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Specification :(In Japanese)眼科用手術支援装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4953282
Publication number P2007-307122A
Date of registration Mar 23, 2012
Date of issue Jun 13, 2012
Date of publication of application Nov 29, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)眼科用手術支援装置
IPC (International Patent Classification) A61F   9/007       (2006.01)
A61B  19/00        (2006.01)
FI (File Index) A61F 9/00 570
A61B 19/00 502
Number of claims or invention 4
Total pages 18
Application Number P2006-138919
Date of filing May 18, 2006
Date of request for substantive examination Apr 22, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大澤 孝治
【氏名】板谷 正紀
Examiner (In Japanese)【審査官】小原 深美子
Document or reference (In Japanese)国際公開第2005/009215(WO,A2)
特許第3181608(JP,B2)
特許第2642047(JP,B2)
米国特許第06684129(US,B1)
特開平09-276289(JP,A)
特開2000-350735(JP,A)
特開2006-026229(JP,A)
国際公開第03/022336(WO,A1)
Field of search A61F 9/007
A61B 19/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
眼球内の微細部分に手術器具の先端を位置決めし、術者が手術器具を操作するための支援を行う眼科用手術支援装置において、
手術器具が持つ長手軸の軸方向に手術器具を移動可能に保持する軸方向保持ユニットと、手術器具が前記長手軸の軸上の所定点Oを中心として2次元的に傾斜可能に前記軸方向保持ユニットを保持する傾斜ユニットとを備え、該傾斜ユニットは、
術者が傾斜操作する手術器具の先端を粗く位置決めするために前記所定点Oを中心として傾斜可能にされた粗動傾斜機構部と、
前記粗動傾斜機構部の傾斜を固定する粗動固定手段と、
前記粗動傾斜機構部と共に傾斜可能にされ、前記軸方向保持ユニットが取り付けられた微動傾斜機構部であって、前記粗動傾斜機構部の傾斜より狭い範囲の傾斜に制限する制限機構が設けられ、前記粗動傾斜機構部の傾斜が固定されると前記制限機構で制限された狭い範囲の傾斜に切換えられる微動傾斜機構部と、
前記制限機構による制限範囲で術者が手術器具を傾斜させるときの傾斜操作を前記粗動傾斜機構部での手術器具の傾斜操作よりも前記微動傾斜機構部での手術器具の傾斜操作の方が重い作動とするための抵抗を付与する抵抗付与手段とを有することを特徴とする眼科用手術支援装置。
【請求項2】
眼球内の微細部分に手術器具の先端を位置決めし、術者が手術器具を操作するための支援を行う眼科用手術支援装置において、
手術器具が持つ長手軸の軸方向に手術器具を移動可能に保持する軸方向保持ユニットと、
手術器具が前記長手軸の軸上の所定点Oを中心として2次元的に傾斜可能に前記軸方向保持ユニットを保持する傾斜ユニットであって,前記所定点Oを通る第1軸の軸回りに前記軸方向保持ユニットを傾斜可能に保持する第1傾斜ユニットと,前記所定点Oで前記第1軸と交差する第2軸の軸回りに前記第1傾斜ユニットを傾斜可能に保持する第2傾斜ユニットと,を有する傾斜ユニットを備え、
前記第1傾斜ユニット及び第2傾斜ユニットは、それぞれ、前記所定点Oを中心にして前記手術器具の傾斜可能な範囲が大きな粗動回転部と、該粗動回転部の回転を固定する粗動固定手段と、前記粗動回転部と独立した微動回転部であって、前記粗動回転部が固定されたときに前記手術器具の傾斜可能な範囲が前記粗動回転部の回転可能な角度より狭い角度に制限された微動回転部と、該微動回転部の回転を前記粗動回転部の固定と独立して固定する微動固定手段と、術者が手術器具を傾斜させるときの前記粗動回転部の回転に対して前記微動回転部の回転を重い作動とするための抵抗を付与する抵抗付与手段と、を有することを特徴とする眼科用手術支援装置。
【請求項3】
請求項2の眼科用手術支援装置において、手術器具を長手軸の軸回りに回転可能に保持する軸回転保持手段と、前記軸方向保持ユニットによる手術器具の軸方向の移動を固定する軸方向移動固定手段と、前記軸回転保持手段による手術器具の軸回りの回転を固定する軸回り固定手段と、前記粗動固定手段,微動固定手段,軸方向移動固定手段及び軸回り固定手段の各固定手段を動作させるために信号をそれぞれ入力する固定信号入力手段と、前記信号入力に基づいて前記各固定手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記各固定手段はポンプから送出される空気圧を使用したブレーキ機構を有することを特徴とする眼科用手術支援装置。
【請求項4】
