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明細書 :ミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-100466 (P2018-100466A)
公開日 平成30年6月28日(2018.6.28)
発明の名称または考案の名称 ミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法
国際特許分類 D21H  11/18        (2006.01)
B29B  13/06        (2006.01)
B29C  43/34        (2006.01)
B29K   1/00        (2006.01)
FI D21H 11/18
B29B 13/06
B29C 43/34
B29K 1:00
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2016-248412 (P2016-248412)
出願日 平成28年12月21日(2016.12.21)
発明者または考案者 【氏名】奥村 浩史
【氏名】矢野 浩之
【氏名】北川 和男
出願人 【識別番号】591045703
【氏名又は名称】利昌工業株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】514168843
【氏名又は名称】地方独立行政法人京都市産業技術研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】100091683、【弁理士】、【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
【識別番号】100179316、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 寛奈
審査請求 未請求
テーマコード 4F201
4F204
4L055
Fターム 4F201AA01
4F201AC05
4F201BA04
4F201BC01
4F201BC12
4F201BC33
4F201BD02
4F201BK01
4F201BN22
4F204AA01
4F204FA01
4F204FA13
4F204FB01
4F204FF01
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ37
4L055AF09
4L055AF46
4L055BF03
4L055BF10
4L055FA13
要約 【課題】ミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体を、実用可能な大きさとすることができるミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】ミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法であって、水、有機溶媒、又は、水に有機溶媒を混合した混合溶媒に、ミクロフィブリル化セルロースを分散したミクロフィブリル化セルロース懸濁液を用意し、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を密閉した状態で予備脱水し、その後、加熱加圧成形する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
水、有機溶媒、又は、水に有機溶媒を混合した混合溶媒に、ミクロフィブリル化セルロースを分散したミクロフィブリル化セルロース懸濁液を用意し、
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を密閉した状態で予備脱水し、その後、加熱加圧成形することを特徴とするミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を袋に入れて予備脱水することを特徴とする請求項1に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項3】
前記袋内に2枚の基板を配置し、2枚の前記基板で前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を挟み込むようにして予備脱水を行うことを特徴とする請求項2に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項4】
加熱加圧成形を、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を2枚の前記基板で挟み込んだ状態で行うことを特徴とする請求項3に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項5】
2枚の前記基板の表面の少なくとも対向する面に不織布を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項6】
加熱加圧成形を、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、前記袋から取り出した状態で行うことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項7】
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れた前記袋を所定の形に保持した状態で予備脱水を行い、その後、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、前記袋から取り出した状態で、加熱加圧成形を行うことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
【請求項8】
台の上にフィルムを配置し、前記フィルムの周囲をシールして空間を形成し、前記空間内に前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れて予備脱水を行うことを特徴とする請求項1に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。

【請求項9】
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液に、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも1つを所定の固形分割合で添加することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量で高強度を有するミクロフィブリル化セルロースを用いることにより、優れた強度を有する成形体を得るために、ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂を加熱加圧成形した成形体(特許文献1参照)が一般的には用いられている。さらに、強度などの特性を向上させるために、ミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体(特許文献2,3参照)も存在する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-297364号公報
【特許文献2】特開2003-201695号公報
【特許文献3】国際公開第2008/010464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂を用いた成形体と、ミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体とを比較すると、曲げ強度はミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体の方が優れているが、ミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体は、特許文献2,3に記載されている製造方法では、実用的な大きさの成形体を効率的に得ることが出来ないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はミクロフィブリル化セルロースを主成分とした成形体を、実用可能な大きさとし、様々な用途に使用することができる、ミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法は、水、有機溶媒、又は、水に有機溶媒を混合した混合溶媒に、ミクロフィブリル化セルロースを分散したミクロフィブリル化セルロース懸濁液を用意し、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を密閉した状態で予備脱水し、その後、加熱加圧成形することを特徴とする。
【0007】
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を袋に入れて予備脱水し、前記袋内に2枚の基板を配置し、2枚の前記基板で前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を挟み込むようにして予備脱水を行い、さらに、加熱加圧成形を、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を2枚の前記基板で挟み込んだ状態で行う。この時、2枚の前記基板の表面の少なくとも対向する面に不織布を設けることも可能である。
【0008】
さらに、加熱加圧成形を、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、前記袋から取り出した状態で行う。
【0009】
また、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れた前記袋を所定の形に保持した状態で予備脱水を行い、その後、予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、前記袋から取り出した状態で、加熱加圧成形を行う。
【0010】
台の上にフィルムを配置し、前記フィルムの周囲をシールして空間を形成し、前記空間内に前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れて予備脱水を行うことも可能である。
【0011】
前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液に、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を所定の固形分割合で添加することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法は、水、有機溶媒、又は、水に有機溶媒を混合した混合溶媒に、ミクロフィブリル化セルロースを分散したミクロフィブリル化セルロース懸濁液を用意し、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を密閉した状態で予備脱水し、その後、加熱加圧成形することにより、従来よりも大きく、厚みのある、実用に十分な大きさのミクロフィブリル化セルロースの成形体を得ることができるようになる。
【0013】
前記袋を所定の形に保持した状態で予備脱水を行い、その後、加熱加圧成形を行うことにより、所望の形状および厚みのミクロフィブリル化セルロースの成形体を簡単に得ることができる。
【0014】
台の上にフィルムを配置し、前記フィルムの周囲をシールして空間を形成し、前記空間内に前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れて予備脱水を行うことにより、より大きなミクロフィブリル化セルロースの成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】袋内にミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れて予備脱水を行う状態の概略断面図である。
【図2】フィルムを用いてミクロフィブリル化セルロース懸濁液を密閉して予備脱水を行う状態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のミクロフィブリル化セルロース成形体の製造方法は、ミクロフィブリル化セルロース自体を成形体とする製造方法であるが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものを加えることも可能である。本発明におけるミクロフィブリル化セルロースとは、ミクロフィブリル状のセルロース繊維である。

