2.36%であり、利得が-3dBi以上になる比帯域幅は0.94%であった。

【0055】
第1の実施形態に係るアンテナ装置10は、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、比較例に係るアンテナ装置110よりも広帯域で動作することがわかる。

【0056】
図13は、図1のアンテナ装置10が低周波数帯域で動作するときの指向特性を示すグラフである。図14は、図1のアンテナ装置10が高周波数帯域で動作するときの指向特性を示すグラフである。第1の実施形態に係るアンテナ装置10は、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、無指向性の放射特性を実現できることがわかる。

【0057】
第1の実施形態の例では、各パッチ導体3,4及び各接続素子7,8を、基準点Oを通る直線に対して線対称に、かつ、基準点Oの周りに回転対称に形成及び配置している。これにより、良好な無指向性の放射特性を実現することができる。

【0058】
以上説明したように、第1の実施形態に係るアンテナ装置10は、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0059】
第2の実施形態.
図15は、第2の実施形態に係るアンテナ装置10Aの構成を示す平面図である。第1の実施形態では、各接続素子8が設けられた円周の半径が、各接続素子7が設けられた円周の半径よりも小さい場合について説明した。一方、第2の実施形態では、各接続素子8が設けられた円周の半径が、各接続素子7が設けられた円周の半径よりも大きい場合を示す。

【0060】
互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備えた各接続素子8が設けられた円周の半径は、キャパシタを介さずにパッチ導体3を接地導体2に接続するビア導体を備えた各接続素子7が設けられた円周の半径に対して、小さくても大きくてもよい。言い換えると、より小さなパッチ導体4(第2のパッチ導体)に接続された接続素子8(第2の接続素子)が設けられた円周の半径は、より大きなパッチ導体3(第1のパッチ導体)に接続された接続素子7(第1の接続素子)が設けられた円周の半径に対して、小さくても大きくてもよい。

【0061】
各接続素子7が設けられた円周の半径は、アンテナ装置10,10Aが低周波数帯域で動作するときの共振周波数に影響する。同様に、各接続素子8が設けられた円周の半径は、アンテナ装置10,10Aが高周波数帯域で動作するときの共振周波数に影響する。前述のように、各パッチ導体3及び4は、スリットSにより、互いに電気的に切り離されている。従って、各パッチ導体4は各パッチ導体3から実質的に独立しているので、各接続素子8が設けられた円周の半径が、各接続素子7が設けられた円周の半径に対して、小さくても大きくても、放射特性への影響は比較的に小さいと考えられる。

【0062】
第2の実施形態に係るアンテナ装置10Aもまた、第1の実施形態と同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0063】
第3の実施形態.
図16は、第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bの構成を示す平面図である。各1つのパッチ導体3は、複数の接続素子7を介して接地導体2に接続されてもよい。アンテナ装置10Bが動作する周波数帯域は、各接続素子7が設けられた円周の半径によって決まり、接続素子7の個数による影響は比較的に小さい。接続素子7の個数を増やすことにより、各パッチ導体3から接地導体2に電流を流れやすくし、整合条件を変化させることができる。

【0064】
第3の実施形態に係るアンテナ装置10Bもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0065】
第4の実施形態.
図17は、第4の実施形態に係るアンテナ装置10Cの構成を示す平面図である。各1つのパッチ導体4は、複数の接続素子8を介して接地導体2に接続されてもよい。アンテナ装置10Cが動作する周波数帯域は、各接続素子8が設けられた円周の半径によって決まり、接続素子8の個数による影響は比較的に小さい。接続素子8の個数を増やすことにより、各パッチ導体4から接地導体2に電流を流れやすくし、整合条件を変化させることができる。

【0066】
図18は、図17のアンテナ装置10Cが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。図19は、図17のアンテナ装置10Cが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。第4の実施形態に係るアンテナ装置10Cは、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、第1の実施形態に係るアンテナ装置10と同様に(図11及び図12を参照)、広帯域で動作することがわかる。

【0067】
第4の実施形態に係るアンテナ装置10Cもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0068】
第5の実施形態.
図20は、第5の実施形態に係るアンテナ装置10Dの構成を示す平面図である。アンテナ装置10Dは、誘電体基板1、接地導体(図示せず)、複数のパッチ導体3D、複数のパッチ導体4D、ループ導体5、給電線路6、複数の接続素子7、及び複数の接続素子8を備える。

【0069】
各パッチ導体3D及び4Dは、誘電体基板1の上面に形成される。各パッチ導体3Dは第1の面積をそれぞれ有し、各パッチ導体4Dは、第1の面積よりも小さい第2の面積をそれぞれ有する。各パッチ導体3D及び4Dは、誘電体基板1の上面における基準点Oの周りに交互に、かつ、互いの間にスリットを有して配置される。各パッチ導体3D及び4Dは、それらの中心において互いに電気的に接続される。本明細書では、各パッチ導体3Dを「第1のパッチ導体」ともいい、各パッチ導体4Dを「第2のパッチ導体」ともいう。第5の実施形態の例では、アンテナ装置10Dが2つのパッチ導体3D及び2つのパッチ導体4Dを備える場合を示す。また、第5の実施形態の例では、各パッチ導体3D及び4Dが二等辺三角形である場合を示す。