請求項3の眼科用手術支援装置において、前記信号入力手段は複数のスイッチが配置されたフットスイッチを備え、手術室に置かれた他の眼科手術装置用のフットスイッチと兼用する構成としたことを特徴とする眼科用手術支援装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、眼底等の微細部分に手術器具の先端を位置決めし、術者が手術器具を操作するための支援を行う眼科用手術支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科の手術として、眼底網膜にある直径0.1~0.2mmの眼底血管の血栓部に手術器具であるカニューレの先端を位置決めして穿刺したり、鉗子、剪刀、鑷子等の手術器具の先端を眼底網膜の微細な患部に位置決めして処置する手術がある。通常、術者は、眼球の強膜に開けられた創孔から手術器具の先端を挿入し、患部を顕微鏡等により観察しながら手術器具の先端を患部に位置決めして処置を行う。カニューレを眼内の患部に位置決めする支援装置として、下記の公報にて提案されたものがある。

【特許文献1】特表2005-501666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、眼底等の微細な患部に手術器具の先端を位置決めする操作に際しては、正確な操作と容易な操作が望まれる。特に、強膜に開けられた創孔を通して眼内に手術器具を挿入し、その孔位置を中心に器具を操作することが望ましいが、上記特許文献1の装置に従った操作で眼内に挿入した手術器具の先端を眼底の微細部分に位置決めするためには、多間接アームの角度を同時に調整する操作や制御が必要となり、手首と指での微細な操作が容易でない。また、従来の支援装置では、手術器具の先端の向きや位置を素早く移動させることが困難であり、固定した際のリンク間の遊びや剛性不足の蓄積による精度の低下が考えられる。
【0004】
本発明は、手術器具の操作を容易に行え、また、患部に対する手術器具先端の精度の高い位置決めを容易に行える眼科用手術支援装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) 眼球内の微細部分に手術器具の先端を位置決めし、術者が手術器具を操作するための支援を行う眼科用手術支援装置において、
手術器具が持つ長手軸の軸方向に手術器具を移動可能に保持する軸方向保持ユニットと、手術器具が前記長手軸の軸上の所定点Oを中心として2次元的に傾斜可能に前記軸方向保持ユニットを保持する傾斜ユニットとを備え、該傾斜ユニットは、
術者が傾斜操作する手術器具の先端を粗く位置決めするために前記所定点Oを中心として傾斜可能にされた粗動傾斜機構部と、
前記粗動傾斜機構部の傾斜を固定する粗動固定手段と、
前記粗動傾斜機構部と共に傾斜可能にされ、前記軸方向保持ユニットが取り付けられた微動傾斜機構部であって、前記粗動傾斜機構部の傾斜より狭い範囲の傾斜に制限する制限機構が設けられ、前記粗動傾斜機構部の傾斜が固定されると前記制限機構で制限された狭い範囲の傾斜に切換えられる微動傾斜機構部と、
前記制限機構による制限範囲で術者が手術器具を傾斜させるときの傾斜操作を前記粗動傾斜機構部での手術器具の傾斜操作よりも前記微動傾斜機構部での手術器具の傾斜操作の方が重い作動とするための抵抗を付与する抵抗付与手段とを有することを特徴とする。
(2) 眼球内の微細部分に手術器具の先端を位置決めし、術者が手術器具を操作するための支援を行う眼科用手術支援装置において、
手術器具が持つ長手軸の軸方向に手術器具を移動可能に保持する軸方向保持ユニットと、手術器具が前記長手軸の軸上の所定点Oを中心として2次元的に傾斜可能に前記軸方向保持ユニットを保持する傾斜ユニットであって,前記所定点Oを通る第1軸の軸回りに前記軸方向保持ユニットを傾斜可能に保持する第1傾斜ユニットと,前記所定点Oで前記第1軸と交差する第2軸の軸回りに前記第1傾斜ユニットを傾斜可能に保持する第2傾斜ユニットと,を有する傾斜ユニットを備え、前記第1傾斜ユニット及び第2傾斜ユニットは、それぞれ、前記所定点Oを中心にして前記手術器具の傾斜可能な範囲が大きな粗動回転部と、該粗動回転部の回転を固定する粗動固定手段と、前記粗動回転部と独立した微動回転部であって、前記粗動回転部が固定されたときに前記手術器具の傾斜可能な範囲が前記粗動回転部の回転可能な角度より狭い角度に制限された微動回転部と、該微動回転部の回転を前記粗動回転部の固定と独立して固定する微動固定手段と、術者が手術器具を傾斜させるときの前記粗動回転部の回転に対して前記微動回転部の回転を重い作動とするための抵抗を付与する抵抗付与手段と、を有することを特徴とする。
(3) (2)の眼科用手術支援装置において、手術器具を長手軸の軸回りに回転可能に保持する軸回転保持手段と、前記軸方向保持ユニットによる手術器具の軸方向の移動を固定する軸方向移動固定手段と、前記軸回転保持手段による手術器具の軸回りの回転を固定する軸回り固定手段と、前記粗動固定手段,微動固定手段,軸方向移動固定手段及び軸回り固定手段の各固定手段を動作させるために信号をそれぞれ入力する固定信号入力手段と、前記信号入力に基づいて前記各固定手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記各固定手段はポンプから送出される空気圧を使用したブレーキ機構を有することを特徴とする。
(4) (3)の眼科用手術支援装置において、前記信号入力手段は複数のスイッチが配置されたフットスイッチを備え、手術室に置かれた他の眼科手術装置用のフットスイッチと兼用する構成としたことを特徴とする。


【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手術器具の操作を容易に行え、また、患部に対する手術器具先端の精度の高い位置決めを容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る眼科用手術支援装置全体の概略構成図である。手術支援装置1は、手術器具10を初めに眼外にて位置決めするための眼外移動ユニット100と、手術器具10を眼内にて操作する際に補助するための眼内位置決めユニット200と、を備える。
【0009】
眼外移動ユニット100は、眼内位置決めユニット200をx軸方向(図1において左右方向)、y軸方向及(図1において、紙面に直交する方向)びz軸方向(図1において上下方向)に移動して位置を保持する機構を有する。本実施形態の眼外移動ユニット100は、眼内位置決めユニット200を精密に微調整するためのxyz微調整ユニット110と、眼内位置決めユニット200を粗く調整するためのxyz粗調整ユニット150と、を備える。