【0017】
まず初めに、水、有機溶媒、又は、水に有機溶媒を混合した混合溶媒に、セルロースを分散し、機械加工などを施すことでミクロフィブリル化セルロース懸濁液を用意する。原料に用いるセルロースは、微生物由来、動物由来、および、植物由来のものを用いることができるが、特に限定するものではない。そして、ミクロフィブリル化セルロースとして、チキン、キトサンなどを用いることも可能である。

【0018】
次に、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液の予備脱水を行うが、この際に、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を袋に収容し、その後、真空ポンプを用いて前記袋内のミクロフィブリル化セルロース懸濁液から水分を除去して前記袋の外へと排出する方法を用いる。予備脱水で使用する真空ポンプは、トラップを介して袋またはフィルムと接続されており、ドライポンプ、水流ポンプ、水封ポンプなどを用いることができる。

【0019】
予備脱水を行ったミクロフィブリル化セルロース懸濁液を、所定の温度・時間で、加熱加圧成形するとミクロフィブリル化セルロースの成形体が形成される。加熱加圧成形は、予備脱水を行ったミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、予備脱水を行ったミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋から取出した状態で行うことができる。さらに、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液の予備脱水と平行して加圧することも可能であり、これにより脱水速度を早くすることができる。このような本発明の製造方法によって、従来よりも大きく、そして、厚いミクロフィブリル化セルロースの成形体を得ることができる。

【0020】
予備脱水を行う前に、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を入れた前記袋を、所定の形状の金型に入れて形を整えることが可能である。その後、予備脱水および加熱加圧成形を行うと、金型の形状のミクロフィブリル化セルロースの成形体が得られる。この際に、前記袋内のミクロフィブリル化セルロース懸濁液の量を調整することにより、成形体の厚みも所定の厚みとすることができる。本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法は、金型の形状を変更することにより、所望の形状および厚みの成形体を簡単に得ることができる。

【0021】
さらに、予備脱水について詳しく説明する。図1に示すように、袋2内に2枚の基板3を上下に配置し、2枚の前記基板3でミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を上下に挟み込むようにした状態で予備脱水を行うことも可能である。2枚の前記基板2はSUS製の鏡面板などを用いることができる。そして、2枚の前記基板2の表面には、不織布4,5を取り付けておく。

【0022】
前記袋2は、使用限界温度に合せて選定可能であり、ナイロン製、ポリエチレン製、塩化ビニル製、ポリイミド製などを用いることができ、前記袋2の厚みは薄すぎると予備脱水の際に破損したり伸びたりして十分な減圧を行うことができなくなる可能性があり、また、厚すぎると内容物の変形に追従できなくなる可能性があることから、前記袋2の厚みは20~100μmとすることが好ましく、特に、50~100μmとすることが好ましい。

【0023】
前記基板2に取り付ける不織布4,5は、2枚の前記基板2の対向する表面には薄手の不織布4を取り付け、そして、2枚の前記基板2の残りの表面には、厚手の不織布5を取り付ける。このように、基板2の表面に不織布4,5を取り付けることにより、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を、2枚の基板の表面の薄手の不織布4によって挟んだ状態で予備脱水を行うことになる。

【0024】
前記不織布4,5の材質については、ポリエステル製、ポリエチレン製、綿布などを使用することができる。さらに、2枚の前記基板2の対向する面に設けられる前記不織布4はヒートボンドタイプを用いることが好ましく、目付が10~50g/m2のものを用いることが好ましい。2枚の前記基板2の対向しない面に設けられる前記不織布5は予備脱水の際に空気の通り道として用いられることから、予備脱水によって潰れないものが好ましく、目付が100~400g/m2のニードルパンチを用いることができ、特に、目付が150~300g/m2のニードルパンチを用いることが好ましい。