【0070】
図21は、図20のアンテナ装置10Dが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。図22は、図20のアンテナ装置10Dが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。第5の実施形態に係るアンテナ装置10Dは、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、無指向性の放射特性を実現できることがわかる。

【0071】
第5の実施形態に係るアンテナ装置10Dもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0072】
ただし、図21及び図22の場合において、図13及び図14の場合と比較すると、第1及び第2のパッチ導体の個数が減少したことにより、指向特性に歪みが生じている。後述するように、第1及び第2のパッチ導体の個数が増えるほど、より良好な無指向性の放射特性を実現することができる。

【0073】
第6の実施形態.
図23は、第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eの構成を示す平面図である。アンテナ装置10Eは、誘電体基板1、接地導体(図示せず)、複数のパッチ導体3E、複数のパッチ導体4E、ループ導体5、給電線路6、複数の接続素子7、及び複数の接続素子8を備える。

【0074】
各パッチ導体3E及び4Eは、誘電体基板1の上面に形成される。各パッチ導体3Eは第1の面積をそれぞれ有し、各パッチ導体4Eは、第1の面積よりも小さい第2の面積をそれぞれ有する。各パッチ導体3E及び4Eは、誘電体基板1の上面における基準点Oの周りに交互に、かつ、互いの間にスリットを有して配置される。各パッチ導体3E及び4Eは、それらの中心において互いに電気的に接続される。本明細書では、各パッチ導体3Eを「第1のパッチ導体」ともいい、各パッチ導体4Eを「第2のパッチ導体」ともいう。第6の実施形態の例では、アンテナ装置10Eが3つのパッチ導体3E及び3つのパッチ導体4Eを備える場合を示す。また、第6の実施形態の例では、各パッチ導体3E及び4Eが二等辺三角形である場合を示す。

【0075】
図24は、図23のアンテナ装置10Eが低周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。図25は、図23のアンテナ装置10Eが高周波数帯域で動作するときの反射損失及び利得の周波数特性を示すグラフである。第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eは、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、無指向性の放射特性を実現できることがわかる。図24及び図25の場合において、各パラメータを調整することにより図13及び図14の場合と同等の性能を得られると推測される。また、図24及び図25の場合において、図21及び図22の場合と比較すると、第1及び第2のパッチ導体の個数が増大したことにより、より良好な無指向性の放射特性を実現できることがわかる。

【0076】
第6の実施形態に係るアンテナ装置10Eもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0077】
第7の実施形態.
図26は、第7の実施形態に係るアンテナ装置10Fの構成を示す平面図である。アンテナ装置10Fは、図1の各接続素子7に代えて、複数の接続素子7Fを備える。

【0078】
各接続素子7Fは、図5の接続素子8と同様に、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を備える。各接続素子7Fが静電容量を含むことにより、各パッチ導体3は、各接続素子7Fを介して接地導体2に対して高周波的に接続される。図26に示すように、各パッチ導体3及び4の両方が、互いに直列に接続されたキャパシタ及びビア導体を含む接続素子7F及び8を介して、接地導体2に対して接続されてもよい。

【0079】
第7の実施形態に係るアンテナ装置10Fもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0080】
第8の実施形態.
図27は、第8の実施形態に係るアンテナ装置10Gの構成を示す平面図である。第7の実施形態では、各接続素子8が設けられた円周の半径が、各接続素子7Fが設けられた円周の半径よりも小さい場合について説明した。一方、第8の実施形態では、各接続素子8が設けられた円周の半径が、各接続素子7Fが設けられた円周の半径よりも大きい場合を示す。

【0081】
より小さなパッチ導体4(第2のパッチ導体)に接続された接続素子8(第2の接続素子)が設けられた円周の半径は、より大きなパッチ導体3(第1のパッチ導体)に接続された接続素子7F(第1の接続素子)が設けられた円周の半径に対して、小さくても大きくてもよい。

【0082】
第8の実施形態に係るアンテナ装置10Gもまた、第1の実施形態などと同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0083】
第9の実施形態.
図28は、第9の実施形態に係るアンテナ装置10Hの構成を示す平面図である。アンテナ装置10Hは、図1の各パッチ導体3及び4に代えて、複数のパッチ導体3H及び複数のパッチ導体4Hを備える。第9の実施形態の例では、各パッチ導体3H及び4Hが扇形である場合を示す。

【0084】
第9の実施形態に係るアンテナ装置10Hもまた、第1の実施形態と同様に、無指向性かつ低姿勢であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができる。

【0085】
他の変形例.
本発明の実施形態に係るアンテナ装置は、5つ以上の第1のパッチ導体及び5つ以上の第2のパッチ導体を備えてもよい。それに応じて、本発明の実施形態に係るアンテナ装置は、5つ以上の第1の接続素子及び5つ以上の第2の接続素子を備えてもよい。パッチ導体の個数が増えるほど、より良好な無指向性の放射特性を実現することができる。

【0086】
各第1及び第2のパッチ導体は、二等辺三角形、扇形の他の形状を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、無指向性かつ低姿勢のアンテナ装置であって、複数の周波数で、かつ、従来よりも広帯域で動作することができるアンテナ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…誘電体基板、
2…接地導体、
3,4、3D,4D,3E,4E,3H,4H…パッチ導体、
5…ループ導体、
6…給電線路、
7,8,7F…接続素子、
10,10A~10H…アンテナ装置、
20…無線通信回路、
Cf…キャパシタ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27