【0010】
xyz微調整ユニット110は、ベース112と、ベース112に対してx軸方向に移動可能なx軸移動ベース114と、x軸移動ベース114の位置を調整するためのx軸マイクロメータと、x軸移動ベース114に対してy軸方向に移動可能なy軸移動ベース120と、y軸移動ベース120をy軸方向に移動させるためのy軸マイクロメータ122と、y軸移動ベース120に対してz軸方向に移動可能なアームであって、眼内位置決めユニット200を支持するアーム124と、アーム124をz軸方向に移動させるz軸マイクロメータ126とにより概略構成される。
【0011】
xyz粗調整ユニット150は、xyz微調整ユニット110を搭載したアーム152と、アーム152をx,y及びzの各方向に移動させる移動ユニット154を備える。移動ユニット154は、各方向のスライド機構やモータ等の周知の機構で構成できる。モータ駆動機構で構成する場合は、ジョイスティックにより移動指示信号を入力することで移動可能とし、モータを停止することによりxyz微調整ユニット110を一定位置で保持可能となる。また、手動で駆動する場合は、ブレーキ機構を設けることにより、xyz微調整ユニット110を一定位置で保持することができる。
【0012】
眼内位置決めユニット200の位置決めに際しては、粗調整ユニット150により眼内位置決めユニット200を素早く移動させた後、微調整ユニット110により眼内位置決めユニット200を微調整して位置決めすることができる。なお、粗調整ユニット150を構成するモータの駆動速度を可変とすることにより微調整ユニット110と粗調整ユニット150を一体的に構成することも可能である。
【0013】
図2は、眼内位置決めユニット200の構成を説明する図である。眼内位置決めユニット200は、手術器具10を保持する手術器具保持ユニット300と、保持ユニット300に保持された手術器具10を2次元的に傾斜するためのX傾斜ユニット400及びY傾斜ユニット500と、手術器具10が持つ軸の軸方向に移動可能に保持ユニット300が取り付けられるZ移動ユニット600とを備える。手術器具10の長手方向の軸をZ軸とする。図2において、手術器具10のZ軸が鉛直方向にあるときをZ0軸とし、また、Z軸上でZ移動ユニット600から所定距離だけ下に位置する所定点を傾斜中心点(動作点)Oとし、傾斜中心点Oを基準にZ0軸に直交する平面上で直交する2つの軸をX0軸及びY0軸とする。X傾斜ユニット400及びY傾斜ユニット500は、手術器具10が傾斜中心点Oを中心に2次元的に傾斜可能にZ移動ユニット600を保持する傾斜ユニットを構成する。
【0014】
図3は、図2における眼内位置決めユニット200を、X0軸及びZ0軸を含むX0-Z0平面に直交する方向(Y0軸方向)から見たときの図である。X傾斜ユニット400は、傾斜中心点Oを通るX傾斜軸XTの軸回りにY傾斜ユニット500を回転(傾斜)可能に保持する。X傾斜軸XTは、X0-Z0平面上に位置し、中心点Oを基準にX0軸から30度(Z0軸から60度)傾斜した位置関係に配置されている。Y傾斜ユニット500は、X傾斜軸XTの軸回りに回転されるアーム402に取り付けられている。
【0015】
図4は、図2における眼内位置決めユニット200を、Y0軸及びZ0軸を含むY0-Z0平面に直交する方向(X0軸方向)から見たときの図である。Y傾斜ユニット500は、傾斜中心点Oを通るY傾斜軸YTの軸回りに手術器具保持ユニット300を回転(傾斜)可能に保持する。Y傾斜軸YTは、Y0-Z0平面上に位置し、手術器具10のZ軸を鉛直方向(Z0軸方向)に位置させたときに、中心点Oを基準にY0軸から30度(Z0軸から60度)傾斜した位置関係に配置されている。Z移動ユニット600は、Y傾斜軸YTの軸回りに回転されるブロック602に取り付けられている。
【0016】
X傾斜ユニット400の回転機構を、図5に基づいて説明する。図5は、X傾斜ユニット400をX0-Z0平面で切断したときの断面図である。
【0017】
X微動軸404は、X傾斜軸XTに同軸で、ベアリング405及び406を介してハウジング408に回転可能に保持されている。X微動軸404の内部はX傾斜軸XTを中止にして中空に形成されている。X微動軸404の前部端(中心点O側)にアーム402が固定されている。ハウジング408とX微動軸404との間にはフリクションジョイント410が取り付けられている。フリクションジョイント410は、図示を略すプレッシャースクリューの締め込み/緩めにより、ハウジング408に対してX微動軸404を固定/開放する。X微動軸404の固定は、フリクションジョイント410による強い摩擦力の発生により行われる。プレッシャースクリューの締込み/緩めは、ハウジング408の外に取り付けられた空圧式駆動式のロータリーアクチュエーター412(図2参照)により行われる。ロータリーアクチュエーター412には、図1に示す圧縮空気供給ポンプ50からチューブを介して圧縮空気が供給される。圧縮空気の供給及び減圧は、電磁弁53(図1参照)の空圧制御により行われる。X微動軸404を固定するための手段は、フリクションジョイント410に限らず、摩擦等を利用した他の手段であっても良い。
【0018】
また、X微動軸404の後方には、中空のX粗動軸420が、2つのベアリング421を介してハウジング424に回転可能に、且つX傾斜軸XTに同軸で保持されている。X微動軸404とX粗動軸420とは、独立した構成とされている。X粗動軸420の回転可能な範囲(手術器具10の傾斜可能な範囲)は、比較的大きく、手術器具10が垂直状態から55度(図4上における右側への傾斜角度)以上傾斜可能であることが好ましい。さらには、手術器具10が垂直状態から左右両側へ±60度以上傾斜可能であることが好ましい。
【0019】