【0025】
予備脱水の時間については、短すぎると加圧の際にミクロフィブリル化セルロースの成形体が破損する可能性があることから、予備脱水の時間は、15分から1.5時間とすることが好ましく、1時間を基準としている。

【0026】
このような条件で前記袋2に真空ポンプを接続して予備脱水を行った後、2枚の前記基板2に取り付けた不織布4,5は、予備脱水後、厚手の不織布5だけを取り外し、薄手の不織布4はそのままにした状態で加熱加圧成形を行う。この時、前記袋2内に前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を入れた状態、または、前記袋2から予備脱水された前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を取り出した状態で行うことができる。そして、加熱加圧成形が完了すると、2枚の前記基板2の間に、ミクロフィブリル化セルロースの成形体が成形されることになる。

【0027】
本発明のミクロフィブリル化セルロース成形体の製造方法は、ミクロフィブリル化セルロース自体を成形体とする製造方法ではあるが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものを加えることも可能であることから、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を加える場合について説明する。

【0028】
ミクロフィブリル化セルロース成形体を製造する際に、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を用いる場合、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものを粉体の状態で添加して混合する。

【0029】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができるが、特に限定するものではない。フェノール樹脂はさらにレゾール、ノボラックがあり、レゾールの方が硬化剤の添加なしで硬化するので使用が容易である。エポキシ樹脂やノボラック樹脂は硬化剤を別途加える必要があり、使用する硬化剤が水溶性の場合が多いが、エポキシ樹脂やノボラック樹脂と予め少し反応させておくことで水に不溶とすることで用いることができる。

【0030】
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、EPDM、EPM、NBRなどを用いることが出来る。熱可塑性樹脂は、特に限定するものではないが、成形温度が180℃を超えるような樹脂は、セルロースが分解するため不適であり、180℃以下で軟化するものであればよい。

【0031】
熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を用いる場合、セルロースミクロフィブリルと樹脂との親和性を改善するために、少量の澱粉を添加することが効果的である。デンプンとして、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、カチオン化澱粉、酸化デンプン、小麦粉、米粉などを用いることができる。澱粉の他に、シランカップリング剤、高級脂肪酸、高級アルコールなどを用いることも可能である。

【0032】
ミクロフィブリル化セルロース懸濁液に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものを粉体の状態で添加して混合した後、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものを混合した前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を袋に収容し、前記袋内のミクロフィブリル化セルロース懸濁液から水分を除去し、前記袋の外へと排出することにより予備脱水を行う。

【0033】
予備脱水後、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液を前記袋に入れた状態、または、前記袋から予備脱水されたミクロフィブリル化セルロース懸濁液を取り出した状態で、所定の温度・時間で、加熱加圧成形することにより、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを所定の割合で配合したものが含まれたミクロフィブリル化セルロースの成形体を得ることができる。

【0034】
このように、ミクロフィブリル化セルロースを主成分とし、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を添加した場合でも、ミクロフィブリル化セルロース自体を成形体とする製造方法と同じ方法で、成形体を製造することが可能である。

【0035】
本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法によって得られる成形体は天然物であることから、用途によっては、防腐剤、防かび剤などの少量添加を行うことがある。防腐剤、防かび剤などとしては、一般的なパラベン、フェノキシエタノールなど、ビタミンEなどを用いることができる。

【0036】
このように、袋を用いて予備脱水を行う場合、本発明のミクロフィブリル化セルロース成形体の製造方法によって得られる成形体の大きさは袋の大きさによって制限される可能性がある。そのため、より大きなミクロフィブリル化セルロース成形体を得るために、以下の方法を用いることができる。

【0037】
図2に示すように、板、金型などの台11を用意し、前記台11の上で予備脱水を行う。この時、前記台11上でミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を2枚の薄手の不織布4によって上下に挟み込み、さらに、ナイロン、ポリエチレンなどのフィルム12によってミクロフィブリル化セルロース懸濁液1および2枚の不織布4を覆い、前記フィルム12の周囲にシールテープ13を配置し、前記台11とて密封して空間を設けている。これにより、前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を前記フィルム12および前記台11によって設けられた空間内に密閉した状態で、予備脱水を行うことができる。

【0038】
このように、前記台11上でフィルム12およびシールテープ13を用いて前記ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を空間内に密閉した状態で、前記フィルム12に接続した真空ポンプを用いて予備脱水を行い、その後、前記フィルム12で覆った状態、または、前記フィルム12を剥がした状態で、加熱加圧成形すると、ミクロフィブリル化セルロースの成形体が成形される。