X粗動軸420は、キー426を介して電磁クラッチ428のローター430と固定されている。電磁クラッチ428が持つアマーチャ432は、通常状態ではローター430を押し付けており、通電による電磁力でローター430から引き離される。これにより、X粗動軸420はローター430の押し付けによる固定状態(ブレーキ状態)から開放状態とされる。電磁クラッチ428は制御ユニット20に接続されている(図1参照)。図1において、操作パネル30のスイッチ又はフットスイッチ40よりX粗動軸420のブレーキ操作の信号が入力されることにより、制御ユニット20が電磁クラッチ428を作動させる。
【0020】
X微動軸404の後端側(X粗動軸420が位置する側)にフランジ414が取り付けられている。また、X粗動軸420の先端側(X微動軸404が位置する側)にもフランジ440が取り付けられている。フランジ414には穴416が形成されており、フランジ440には穴416に係合するボス442が取り付けられている。穴416の径はボス442の径より大きく、穴416とボス442との隙間には、X微動軸404の回転(手術器具10の傾斜)を重い作動とするために抵抗を付与する手段として、シリコン樹脂等の粘弾性部材443が挿入されている。穴416とボス442は、手術器具10のX傾斜軸XTの軸回りの回転可能な角度をX粗動軸420の回転角度よりも狭い角度に制限し、手術器具10の傾斜可能な範囲を粗動範囲と微動範囲の少なくとも2段階に切換えるために使用される。X粗動軸420が固定された状態でX微動軸404がX傾斜軸XTの軸回りに回転されると、フランジ414も回転され、ボス442と穴416との隙間に配置された粘弾性部材443が変形される。フランジ414は粘弾性部材443の変形可能な範囲まで移動できる。したがって、電磁クラッチ428でX粗動軸420が固定されると、X微動軸404はボス442と穴416の隙間に配置された粘弾性部材443の変形可能な範囲までしか回転できなくなる。加えて、外力に対する反応(術者が手術器具10を傾斜させる操作)も、粘弾性部材443が持つ弾性力の抵抗により、X粗動軸420が固定されていない場合に比べて重い作動となる。このため、X微動軸404及びY傾斜ユニット500と共にX傾斜軸XTの軸回りに傾斜される手術器具10の先端の微妙な位置合わせが容易となる。所望の位置(角度)で、X粗動軸420の固定と独立したX微動軸ブレーキであるフリクションジョイント410によりX微動軸404を固定すると、手術器具10のX傾斜軸XTの軸回りの傾斜は完全に固定される。
【0021】
なお、X微動軸404の可動範囲は、手術器具10の先端の微小な移動を可能にする範囲として、X粗動軸420の固定時を基準にして、±5度の範囲内とすることが好ましい。例えば、中心点Oから手術器具10の先端が25mmの距離にあるときに(眼内に挿入した手術器具10の先端を眼底に位置合わせするとき)、手術器具10の先端が±1.0mmの範囲で振れるようにするためには、X微動軸404を約±2.3度の範囲で回転可能に制限する。さらに好ましくは、手術器具10の先端が±0.5mmの範囲で振れるように、約±1.15度の範囲で回転可能に制限する。
【0022】
また、X微動軸404の回転(すなわち、手術器具10の傾斜)を重い作動とするために抵抗を付与する手段としては、粘弾性部材443を使用する代わりに、フランジ440側にロータリーダンパとしてのピニオン軸を設け、これと噛み合うダンパーガイドとしての平歯車をフランジ414側に設けた構成とすることもできる。あるいは、ポンプ50から空気圧を使用して抵抗を掛ける構成とすることもできる。
【0023】
図6,図7及び図8はX傾斜ユニット400が持つX傾斜軸XTの軸回りのバランス機構450を説明する図であり、図6は図3のA方向から見た図を示し、図7は図6のB方向から見た図を示し、図8は図6のC方向から見た図を示す。
【0024】
アーム452はX微動軸404のフランジ414に取り付けられている。アーム452は、図2及び図3に示すアーム402に固定されるY傾斜ユニット500と同じ角度方向に延びている。アーム452は、X微動軸404と共に一体となって回転される。図8に図示したカムフォロワ454が固定されたブロック456は、半径方向の距離が調整可能に、アーム452に形成された長穴453(図7参照)にネジで固定されている。ハウジング408に固定されたベース458上には2本の直動ガイド460が固定されている。移動ブロック462は、直動ガイド460に沿って移動し、Y傾斜ユニット500の重力によるモーメント荷重をカムフォロワ454から常時受ける。また、ベース458上には2つの定荷重バネ464が固定されている。定荷重バネ464の先は移動ブロック462を引張っており、定荷重バネ464は移動ブロック462に掛かるモーメント荷重を打ち消すようになっている。なお、ブロック456をアーム452に固定するための長穴453の位置を調整して荷重のバランスを取る。
【0025】
なお、図5において、X微動軸404の中空部及びX粗動軸420の中空部には、傾斜中心点Oを患者眼の創孔に位置合わせするための位置合わせ手段としてのシャフト480が挿入される。シャフト480の先端は先細りである。シャフト480の後方にストッパ481が固定されており、シャフト480の先端が傾斜中心点Oと一致するように、ストッパ481によりシャフト480の先端までの長さが予め調整されている。また、位置決めが完了した後に、シャフト480を後退させ、アーム402の穴にて保持させるための弾性部材からなるOリング482がシャフト480の先端付近に取り付けられている。
【0026】
図9は、Y傾斜ユニット500の回転機構を説明する図であり、Y傾斜ユニット500を図2のY0-Z0平面で切断したときの断面図である。Y微動軸502は、2つのベアリング504でY傾斜軸YTの軸回りに回転可能にハウジング506に保持されている。Y微動軸502の中央付近にはY微動ブレーキディスク508が固定されている。Y微動ブレーキディスク508を2つのパッド510a及び510bで両面から押さえることにより、Y微動軸502の回転が拘束される。2つのパッド510a及び510bは、それぞれゴム製のダイヤフラム512a及び512bによりY微動ブレーキディスク508を押し付ける方向に移動可能とされている。圧縮空気供給ポンプ50からチューブを介して圧縮空気が供給されると、ダイヤフラム512a及び512bが押し出される。圧縮空気供給ポンプ50から供給される圧縮空気を大気開放又は減圧すると、ゴム製のダイヤフラム512a及び512bの復元力によりパッド510a及び510bは引き戻される。圧縮空気供給及び減圧(大気開放)は、圧縮空気供給ポンプ50の正圧を電磁弁51で制御して行われる。電位弁51は操作パネル30又はフットスイッチ40のスイッチ信号に応答して行われる。
【0027】
また、Y微動軸502の後端側(図9上の右側)には、2つのベアリング516を介してY粗動回転部材513がY微動軸502と同軸に回転可能に設けられている。Y微動軸502とY粗動回転部材513とは、独立した構成とされている。Y粗動の回転可能な範囲(手術器具10の傾斜可能な範囲)は、手術器具10が垂直状態から±45度以上傾斜可能であることが好ましい。さらには、手術器具10が垂直状態から±60度以上傾斜可能であることが好ましい。Y粗動回転部材513には、Y微動ブレーキディスク508とは独立したY粗動ブレーキディスク514が固定されている。また、Y粗動ブレーキディスク514を両側から挟むように固定パッド518a及び移動パッド518bが配置されている。固定パッド518aは、調整ネジ520によりY粗動ブレーキディスク514が回転した際に接しない程の僅かな隙間を確保するように調整されている。また、移動パッド518bはダイヤフラム522によりブレーキディスク514を押し付ける方向に移動可能に配置されている。圧縮空気供給ポンプ50からチューブを介して圧縮空気が供給されると、ダイヤフラム522は移動パッド518bを押し出す。移動パッド518bが押し出されると、ブレーキディスク514は固定パッド518aの方向に弾性変形し、固定パッド518aと移動パッド518bとにより挟まれて拘束される。圧縮空気供給ポンプ50の正圧を電磁弁52の開閉制御により大気開放又は減圧すると、移動パッド518bはゴム製のダイヤフラム522の復元力(又は負圧制御)により引き戻され、Y粗動ブレーキディスク514が開放される。このY粗動回転部材513のブレーキ操作は、操作パネル30又はフットスイッチ40のスイッチの操作信号に応答して行われる。
【0028】
また、Y微動軸502の回転角を制限する機構及びY微動軸502の回転動作を重くするために抵抗を付与する機構がY傾斜ユニット500に設けられている。その構造は、X傾斜ユニット400と基本的に同様である。すなわち、Y微動軸502にはフランジ530が固定され、Y粗動回転部材513の先端側にはフランジ540が固定されている。フランジ530には穴532が形成されており、フランジ540には穴532に係合するボス542が取り付けられている。穴532とボス542は、手術器具10のY傾斜軸YTの軸回りの回転可能な角度をY粗動回転部材513の回転角度よりも狭い角度に制限し、手術器具10の傾斜可能な範囲を粗動範囲と微動範囲の少なくとも2段階に切換えるために使用される。穴532の径はボス542の径より大きく、穴532とボス542との隙間には、Y微動軸502の回転(手術器具10の傾斜)を重い作動とするために抵抗を付与する手段として、シリコン樹脂等の粘弾性部材534が挿入されている。したがって、ブレーキディスク514等によりY粗動回転部材513が固定されると、Y微動軸502はボス542と穴532の隙間にある粘弾性部材534の変形可能な範囲でしか回転できなくなり、外力に対する反応も粘弾性部材534により重い作動となる(抵抗が掛けられる)。このため、Y微動軸502のみを動かすときには正確な位置合わせが容易に可能となる。Y微動軸502の可動範囲は、X微動軸404の可動範囲と同じように設定されている。すなわち、Y微動軸502の可動範囲は、Y粗動回転部材513の固定時を基準にして、±5度の範囲内とすることが好ましい。Y微動軸502をブレーキ操作すると、Y傾斜軸YTの軸回りに回転可能な手術器具10(保持ユニット300)の回転(傾斜)が完全に固定されて位置決めされる。
【0029】
なお、Y微動軸502とZ移動ユニット600との間には、手術器具10がY傾斜軸YTの軸回りに傾いた際に働く重力モーメントを軽減するバネ等から構成されるバランス機構が設けられている。このバランス機構は、X傾斜ユニット400のバランス機構450と同様な機構で可能である。
【0030】
図10はZ移動ユニット600の構成を説明する図である。図10(a)はZ移動ユニット600を側面から見たときの図であり、図10(b)は図10(a)をD方向から見た図であり、図10(c)は図10(a)をE方向から見た図であり、図10(d)は図10(b)のF-F断面図である。
【0031】
ブロック602はY微動軸502に取り付けられる。ブロック602にZ軸方向に延びる固定ベース604が固定されている。固定ベース604には直動軸受け608を介してZ微動ブロック610がZ方向に移動可能に保持されている。固定ベース604の上部端604aにマイクロメータヘッド605が取り付けられている。また、Z微動ブロック610は固定ベース604との間に設けられたバネ616によりマイクロメータヘッド605側に押し付けられる構造(常時上側に付勢される構造)になっている。マイクロメータヘッド605を操作することにより、Z微動ブロック610のZ軸方向の定量的な微動が可能となる。マイクロメータヘッド605とバネ616との配置関係は、上下逆でも良い。すなわち、Z微動ブロック610はバネ616により常時下方へ付勢され、Z微動ブロック610が下方(Z方向)へ移動される位置をマイクロメータヘッド605により定量的に調整する。この場合、術者は手術器具10を手で操作することにより手術器具10の先端を患部から引き離すことができる。
【0032】