【0039】
前記袋2を用いた場合は、500×500mm程度の大きさの成形体であれば容易に成形することができるが、1000×1000mm、さらに、1000×2000mmといった大きな成形体を得るためには、前記フィルム12を用いた方が簡単である。そして、前記台11として、上面が曲面の金型を用いることにより、曲面の成形体を製造することも可能である。

【0040】
本発明のミクロフィブリル化セルロース成形体の製造方法は、図1に示すような2枚の前記基板3でミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を上下に挟み込んだものを前記袋2内に複数積層すること、または、図2に示すような2枚の前記不織布4でミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を上下に挟み込んだものを前記台11上の前記フィルム12内で複数積層することにより、同時に多数の成形体を成形することも可能である。

【0041】
以下に実施例を用いて詳しく本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法について説明する。
【実施例1】
【0042】
ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1としてミクロフィブリル化セルロース(ダイセルファインケム製 セリッシュKY-100G)を500g用意する。そして、図1に示すように、ナイロン袋2内において、ミクロフィブリル化セルロース懸濁液1を上下に挟むように、220mm角の2枚の鏡面板3(SUS製、厚さ1.2mm)を配置する。この際に、2枚の鏡面板3の対向する面にはそれぞれポリエステル製の薄手の不織布4を配置し、対向する面とは反対の面にはそれぞれポリエステル製のニードルパンチ(厚手の不織布)5を配置する。
【実施例1】
【0043】
前記ナイロン袋2内に、前記鏡面3、前記不織布4および前記ニードルパンチ5を配置した後、トラップを介してナイロン袋2に真空ポンプを接続し、図1の矢印の方向に15分間の真空排気することで予備脱水を行った。このような予備脱水を行った後のミクロフィブリル化セルロース分散体の含水量は65~70%であった。
【実施例1】
【0044】
予備脱水後、ポリエステル製のニードルパンチ5を取り除き、圧縮成型機にて定圧下(0.1~0.2MPa)、 130℃で30分間保持し、加熱加圧成形を行った。その後、1.5MPaに昇圧してさらに30分間保持した後、圧力を保持しながら冷却した。このような製造方法によって得られたミクロフィブリル化セルロースの成形体は、1.2×220×220mmの大きさであり、その含水量は約3%であった。
【実施例2】
【0045】
実施例1のミクロフィブリル化セルロース懸濁液の代わりに、(株)スギノマシン製Wma—10を用意し、その他は、実施例1と同様の手順および条件でミクロフィブリル化セルロースの成形体を作製した。
【実施例3】
【0046】
実施例1のミクロフィブリル化セルロース懸濁液に、樹脂成分としてミクロフィブリル化セルロースに対して20%の粉体のフェノール樹脂(紛体レゾール リグナイト社供給、品番は非開示)を十分混合した懸濁液を用意する。混合方法としては、ロールミル、コニーダーなどを用いる。その後、実施例1と同じ手順および条件で、予備脱水および加熱加圧成形を行い、フェノール樹脂を添加したミクロフィブリル化セルロースの成形体を作製した。
【実施例3】
【0047】
実施例1~3のミクロフィブリル化セルロースの成形体について、JIS-K6911に準拠して引張試験、曲げ試験を行った。試験結果を以下の表1に記載する。表1には、実施例1~4以外に、比較例1として、クラフト紙にフェノール樹脂を40%含浸させた1.2mmの積層板の物性値を記載している。
【実施例3】
【0048】
【表1】
JP2018100466A_000003t.gif
【実施例3】
【0049】
実施例1,2によって作製したミクロフィブリル化セルロース成形体は、高強度、高弾性率を示している。このように、本発明の製造方法は、十分な強度を有したミクロフィブリル化セルロース成形体を実用上有用な任意の寸法で、かつ短時間で製造できるという優れた効果を奏する。
【実施例3】
【0050】
本発明のミクロフィブリル化セルロースの成形体の製造方法によって得られた成形体は、紙フェノールの板の代替として使用可能であり、例えば、環境に優しい天然素材のドリルの当て板として使用することも可能であり、また、前記成形体は生分解性素材であることから、使い捨ての保護板として使用することも可能である。さらに、セルロースは、耐油性が極めて高いことから、前記成形体を、油中のパッキンとして使用することも可能である。このように、本発明の製造方法によって得られる成形体は、環境に優しい材料として様々な用途に使用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ミクロフィブリル化セルロース懸濁液
2 ナイロン袋
3 鏡面板
4 不織布
5 ポリエステル製ニードルパンチ(厚手の不織布)
11 台
12 フィルム
13 シールテープ
図面
【図1】
0
【図2】
1