Z微動ブロック610には、保持ベース612が固定されている。さらに、Z移動ブロック620がクロスローラ式の直動軸621を介してZ方向に移動可能に保持ベース612に保持されている。Z移動ブロック620は引っ張りバネ623により保持ベース612に吊り下げられ、自重による下方への荷重が軽減されている。Z移動ブロック620の両側に配置されている断面形状がコの字型のホルダ625内には、空気圧で膨らむチューブ626が配管されており、その上からZパッド627がコの字の開放面に蓋をするように配置され、Zパッド627は板バネ628で押さえられている。チューブ626にポンプ50から圧縮空気を供給すると、Z移動ブロック620は押し出されたZパッド627に挟まれ、拘束される。このZ移動ブロック620の拘束操作も、操作パネル30又はフットスイッチ40のスイッチ信号に応答して行われる。
【0033】
図11は、保持ユニット300の構成を説明する図である。図11(a)は、手術器具10が取り付けられた状態の保持ユニット300を側面から見た図である。図11(b)は、図11(a)のG-G断面図である。また、図12は、保持ユニット300に手術器具10を保持させる際に使用するアダプタ350を説明する図である。
【0034】
保持ユニット300の説明に先立って、アダプタ350の構造を図12により説明する。図12において、アダプタ350は手術器具10の後端に回転不能に装着されている。手術器具10の後端の側面には平坦面10aが形成されている。アダプタ350の内部は、手術器具10の平坦面10aの形状に嵌合する挿入穴が形成されている。したがって、手術器具10の後端側からアダプタ350を簡単に挿入できる。アダプタ350には、保持ユニット300に取り付ける際に、保持ユニット300側のベアリング312,313(図11参照)で保持される第1回転軌道部352aと第2回転軌道部352bが形成されており、第1回転軌道部352aと第2回転軌道部352bとの間には、ブレーキパッド315が押し付けられる摩擦溝354が形成されている。アダプタ350の内部構造及び長さは、手術器具10の後端の形状に応じたものを準備しておく。
【0035】
保持ユニット300の構造を図11により説明する。固定ベース302は、図10に示したZ移動ブロック620に固定される。固定ベース302の上端部からは器具後端保持アーム304が取り付けらており、固定ベース302の下端部からは器具先端保持アーム306が取り付けられている。器具先端保持アーム306の先端部には、手術器具10のテーパー状になった小径部10b(図12参照)を受ける円錐面を持つ挿入穴307が形成されている。挿入穴307は、手術器具10のZ軸回りの回転を容易にするために、摩擦抵抗の少ない材質としておくことが好ましい。固定ベース302、器具後端保持アーム304及び器具先端保持アーム306との間には、術者が手術器具10の本体部10cを手で把持可能な十分な空間が設けられている。
【0036】
器具後端保持アーム304には、手術器具10の後端に取り付けられたアダプタ350を回転可能に保持する後端保持部310が設けられている。後端保持部310は、第1回転軌道部352aを回転可能に保持するように120°間隔で3個配置されたベアリング312を備える。また、後端保持部310はアダプタ350側の摩擦溝354に押し付けられるブレーキパッド315を備える。ブレーキパッド315は、ポンプ50から電磁弁54及びチューブ、スピードコントローラー(図示を略す)を介して供給される圧縮空気により駆動されるシリンダーロッド317により摩擦溝354側に押し付けられ、手術器具10の軸回りの回転(θ軸回転)が固定される。電磁弁54の空圧制御によりポンプ50からの圧縮空気と減圧(大気開放)が切換えられると、シリンダーロッド317が移動してブレーキパッド315は引き戻され、手術器具10の軸回りの回転の固定が解除される。
【0037】
なお、固定力と応答時間を調整するために電磁弁54とシリンダーロッド317等で構成されるブレーキユニットとの間には図示されないスピードコントローラーが配置されている。
【0038】
また、後端保持部310は、アダプタ350が外れないようにするためのアダプタ押さえ板320と与圧板321で支持される。アダプタ押さえ板320は、第2回転軌道部352bを回転可能に保持するように120°間隔で3個配置されたベアリング313を備える。アダプタ押さえ板320と与圧板321はバネを介して一体的化されている。
アダプタ押さえ板320及び与圧板321は、ネジ322により器具後端保持アーム304方向へ適切な力で押し付けられることにより、ベアリング312,313へ過度の荷重が作用することを防止する。ネジ322を緩めると、アダプタ押さえ板320と与圧板321が後端保持部310から取り外される。これにより、手術器具10に取り付けられたアダプタ350を後端保持部310に装着可能となる。アダプタ350を後端保持部310に装着した後は、再び、アダプタ押さえ板320と与圧板321を上から被せ、ネジ322を締付けることにより、アダプタ350を後端保持部310に保持させることができる。
【0039】
図1において、制御ユニット20には、複数のスイッチや表示ディスプレイを持つ操作パネル30、複数の操作信号を入力可能なフットスイッチ40、xyz粗調整ユニット150、圧縮空気供給ポンプ50からの圧縮空気の供給/減圧を制御するための電磁弁51,52,53,54等が接続されている。
【0040】
次に、手術支援装置1の動作を説明する。手術に際して、図13に示すように、別の切開用手術器具により患者眼の角膜に切開された創孔EH(又は切開予定部分)に対して、眼内位置決めユニット200の傾斜中心点Oを位置合わせすべく、眼外移動ユニット100のxyz粗調整ユニット150及びxyz微調整ユニット110を作動させる。位置合わせは、手術器具10を保持ユニット300に装着する前に行う。創孔EHに傾斜中心点Oを位置合わせするためには、X微動軸404の中空部及びX粗動軸420の中空部に位置合わせ手段としてのシャフト480を挿入しておく。シャフト480の先端は予め傾斜中心点Oと一致するように、ストッパ481により位置決めされている。xyz粗調整ユニット150を作動させて粗く位置決めした後、xyz微調整ユニット110を操作することにより微調整し、シャフト480の先端を創孔EHに一致させる。これにより、傾斜中心点Oを創孔EHに位置合わせできる。その後、シャフト480をX微動軸404及びX粗動軸420の中空部から抜く、又は邪魔にならない位置まで後退させ、アーム402の穴にてOリング482で保持させる。
【0041】
なお、創孔EHに対する傾斜中心点Oの位置合わせユニットとしては、X傾斜ユニット400を利用してシャフト480を保持させたが、眼内位置決めユニット200に別に設けた専用の保持機構にシャフト480を保持させるようにしても良い。また、シャフト480を使用する代わりに、光学的に創孔EHに対して傾斜中心点Oを位置合わせする構成も可能である。例えば、2方向から強膜の創孔EHに向けて光束を投影する投影光学系を設ける。2方向からの光束の投影は、傾斜中心点Oで一致するように調整しておく。強膜の創孔EHに2方向から投影し、2つの光束の投影位置が一致するように、眼内位置決めユニット200を移動させることにより、創孔EHに対して傾斜中心点Oを位置合わせできる。
【0042】
創孔EHに対する傾斜中心点Oの位置合わせができたら、前述のように、術者は手術器具10を保持ユニット300に装着する。手術器具10の装着に際して、Z移動ブロック620を上方に移動し、Z移動ブロック620のブレーキを掛けておく。手術器具10を保持ユニット300に装着した後は、Z移動ブロック620のブレーキを解除することにより、図14(a)に示すように、手術器具10の先端を傾斜中心点O側に移動することができる。そして、図14(b)のように、手術器具10を手でZ方向に移動して手術器具10の針部先端を眼内に挿入する。なお、眼内の手術時には、手術器具10の他に、灌流液を供給するための灌流カニューラや眼内を照明するライトガイドが眼内に挿入されるが、ここでは図示を略している。
【0043】
術者は顕微鏡により患者眼を観察し、眼底や眼内の患部に手術器具10の先端を位置合わせすべく、手術器具10を操作する。手術器具10は、X傾斜ユニット400及びY傾斜ユニット500により傾斜中心点Oを中心に2次元的に傾斜可能に保持されていると共にZ軸方向にも移動可能である。このとき、傾斜中心点Oを強膜の創孔EHに一致させているため、創孔EHを広げたり、傾斜移動に際して強膜にダメージを与えることなく、手術器具10の先端を眼内で容易に移動させることができる。眼球から手術器具10への反力も少なくなり、器具先端を眼内で容易に位置決めできる。また、手術器具10の移動に際してY傾斜ユニット500や保持ユニット300等の構成部材に作用する重力の影響を受ける動作軸について、操作力を低く抑える(軽い操作を可能とする)ためのバランス機構が搭載されている。このため、術者は手作業で行う手術器具10の先端の位置や向きを素早く、また、スムーズに移動させることができる。
【0044】
なお、手術器具10の先端を患部に位置合わせする際、術者は顕微鏡により患者眼の真上方向から眼内の患部を観察する。図14(b)のように、手術器具10を斜めに保持して眼球内に挿入すると、顕微鏡による真上からの観察に際して、X傾斜ユニット400,Y傾斜ユニット500等の保持機構が観察視野内から外れた位置にあり、手術器具10の先端位置が容易に確認できる。
【0045】
眼内の手術として、例えば、0.1~0.2mmの眼底血管内にカテーテルを挿入する等、眼底の微細部分に手術器具の先端を位置合わせする場合について説明する。術者は顕微鏡により眼底の患部を観察しながら、手術器具10の先端を目的の患部に位置合わせすべく、手術器具10を2次元的に傾斜させると共に、Z軸方向に移動させる。手術器具10の先端が目的の部位に近づいたら、X傾斜粗動及びY傾斜粗動のブレーキを掛ける信号を操作パネル30又はフットスイッチ40により入力する。この信号に応答して、制御ユニット20の制御によりX傾斜及びY傾斜の粗動ブレーキ機構が駆動され、それぞれX粗動軸420及びY粗動回転部材513の回転が固定される。これにより、X微動軸404及びY微動軸502が回転可能な狭い範囲に手術器具10の傾斜が規制される(すなわち、手術器具先端のXY移動範囲が微調整の範囲に切換えられる)。同時に、粘弾性部材等の抵抗付与手段により手術器具10の傾斜操作の動きが重く(遅く)なり、過敏な動作が抑えられる。このため、術者は精密な位置合わせ操作を容易に行える。なお、X傾斜粗動及びY傾斜粗動の固定は、それぞれ選択的に行える。
【0046】
また、X傾斜ユニット400及びY傾斜ユニット500が持つ傾斜範囲の切換え機構によれば、手術器具10を任意の角度で傾斜した後に、X傾斜粗動及びY傾斜粗動のブレーキをそれぞれ掛けると、粗動ブレーキを掛けた傾斜角度を中立位置として、狭い範囲の微動傾斜が可能になる。すなわち、狭い範囲の微動傾斜を可能にする中立位置を任意の傾斜角度に設定できるので、精密な位置合わせをより容易に行える。
【0047】
手術器具10の先端を眼底血管に位置合わせができたら、術者は操作パネル30のスイッチを押してX微動軸ブレーキ及びY微動ブレーキを作動させ、手術器具10の傾斜を固定する。X微動軸ブレーキ及びY微動ブレーキは、それぞれ選択的に動作させることができる。また、Z移動ブレーキも作動させ、Z軸方向の移動については微調整の移動のみを可能にする。また、手術器具10のθ軸回転が必要なときは、手で手術器具10を軸回り回転させた後、操作パネル30のスイッチを押してθ軸回転のブレーキを作動させ、その回転を固定する。その後、マイクロメータヘッド605を操作することにより、手術器具10の先端を眼底血管内に微調整して挿入することができる。眼底血管内に手術器具の先端を挿入する位置は顕微鏡では観察し難いが、マイクロメータヘッド605により手術器具の先端をZ方向に定量的に移動できるので、精密な手術が行える。手術器具10の先端を眼底血管内に挿入できたら、手術器具10の本体部に付属されたレバー等の所定の操作により、カテーテルが微細な血管内に挿入される。
【0048】
手術器具10としては、鉗子、剪刀、鑷子等に付け替えることができる。眼内の硝子体を除去するための硝子体カッターに替えることもできる。この場合、手術器具の後端部の形状に応じて、アダプタ350の形状を変えたものを用意しておけばよい。また、固定ベース302に対する器具後端保持アーム304の取り付け位置をZ方向で調整可能な機構としておくことにより、長さが異なる手術器具も取り換え可能となる。
【0049】
実施形態の他の例を説明する。創孔EHに対する傾斜中心点Oの位置合わせは、次のように実施することも可能である。保持ユニット300に予め手術器具10を装着しておき、また、X微動軸404及びX粗動軸420を通したシャフト480の先端に手術器具10の先端が一致するように、手術器具10をZ軸方向に移動させる。これにより、手術器具10の最先端を傾斜中心点Oに一致させることができる。手術器具10の最先端を傾斜中心点Oに一致させたら、ポンプ50から圧縮空気を供給して手術器具10のZ軸方向の移動を固定する。そして、創孔EHに手術器具10の最先端を位置合わせすべく、眼内位置決めユニット200をxyz粗調整ユニット150及びxyz微調整ユニット110により移動させれば良い。
【0050】
また、手術に際して、術者は手術器具10及び他の手術器具を手で持つので、各ユニット400,500,600のブレーキ操作の信号は、フットスイッチ40を使用することが好ましい。手術室でフットスイッチ40を使用する場合、手術室には顕微鏡用のフットスイッチや白内障手術装置のフットスイッチが置かれており、これらとは別に手術支援装置1用の専用のフットスイッチを設けると、足元が煩雑になり、使い勝手悪い。この対応として、フットスイッチ40を他の手術装置のフットスイッチと兼用させると都合が良い。
【0051】
図15は、手術支援装置1のフットスイッチとして、他の手術装置のフットスイッチを兼用する場合の構成図である。図15において、手術装置1000は白内障手術装置である。この装置1000は、ハンドピースの先端に取り付けられたチップに超音波振動を増幅伝達し、白内障により白濁した水晶体核を破砕乳化し、眼内に供給した灌流液と吸引除去するものである。この装置1000においても、灌流液の供給、眼内の廃液の吸引及び超音波振動の各動作信号の入力として、一般にフットスイッチが使われる。フットスイッチ40は、中央に設けられ,踏み込み操作する第1スイッチ41、第1スイッチ41の左右に設けられ、横方向に倒れる第2スイッチ42及び第3スイッチ43、フットスイッチの筐体上部の四隅に設けられた第4スイッチ44,第5スイッチ45,第6スイッチ46,第7スイッチ47を備える。白内障手術装置1000においては、これらの7個のスイッチが灌流液の供給、眼内の廃液の吸引及び超音波振動の各動作信号の入力用に割り当てられている。フットスイッチ40を手術支援装置1として使用するときは、信号切換え部21により、フットスイッチ40の接続を手術支援装置1の制御ユニット20に切換える。
【0052】
フットスイッチ40が持つ7つのスイッチは、例えば、次のように割り当てられる。スイッチ46を押す毎に、X傾斜の粗動ブレーキ信号、微動ブレーキ信号及びブレーキの解除信号が入力される。スイッチ44を押す毎に、Y傾斜の粗動ブレーキ信号、微動ブレーキ信号及びブレーキの解除信号が入力される。スイッチ47を押す毎に、Z方向のブレーキ信号及びブレーキの解除信号が入力される。スイッチ45を押す毎に、θ軸回転のブレーキ及びブレーキの解除の信号が入力される。スイッチ42を押すと、全ブレーキの解除信号が入力される。スイッチ43を押す毎に、全粗動ブレーキ信号及びその解除信号が入力される。スイッチ41を押す毎に、全微動ブレーキ信号及びその解除信号が入力される。フットスイッチ40を他の手術装置のものと兼用することにより、フットスイッチ40を置き換える煩雑さ及びスペースの問題が解消され、眼科手術においては特に都合が良い。
【0053】
上記の実施形態においては、術者が手術器具10を持って直接操作する例を説明したが、X粗動軸420、Y微動軸502、マイクロメータヘッド605の微細操作を独立して電動化する構成とすれば、術者が直接手術器具10を操作することが難しい微細な位置決めをさらに高精度化できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る眼科用手術支援装置全体の概略構成図である。
【図2】眼内位置決めユニットの構成を説明する図である。
【図3】図2の眼内位置決めユニットを、X軸及びZ軸を含むXZ平面に直交する方向(Y軸方向)から見たときの図である。
【図4】図2の眼内位置決めユニットを、Y軸及びZ軸を含むYZ平面に直交する方向(X軸方向)から見たときの図である。
【図5】X傾斜ユニットをXZ平面で切断したときの断面図である。
【図6】X傾斜ユニットのバランス機構を説明する図である。
【図7】X傾斜ユニットのバランス機構を説明する図である。
【図8】X傾斜ユニットのバランス機構を説明する図である。
【図9】Y傾斜ユニットを図2のYZ平面で切断したときの断面図である。
【図10】Z移動ユニットの構成を説明する図である。
【図11】保持ユニット300の構成を説明する図である。
【図12】保持ユニットに手術器具を保持させるためのアダプタを説明する図である。
【図13】角膜に切開された創孔に対する傾斜中心点の位置合わせを説明する図である。
【図14】手術時の動作を説明する図である。
【図15】手術支援装置のフットスイッチとして、他の手術装置のフットスイッチを兼用する場合の構成図である。
【符号の説明】
【0055】
10 手術器具
20 制御ユニット
40 フットスイッチ
50 圧縮空気供給ポンプ
100 眼外移動ユニット
200 眼内位置決めユニット
300 手術器具保持ユニット
400 X傾斜ユニット
404 X微動軸
410 フリクションジョイント
420 X粗動軸
428 電磁クラッチ
443,534 粘弾性部材
480 シャフト
500 Y傾斜ユニット
502 Y微動軸
508 Y微動ブレーキディスク
513 Y粗動回転部材
514 Y粗動ブレーキディスク
600 Z移動ユニット
1000 手術装置

Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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(In Japanese)【図15】
14